JP2008155248A - 鋳物の伝熱凝固解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳物の伝熱凝固解析の精度を向上させると共に伝熱凝固解析における計算負荷を低減し、解析処理時間を著しく短縮する。
【解決手段】複数の要素から形成される解析モデルを用いた鋳物の伝熱凝固解析方法であって、前記鋳物の溶湯の凝固前の熱物性値を用いて相互に隣接する前記要素間の伝熱計算を実行する段階(S210)と、伝熱計算に基づき前記要素の冷却速度を算出する段階(S220〜S230)と、算出した冷却速度に基づき、前記鋳物の共晶凝固が開始されるときの凝固時の熱物性値と前記鋳物の共晶凝固が完了した後の凝固後の熱物性値とを算出する段階(S240)と、前記冷却速度から算出した前記凝固時の熱物性値および前記凝固後の熱物性値を用いて伝熱凝固解析を実行する段階(S260〜S280)と、を含んでいる。
【選択図】図2

Description

本発明は、鋳物の伝熱凝固解析方法に係り、詳細には、電子計算機によるシミュレーションを利用した伝熱凝固解析方法に関する。
健全で安価な鋳物を製造するためには、鋳造品の形状や鋳造の設計方針を事前に検討することが必要である。そのための手段の一つとして、電子計算機(以下、「コンピュータ」と称する)を用いた鋳造解析が広く用いられている。
鋳造解析の種類は、流動解析、変形解析、伝熱凝固解析など多岐に渡り、特に、伝熱凝固解析は、鋳物の機械的特性の予測(例えば、鋳物の硬度や強度)、引け巣の予測、または金属組織の不良による鋳造欠陥の予測をするための重要な解析方法である。
一般的な伝熱凝固解析は、解析モデル(解析対象物となる鋳物や鋳型領域を複数の要素(以下、「セル」と称する)に分割して構成されるモデル)において、相互に隣接するセル間の微少時間における熱流束を計算し、これを順次、微少時間間隔ごとに繰り返し、解析モデルの温度変化を求める解析方法である(特許文献1および特許文献2)。
各セル間の熱流束の計算は、セルごとに設定された熱物性値、例えば、凝固開始温度、凝固潜熱量、比熱、熱伝導率などを用いて行われる。従来の伝熱凝固解析方法では、同種類の物質に属するセルについて、鋳物の凝固前、凝固時、および凝固後を通じて固定された熱物性値が用いられるか、熱物性値を温度の関数とした変動値が用いられてきた。
鋳物の熱物性値を温度の関数として表した変動値を用いると、凝固時の相変態に伴う熱物性値の変化を反映できるため、固定された熱物性値を用いる方法よりも優れている。しかし、実際の現象においては、同一成分の鋳物であっても種々の要因によって凝固開始温度は変化する。この要因のひとつに冷却速度が挙げられる。
鋳物は、充分時間をかけて凝固する場合は平衡凝固となるが、冷却速度が大きい場合は非平衡凝固となり、平衡凝固の凝固開始温度を下回っても凝固しない過冷現象が起こる。冷却速度が大きいほど、凝固開始温度は低下する。鋳物の冷却速度は部位により異なるため、凝固開始温度も異なるはずである。従来の鋳物の熱物性値を温度の関数とした変動値を用いる方法では、上記の凝固開始温度に代表される熱物性値が種々の要因によって変動することが考慮されておらず、セルごとに熱物性値を設定することができないという問題点があった。
一方、金属の凝固メカニズムを忠実にモデル化して、組織解析と伝熱凝固解析とを連立して計算する手法が開発されつつある。この手法を用いれば凝固組織の形態の違いや溶湯成分の偏析などを考慮できるため、セルごとに熱物性値を設定することが可能となる。
しかしながら、上記のような方法は、解析の計算が複雑化し、解析時間が膨大にかかるため、大規模コンピュータを必要としていた。このため、安価な汎用コンピュータを利用するこができないという問題点があった。
特開平7−113771号公報 特開平8−313464号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、鋳物の伝熱凝固解析の精度を向上させると共に、伝熱凝固解析における計算負荷を低減して解析処理時間を著しく短縮することができる伝熱凝固方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明に係る鋳物の伝熱凝固解析方法は、複数の要素から形成される解析モデルを用いた鋳物の伝熱凝固解析方法であって、前記鋳物の溶湯の凝固前の熱物性値を用いて相互に隣接する前記要素間の伝熱計算を実行する段階と、前記伝熱計算に基づき前記要素の冷却速度を算出する段階と、算出した冷却速度に基づき、前記鋳物の溶湯が共晶凝固を開始するときの凝固時の熱物性値と前記鋳物の溶湯が共晶凝固を完了した後の凝固後の熱物性値とを算出する段階と、前記冷却速度から算出した前記凝固時の熱物性値および前記凝固後の熱物性値を用いて伝熱凝固解析を実行する段階と、を含むことを特徴とする。
