JP4807280B2 - 射出成形品の品質予測装置、方法およびプログラム - Google Patents

射出成形品の品質予測装置、方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は樹脂の射出成形における品質を予測する技術に関する。詳しくは、成形品の表面に現れるウェルドラインに関連するウェルド界面形状を推定して、推定されたウェルド界面形状に基づいて成形品の品質を予測する装置、方法およびプログラムに関する。
樹脂の射出成形法は、複雑な形状の部品を一工程で精度良く生産できるため、種々の分野において用いられている。自動車製造の分野では、例えば、インストルメントパネル、ドアインサイドパネル、バンパー、ハンドル、レバー把手、各種操作ボタン、ランプカバー、モール、ボンネット、ルーフ、小物部品など多数の射出成形品が用いられている。このような射出成形品には、大型化、複雑形状化、高精度化、高強度化などの高い性能が求められている。
射出成形法の課題の一つにウェルド不具合がある。樹脂の射出成形において、成形時に溶融材料の2つ以上の流れが会合する部分の表面には、ウェルドラインと呼ばれる線状痕が発生する。ウェルドラインの近傍には線状の面ひずみが発生することがある。この面ひずみが発生すると、表面の凹凸の程度によって、成形品の外観が損なわれ、商品価値が低下してしまう。
ウェルドライン近傍での面ひずみの発生態様は、樹脂流と樹脂流の境界面において、一方の流動樹脂が他方の流動樹脂の内部に潜り込む距離に応じて変化することが知られている。以下では樹脂流の境界面のことをウェルド界面と呼び、一方の樹脂が他方の樹脂に潜り込む距離のことを潜り込み量と呼ぶ。
射出成形時の樹脂の挙動を流動解析によって予測し、ウェルド界面での樹脂の潜り込み量を推定することができれば、実際に試作試験を行うことなく、成形品の品質を事前に予測することが可能となる。このような背景から、本願の発明者らはこれまでにも特許文献1の技術を開発している。
特許文献1の技術では、射出成形時の樹脂の挙動をシェルメッシュの流動解析によって予測し、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ速度の経時的変化からウェルド界面における樹脂の潜り込み量を推定して、推定された潜り込み量に基いて成形品の品質を予測する。この技術によれば、品質を高めるために実際に金型に変更を加えながら射出成形を繰り返し行う必要がなく、流動解析の結果に基いて最適な成形条件を決定することが可能となる。成形品の設計を短期間に低コストで行うことができる。
特開2005−74786号公報
本願の発明者らは、ウェルドライン近傍での面ひずみの発生に影響を及ぼす因子を特定するために、種々の成形条件で試作を行い、断面観察によってウェルド界面形状とウェルドライン近傍の面ひずみの態様との関係を詳細に調査した。その結果、成形品の表面に現れる面ひずみの態様は、ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率と関連性があることを見出した。ウェルド界面が厚さ方向の中央部分で尖っているものほど、表面の面ひずみは小さく目立たないものとなり、成形品の品質としては良好となる。逆に、ウェルド界面が厚さ方向の中央部分で平坦なものほど、表面の面ひずみが大きく目立つものとなり、成形品の品質としては不良となる。本願の発明者らは、上記知見に基いて、ウェルド界面形状を流動解析によって予測することができれば、より正確に成形品の品質を予測できることに想到した。
ウェルド界面形状は樹脂の厚さ方向で一様ではないから、シェルメッシュの流動解析では直接計算することができず、ソリッドメッシュの流動解析を行う必要がある。しかしながら、ソリッドメッシュの流動解析は、豊富な計算資源を必要とし、かつ計算に要する時間が長いという難点がある。少ない計算資源で短期間のうちに行うことができるシェルメッシュの流動解析の結果から、ウェルド界面形状を推定して、成形品の品質を予測することが可能な技術が待望されている。
本願発明は、樹脂の射出成形における成形品について、シェルメッシュの流動解析の結果から、ウェルド界面形状を推定して、成形品の品質を予測することが可能な技術を提供する。
本発明は樹脂の射出成形において発生するウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する方法として具現化される。その方法は、シェルメッシュの流動解析を行う工程と、流動解析の結果から、ウェルドラインの位置を抽出する工程と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する工程と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する工程と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルド界面形状を推定する工程を備えている。
射出成形においては、樹脂は厚さ方向に均等に硬化していくのではなく、金型と接する外側から内側に向けて徐々に硬化していく。この際に、外側の硬化した樹脂はそれ以上移動しないが、内側の未硬化の樹脂はウェルド界面における圧力バランスの崩れに応じて、樹脂の流れ方向に沿って移動する。従って、樹脂流が会合したウェルド界面は、当初は平坦な形状であっても、樹脂が硬化していく過程において形状が乱れて、樹脂の潜り込みが生じる。
本発明の方法では、シェルメッシュを用いた流動解析の結果に基いて、樹脂流が会合する位置をウェルドラインの位置として抽出する。そして、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化をそれぞれ推定する。樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化は、例えば流動解析の結果に含まれる樹脂の流れ速度の経時的変化から推定することができる。樹脂の流動層厚みの経時的変化は、例えば流動解析の結果に含まれる樹脂の全体的な厚みと樹脂の固化層の厚みの差をとることによって推定することができる。ウェルドラインの周辺において、すでに硬化した固化層の樹脂はそれ以上移動せず、未だ硬化していない流動層の樹脂は流れ方向に沿って移動するから、流れ方向に沿った移動量の経時的変化と流動層厚みの経時的変化を組み合わせることによって、最終的なウェルド界面形状を推定することができる。
