JP4914429B2 - 合金溶湯の凝固解析方法およびその凝固解析プログラム - Google Patents

合金溶湯の凝固解析方法およびその凝固解析プログラム Download PDF

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Description

本発明は、ダイカストシミュレーション等に利用できる合金溶湯の凝固解析方法およびその凝固解析プログラムに関する。
アルミニウム(Al)合金やマグネシウム(Mg)合金等からなる部材を量産する場合、寸法安定性に優れ、きれいな鋳肌面が得られる金型鋳造(ダイカスト鋳造)が多用される。このダイカスト鋳造では、通常、20〜80MPa程度の大きな圧力を印加して溶湯を金型のキャビティへ注湯し、急冷して鋳物が作製される。
もっとも、ダイカスト鋳造でも、溶湯供給部位からの経路やキャビティの形状等によりキャビティ各部における溶湯の凝固状態が異なり、凝固収縮による引け巣欠陥の発生が問題となり得る。従来はこの欠陥をなくすために、金型の冷却条件を変更するなどの試行錯誤を繰り返して最適条件を定めていた。
このような手法は当然にコスト高であり開発効率も低い。そこで現物による試行錯誤ではなく、コンピュータを用いたシミュレーションにより、ダイカスト鋳造時の溶湯の流動や凝固状況を予め予測し、得られた結果に基づいて効率的に適正なダイカスト鋳造条件を探索することが行われつつある。
このようなシミュレーションによる凝固解析手法として、平衡凝固モデルに基づくエンタルピ法、等価比熱法、温度回復法や、固体と液体との間の局所平衡を仮定し溶質分配や偏析を考慮した局所平衡凝固モデルが用いられることが多い。もっともこのような(準)静的モデルに基づくシミュレーションでは、現実の鋳造時に生じている過冷凝固現象が考慮されていなかったため、温度場の解析または凝固解析が必ずしも高精度ではなかった。
特に工業的に重要なダイカストのように冷却速度が大きい鋳造プロセスでは、過冷度が非常に大きいので、鋳造欠陥を正確に予測するためには過冷凝固現象を考慮することが不可欠となる。
特開2003−33864号公報 特開平5−96343号公報 「A Three-Dimensional Cellular Automation-Finite Element Model for the Predication of Solidification Grain Structures(3次元セルラーオートマトンアルズ法を用いた有限要素法による凝固組織予測)」〔メタラジカル、アンド、マテリアルズ、トランザクションA、第30巻12月号(1999)、3153頁〕 「凝固解析における凝固特性に及ぼす過冷度の影響」(鋳造工学、第78巻(2006)第1号
そこで過冷凝固現象を考慮した凝固解析方法が、例えば、上記の特許文献1または非特許文献1に紹介されている。すなわち、これらの文献には、セルラーオートマトン法を利用して、核生成・凝固成長モデルに基づき、凝固解析方法に関する記述がある。具体的には、核生成モデルの核生成量および凝固成長モデルの結晶成長速度を過冷度の関数として扱い、その結晶成長速度から算出した凝固潜熱放出量と周囲への伝熱量の差に着目することで過冷凝固現象を考慮に入れている。
しかし、溶湯から固体が核生成する場合の核生成量は、実験により正確に求められる凝固特性値ではない。このため、上記のセルラーオートマトン法を用いた解析方法では、核生成量に関するパラメータが経験的に与えられることになり、その結果、過冷凝固時の過冷度を精度よくシミュレーション中に取り込むことは難しい。また、セルラーオートマトン法では、解析に要する時間が極めて長くなり、工業品または実用品に用いる凝固解析手法としては現実的でない。
上記の特許文献2には、ダイカストシミュレーションではないが、鋳鉄を用いた鋳造シミュレーションに関する記載がある。このシミュレーションでは、(i)核生成モデルにおける黒鉛粒数の冷却速度依存性と、(ii)結晶成長モデルにおける黒鉛半径の増加速度とを利用して過冷凝固現象を考慮している。この場合、黒鉛粒数は実験的に再現性よく求められる凝固特性値であるため、過冷凝固を考慮した高精度の凝固解析が可能となる。もっともこの対象は、黒鉛粒数を測定できる球状黒鉛鋳鉄もしくは球状化率が高いCV鋳鉄等の鋳造に限定され、工業的に多用されるAl合金やMg合金のダイカスト鋳造には適用できない。
上記の非特許文献2は、平衡凝固解析手法である温度回復法に、固相率変化量の解析を追加した凝固解析方法を提案している。具体的には、単位時間当たりの固相率変化量を適切に見積もることにより、過冷凝固現象の解析を行っている。しかし、その非特許文献2では、固相率増加量の算出方法が課題とされており、実験結果と解析結果とを一致させることが困難であった。また、非特許文献2では、凝固開始直後のように固相率の低い領域における温度回復現象(再輝現象)が再現されていない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものである。すなわち、ダイカスト鋳造を含む金型鋳造に広く適用可能で、鋳造時の合金溶湯の過冷凝固現象を精度よくコンピュータ上で解析可能な凝固解析方法およびその凝固解析プログラムを提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、過冷時(特に連続冷却時)、冷却速度と、過冷状態の共晶凝固温度およびこれと平衡状態の共晶凝固温度の差である過冷度との間に相関があることを新たに見いだした。これらに基づいて、共晶凝固の時間変化量(凝固速度)を過冷度で表現すると共にその凝固速度に固相率に応じた適切なパラメータを導入した過冷凝固モデルを用いることにより、鋳造時の合金溶湯の過冷凝固現象をコンピュータ上で高精度にシミュレーションすることに成功した。そしてこの成果を発展させることで、本発明者は以降に述べる種々の発明を完成させるに至った。
