JP2003090758A - 成形品の音響特性のシミュレーション方法および装置 - Google Patents

成形品の音響特性のシミュレーション方法および装置

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JP2003090758A
JP2003090758A JP2001281739A JP2001281739A JP2003090758A JP 2003090758 A JP2003090758 A JP 2003090758A JP 2001281739 A JP2001281739 A JP 2001281739A JP 2001281739 A JP2001281739 A JP 2001281739A JP 2003090758 A JP2003090758 A JP 2003090758A
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acoustic characteristic
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acoustic
molding
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Hideto Oi
秀人 大井
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Toray Industries Inc
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品に対し、局所的な物性データを正確に
計算し、音響特性解析において、できる限り正確な物性
データを局所的な領域ごとに与えて計算することによ
り、精度良く音響特性を解析できる、成形品の音響特性
のシミュレーション方法、装置、およびおよびソフトウ
ェアを提供する。 【解決手段】 成形品について、成形過程解析や物性解
析の結果から計算して得られる各微小要素における局所
的な物性データを使用して、成形品の場所による物性の
変化をより正確に取り入れることができる局所的な物性
データに基づいて、より精度の高い成形品の振動特性解
析を行い、更に、これらの解析結果に基づいて音響特性
解析を行って、前記成形品の音響特性を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形品の音響特性
のシミュレーション方法、成形品の音響特性シミュレー
ション装置、および、これらに関連する、成形品の材料
決定方法、成形品の製造方法、成形品の設計方法、プロ
グラム、コンピュータ読みとり可能な記憶媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の技術では、一般に樹脂や金属の成
形品のような構造物における音響特性のシミュレーショ
ンは、解析対象となる構造物に関する固有値解析または
周波数応答解析を行った後に、音圧に関する波動方程式
を求解する音響特性解析(音響解析)を行っており、こ
れにより音響特性を推定していた。なお、ここでいう音
響特性とは、構造物表面の音圧あるいは音圧レベル、騒
音レベルと、構造物周辺の音圧あるいは音圧レベル、騒
音レベルのことを示す。
【0003】例えば、特開2000−205943公報
に記載されている鋼構造物の音響特性推定方法等では、
まず、固有値解析で、密度、弾性係数、ポアソン比とい
った物性値と形状データを入力として、有限要素法等の
数値計算手法を用いて固有振動数や固有モードを求め、
次に、音響特性解析で、構造物の形状、音を伝える媒体
の密度や音速等の物性値と、音源位置と音源が出力する
音圧または加振位置と加振力と、さらに固有値解析結果
で得られた固有振動数や固有モードを入力として、有限
要素法や境界要素法等の数値計算手法を用いて構造物の
音響特性を求めている。
【0004】また、射出成形やブロー成形や押出成形に
よって成形された樹脂の成形品の音響特性をシミュレー
ションする場合においても、繊維強化材料、非繊維強化
材料は、ともに物性値が等方性であると仮定して、固有
値解析または周波数応答解析を行った後に音響特性解析
を行っている。
【0005】そして、この音響特性解析に使用する等方
性の物性値には、曲げ試験器等を使用して求めた平均的
な値を代表値として使用している。また、射出成形によ
って成形された金属の音響特性をシミュレーションをす
る場合においても同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、構造物の音響特
性を精度良くシミュレーションするためには、固有値解
析若しくは周波数応答解析において、固有振動数を正確
に計算することが必要となり、この固有振動数の計算に
際しては、構造物の形状データと密度、弾性係数、ポア
ソン比の物性データが最小限必要となる。
【0007】そして、これらの材料物性が局所的に異な
る場合には、できる限り正確な物性データを局所的な領
域ごとに与えて計算することが解析精度の面から重要と
なる。特に、異方性の特性を持つ場合には、できる限り
正確な異方性のデータを与えて計算することが解析精度
の面から重要となる。
【0008】例えば、射出成形によって作られる樹脂成
形品は厳密には局所的な物性を持っており、発明者の知
見によれば、この局所的な物性が生じる原因は、主とし
て射出成形の充填過程時の流動状態によって生じる繊維
配向や保圧冷却過程時の密度変化や収縮歪み等にあると
考えられる。
【0009】特に、ガラス繊維や炭素繊維等を強化材と
して含んでいる材料は、強化材の配向によって局所的に
材料物性が異なる特徴を持つ。また、保圧冷却過程時の
密度変化や収縮歪みも金型や樹脂の温度分布等の影響を
受けるために、材料物性が局所的に異なる。
【0010】更に、同一形状の成形品であっても、流体
流入ゲート位置や射出圧力、充填時間等の成形条件が異
なれば局所的な物性が異なる。また、同一材料、同一成
形条件の成形品であっても、一部分の肉厚だけが異なる
場合、局所的な物性は異なる。これと同様のことが樹脂
以外の材料や別の成形法についてもあてはまる。
【0011】このように樹脂や金属の成形品の物性は、
材料の種類や強化材の種類はもとより成形方法、成形条
件や成形品の形状によっても局所的に異なるという特徴
がある。
【0012】そのため、固有値解析または周波数応答解
