JP2011014060A - 数値解析方法および数値解析装置 - Google Patents

数値解析方法および数値解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】構造物の振動特性予測の数値解析モデルの精度向上数値解析方法の提供。
【解決手段】シェル要素で分割された構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しシェル要素モデルを作成するシェル要素モデル作成501と、ソリッド要素で分割された構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しソリッド要素モデルを作成するソリッド要素モデル作成503と、数値解析によってシェル要素モデルとソリッド要素モデルの固有振動数および固有振動モードを解析する固有値解析502、504と、固有値解析で得られた結果からシェル要素モデルとソリッド要素モデルの固有振動数および/または固有振動モードの相関を解析する第1の相関解析505と、第1の相関解析工程で得られた結果からシェル要素モデルの形状データを変更する形状データ変更507とを有する数値解析方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、数値解析方法および数値解析装置に関する。
構造物の高性能化、高効率化、コスト低下のために、例えばエンジンカバーなどの構造物の軽量化が進められている。しかし、軽量化することによって、構造物が実際に使用される周波数範囲において従来発生していなかった振動が発生し、さらには騒音が大きくなる場合があるので、開発・設計段階において固有振動数(共振周波数)、振動加速度、固有振動モードなどの構造物の振動特性を予測または把握しておき、必要な場合は構造物の形状、材料などを変更して固有振動数を実際に使用される周波数範囲外に移動させて、使用時に共振しないようにするなどの対策を行う必要がある。
構造物の振動特性を予測または把握するためには、(1)有限要素法を代表とする数値解析手法を用いて予測する方法、(2)構造物の試作を行い、実験モーダル解析手法を用いて把握する方法の2通りの方法がよく用いられる。
まず、数値解析手法を用いて構造物の振動特性を予測する方法について以下に説明する。
図6は数値解析手法を用いて構造物の振動特性を予測する手順を示したフローチャートである。なお、以下の説明では、設計の対象となる「構造物」に対して、設計の対象外であるが、構造物を設計する上で制約条件となりうるものを「周辺部品」と呼ぶこととする。
一次設計工程100では、材料力学の知識や過去の知見などを用いて、周辺部品の取り付け位置やスペースの制約の下で、構造物を設計する。次いで、数値解析モデル作成工程101では、シェル要素やソリッド要素などの有限要素に分割された構造物の形状データ、弾性率、ポアソン比、密度などの材料データ、加振力、加振位置、固定位置などの境界条件データをコンピュータの補助記憶装置に入力する。射出成形品など、構造物の代表的な寸法よりも板厚が十分小さい板状構造物の場合は、有限要素としてシェル要素を使用することが多い。固有値解析工程102では、エムエスシーソフトウエア コーポレーション製“MSC NASTRAN”などの市販の振動解析用ソフトウエアを用いて、構造物の固有振動数、固有振動モードなどの振動特性を解析する。さらに、周波数応答解析工程103では、上述した市販の振動解析用ソフトウエアを用いて、所定の評価位置の振動加速度や発生応力などを解析する。続いて、スペック比較工程104において、周波数応答解析工程103で解析した振動加速度や発生応力を、構造物のスペックと比較し、スペックを満足していれば設計FIX(105)となる。また、スペックを満足していなければ、設計変更工程106で構造物の形状などを変更し、数値解析モデル変更工程107で設計変更工程106での変更に基づいて構造物の形状データなどを変更し、再度固有値解析工程102、周波数応答解析工程103で所定の評価位置の振動加速度や発生応力などを解析し、スペック比較工程104で構造物のスペックと比較する。ここでは、スペック比較工程104において、構造物のスペックを満足するまで、設計変更工程106、数値解析モデル変更工程107、固有値解析工程102、周波数応答解析工程103を繰り返す。
このように、数値解析手法を用いて構造物の振動特性を予測する方法は、構造物を実際に試作することなく、構造物の振動特性をコンピュータ上で予測することが可能であり、構造物に設計変更があった場合でもその影響を短期間で確認できるなどの長所がある。しかし、そり変形や加工誤差などによって生じる図面と実際の構造物との形状誤差、実際に製造されて周辺の構造物に組み付けられた時のアセンブリとしての減衰や、ボルト結合などで組み付けられたときの結合部分の剛性などを、構造物の図面情報だけからでは、完全に予測することが困難であることが多いことや、数値解析モデル作成時に簡略化した微小なフィレットや穴などの影響により、振動特性の予測精度が十分でない場合があることが短所である。
一方、実際に構造物の試作を行い、実験モーダル解析手法を用いて構造物の振動特性を把握する方法について、以下に説明する。
図7は、実際に構造物の試作を行い、実験モーダル解析手法を用いて、構造物の振動特性を把握する手順を示したフローチャートである。
一次設計工程200では、材料力学の知識や過去の知見などを用いて、周辺部品の取り付け位置やスペースの制約の下で、構造物を設計する。次いで、試作工程201で実際に構造物を試作する。伝達関数測定工程202では、インパクトハンマや加振器で試作品の所定の位置を加振し、試作品上の複数の位置の応答を加速度ピックアップなどで測定することにより、加振点と応答点の間の周波数伝達関数を求める。また、マックスウエルの相反定理により、加振点と応答点を入れ替えても周波数応答関数は変わらないので、応答点を固定し、加振点を移動させる方法を採る場合もある。モーダルパラメータ同定工程203では、伝達関数測定工程202で求めた複数の伝達関数からポリリファレンス法などの手法を用いてモーダルパラメータを抽出することにより、固有振動数、モード毎の減衰係数、固有振動モードなどの振動特性を把握することができる。また、実際の構造物設計では、スペック比較工程204で、同定した固有振動数などを構造物のスペックと比較し、スペックを満足していれば設計FIX(205)とする。また、スペック比較工程204で、構造物のスペックを満足していなければ、設計変更工程206で構造物の形状を変更し、再度、試作工程201で試作を行い、同様に、伝達関数測定工程202、モーダルパラメータ同定工程203で、固有振動数などを抽出する。ここでは、スペック比較工程204において、構造物のスペックを満足するまで、設計変更工程206、試作工程201、伝達関数測定工程202、モーダルパラメータ同定工程203を繰り返す。