〈合金溶湯の凝固解析方法〉
(1)すなわち、本発明の合金溶湯の凝固解析方法は、合金の溶湯である合金溶湯が充填されるキャビティを構成する型を座標系上にモデル化した型モデルを設定するモデル設定工程と、該設定された型モデル中のキャビティへ充填された合金溶湯の凝固割合である固相率に基づき該合金溶湯が凝固する凝固過程を順次算出する凝固解析工程とからなる合金溶湯の凝固解析方法において、
前記モデル設定工程は、前記型モデルを座標系上に位置づけて形成するモデル形成ステップと、該形成された型モデル中の領域を微小に分割した多数の微小要素を作成する要素作成ステップと、該作成された微小要素の内で該型モデル中のキャビティ領域に対応する微小要素をキャビティ要素と定義すると共に該型モデル中の型領域に対応する微小要素を型要素と定義する要素定義ステップとを備え、
前記凝固解析工程は、前記合金の種類により定まる凝固量の時間変化量である凝固速度と該凝固速度が該合金溶湯の凝固に及ぼす影響を前記固相率に応じて評価するパラメータである凝固速度パラメータとに基づき、前記合金溶湯が充填されたキャビティ要素である充填要素における該固相率の変化量である固相率変化量を算出する固相率変化量算出ステップを備えることを特徴とする。
(2)本発明の合金溶湯の凝固解析方法は、凝固解析工程の固相率変化量算出ステップで、合金の種類に応じて実験的に検証可能な特性値である凝固速度とその合金溶湯の凝固へ凝固速度が及ぼす影響を適正に評価する凝固速度パラメータとに基づき固相率変化量を算出している。これにより、合金溶湯が充填された充填要素における過冷凝固形態が的確に表現され、実際のダイカスト鋳造等における実測値とよく整合した高精度なシミュレーション結果を得ることが可能となる。
また本発明の合金溶湯の凝固解析方法では、従来の温度回復法などのアルゴリズムに固相率変化量算出ステップなどを組み込んだアルゴリズムを用いることができ、従来の凝固解析手法と同様に、高速または実用的な計算時間内で、高精度な凝固解析が比較的容易に可能となる。
こうして本発明を用いることにより、鋳物や方案等の一般的な設計開発段階でも高精度な鋳造欠陥予測等を比較的容易行うことが可能となる。そして、好適な金型形状や鋳造条件またはダイカスト条件等の決定が効率的になされ、成型品の開発コストも削減され得る。
(3)本明細書では、合金溶湯の代表例としてAl合金溶湯やMg合金溶湯を例示的に取り上げ、鋳造の代表例としてダイカスト鋳造を主に取り上げている。例えば、Al合金として、全体を100質量%としたときにケイ素(Si)を10〜13%含む鋳造用Al合金(例えば、ADC12(JIS))などが代表的である。
もっとも本発明の概念自体は、特定の合金溶湯や特定の鋳造方法に限定されるものではない。また、過冷凝固特性の具体的な態様も、合金溶湯や鋳造方法の種類によって異なり得ることは当然である。例えば、Al合金やMg合金の他、亜鉛(Zn)合金、銅(Cu)合金、鋳鋼、鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄など)の凝固解析に本発明を用いてもよい。
〈本発明の他形態〉
本発明は上述した「方法」の発明には限られず、「物」の発明としても把握される。すなわち、本発明は、前述の合金溶湯の凝固解析方法をコンピュータを機能させて実行することを特徴とする合金溶湯の凝固解析プログラムでも良い。
また、プログラムが「物」として把握されない場合であれば、そのプログラムを記録したコンピュータで読取り可能な記録媒体として把握することができる。さらには、そのプログラムを実行する合金溶湯の凝固解析装置としても把握できる。これらの場合、本発明でいう「工程」を「手段」に読替えれば良い。すなわち、モデル設定工程をモデル設定手段に、充填解析工程を充填解析手段に、凝固解析工程を凝固解析手段などにそれぞれ置換して考えれば良い。
発明の実施形態を挙げて、本発明をより詳しく説明する。なお、本明細書では便宜的に本発明の「合金溶湯の凝固解析方法」に関して主に説明するが、本明細書で説明する内容はその凝固解析方法のみならずそれを実行するためのプログラム(合金溶湯の凝固解析プログラム)等にも適宜適用される。また、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
本発明の凝固解析方法は、図1に示すように、モデル設定工程、充填解析工程および凝固解析工程からなる。以下、これら各工程を順次説明する。なお、以下に説明する各工程および各ステップは、コンピュータ上のロジックとして設定された手段により実行可能である。