析を行うときに与える物性データを特定するのが難し
く、適切な物性データ値を入力できないため、固有値解
析や周波数応答解析において、固有振動数や固有モード
を正確に計算することができず、これらの固有振動数や
固有モードを入力とする音響特性解析では、正確な音響
特性を推定することが難しいという問題があった。
【0013】本発明の目的は、上記問題点に鑑み、射出
成形やブロー成形等の成形法により製造される成形品に
対し、局所的な物性データを正確に計算し、音響特性解
析において、できる限り正確な物性データを局所的な領
域ごとに与えて計算することにより、精度良く音響特性
を解析できる、成形品の音響特性のシミュレーション方
法、成形品の音響特性シミュレーション装置、および、
この成形品の音響特性のシミュレーション方法を使用す
る成形品の材料決定方法、成形品の製造方法、成形品の
設計方法等を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の成形品の音響特
性のシミュレーション方法は、少なくとも、(1)成形
品の形状を複数の微小要素に分割した計算用モデルを作
成する計算用モデル作成工程と、(2)前記成形品の材
料物性を設定する材料物性設定工程と、(3)前記成形
品の成形条件を設定する成形条件設定工程と、(4)前
記計算用モデルを用いて、前記成形条件および前記材料
物性条件で成形したときの成形過程を解析する成形過程
解析工程と、(5)前記計算用モデルと前記成形過程解
析工程の結果を用いて、各微小要素の局所的な物性デー
タを算出する物性解析工程と、(6)前記計算用モデル
と前記局所的な物性データを用いて、前記成形品の固有
振動数をもとめる固有値解析又は周波数応答解析の少な
くとも一方を含む振動特性解析工程と、(7)前記計算
用モデルと前記固有振動数から前記成形品の音響特性を
もとめる音響特性解析工程とを有して構成される。
【0015】また、上記の成形品の音響特性のシミュレ
ーション方法において、少なくとも、前記(1)〜
(7)の各工程と、(8)前記音響特性があらかじめ定
められた許容範囲内に収まっているか否かを判定する音
響特性判定工程とを有し、前記音響特性判定工程におい
て音響特性が許容範囲内に収まっていないと判定した場
合に、前記(2)の材料物性設定工程に戻って前記
(2)〜(6)の工程を繰り返し、判定条件を満たす材
料物性を探索することを特徴として構成される。
【0016】また、上記の成形品の音響特性のシミュレ
ーション方法において、少なくとも、前記(1)〜
(7)の各工程と、(8)前記音響特性があらかじめ定
められた許容範囲内に収まっているか否かを判定する音
響特性判定工程とを有し、前記音響特性判定工程におい
て音響特性が許容範囲内に収まっていないと判定した場
合に、前記(3)の成形条件設定工程に戻って前記
(3)〜(7)の工程を繰り返し、その判定条件を満た
す成形条件を探索することを特徴として構成される。
【0017】更に、上記の成形品の音響特性のシミュレ
ーション方法において、少なくとも、前記(1)〜
(7)の各工程と、前記(2)の材料物性設定工程の前
の、(1A)前記成形品の肉厚を設定する肉厚設定工程
と前記(7)の音響特性解析工程の後の、(8)前記音
響特性があらかじめ定められた許容範囲内に収まってい
るか否かを判定する音響特性判定工程とを有し、前記音
響特性判定工程において音響特性が許容範囲内に収まっ
ていないと判定した場合に、前記(1A)の肉厚設定工
程に戻って前記(1A)〜(7)の工程を繰り返し、そ
の判定条件を満たす少なくとも一箇所の肉厚を探索する
ことを特徴として構成される。
【0018】そして、上記の成形品の音響特性のシミュ
レーション方法に関係して、次のような成形品の音響特
性シミュレーション装置と、成形品に関する製造方法、
材料決定方法、設計方法、プログラムおよび記憶媒体が
提供される。
【0019】先ず、本発明の成形品の音響特性シミュレ
ーション装置は、少なくとも、(1)成形品の形状を複
数の微小要素に分割した計算用モデルを作成する計算用
モデル作成手段と、(2)前記成形品の材料物性を設定
する材料物性設定手段と、(3)前記成形品の成形条件
を設定する成形条件設定手段と、(4)前記計算用モデ
ルを用いて、前記成形条件および前記材料物性条件で成
形したときの成形過程を解析する成形過程解析手段と、
(5)前記計算用モデルと前記成形過程解析手段の結果
を用いて、各微小要素の局所的な物性データを算出する
物性解析手段と、(6)前記計算用モデルと前記局所的
な物性データを用いて、前記成形品の固有振動数をもと
める固有値解析又は周波数応答解析の少なくとも一方を
含む振動特性解析手段と、(7)前記計算用モデルと前
記固有振動数から前記成形品の音響特性をもとめる音響
特性解析手段とを有して構成される。
【0020】また、上記の成形品の音響特性シミュレー
ション装置において、少なくとも、前記(1)〜(7)
の各手段と、(8)前記音響特性があらかじめ定められ
た許容範囲内に収まっているか否かを判定する音響特性
判定手段と、(9)前記各手段の実行順序および実行回
数を制御する工程制御手段とを有して構成され、前記工
程制御手段は、前記音響特性判定手段が音響特性が許容
範囲内に収まっていないと判定した場合に、前記(2)
の材料物性設定手段に戻って前記(2)〜(6)の手段
を繰り返し、判定条件を満たす材料物性を探索するよう
に制御することを特徴として構成される。
【0021】また、上記の成形品の音響特性シミュレー
ション装置において、少なくとも、前記(1)〜(7)
の各手段と、(8)前記音響特性があらかじめ定められ
た許容範囲内に収まっているか否かを判定する音響特性
判定手段と、(9)前記各手段の実行順序および実行回
数を制御する工程制御手段とを有して構成され、前記工
程制御手段は、前記音響特性判定手段が音響特性が許容
範囲内に収まっていないと判定した場合に、前記(3)
の成形条件手段に戻って前記(3)〜(7)の手段を繰
り返し、その判定条件を満たす成形条件を探索するよう
に制御することを特徴として構成される。
【0022】更に、上記の成形品の音響特性シミュレー
ション装置において、少なくとも、前記(1)〜(7)
の各手段と、前記(2)の材料物性設定手段の前に実行
される、(1A)前記成形品の肉厚を設定する肉厚設定
手段と、前記(7)の音響特性解析手段の後に実行され
る、(8)前記音響特性があらかじめ定められた許容範
