JP5096970B2 - 溶融材料の充填凝固解析方法およびその充填凝固解析プログラム - Google Patents

溶融材料の充填凝固解析方法およびその充填凝固解析プログラム Download PDF

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Description

本発明は、ダイカストシミュレーション等に利用できる溶融材料の充填凝固解析方法およびその充填凝固解析プログラムに関する。
アルミニウム(Al)合金やマグネシウム(Mg)合金等からなる部材を量産する場合、寸法安定性に優れ、きれいな鋳肌面が得られる金型鋳造(ダイカスト)が多用される。このダイカストでは、通常、20〜80MPa程度の大きな圧力を印加して溶湯を金型のキャビティへ注湯した後に急冷して鋳物を作製している。このため、少なくともダイカスト鋳物の場合、引け巣(収縮巣)欠陥が少ないと考えられている。
もっとも、加圧した溶湯が供給される溶湯供給部位は、プランジャ部と一部の局部加圧部のみであり、しかも、溶湯供給部位からの経路やキャビティの形状等によりキャビティ各部における溶湯の凝固状態が異なる。このため、ダイカストであっても依然として、凝固収縮による引け巣欠陥の発生が問題となり得る。従来はこの欠陥をなくすために、金型の冷却条件を変更するなどの試行錯誤を繰り返して最適条件を定めていた。
このような手法は当然にコスト高であり開発効率も悪い。そこで下記の特許文献にもあるように、現物を用いた試行錯誤に依らずに、コンピュータを用いたシミュレーションにより、ダイカスト時の溶湯の流動や凝固状況を予め予測して適正なダイカスト鋳造条件を効率よく探索することが行われつつある。
特開2003−334650号公報
上記の特許文献では、所定の固相率で閉領域を形成し、その中の残存液相が固相に至るまでの凝固収縮量から、収縮巣欠陥を予測している。
しかし、この特許文献の方法では、一旦、閉領域が形成されると、その領域内のキャビティ要素へは、溶湯の補給が一切されないことを前提に解析が行われている。すなわち、その特許文献の手法では、固相率が高い場合でも、溶湯がキャビティ要素へ流動し得ることが考慮されていない。このため、ダイカスト鋳造によって生じる収縮巣欠陥を高精度で解析しているとはいえない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものである。すなわち、現実により近い状況を再現してシミュレーションすることで、ダイカスト鋳物等に発生する収縮巣欠陥を高精度で解析することができる溶融材料の充填凝固解析方法およびその充填凝固解析プログラムを提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、溶融材料は固相率が相当高い領域をも流動し得ることに着目し、凝固収縮量の生じたキャビティ要素へ溶融材料が補給される状況を解析することで、収縮巣欠陥の発生位置や大きさ等を高精度で予測できることを新たに見いだした。そしてこの成果を発展させることで、本発明者は以降に述べる種々の発明を完成させるに至った。
〈溶融材料の充填凝固解析方法〉
(1)すなわち、本発明の溶融材料の充填凝固解析方法は、
溶融材料の充填されるキャビティを構成する型を座標系上にモデル化した型モデルを設定するモデル設定工程と、該設定された型モデル中のキャビティへ溶融材料が充填される充填過程を順次算出する充填解析工程と、
該充填された溶融材料が凝固する凝固過程を順次算出する凝固解析工程とからなる溶融材料の充填凝固解析方法において、
前記凝固解析工程は、前記溶融材料が充填されたキャビティ要素である充填要素内での該溶融材料の凝固割合である固相率を経時的に算出する固相率算出ステップと、該算出された固相率に基づいて該充填要素内での凝固収縮量を経時的に算出する凝固収縮量算出ステップと、前記固相率算出ステップで算出された充填要素の固相率が少なくとも第1閾値(C1)に至るまでは該充填要素内における溶融材料の流動を流体の流れを解析する基礎方程式に基づき算出し、前記固相率算出ステップで算出された充填要素の固相率が少なくとも第1閾値(C1)を越え第2閾値(C2)に至るまでは該充填要素内における溶融材料の流動を前記基礎方程式に該溶融材料の凝固に伴う流動抵抗を指標する抵抗項を加味した変形方程式に基づき算出すると共に前記固相率算出ステップで算出された充填要素の固相率が少なくとも第2閾値(C2)を越えると該充填要素を計算領域から除外することにより、前記凝固収縮量算出ステップで算出された凝固収縮量のある充填要素へ溶融材料が補給される補給過程を経時的に解析する補給解析ステップと、を備えることを特徴とする。