〈モデル設定工程〉
モデル設定工程は、合金溶湯の充填されるキャビティを構成する型を座標系上にモデル化した型モデルを設定する工程である。モデル設定工程は、例えば、図2に示すような、モデル形成ステップ、要素作成ステップ、要素定義ステップおよび流入位置設定ステップからなる。
(a)モデル形成ステップ
モデル形成ステップは、金型の形状を座標系上に位置づけて型モデルを形成するステップである。金型が複数の型部材から構成される場合、前記の型モデルは、それぞれの型部材の形状が個別に座標系上に位置づけられている必要はなく、金型全体としての形状が座標系上に位置づけられていれば足る。
金型または型部材の形状(特に外形)の座標系上への位置づけは、それらの形状を数値データに変換して行うことができる。金型の形状がCADデータ等として既存の場合はそれを利用すると効率的である。勿論、数値データの取得は、CADデータに限らず、CAEや凝固解析シミュレーション装置等を利用しても得られる。さらには、3次元スキャナ等を用いて試作した現物の金型やダイカスト品の形状を数値データ化し、その数値データから型モデルを形成しても良い。
ちなみに、用いる座標系はデカルト座標系が一般的ではあるが、それに限らず、円筒座標系、球面座標系等、金型の形状や解析手法に応じた適当な座標系を選択するのが良い。
(b)要素作成ステップ
要素作成ステップは、モデル形成ステップで形成された型モデル中の領域を分割した多数の微小要素を作成するステップである。すなわち、座標系上に位置づけた型モデルを解析用の微小要素に細分化するステップである。このステップにより、型モデルによって区画された座標系上の空間は、多面体からなる多数の微小要素に分割される。分割数または分割幅は、解析精度、計算時間等を考慮して適切に設定すれば良い。
要素の分割形状は任意であり、有限差分法で採用されるような直交6面体であっても良いし、有限要素法のような金型形状に応じた多面体であっても良い。もっとも、有限差分法を用いると、微小要素への分割が容易であり、解析が数学的に簡潔になるという利点がある。また、微小要素の大きさはすべて同一である必要はなく、局所的に微小要素を細かく設定して解析精度の向上を図ることもできる。例えば、鋳造した際に、合金溶湯の湯流れが悪くなる部分やガス欠陥を生じ易い部分などで、微小要素を細かく設定すると良い。
なお、微小要素の分割は、型モデル中の全領域(空間)に対して行う必要は必ずしもなく、充填解析工程または凝固解析工程に必要な範囲、すなわち、キャビティ領域およびその境界の形成に必要な範囲でのみ行うことも可能である。
(c)要素定義ステップ
要素定義ステップは、少なくとも、要素作成ステップで作成された多数の微小要素の内で型モデル中のキャビティ領域に対応する微小要素をキャビティ要素と定義すると共に型モデル中の型領域に対応する微小要素を型要素と定義するステップである。このステップで、例えば、合金溶湯が未充填のキャビティ要素が空隙要素と定義されたり、合金溶湯が充填されたキャビティ要素が充填要素と定義されたり、キャビティ要素と型要素との境界面が表面要素と定義されたりする。要するに、要素定義ステップは、充填解析工程または凝固解析工程のために各微小要素の属性を定義するステップである。
ここで金型鋳造の場合、金型の内部や表面に冷媒(冷却水など)を接触させて金型を冷却させ、鋳造品を冷却凝固させることがある。特にダイカスト鋳造の場合、短時間内に一連の鋳造工程を終了させて、鋳物を効率的に量産しなければならないから、金型を連続的に強制冷却することが多い。このような場合、冷媒が通過する通路などを、冷却路要素などとして上記型要素とは別に定義しても良い。この他、冷却路などを特別な要素として定義しなくても、冷却路に接する特定の型要素を選定して、その選定された選定型要素に対して、温度などの属性を別途定義しても良い。いずれにしても、高精度のダイカストシミュレーションとなるように、現実のダイカスト条件に近い設定がされれば良い。
なお、この要素定義ステップは、前述の要素作成ステップの後に行われるステップではあるが、要素作成ステップで全ての微小要素の作成が完了した後に、要素定義ステップが行われる必要はない。すなわち、要素作成ステップで1以上の微小要素が作成される毎にその属性を定義する要素定義ステップを行い、この操作を繰り返して行うようにしても良い。
なお、本明細書でいう「型領域」とは型自身を形成する領域であり、合金溶湯が注入されない部分である。また、「キャビティ領域」とは合金溶湯が注入され最終的に鋳物等の成形品が形成される部分である。また、「型領域」と「キャビティ領域」との界面を境界領域としても良い。また、「型領域」の一部を前述した冷却路領域などとしても良い。
各微小要素をキャビティ要素や型要素などと定義する方法は特に限定されない。その一例を図3および図4に示す。なお、以下では便宜上、型モデル及び微小要素を2次元的に説明するが、本質的に3次元の場合も同様である。
図3には、直交座標を採用し、微小要素1を正方形(3次元的には直方体または立方体等の多面体形状)とした場合を示した。座標上の波線は、キャビティの境界線である。各微小要素1の重心2が、型領域(斜線部分)に存在するときはその微小要素1を型要素と定義し、キャビティ領域に存在するときはその微小要素をキャビティ要素と定義する。
