JP2008191830A - 樹脂流動解析プログラム、樹脂流動解析装置、及び樹脂流動解析方法 - Google Patents

樹脂流動解析プログラム、樹脂流動解析装置、及び樹脂流動解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微細な形状の転写が要求される射出成形において、適切な成形条件の導出を支援することのできる樹脂流動解析プログラム、樹脂流動解析装置、及び樹脂流動解析方法の提供を目的とする。
【解決手段】射出成形機における成形条件を入力させ、記憶装置に記憶する成形条件入力手順と、解析空間を規定する解析空間情報を入力させ、記憶装置に記憶する解析空間情報入力手順と、前記解析空間を複数の微小空間に分割する解析空間分割手順と、複数の前記微小空間のそれぞれに空気、又は樹脂のいずれかの物質を配置する物質配置手順と、前記成形条件に基づいて、複数の前記微小空間のそれぞれについて、当該微小空間に配置されている物質に関して圧縮性流体の運動方程式を質量保存及びエネルギ保存式と共に解き、当該微小空間の物質の状態を示す情報の値を算出する解析手順とをコンピュータに実行させることにより上記課題を解決する。
【選択図】図6

Description

本発明は、樹脂流動解析プログラム、樹脂流動解析装置、及び樹脂流動解析方法に関し、特に射出成形機における樹脂流動解析プログラム、樹脂流動解析装置、及び樹脂流動解析方法に関する。
射出成形機において、成形品ごとに適切な射出条件等を見出すためには作業者の経験に基づく試行錯誤に頼るところが大きい。しかし、実際に射出成形機を稼働させて試行錯誤を繰り返すのは、時間と費用がかかりすぎる。そこで、従来、コンピュータを用いた数値解析によって射出成形機の金型内部(キャビティ空間内)での樹脂の流動状態等を解析することが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
他方において、近年では、DVD基盤やICカード等、薄肉品でかつ微細な形状(例えば、幅が100μm以下の溝)の転写が要求される成形品に対するニーズが高まっている。このような成形品に対しては、射出圧縮成形法を用いるか、射出成形を用いる場合には、流動中の溶融樹脂の固化を防ぐ目的で高速射出(例えば、流速2m/s以上)が良いと言われている。
特開平8−336874号公報 特開2001−293748号公報
しかしながら、従来の金型内部での樹脂流動解析に関する技術は、近年における微細な形状の転写が要求される成形品を予定して考案されたものではなかった。したがって、微細な形状を有する成形品に関しては、必ずしも適切なシミュレーション結果を得ることができず、次のような成形不良や金型の破損等を回避するには、やはり作業者の経験や試行錯誤等に頼らざるを得ないというのが現状であった。
また、従来の樹脂流動解析方法においては、金型に囲まれたキャビティ空間内に存在する空気を無視する(すなわち、真空する)と共に、樹脂を非圧縮性流体(圧力がかかっても縮まらない流体)として取り扱っていたため、樹脂の流動や充填に関して正確な情報が得られないという問題があった。
図1は、微細な形状を転写するための射出成形の際の成形不良の例を示す図である。図2は、微細な形状を転写するための射出成形の際の金型破損の例を示す図である。図1及び図2では、微細な溝を有する金型501に樹脂502(溶融高分子樹脂)が注入されている様子が示されている。この際、射出条件等が適切に設定されていないと、図1の503に示されるように、樹脂502が溝に完全に充填される前に表面が固化し、固化層505を形成してしまったり、図2の504に示されるように、微細な溝の凸部が樹脂502の圧力によって変形してしまったりするという問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、微細な形状の転写が要求される射出成形において、適切な成形条件の導出を支援することのできる樹脂流動解析プログラム、樹脂流動解析装置、及び樹脂流動解析方法の提供を目的とする。
そこで上記課題を解決するため、本発明は、射出成形機における成形条件を入力させ、記憶装置に記憶する成形条件入力手順と、解析空間を規定する解析空間情報を入力させ、記憶装置に記憶する解析空間情報入力手順と、前記解析空間を複数の微小空間に分割する解析空間分割手順と、複数の前記微小空間のそれぞれに空気、又は樹脂のいずれかの物質を配置する物質配置手順と、前記成形条件に基づいて、複数の前記微小空間のそれぞれについて、当該微小空間に配置されている物質に関して圧縮性流体の運動方程式を質量保存及びエネルギ保存式と共に解き、当該微小空間の物質の状態を示す情報の値を算出する解析手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
