JP4544556B2 - 射出成形品製造パラメータ決定支援システム - Google Patents

射出成形品製造パラメータ決定支援システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形品製造パラメータ決定支援システムおよび射出成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形品の製造パラメータを決定するには、成形性と強度性の両者を満足する条件の探索が行われている。
【0003】
従来、射出成形品の成形性は射出成形シミュレーションソフトによる射出成形解析の結果に基づいて、また強度性は構造解析シミュレーションソフトもしくは材料力学理論による構造解析結果に基づいてそれぞれ別々に検討が行われ、最終的に各評価項目から得られた条件を考慮して製造パラメータが決定されてきた。
たとえば、まず構造解析で成形品の各部を一様物性のものと仮定して強度条件を満足する製造パラメータを決定して、その後強度条件を満足する製造パラメータの中から射出成形解析を実施して成形性を満足するパラメータの決定するというような方法が採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
射出成形の評価項目と強度解析の評価項目の間には、強度を満足するように材料の強度を上げると成形時のそり量が大きくなるなど、相反する項目が多い。そのため全ての項目の条件を満足する製造パラメータを探すことは大変多くの解析ケースを実行する必要があり、解析時間も長くかかる。従来の方法では、1度の解析実行で複数の箇所のパラメータ変更を行う場合、多くの手作業が発生するため、条件探索にかかる労力は大きかった。
【0005】
さらに、構造解析では、一般に射出成形プロセス時に発生する圧力や温度履歴によって生じる成形品各部の物性の差異が反映されていないため、構造解析の精度が低かった。
【0006】
そこで、本発明は以上の様な状況を鑑みなされたもので、射出成形品の各部の物性の差異をより正確に反映された精度の高い射出成形品製造パラメータ決定支援システムおよび射出成形品製造パラメータ設定方法および射出成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明によれば、射出成形品製造パラメータ決定システムであって、成形品材料として強化材を含む材料を用いて解析する場合における強化材の向きおよび配向度を算出する配向解析手段と、成形品の保圧・冷却工程における成形品各部の密度および収縮歪み量を算出する保圧・冷却解析手段と、保圧・冷却解析手段と配向解析手段から算出される物性値を用いて金型から取り出した後の成形品のそり変形を算出するそり解析手段を備えてなる射出成形過程を解析し成形品形状および成形品各部の物性を算出する射出成形解析手段と、前記射出成形解析手段によって得られた成形品形状に基づいて構造解析用形状データを設定する構造解析用形状データ設定手段と、該射出成形解析手段によって得られた成形品各部の物性に基づいて構造解析用材料物性データを設定する構造解析用物性データ設定手段と、前記構造解析用物性データ設定手段および前記構造解析用形状データ設定手段によって設定された構造解析用物性データおよび形状データに基づいて構造解析を実施する構造解析手段と、前記射出成形解析によって得られた成形品形状、成形品各部の物性および前記構造解析手段によって得られた解析結果に基づいて製造パラメータを設定する製造パラメータ設定手段を備えてなることを特徴とする射出成形品製造パラメータ決定支援システムが提供される。
【0008】
また本発明の好ましい形態によれば、前記製造パラメータ設定手段は、成形品の材料、金型温度、射出温度、射出時間、保圧力および保圧・冷却時間のうちいずれか一種以上のパラメータを設定するものである射出成形品製造パラメータ決定支援システムが提供される。
【0010】
また本発明の好ましい形態によれば、前記構造解析用物性データ設定手段は、前記射出成形解析手段によって得られた成形品各部の物性を、予め設定しておいた複数の代表値に近似して、近似した値を構造解析用材料物性データとして設定するものである射出成形品製造パラメータ決定支援システムが提供される。
【0012】