また、上記の目的を達成するために本発明に係る鋳物の伝熱凝固解析装置は、複数の要素から形成される解析モデルを用いた鋳物の伝熱凝固解析装置であって、前記鋳物の溶湯の凝固前の熱物性値を用いて相互に隣接する前記要素間の伝熱計算を実行する伝熱計算手段と、前記伝熱計算に基づき前記要素の冷却速度を算出する冷却速度算出手段と、算出した冷却速度に基づき、前記鋳物の溶湯が共晶凝固を開始するときの凝固時の熱物性値と前記鋳物の溶湯が共晶凝固を完了した後の凝固後の熱物性値とを算出する熱物性値算出手段と、前記冷却速度から算出した前記凝固時の熱物性値および前記凝固後の熱物性値を用いて伝熱凝固解析を実行する伝熱凝固解析手段と、を備えることを特徴とする。
上記の目的を達成するために本発明に係る鋳物の伝熱凝固解析プログラムは、複数の要素から形成される解析モデルを用いた鋳物の伝熱凝固解析プログラムであって、前記鋳物の溶湯の凝固前の熱物性値を用いて相互に隣接する前記要素間の伝熱計算を実行する手順と、前記伝熱計算に基づき前記要素の冷却速度を算出する手順と、算出した冷却速度に基づき、前記鋳物の溶湯が共晶凝固を開始するときの凝固時の熱物性値と前記鋳物の溶湯が共晶凝固を完了した後の凝固後の熱物性値とを算出する手順と、前記冷却速度から算出した前記凝固時の熱物性値および前記凝固後の熱物性値を用いて伝熱凝固解析を実行する手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
以上のように構成された本発明に係る鋳物の伝熱凝固解析方法、伝熱凝固解析装置、および伝熱凝固解析プログラムによれば、伝熱計算の結果から容易に導出することができる冷却速度を用いて鋳物の凝固状態に応じた熱物性値をセルごとに設定することができる。この結果、鋳物の伝熱凝固解析の精度を向上させると共に、伝熱凝固解析における計算負荷を低減して解析処理時間を著しく短縮することができる。
発明者が鋭意検討した結果、鋳物の溶湯の凝固時および凝固後の熱物性値に支配的な影響を及ぼす因子が鋳物の溶湯の冷却速度であり、複数の熱物性値が冷却速度の関数として表せることを見出した。鋳物の溶湯の凝固状態に応じた熱物性値を厳密に求めるためには、組織解析を行い、溶湯の凝固時の物質移動を反映させることが必要である。しかしながら、伝熱計算の結果から容易に導出することができる冷却速度を用いれば、組織解析を行うことなく、実用上十分な精度で鋳物の凝固状態に応じた熱物性値を求めることができる。
本発明に係る鋳物の伝熱凝固解析方法では、上記のように凝固状態に応じた熱物性値を冷却速度から算出し、算出した熱物性値をセルごとに設定するようにしている。この結果、鋳物の伝熱凝固解析の精度を向上させると共に伝熱凝固解析における計算負荷を低減することができるようになる。
以下に、本発明に係る鋳物の伝熱凝固解析方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1から図6は、本発明の実施の形態に係る鋳物の伝熱凝固解析方法の説明に供する図である。図1は本発明に係る鋳物の凝固解析方法を実施するための伝熱凝固解析装置の概略構成を示すブロック図を、図2は図1に示した伝熱凝固解析装置の動作フローチャートを示し、このフローチャートは、本発明の実施の形態に係る伝熱凝固解析方法の手順に相当するものである。図3から図6は、本実施の形態に係る伝熱凝固解析方法における各熱物性値の算出方法を説明するために用いられる図である。
図1は、本発明に係る凝固解析方法を実施するための伝熱凝固解析装置(以下、「コンピュータ」と称する)の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態におけるコンピュータ100は、CPU111、RAM113、ROM115、ハードディスク117、ディスプレイ121、および入力部131を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス141を介して相互に接続されている。
コンピュータ100は、例えばパーソナルコンピュータなどの電子計算機であり、伝熱凝固解析プログラムに基づいて伝熱凝固解析を実行したり、解析結果から得られた情報を加工して表示したりするものである。解析結果から得られる情報は、例えばセルの温度の経時的変化、共晶凝固開始温度、凝固潜熱量、冷却速度、または凝固時間などであり、解析結果から得られる各種の情報(以下、これらの情報を「欠陥判定パラメータ」と称する)が該当する。そして、欠陥判定パラメータに基づき鋳物の比較・評価、例えば製品として合格品であるか否かなどの判断が行われる。
CPU111は、シミュレーションプログラムに基づいて上記各部の制御や伝熱凝固解析に必要な各種演算処理を実行するものである。CPU111は、伝熱計算部(伝熱計算手段)、冷却速度算出部(冷却速度算出手段)、熱物性値算出部(熱物性値算出手段)、伝熱凝固解析部(伝熱凝固解析手段)として機能する。