このような樹脂流動解析プログラムでは、微細な形状の転写が要求される射出成形において、適切な成形条件の導出を支援することができる。
本発明によれば、微細な形状の転写が要求される射出成形において、適切な成形条件の導出を支援することのできる樹脂流動解析プログラム、樹脂流動解析装置、及び樹脂流動解析方法を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図3は、本発明の実施の形態における樹脂流動解析装置の機能構成例を示す図である。図3において、樹脂流動解析装置10は、樹脂熱流動解析部11、金型構造解析部12、及び高分子樹脂材料特性データベース13等より構成される。
樹脂熱流動解析部11は、解析空間条件21、射出成形条件22や、高分子樹脂材料特性データベース13に登録されている情報等を入力情報とし、射出成形機の金型のキャビティ空間内における高分子溶融樹脂(以下、単に「樹脂」という。)や空気等の振る舞いについて数値解析(シミュレーション)を行う。より詳しくは、樹脂熱流動解析部11は、解析空間条件21によって規定される解析空間を2次元若しくは3次元のメッシュ(微小空間)に分割し、射出成形条件22に基づき、メッシュごとに空気及び樹脂のそれぞれについて圧縮性流体の運動方程式(ナビエ・ストークスの式)を質量保存及びエネルギ保存式と共にCIP法を用いて解き、メッシュごとに樹脂充填途中及び充填後の物質の状態を示す情報(樹脂速度、樹脂温度、樹脂圧力、樹脂密度、空気速度、空気温度、空気圧力、空気密度、金型温度等)の値を算出する。
金型構造解析部12は、樹脂熱流動解析部11の解析結果として出力される情報の一部である流体作用データ23に基づいて、樹脂の振る舞いによる金型への影響(特に、金型の形状に与える影響)を解析する。ここで、流体作用データ23には、樹脂の圧力や温度、及び金型の温度等が含まれる。
高分子樹脂材料特性データベース13は、射出成形に用いられる各種の樹脂について、物性値等の特性が登録されるデータベースである。図4は、高分子樹脂材料特性データベースのレコードの構成例を示す図である。
図4において、レコード131は、樹脂名、粘性係数、熱伝導率、密度、比熱、及び圧縮率等より構成される。高分子樹脂材料特性データベース13には、これらの値を有するレコードが樹脂ごとに登録される。なお、粘性係数については、温度とひずみ速度との関数式が登録される。また、比熱については、温度の関数式が登録される。
図5は、本発明の実施の形態における樹脂流動解析装置のハードウェア構成例を示す図である。図5の樹脂流動解析装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100と、補助記憶装置102と、メモリ装置103と、CPU104と、表示装置105と、入力装置106とを有するように構成される。
樹脂流動解析装置10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、高分子樹脂材料特性データベース13を構成する情報等、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って樹脂流動解析装置10に係る機能(樹脂熱流動解析部11、金型構造解析部12、及び高分子樹脂材料特性データベース13等)を実現する。表示装置105はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置106はキーボード及びマウス等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
なお、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。また、樹脂流動解析装置10は、ネットワークを介して接続される複数のコンピュータによって構成されてもよい。例えば、樹脂熱流動解析部11と金型構造解析部12とが異なるコンピュータ上において動作するようにしてもよい。
以下、図3の樹脂流動解析装置の処理手順について説明する。図6は、樹脂流動解析装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
