JP2009176185A - 数値解析モデル作成方法および数値解析モデル作成装置 - Google Patents

数値解析モデル作成方法および数値解析モデル作成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】部材Aと部材Bとを接合によって加工する構造物の接合状態を数値解析する場合において、接合する直前の変形した製品形状を、低コストで精度良くモデル化するための数値解析モデル作成方法を提供すること。
【解決手段】要素分割された形状データおよび材料データを表した数値解析モデルを入力する形状データ入力工程と、前記構造物の一部のそり変形による変位量を実測し該実測値を入力する実測変位データ入力工程と、前記変位量を実測した前記構造物上の位置に対応する前記数値解析モデル上の節点に前記変位量を強制変位として数値解析モデルに与える強制変位設定工程と、前記数値解析モデル上で前記強制変位を設定した部位の剛性を他の部分よりも相対的に高く設定する剛性変更工程と、前記数値解析によって前記構造物の変形を解析する変形解析工程と、該変形解析工程で得られた結果から前記数値解析モデルの形状データを更新する形状データ更新工程とを有する数値解析モデル作成方法が提供される。
【選択図】 図8

Description

本発明は、数値解析モデル作成方法および数値解析モデル作成装置に関する。
接合加工技術の一手段として被接合部材の接合面を突き合わせて所定の加圧力で加圧し、この状態で機械的に相対運動を行ない、接合面に発生する摩擦熱によって被接合部材を接合する技術が振動溶着として知られている。特に樹脂製部品を製造する際には金型のみでは成形できない場合があるので、接合技術が必要となり、上記振動溶着技術が利用される。
図1は、振動溶着によって接合加工される樹脂製部品の接合部のリブ構造を示す斜視図である。図1aは溶着前のリブ構造を説明する斜視図である。(101)は部材Aの溶着リブ、(102)は部材Bの溶着リブ、(103)は部材Aの溶着面、(104)は部材Bの溶着面である。図1bは部材A、Bを付き合わせた状態を説明する斜視図である。(105)は溶着時の加圧力であり、フランジ部106、107に専用に設計された治具を押し当て、片方のフランジ側の治具を固定し、他方のフランジ側の治具に加圧力105を加える。図1cは溶着接合した状態を説明する斜視図である。樹脂成形品の振動溶着構造では、部材Aの溶着面103に部材Bの溶着面104を加圧力105で接触させた状態で相対的に高速振動させることにより、溶着面103と溶着面104とが摩擦熱によって融解し、その後、振動を止めて冷却、固化して溶着接合される。
図2aは、振動溶着によって接合加工される樹脂製部品の接合部のリブ構造を示す斜視図である。図2bは、図2aに示す溶着構造において、溶着リブ101、102の長手方向202で接合部の隙間が不均一な状態を説明する図である。破線は図面寸法通りの溶着リブ形状を示す。射出成形された前記部材AおよびBは、成形収縮率の差などに起因するそり変形や金型の形状誤差などによって、図2bの実線に示すように変形し、溶着リブの長手方向202で接合部の隙間が不均一な場合が多いと考えられる。
図3は、溶着リブ101、102の短手方向201で溶着リブがオフセットされたまま接合される状態を説明する図である。図3aは溶着前のリブ構造を説明する斜視図であり、図3bは溶着リブの短手方向201で溶着リブがオフセットされたまま溶着接合される状態を説明する図である。図3bに示すように、溶着リブの短手方向201でも、前記そり変形や金型の形状誤差などによって、部材Aと部材Bを圧接させたときにオフセット301が生じていることが多い。この状態で、部材Aの溶着面103と部材Bの溶着面104を相対的に高速振動させることにより、溶着リブのオフセット301が残ったまま溶着接合されることが多い。
このように接合部の隙間が不均一、かつ溶着リブがオフセットされた状態で、前記部材Aと部材Bとを振動溶着により接合加工すると、部材Aに部材Bを押し当てた際に部材Aおよび部材Bの各部で不均一な歪みが発生するため、加圧力をかけた時点で部材Aおよび部材Bの各部には不均一な応力が発生する。この応力が前記構造物を構成する材料強度(引張強度など)よりも大きい場合は、接合加工時の破損の原因となる可能性がある。したがって、加圧時に発生する応力を有限要素法などの数値解析手法を用いて事前に予測しておくことにより、接合加工時の破損の可能性を把握することができ、設計変更などで接合加工時の破損を予防することができる。