このように、実際に構造物の試作を行い、実験モーダル解析手法を用いて構造物の振動特性を把握する方法は、試作品を用いているため、そり変形や加工誤差などの図面と実際の構造物との形状誤差、実際に製造されて周辺の構造物に組み付けられた時のアセンブリとしての減衰や、ボルト結合などで組み付けられたときの結合部分の剛性などが結果に反映されており、振動特性の予測精度が高いことが長所である。しかし、実際に試作を行う必要があること、設計変更があった場合には再度試作を行う必要があるため、数値解析手法に比べて時間と費用が必要になることが短所である。
したがって、振動特性を把握するための、(1)有限要素法を代表とする数値解析手法を用いて構造物の振動特性を予測する方法、(2)実際に構造物の試作を行い、実験モーダル解析手法を用いて構造物の振動特性を把握する方法のいずれにおいても無視し難い短所が存在するため、構造物の振動特性を高精度に予測・把握したいときには、非特許文献1に示すように、両者を組み合わせて使用されることが一般的である。
図8は、構造物の振動特性を高精度に予測・把握する手順を示すフローチャートである。以下、実際の開発・設計で行われている高精度な振動解析手法を図8を用いて説明する。
まず、高精度振動解析用数値解析モデル作成工程350について説明する。
一次設計工程300では、過去の知見などに基づいて、周辺のスペースなどの制約のもとに構造物の一次案を設計する。数値解析モデル作成工程301では、一次設計工程300で作成された構造物の図面やCADデータを基に、汎用のプリプロセッサーなどを用いてシェル要素やソリッド要素で要素分割した構造物の形状データ、弾性率、ポアソン比、密度などの材料データ、固定位置などの境界条件データを補助記憶装置に保存する。固有値解析工程302では、数値解析モデル作成工程301で入力された形状データ、材料データ、境界条件データを、市販の振動解析用ソフトウエアに入力し、固有振動数、固有振動モードなどを求める。
一方、試作工程303では、一次設計工程300で作成された構造物の図面やCADデータに基づき、構造物の試作を行う。伝達関数測定工程304では、試作品を糸、ゴムなどで吊るし、試作品の所定の位置をインパクトハンマや加振器で加振し、試作品上の複数の位置の応答を加速度ピックアップなどで測定する。加振力と応答加速度の時間波形をそれぞれFFTで周波数波形に変換し、応答周波数波形を加振力周波数波形で割ることで、周波数伝達関数を求める。モーダルパラメータ同定工程305では、固有振動数、減衰比をパラメータとして、測定した複数の伝達関数に最も適合するような曲線を算出する。マヤ ヒート トランスファー テクノロジー社製“Test for I−deas”などの市販の実験モーダル解析用ソフトウエアには、モーダルパラメータを自動的に同定する機能が備わっている。
相関解析工程306では、固有値解析工程302で求めた数値解析モデルの固有振動数、固有振動モードと、モーダルパラメータ同定工程305で同定した試作品の固有振動数、固有振動モードの相関を解析する。数値解析モデルにおいて、固有振動数、固有振動モード、減衰率が精度良く解析できていれば、構造物の動的な特性を精度良く予測できる。構造物単体においては、減衰率は材料固有の値である材料減衰を用いれば問題ないことが多いので、数値解析モデルと試作品の固有振動数、固有振動モードの相関が高ければ、振動解析用の数値解析モデルは実際の試作品の動的な特性を精度良く表現できていると考えられる。まず、市販の実験モーダル解析ソフトウエアを用いて、数値解析モデルの固有振動モードと、試作品の固有振動モードのMAC値を解析し、数値解析モデルのどのモードと試作品のどのモードの相関が高いか、を定量的に求める。次に、相関解析工程306で算出したMAC値および/または対応するモードの固有振動数の差を所定の判定基準と比較し、判定基準以下の場合は、数値解析モデル変更工程308で数値解析モデルの形状データや材料データを変更し、再度固有値解析工程302で固有値解析を実行し、実験結果との相関を相関解析工程306で解析する。相関判定基準比較工程307において、数値解析モデルと試作品の相関が所定の値以上になるまで、数値解析モデル変更工程308および固有値解析工程302、相関解析工程306を繰り返す。
本発明者らの知見によると、相関解析工程306で、数値解析モデルと試作品の実験結果の固有振動モードの相関を解析したときに、両者の相関が悪かった場合には、以下のような要因が考えられる。
(a)数値解析モデルの形状と実際の構造物の形状が異なる。
(b)数値解析モデルの材料物性と実際の構造物の材料物性が異なる。
(c)構造物とその周辺部品との境界部分のモデル化が妥当ではない。
特に、数値解析モデルとしてシェル要素モデルを使用した場合、モデル作成者の判断により形状の単純化などを行うため、(a)の形状再現性が問題となることがある。また、(b)の材料物性については、樹脂やゴムなどのように、温度や吸水の依存性が高い材料では、相関を悪くする原因となることがある。(c)の境界部分は、ビーム要素や剛体要素で構造物同士を結合することが多いが、結合する範囲や剛性をどのようにするかは、構造物の図面情報だけからは同定することが困難であるので、実験結果を用いて同定することが一般的である。
相関判定基準比較工程307で所定の判定基準を満足したら、構造物単体の振動特性を高精度に予測することができる数値解析モデルが完成したことになる。