各々の各微小要素1を型要素またはキャビティ要素と定義した状態を図4に示す。重心2が型領域に存在する場合を白丸○、重心2がキャビティ領域に存在する場合を●で表した。なお、型領域及びキャビティ領域のいずれにも該当しない微小要素1は、計算上の負荷とならないように規定すると良い。
(d)流入位置設定ステップ
流入位置設定ステップは、合金溶湯を押圧するプランジャの近傍にあるキャビティ要素から選定された選定キャビティ要素に該合金溶湯の流入位置を設定するステップである。通常、流入位置は、プランジャ前面にある型合わせ面近傍のキャビティ要素に点で定義される。この流入位置の設定された点で合金溶湯が吹き出すことになる。なお、この選定キャビティ要素は一つでもよいが、通常はプランジャ形状に応じて複数設けられる。また、流入位置は、合金溶湯を加圧するプランジャと共に移動するように設定しても良い。
〈充填解析工程〉
充填解析工程は、設定された型モデル中のキャビティへ合金溶湯が充填される充填過程を順次算出する工程である。これにより、キャビティ内に注入された合金溶湯の物理的挙動が微小時間毎に、微小要素単位で解析される。この充填解析工程は、必ずしも本発明の必須工程ではないが、実測値に適合した高精度なシミュレーションを行う上で、後述の凝固解析工程と連成されることも多い。そこで充填解析工程について以下に説明しておく。
具体的な算出方法は、特に限定されるものではなく、公知または慣用される方法を用いることができる。例えば、VOF(VolumeofFluid)、SOLA、FANやそれらの改良された計算方法等を用いることができる。これらの解析に用いられる基礎方程式として図5に示すような、(1−1)連続の式、(1−2)ナビア・ストークス(Navier−Stokes)の式、(1−3)VOF(界面の追跡)の式がある。この充填解析工程は、例えば、図6に示すような、流速・圧力算出ステップ、合金溶湯の移動ステップ、要素フラッグの変更ステップから構成される。
(a)流速・圧力算出ステップ
流速・圧力算出ステップでは、充填要素および表面要素に関して、前記ナビア・ストークスの式および連続の式から流速が算出される。なお、ここでいう「圧力」は合金溶湯の圧力である。
(b)合金溶湯の移動ステップ
合金溶湯の移動ステップでは、前記VOFの式から微小時間で移動する流体量が算出される。これにより各キャビティ要素の充填度合は充填率(流体率)で表現されることになる。例えば、充填率が0の場合は空隙要素であり、充填率>0の場合は充填要素となる。このように本明細書では、合金溶湯が少しでも充填された微小要素(充填率が0より大きく1以下のキャビティ要素)を「充填要素」と呼ぶ。逆に、充填率=0の微小要素を「空隙要素」と呼ぶ。
(c)要素フラッグの変更ステップ
要素フラッグの変更ステップでは、例えば、表面要素に境界条件として空隙圧力(キャビティ内の気圧)が付与される。
これら各ステップが合金溶湯の充填完了まで繰り返される。なお、この充填完了は、キャビティ要素の種類を調べ、キャビティ要素の90%以上が充填要素になったかで判断する。または、予め、初期溶湯量とキャビティ体積から算出しておいた充填時間を超えた時点で判断してもよい。このとき、未充填要素がある場合の未充填要素の温度は隣接要素の温度を順次あてはめるとよい。
〈凝固解析工程〉
(1)凝固特性の定義
(a)凝固解析工程は、充填された合金溶湯が凝固する凝固過程を順次算出する工程である。具体的な算出がされる前提として、先ず、合金(溶湯)の種類に応じて定まる凝固特性が定義される。
凝固特性には、比熱(c)、凝固潜熱(L)、平衡状態の共晶凝固温度など合金の種類に応じた物性値の他、合金の種類ごとに実験から特定した凝固速度(関数)や凝固速度パラメータなどが含まれる。凝固速度や凝固速度パラメータは関数形式で与えられても、数値群のデータベース形式で与えられても良い。以下、これら凝固速度および凝固速度パラメータについて詳述する。
(b)凝固速度
凝固速度は、合金の種類により定まる凝固量の時間変化量である。前述したように、この凝固速度を考慮した過冷凝固解析により、高精度なシミュレーション結果を得ることができる。
ところで本発明者の研究によれば、この凝固速度は例えば、合金溶湯の冷却速度の一次関数や過冷度の指数関数で表され得ることがわかっている。そして本発明の凝固解析方法によれば、過冷度を比較的容易に算出し得ることから、結果的に凝固速度もその過冷度を用いて容易に算出でき、特に凝固速度を過冷度を変数とする凝固速度関数として与えることが可能となる。このため、従来の解析アルゴリズム中へ凝固速度を取り入れることも容易となる。
なお、本明細書でいう「量」(凝固量やその変化量など)は絶対量の他「割合」(固相率など)をも含む。そして一般的に凝固解析を行う場合、凝固量は各充填要素の固相率で表されるので、本明細書では凝固速度を(df/dt)で主に表した。また、過冷度(ΔT)は、合金溶湯の固相率(f )に相応した平衡状態の温度として特定される平衡温度(平衡液相線温度)と、固相率(f )の変化を考慮せずに伝熱解析して求まる充填要素の温度である仮温度(T)との差である。仮温度(T)、過冷度(ΔT)、固相率(f )の算出方法については後述する。さらに「冷却速度」は合金溶湯の温度の時間変化であり、冷却速度はR=dT/dt=(TN+1−T )/Δt(T:計算ステップN回目の温度、Δt:時間ステップ)により求められる。