数値解析の実行が指示されると、樹脂熱流動解析部11は、解析空間条件21の入力を受け付ける(S101)。解析空間条件21としては、金型の寸法、形状、キャビティ空間の寸法、及び形状(溝空間の寸法、形状、個数等を含む)等が入力される。続いて、樹脂熱流動解析部11は、解析空間条件21によって規定される解析空間を仮想的に生成し、当該解析空間を2次元若しくは3次元のメッシュ(格子)に分割する(S102)。
続いて、樹脂熱流動解析部11は、射出成形条件22の入力を受け付ける(S103)。射出成形条件22としては、樹脂充填前の金型温度、樹脂流量、樹脂圧力等が入力される。樹脂熱流動解析部11は、入力された情報を、メモリ装置103又は補助記憶装置102内に保持する(記録する)。樹脂熱流動解析部11は、また、射出成形条件22に対する初期条件を各メッシュに設定する。
図7は、メッシュに分割された解析空間に初期条件が設定された状態を示す概念図である。図7において、210は金型を示す。また、220はキャビティ空間を示す。金型210には、複数の微細な溝(例えば、幅が100μm以下の溝)221が形成されている。なお、ステップS103では、金型210に係るメッシュには、金型210を構成する物質が配置され、キャビティ空間220に係るメッシュには、空気が配置される。但し、キャビティ空間220に係るメッシュの入り口部分(樹脂初期位置)においては、樹脂230が配置される。
続いて、樹脂熱流動解析部11は、境界条件と、解析を停止する時間(打ち切り時間)の設定を受け付ける(S104)。境界条件としては、例えば、樹脂の入り口条件として、樹脂の流速、又は圧力が入力される。また、キャビティ空間220の出口条件として、出口が塞がれているか否か(樹脂が流れ出ることができるか否か)が設定される。出口が塞がれている場合、出口を塞ぐ壁からの樹脂の跳ね返りを考慮して解析が行われ、出口が塞がれていない場合、出口からの樹脂の流出を考慮して解析が行われるからである。
続いて、樹脂熱流動解析部11は、計算開始時からの時間tを0に初期化する(S105)。以降のステップは、メッシュごとに、経過時間tの経過に応じて数値解析が行われる。
まず、樹脂熱流動解析部11は、時間tでの各メッシュにおける樹脂の物性値を、樹脂の流速、圧力、温度等のパラメータに基づいて構成方程式により算出する(S106)。ここで、最初の時間tにおける樹脂の物性値は、初期条件として与えられた樹脂の流速、圧力、温度等のパラメータに基づいて算出される。具体的には、樹脂に係るメッシュについては代表的な条件のもとでの樹脂の物性値が高分子樹脂材料特性データベース13より取得される。そして、構成方程式と、初期条件として与えられたパラメータとしての温度等に基づいて、初期条件下での物性値(粘性係数、熱伝達率)が求められる。
続いて、樹脂熱流動解析部11は、構成方程式を運動量の保存則に加えることで流体の運動方程式を構成し、流体の運動方程式と、質量保存式と、エネルギ保存式とを連立して解くことにより、各メッシュの物質に応じて、当該物質の状態を示す情報を算出する(S107−1)。すなわち、空気が配置されているメッシュについては、空気速度、空気温度、空気圧力、及び空気密度が算出される。樹脂が配置されているメッシュについては、樹脂速度、樹脂温度、樹脂圧力、及び樹脂密度が算出される。金型が配置されているメッシュについては、金型温度が算出される。このように、同一時間tにおいて、空気に係るメッシュと樹脂に係るメッシュについて、圧縮性流体の運動方程式が同時に(並列的)に解かれる。
方程式を解くにあたり、樹脂熱流動解析部11は、CIP法を用いる。CIP法を用いることにより、粗いメッシュでも気液界面(空気と樹脂との界面)を正確に表現できるため、微細な領域についても許容できる時間内において計算が可能となる。また、界面の形状が計算の進行と共にぼやけてくることが無いため、両者の運動を同時に解くことができる。また、樹脂と空気のように物性値の大きく異なる流体が共存する場合でも、計算が破綻することが無い。
なお、流体の運動方程式であるナビエ・ストークスの方程式は、以下の通りである。
Figure 2008191830
また、樹脂熱流動解析部11は、ナビエ・ストークスの方程式等と共に、空気と樹脂についてそれぞれ、状態方程式(ρ(密度)=f(p(圧力),T(温度)))を解く(S107−2)。状態方程式を共に解くことにより、樹脂及び空気の圧縮性を考慮した計算結果を得ることができる。