(2)本発明の溶融材料の充填凝固解析方法では、凝固解析工程の補給解析ステップで、固相率算出ステップで算出された固相率に基づき、溶融材料が流動する様子を表現する(微分)方程式が的確に使い分けられて、凝固収縮量算出ステップで算出された凝固収縮量の生じた充填要素への溶融材料のさらなる充填(補給)が解析される。この結果、実際のダイカスト鋳造等により近い状況が再現されることとなる。
具体的には、従来のダイカストシミュレーション等ではあまり考慮されていなかった固相率が第1閾値から第2閾値となる区間に着目している点に、本発明の大きな特徴がある。このような固相率が第1閾値から第2閾値の区間では、溶融材料がいわゆるダルシー流れに近い状態となる。この状況にある溶融材料は、加圧されていても、それ以前の粘性流れのような勢いでキャビティ要素へ溶融材料が充填されたり、凝固収縮分が補給されたりすることはない。とはいえ、溶融材料がキャビティ要素へ全く充填または補給されなくなる訳でもない。ダイカストの場合を例にとると、デンドライト等の晶出物が溶湯の流動を阻害するとしても、無数の晶出物の間にできる僅かな隙間を縫うようにして、溶湯は僅かながらも流動し得る。そして、凝固収縮の生じたキャビティ要素へ、周囲の固相率が1より小さいキャビティ要素から溶融材料が流れ込む。
このような溶融材料の流動を高精度で把握することで、溶融材料の凝固により生じる凝固収縮量と溶融材料の補給量とが的確に解析されるようになる。
こうして本発明によれば、従来よりもダイカスト鋳物などに発生する収縮巣欠陥等を高精度で予測することが可能となり、欠陥の少ない好適な金型形状や鋳造条件または射出条件等を効率よく決定でき、成型品の開発コストの削減を図れる。
なお、本明細書では、溶融材料の代表例として、金属溶湯、特にアルミニウム合金溶湯やマグネシウム合金溶湯を例示的に取り上げて説明することが多いが、本発明の概念自体は溶融材料が金属溶湯に限定されるものではなく、射出成形等に用いられる溶融樹脂なども溶融材料に含まれることを断っておく。
〈本発明の他形態〉
本発明は、上述した「方法」の発明には限られず、「物」の発明としても把握できる。すなわち、本発明は、前述の溶融材料の充填凝固解析方法をコンピュータを機能させて実行することを特徴とする溶融材料の充填凝固解析プログラムでも良い。
また、プログラムが「物」として把握されない場合であれば、そのプログラムを記録したコンピュータで読取り可能な記録媒体として把握することができる。さらには、そのプログラムを実行する溶融材料の充填凝固解析装置としても把握できる。これらの場合、本発明でいう「工程」を「手段」に読替えれば良い。すなわち、モデル設定工程をモデル設定手段に、本発明の充填解析工程を充填解析手段に、凝固解析工程を凝固解析手段にそれぞれ置換して考えれば良い。
発明の実施形態を挙げて、本発明をより詳しく説明する。なお、本明細書では便宜的に本発明の「溶融材料の充填凝固解析方法」に関して主に説明するが、本明細書で説明する内容はその充填凝固解析方法のみならずそれを実行するためのプログラム(溶融材料の充填凝固解析プログラム)等にも適宜適用できることを断っておく。また、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なることを断っておく。
本発明の充填凝固解析方法は、図5に示すように、モデル設定工程、充填解析工程および凝固解析工程からなる。以下、これら各工程を順次説明する。
(1)モデル設定工程
モデル設定工程は、溶融材料の充填されるキャビティを構成する型を座標系上にモデル化した型モデルを設定する工程である。モデル設定工程は、例えば、図6に示すような、モデル形成ステップ、要素作成ステップ、要素定義ステップおよび流入位置設定ステップからなる。
(a)モデル形成ステップ
モデル形成ステップは、金型の形状を座標系上に位置づけて型モデルを形成するステップである。金型が複数の型部材から構成される場合、前記の型モデルは、それぞれの型部材の形状が個別に座標系上に位置づけられている必要はなく、金型全体としての形状が座標系上に位置づけられていれば足る。