また、試験機や実機に取り付けた状態での振動特性を評価する場合には、構造物単体の振動特性を高精度に予測することができる数値解析モデルが完成した後に、構造物と試験機または実機との結合部分、周辺部品などを追加した数値解析モデルを入力し、試験機または実機に取り付けた状態で実施した実験モーダル解析結果との相関を同様の方法で解析する。
次に、デザインスタディ工程360について説明する。高精度振動解析用数値解析モデル作成工程350で振動特性を高精度に予測することができる数値解析モデルが完成したら、周波数応答解析工程309で、加振条件、応答評価点、解析する周波数範囲などを市販の振動解析用ソフトウエアに入力し、評価点の応答加速度、発生応力などを解析する。次に、周波数応答解析工程309で解析した評価点の応答加速度、発生応力などを、スペック比較工程310で、過去の知見、材料強度などから決定した構造物のスペックと比較し、スペックを満足していなければ、設計変更工程311で構造物の図面形状を変更し、数値解析モデル変更工程312でその設計変更を反映した数値解析モデルを入力し、周波数応答解析工程309を実行し、スペック比較工程310で、構造物のスペックと比較する。以下、構造物のスペックを満足するまで、設計変更工程311、数値解析モデル変更工程312、周波数応答解析工程309、構造物スペックとの比較工程310の工程を繰り返す。
しかし、本発明者らの知見によると、このような従来手法には、相関解析工程306において、数値解析モデルの固有振動モードと、試作品の実験モーダル解析で求めた固有振動モードの相関が判定基準以下であった場合、数値解析モデル変更工程308において、構造物の形状データを変更すべきなのか、構造物の材料データを変更すべきなのか、もしくは構造物の形状データと材料データの両方を変更すべきなのかが判断できないという問題点がある。特に、構造物の形状が複雑である場合には判断が難しい。
このような問題点から、実際の設計の現場では、数値解析モデルの形状データは一切変更せず、材料データのみを変更し、数値解析モデルの固有振動モードを試作品の実験モーダル解析で求めた固有振動モードに近づける方法がとられることがある。しかし、数値解析モデルの形状データが試作品の形状を精度良く再現できている場合には良いが、数値解析モデルと試作品の固有振動モードの相関が不十分な原因が数値解析モデルの形状データにある場合には、特定の固有振動数における固有振動モードの相関は向上するが、他の固有振動数における固有振動モードでは逆に相関が悪化することがあり、結果として数値解析モデルの精度を向上することができない場合があった。
大久保信行著、「機械のモーダル・アナリシス」、中央大学出版部、1982年5月、p.158−164
本発明の目的は、構造物の振動特性を予測するための数値解析モデルの精度を効率的に向上させることができる構造物の数値解析モデルを作成するための数値解析方法および数値解析装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
本発明によれば、構造物の数値解析モデルを作成するための数値解析方法であって、シェル要素で要素分割された前記構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しシェル要素モデルを作成するシェル要素モデル作成工程と、ソリッド要素で要素分割された前記構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しソリッド要素モデルを作成するソリッド要素モデル作成工程と、数値解析によって前記シェル要素モデルと前記ソリッド要素モデルの固有振動数および固有振動モードを解析する固有値解析工程と、該固有値解析工程で得られた結果から前記シェル要素モデルと前記ソリッド要素モデルの固有振動数および/または固有振動モードの相関を解析する第1の相関解析工程と、該第1の相関解析工程で得られた結果から前記シェル要素モデルの形状データを変更する形状データ変更工程とを有する数値解析方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記形状データ変更工程の後に、該形状データ変更工程で形状再現性を改良したシェル要素モデルと実験モーダル解析結果との固有振動数および/または固有振動モードの相関を解析する第2の相関解析工程と、該第2の相関解析工程で得られた結果から前記形状再現性を改良したシェル要素モデルの材料データを変更する材料データ変更工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の数値解析方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の相関解析工程において、シェル要素で要素分割された前記構造物の形状データをパラメータとして、固有振動数および/または固有振動モードの相関が所定の値以上になるまで、前記相関解析工程と前記形状データ変更工程を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の数値解析方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第2の相関解析工程において、シェル要素で要素分割された前記構造物の材料データをパラメータとして、固有振動数および/または固有振動モードの相関が所定の値以上になるまで、前記相関解析工程と前記材料データ変更工程を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の数値解析方法が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、構造物の数値解析モデルを作成するための数値解析装置であって、シェル要素で要素分割された前記構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しシェル要素モデルを作成するシェル要素モデル作成手段と、ソリッド要素で要素分割された前記構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しソリッド要素モデルを作成するソリッド要素モデル作成手段と、数値解析によって前記シェル要素モデルと前記ソリッド要素モデルの固有振動数および固有振動モードを解析する固有値解析手段と、該固有値解析工程で得られた結果から前記シェル要素モデルと前記ソリッド要素モデルの固有振動数および/または固有振動モードの相関を解析する第1の相関解析手段と、該第1の相関解析工程で得られた結果から前記シェル要素モデルの形状データを変更するシェル要素モデル変更手段とを有することを特徴とする数値解析装置が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、前記数値解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