続いて、樹脂熱流動解析部11は、樹脂に係るメッシュについて、金型と接しているメッシュを抽出する(S108)。樹脂熱流動解析部11は、抽出された各メッシュと、当該メッシュと接している金型に係るメッシュについて、樹脂と金型間との熱移動(熱伝達)の計算をし(S109)、これらの各メッシュに係る樹脂又は金型の温度を変更する(S110)。
図8は、樹脂と金型との間の熱移動の計算を説明するための概念図である。図8において、樹脂230に係るメッシュのうち、金型210と接しているメッシュについて熱移動の計算が行われる。通常、樹脂の温度の方が高いため、図中の矢印に示されるように樹脂230から金型210に熱が移動する。その結果、樹脂の温度は下降し、金型の温度は上昇する。
なお、空気に係るメッシュや、金型と接していない樹脂のメッシュ、樹脂と接していない金型のメッシュについては、ステップS109及びS110は実行されない。
続いて、樹脂熱流動解析部11は、樹脂に係る各メッシュについて、温度(樹脂温度)は、ガラス転位温度(固化温度)以下であるか否かを判定する(S111)。ガラス転位温度は、予め閾値として設定しておけばよい。例えば、高分子樹脂材料特性データベース13において、各樹脂のレコードを構成する項目の一つとして登録しておいてもよい。
ガラス転位温度以下のメッシュについては(S111でYes)、樹脂熱流動解析部11は、当該メッシュに係る樹脂速度を減速させる(S112)。この処理によって、樹脂表面が固化した場合には、温度の低下に応じて樹脂が流れにくくなり、遂には停止する現象が再現されている。なお、減速の度合いは経験値に基づいて定めればよい。現在の速度から絶対値を減算してもよいし、0以上1以下の係数を乗算してもよい。なお、樹脂に係るメッシュのうち、温度がガラス転位温度より高いメッシュについては、ステップS112の処理は実行されない。したがって、当該メッシュについては樹脂速度は減速されない。
続いて、樹脂熱流動解析部11は、キャビティ空間に注入された樹脂の総量が規定量(例えば、キャビティ空間の体積)に達したか否かを判定する(S113)。なお、注入された樹脂の総量は、入り口条件における樹脂の流速を入り口横断面積について積分し、経過時間を乗ずることにより算出される。樹脂の総量が規定量に達している場合(S113でYesと判定した場合)、樹脂熱流動解析部11は、樹脂の注入を停止する(S114)。具体的には、入り口条件における樹脂の流速を0とする。
ステップS113又はS114に続いて、樹脂熱流動解析部11は、時間tが、打ち切り時間に達したか否かを判定する(S115)。打ち切り時間に達していない場合(S115でNo)、時間tを進め(例えば、0.01秒分進める。)(S116)、新たな時間tにおいて、ステップS106以降の処理を繰り返す。したがって、樹脂の注入が停止されていない場合、樹脂の充填途中の数値解析(充填解析)が引き続き実行される。一方、樹脂の注入が停止されている場合、樹脂の充填後の数値解析(充填された樹脂が時間の進行と共に徐々に固化していく過程に関する解析(保圧・冷却解析))が実行される。なお、各時間tにおける解析結果(計算結果)は、樹脂熱流動解析部11によって補助記憶装置102又はメモリ装置103に記録(蓄積)される。
また、時間tが打ち切り時間に達していない場合には、前の時間tで算出されたパラメータ(樹脂の流速、圧力、及び温度)を用いて構成方程式により次の時間tにおける物性値が算出される(S106)。より具体的には、樹脂熱流動解析部11は、樹脂に係るメッシュについて、更新された温度に基づいて、樹脂の粘性係数を計算し、当該メッシュの粘性係数の値を更新する。すなわち、樹脂の温度が低下すると樹脂が流れにくくなるが、その現象を解析結果に取り込むための処理である。粘性係数の計算は、高分子樹脂材料特性データベース13に登録されている温度とひずみ速度との関数式によって算出される。概念的には、次のようなグラフに、樹脂の温度とひずみ速度とを当てはめることにより粘性係数が導出される。
図9は、樹脂の温度及びひずみ速度と樹脂の粘性係数との関係を示す図である。図9において、曲線l1、l2、l3は、樹脂温度がそれぞれ245℃、170℃、120℃におけるひずみ速度と粘性係数との関係を示すグラフである。しがたって、樹脂熱流動解析部11は、現時点(時間t)における樹脂温度に対応するグラフ(関数式)を選択し、その関数式に対して樹脂のひずみ速度を代入することにより粘性係数を算出する。これにより、より現実に近いモデルが作成される。