本発明の方法によれば、シェルメッシュの流動解析の結果から、ウェルド界面形状を推定することができる。ソリッドメッシュの流動解析を行う場合にくらべて、少ない計算資源で迅速にウェルド界面形状を推定することができる。
上記のウェルド界面形状の推定方法は装置としても具現化される。本発明の装置は、樹脂の射出成形において発生するウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する装置である。その装置は、シェルメッシュの流動解析を行う手段と、流動解析の結果から、ウェルドラインの位置を抽出する手段と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する手段と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する手段と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルド界面形状を推定する手段を備えている。
上記のウェルド界面形状の推定方法はプログラムとしても具現化される。本発明のプログラムは、樹脂の射出成形において発生するウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定するためのプログラムである。そのプログラムは、シェルメッシュの流動解析を行う処理と、流動解析の結果から、ウェルドラインの位置を抽出する処理と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する処理と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する処理と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルド界面形状を推定する処理をコンピュータに実行させる。
本発明は成形品の品質を予測する方法としても具現化される。本発明の方法は、樹脂の射出成形における成形品の品質を予測する方法である。その方法は、シェルメッシュの流動解析を行う工程と、流動解析の結果から、射出成形において発生するウェルドラインの位置を抽出する工程と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する工程と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する工程と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する工程と、ウェルド界面形状に基いて成形品の品質を判断する工程を備えている。その方法においては、ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が大きい場合に、成形品の品質が良好と判断される。
上記の方法によれば、ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率に基いて成形品の品質を予測する。本願の発明者らの調査結果から、ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が大きいほど、ウェルドライン近傍の面ひずみは小さく目立たないものとなり、成形品の品質は良好なものとなることが分かっている。従って、上記の方法によれば従来よりも正確に成形品の品質を予測することができる。
本発明は装置としても具現化される。本発明の方法は、樹脂の射出成形における成形品の品質を予測する装置である。その装置は、シェルメッシュの流動解析を行う手段と、流動解析の結果から、射出成形において発生するウェルドラインの位置を抽出する手段と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する手段と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する手段と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する手段と、ウェルド界面形状に基いて成形品の品質を判断する手段を備えている。その装置においては、ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が大きい場合に、成形品の品質が良好と判断される。
本発明はプログラムとしても具現化される。本発明のプログラムは、樹脂の射出成形における成形品の品質を予測するためのプログラムである。そのプログラムは、シェルメッシュの流動解析を行う処理と、流動解析の結果から、射出成形において発生するウェルドラインの位置を抽出する処理と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する処理と、流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する処理と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する処理と、ウェルド界面形状に基いて成形品の品質を判断する処理をコンピュータに実行させる。そのプログラムにおいては、ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が大きい場合に、成形品の品質が良好と判断される。
本願発明によれば、樹脂の射出成形における成形品について、シェルメッシュの流動解析の結果から、ウェルド界面形状を推定して、成形品の品質を予測することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