また、本発明の別の形態によれば、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
本発明において、構造物とは、単一または複数の部材を組み合わせて形成された物体のことをいう。射出成形によって製造された樹脂成形品、切削などの機械加工によって製造された金属部品、鋳造によって製造された鋳造品などが該当する。
本発明において、数値解析モデルとは、振動解析や構造解析などの数値解析をコンピュータに実行させるために必要なデータ一式のことをいう。構造物を有限要素などで近似的に分割した形状データ、弾性率などの材料データ、荷重の大きさや固定位置などの境界条件データ、振動解析を行う周波数範囲などの解析条件データなどが該当する。
本発明において、形状データとは、構造物を複数の多角形または/および多面体(有限要素)で分割(離散化)したときの形状データをいう。有限要素には、四角形シェル要素や六面体ソリッド要素などがあり、要素の頂点(節点)の番号、座標値、各要素の番号、構成する節点番号、各要素の板厚、材料などで構成される。
本発明において、材料データとは、目的とする解析をコンピュータに実行させるために必要な物性値のことをいう。弾性率、ポアソン比、密度などが該当する。
本発明において、境界条件データとは、目的とする解析をコンピュータに実行させるために必要な荷重条件、固定条件のことをいう。構造物に与える荷重の大きさ、位置、範囲、固定する位置、範囲、周辺部品と接触が予想される範囲、摩擦係数などが該当する。
本発明において、シェル要素とは、自動車や航空機のように曲面の外板で構成するシェル構造物を有限要素モデリングするのに適した要素であり、面方向に節点が分布するものをいう。4節点からなる四角形、3節点からなる三角形を用いることが多い。1節点につき、3方向の並行変位と3軸回りの回転変位の合計6個の変位成分を持つ。
本発明において、ソリッド要素とは、肉厚が大きい構造物を有限要素でモデリングするのに適した要素であり、10節点からなる四面体(2次テトラ要素)を用いることが多い。3D−CADデータから、汎用のプリプロセッサーを用いて、自動的に生成することが可能である。1節点につき、3方向の並行変位の変位成分のみを有し、回転方向の変位成分は持たない。
本発明において、振動特性とは、構造物の持つ動的な特性をいう。構造物の固有振動数(共振周波数)、固有振動モード、周波数応答、周波数伝達関数などが該当する。
本発明において、実験モーダル解析とは、実際の構造物の伝達関数をハンマ加振試験法などによって測定し、測定した複数の伝達関数から固有振動数、減衰比などのモーダルパラメータを同定し、固有振動モードを解析する手法をいう。
本発明において、MAC(Modal Assurance Criterion)値とは、2つのモードベクトルの平行度を表すパラメータのことをいう。0から1の間で値を持ち、1に近いほど2つのモードベクトルが並行、すなわちモードシェイプの相関が高いことを表し、0に近いほど2つのモードベクトルが直交、すなわちモードシェイプの相関が低いことを表す。
本発明によれば、構造物の振動特性を予測するための数値解析モデルの精度を効率的に向上させることが可能となる。
本発明の実施形態の一例の構成を示すブロック図である。 本実施形態における実施の手順を示すフローチャートである。 シェル要素モデルとソリッド要素モデルの長所、短所を比較した図である。 ソリッド要素モデルとシェル要素モデルで要素分割した形状データの一断面を表した模式図であり、図4(A)は、要素分割する前の構造物の断面形状を表す模式図であり、図4(B)は、ソリッド要素で要素分割した形状データの一断面を表した模式図であり、図4(C)は、シェル要素で構造物の中立面上に要素分割した形状データの一断面を表した模式図である。 シェル要素モデルとソリッド要素モデルの相関解析結果の一例を示す表であり、図5(A)は、固有振動モードの相関が理想的に完全にとれている場合を示した図であり、図5(B)は、実際の構造物における固有振動モードの相関をとった場合を示した図である。 従来の、構造物の振動特性を予測するための数値解析手法を示したフローチャートである。 従来の、構造物の振動特性を把握するための実験モーダル解析手法を示したフローチャートである。 従来の、構造物の振動特性を高精度に予測するための数値解析方法を示したフローチャートである。 実施例1、比較例1で数値解析、または実測した形状を表した斜視図である。 実施例1、比較例1で解析した数値解析モデルを表す斜視図である。 実施例1、比較例1で数値解析、または実測したケースを説明する図である。 実施例1、比較例1で数値解析、または実測した図11に示す各ケースの固有振動数を表す図である。 実施例1、比較例1で数値解析、または実測した図11に示す各ケース間のMAC値を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の数値解析方法および数値解析装置の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施形態の一例の構成を示すブロック図である。本実施形態において、図1に示すとおり、(400)はコンピュータやワークステーションなどの計算機、(401)はキーボード、(402)はマウス、(403)はディスプレイ、(404)は補助記憶装置である。(404)の補助記憶装置には、ハードディスク装置の他、テープ、FD(フレキシブルディスク)、MO(光磁気ディスク)、PD(相変化光ディスク)、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)などのディスクメモリー、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)メモリー、メモリーカードなどのリムーバブルメディアも利用可能である。