また、加圧力をかけても接合面に隙間が空いていて、かつ前記隙間が接合加工時の溶け代よりも大きい場合には接合不良となる可能性が高い。したがって、加圧時に接合面に残る隙間(残留隙間)を数値解析手法により事前に予測しておくことにより、接合不良の可能性や溶け代の設定などを事前に把握することができる。
また、加圧力をかけた時点で部材Aおよび部材Bの各部に発生する応力は、接合加工後に加圧力を開放してもある程度は残留応力として残る。前記残留応力は、対象部品の強度を低下させる可能性があるため、加圧力を開放した後の残留応力を数値解析手法により事前に予測しておくことにより、対象部品の強度を事前に精度良く把握することができる。
接合加工時に発生する応力や残留隙間を数値解析手法により予測するためには、接合加工する直前の、そり変形などで変形した部材Aおよび部材Bの形状を数値解析モデルとして表現しておく必要がある。特に、接合部については、解析結果への影響が大きいため、μmオーダの精度で形状を再現する必要性がある場合も少なくない。
射出成形後のそり変形などを含む、部材の実形状を数値解析モデルに反映するためには、従来から以下に示す2通りの方法が知られている。
(1)射出成形解析などの数値解析手法により、製品の形状を予測し、その解析結果を用いてオリジナルメッシュを更新する方法。
(2)三次元形状計測装置、X線CTスキャンなどで、製品の外周面の三次元座標を細かく測定し、その測定結果に基づき三角形のポリゴンデータを作成し、そのポリゴンデータから内部にメッシュを生成させる方法。
数値解析手法により製品の形状を予測する方法は、例えば射出成形解析では、製品の金型形状、粘度特性や成形収縮率などの樹脂の特性データ、充填時間、金型温度、保圧圧力などの成形条件を、東レエンジニアリング(株)製“3D TIMON(登録商標)”などの市販の射出成形解析システムに入力すれば、成形後の製品のそり形状が予測できるというものである。この方法は、設計図面または3D−CADデータ、充填時間、樹脂温度、金型温度、保圧・冷却時間、保圧圧力などの成形条件、粘度データ、PVTデータ、線膨張係数、弾性率などの材料特性データが入手できれば、試作することなく、製品の変形形状が比較的短期間に予測できるため、実際の製品が手元に無い場合や、試作する時間が無いような場合には有効な手段である。しかし、本発明者らの知見によれば、接合加工時に発生する応力や残留隙間などを数値解析手法により予測するためには、接合部の微小なそり変形などが高い精度でモデルに反映されている必要がある。したがって、対象となる製品の実形状を高い精度で予測するための数値解析手法に関する十分なノウハウが無い場合には、接合加工時に発生する応力や残留隙間の予測精度が十分で無い場合が多い。
また、三次元形状計測、X線CTスキャンなどで、製品の外周面の三次元座標を細かく測定し、その測定結果に基づき三角形のポリゴンデータを表面に作成し、さらにそのポリゴンデータから内部にメッシュを生成させる方法は、特許文献1および2に開示されているように、リバースエンジニアリングなどの技術分野で多用されている手法である。
また、数値解析モデルの形状再現精度を向上させる方法として、ポリゴンデータの隣り合う三角形のなす角度を計算し、前記角度の変化からサーフェイスの接続位置を認識する方法を用いることよって、ポリゴンデータから製品のフィーチャーを抽出する方法なども提案されている。
しかし、本発明者らの知見によれば、三次元形状計測、X線CTスキャン装置は、製品が大きくなればなるほど実測変位データが増え、測定時間が長くなることなどの問題点があるため、一般には導入は容易ではない。また、外部機関に当該測定を依頼する場合でも、高額な測定費用が必要となることが多い。
製品外表面を測定するピッチを粗くして、三次元座標データを、特許文献3に示すようなベジエ(Bezier)式やB−スプライン(B−Spline)式などのベクトル演算を用いて滑らかに補間すれば、測定ポイント数を削減することができるので測定時間を短縮することが可能である。しかし、リブやボスなどの対象製品の細部の形状を再現するためには、対象製品の外表面の全体について対象製品の形状を再現できるだけの細かさで測定をする必要があり、射出成形品のような複雑形状では測定ポイントを大幅に削減することは現実的には困難である。この問題点について、リブの場合を例にとって以下に具体的に説明する。図4aは、リブがT字状に交わる部分を示した模式図である。