(c)凝固速度パラメータ
凝固速度パラメータは、凝固速度が合金溶湯の凝固に及ぼす影響を、固相率に応じて評価するパラメータである。
ここで前述した非特許文献2などにあるように、単に凝固速度を考慮しただけの場合(本発明でいう凝固速度パラメータを考慮しない場合)、実測値に整合した高精度なシミュレーション結果が得られなかった。この理由は次のように考えられる。すなわち、過冷凝固現象の場合、凝固初期では結晶成長が核生成により律速されるため凝固速度は比較的小さいが、凝固後期では凝固成長が既に晶出している固相から進行するため凝固速度は過冷度に対応し十分に大きくなるからである。
そこで例えば本発明のように、合金の種類に応じて、凝固初期では凝固速度パラメータを比較的小さく設定すると共に凝固終期では凝固速度パラメータを比較的大きく設定することで、現実の過冷凝固現象を適切に表現し得る。そして、固相率に応じて適切な凝固速度パラメータを選択し、前記凝固速度にこの凝固速度パラメータを加味して固相率変化量を算出することで、現実の過冷凝固現象に整合する高精度なシミュレーションが可能となる。
(2)凝固解析工程の各ステップ
凝固解析工程は、例えば、図7に示すように仮温度算出ステップ、過冷度算出ステップ、凝固速度パラメータ算出ステップ、固相率変化量算出ステップおよび回復温度算出ステップからなる。これら各ステップを予め設定した微小な基準時間毎に順次進めていき、各ステップ毎に合金溶湯の凝固挙動を解析することで、任意に設定した時間における凝固解析が可能となる。以下、これらの各ステップを順に説明する。
(a)仮温度算出ステップ
仮温度算出ステップは、キャビティ要素に合金溶湯が充填された充填要素について、固相率の変化を考慮せずに伝熱解析して求まる充填要素の温度である仮温度(T)を算出するステップである。
例えば、時刻t=(n+1)Δt(Δt:微小時刻)に対応する(n+1)回目の仮温度算出ステップは次のように行われる。
先ず時刻t=nΔtにおける型要素の温度をT とすると、例えば、下式(1)に示すようなエネルギ保存則を解くことで、時刻t=(n+1)Δtにおける充填要素の温度T*(n+t)が求まる。もっともこのT*(n+t) は、時刻t=nΔtのときの固相率(f )をそのまま用いて得られた値であり、時刻t=(n+1)Δtにおける固相率の変化に対応した凝固・溶融による潜熱放出・吸収を考慮したものではない。そこで本明細書では、時刻t=(n+1)Δtにおける充填要素の仮の温度という意味で仮温度をT と表記した。
なお、同様なエネルギ保存則を解くことで型要素の温度が得られる。この型要素の温度は、凝固潜熱の放出・吸収による温度変化を考慮する必要がないので、その求まった温度を時刻t=(n+1)Δtにおける型要素の温度T n+1とした。
ρc(δT/δt)=∇・(λ∇T )+Q (∇:ナブラ) (1)
ρ:密度、c:比熱、t:時刻、T:温度、n:解析上の計算回数、
λ:熱伝導率、Q:発熱項、Δt:時間変化量、T:時刻t=nΔtの温度
(本明細書中で文字の右肩に記載した「n」は、一般的にn回目のステップであることを示す。)
(b)過冷度算出ステップ
過冷度算出ステップは、充填要素について、合金溶湯の固相率に相応した平衡状態の温度として特定される平衡温度と仮温度との差である過冷度を算出するステップである。
例えば、時刻t=(n+1)Δt(Δt:微小時刻)に対応する(n+1)回目の過冷度(ΔTn+1)は、下式(2)を用いて算出される。
ΔTn+1 =T(f )−T*(n+t) (2)
:時刻t=nΔtにおける充填要素の固相率
TL(f ):固相率f のときの平衡液相線温度
(c)凝固速度パラメータ算出ステップ
凝固速度パラメータ算出ステップは、充填要素について、固相率に応じたパラメータを算出または選定するステップである。凝固速度パラメータは、固相率(f )を変数として与えられる関数でも、固相率(f )に応じて特定の定数や数式を選択するステップでもよい。本明細書では、凝固速度パラメータを便宜的に下式(3)で表現した。
k=k(f ) (3)
(d)固相率変化量算出ステップ
固相率変化量算出ステップは、上述した合金の種類により定まる凝固速度と凝固速度パラメータとに基づき、充填要素について、固相率の変化量である固相率変化量を算出するステップである。
例えば、時刻t=(n+1)Δt(Δt:微小時刻)に対応する(n+1)回目の固相率変化量(Δf n+1)は下式(4)を用いて算出される。
Δf n+1 =k(df/dt)(n+1)Δt (4)
ここで(df/dt)(n+1) は(n+1)回目の凝固速度を意味する。この凝固速度は合金の種類によって異なり、各合金ごとに実験的に求められる。
ところで、凝固速度は既述の過冷度(ΔT)に影響されるから、過冷度が正の値であれば(ΔT>0)、凝固が進行して上式(4)から固相率は増加する(Δf>0)。一方、過冷度が零なら(ΔT=0)、固相率変化量も零となる(Δf=0)。さらに過冷度が負の値ならば(ΔT<0)、溶解が進行して固相率は減少する(Δf<0)。