補助記憶装置404には、構造物の振動特性などを解析するためのプログラム405や形状データ406、弾性係数、ポアソン比、密度などの材料データ407、拘束する節点番号、拘束する方向などの拘束条件や、加振力の位置、大きさ、方向などの荷重条件の境界条件データ408が保存されている。
コンピュータやワークステーションなどの計算機400は、補助記憶装置404からプログラム405、形状データ406、材料データ407、境界条件データ408などを読み出すことができるデータ読み出し手段410を具備している。また、固有値解析手段412、周波数応答解析手段413、相関解析手段414、出力手段411、相関解析結果を所定の相関判定基準と比較する相関基準比較手段415、周波数応答解析により求まった評価点の振動加速度や発生応力などを構造物のスペックと比較するスペック比較手段416で構成されている。これら各手段は、計算機400の主記憶装置などの記憶手段に記憶されたプログラムのサブルーチンなどのモジュールとして実施されており、同様にこれらの手段が取り扱うデータは、記憶手段に揮発的または不揮発的に記憶される。
形状データ406は、ユージーエス コーポレーション製“I−DEAS(登録商標)”のUNV形式など汎用の構造解析プリプロセッサーにより作成できるものであり、シェル要素、ソリッド要素などで表現する。もちろん、モデルデータを保存するファイルのフォーマットは節点、要素、要素プロパティ、材料プロパティなどが記述されるデータであれば、形状データ406の形式は限定しない。
図2は本実施形態における実施の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図2を用いて説明する。本発明の実施形態は、構造物の振動特性を高精度に解析することができる数値解析モデルを作成する高精度振動解析用数値解析モデル作成工程550と、高精度な数値解析モデルを用いて実際に構造物の設計検討を行うデザインスタディ工程560に大別される。
まず、高精度振動解析用数値解析モデル作成工程550について説明する。
一次設計工程500において、過去の知見などを用いて、構造物を設計する。ここで設計された形状は、3D−CADデータとして作成されることが望ましい。コンピュータやワークステーションなどの計算機に、一次設計工程で設計した図面やCADデータを用いて、シェル要素モデル作成工程501では、シェル要素で要素分割された形状データ、材料データ、固定条件や荷重条件などの境界条件データ、ソリッド要素モデル作成工程では、ソリッド要素で要素分割された形状データ、材料データ、固定条件や荷重条件などの境界条件データを読み込むか、キーボードやマウスにより入力を行う。
図3は、シェル要素モデルとソリッド要素モデルの長所、短所を、本発明者らの知見に基づいて、比較した図である。図中の◎、○、△、×は、◎:優れている、○:実用上問題無し、△:やや劣る、×:劣る、という評価を示す。
モデル作成時間については、シェル要素モデルは、ほぼ手作業で要素分割を行う必要があるため、非常に時間がかかる。一方、ソリッド要素モデルは、構造物の3D−CADデータがあれば汎用のプリプロセッサーを用いることによって自動的に要素分割を行うことができるため、短時間で形状データを作成することが可能である。
計算時間は、同じ構造物に対して市販のプリプロセッサーで要素分割した場合は、ソリッド要素モデルよりもシェル要素モデルの方が節点数が少なくなることが多いこと、シェル要素は板厚方向の応力を無視するなど、要素そのものの計算量が少ないことから、ソリッド要素よりもシェル要素の方が計算時間が短い。
構造物の形状再現性は、ソリッド要素モデルは3D−CADデータの表面上に節点が位置するように分割されるため形状再現性が高いのに対し、シェル要素は構造物断面の中立面上、または外表面上、内表面上に作成者の判断によって作成されるため、作成者によって形状再現性にばらつきがある。
形状再現性について、図4を用いて説明する。図4は、ソリッド要素モデルとシェル要素モデルで要素分割した形状データの一断面を表した模式図である。図4(A)は、要素分割する前の構造物の断面形状を表す模式図である。図4(B)は、ソリッド要素で要素分割した形状データの一断面を表した模式図である。(711)はソリッド要素の一例、(712)は節点の一例を示す。市販のプリプロセッサーを用いれば、構造物の3D−CADデータの表面上に節点が配置されるように自動的に要素分割することが可能である。一方、図4(C)はシェル要素で構造物の中立面上に要素分割した形状データの一断面を表した模式図である。シェル要素では板厚は各要素の特性値として入力する。図4(C)において、リブ部の要素721、722に板厚724を与え、底面部の要素723に板厚725を与えた場合、リブ付け根部の要素722に相当する余分な質量が発生するなど、作成者が構造物のどの断面を採用するかによって形状再現性に多少のばらつきが生じることがある。
解析精度については、ソリッド要素においては、要素の形状、大きさが変われば発生応力が大きく変化することがあるため、発生応力の評価には適していない。
形状変更の容易さは、ソリッド要素モデルの形状変更をするためには、構造物の3D−CADデータまで遡って変更する必要があるのに対して、シェル要素モデルの場合は、板厚は要素の特性値を変更するだけで可能であり、リブを追加するような対策も比較的容易である。
以上より、初期のモデル作成時間はかかるが、計算時間、解析精度、形状変更の容易さにおいて優れるシェル要素モデルを構造物の振動特性を評価するためのベースモデルとする方が得策である。実際に、自動車のボディ、射出成形品などの振動解析においては、シェル要素モデルが標準的に使用されている。しかし、形状再現性の点では、上述した作業者によるばらつきが存在する。したがって、形状再現性に優れ、モデル作成時間も短いソリッド要素モデルとの相関を解析することにより、シェル要素モデルの形状再現性を確認、改良する。