(形態1)ウェルド界面形状が折り返している場合に、ウェルド界面形状が折り返していない場合に比べて、成形品の品質が良好と判断される。
図1は本発明の実施例に係る成形品質予測装置100の構成を示す図である。成形品質予測装置100は、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータであり、演算処理を行う演算部102と、成形品形状の設計データを記憶する設計データ記憶部112と、流動解析におけるパラメータを入力するパラメータ入力部114と、流動解析の結果や、推定されるウェルド界面形状、予測される成形品の品質等を出力する出力部116を備えている。演算部102は、成形品形状のCADデータをシェルメッシュに変換して流動解析を行う流動解析部104と、流動解析の結果データから必要なデータを抽出するデータ抽出部106と、ウェルド界面形状を推定する界面形状推定部108と、ウェルド界面形状に基づいて成形品の品質を予測する成形品質予測部110を備える。CADデータのシェルメッシュへの変換および流動解析は、市販のCAEソフトウェアのプログラムによって行う。流動解析における各種のパラメータ、例えば射出成形に用いる樹脂の特性や、ゲート位置、ガスベント位置、加圧履歴などのパラメータは、パラメータ入力部114で入力される。出力部116は、画像を表示するディスプレイであってもよいし、紙に印刷するプリンタであってもよいし、他のデバイスと通信する通信装置であってもよい。
図2は成形品質予測装置100を用いた成形品質予測処理のフローチャートである。
ステップS202では、設計者により作成された成形品の基準形状を示すCADデータが作成される。作成されたCADデータは成形品質予測装置100の設計データ記憶部112に記憶される。
ステップS204では、流動解析部104において、CADデータをシェルメッシュに変換して流動解析を行う。図3は複数の節点を備えるシェルメッシュで表現された流動解析のモデル300を例示している。流動解析においては、ゲート位置302、304から注入された樹脂が金型に沿って流動し、その後に冷却されて硬化していく過程がシミュレーションされる。流動解析によって、2つの樹脂流が会合するウェルドライン306の位置と形状が特定される。また、流動解析結果には、シェルメッシュの各節点における樹脂流れ速度の時系列データや、固化層厚みの時系列データが含まれている。
ステップS206では、データ抽出部106が、ウェルドライン306の周辺に位置するシェルメッシュの節点308、310、312、314、316を抽出する。
データ抽出部106は、流動解析により位置と形状が特定されたウェルドライン306からの距離を基準として、ウェルドライン306の周辺のシェルメッシュ節点308、310、312、314、316を選択する。
データ抽出部106は、ウェルドライン306の周辺の節点として抽出された節点308、310、312、314、316のそれぞれに関して、樹脂の流れ速度の時系列データと、固化層厚みの時系列データを、流動解析結果から抽出する。
ステップS208では、界面形状推定部108が、ステップS206で抽出されたシェルメッシュ節点308、310、312、314、316における樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的な変化を推定する。流動層内に樹脂の仮想的な粒子を想定すると、この仮想的な粒子は、樹脂が硬化するまでの間、樹脂の流動に従って移動する。従って、当初の樹脂の流れ速度がV1である場合、単位時間Δtの間に、この仮想的な粒子はV1・Δtだけ移動するから、この粒子の流れ方向に沿った移動量としてはx1=V1・Δtとなる。単位時間Δtの経過後、樹脂の流れ速度がV2となると、単位時間Δtの間に、この仮想的な粒子はV2・Δtだけ移動するから、この粒子の流れ方向に沿った移動量としてはx2=x1+V2・Δtとなる。界面形状推定部108は、ステップS206で抽出された全てのシェルメッシュ節点308、310、312、314、316に関して、樹脂の流れ速度の時系列データV1、V2、・・・、Vnと、流動解析における単位時間Δtから、樹脂の流れ方向に沿った移動量の時系列データx1、x2、・・・、xnを計算する。
ステップS210では、界面形状推定部108が、ステップS206で抽出されたシェルメッシュ節点308、310、312、314、316における、流動層厚みの経時的な変化を推定する。流動解析においては、射出成形において金型と接している外側から内部に向けて、樹脂が徐々に硬化していく過程がシミュレーションされており、流動解析結果にはシェルメッシュの各節点についての樹脂の全体的な厚みの時系列データと、そのうちの固化層の厚みの時系列データが含まれている。界面形状推定部108は、ステップS206で抽出された全てのシェルメッシュ節点308、310、312、314、316に関して、樹脂の全体的な厚みの時系列データと固化層厚みの時系列データの差を計算することによって、流動層厚みの時系列データを取得する。
ステップS212では、界面形状推定部108が、ステップS208で推定された樹脂の流れ方向に沿った移動量の時系列データと、ステップS210で推定された樹脂の流動層厚みの時系列データに基づいて、ウェルド界面形状を推定する。
図4にウェルド界面形状を推定する様子を示している。以下では図4(A)に示すように、樹脂の流れ方向をx方向とし、樹脂の厚さ方向をz方向とする。また、樹脂の全体的な厚さをz0と表現し、樹脂の厚さ方向の中央部分をz=0とする。
図4(B)はステップS208で推定された樹脂の流れ方向に沿った移動量の時系列データを示している。時刻t1、t2、・・・、tnに対応して、それぞれの時刻における樹脂の流れ方向に沿った移動量x1、x2、・・・、xnが推定されている。図4(C)はステップS210で推定された樹脂の流動層厚みの時系列データを示している。時刻t1、t2、・・・、tnに対応して、それぞれに時刻における樹脂の流動層厚みz1、z2、・・・、znが推定されている。図4(C)では、樹脂の硬化は中央部を挟んで上下対称に進行すると仮定している。