RAM113は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するものである。
ROM115は、コンピュータ100の基本動作を制御する各種プログラムやパラメータなどをあらかじめ格納しているものである。
ハードディスク117は、OS(オペレーティングシステム)やコンピュータ100の所定の動作を制御するためのプログラムやパラメータを格納するものである。ハードディスク117には、解析モデルの作成、各種熱物性値の算出、解析結果から得られた情報の加工または表示、欠陥判定パラメータに基づく完成品の比較・評価を実行するプログラムなど、その他、一般的な伝熱凝固解析に必要なプログラムがあらかじめ記憶されている。さらに、ハードディスク117は、解析結果を記憶する記憶領域としても機能する。なお、伝熱凝固解析に必要なプログラムは、記録媒体(例えば、CD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体)にあらかじめ記憶されているものでも良く、この記録媒体からプログラムを直接読み取って伝熱凝固解析をコンピュータ100に実行させても良い。
ディスプレイ121は、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイなどであり、解析結果によって得られた各種の情報を表示するものである。
入力装置131は、マウス、キーボード、またはタッチパネルなどのポインティングデバイスであり、ユーザーからの入力を受け付けるものである。
以上のように構成されたコンピュータ100を用いて、本実施の形態に係る伝熱凝固解析方法が実行される。
次に、図2を参照して本発明の実施の形態に係る鋳物の伝熱凝固解析方法の手順を詳細に説明する。
まず、解析条件の設定を行う(S200)。具体的には、解析対象物となる鋳物の解析モデルを作成したり、鋳造に関する初期条件を設定したりすることによって行う。解析モデルの作成は、解析モデルの作成に必要なデータ、例えば形状データ(解析対象となる鋳物の形状、鋳物の設計形状、鋳型の形状など、鋳物の凝固解析を行うために必要な形状データ)、要素分割数、鋳造時間、鋳物を形成する材料、鋳物の溶湯の温度など、一般的なシミュレーションに必要な各種データを入力装置131からコンピュータ100へ入力することによって開始され、入力された各種データに基づきコンピュータ100が演算することによって終了する。解析モデルはメッシュモデルとして作成される。初期条件の設定は、入力装置131から各種データをコンピュータ100へ入力することによって行なわれる。
解析モデルの作成に必要なデータや初期条件は、あらかじめハードディスク117などに記憶させておいても良いし、作業者が手入力しても良い。
要素分割数はメッシュモデルのセル数(要素数)に等しく、要素分割はシミュレーションを行う際のメッシュモデルに対して行われる。セルとはメッシュモデルの各要素を指す。
次に、作成した解析モデルに対して鋳物の凝固前の熱物性値が設定され、相互に隣接するセル間の伝熱計算が実行される(S210)。凝固前の熱物性値の設定はセルの特徴に応じて設定され、伝熱計算は一般的な伝熱計算の手法を用いて実行される。ここで、セルの特徴に応じた設定とは、鋳物に属するセルに対しては鋳物の溶湯の凝固前の熱物性値が設定され、それ以外のセル、すなわち、鋳型領域に属するセルに対してはそれぞれが属する材料の熱物性値が設定されることを意味する。熱物性値としては、例えば凝固開始温度、液相線温度、比熱、熱伝導率などの伝熱計算に必要な物性値である。
なお、解析開始時においては、総てのセルに所定の初期温度が与えられているが、伝熱計算により、微少時間間隔後には初期温度は変化していく。解析開始時では、鋳物に属するセルの温度は、鋳型領域に属するセルの温度よりも高く設定されている。このため、伝熱計算の結果として鋳物に属するセルの温度は、当然、低下していくことになる。なお、本実施の形態に係わる伝熱凝固解析方法においては、鋳物領域に属するセルに対しての処理であるので、以下のステップの処理の説明中で‘セル’と称する場合は、主として鋳物領域に属するセルを意味する。
次に、伝熱計算の結果に基づきセルの温度が所定の温度(以下、「冷却速度算出温度」と称する)に達したか否かを判定する(S220)。セルが冷却速度算出温度に達しない場合(S220:NO)、ステップS210以下の処理を繰り返し、セルの温度が冷却速度算出温度に達した場合(S220:YES)、ステップS230の処理に進む。ステップ220の処理では、セルごとに冷却速度算出温度に達したか否かを判定している。
次に、冷却速度算出温度に達したセルに対して、当該セルの冷却速度を算出する(S230)。以下に、冷却速度の算出方法を詳細に説明する。