図2で示す、固有値解析工程502、504で、シェル要素モデル、ソリッド要素モデルの固有値解析を実施し、固有振動数、固有振動モードを解析する。次に、相関解析工程505において、シェル要素モデルとソリッド要素モデルの固有振動数および/または固有振動モードの相関をMAC値などで定量的に解析する。
図5は、シェル要素モデルとソリッド要素モデルの固有振動モードの相関解析結果の一例を示した図である。図5(A)は、固有振動モードの相関が理想的に完全にとれている場合を示した図である。図中の数値はMAC値を表しており、MAC値は1に近いほど相関が高く、0に近いほど相関が低いので、図5(A)では、シェル要素モデルの一次モードとソリッド要素モデルの一次モード、シェル要素モデルの二次モードとソリッド要素モデルの二次モード、シェル要素モデルの三次モードとソリッド要素モデルの三次モードのモードシェイプが完全に一致していて、他のモードとの相関が全くないことを示している。しかし、実際の構造物では、数値解析結果同士であっても、シェル要素モデルとソリッド要素モデルを比較した場合、このように完全に相関がとれていることはほとんどない。図5(B)は、実際の構造物における固有振動モードの相関をとった場合を示した図である。この例では、シェル要素モデルの一次モードとソリッド要素モデルの一次モード、シェル要素モデルの二次モードとソリッド要素モデルの二次モード、シェル要素モデルの三次モードとソリッド要素モデルの三次モードの相関が比較的高いことを示している。
図2で示す、相関判定基準比較工程506では、第1の相関解析工程505で解析したMAC値や、固有振動数の差を、所定の判定基準と比較する。所定の判定基準は、過去の知見などに基づき、たとえば、MAC値が0.9以上、固有振動数の差が10Hz以下などとする。所定の判定基準を満たさない場合は形状データ変更工程507において、シェル要素モデルの形状データを変更し、再度固有値解析工程502において固有値解析を実施し、ソリッド要素モデルの固有振動モードとの相関を相関解析工程505で解析し、相関判定基準比較工程506で所定の判定基準と比較する。
ここで、構造物の試作を行い、実験モーダル解析結果と数値解析結果との相関を解析した場合は、相関が不十分な場合には、数値解析モデルの形状データに問題があるのか、材料データに問題があるのかの判断が困難である。一方、シェル要素モデルとソリッド要素モデルの相関を解析した場合は、材料データは同一であるので、純粋に形状の再現性のみに着目でき、効率的な対策を行うことが可能である。
したがって、シェル要素モデルの振動特性の予測精度を高めるために、第一段階として、第1の相関解析工程505でシェル要素モデルとソリッド要素モデルの相関を解析し、形状データ変更工程507で形状データを変更して、形状の再現性を改良し、次いで第2段階として、第2の相関解析工程511で形状の再現性を改良したシェル要素モデルと実験モーダル解析結果の相関を解析し、材料データ変更工程513で主に材料データを変更して、振動特性の予測精度を高める。
続いて、実際に構造物の設計検討を行うデザインスタディ工程560について説明する。
構造物の振動特性を高精度に予測できるシェル要素モデルが完成したら、周波数応答解析工程514で、所定の加振条件における評価点の応答加速度、発生応力などを解析する。続いて、スペック比較工程515において周波数応答解析結果を構造物のスペックと比較し、スペックを満足しない場合は、スペックを満足するまで、設計変更工程516、数値解析モデル変更工程517、周波数応答解析工程514、スペック比較工程515を繰り返す。
構造物の振動特性を高精度に予測するためのシェル要素モデルを作成するために、シェル要素モデルとソリッド要素モデルの固有振動数および/または固有振動モードとの相関を第1の相関解析工程505で解析することによって、従来手法では、形状データと材料データのどちらを改良すればよいのかが判断しにくいことがあったが、本実施形態では、変更対象を形状に絞れるため、効率的にシェル要素モデルの高精度化を図ることができる。
また、エンジニアス ソフトウエア社製“iSIGHT”などの汎用の最適化ソフトウエアを用いて、シェル要素モデルにおける各要素の板厚などを設計変数として、シェル要素モデルとソリッド要素モデルの固有振動数の差やMAC値が所定の判定基準を満たすまで、自動的に解析を繰り返すことも可能である。
また、シェル要素モデルをある程度のグループに分け、各グループ単位で板厚などの設計変数を変更していく方法を用いてもよい。
[実施例1]
図9(A)に示す平板を用いて、本発明の実施例を示す。
図9(A)は解析の対象となる平板の形状を模式的に表した斜視図、図9(B)はあえて間違って板厚を定義したイメージを表す斜視図、図10(A)は図9(A)の平板をシェル要素で分割した一例を示す斜視図、図10(B)は図9(A)に示す形状の平板の3D−CADデータに対して、6面体ソリッド要素で分割した一例を示す斜視図、図10(C)はシェル要素の板厚を定義する領域を説明する斜視図、図11はCAE解析、実測を行ったCase1〜Case6の内容を説明する表、図12は各Caseの固有振動数をまとめた表、図13は各Case間の固有振動モードの相関解析を行った結果をまとめた表である。
図9(A)に示す平板は縦200mm、横200mm、板厚3mmのアルミニウム合金製である。図10(A)は、図9(A)に示す平板をシェル要素で分割した数値解析モデルである。ここで、固有振動数や固有振動モードの予測精度があえて悪くなるように設定した初期のシェル要素モデルとして、図10(C)の領域1005の板厚を誤って本来の2倍である6mmと設定し、残りの領域1004を正しい板厚3mmと設定したとする。図9(B)は、この誤った板厚設定を立体的に表した斜視図である。また、ヤング率についても、誤って100GPaと設定したとする。その他、ポアソン比は0.4、密度は2.71g/cmとした。この初期シェル要素モデルをCase1とする。