囲内に収まっているか否かを判定する音響特性判定手段
と、(9)前記各手段の実行順序および実行回数を制御
する工程制御手段とを有して構成され、前記工程制御手
段は、前記音響特性判定手段が音響特性が許容範囲内に
収まっていないと判定した場合に、前記(1A)の肉厚
設定手段に戻って前記(1A)〜(7)の手段を繰り返
し、その判定条件を満たす少なくとも一箇所の肉厚を探
索するように制御することを特徴として構成される。
【0023】そして、本発明の成形品の材料決定方法
は、上記の成形品の音響特性シミュレーション方法によ
り、少なくとも材料物性のパラメータを決定し、そのパ
ラメータにより成形品の材料を決定することを特徴とし
て構成される。
【0024】また、本発明の成形品の製造方法は、上記
の成形品の音響特性シミュレーション方法により、少な
くとも成形条件のパラメータを決定し、そのパラメータ
により成形品を製造することを特徴として構成される。
【0025】また、本発明の成形品の設計方法は、上記
の成形品の音響特性シミュレーション方法により、成形
品の少なくとも一箇所の肉厚のパラメータを決定し、そ
のパラメータにより成形品の構造を決定することを特徴
として構成される。
【0026】更に、本発明のプログラムは、上記の成形
品の音響特性のシミュレーション方法をコンピュータに
実行させるためのプログラムとして構成される。
【0027】そして、本発明のコンピュータ読みとり可
能な記憶媒体は、上記のプログラムを記録したコンピュ
ータ読みとり可能な記憶媒体として構成される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】なお、以下に述べる実施の形態は、好適な
実施の形態とするため、技術的に好適と考えられる種々
の限定を付して示しているが、本発明の範囲は、以下の
説明において、特に、本発明の構成を限定する旨の記載
がない限り、以下の実施の形態に限定されるものではな
い。
【0030】最初に、本発明の実施の形態の成形品の音
響特性シミュレーション方法について、図1の各工程
(各手順)の例を示したフローチャートを参照しながら
説明する。
【0031】この図1に示すのフローチャートに基づく
実施の形態では、スタートすると、先ず、ステップ11
の計算用モデル作成工程で計算用モデルを作成する。
【0032】この計算用モデルの作成方法に関しては、
「I−DEAS(SDRC社製)」、「CATIA(D
assault社製)」、「Unigraphics
(UGS社製)」といった多くのCADソフトウェアに
搭載されている既存の技術があり、3次元CADデータ
から中立面を作成し、2次元シェル要素を自動作成した
り、CADデータを直接利用して3次元ソリッド要素を
自動作成する方法等がある。
【0033】また、汎用の計算用モデル作成ソフト(例
えば「MSC社のPATRAN」)の、2次元の図面よ
り中立面を考慮して2次元シェル要素を作成したり、3
次元ソリッド要素を作成する方法等がある。
【0034】次に、ステップ12の材料物性設定工程で
材料物性設定部材料物性の設定を行う。ここで与えられ
る材料物性は、成形される材料の粘度、比熱、熱伝導
率、熱伝達率、密度、固化温度、縦弾性係数、材料の圧
力と比容積と温度の関係を示すP−V−T特性等であ
る。また、成形品の材料としては、ポリアミド、PB
T、ポリカーボネード等の樹脂材料やマグネシウム合金
等の金属材料等様々な材料を使用できる。更に、材料の
強化材としては、ガラス繊維や炭素繊維等が用いられる
が、必ずしも繊維である必要はない。
【0035】次に、ステップ13の成形条件設定工程で
成形条件の設定を行う。
【0036】ここで与えられる成形条件は、例えば、射
出成形で成形される成形品の場合は、射出圧力、射出温
度、充填時間、保圧時間、冷却時間、流体流入ゲート位
置、金型温度等である。
【0037】次に、ステップ14の成形過程解析工程で
成形過程解析を行う。
【0038】この成形過程解析では、入力データとして
はステップ11で作成された計算用モデル、ステップ1
2で作成された材料物性データ、ステップ13で作成さ
れた成形条件データや解析条件データが与えられ、出力
データとして各微小要素の体積収縮率、密度、更に強化
材を含有する材料の場合は強化材の向き、配向度等が得
られる。
【0039】この配向度とは、ある局所的な領域内で強
化材がどの程度同じ方向を向いているかを示す値であ
る。例えば、配向度1とはある局所的な領域内で全ての
強化材が同じ向きになっていることを示し、配向度0と
はある局所的な領域内で強化材が全くランダムな向きに
なっていることを示す。
【0040】次に、ステップ15の物性解析工程で物性
解析を行う。この物性解析では、ステップ15で計算し
た成形過程解析の結果に加え、材料物性データが入力と
なり、最終的に出力データとして、各微小要素の異方性
の縦弾性係数や密度等の局所的な物性データが得られる
次に、ステップ16の振動特性解析工程で固有値解析又
は周波数応答解析等の振動特性解析を行う。そして、図
1および図2のフローチャートでは固有値解析を行う。
この固有値解析では、入力データとして、境界条件デー
タ、成形品の形状データおよび縦弾性係数やポアソン
比、密度等の物性データが与えられ、出力データとし
て、固有振動数や固有振動数に対する変形モード等のデ
ータが得られる。
【0041】この固有値解析において使用する物性値と
しては、局所的な変化を反映させた値を使用し、ステッ
プ15での成形過程解析で得られた成形品の局所的な物
性値である、密度・収縮歪み量等の各微小要素の局所的
な物性値を固有値解析用の物性データとして設定する。
また、強化材を含有する材料の場合は、更に強化材の向
き、配向度等から算出した物性値も使用する。
【0042】なお、ステップ16の振動特性解析工程で
は、固有値解析の代わりに周波数応答解析を行ってもよ
い。この周波数応答解析では、入力データとして、境界
条件データ、成形品の形状データ、物性データおよび外
力や強制変位等の荷重データ等が与えられ、出力として
は固有振動数や固有振動数に対する変形モードや変形量
データ、応力データが得られる。
【0043】次に、ステップ17の音響特性解析工程で
音響特性解析を行う。この音響特性解析では、ステップ
11で作成された計算用モデルや、ステップ16で得ら
れた固有振動数データや、音を伝達する媒体の物性値や
音源位置と音源の出力する音圧若しくは成形品の加振位