セルの温度が所定の温度に達した時点におけるセルの温度をT、当該セルが所定の温度に達した時点から微少時間間隔である‘Δt’時間だけ前の当該セルの温度をTn−1とすると、冷却速度‘dT/dt’は、下記の式(1)で表される。
Figure 2008155248
なお、冷却速度算出温度は任意の温度に設定することができるが、設定する温度は、実際の鋳造における共晶凝固開始温度以上であることが好ましい。しかしながら、現時点における解析上では、実際の鋳造における共晶凝固開始温度は未知である。そこで、冷却速度算出温度としては、鋳物の溶湯が無限遠の時間をかけて平衡凝固したときの共晶凝固開始温度とすることが好ましく、特に鋳物を形成する材料が鋳鉄の場合には、鋳物溶湯中の炭素が完全黒鉛化したときの共晶凝固開始温度とすることが好ましい。このような温度を設定すれば、解析モデルのうち、どのセルにおいても冷却速度算出温度が実際の鋳造における共晶凝固開始温度より低くなることが避けられるからである。
次に、算出した冷却速度に基づき、前記鋳物の溶湯が共晶凝固を開始するときの凝固時の熱物性値(以下、「凝固時の熱物性値」と称する)と前記鋳物の溶湯が共晶凝固を完了した後の凝固後の熱物性値(以下、「凝固後の熱物性値」と称する)とを算出する(S240)。凝固時の熱物性値および凝固後の熱物性値は、S230の処理から求めた冷却速度を用いてセルごとに算出される。
以下に、凝固時の熱物性値および凝固後の熱物性値の算出方法を詳細に説明する。凝固時の熱物性値として、共晶凝固開始温度、凝固潜熱量の算出方法を例に挙げて説明する。
凝固時の熱物性値のひとつである共晶凝固開始温度Tおよび凝固潜熱量qは、冷却速度‘dT/dt’の関数として、以下の式で表すことができる。
Figure 2008155248
Figure 2008155248
ここで、TLmaxは鋳物溶湯中の炭素元素が完全黒鉛化した場合の共晶凝固開始温度である。
以下に、本実施の形態で用いられる式(2)、(3)の算出方法を詳細に説明する。
図3は、人為的に冷却速度を変化させて鋳物を鋳造した場合における冷却曲線の概略図である。横軸は時間、縦軸は鋳物の温度を示している。この冷却曲線は、実際に鋳物の鋳造を繰り返して測定した結果を示したものである。
冷却曲線Aは鋳物を徐冷して炭素元素が完全黒鉛化したときの冷却曲線であり、このときの共晶凝固開始温度はTである。共晶凝固開始温度TはTLmaxと等しい。冷却曲線Aは人為的に冷却速度を変えなかったときの冷却曲線であり、このときの共晶凝固開始温度はTである。冷却曲線Aは鋳物を急冷して完全レデブライト化したときの冷却曲線であり、このときの共晶凝固開始温度はTである。図に示すように、冷却曲線Aは冷却曲線A〜Aにより囲まれる領域に存在している。このとき、共晶凝固開始温度Tは共晶凝固開始温度T〜Tの範囲に存在している。
図4は、図3に示した冷却曲線A〜Aの測定結果から共晶凝固開始温度と共晶凝固開始時の冷却速度との関係を求めた結果を示したものである。横軸は共晶凝固開始時の冷却速度、縦軸は共晶凝固開始温度を示している。
図4に示すように、共晶凝固開始温度は共晶凝固開始時の冷却速度に反比例して低下し(曲線B参照)、共晶凝固開始温度T4、冷却速度Vで変曲点を示している。この変曲点は、チル臨界冷却速度と称され、チル臨界冷却速度よりも共晶凝固開始時の冷却速度が大きい場合には、鉄−セメンタイト系共晶凝固が起こり、チル臨界冷却速度よりも冷却速度が小さい場合には、鉄−黒鉛系共晶凝固が起こることが知られている。
ここで、本実施の形態では、凝固時の熱物性値および凝固後の熱物性値を算出するために用いる冷却速度は、ステップS230の処理で説明したように、実際の溶湯の共晶凝固開始温度ではなく、鋳物の溶湯が無限遠の時間をかけて平衡凝固したときの共晶凝固開始温度(鋳物を形成する材料が鋳鉄の場合には、鋳物溶湯中の炭素が完全黒鉛化したときの共晶凝固開始温度)を用いて算出している。しかしながら、実際の鋳造における溶湯の共晶凝固開始温度と、鋳物の溶湯中の炭素元素が完全黒鉛化した場合の共晶凝固開始温度との差は実用上無視できる範囲であるため、図3に示す曲線を数式化することによって、数式(2)として表すことができる。
また、数式(3)も同様に、図3に示した冷却曲線A〜Aの測定結果から算出している。数式(3)は、凝固潜熱量を変数とした一般的な反復解析(詳細な説明は省略する)により算出する。
ところで、凝固後の熱物性値は、上述のように冷却速度から算出することができるが、冷却速度からそのまま算出した熱物性値を用いるのではなく、凝固組織(例えば、パーライト/フェライトの面積比率)との関係から算出される熱物性値を用いることが好ましい。
このように、冷却速度から算出される凝固後の熱物性値をそのまま用いず、凝固組織との関係から求められる熱物性値を用いる理由は、次の通りである。