また本発明の別の形態によれば、成形品材料として強化材を含む材料を用いて解析する場合における強化材の向きおよび配向度を算出する配向解析手段と、成形品の保圧・冷却工程における成形品各部の密度および収縮歪み量を算出する保圧・冷却解析手段と保圧・冷却解析手段と配向解析手段から算出される物性値を用いて金型から取り出した後の成形品のそり変形を算出するそり解析手段を備えてなる射出成形品の射出成形過程を解析して成形品形状および成形品各部の物性を算出し、得られた前記成形品形状に基づいて構造解析用形状データを設定し、得られた前記成形品各部の物性に基づいて構造解析用材料物性データを設定し、設定された構造解析用物性データおよび形状データに基づいて構造解析を実施し、前記成形品形状、前記成形品各部の物性および構造解析結果に基づいて製造パラメータを設定出力する、射出成形品製造パラメータ設定方法が提供される。
【0013】
また本発明の別の形態によれば、上記の射出成形品製造パラメータ設定方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0014】
また本発明の別の形態によれば、成形品材料として強化材を含む材料を用いて解析する場合における強化材の向きおよび配向度を算出する配向解析手段と、成形品の保圧・冷却工程における成形品各部の密度および収縮歪み量を算出する保圧・冷却解析手段と、保圧・冷却解析手段と配向解析手段から算出される物性値を用いて金型から取り出した後の成形品のそり変形を算出するそり解析手段を備えてなる射出成形品の射出成形過程を解析して成形品形状および成形品各部の物性を算出し、得られた前記成形品形状に基づいて構造解析用形状データを設定し、得られた前記成形品各部の物性に基づいて構造解析用材料物性データを設定し、設定された構造解析用物性データおよび形状データに基づいて構造解析を実施し、前記成形品形状、前記成形品各部の物性および構造解析結果に基づいて製造パラメータを最終決定し、最終決定された製造パラメータに基づいて前記射出成形品を製造する射出成形品の製造方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載が無い限り、これらの形態に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明の製造パラメータ決定を行うシステムの一実施形態を示すブロック図である。本実施形態例において、(100)はコンピューター、(102)はマウス、(103)はディスプレー、(104)は補助記憶装置である。(104)には、ハードディスク装置の他、MO,PD,DVD,FD等の取り外し可能な補助記憶装置も実施可能である。
【0017】
補助記憶装置(104)には、CADデータ記憶手段(105)、CAE用形状データ記憶手段(106)、樹脂データ記憶手段(107)が含まれる。コンピュータ(100)には、CADデータ作成手段(108)、CAE用形状データ作成手段(109)、射出成形解析手段(110)、構造解析用材料データ設定手段(111)、構造解析用形状データ設定手段(112)、構造解析手段(113)、製造パラメータ決定手段(114)が含まれる。
【0018】
図2に本実施形態例のフローチャートを示す。CAE用形状データ作成手段(109)は、ステップ201で作成されたCADデータに対してCADデータから中立面を作成し、2次元シェル要素を自動作成したり、また3次元ソリッド要素を自動作成する。このようにCADデータからCAE用形状データを作成する方法は、I-DEAS(SDRC社製)、CATIA(Dassult社製)、Unigraphics(UGS社製)といった多くのCADに搭載されている既存の技術である。
【0019】
射出成形解析手段(110)は、ステップ202で作成されたCAE用形状データである各要素あるいは各節点に対して、図3に示すように、射出成形の際の材料の成形型(金型など)内における流動状況を解析する流動解析、成形品の保圧・冷却工程における成形品各部の密度および収縮歪み量等を算出する保圧・冷却解析、成形品材料として強化材を含む材料を用いて解析する場合において、強化材の向きおよび配向度を算出する繊維配向解析、成形品自身のそり変形を解析するそり解析をそれぞれ対応する流動解析手段、保圧・冷却解析手段、配向解析手段(強化材の配向解析手段)、そり解析手段により行うものである。これらの各手段としては、公知の射出成形解析システム(たとえば、TIMON(東レ株式会社製))等により実現されているものを使用すればよい。強化材としては、ガラス繊維や炭素繊維などが用いられるが、必ずしも繊維である必要はない。なお、射出成形品の材料としては、ナイロン、PBT、ポリカーボネートなどの樹脂材料やマグネシウム合金等の金属材料など様々な材料を使用できる。