なお、固相率が減少する場合、その減少量は非平衡溶解モデルからも算出されるが、従来の平衡溶解モデル、溶解非考慮モデルなどから算出され得る。
(e)回復温度算出ステップ
回復温度算出ステップは、固相率変化量に相応する凝固潜熱量から求まる充填要素の温度変化分である回復度を仮温度に加味して、充填要素の温度を算出するステップである。
例えば、時刻t=(n+1)Δt(Δt:微小時刻)に対応する(n+1)回目の充填要素の温度Tn+1は下式(6)を用いて算出される。
n+1 =T*(n+t) +(L/c)Δf n+1 (5)
L:凝固潜熱、c:比熱
なお、前述したようにΔf は正の値となることもあれば負の値となることも零となることもあるから、当然ながら、回復度(L/c)Δf も正の値となることもあれば負の値となることも零となることもある。つまり「回復」とは仮温度から本来の温度になるという程度の意味であって、温度上昇を意味するものではない。
そして最終的に(n+1)回目の固相率(f n+1 )は固相率変化量(Δf n+1 )を用いて下式(6)により算出される(固相率算出ステップ)。
n+1=f +Δf n+1 (6)
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
〈凝固速度のデータベース化〉
先ず、本発明のダイカストシミュレーションを行う際に必要となる合金溶湯の凝固速度のデータベース化を行った。具体的には、鋳造用のAl合金(JIS:ADC12)を用いて、次のようにダイカスト実験及び流し込み注湯実験を行い、それぞれの場合においてAl合金溶湯が共晶凝固する際の凝固速度を測定することで、Al合金溶湯の凝固速度をデータベース化した。なお、Al合金溶湯の調製に用いたADC12の化学組成は、Cu:2.89%、Si:11.62%、Mg:0.21%、Zn:0.93%、Fe:0.88%、Mn:0.34%、Ni:0.05%、Al:残部(単位:質量%)であった
(1)ダイカスト実験
縦型ダイカスト機(型締力135t)に、図13に示すような製品部(キャビティ)の寸法が100mmx100mmx肉厚2〜10mmの平板状キャビティを持つ工具鋼(JIS:SKD61)製の金型を設置した。この金型のキャビティに先端直径0.1mmで応答時間0.05s以下の高応答性アルメルクロメル熱電対を取り付けた。
上記のAl合金を電気抵抗炉で溶解したAl合金溶湯を、上記のキャビティに連結された射出スリーブ内に注湯した。そして溶湯温度が610℃、640℃または670℃の各々の温度に達したときに、Al合金溶湯をキャビティに充填した。このときの鋳造圧力(プランジャ圧力)は50MPaとした。
Al合金溶湯を射出するときの注湯温度を670℃として、Al合金溶湯が凝固完了するまでの温度変化を記録した。これを図8に示す。
先ず、図8のプランジャ変位を観ると、0.95s付近でその変化がほぼ無くなり、溶湯が金型のキャビティ内に充満したことがわかる。このとき、充填された溶湯の温度が一旦最大になった後(図8中のA点)、急速に温度が低下し、温度変化が非常に小さい緩やかな部分が現れた(図8中のB点)。この部分は、共晶凝固が進行している部分であり、このときの初期温度(B点の温度)を連続冷却時の共晶凝固温度とした。
この共晶凝固温度は、約540℃であり、平衡状態にある上記Al合金(ADC12)の共晶凝固温度(568.4℃)よりも低い。従って、本実験のAl合金溶湯が過冷凝固していることがわかる。
(2)流し込み注湯実験
Al合金(ADC12)を電気抵抗炉で溶解したAl合金溶湯を種々の鋳型へ流し込み、凝固完了までの温度変化を前述した熱電対と同じ高応答性熱電対(直径:0.1mm)を用いて測定した。用いた鋳型は、銅金型(50x150x100mm)およびシェル型(φ40x50mm)である。複数の鋳型を用いたのは、Al合金溶湯の冷却速度を変化させるためである。なお、いずれの流し込み注湯実験も、Al合金溶湯の温度を650℃、鋳型の温度を室温として行った。そして前述したダイカスト実験の場合と同様にして、それぞれの場合における共晶凝固温度を測定結果から読み取った。
(3)共晶凝固温度の冷却速度依存性
上記のダイカスト実験および流し込み注湯実験で測定した共晶凝固温度と、それぞれの場合の冷却速度との相関(共晶凝固温度の冷却速度依存性)を図9に示した。なお、それぞれの実験における冷却速度は平衡状態における液相線温度の直上、すなわち、605℃から600℃までの冷却速度により求めた。
図9にプロットした点は下から順に、A:SKD61型ダイカスト実験(541℃、5000℃/s)、B:SKD61型ダイカスト実験549℃、1000℃/s)、C:銅金型流し込み注湯実験(561.5℃、100℃/s)、D:シェル型流し込み注湯実験(568.4℃、30℃/s)、である。()内の数値はそれぞれの場合における共晶凝固温度と冷却速度である。
この図9から明らかなように、冷却速度が小さいと共晶凝固温度は平衡状態の共晶凝固温度(T :568.4℃)に近いが、冷却速度が大きくなるほど共晶凝固温度は平衡状態から乖離して低くなった。そして図9から、共晶凝固温度が冷却速度の常用対数に対して直線的に変化することがわかった。