鋳物は、冷却速度によって、凝固後の金属組織が異なる。例えばダクタイルは、急冷するとチルを生じ、徐冷するとフェライトを晶出することが知られている。このように、鋳物を急冷した場合と徐冷した場合とでは凝固後の金属組織が異なるので、凝固後の熱物性値は異なることになる。
したがって、冷却速度から算出される値をそのまま凝固後の熱物性値として用いるよりも、上記のように冷却速度と凝固組織との関係から、凝固後の熱物性値を算出することが好ましい。この結果、凝固組織を考慮した精度の高い解析結果が得られることになる。
なお、鋳物を形成する材料が鋳鉄の場合、冷却速度が所定の速度より大きい場合には、鉄−セメンタイト系共晶凝固における冷却速度に基づき凝固時の熱物性値および凝固後の熱物性値を算出し、当該冷却速度が所定の速度以下の場合には、鉄−黒鉛系共晶凝固における冷却速度に基づき凝固時の熱物性値および凝固後の熱物性値を算出するようにすることが好ましい。
このように、所定の冷却速度を基準として熱物性値を算出する理由は、チル臨界冷却速度を挟んで、冷却速度と、凝固時および凝固後との熱物性値の関係式が変化するからである。
したがって、所定の速度としてチル臨界冷却速度を設定し、冷却速度がチル臨界冷却速度より大きい場合には、鉄−セメンタイト共晶凝固における冷却速度との関係式を用いて凝固時および凝固後の熱物性値を算出し、冷却速度がチル臨界冷却速度以下の場合には、鉄−黒鉛共晶凝固における冷却速度との関係式を用いて凝固時および凝固後の熱物性値を算出することが好ましい。
次に、セルがステップS240の処理で算出した共晶凝固開始温度に達したか否かを判定する(S250)。セルの温度が前記算出した共晶凝固開始温度に達していない場合(S250:NO)、ステップS240以下の処理を繰り返し、当該セルの温度が前記算出した共晶凝固開始温度に達した場合(S250:YES)、ステップS260の処理へ進む。
次に、前記共晶凝固開始温度に達したセルに対して、前記凝固時の熱物性値を設定して伝熱凝固解析を実行する(S260)。
ここで、鋳物を形成する材料が鋳鉄の場合、凝固時の熱物性値として、共晶凝固開始温度と凝固潜熱量とを用いることが好ましい。鋳物の場合、冷却速度が大きいと鉄−セメンタイト共晶凝固が起こりやすく、冷却速度が小さいと鉄−黒鉛共晶凝固が起こりやすい。鉄−セメンタイト共晶凝固と鉄−黒鉛共晶凝固では熱物性値のなかでも共晶凝固開始温度と凝固潜熱量に顕著な違いがあるからである。このように、凝固時の熱物性値のうち、共晶凝固開始温度と凝固潜熱量とをセルごとに付与することで、より解析精度が向上する。
次に、前記伝熱凝固解析の結果に基づき、前記セルが凝固を完了したか否かを判定する(S270)。セルの凝固が完了していない場合、ステップS260以下の処理を繰り返し(S270:NO)、当該セルの凝固が完了した場合、ステップS280の処理へ進む(S270:YES)。
次に、凝固が完了したセルに対して前記凝固後の熱物性値を設定し、伝熱凝固解析を実行する(S280)。そして、すべてのセルの凝固が完了すれば処理を終了する。
以上のように構成された本発明に係る鋳物の伝熱凝固解析方法およびその解析装置によれば、伝熱計算から容易に導出できる冷却速度から鋳物の凝固状態に応じた熱物性値を算出し、その算出した値をセルごとに設定して解析を実行している。この結果、従来の組織解析よりも、解析精度を向上させると共に解析における計算負荷を低減することができる。
さらに、計算負荷が低減することにより、大規模コンピュータのような高価なコンピュータを用いることなく、一般的な汎用コンピュータで鋳物の伝熱凝固解析を実行することができる。
また、本発明に係る伝熱凝固解析方法およびその解析装置では、伝熱凝固解析結果から得られる情報を加工することによって、解析モデルの全部または一部における欠陥判定パラメータを数値、色彩、グラフ、または図形などを用いて表示することができる。
また、本発明に係る伝熱凝固解析方法をコンピュータが読み取り可能なようにプログラム化したり、このプログラム化したデータを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録したりすることもできる。
以下、本発明に係る鋳物の伝熱凝固解析方法を第1の実施例および第2の実施例に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施例は発明の理解を容易にするために記載したものであって、本発明の技術的範囲はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