黒色の丸印401は三次元形状計測で座標測定をした点を示し、実線405は実測変位データから近似した曲線、破線406は実際の変形状態を表す曲線である。ベジエ(Bezier)式やB−スプライン(B−Spline)式では、辺403上の実測変位データ(図4aでは黒丸5点)を用いて曲線を作成し、辺404上の実測変位データ(図4aでは黒丸4点)を用いて曲線を作成した場合、図4bに示すようにT字交点から最も近い実測変位データまでの距離が大きいと、実際の変形曲線406に対して予測曲線405のように、形状の予測誤差が大きくなることがある。したがって、図4aに示すように、斜線の丸印で示した追加実測変位データ402を設けて、交点部分を十分細かく測定する必要があり、多くの実測変位データが必要となる。
特開2006−85333号公報 特開2004−272820号公報 特開平9−270026号公報
そこで、本発明の目的は、部材Aと部材Bとを接合によって加工する構造物の接合状態を数値解析する場合において、接合する直前の変形した製品形状を、低コストで精度良くモデル化するための数値解析モデル作成方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、構造物の数値解析モデルを作成するための数値解析モデル作成方法であって、要素分割された形状データおよび材料データを表した数値解析モデルを入力する形状データ入力工程と、前記構造物の一部のそり変形による変位量を実測し該実測値を入力する実測変位データ入力工程と、前記変位量を実測した前記構造物上の位置に対応する前記数値解析モデル上の節点に前記変位量を強制変位として数値解析モデルに与える強制変位設定工程と、前記数値解析モデル上で前記強制変位を設定した部位の剛性を他の部分よりも相対的に高く設定する剛性変更工程と、前記数値解析によって前記構造物の変形を解析する変形解析工程と、該変形解析工程で得られた結果から前記数値解析モデルの形状データを更新する形状データ更新工程とを有する数値解析モデル作成方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記構造物の前記実測変位データを実測する部位が、前記構造物の接合部である数値解析モデル作成方法が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、構造物の数値解析モデルを作成するための数値解析モデル作成装置であって、要素分割された形状データおよび材料データを表した数値解析モデルを入力する形状データ入力手段と、前記構造物の一部のそり変形による変位量を実測し該実測値を入力する実測変位データ入力手段と、前記変位量を実測した前記構造物上の位置に対応する前記数値解析モデル上の節点に前記変位量を強制変位として数値解析モデルに与える強制変位設定手段と、前記数値解析モデル上で前記強制変位を設定した部位の剛性を他の部分よりも相対的に高く設定する剛性変更手段と、前記数値解析によって前記構造物の変形を解析する変形解析手段と、該変形解析で得られた結果から前記数値解析モデルの形状データを更新する形状データ更新手段とを有する数値解析モデル作成装置が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、上記の数値解析モデル作成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
以下に用語を定義する。
本発明において「そり変形」とは、成形収縮歪みの分布、材料特性の異方性、残留応力の分布により生じる変形をいう。例えば、射出成形後の変形、プレス加工後の変形などが挙げられる。
本発明において「そり変形による変位量」とは、製品上の任意の位置に座標原点を設けて、そり変形した製品各部の実際の座標から、そり変形の無い設計時点の製品各部の座標を減算したものをいう。原点の座標は、実製品と設計時点の製品で同一位置、方向とする。
本発明において「強制変位」とは、解析モデルにおける指定した節点を指定した方向、量に強制的に変位させるような数値解析上の境界条件設定をいう。
本発明によれば、部材Aと部材Bとを接合によって加工する構造物の接合状態を数値解析する場合において、接合する直前の変形した製品形状を、低コストで精度良くモデル化することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の数値解析方法および解析装置の実施の形態について説明する。