図9に示した共晶凝固温度を過冷度に換算すると図10に示す過冷度の冷却速度依存性が得られる。過冷度(ΔT)は、上述の各場合における共晶凝固温度(T)と平衡状態の共晶凝固温度(T)との差(ΔT=T−T)である。この図10から明らかなように、過冷度(ΔT)と冷却速度(dT/dt=R)の常用対数(logR)は次のような一次関数で表現される。
logR=αΔT+β (α、βは定数) (11)
さらに凝固潜熱の放出・吸熱による温度回復を考慮すると、df=(c/L)・dTであるから、凝固速度(df/dt)は冷却速度(dT/dt=R)を用いて次のように表現される。
df/dt=(c/L)・(dT/dt)=(c/L)R
ここでc:比熱、L:凝固潜熱である。この両辺について常用対数をとると、
log(df/dt)=log(c/L)+logR
これに前述のした式(11)を代入すると次のようになる。
log(df/dt)=log(c/L)+log(αΔT+β) (12)
この関係を示したものが図11である。
ここで対数の底を自然対数の底に変換して係数を書き改めると、凝固速度(df/dt)は過冷度(ΔT)を用いて次のように表現される。
df/dt=Aexp(BΔT) (13)
(A=0.078、B=0.19)
なお係数AおよびBは、c=1063(単位:J/kg・K)、L=388000(単位:J/kg)、α=−5.3、β=586として算出したものである。
《試験1》
〈ダイカスト鋳物の製造〉
(1)金型
図13に示す形状の試験用の金型を用意した。この製品部(鋳物部)の形状が本発明でいうキャビティ形状(領域)に相当する。各部のサイズは次の通りである。
製品部 :100x100x肉厚2(mm)
ゲート :幅25x厚さ2(mm)
ランナ :10x20x50(mm)
スリーブ :φ60x300(mm)
(2)ダイカスト鋳造
現物であるダイカスト鋳物を、上記の金型を用いて135tのダイカスト機を用いて製造した。このとき、充填中の合金溶湯がキャビティ内の空気を巻き込まないようにした。具体的には、プランジャを低速(射出速度:0.01m/s)で0.1s間移動させた後、高速(射出速度:0.4m/s)に切り替えて合金溶湯を充填した。
金型のキャビティへ合金溶湯を加圧充填するプランジャは、サイズがφ60x300(mm)のものを用いた。キャビティ内のガスはガス排出孔から排出して、キャビティ内を50torr(キャビティ内の実測値)まで減圧した。注湯温度は、保持炉で約640℃とした。こうして、アルミニウム合金(前述したADC12合金)製の平板試験片(製品部の肉厚が2mmのダイカスト鋳物)を得た。
このダイカスト鋳造の際、製品部に相当する金型のキャビティ内に溶湯が充填されてから凝固完了するまでの温度変化を、前述した場合と同様に直径0.1mmのアルメルクロメル熱電対で測定した。この温度変化の様子を図12に示した。
〈ダイカストシミュレーション〉
本発明の合金溶湯の凝固解析方法に係るダイカストシミュレーションを行い、その結果と上記の実測結果とを比較して両者の適合性を評価した。以下、その内容を詳述する。
(1)モデル設定工程
図13に示した金型の設計時に作成したCADデータを用いて、ダイカストシミュレーションに用いる型モデルを形成した(モデル形成ステップ)。そして、その型モデルを微小要素に分割した(要素作成ステップ)。分割方法は、矩形要素でメッシュ分割とした。さらに、各要素をキャビティ要素または型要素として定義した(要素定義ステップ)。プランジャの内壁面近傍にあるキャビティ要素を選定して、その選定キャビティ要素に流入位置を設定した(流入位置設定ステップ)。
(2)充填解析工程および凝固解析工程
上記金型モデルのキャビティ要素(空隙要素)への合金溶湯の充填解析は、現実の鋳造条件を考慮しつつ、既述した図6に示す各ステップに沿って行った。充填完了は、キャビティ要素の90%以上が充填要素になった時点で判断した。充填要素の合金溶湯の凝固解析は、既述した図7に示す各ステップに沿って行った。凝固完了は、キャビティ要素の固相率が1となった時点で判断した。この凝固完了によりシミュレーションが終了する。
ところで、このシミュレーションに際して、図11および式(13)に示した凝固速度と過冷度との関係を凝固速度関数として定義すると共に、表1に示すように複数の凝固速度パラメータkを定義した(凝固特性の定義)。そして、各ステップ毎に過冷度(ΔT)の算出、凝固速度パラメータの算出、固相率変化量の算出をした。そして、エネルギー保存則(式(1)参照)および温度回復法(式(5)参照)に基づき、回復温度を算出して各充填要素の温度および固相率を順次算出した。
〈評価〉
ダイカスト鋳造時の温度変化に関して、前述した実測値と、上記のシミュレーションから求めた解析結果とを図12に併せて示した。図12中に示した条件(1)〜(3)のシミュレーション結果は、表1に示した凝固速度パラメータkにそれぞれ対応している。なお図12には、過冷を考慮しない平衡凝固のシミュレーション結果も併せて示した。
先ず、図12から実測値の共晶凝固は約535℃前後で進行していることがわかる。この温度は、本実施例で用いたAl合金の物性値である平衡状態の共晶凝固温度(568.4℃)よりも30℃以上低い温度である。