時間tが、打ち切り時間に達すると(S115)、樹脂熱流動解析部11は、解析処理を終了し、補助記憶装置102又はメモリ装置103に記録されている解析結果(数値)に基づいて樹脂、空気及び金型等の振る舞いを表現した画像を時間の経過に応じて変化させながら(すなわち、動画として)表示装置105に表示させる(S117)。または、解析結果の数値をプリンタに印刷するようにしてもよいし、ユーザに指定された時間tにおける状態を示す画像を表示若しくは印刷するようにしてもよい。
解析結果を表示装置105に表示させる場合、例えば、次のような画像が表示される。図10及び図11は、樹脂充填後の或る時間における解析結果の表示例を示す図である。すなわち、図10及び図11は、樹脂の注入が停止された後のある時点における解析結果(密度コンタ)の表示例を示す。なお、図10及び図11中、図7又は図8と同一部分には同一符号を付している。
図10において、(A)は、金型210の初期温度が70℃の場合、(B)は、金型210の初期温度が27℃の場合の解析結果を示している。(A)の場合、キャビティ空間220は、ほぼ樹脂230で満たされるが、溝空間の一部に未充填部分241(樹脂が充填されず、空気が残っている部分)がわずかに残ってしまうこと示されている。(B)の場合、全ての溝において、未充填部分241が大きく残ってしまうことが分かる。これは、金型の温度が低すぎるため、樹脂230が溝空間に充填される前に固化してしまうことによる。したがって、少なくとも、金型の初期温度は27℃より70℃の方が適切であることが分かる。これは、図6において、特に、ステップS108〜S112による解析処理によって得られる結果である。
また、図11は、図7のキャビティ空間220の出口を塞いだ場合の結果である。この場合、溝空間だけでなく、樹脂の出口側の壁にも未充填部分242が残ってしまうことが示されている。これは、特に、樹脂と空気とを圧縮性流体として解析し、空気の圧縮による抵抗が再現されたことにより得られる結果である。
樹脂熱流動解析部11による解析結果のうち、流体作用データ23(樹脂の圧力や温度等)は、金型構造解析部12の入力情報として用いられる。金型構造解析部12は、流体作用データ23に基づいて金型の構造解析を行う。
図12は、金型の構造解析を概念的に示す図である。図12中、図8と同一部分には同一符号を付している。図12に示されるように、金型構造解析部12は、樹脂熱流動解析部11と同様に、解析空間をメッシュに分割し、メッシュ(の節点)ごとに樹脂230の圧力による金型210への影響を解析する。より詳しくは、図中の矢印a1で示されるように、金型210に係るメッシュのうち、樹脂230に接しているメッシュについて、樹脂230の圧力と、金型210の温度とに基づいて金型210の変形量を算出する。樹脂230に接している金型210の各メッシュに対する樹脂230の圧力は、当該メッシュが接している樹脂230のメッシュの値が用いられる。また、温度は、金型210のメッシュの値が用いられる。
なお、金型構造解析部12による金型の構造解析は、ある時点における流体作用データ23に基づいて行っても良いし、各時間tにおける流体作用データ23を連続的に用いて行っても良い。
上述したように、本実施の形態における樹脂流動解析装置10は、キャビティ空間内における樹脂と空気とを圧縮性流体として数値解析を行うため、微細空間における、樹脂と空気の振る舞いをより現実に近い形で解析することが可能となる。例えば、樹脂と空気との振る舞いを圧縮性流体として並列的に(同時に)計算することにより、空気の体積圧縮による樹脂流入に対する抵抗を考慮した解析を行うことができる。
また、金型の構造解析においても、より現実に近い樹脂の作用データ用いた計算を実行することができ、微細空間における樹脂の作用による金型の影響を適切に数値解析することができる。
よって、微細な形状の転写が要求される射出成形において、適切な成形条件の導出を支援することができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
微細な形状を転写するための射出成形の際の成形不良の例を示す図である。 微細な形状を転写するための射出成形の際の金型破損の例を示す図である。 本発明の実施の形態における樹脂流動解析装置の機能構成例を示す図である。 高分子樹脂材料特性データベースのレコードの構成例を示す図である。 本発明の実施の形態における樹脂流動解析装置のハードウェア構成例を示す図である。 樹脂流動解析装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。 メッシュに分割された解析空間に初期条件が設定された状態を示す概念図である。 樹脂と金型との間の熱移動の計算を説明するための概念図である。 樹脂の温度及びひずみ速度と樹脂の粘性係数との関係を示す図である。 樹脂充填後の或る時間における解析結果の表示例を示す図である。 樹脂充填後の或る時間における解析結果の表示例を示す図である。 金型の構造解析を概念的に示す図である。