図5は本発明の実施形態の一例の構成を示すブロック図である。本実施形態例において、図5に示すとおり、(500)はコンピュータやワークステーションなどの計算機、(501)はキーボード、(502)はマウス、(503)はディスプレイ、(504)は補助記憶装置である。(504)の補助記憶装置には、ハードディスク装置の他、テープ、FD(フレキシブルディスク)、MO(光磁気ディスク)、PD(相変化光ディスク)、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)などのディスクメモリー、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)メモリー、メモリーカードなどのリムーバブルメディアも利用可能である。
補助記憶装置504には、強度、剛性などを解析するためのプログラム505や形状データ506、縦弾性係数、ポアソン比、密度などの材料データ507、拘束する節点番号、拘束する方向などの拘束条件データ508が保存されている。
コンピュータやワークステーションなどの計算機500は、補助記憶装置504からプログラム505、形状データ506、材料データ507、拘束条件データ508などを読み出すことができるデータ読み出し手段509、部材の一部のそり変形による変位量の実測値を入力するための実測変位データ入力手段511、前記実測変位データを数値解析モデルに与える強制変位量に変換するための強制変位設定手段512、前記実測変位データを与える部位の剛性を他の部分よりも相対的に高くする剛性変更手段513、力のつりあいを計算する変形解析手段514、変形解析結果から数値解析モデルの形状データを更新する形状データ更新手段515で構成されている。
これら各手段は、計算機500の主記憶装置などの記憶手段に記憶されたプログラムのサブルーチンなどのモジュールとして実施されており、同様にこれらの手段が取り扱うデータは、記憶手段に揮発的または不揮発的に記憶される。
形状データ506は、ユージーエス コーポレーション製“I−DEAS(登録商標)”のUNV形式など汎用の構造解析プリプロセッサーにより作成できるものであり、シェル要素、ソリッド要素などで表現する。もちろん、モデルデータを保存するファイルのフォーマットは節点、要素、要素プロパティ、材料プロパティなどが記述されるデータであれば、形状データ506の形式は限定しない。
図6は本実施形態における実施の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図6を用いて説明する。
まず、形状データ入力工程について説明する。
形状データ入力工程601では、製品図面やCADデータを基に、汎用のプリプロセッサーなどを用いてシェル要素やソリッド要素で作成した構造物の数値解析モデルを補助記憶装置に保存する。図9は、部材Bをシェル要素でモデル化した例である。901は四角形シェル要素の一例、902は節点の一例である。
次に、実測変位データ入力工程602について説明する。
まず、実測変位データについて説明する。
図7は部材A(701)および部材B(702)のCADデータの一例を示す概略図である。現実の構造物としての部材A(701)と部材B(702)は、射出成形で製造され、接合面703と704で振動溶着などの二次加工で接合される。部材A(701)と部材B(702)は射出成形で製造されるため、成形収縮率の分布や流動方向による材料異方性によって、そり変形が発生する。
次に、実測変位データの測定方法について説明する。図8は、図7で示した部材A(701)および部材B(702)を実際に射出成形で製造した際にそり変形した様子を模式的に表した図である。図8に示した矢印805の先の測定点(図8には測定点は図示せず。)は、部材B(802)の接合面804の高さデータを実測した点を模式的に示したものである。前記高さデータは部材B(802)を適当な治具で固定し、矢印で示した先の測定点の高さデータを三次元測定器などの計測器を用いて測定する。ここで、実測変位データを測定する点は、部材B(802)の各部の中で変形が製品性能に大きく影響すると考えられる接合面などをそり変形モードを表現するのに十分な間隔で測定するようにユーザが指定する。また、高さデータを測定する方向は、部材B(802)の固定方向を変えて三軸方向全てについて測定することが望ましい。しかし、振動溶着などの二次加工で接合される際に発生する残留応力などを解析する場合は、接合面に垂直な方向(例えば、図8では矢印805の方向)のみでも実用上は十分な精度が得られることが多い。次いで、測定した前記高さデータから製品図面や図7で示したCADデータに示されている設計寸法を差し引くことにより、実測変位データを算出する。