次に、過冷凝固を考慮しない平衡凝固シミュレーションを行った場合、共晶凝固は568.4℃から開始し、実測値と大きくずれたものとなった。さら本発明に係る過冷凝固を考慮した過冷凝固シミュレーションを行った場合、条件(1)〜(3)のいずれのときも、実測値に近いシミュレーション結果が得られた。特に、凝固過程の後半部分(充填後から0.15s以降)では、いずれの条件の場合も共晶凝固温度が542℃となって実測値によく適合した。従って本発明に係る凝固解析方法を用いると、過冷凝固現象を精度良く再現できることが確認された。
特に条件(2)の場合、凝固過程の前半部分(充填後から0.15s以前)においても、シミュレーション結果が実測値に著しく適合した。従って、凝固速度パラメータを適切に設定して本発明に係る凝固解析方法を用いると、前述の過冷凝固現象のみならず、温度回復現象(再輝現象)も併せて精度良く再現できることが確認された。
なお、条件(2)とそれ以外の条件(1)、(3)とを対比するとわかるように、凝固過程の前半部分における実測値とシミュレーション結果との整合性は、固相率fsが小さい範囲(特にfs:0〜0.01)における凝固速度パラメータが大きく影響した。
Figure 0004914429
本発明の合金溶湯の凝固解析方法の処理手順を示すメインフローチャートである。 メインフローチャートの中のモデル設定工程を詳述したサブフローチャートである。 型モデルを微小要素に分割した様子を示す模式図である。 分割した微小要素を型要素またはキャビティ要素と定義した様子を示す模式図である。 充填解析で用いた基礎方程式を示す図である。 メインフローチャートの中の充填解析工程を詳述したサブフローチャートである。 メインフローチャートの中の凝固解析工程を詳述したサブフローチャートである。 合金溶湯の温度変化を示す実測値を記録したグラフである。 共晶凝固温度の冷却速度依存性を示すグラフである。 過冷度の冷却速度依存性を示すグラフである。 凝固速度と過冷度との関係を示すグラフである。 合金溶湯の温度と時間の関係に関する実測値とシミュレーション結果とを示すグラフである。 ダイカスト鋳造の製品部およびダイカストシミュレーションの型モデルの概形図である。

Claims (8)

  1. 合金の溶湯である合金溶湯が充填されるキャビティを構成する型を座標系上にモデル化した型モデルを設定するモデル設定工程と、
    該設定された型モデル中のキャビティへ充填された合金溶湯の凝固割合である固相率に基づき該合金溶湯が凝固する凝固過程を順次算出する凝固解析工程とからなる合金溶湯の凝固解析方法において、
    前記モデル設定工程は、
    前記型モデルを座標系上に位置づけて形成するモデル形成ステップと、
    該形成された型モデル中の領域を微小に分割した多数の微小要素を作成する要素作成ステップと、
    該作成された微小要素の内で該型モデル中のキャビティ領域に対応する微小要素をキャビティ要素と定義すると共に該型モデル中の型領域に対応する微小要素を型要素と定義する要素定義ステップとを備え、
    前記凝固解析工程は、前記合金の種類により定まる凝固量の時間変化量である凝固速度と該凝固速度が該合金溶湯の凝固に及ぼす影響を前記固相率に応じて評価するパラメータである凝固速度パラメータとに基づき、前記合金溶湯が充填されたキャビティ要素である充填要素における該固相率の変化量である固相率変化量を算出する固相率変化量算出ステップを備えることを特徴とする合金溶湯の凝固解析方法。
  2. 前記凝固解析工程は、さらに、前記充填要素について固相率の変化を考慮せずに伝熱解析して求まる該充填要素の温度である仮温度を算出する仮温度算出ステップと、
    前記合金溶湯の固相率に相応した平衡状態の温度として特定される平衡温度と前記仮温度との差である過冷度を算出する過冷度算出ステップとを備え、
    前記凝固速度は、該過冷度を変数とする凝固速度関数として与えられる請求項1に記載の合金溶湯の凝固解析方法。
  3. 前記凝固速度関数は、前記合金溶湯の冷却速度の一次関数で表される請求項2に記載の合金溶湯の凝固解析方法。
  4. 前記凝固速度関数は、前記過冷度の指数関数で表される請求項2に記載の合金溶湯の凝固解析方法。
  5. 前記凝固解析工程は、さらに、前記固相率変化量に相応する凝固潜熱量から求まる前記充填要素の温度変化分である回復度を前記仮温度に加味して、該充填要素の温度を算出する回復温度算出ステップを有する請求項2〜4のいずれかに記載の合金溶湯の凝固解析方法。
  6. 前記合金溶湯は、アルミニウム(Al)合金からなるAl合金溶湯またはマグネシウム(Mg)合金からなるMg合金溶湯である請求項1〜4のいずれかに記載の合金溶湯の凝固解析方法。
  7. 前記Al合金溶湯は、全体を100質量%としたときにケイ素(Si)を10〜13%含む請求項6に記載の合金溶湯の凝固解析方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の合金溶湯の凝固解析方法をコンピュータを機能させて実行することを特徴とする合金溶湯の凝固解析プログラム。
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