【0020】
構造解析用物性データ設定手段(111)は、ステップ203で実施した射出成形解析で得られた成形品各部の物性値を構造解析用物性データとして設定するものである。反映する各部の局所的な物性値は、繊維配向解析で得られた繊維の向き、配向度、保圧・冷却解析で得られた密度・収縮ひずみ量等から算出する。ここで、構造解析用物性データとして設定する方法としては、データの内容およびフォーマットを特に変更する必要がない場合は射出成形解析結果をそのまま構造解析の入力ファイルや構造解析手段の利用するメモリに直接に読み込む方法、データの内容はそのまま使用するがデータフォーマットが一致しない場合には構造解析用データフォーマットと一致するようにデータのフォーマットを変更して読み込む方法がある。また、物性データの内容については、射出成形解析で得られた各部の要素の物性値をそのまま構造解析用物性データとして使用しても良いし、複数の代表値を設定しその値に近似して各部の構造解析用物性データとして使用しても良い。複数の代表値の決定方法は、あらかじめ手作業により複数の代表値を設定しておく方法や、射出成形解析で得られた解析結果から、物性値の上下限値を求め、その範囲を等間隔で分割し、各レベルの中心値を代表値とする方法、あらかじめ代表値を1つ設定しその値からのずれがある閾値以上の場合、新しい代表値を作成していく方法などでもよい。このような代表値を用いる方法では、構造解析の精度が若干低下する一方、使用するデータのデータ構造が簡単になったり、計算速度を向上させることができる場合がある。代表値を決定する方法は目的とする精度や速度、データの特徴に応じて、さらにいろいろなバリエーションを考えることができよう。
【0021】
成形品各部の物性値は、実際の樹脂データで忠実にシミュレーションをして計算した物性データでもよいし、同じ形状で同じゲート条件を用いて1つ以上の標準パラメータ(この標準データとしては、予め用意された汎用的かつ標準的なデータも使用できるし、同じ製品の製造パラメータ決定の過程において、なされる繰り返し計算の前回以前に得られたデータを用いてもよい)を解析を使用して計算した解析結果や同じ形状で同じゲート条件を用いて以前の行った解析結果から樹脂物性のデータベースを使用して補間した物性データでもよい。
【0022】
構造解析用形状データ設定手段(112)は、ステップ203で実施した射出成形解析で得られた成形後の形状を構造解析用形状データとして設定するものである。ここで、構造解析用形状データを設定する方法としては、上記の構造解析用物性データ設定手段(111)と同様に、射出成形解析結果を何の変更もなく読み込んで設定する方法や、射出成形解析結果から構造解析形状データ用にフォーマットを変更して読み込む方法や適当な形状変換を伴う方法が考えられる。
【0023】
構造解析手段(113)は、ステップ204、205で作成されたデータを用いて、構造解析を行うものである。構造解析とは、構造物に外力や強制変位、熱、振動、衝撃、音圧等を含む荷重が負荷された際に構造物に発生する変位量、ゆがみ量、応力、ひずみエネルギー等の応答を解析することをいう。このよう解析は、MSC.Nastran(MSC社製)、ABAUQS(HKS社製)、ANSYS(ANSYS社製)等のソフトウェアを使用すると実施可能な既存の技術である。また、簡易な形状や条件であれば、ソフトウェアを使用せずとも材料力学理論を用いることも可能である。
【0024】