符号の説明
10 樹脂流動解析装置
11 樹脂熱流動解析部
12 金型構造解析部
13 高分子樹脂材料特性データベース
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 表示装置
106 入力装置
B バス

Claims (8)

  1. 射出成形機における成形条件を入力させ、記憶装置に記憶する成形条件入力手順と、
    解析空間を規定する解析空間情報を入力させ、記憶装置に記憶する解析空間情報入力手順と、
    前記解析空間を複数の微小空間に分割する解析空間分割手順と、
    複数の前記微小空間のそれぞれに空気、又は樹脂のいずれかの物質を配置する物質配置手順と、
    前記成形条件に基づいて、複数の前記微小空間のそれぞれについて、当該微小空間に配置されている物質に関して圧縮性流体の運動方程式を質量保存及びエネルギ保存式と共に解き、当該微小空間の物質の状態を示す情報の値を算出する解析手順とをコンピュータに実行させるための樹脂流動解析プログラム。
  2. 前記解析手順は、前記運動方程式と共に、空気又は樹脂について状態方程式を解くことを特徴とする請求項1記載の樹脂流動解析プログラム。
  3. 前記解析手順は、空気に係る前記微小空間と、樹脂に係る前記微小空間について並列的に前記運動方程式を解くことを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂流動解析プログラム。
  4. 前記解析手順は、
    樹脂に係る前記微小空間について、当該微小空間が金型に接しているか否かを判定する手順と、
    金型に接していると判定された前記微小空間について、前記金型との間の熱移動を計算し、当該微小空間の温度を更新する手順と、
    更新された温度と所定の閾値との比較結果に応じて、前記樹脂に係る前記微小空間の樹脂速度を減速する手順とを有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の樹脂流動解析プログラム。
  5. 前記解析手順は、前記成形条件に基づいて算出される樹脂の注入量が所定の値に達したときに前記樹脂の注入を停止することを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項記載の樹脂流動解析プログラム。
  6. 前記解析手順は、前記樹脂の注入を停止した後も、複数の前記微小空間について質量保存及びエネルギ保存式と共に前記運動方程式を解くことを特徴とする請求項5記載の樹脂流動性解析プログラム。
  7. 射出成形機における成形条件を入力させ、記憶装置に記憶する成形条件入力手段と、
    解析空間を規定する解析空間情報を入力させ、記憶装置に記憶する解析空間情報入力手段と、
    前記解析空間を複数の微小空間に分割する解析空間分割手段と、
    複数の前記微小空間のそれぞれに空気、又は樹脂のいずれかの物質を配置する物質配置手段と、
    前記成形条件に基づいて、複数の前記微小空間のそれぞれについて、当該微小空間に配置されている物質に関して圧縮性流体の運動方程式を質量保存及びエネルギ保存式と共に解き、当該微小空間の物質の状態を示す情報の値を算出する解析手段とを有することを特徴とする樹脂流動解析装置。
  8. 射出成形機における成形条件を入力させ、記憶装置に記憶する成形条件入力手順と、
    解析空間を規定する解析空間情報を入力させ、記憶装置に記憶する解析空間情報入力手順と、
    前記解析空間を複数の微小空間に分割する解析空間分割手順と、
    複数の前記微小空間のそれぞれに空気、又は樹脂のいずれかの物質を配置する物質配置手順と、
    前記成形条件に基づいて、複数の前記微小空間のそれぞれについて、当該微小空間に配置されている物質に関して圧縮性流体の運動方程式を質量保存及びエネルギ保存式と共に解き、当該微小空間の物質の状態を示す情報の値を算出する解析手順とをコンピュータが実行することを特徴とする樹脂流動解析方法。
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