次いで、別の目的で測定された変位データを本実施形態に流用できる場合について説明する。振動溶着構造を有する成形品の実際の製品開発においては、成形トライなどと称して、開発段階で成形条件、ゲート位置などを変えて製作した試作品に対して、接合面の高さデータを三次元測定器などの計測器を用いて測定して接合面のそり変形を評価し、ゲート位置、成形条件の最適化などを行うことが普通である。したがって、実測変位データは、通常の製品開発の過程で取得されたものを流用できることが多いため、測定するための時間を別途設ける必要が無く、データを有効に活用することができる。
次に、実測変位データの入力方法について説明する。実測変位データ入力工程602では、実測変位データの大きさ、方向、測定した位置を入力する。実測変位データの大きさ、方向、測定した位置は数値解析モデルを定義した座標系に合うように座標変換し、実測変位データの位置に最も近い数値解析モデル上の節点番号と自動または手動で対応づけて補助記憶装置に保存する。
次に、強制変位設定工程603について説明する。強制変位設定工程603では、実測変位データ入力工程602で入力された実測変位データと節点番号の対応に基づいて、実測変位データを数値解析モデルの対応する節点に強制変位量として設定する。強制変位の大きさは実測変位データの大きさとし、強制変位の方向は実測変位データを測定した方向とする。
次に、拘束条件入力工程604について説明する。運動学的な拘束が不十分な場合には、空間内での製品の位置が定まらないため、人工的な減衰を付与するなどの特別な処置をしない限り、数値解析で解を得ることができない。拘束条件入力工程604では、強制変位設定工程603で拘束されていない方向について、強制変位による製品の変形を妨げないように、製品の数値解析モデルを拘束する。
次に、剛性変更工程605について説明する。図10は要素分割した部材Bを示す図であり、図11は要素分割した部材Bの接合部近傍を拡大して表示した図である。剛性変更工程605では、強制変位設定工程603で強制変位を設定した節点(矢印1103の先の節点)が含まれる要素の弾性率を相対的に高くする。弾性率を相対的に高くする要素は、接合面に平行かつ最も近い要素は少なくとも連続的に剛性を高めるのが好ましい。接合面に対して、前記要素の次に平行かつ連続的な要素を2層目、その次に平行かつ連続的な要素を3層目というように定義するとすれば、剛性を高める層をある程度まで多くすればするほど、数値解析モデルの接合部のそり変形が現実の構造物のそり変形に近づくようになる。しかし、剛性を高める層を多くし過ぎると接合部以外の部分のそり変形が現実の構造物のそり変形とかけ離れたものになるため、剛性を高める層数は1〜5層程度が望ましい。例えば、図10に示す部材B(802)では、ハッチングで示した接合部1001の弾性率を接合部以外の部分よりも高くなるように設定する。
剛性変更工程において、変更する弾性率の大きさを決定する方法について説明する。剛性変更工程605における弾性率の設定は隣り合う実測変位データのピッチ、製品の形状、使用されている材料によって都度調整が必要であるため、一律何倍にすればよいとは決められないことが少なくない。例えば、部材B(802)の接合部1001の弾性率設定手順は次の通りである。(1)弾性率を段階的に大きくした複数の部材B(802)の数値解析モデル(例えば、弾性率10倍、100倍、1000倍など)について変形解析工程606までを実施する。(2)接合部1001の長手方向位置を横軸に、数値解析結果の変位量分布を縦軸にとったグラフを作成する。(3)設定した弾性率が大きくなるほど、隣り合う節点間の傾きが徐々に滑らかに変化していくので、隣り合う節点間の傾きが十分滑らかになるような弾性率を選ぶ。