あえて予測精度が悪くなるように設定した初期のシェル要素モデルであるCase1と、実測結果であるCase3の固有振動数を図12に、MAC値を図13(A)に示す。図12においては剛体モードを省略して表示している。また、MAC値は、マヤ ヒート トランスファー テクノロジー社製“Test for I−deas”を用いて、固有振動モードの相関解析を行い、MAC値を求めた。ただし、4次と5次、6〜8次は互いに対称なモード、または固有振動数が近接しているため、1〜3次、9〜10次のモードで相関解析を実施した。
実測は、図9(A)に示す形状のアルミニウム合金製平板を糸で垂直に吊るし、インパクトハンマにより1点を打撃加振し、加速度ピックアップを縦横5等分ずつ25点移動させて伝達関数を測定した。測定した伝達関数から、マヤ ヒート トランスファー テクノロジー社製“Test for I−deas”を用いて、ポリリファレンス法により、固有振動数、減衰率を同定し、固有振動モードを算出した。この実測結果をCase3とする。
固有振動数、固有振動モードは、ダッソー システムズ社製汎用構造解析ソフトウエア“Abaqus”を用いて固有値解析を実施して求めた。
図12、図13(A)によると、Case1(あえて形状、物性を誤って定義した初期のシェルモデル)とCase3(実測結果)の固有振動数の差は大きく、固有振動モードの相関も高くない。
図10(B)は、図9(A)に示す形状の平板の3D−CADデータに対して、6面体ソリッド要素で自動要素分割した数値解析モデルである。このソリッド要素モデルの材料物性は、Case1と同一とした。このソリッド要素モデルをCase2とする。
まず、Case1とCase2のモデルについて、固有振動数を求めた結果を図12に示す。また、Case1とCase2のモデルについて、固有振動モードの相関解析を行い、MAC値を求めた結果を図13(C)に示す。ここで、Case1とCase2は材料物性、境界条件を同一としているので、固有振動数の違い、MAC値の低さは形状の違いに起因することが容易に判断できる。ここで、Case2のソリッド要素モデルは、3D−CADデータから自動要素分割しているため、実際の平板形状を忠実に再現している。したがって、Case1のシェル要素モデルの形状と実際の形状の差異を調査し、Case1のシェル要素モデルの形状を修正すべきである。そこで、Case1の数値解析モデルの形状について、図10(C)の領域1005の板厚を3mmに修正した数値解析モデルをCase5とする。形状を修正したことにより、図12に示すCase2とCase5の固有振動数の差、図13(D)に示すMAC値はいずれも改善し、両数値解析モデルの相関が非常に高くなった。よって、シェル要素モデルとソリッド要素モデルの相関解析を行い、形状修正を行った結果、シェル要素モデルの形状再現性を高めることができた。
次いで、形状再現性の高いシェル要素モデルであるCase5と実測結果の相関解析を行った。Case3とCase5の固有振動数を図12に示す。Case5は、ソリッド要素モデルとの相関解析、改良の結果、十分な形状再現性を持っているため、図12に示すCase3とCase5の固有振動数の差は物性の違いに起因すると判断することができる。そこで、Case3とCase5の1次の固有振動数が一致するようにヤング率を修正する。このヤング率を修正した数値解析モデルをCase6とする。
Case3とCase6の固有振動数を図12に示す。10次までの固有振動数は誤差6%以内で、図13(E)に示すMAC値も平均0.93と非常に高い相関を示している。
[比較例1]
次に、従来技術でCase1のシェル要素モデルを改良した例について説明する。
図12、図13(A)によると、Case1とCase3の固有振動数の差は大きく、固有振動モードの相関も高くない。このような場合、本実施例で用いたような単純な形状の場合は形状の違いを容易に確認できるが、実際の成型品のように複雑な形状の場合には、シェル要素モデルの形状を修正すべきなのか、材料物性を修正すべきなのかは、容易には判断できない。その結果、実際には、固有振動数が合うように材料物性のみを変更しただけでシェル要素モデルの修正作業を終えてしまう場合も少なくない。
そこで、1次の固有振動数がCase3(実測結果)に合うように、Case1のヤング率を修正した数値解析モデルをCase4とする。図12にCase3とCase4の固有振動数を示す。1次の固有振動数は一致しているが、高次では差が大きくなっている。また、図13(B)にCase3とCase4のMAC値を示す。MAC値は対角成分が1.0となり、非対角成分が0.0となる場合が最も相関が良い場合であるが、この場合は対角成分が0.39〜0.73であり、十分な相関が得られているとは言い難い。
このように、従来手法で十分な精度を持つ数値解析モデルを作成するためには、実測結果と数値解析結果を比較して、形状、材料物性、境界条件の数多くのパラメータについて試行錯誤的に数値解析モデルの修正を行う必要があるのに対して、本発明によれば、相関解析の結果、相関が悪いことがわかった場合に、形状、材料物性のどちらを修正すべきかを容易に判断することができるため、従来手法よりも短期間かつ高精度に数値解析モデルを高精度化することが可能である。
本発明は、シェル要素モデルを高精度化するための数値解析方法に限らず、ヘキサ要素モデルなどにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。また、本発明は構造物の振動特性を高精度に予測するための数値解析モデル作成方法に限らず、構造物の静的な強度・剛性を高精度に予測するための数値解析モデル作成方法などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
100:一次設計工程
101:数値解析モデル作成工程
102:固有値解析工程
103:周波数応答解析
104:スペック比較工程
105:設計FIX
106:設計変更工程
107:数値解析モデル変更工程
200:一次設計工程
201:試作工程
202:伝達関数測定工程
203:モーダルパラメータ同定工程
204:スペック比較工程
205:設計FIX
206:設計変更工程