以下に、特定の鋳物に対して実際の鋳造(以下、「実際の鋳造」と称する)、従来の伝熱凝固解析方法(以下、「従来の方法」と称する)、および本発明に係る伝熱凝固解析方法(以下、「本発明の方法と称する」を比較検討した結果を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図5〜図8は、本発明の第1の実施例に係る伝熱凝固解析方法の説明に供する図である。図5は本実施例に用いた鋳物の解析モデルの概略図を、図5は実際の鋳造および従来の伝熱凝固解析方法による冷却曲線を、図6は実際の鋳造の冷却曲線および本実施例に係る伝熱凝固解析方法による冷却曲線を、図7は従来の伝熱凝固解析方法および本実施例に係る伝熱凝固解析方法における共晶凝固開始温度の変化を、図8は従来の伝熱凝固解析方法と本実施例に係る伝熱凝固解析方法とにおける共晶凝固開始時の冷却速度の変化を示す図である。
図5に示す解析モデル200は、鋳物211、鋳型213から構成されている。鋳物211の一部である鋳物部位211a(鋳物の先端部位)〜211cは、鋳物211の肉厚の中心を結ぶ線上に存在し、冷却曲線を観察した部位である。部位211bと部位211cとは肉厚が異なるため、冷却速度に差が生ずると推測して設定した。
図6は、実際の鋳造および従来の方法における部位211b、211cの冷却曲線を示す図である。従来の方法は、鋳物の熱物性値を温度の関数とした変動値を用いる方法を採用した。図6の横軸は時間、縦軸は温度を示す。実際の鋳造における部位211b、211cの冷却曲線はそれぞれC、Cであり、従来の方法における部位211b、211cの冷却曲線はそれぞれD、Dである。
図に示すように、実際の鋳造では、部位211cよりも部位211bの方が薄肉であるため冷却速度が大きいことが分かる。また、部位211cの共晶凝固開始温度T5は、部位211bの共晶凝固開始温度T6よりも低くなっていることが分かる。一方、従来の方法では、部位211b、211cの共晶凝固開始温度T7は等しくなっている。
実際の鋳造における冷却曲線と従来の方法における冷却曲線とは乖離を生じており、特に冷却速度の大きい部位で乖離が大きいことがわかった。これは、従来の方法による解析結果が実際の鋳造とは大きく異なることを意味している。
図7は、実際の鋳造および本実施例における部位211b、211cの冷却曲線を示す図である。図6の横軸は時間、縦軸は温度を示す。実際の鋳造における211b、211cの冷却曲線はそれぞれC、Cであり、本実施例における部位211b、211cの冷却曲線はそれぞれE、Eである。
図に示すように、実際の鋳造の冷却曲線と本実施例における冷却曲線とは非常に酷似している。
以上の結果から、従来の方法よりも本発明の方法が優れていることが分かる。
次に、実際の鋳造におけるチル深さと本実施例におけるチル深さとを比較した。ここで、‘チル’とは、レデブライト組織を意味するものであり、製造現場的な俗称である。実際の鋳造は、鋳物211を切断して部位211a〜211cを含む鋳物211の肉厚中心に沿って金属組織を顕微鏡で観察し、チル深さを確認した。本実施例では図5に示すように、鋳物211の部位211aから肉厚中心に沿ってチル組織が発生している範囲をチル深さXとした。伝熱凝固解析は、鋳物211の部位211aから肉厚中心に沿って共晶凝固開始温度と冷却速度の変化とを求めた。
図8は、本実施例における共晶凝固開始温度の変化曲線を示す図である。図8の横軸は鋳物51の肉厚中心に沿って先端部位である部位211aから部位211cへ向かう方向の距離、縦軸は共晶凝固開始温度を示す。曲線Fは本実施例における解析結果、曲線Fは従来の方法における解析結果である。
図8では、チル臨界冷却速度に対応する共晶凝固開始温度より低い温度でチルが発生すると仮定した。チル臨界冷却速度に対応する共晶凝固開始温度をT10とすると、本実施例では、共晶凝固開始温度がT10よりも低くなる範囲はX1であった。一方、従来の方法における共晶凝固開始温度は全ての部位で一定の値T11を示しており、共晶凝固開始温度がT11より低くなる範囲は存在しなかった。この結果から、共晶凝固開始温度から予測されるチル深さは、従来の方法よりも本発明の方法の方が実際の鋳造に近い結果が得ることができることが分かる。
図9は、従来の方法および本実施例における共晶凝固開始時の冷却速度の変化曲線を示す図である。図9の横軸は鋳物211の肉厚中心に沿って先端部位である部位211aから部位211cへ向かう方向の距離、縦軸は共晶凝固開始時の冷却速度を示す。曲線Gは本実施例における解析結果、曲線G2は従来の方法における解析結果である。
図9では図8と同様に、チル臨界冷却速度より共晶凝固開始時の冷却速度が大きい場合にチルが発生すると仮定した。チル臨界冷却速度をV2とすると、本実施例では、共晶凝固開始時の冷却速度がV2より大きくなる範囲はX1であった。一方、従来の方法では、共晶凝固開始時の冷却速度がV2より大きくなる範囲はX2であった。X2よりX1の方が鋳造におけるチル深さX0に近い値を示している。この結果から、共晶凝固開始時の冷却速度から予測されるチル深さは、従来の方法よりも本発明の方法の方が実際の鋳造に近い結果を得ることができることが分かる。
実施例2