製造パラメータ決定手段(114)は、ステップ203,206で得られた結果から条件を満足するパラメータを決定するものである。パラメータの決定は、例えば、評価関数を用い、その値が小さくなったり大きくなったりする方向にさまざまなパラメータを変更して適当な値を設定することで行なってもよい。設定された値に基づいて再び射出成形解析を行い、その結果について評価関数を再度計算するといったことをくり返して、評価関数が目的とする範囲に入るようにパラメータを決定してゆく。パラメータの変更方法としては、構造解析の発生応力の低減するためには材料物性の中の剛性が大きい材料への変更、また射出成形解析の射出圧を低減するには材料物性の中の粘度が低い材料への変更や金型温度や射出温度の上昇や射出時間の変更、また射出成形解析のそり量を低減するためには成形品各部の物性値のばらつきが小さい材料への材料変更や保圧・冷却時間の増減等の変更などがある。このように変更可能な製造パラメータとしては、成形品の材料、金型温度、射出温度、射出時間、保圧力および保圧・冷却時間等がある。
【0025】
探索する範囲の決定は、パラメータに対する評価関数の影響度を求めてからパラメータを変更する幅を決定するような数理最適化の手法である準ニュートン法や逐次2次計画法、遺伝的アルゴリズム、実験計画法や経験的・理論的な係数を用いることが考えられる。これらの評価関数とパラメータ探索方向および探索幅の関係をシステム化することで効率よい製造パラメータ選定が可能となる。なお、材料対物性の関係を関数として取り扱うには、たとえば、剛性の低い順に材料(たとえば、射出時の温度などの成形条件を含んでいてもよい)を整列(ソート)したルックアップテーブル等を作成し、利用することで可能となる。
【0026】
【実施例】
図4以下に決定する製造パラメータとして樹脂物性を使用した具体的な実施例を示す。
【0027】
図4は 縦60mm 横80mm 高さ30mm で肉厚が2mmの箱のCADデータである。図5は、図4の箱の中立面を使用して2次元シェル要素にて一辺3mmの正方形の形状に自動的に生成されたCAE解析用形状データで、1403個の節点と2696個の要素で構成されている。
【0028】
図5の形状に対してA点の成形時のそり変形量を1mm以内とし、かつ安全率を2.0以上とする条件を満足する材料を決定する。安全率とは、強度限界値を発生応力値で割ったものであり、値が大きいほど強度が強いことを示す。
【0029】
成形温度300℃、金型温度100℃、保圧50MPa、保圧時間20秒の成形条件を使用して材料A(ポリカーボネイド ガラス強化樹脂 重量あたりのガラス含有率 30%。この材料Aの強度限界は、82MPaである。)で一連の射出成形解析を実施した。本実施例では、ゲートは図5に示すように底面中央の1点と設定した。射出成形解析では、東レ株式会社製射出成形CAEシステムTIMONを使用した。前記システムを実行して求められた成形後のそり変形後の変形結果を図6に示す。
【0030】
図6では、図5(変形前の形状)に示す形状と比較して、A点は0.6mmの変形が発生した。
【0031】
次に前記射出成形解析を実行して求められた繊維の向き、配向度、密度、収縮歪みから構造解析の材料物性として設定した。本実施例では、2方向の曲げ弾性率がおのおの10MPa毎になるように代表値を設定した。各要素は、曲げ弾性率が最も近い代表値を要素の物性データとして設定する。各要素の物性データ設定後1度も参照されていない代表値は削除した。
【0032】
表1に、構造解析の物性データとして使用する成形品各部の物性値である要素座標系の繊維方向の曲げ弾性率、繊維と直角方向の曲げ弾性率、ポアソン比、要素面内のせん断弾性率のデータテーブルを示す。要素座標系の繊維の方向は、配向解析により算出された各要素の繊維の向きを示す。繊維方向の曲げ弾性率は、その要素の最も強度が高い方向の曲げ弾性率を示し、繊維と直角方向の曲げ弾性率は、最も強度が弱い方向の曲げ弾性率を示す。このように2方向の曲げ弾性率を設定することで各要素の異方性を表すことが可能となる。繊維の方向は、代表値を用いず各要素毎に設定する。図7に解析モデルの一部について要素ごとに参照する物性データ番号を示す。各要素上に示す番号は、その要素で使用する表1記載の材料物性テーブルを示す。これより、要素の場所によって参照する物性テーブルが異なるため、位置による物性の差が存在することが分かる。この設定は、コンピュータソフトウェアを使用して自動的に実施する。
【0033】
【表1】
Figure 0004544556
【0034】
次にそり変形を反映した形状と射出成形解析を実施して求められた成形品各部の物性値を利用した構造解析を実施する。本実施例の構造解析では、上部の角4点を完全に拘束し底面の中央に10Nの荷重を負荷した。構造解析には、MSCソフトウェア社製MSC.Nastranを用いた。
【0035】