次に、剛性変更工程605で剛性変更した場合の効果を図11から図13を用いて説明する。図11は要素分割された部材B(802)の接合部近傍を示す概念図である。ハッチングで示した接合部1001は剛性変更工程605において弾性率を変更した部分を示す。節点1101は強制変位入力工程603で実測変位データを強制変位として与えた節点、1102は実測変位データを強制変位として与えていない節点を示す。矢印1103は、強制変位設定工程603において、実測変位データに基づいて設定した強制変位の向きを示す。図11に対して、剛性変更工程605において前記接合部1001の弾性率を変更せずに(接合部以外の部分と同じ大きさの弾性率を設定して)、力のつりあい計算に基づいて各節点の変位量を計算した結果を図12に示す。弾性率を変化させなかった場合は、図12に示すように、矢印1103の先に示す強制変位を与えた節点の近傍が局所的に大きく変形する。しかし、実際の製品では、接合部1001の長手方向に対して滑らかにそり変形していると考えられるため、図12に示した数値解析結果は実際の現象を再現できていない。図13は、剛性変更工程605において、ハッチングされた接合部1001の弾性率を他の部分の100倍に設定し、力のつりあい計算に基づいて各節点の変位量を計算した結果を示した図である。ハッチングされた接合部1001の弾性率を相対的に高く設定することにより、数値解析モデルの中で帯状のハッチング部1001以外の剛性が相対的に極端に小さくなるため、数値解析モデル全体の変形において、帯状のハッチング部の変形のみが支配的となる(数値解析モデルから帯状のハッチング部1001のみを取り出して強制変位を与えて力のつりあい計算を行った場合の変形に近くなる)。したがって、ハッチングされた接合部1001の弾性率を相対的に高く設定することにより、図12の矢印1103の先に示したような局所的な変形が小さくなる。このように、剛性変更工程605で接合部1001の剛性を高めることによって、数値解析モデル上で、現実の構造物と同様のそり変形をモデル化することができるようになるのである。
次に、背景技術で述べた形状について本実施形態を適用した場合、すなわち、図4aに示すようなリブがT字状に交わる部分に、前記剛性変更を適用した場合について説明する。図4aは、リブがT字状に交わる部分を示した模式図である。黒色の丸印401は三次元形状計測で座標測定をした点を示す。図4bにおいて、実線405は本実施形態で開示した剛性変更を適用せずにベジエ(Bezier)式やB−スプライン(B−Spline)式を用いて実測変位データから近似した曲線、破線406は実際の変形状態を表す曲線である。図4bにおいて、実測変位データが黒丸401のみの場合に、本実施形態で開示した剛性変更を適用しない場合は、T字交点から最も近い実測変位データまでの距離が大きいと、変形後の形状(曲率、変曲点など)を表現するために必要な実測変位データ数が不足しているために、実線405のようにリブ交差部の変形が正確に表現できなかった。したがって、リブ交差部の変形を精度良く表現するためには、図4aの斜線丸印402のように、交差部近傍の実測変位データを十分細かいピッチで測定しておく必要があった。一方、本実施形態で開示した剛性変更工程を用いて、図4bの接合部近傍の剛性を相対的に高くすれば、黒丸401で示した実測変位データのみを用いて、実際の変形状態である点線406を表現することができる。したがって、本発明によれば、ベジエ(Bezier)式やB−スプライン(B−Spline)式を用いて実測変位データから曲線を近似する方法よりも少ない実測変位データで実際の変形状態を精度良く再現することができる。
次に、変形解析工程606について説明する。変形解析工程606では、前記拘束条件、強制変位条件を設定した数値解析モデルにおいて、有限要素法などを用いて数値解析モデルの力のつりあいを計算し、各節点の変位量を求める。
次に、形状データ更新工程607について説明する。形状データ更新工程607では、変形解析工程606で求めた数値解析結果の変位量分布を用いて、変形前の形状データを変形後の形状データに更新する。各節点において、変形前の節点座標に変形解析工程606で求めた数値解析結果の変位ベクトルを加算したものを新しい節点座標として補助記憶装置に保存することにより、形状データを更新する。
本発明は、振動溶着構造を持つ製品に限らず、ボルト締結部材や接着構造などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
溶着前のリブ構造を説明する斜視図 部材A、Bを付き合わせた状態を説明する斜視図 溶着接合した状態を説明する斜視図 溶着前のリブ構造を説明する斜視図 溶着リブの長手方向で接合部の隙間が不均一な状態を説明する斜視図 溶着前のリブ構造を説明する斜視図 溶着リブの短手方向で溶着リブがオフセットされたまま溶着接合される状態を説明する図 リブがT字状に交わる部分を示した模式図 実測変位データから実製品の変形状態を推定した曲線を説明する図 ブロック図 フローチャート CADデータの一例を示す概略図 実製品のそり変形状態を示す概略図 メッシュ分割の一例を示す図 剛性を変更する部位の一例を示す図 接合部近傍のメッシュ分割を示す図 接合部の剛性を変更せずに、実測変位データを強制変位として与えた場合の接合部近傍の変形状態を説明する模式図 接合部の剛性を高めて、実測変位データを強制変位として与えた場合の接合部近傍の変形状態を説明する模式図