以下に、本発明の第2の実施例に係る伝熱凝固解析方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
図10および図11は、本発明の第2の実施例に係る伝熱凝固解析方法の説明に供する図である。図10は従来の方法における引け巣の予測結果から得られた情報をディスプレイ上に表示したものを、図10は本発明の第2実施例に係る伝熱凝固解析における引け巣の予測結果から得られた情報をディスプレイ上に表示したものを示す図である。
なお、凝固解析によって引け巣の部位を求める方法は、例えば特開平11−314152号公報に開示されているような従来の方法を用いた。この凝固解析の結果をディスプレイ171に表示させると、例えば図9および図10に示すような画像が得られる。図10および図11に示す画像は解析結果から得られた引け巣分布を示す画像である。
図10に示すように解析モデル300は、鋳物311、鋳型313、製品となる鋳造品315、および押湯317とから構成されている。また、鋳造品315と押湯317とは、堰319を介して連通しており、鋳造品315は中央に凹部315aを有する。ここで、鋳造品315が製品として合格品となるためには、凹部315aには引け巣が発生してはならない(金属加工を実施するため)が、凹部315aの両端の厚肉部表面以外は、引け巣が発生しても製品としては合格品となる。なお、図11において、図10の構成要素と同じ構成要素には、同じ参照番号を付してある。
図10は、従来の方法における引け巣の予測結果である。図10を参照すれば、鋳造品315の凹部315aは引け巣危険領域(堰319が完全に凝固した時点における鋳造品315内部の未凝固領域を引け巣危険部位315bとしている)Mと予測された。この結果が正しいとすれば、押湯317や堰319を拡大することが必要となり、鋳造方案の改善が必要である。
図11は、本発明における引け巣の予測結果である。図11を参照すれば、引け巣危険領域Nは、従来の方法により予測された引け巣危険領域Mよりも縮小している。鋳造品315の凹部315aは無欠陥であると予測された。以上の予測結果は、本実施例が鋳物表層や薄肉部の過冷却凝固を再現しており、鋳造品315から押湯317にかけて指向性凝固の傾向が大きくなったためであると考えられる。
以上のように、本発明に係る伝熱凝固解析方法は、従来の伝熱凝固方法よりも解析精度が向上したことにより、引け巣予測結果から鋳造方案の改善の必要性がないことが分かる。この結果、押湯317や堰319の拡大など不要なコストの増加を未然に防ぐことができ、迅速な鋳造方案に貢献することができる。
本発明は、鋳物の伝熱凝固解析に有用である。
本発明に係る伝熱凝固解析方法を実施するための伝熱凝固解析装置の概略的な構成を示すブロック図である。 図1に示した伝熱凝固解析装置の動作フローチャートである。 本発明に係る伝熱凝固解析方法における熱物性値の算出方法を説明する図である。 本発明に係る伝熱凝固解析方法における熱物性値の算出方法を説明する図である。 実際の鋳造および従来の伝熱凝固解析方法による鋳物の所定部位における冷却曲線を示す図である。 従来の伝熱凝固解析方法および本発明に係る伝熱凝固解析方法における共晶凝固開始温度の変化を示す図である。 従来の伝熱凝固解析方法および本実施例に係る伝熱凝固解析方法における共晶凝固開始時の冷却速度の変化を示す図である。 図4の鋳物について、従来の方法と本発明の方法による解析における共晶凝固開始時の冷却速度の変化を示す模式図である。 従来の方法における引け巣の予測結果から得られた情報をディスプレイ上に表示したものを示す図である。 従来の伝熱凝固解析における引け巣の予測結果から得られた情報をディスプレイ上に表示したものを示す図である。 本発明に係る伝熱凝固解析における引け巣の予測結果から得られた情報をディスプレイ上に表示したものを示す図である。
符号の説明
100 伝熱凝固解析装置、
111 CPU、
113 RAM、
115 ROM、
117 ハードディスク、
121 ディスプレイ、
131 入力部、
〜A 冷却曲線、
、C2 冷却曲線、
、D2 冷却曲線、
、E2 冷却曲線、
、F2 共晶凝固開始温度の変化曲線
、G2 共晶凝固開始時の冷却速度の変化曲線
〜T11 共晶凝固開始温度、
、V2 チル臨界冷却速度、
51、91 鋳物、
53、93 鋳型、
51a〜51c 鋳物中の部位、
95 鋳造品、
95a 鋳造品の凹部、
97 押湯、
99 堰、
M、N 引け巣危険領域。

Claims (12)

  1. 複数の要素から形成される解析モデルを用いた鋳物の伝熱凝固解析方法であって、
    前記鋳物の溶湯の凝固前の熱物性値を用いて相互に隣接する前記要素間の伝熱計算を実行する段階と、
    前記伝熱計算に基づき前記要素の冷却速度を算出する段階と、