次に射出成形解析を実施することで得られたそり変形量と構造解析を実施することで得られた安全率を満足するか否かの評価を行なう。条件を満足しない場合、自動的に他の樹脂の解析を実施し、条件を満足する樹脂を選定する。
【0036】
表2に、一様物性を用いて解析で得られた安全率(比較例)と本発明の製造パラメータ決定支援システムの射出成形解析手段で得られたそり変形と材料物性を用いた解析で得られた安全率(実施例)を示す。この材料Aの強度限界は、82MPaである。
【0037】
【表2】
Figure 0004544556
【0038】
表2より、一様物性を用いた解析と比べると射出成形解析の結果を考慮した解析の方が安全率として小さい値が得られることがわかる。すなわち、実際の射出成形によって成形される成形品の各部の物性等を反映させてより精密な解析をすれば、より正確に現在の射出成形品製造パラメータの問題点を把握できるのである。実際のところ、実際の樹脂射出成形品の場合、局所的に材料物性が弱い部分があれば、そこに高い応力が発生し、そこから破壊が発生することが多いのである。
【0039】
本実施例では、そり変形量は、射出成形解析結果より0.6mmとなり条件の1mm以下を満足したが、安全率は構造解析結果より1.21となり条件の2.0以上を満足しなかった。
【0040】
そこで、次により剛性の高い樹脂に変更して一連の解析を実施する。
【0041】
本実施例では、条件を満足するためには、安全率を1.6倍上げる必要がある。よって強度限界値が現在の樹脂の1.6倍に最も近い材料B(ポリカーボネイド ガラス強化樹脂重量あたりのガラス含有率 40%。この材料Bの強度限界は、118MPaである)を次の候補として解析を実施した。その結果、最大の発生応力は50MPaとなり、安全率は2.36となった。A点でのそりは0.9mmにとどまり、所定の条件を満足することが確認できた。この条件を製造パラメータとして最終決定し、この条件で実際に成形品を製造したところ、解析結果とほぼ一致する特性が得られた。
【0042】
本実施例では、そり量と強度を評価項目としたが、それ以外に重量、射出圧、型締め力、構造解析の変位量、また材料単価を使用して材料費等を評価項目として使用してもよい。
【0043】
以上のように、本発明による製造パラメータ決定支援システムは、パラメータの範囲および使用解析結果を入力するだけで、射出成形解析で得られた材料物性とそり変形を自動的に反映した構造解析を実施し、前記射出成形結果と前記構造解析結果から、条件に適した製造パラメータを決定することが出来る。
【0044】
本発明は、データの自動受け渡しにより迅速な解析と、成形品各部の物性値の反映により高精度な解析を可能にする。
【0045】
上記実施形態例は、コンピュータと、それを動作させるCADを含むプログラムなどによって実施される。このようなプログラム及び各種の記憶手段のデータはフロッピーディスク、MO、CD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な有形媒体や有線または無線のネットワークのような伝送手段を通じて流通される。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、製造パラメータ決定時に、射出成形解析による材料物性・そり変形を構造解析に反映することで精度がよい解析を実施することができ、射出成形解析結果と構造解析結果を同時に評価することで製造パラメータ決定の高精度化・効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態例のフローチャート図である。
【図3】本発明の実施形態例の射出成形解析部分のフローチャート図である。
【図4】縦60mm 横80mm 高さ30mm で肉厚が2mmの箱の図である。
【図5】図4の箱に対するCAE用形状データを示す図である。
【図6】図5の形状に対して流動〜保圧冷却〜繊維配向〜そり変形解析を実行した場合の変形結果(変形モード図)である。
【図7】図5の形状に対して射出成形解析から得られた要素ごとの物性データ番号を示す図である。
【符号の説明】
100 コンピュータ
101 キーボード
102 マウス
103 ディスプレー
104 補助記憶装置
105 CADデータ記憶手段
106 CAE用形状データ記憶手段