置と加振力や減衰係数を入力とし、出力として成形品表
面の音圧分布や音圧レベル分布や騒音レベル分布や成形
品周辺の音を伝達する媒体の音圧分布や音圧レベル分布
や騒音レベル分布等が得られる。
【0044】続いて、ステップ18の音響特性判定工程
で騒音レベルを判定する。このステップ18は、必要に
応じて付加されるもので、音響特性解析で求めた音圧あ
るいは音圧レベル、騒音レベルがあらかじめ設定した判
定基準に収まっているか否かを判定するものである。
【0045】そして、音圧あるいは音圧レベル、騒音レ
ベルが判定基準に収まっている場合は、ステップ21の
成形条件・材料・構造決定工程で、成形条件、材料の種
類、構造を決定し、このシミュレーションを終了する。
【0046】また、ステップ18の音響特性判定工程の
判定で、音圧あるいは音圧レベル、騒音レベルが判定基
準に収まっていない場合は、ステップ19に行き、修正
項目判断工程で修正項目を判断し、必要に応じて、成形
条件、材料物性条件、肉厚といった項目に関してパラメ
ータを変更し、成形条件、材料物性条件、肉厚を再設定
する。
【0047】そして、ステップ19の修正項目判断工程
の判断で、成形条件を変更する場合には、設定した値に
基づいて再びステップ13の成形条件設定工程からステ
ップ17の音響解析工程までの解析を実行し、また、材
料物性条件を変更する場合には、ステップ12の材料物
性設定工程まで逆上って、ステップ12からステップ1
7までを実行し、再度、ステップ18の音響特性判定工
程にて騒音レベルを判断することを繰り返し、騒音レベ
ルが判定基準内に収まるようにパラメータを決定する。
【0048】そして、ステップ19の修正項目判断工程
の判断で、肉厚を変更する場合には、ステップ20の肉
厚設定工程で、肉厚を設定した後、ステップ12の材料
物性設定工程まで逆上って、ステップ12からステップ
17までを実行し、再度、ステップ18の判定工程にて
騒音レベルを判断することを繰り返し、騒音レベルが判
定基準内に収まるようにパラメータを決定する。この肉
厚の変更は、成形品の全体の肉厚を一様に変更してもよ
いが、最適な肉厚分布を持つ成形品を得るために、成形
品の一部分の肉厚を変更して、繰り返し計算する。
【0049】なお、図1および図2のフローチャート
は、2次元シェル要素で計算用モデルを作成し、肉厚の
差を材料物性に反映させて入力する場合を示しているた
め、ステップ12の材料物性設定工程まで逆上るが、3
次元ソリッド要素で計算用モデルを作成し、肉厚の差を
計算用モデルで反映する場合は、ステップ11の計算用
モデル作成工程まで逆上ることになる。
【0050】この場合、ステップ19の修正項目判断工
程にて、変更する項目を決定し、変更する項目に関して
許容範囲内に収まるようなパラメータを決定する。この
変更する項目は、予めシミュレーションを実行する前に
定めておいても構わないし、シミュレーション実行中に
決定しても構わない。
【0051】また、変更するパラメータの探索方法に関
しては、例えば、音圧レベルを評価関数として、数理最
適化の手法である準ニュートン法、シミュレーティッド
・アニーリング法、遺伝的アルゴリズム法、実験計画法
等を用いる方法や、オペレータが経験的に決定する方法
等がある。
【0052】次に、図2のフローチャートを参照して、
ステップ14の成形過程解析とステップ15の物性解析
について、射出成形を例にとり詳しく説明する。
【0053】この図2は、図1のステップ14の成形過
程解析工程を、射出成形過程の解析の工程に従ってより
詳しく示したものである。従って、ステップ14−1か
らステップ14−3以外は図1と全く同一である。
【0054】まず、射出成形過程の解析では、ステップ
14−1の流動解析工程で流動解析を行う。この流動解
析では、入力データとして、ステップ11の計算用モデ
ル作成工程で作成された計算用モデル、ステップ12の
材料物性設定工程で作成された材料物性データ、ステッ
プ13の成形条件設定工程で作成された成形条件データ
や解析条件データを得て、材料挙動データ、材料温度デ
ータ、圧力データ、粘度データ等のデータが出力データ
として得られる。
【0055】続いて、ステップ14−2の保圧・冷却解
析工程で保圧冷却解析を行う。この保圧冷却解析では、
材料物性データ、成形条件データに加え、ステップ14
−1の流動解析工程で得られた流動解析の結果を入力デ
ータとして、各微小要素の体積収縮率、密度等が出力デ
ータとして得られる。
【0056】続いて、ステップ14−3の強化材配向解
析工程で強化材配向解析を行う。この強化材配向解析に
おいても、流動解析の結果を入力データとして、各微小
要素の強化材配向や配向度等が出力データとして得られ
る。なお強化材を含有しない材料の場合には、この工程
は省略できる。
【0057】次に、ステップ15の物性解析工程におい
て物性解析を行う。この物性解析では、ここまでの間に
計算した流動解析、保圧冷却解析、強化材配向解析の結
果に加え、材料物性データを入力として、最終的に各微
小要素の異方性の縦弾性係数や密度等の局所的な物性デ
ータが出力データとして得られる。
【0058】次に、上記で説明した成形品の音響特性の
シミュレーション方法を実行するための成形品の音響特
性シミュレーション装置について説明する。
【0059】図3に示すように、この音響特性シミュレ
ーション装置100においては、コンピューター101
に補助記憶装置102、入力装置103、出力装置10
4が接続されている。
【0060】このコンピュータ101の主記憶装置上に
は、計算用モデル作成手段111、材料物性設定手段1
12、成形条件設定手段113、成形過程解析手段11
4、物性解析手段115、振動特性解析手段(固有値解
析手段、周波数応答解析手段)116、音響特性解析手
段117、音響特性判定手段(音圧判定手段)118、
修正項目判断手段119、肉厚設定手段120、成形条
件・材料・構造決定手段121、工程制御手段122等
が記憶されている。
【0061】つまり、本発明の実施の形態である音響特
性シミュレーション装置100は、計算用モデル作成手
段111、材料物性設定手段112、成形条件設定手段
113、成形過程解析手段114、物性解析手段11
5、振動特性解析手段(固有値解析手段、周波数応答解
析手段)116、音響特性解析手段117、音響特性判
定手段118、修正項目判断手段119、肉厚設定手段
120、成形条件・材料・構造決定手段121、工程制