図4(C)に示すように、樹脂の硬化が進むにつれて流動層は減少し、流動層に含まれている樹脂は硬化して固化層を形成するようになる。流動層に含まれている樹脂は、図4(B)に示す樹脂の流れ方向に沿った移動量に従って移動し、その後硬化して固化層を形成するようになると、それ以上移動することがない。このような想定のもとで、ウェルド界面402の周辺の樹脂が、硬化するまでの間に流れ方向に沿ってどれだけ移動するかを、厚さ方向の位置ごとに評価していくことで、最終的に形成されるウェルド界面402の形状を推定することができる。本実施例では、時刻t1、t2、・・・における樹脂の流れ方向に沿った移動量x1、x2、・・・を、時刻t1、t2、・・・における樹脂の流動層厚みz1、z2、・・・・と組み合わせることで、図4(D)に示すように、ウェルド界面402の形状を推定する。
ステップS214では、成形品質予測部110が、ステップS212で推定されたウェルド界面形状から、成形品の品質を予測する。
図5は、試作試験によってウェルド界面形状と成形品の品質との関係を取得した結果を示している。図5では、ウェルド界面形状が一方の樹脂に潜り込んで折り返していないもの(図5のA1、A2)と、ウェルド界面形状が一方の樹脂に潜り込んでから途中で折り返しているもの(図5のB1、B2、B3)のそれぞれについて、先端部分の尖り具合に応じて、成形品の品質を評価した結果を示している。ウェルド界面の先端部分は樹脂の厚さ方向の中央部分に位置しており、厚さ方向の中央部分でのウェルド界面の曲率が大きいものが、先端部分が尖ったものに相当する。図5では成形品の品質を1から5までの5段階で示しており、数値が大きいほど、成形品の表面のウェルドライン近傍の面ひずみが目立たず、品質が良好であることを示している。ウェルド界面形状が途中で折り返しているものの方が、ウェルド界面形状が途中で折り返していないものに比べて、品質が良好であった。また、ウェルド界面の先端部分が尖っているもの、すなわちウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が大きいものの方が、ウェルド界面の先端部分が丸みを帯びているもの、すなわちウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が小さいものに比べて、品質が良好であった。
このようなウェルド界面の先端部分の尖り具合と成形品の品質との関係は、図6に示すように、樹脂内のタルク配向に起因するものと考えられる。図6(A)はウェルド界面の先端部分が丸みを帯びている成形品の断面を例示しており、図6(B)はウェルド界面の先端部分が尖っている成形品の断面を例示している。図6(A)に示すように、樹脂内のタルク602は、通常は樹脂の流れ方向に沿った配向となるが、樹脂流が会合するウェルド界面600の近傍604においては、樹脂の流れ方向ではなく、ウェルド界面600に沿った配向となる。図6(A)のようにウェルド界面600の先端部分が丸みを帯びた形状の場合、ウェルド界面600の近傍604には樹脂の厚さ方向に沿ったタルク配向が形成される。ウェルド界面600の近傍604とそれ以外の部分でタルク配向が大きく相違することから、樹脂が硬化する際の厚さ方向の収縮量が相違して、結果として成形品の表面に大きな面ひずみ606が形成される。図6(B)のようにウェルド界面610の先端部分が尖った形状の場合、ウェルド界面610の近傍614には樹脂の厚さ方向に沿ったタルク配向がそれほど形成されない。ウェルド界面610の近傍614とそれ以外の部分でタルク配向がそれほど相違せず、樹脂が硬化する際の厚さ方向の収縮量もそれほど相違しないから、結果として成形品の表面には小さな面ひずみ616しか形成されない。
上記のような知見に基いて、図2のステップS214では、成形品質予測部110が、(1)ウェルド界面の折り返しの有無と、(2)ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率をそれぞれ特定して、評価関数を用いて、成形品の品質を判断する。その評価関数は、値が小さいほど成形品質が良好であることを示すように設定されている。その評価関数は、ウェルド界面が途中で折り返している場合に、ウェルド界面が途中で折り返さない場合に比べて小さな値となるように設定されている。また、その評価関数は、ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が大きいほど、小さな値となるように設定されている。
界面形状推定部108で推定されたウェルド界面形状や、成形品質予測部110によって判断された成形品の品質は、出力部116へ出力される。
本実施例の成形品質予測装置100によれば、成形品の品質をシェルメッシュの流動解析の結果に基づいて予測することができる。従って、実際の金型形状を変更しながら試行錯誤的に射出成形試作を繰り返す必要がない。また、ソリッドメッシュを用いた流動解析を行う場合に比べて、少ない計算資源で迅速に評価を行うことが可能である。
本実施例の成形品質予測方法は、あらかじめ用意されたコンピュータ読み取り可能なプログラムであってもよく、またそのプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現される。このプログラムは、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
図1は本発明の実施例に係る成形品質予測装置100の構成を示す図である。 図2は本発明の実施例に係る成形品質予測処理のフローチャートである。 図3は流動解析に用いるシェルメッシュのモデル300を示す図である。 図4はウェルドラインの内部におけるウェルド界面の形状を推定する様子を示す図である。 図5はウェルド界面の形状と成形品の品質の関係を示す図である。 図6は樹脂のタルク配向とウェルドライン近傍の面ひずみの関係を示す図である。
符号の説明
100:成形品質予測装置、
102:演算部
104:流動解析部
106:データ抽出部
108:界面形状推定部
110:成形品質予測部
112:設計データ記憶部
114:パラメータ入力部