107 樹脂データ記憶手段
108 CADデータ作成手段
109 CAE用形状データ作成手段
110 射出成形解析手段
111 構造解析用物性データ設定手段
112 構造解析用形状データ設定手段
113 構造解析手段
114 製造パラメータ手段

Claims (6)

  1. 射出成形品製造パラメータ決定システムであって、成形品材料として強化材を含む材料を用いて解析する場合における強化材の向きおよび配向度を算出する配向解析手段と、成形品の保圧・冷却工程における成形品各部の密度および収縮歪み量を算出する保圧・冷却解析手段と、保圧・冷却解析手段と配向解析手段から算出される物性値を用いて金型から取り出した後の成形品のそり変形を算出するそり解析手段を備えてなる射出成形過程を解析し成形品形状および成形品各部の物性を算出する射出成形解析手段と、前記射出成形解析手段によって得られた成形品形状に基づいて構造解析用形状データを設定する構造解析用形状データ設定手段と、該射出成形解析手段によって得られた成形品各部の物性に基づいて構造解析用材料物性データを設定する構造解析用物性データ設定手段と、前記構造解析用物性データ設定手段および前記構造解析用形状データ設定手段によって設定された構造解析用物性データおよび形状データに基づいて構造解析を実施する構造解析手段と、前記射出成形解析によって得られた成形品形状、成形品各部の物性および前記構造解析手段によって得られた解析結果に基づいて製造パラメータを設定する製造パラメータ設定手段を備えてなることを特徴とする射出成形品製造パラメータ決定支援システム。
  2. 前記製造パラメータ設定手段は、成形品の材料、金型温度、射出温度、射出時間、保圧力および保圧・冷却時間のうちいずれか一種以上のパラメータを設定するものである請求項1に記載の射出成形品製造パラメータ決定支援システム。
  3. 前記構造解析用物性データ設定手段は、前記射出成形解析手段によって得られた成形品各部の物性を、予め設定しておいた複数の代表値に近似して、近似した値を構造解析用材料物性データとして設定するものであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の射出成形品製造パラメータ決定支援システム。
  4. 成形品材料として強化材を含む材料を用いて解析する場合における強化材の向きおよび配向度を算出する配向解析手段と、成形品の保圧・冷却工程における成形品各部の密度および収縮歪み量を算出する保圧・冷却解析手段と、保圧・冷却解析手段と配向解析手段から算出される物性値を用いて金型から取り出した後の成形品のそり変形を算出するそり解析手段を備えてなる射出成形品の射出成形過程を解析して成形品形状および成形品各部の物性を算出し、得られた前記成形品形状に基づいて構造解析用形状データを設定し、得られた前記成形品各部の物性に基づいて構造解析用材料物性データを設定し、設定された構造解析用物性データおよび形状データに基づいて構造解析を実施し、前記成形品形状、前記成形品各部の物性および構造解析結果に基づいて製造パラメータを設定出力する、射出成形品製造パラメータ設定方法。
  5. 請求項4に記載の射出成形品製造パラメータ設定方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
  6. 成形品材料として強化材を含む材料を用いて解析する場合における強化材の向きおよび配向度を算出する配向解析手段と、成形品の保圧・冷却工程における成形品各部の密度および収縮歪み量を算出する保圧・冷却解析手段と、保圧・冷却解析手段と配向解析手段から算出される物性値を用いて金型から取り出した後の成形品のそり変形を算出するそり解析手段を備えてなる射出成形品の射出成形過程を解析して成形品形状および成形品各部の物性を算出し、得られた前記成形品形状に基づいて構造解析用形状データを設定し、得られた前記成形品各部の物性に基づいて構造解析用材料物性データを設定し、設定された構造解析用物性データおよび形状データに基づいて構造解析を実施し、前記成形品形状、前記成形品各部の物性および構造解析結果に基づいて製造パラメータを最終決定し、最終決定された製造パラメータに基づいて前記射出成形品を製造する射出成形品の製造方法。
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