御手段122を有して構成される。
【0062】そして、この計算用モデル作成手段111
は、図1および図2のステップ11の計算用モデル作成
工程を実行する手段で、成形品の形状を複数の微小要素
に分割した計算用モデルを作成し、材料物性設定手段1
12は、ステップ12の材料物性設定工程を実行して成
形品の材料物性を設定し、成形条件設定手段113は、
ステップ13の成形条件設定工程を実行して成形品の成
形条件を設定する。
【0063】また、成形過程解析手段114は、ステッ
プ14の成形過程解析工程を実行し、計算用モデルを用
いて、前記成形条件および前記材料物性条件で成形した
ときの成形過程を解析する。
【0064】この成形過程解析手段114としては、例
えば、成形品が射出成形で成形されるものであれば、公
知の射出成形解析システム(例えば「TIMON(東レ
株式会社製)」)により実現されているものを使用でき
る。また、成形品がブロー成形で成形されるものであれ
ば、公知のブロー成形解析システムにより実現されてい
るものを使用すればよく、成形品が鋳造によって成形さ
れるものであれば公知の鋳造成形過程解析によって実現
されているものを使用できる。
【0065】そして、物性解析手段115は、ステップ
15の物性解析工程を実行して、固有値解析用の物性デ
ータを作成する手段であり、ステップ11で作成された
計算用モデルとステップ12〜14で実施した成形過程
解析で得られた成形品各部の局所的な物性値を用いて、
各微小要素の局所的な物性データを算出し、固有値解析
用物性データとして設定する。
【0066】この局所的な変化を反映する各微小要素の
局所的な物性値は、成形過程解析で得られた密度・収縮
ひずみ量等であり、更に強化材を含有する材料の場合に
は、強化材の向きや配向度を考慮に入れて計算される値
である。
【0067】この計算によって得られた各微小要素の局
所的な物性データをそのまま固有値解析用物性データと
して使用しても良いし、複数の微小要素の代表値を設定
することより、局所的な物性データの量を低減して、こ
れらの代表値を固有値解析用物性データとして使用して
もよい。
【0068】振動特性解析手段116は、固有値解析手
段や周波数応答解析手段の少なくとも一方を含む手段で
あり、固有値解析手段で解析する図1の場合には、ステ
ップ16の固有値解析を実行する手段となる。この手段
としては、公知の構造解析システム(例えば「ABAQ
US(HKS社製)」、「NASTRAN(MSC社
製)」)により実現されているものを使用できる。な
お、この固有値解析手段の代りに周波数応答解析手段を
用いてもよい。
【0069】音響特性解析手段117は、計算用モデル
と固有振動数を用いて、ステップ17の音響解析を実行
する手段であり、この手段としては公知の音響解析シス
テム(例えば「SYSNOISE(LMS社製」)によ
り実現されているものを使用できる。
【0070】そして、音響特性判定手段(音圧判定手
段)118は、音響特性があらかじめ定められた許容範
囲内に収まっているかどうか判定する判定手段である。
【0071】修正項目判断手段119は、ステップ19
の修正項目判断工程で修正項目を判断し、必要に応じ
て、成形条件、材料物性条件、肉厚といった項目に関し
てパラメータを変更するか否かを判断し、変更磨る」項
目を選択する手段である。
【0072】肉厚設定手段120は、音響特性判定手段
118で、音響特性が許容範囲内に収まっていないと判
定した場合に実行される手段で、成形品の肉厚を設定す
る手段である。
【0073】また、成形条件・材料・構造決定手段12
1は、音響特性判定手段118で、音響特性が許容範囲
内に収まっていると判定された場合に実行される手段
で、成形条件、材料の種類、構造を決定する。
【0074】そして、工程制御手段122は、各手段が
実行される順序や回数等を管理および制御する手段であ
り、音響特性判定手段118が、音響特性解析手段11
7の解析で得られた音響特性が許容範囲内に収まってい
ないと判定した場合に、成形条件設定手段113に戻
り、成形条件設定手段113〜振動特性解析手段116
の手段を繰り返し、判定条件を満たす成形条件を探索す
るように構成される。つまり、材料物性設定手段112
で設定された成形品の材料物性を固定したまま、成形条
件設定手段113〜振動特性解析手段116の手段を繰
り返す。
【0075】また、この工程制御手段122は、成形品
の材料物性を固定したままの繰り返しで、音響特性判定
手段118が、音響特性解析手段117の解析で得られ
た音響特性が許容範囲内に収まらないと判定した場合
に、修正項目判断手段119の判断で、パラメータの変
更範囲を拡げて、材料物性設定手段112に戻り、材料
物性設定手段112〜振動特性解析手段116の手段を
繰り返し、判定条件を満たす成形条件を探索するように
構成される。
【0076】そして、この工程制御手段122は、成形
品の材料物性を変更しても、板厚を固定したままの繰り
返しで、音響特性判定手段118が、音響特性解析手段
117の解析で得られた音響特性が許容範囲内に収まら
ないと判定した場合に、修正項目判断手段119の判断
により、肉厚設定手段120で肉厚を変更および設定
し、材料物性設定手段112に戻り、材料物性設定手段
112〜振動特性解析手段116を繰り返して、判定条
件を満たす成形条件を探索するように構成される。
【0077】そして、この音響特性シミュレーション装
置100においては、例えば、解析する成形品の計算用
モデルと境界条件、成形条件、材料物性条件を入力とす
る場合は、これらの条件の入力を入力装置103が受け
付けて、補助記憶装置102に格納する。そして、オペ
レータの指示の入力により、コンピュータ101内の演
算処理装置が、これらの条件を内部の主記憶装置に読み
込んで解析モデルデータ(計算用モデルと境界条件、成
形条件、材料物性条件)を作成して、成形過程解析、固
有値解析、音響特性解析を実行する。そして、必要に応
じて、オペレータの入力により、境界条件、成形条件、
材料物性条件を変更して再び解析を行う。
【0078】あるいは、解析モデルデータを入力とする
場合は、この解析モデルデータの入力を入力装置103
が受け付けて、補助記憶装置102に格納する。そし
て、オペレータの指示の入力により、コンピュータ10
1内の演算処理装置が、この解析モデルデータを内部の
主記憶装置に読み込み、射出成形解析、固有値解析、音
響特性解析を実行する。