    算出した冷却速度に基づき、前記鋳物の溶湯が共晶凝固を開始するときの凝固時の熱物性値と前記鋳物の溶湯が共晶凝固を完了した後の凝固後の熱物性値とを算出する段階と、
    前記冷却速度から算出した前記凝固時の熱物性値と前記凝固後の熱物性値とを用いて伝熱凝固解析を実行する段階と、
    を含むことを特徴とする鋳物の伝熱凝固解析方法。
  2. 前記伝熱計算に基づき前記要素の冷却速度を算出する段階は、
    前記要素の温度が所定の温度に達したときに、当該要素の冷却速度を算出することを特徴とする請求項1に記載の伝熱凝固解析方法。
  3. 前記所定の温度は、前記鋳物の溶湯がある一定以上の時間をかけて平衡凝固したときの共晶凝固開始温度であることを特徴とする請求項2に記載の伝熱凝固解析方法。
  4. 前記凝固時の熱物性値は、前記鋳物の共晶凝固開始温度と当該鋳物の凝固潜熱量とを含む熱物性値であることを特徴とする請求項1に記載の伝熱凝固解析方法。
  5. 前記凝固後の熱物性値は、前記算出した冷却速度と前記鋳物の凝固組織との関係から算出される熱物性値であることを特徴とする請求項1に記載の伝熱凝固解析方法。
  6. 前記冷却速度から算出した前記凝固時の熱物性値と前記凝固後の熱物性値とを用いて伝熱凝固解析を実行する段階は、
    共晶凝固を開始した要素に対して前記凝固時の熱物性値を設定する段階と、
    共晶凝固が完了した要素に対して前記凝固後の熱物性値を設定する段階と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の伝熱凝固解析方法。
  7. 前記凝固時の熱物性値は、前記冷却速度から算出される共晶凝固開始温度を含み、
    前記共晶凝固を開始した要素に対して前記凝固時の熱物性値を設定する段階は、
    前記共晶凝固開始温度に達した要素に対して、前記凝固時の熱物性値を設定することを特徴とする請求項6に記載の伝熱凝固解析方法。
  8. 算出した冷却速度に基づき、前記鋳物の共晶凝固が開始されるときの凝固時の熱物性値と前記鋳物の共晶凝固が完了した後の凝固後の熱物性値とを算出する段階は、
    前記鋳物を形成する材料が鋳鉄の場合、前記冷却速度が所定の速度より大きい場合には、鉄−セメンタイト系共晶凝固における冷却速度に基づき前記凝固時の熱物性値および前記凝固後の熱物性値を算出し、
    前記冷却速度が前記所定の速度以下の場合には、鉄−黒鉛系共晶凝固における冷却速度に基づき前記凝固時の熱物性値および前記凝固後の熱物性値を算出することを特徴とする請求項1に記載の伝熱凝固解析方法。
  9. 前記冷却速度から算出した前記凝固時の熱物性値と前記凝固後の熱物性値とを用いて伝熱凝固解析を実行する段階の後に、
    前記伝熱凝固解析によって得られた情報を加工して表示する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の伝熱凝固解析方法。
  10. 複数の要素から形成される解析モデルを用いた鋳物の伝熱凝固解析装置であって、
    前記鋳物の溶湯の凝固前の熱物性値を用いて相互に隣接する前記要素間の伝熱計算を実行する伝熱計算手段と、
    前記伝熱計算に基づき前記要素の冷却速度を算出する冷却速度算出手段と、
    算出した冷却速度に基づき、前記鋳物の溶湯が共晶凝固を開始するときの凝固時の熱物性値と前記鋳物の溶湯が共晶凝固を完了した後の凝固後の熱物性値とを算出する熱物性値算出手段と、
    前記冷却速度から算出した前記凝固時の熱物性値および前記凝固後の熱物性値を用いて伝熱凝固解析を実行する伝熱凝固解析手段と、
    を備えることを特徴とする鋳物の伝熱凝固解析装置。
  11. 複数の要素から形成される解析モデルを用いた鋳物の伝熱凝固解析プログラムであって、
    前記鋳物の溶湯の凝固前の熱物性値を用いて相互に隣接する前記要素間の伝熱計算を実行する手順と、
    前記伝熱計算に基づき前記要素の冷却速度を算出する手順と、
    算出した冷却速度に基づき、前記鋳物の溶湯が共晶凝固を開始するときの凝固時の熱物性値と前記鋳物の溶湯が共晶凝固を完了した後の凝固後の熱物性値とを算出する手順と、
    前記冷却速度から算出した前記凝固時の熱物性値および前記凝固後の熱物性値を用いて伝熱凝固解析を実行する手順と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする伝熱凝固解析プログラム。
  12. 請求項11に記載の伝熱凝固解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022063230A (ja) * 2020-10-09 2022-04-21 マグマ ギエッセレイテクノロジ ゲーエムベーハー 鋳造金属物体における気孔分布予測方法

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