300:一次設計工程
301:数値解析モデル作成工程
302:固有値解析工程
303:試作工程
304:伝達関数測定工程
305:モーダルパラメータ同定工程
306:相関解析工程
307:相関判定基準比較工程
308:数値解析モデル変更工程
309:周波数応答解析工程
310:スペック比較工程
311:設計変更工程
312:数値解析モデル変更工程
313:設計FIX
350:高精度振動解析用数値解析モデル作成工程
360:デザインスタディ工程
400:計算機
401:キーボード
402:マウス
403:ディスプレイ
404:補助記憶装置
405:プログラム
406:形状データ
407:材料データ
408:境界条件データ
410:データ読み出し手段
411:出力手段
412:固有値解析手段
413:周波数応答解析手段
414:相関解析手段
415:相関判定基準比較手段
416:スペック比較手段
500:一次設計工程
501:数値解析モデル作成工程(シェル要素モデル)
502:固有値解析工程
503:数値解析モデル作成工程(ソリッド要素モデル)
504:固有値解析工程
505:相関解析工程
506:相関判定基準比較工程
507:形状データ変更工程
508:試作工程
509:伝達関数測定工程
510:モーダルパラメータ同定工程
511:相関解析工程
512:相関判定基準比較工程
513:材料データ変更工程
514:周波数応答解析工程
515:スペック比較工程
516:設計変更工程
517:数値解析モデル変更工程
518:設計FIX
550:高精度振動解析用数値解析モデル作成工程
560:デザインスタディ工程
701:構造物のCADデータ
702:底面部
703:リブ部
711:ソリッド要素の一例
712:節点の一例
721:リブ部を構成するシェル要素
722:リブ付け根部を構成するシェル要素
723:底面部を構成するシェル要素
724:リブの板厚
725:底面の板厚
726:シェル要素の一例
727:節点の一例
901:アルミニウム合金製の平板
902:半分の領域の板厚が異なるアルミニウム合金製の平板
903:板厚が3mmの領域
904:板厚が6mmの領域
1001:シェル要素モデル
1002:ソリッド要素モデル
1003:半分の領域の板厚設定が異なるシェル要素モデル
1004:板厚が3mmの領域
1005:板厚が6mmの領域

Claims (7)

  1. 構造物の数値解析モデルを作成するための数値解析方法であって、シェル要素で要素分割された前記構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しシェル要素モデルを作成するシェル要素モデル作成工程と、ソリッド要素で要素分割された前記構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しソリッド要素モデルを作成するソリッド要素モデル作成工程と、数値解析によって前記シェル要素モデルと前記ソリッド要素モデルの固有振動数および固有振動モードを解析する固有値解析工程と、該固有値解析工程で得られた結果から前記シェル要素モデルと前記ソリッド要素モデルの固有振動数および/または固有振動モードの相関を解析する第1の相関解析工程と、該第1の相関解析工程で得られた結果から前記シェル要素モデルの形状データを変更する形状データ変更工程とを有することを特徴とする数値解析方法。
  2. 前記形状データ変更工程の後に、該形状データ変更工程で形状再現性を改良したシェル要素モデルと実験モーダル解析結果との固有振動数および/または固有振動モードの相関を解析する第2の相関解析工程と、該第2の相関解析工程で得られた結果から前記形状再現性を改良したシェル要素モデルの材料データを変更する材料データ変更工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の数値解析方法。
  3. 前記第1の相関解析工程において、シェル要素で要素分割された前記構造物の形状データをパラメータとして、固有振動数および/または固有振動モードの相関が所定の値以上になるまで、前記相関解析工程と前記形状データ変更工程を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の数値解析方法。
  4. 前記第2の相関解析工程において、シェル要素で要素分割された前記構造物の材料データをパラメータとして、固有振動数および/または固有振動モードの相関が所定の値以上になるまで、前記相関解析工程と前記材料データ変更工程を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の数値解析方法。
  5. 構造物の数値解析モデルを作成するための数値解析装置であって、シェル要素で要素分割された前記構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しシェル要素モデルを作成するシェル要素モデル作成手段と、ソリッド要素で要素分割された前記構造物の形状データおよび材料データおよび境界条件データを表した数値解析モデルを入力しソリッド要素モデルを作成するソリッド要素モデル作成手段と、数値解析によって前記シェル要素モデルと前記ソリッド要素モデルの固有振動数および固有振動モードを解析する固有値解析手段と、該固有値解析工程で得られた結果から前記シェル要素モデルと前記ソリッド要素モデルの固有振動数および/または固有振動モードの相関を解析する第1の相関解析手段と、該第1の相関解析工程で得られた結果から前記シェル要素モデルの形状データを変更するシェル要素モデル変更手段とを有することを特徴とする数値解析装置。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の数値解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  7. 請求項6に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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