【0079】そして、演算処理装置が行った解析の結果
は出力装置に出力する。この解析結果の出力は、別途用
意したプリンタ装置に対して行ってもよく、補助記憶装
置102に格納してもよい。この格納の場合には、この
解析結果の出力を別の解析装置の入力データとして利用
することもできる。
【0080】以上の通り、本発明の実施の形態の成形品
の音響特性のシミュレーション方法および成形品の音響
特性シミュレーション装置は、コンピュータのメモリ上
のプログラムおよびデータ並びに中央演算装置の動作に
よって実現される。かかるコンピュータプログラムは、
フレキシブルディスク、CD−ROMといったコンピュ
ータ読み取り可能な有形記憶媒体、又は、無線若しくは
有線のネットワーク等の伝送媒体を通じて流通される。
【0081】
【実施例】以下に、上記の実施の形態の成形品の音響特
性のシミュレーション方法、および成形品の音響特性シ
ミュレーション装置による計算実施例を、樹脂の射出成
形による成形品を例にとり、図4〜図12を参照しなが
ら詳細に説明する。
【0082】なお、下記のいずれの実施例においても、
ステップ14−1から14−3の一連の解析では「東レ
株式会社製射出成形解析システムTIMON」を使用
し、固有値解析には「HKS社製構造解析システムAB
AQUS」を使用し、音響解析には「LMS社製音響解
析システムSYSNOISE」を使用した。
【0083】[実施例1]ここでは、図4に示す箱形の
射出成形による樹脂成形品40を、計算機でシミュレー
ションする場合の実施例について説明する。この箱形4
0の樹脂成形品のサイズは、幅100m×70mm、高
さ30mmで、内部のリブ41の高さは10mm、肉厚
は全ての部分で1mmである。
【0084】まず、図1のフローチャートのステップ1
1で、図3の入力装置103より入力された図5に示す
ような四辺形の2次元シェル要素を微小要素とした計算
用モデル50を入力してデータ保存装置102に保存
し、その後主記憶装置上に読み込む。
【0085】次のステップ12で材料物性条件(使用材
料:ガラス繊維強化材含有率30%のポリアミド6樹
脂)を入力し、ステップ13で成形条件(射出温度:2
80℃、金型温度:80℃、充填時間:1s、流体流入
路位置:2カ所、保圧20MPa、保圧時間20s)、
および、境界条件、初期条件を入力装置103より入力
した。なお、図6は図5の計算用モデル50を底面側か
ら見たものであり、2カ所の流体流入ゲート51および
52が底面に設定されている。
【0086】これらの入力データを使用して、ステップ
14−1にて流動解析、ステップ14−2にて保圧・冷
却解析、ステップ14−3にて強化材配向解析を順番に
実行した。図7は箱形の成形品の強化材であるガラス繊
維の配向解析結果を示す図で、矢印が微小要素ごとの繊
維の向きを示している。
【0087】次のステップ15にて、成形過程解析手段
114で作成された流動解析、保圧冷却解析、強化材配
向解析の結果と材料物性データを入力として、各微小要
素の異方性の縦弾性係数や密度等の局所的な物性データ
を得た。
【0088】次のステップ16にて、ステップ15で得
られた局所的な物性データを使用して固有値解析を実行
した。境界条件は全節点で自由とした。この解析では例
えば図8に1例を示す固有モード解析結果が得られる。
この図8では139Hzで出現した1次モードの変形を
示している。
【0089】次に、ステップ17にて音響特性解析を行
った。境界条件として図9に示すように底面中央部の加
振位置61に振幅0.2Nの加振力を与えた。また、音
を伝える媒体は空気とし、その物性値として音速340
m/s、密度1.22kg/m3 を与え、減衰係数は
0.01とした。
【0090】図9に音響特性解析で得られた音圧分布の
1例をしめす。この図9は成形品の50mm上方の部分
の210mm×240mmの大きさ測定面の音圧分布を
示している。この音響特性解析では図9の測定面上に最
大87dBの音圧レベルが発生している。
【0091】[実施例2]実施例1の樹脂成形品に対し
て、ステップ19で修正項目を判断し、オペレータの手
動作業によって流体流入ゲート位置を変更して再計算を
行った。この再計算では、図10に示すように流体流入
ゲート位置53は底面中央の1点とした。その他の成形
条件、材料物性条件、境界条件、初期条件は実施例1と
同一とした。
【0092】材料物性条件の変更はないためステップ1
3に戻り、成形条件(射出温度:280℃、金型温度:
80℃、充填時間:1s、流体流入路位置:1カ所、保
圧20MPa、保圧時間20s)、および、境界条件、
初期条件を入力装置103より入力した。これらの入力
データを使用して、ステップ14−1にて流動解析、ス
テップ14−2にて保圧・冷却解析、ステップ14−3
にて強化材配向解析を順番に実行した。
【0093】次に、ステップ15にて、成形過程解析手
段で作成された流動解析、保圧冷却解析、強化材配向解
析の結果と材料物性データを入力として、各微小要素の
異方性の縦弾性係数や密度等の局所的な物性データを得
た。
【0094】次に、ステップ16にて、ステップ15で
得られた局所的な物性データを使用して固有値解析を実
行した。境界条件は全節点で自由とした。
【0095】次に、ステップ17にて、音響解析を行っ
た。境界条件として図11に示すように底面中央部の加
振位置62に振幅0.2Nの加振力を与えた。また、音
を伝える媒体は空気とし、その物性値として音速340
m/s、密度1.22kg/m3 を与え、減衰係数は
0.01とした。
【0096】図11に音響解析で得られた音圧分布の1
例をしめす。この図11は、成形品の50mm上方の部
分の210mm×240mmの大きさ測定面の音圧分布
を示している。図11の測定面上では最大80dBの音
圧レベルが発生し、実施例1より7dB減少し、これに
より、実施例2の流体流入ゲート位置53が、実施例1
の流体流入ゲート位置51、52よりも好ましい位置に
あることを確認することができた。
【0097】[実施例3]実施例2の樹脂成形品に対し
て、ステップ19で修正項目を判断し、オペレータの手
動作業によって使用材料を変更して再計算を行った。こ
の再計算では、使用材料をガラス強化材含有率30%の
ポリアミド66樹脂に変更し、成形条件、境界条件、初
期条件は実施例2と同一とした。
【0098】ステップ12に戻り、材料物性条件(使用
材料:ガラス繊維強化材含有率30%のポリアミド66