符号の説明
101 部材Aの接合部
102 部材Bの接合部
103 部材Aの溶着面
104 部材Bの溶着面
105 接合時の加圧力
106 部材Aのフランジ
107 部材Bのフランジ
201 短手方向
202 長手方向
301 短手方向のオフセット量
401 実測変位データ
402 T字部の変形予測精度を向上させるための追加実測変位データ
403 リブの一方向
404 403と交わるリブの方向
405 実測データ401のみを使用して予測した変形状態
406 実製品の変形状態
500 計算機
501 キーボード
502 マウス
503 ディスプレイ
504 補助記憶装置
505 プログラム
506 形状データ
507 材料データ
508 拘束条件データ
509 データ読み出し手段
510 出力手段
511 実測変位データ入力手段
512 強制変位設定手段
513 剛性変更手段
514 変形解析手段
515 形状データ更新手段
601 形状データ入力工程
602 実測変位データ入力工程
603 強制変位量設定工程
604 拘束条件入力工程
605 剛性変更工程
606 変形解析工程
607 形状データ更新工程
701 部材AのCADデータ
702 部材BのCADデータ
703 部材AのCADデータの接合部
704 部材BのCADデータの接合部
801 部材Aの実製品の変形状態
802 部材Bの実製品の変形状態
803 部材Aの実製品の接合部変形状態
804 部材Bの実製品の接合部変形状態
805 実測変位データを測定した点を指す矢印
901 要素
902 節点
1001 接合部
1101 実測変位データが存在する節点
1102 実測変位データが存在しない節点

Claims (5)

  1. 構造物の数値解析モデルを作成するための数値解析モデル作成方法であって、要素分割された形状データおよび材料データを表した数値解析モデルを入力する形状データ入力工程と、前記構造物の一部のそり変形による変位量を実測し該実測値を入力する実測変位データ入力工程と、前記変位量を実測した前記構造物上の位置に対応する前記数値解析モデル上の節点に前記変位量を強制変位として数値解析モデルに与える強制変位設定工程と、前記数値解析モデル上で前記強制変位を設定した部位の剛性を他の部分よりも相対的に高く設定する剛性変更工程と、前記数値解析によって前記構造物の変形を解析する変形解析工程と、該変形解析工程で得られた結果から前記数値解析モデルの形状データを更新する形状データ更新工程とを有することを特徴とする数値解析モデル作成方法。
  2. 前記構造物の前記実測変位データを実測する部位が、前記構造物の接合部であることを特徴とする請求項1または2に記載の数値解析モデル作成方法。
  3. 構造物の数値解析モデルを作成するための数値解析モデル作成装置であって、要素分割された形状データおよび材料データを表した数値解析モデルを入力する形状データ入力手段と、前記構造物の一部のそり変形による変位量を実測し該実測値を入力する実測変位データ入力手段と、前記変位量を実測した前記構造物上の位置に対応する前記数値解析モデル上の節点に前記変位量を強制変位として数値解析モデルに与える強制変位設定手段と、前記数値解析モデル上で前記強制変位を設定した部位の剛性を他の部分よりも相対的に高く設定する剛性変更手段と、前記数値解析によって前記構造物の変形を解析する変形解析手段と、該変形解析で得られた結果から前記数値解析モデルの形状データを更新する形状データ更新手段とを有することを特徴とする数値解析モデル作成装置。
  4. 請求項1または2に記載の数値解析モデル作成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  5. 請求項4に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010055517A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Sumitomo Heavy Ind Ltd 構造解析装置及び構造解析方法
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