116:出力部
300:モデル
302、304:ゲート位置
306:ウェルドライン
308、310、312、314、316:ウェルドライン周辺の節点
400:ウェルドライン
402:ウェルド界面形状
404、406:樹脂の流れ方向
600、610:ウェルド界面
602:タルク
604、614:ウェルド界面の近傍
606、626:面ひずみ

Claims (6)

  1. 樹脂の射出成形において発生するウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する方法であって、
    シェルメッシュの流動解析を行う工程と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの位置を抽出する工程と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する工程と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する工程と、
    ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルド界面形状を推定する工程を備える方法。
  2. 樹脂の射出成形において発生するウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する装置であって、
    シェルメッシュの流動解析を行う手段と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの位置を抽出する手段と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する手段と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する手段と、
    ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルド界面形状を推定する手段を備える装置。
  3. 樹脂の射出成形において発生するウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定するためのプログラムであって、
    シェルメッシュの流動解析を行う処理と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの位置を抽出する処理と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する処理と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する処理と、
    ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルド界面形状を推定する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  4. 樹脂の射出成形における成形品の品質を予測する方法であって、
    シェルメッシュの流動解析を行う工程と、
    流動解析の結果から、射出成形において発生するウェルドラインの位置を抽出する工程と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する工程と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する工程と、
    ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する工程と、
    ウェルド界面形状に基いて成形品の品質を判断する工程を備えており、
    ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が大きい場合に、成形品の品質が良好と判断されることを特徴とする方法。
  5. 樹脂の射出成形における成形品の品質を予測する装置であって、
    シェルメッシュの流動解析を行う手段と、
    流動解析の結果から、射出成形において発生するウェルドラインの位置を抽出する手段と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する手段と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する手段と、
    ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する手段と、
    ウェルド界面形状に基いて成形品の品質を判断する手段を備えており、
    ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が大きい場合に、成形品の品質が良好と判断されることを特徴とする装置。
  6. 樹脂の射出成形における成形品の品質を予測するためのプログラムであって、
    シェルメッシュの流動解析を行う処理と、
    流動解析の結果から、射出成形において発生するウェルドラインの位置を抽出する処理と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化を推定する処理と、
    流動解析の結果から、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化を推定する処理と、
    ウェルドラインの周辺での樹脂の流れ方向に沿った移動量の経時的変化と、ウェルドラインの周辺での樹脂の流動層厚みの経時的変化に基いて、ウェルドラインの内部のウェルド界面形状を推定する処理と、
    ウェルド界面形状に基いて成形品の品質を判断する処理をコンピュータに実行させるためのものであり、
    ウェルド界面の厚さ方向の中央部分での曲率が大きい場合に、成形品の品質が良好と判断されることを特徴とするプログラム。
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