樹脂)を入力し、ステップ13で成形条件(射出温度:
280℃、金型温度:80℃、充填時間:1s、流体流
入路位置:1カ所、保圧20MPa、保圧時間20
s)、および、境界条件、初期条件を入力装置103よ
り入力した。
【0099】これらの入力データを使用して、ステップ
14−1にて流動解析、ステップ14−2にて保圧・冷
却解析、ステップ14−3にて強化材配向解析を順番に
実行した。
【0100】次に、ステップ15にて、射出成形解析手
段で作成された流動解析、保圧冷却解析、強化材配向解
析の結果と材料物性データを入力として、各微小要素の
異方性の縦弾性係数や密度等の局所的な物性データを得
た。
【0101】次に、ステップ16にて、ステップ15で
得られた局所的な物性データを使用して固有値解析を実
行した。境界条件は全節点で自由とした。
【0102】次に、ステップ17にて音響解析を行っ
た。境界条件は図12に示すように底面中央部の加振位
置63に振幅0.2Nの加振力を与えた。また、音を伝
える媒体は空気とし、その物性値として音速340m/
s、密度1.22kg/m3 を与え、減衰係数は0.0
1とした。
【0103】図12に音響解析で得られた音圧分布の1
例をしめす。この図では成形品の50mm上方の部分の
210mm×240mmの大きさ測定面の音圧分布を示
している。図12の測定面上では最大79dBの音圧レ
ベルが発生し、実施例2より1dB減少した。これによ
り、実施例3の材料の方が、実施例2の材料よりも好ま
しい材料となっていることを確認することができた。
【0104】
【発明の効果】本発明の成形品の音響特性のシミュレー
ション方法、成形品の音響特性シミュレーション装置等
によれば、射出成形等の成形法により製造された成形品
に対し、局所的な物性データを正確に計算することによ
り、音響特性解析において、できる限り正確な物性デー
タを局所的な領域ごとに与えて計算することができるの
で、精度良く音響特性を解析することができる。
【0105】つまり、射出成形品等の繊維配向や密度変
化や収縮歪み等によって局所的に物性が変化する成形品
について、平均的な値等の代表的な物性データを使用せ
ずに、成形過程解析や物性解析の結果から計算して得ら
れる各微小要素における局所的な物性データを使用し
て、成形品の場所による物性の変化をより正確に取り入
れることができる局所的な物性データに基づいて、より
精度の高い成形品の固有値解析又は周波数応答解析を行
い、更に、これらの解析結果に基づいて音響特性解析を
行うので、より正確に、成形品の音響特性を求めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形品の音響特性のシミュレーション
方法の手順の例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の成形品の音響特性のシミュレーション
方法の手順の例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の成形品の音響特性のシミュレーション
方法の解析装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施例において用いた成形品の例を示
す図である。
【図5】本発明の実施例において用いた計算用モデルの
微小要素集合の例を示す図である。
【図6】本発明の実施例において用いた計算用モデルの
微小要素集合の例を示す図である。
【図7】図5の計算用モデルに対して1点の流体流入ゲ
ート位置を設定した条件で射出成形解析を行って得られ
た繊維配向の分布を示す図である。
【図8】図5の計算用モデルに対して固有値解析を行っ
て得られた1次モードの変形を示す図である。
【図9】図5の計算用モデルに対して音響特性解析を行
って得られた音圧の分布を示す図である。
【図10】本発明の実施例において用いた計算用モデル
の微小要素集合の例を示す図である。
【図11】図10の計算用モデルに対して音響特性解析
を行って得られた音圧の分布を示す図である。
【図12】図10の計算用モデルに対して音響特性解析
を行って得られた音圧の分布を示す図である。
【符号の説明】
50 箱形形状の微小要素に分割された有限要素モデル 51,52,53 流体流入ゲート 61,62,63 加振位置 101 コンピュータ 102 補助記憶装置 103 入力装置 104 出力装置 111 計算用モデル作成手段 112 材料物性設定手段 113 成形条件設定手段 114 成形過程解析手段 115 物性解析手段 116 振動特性解析手段 117 音響特性解析手段 118 音響特性判定手段(音圧判定手段) 119 修正項目判断手段 120 肉厚設定手段 121 成形条件・材料・構造決定手段 122 工程制御手段122

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、 (1)成形品の形状を複数の微小要素に分割した計算用
    モデルを作成する計算用モデル作成工程と、 (2)前記成形品の材料物性を設定する材料物性設定工
    程と、 (3)前記成形品の成形条件を設定する成形条件設定工
    程と、 (4)前記計算用モデルを用いて、前記成形条件および
    前記材料物性条件で成形したときの成形過程を解析する
    成形過程解析工程と、 (5)前記計算用モデルと前記成形過程解析工程の結果
    を用いて、各微小要素の局所的な物性データを算出する
    物性解析工程と、 (6)前記計算用モデルと前記局所的な物性データを用
    いて、前記成形品の固有振動数をもとめる固有値解析又
    は周波数応答解析の少なくとも一方を含む振動特性解析
    工程と、 (7)前記計算用モデルと前記固有振動数から前記成形
    品の音響特性をもとめる音響特性解析工程とを有する成
    形品の音響特性のシミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも、 前記(1)〜(7)の各工程と、 (8)前記音響特性があらかじめ定められた許容範囲内
    に収まっているか否かを判定する音響特性判定工程とを
    有し、 前記音響特性判定工程において音響特性が許容範囲内に
    収まっていないと判定した場合に、前記(2)の材料物
    性設定工程に戻って前記(2)〜(6)の工程を繰り返
    し、判定条件を満たす材料物性を探索することを特徴と
    する請求項1記載の成形品の音響特性のシミュレーショ
    ン方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも、 前記(1)〜(7)の各工程と、 (8)前記音響特性があらかじめ定められた許容範囲内
    に収まっているか否かを判定する音響特性判定工程とを
    有し、 前記音響特性判定工程において音響特性が許容範囲内に
    収まっていないと判定した場合に、前記(3)の成形条
    件設定工程に戻って前記(3)〜(7)の工程を繰り返
    し、その判定条件を満たす成形条件を探索することを特
    徴とする請求項1記載の成形品の音響特性のシミュレー
    ション方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも、 前記(1)〜(7)の各工程と、 前記(2)の材料物性設定工程の前の、(1A)前記成
    形品の肉厚を設定する肉厚設定工程と前記(7)の音響
    特性解析工程の後の、 (8)前記音響特性があらかじめ定められた許容範囲内
    に収まっているか否かを判定する音響特性判定工程とを
    有し、前記音響特性判定工程において音響特性が許容範
    囲内に収まっていないと判定した場合に、前記(1A)
    の肉厚設定工程に戻って前記(1A)〜(7)の工程を
    繰り返し、その判定条件を満たす少なくとも一箇所の肉
    厚を探索することを特徴とする請求項1記載の成形品の
    音響特性のシミュレーション方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも、 (1)成形品の形状を複数の微小要素に分割した計算用
    モデルを作成する計算用モデル作成手段と、 (2)前記成形品の材料物性を設定する材料物性設定手
    段と、 (3)前記成形品の成形条件を設定する成形条件設定手
    段と、 (4)前記計算用モデルを用いて、前記成形条件および
    前記材料物性条件で成形したときの成形過程を解析する
    成形過程解析手段と、 (5)前記計算用モデルと前記成形過程解析手段の結果
    を用いて、各微小要素の局所的な物性データを算出する
    物性解析手段と、 (6)前記計算用モデルと前記局所的な物性データを用
    いて、前記成形品の固有振動数をもとめる固有値解析又
    は周波数応答解析の少なくとも一方を含む振動特性解析
    手段と、 (7)前記計算用モデルと前記固有振動数から前記成形
    品の音響特性をもとめる音響特性解析手段とを有して構
    成される成形品の音響特性シミュレーション装置。
  6. 【請求項6】 少なくとも、 前記(1)〜(7)の各手段と、 (8)前記音響特性があらかじめ定められた許容範囲内
    に収まっているか否かを判定する音響特性判定手段と、 (9)前記各手段の実行順序および実行回数を制御する
    工程制御手段とを有して構成され、 前記工程制御手段は、前記音響特性判定手段が音響特性
    が許容範囲内に収まっていないと判定した場合に、前記
    (2)の材料物性設定手段に戻って前記(2)〜(6)
    の手段を繰り返し、判定条件を満たす材料物性を探索す
    るように制御することを特徴とする請求項5記載の成形
    品の音響特性シミュレーション装置。
  7. 【請求項7】 少なくとも、 前記(1)〜(7)の各手段と、 (8)前記音響特性があらかじめ定められた許容範囲内
    に収まっているか否かを判定する音響特性判定手段と、 (9)前記各手段の実行順序および実行回数を制御する
    工程制御手段とを有して構成され、 前記工程制御手段は、前記音響特性判定手段が音響特性
    が許容範囲内に収まっていないと判定した場合に、前記
    (3)の成形条件手段に戻って前記(3)〜(7)の手
    段を繰り返し、その判定条件を満たす成形条件を探索す
    るように制御することを特徴とする請求項5記載の成形
    品の音響特性シミュレーション装置。
  8. 【請求項8】 少なくとも、 前記(1)〜(7)の各手段と、 前記(2)の材料物性設定手段の前に実行される、(1
    A)前記成形品の肉厚を設定する肉厚設定手段と、 前記(7)の音響特性解析手段の後に実行される、 (8)前記音響特性があらかじめ定められた許容範囲内
    に収まっているか否かを判定する音響特性判定手段と、 (9)前記各手段の実行順序および実行回数を制御する
    工程制御手段とを有して構成され、 前記工程制御手段は、前記音響特性判定手段が音響特性
    が許容範囲内に収まっていないと判定した場合に、前記
    (1A)の肉厚設定手段に戻って前記(1A)〜(7)
    の手段を繰り返し、その判定条件を満たす少なくとも一
    箇所の肉厚を探索するように制御することを特徴とする
    請求項5記載の成形品の音響特性シミュレーション装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項2に記載の音響特性シミュレーシ
    ョン方法により、少なくとも材料物性のパラメータを決
    定し、そのパラメータにより成形品の材料を決定するこ
    とを特徴とする成形品の材料決定方法。
  10. 【請求項10】 請求項3に記載の音響特性のシミュレ
    ーション方法により、少なくとも成形条件のパラメータ
    を決定し、そのパラメータにより成形品を製造すること
    を特徴とする成形品の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項4に記載の音響特性のシミュレ
    ーション方法により、成形品の少なくとも一箇所の肉厚
    のパラメータを決定し、そのパラメータにより成形品の
    構造を決定することを特徴とする成形品の設計方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜4のいずれかに記載の音響
    特性のシミュレーション方法をコンピュータに実行させ
    るためのプログラム。
  13. 【請求項13】 請求項12記載のプログラムを記録し
    たコンピュータ読みとり可能な記憶媒体。
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