金型または型部材の形状(特に外形)の座標系上への位置づけは、それらの形状を数値データに変換して行うことができる。金型の形状がCADデータ等として既存の場合はそれを利用すると効率的である。勿論、数値データの取得は、CADデータに限らず、CAEや充填凝固解析シミュレーション装置等を利用しても得られる。さらには、3次元スキャナ等を用いて試作した現物の金型やダイカスト品の形状を数値データ化し、その数値データから型モデルを形成しても良い。
ちなみに、用いる座標系はデカルト座標系が一般的ではあるが、それに限らず、円筒座標系、球面座標系等、金型の形状や解析手法に応じた適当な座標系を選択するのが良い。
(b)要素作成ステップ
要素作成ステップは、モデル形成ステップで形成された型モデル中の領域を分割した多数の微小要素を作成するステップである。すなわち、座標系上に位置づけた型モデルを解析用の微小要素に細分化するステップである。このステップにより、型モデルによって区画された座標系上の空間は、多面体からなる多数の微小要素に分割される。分割数または分割幅は、解析精度、計算時間等を考慮して適切に設定すれば良い。
要素の分割形状は任意であり、有限差分法で採用されるような直交6面体であっても良いし、有限要素法のような金型形状に応じた多面体であっても良い。もっとも、有限差分法を用いると、微小要素への分割が容易であり、解析が数学的に簡潔になるという利点がある。また、微小要素の大きさはすべて同一である必要はなく、局所的に微小要素を細かく設定して解析精度の向上を図ることもできる。例えば、鋳造した際に、金属溶湯の湯流れが悪くなる部分やガス欠陥を生じ易い部分などで、微小要素を細かく設定すると良い。
なお、微小要素の分割は、型モデル中の全領域(空間)に対して行う必要は必ずしもなく、充填解析工程または凝固解析工程に必要な範囲、すなわち、キャビティ領域およびその境界の形成に必要な範囲でのみ行うことも可能である。
(c)要素定義ステップ
要素定義ステップは、少なくとも、要素作成ステップで作成された多数の微小要素の内で型モデル中のキャビティ領域に対応する微小要素をキャビティ要素と定義すると共にキャビティ要素以外の微小要素を型要素と定義するステップである。より具体的には、このステップで、例えば、溶融材料が未充填のキャビティ要素が空隙要素と定義されたり、溶融材料が未充填のキャビティ要素が充填要素と定義されたり、キャビティ要素と型要素との境界面が表面要素と定義されたりする。要するに、要素定義ステップは、充填解析工程または凝固解析工のために各微小要素の属性を定義するステップである。
なお、この要素定義ステップは、前述の要素作成ステップの後に行われるステップではあるが、要素作成ステップで全ての微小要素の作成が完了した後に、要素定義ステップが行われる必要はない。すなわち、要素作成ステップで1以上の微小要素が作成される毎にその属性を定義する要素定義ステップを行い、この操作を繰り返して行うようにしても良い。
なお、本明細書でいう「型領域」とは型自身を形成する領域であり、溶融材料が注入されない部分である。また、「キャビティ領域」とは溶融材料が注入され最終的に鋳物等の成形品が形成される部分である。また、「型領域」と「キャビティ領域」との界面を境界領域としても良い。
各微小要素をキャビティ要素や型要素などと定義する方法は特に限定されない。その一例を図1および図2に示す。なお、以下では便宜上、型モデル及び微小要素を2次元的に説明するが、本質的に3次元の場合も同様である。
図1には、直交座標を採用し、微小要素1を正方形(3次元的には直方体または立方体等の多面体形状)とした場合を示した。座標上の波線は、キャビティの境界線である。各微小要素1の重心2が、型領域(斜線部分)に存在するときはその微小要素1を型要素と定義し、キャビティ領域に存在するときはその微小要素をキャビティ要素と定義する。
各々の各微小要素1を型要素またはキャビティ要素と定義した状態を図2に示す。重心2が型領域に存在する場合を白丸○、重心2がキャビティ領域に存在する場合を●で表した。なお、型領域及びキャビティ領域のいずれにも該当しない微小要素1は、計算上の負荷とならないように規定すると良い。
(d)流入位置設定ステップ
流入位置設定ステップは、溶融材料を押圧するプランジャの近傍にあるキャビティ要素から選定された選定キャビティ要素に該溶融材料の加圧流入位置を設定するステップである。通常、加圧流入位置は、プランジャ前面にある型合わせ面近傍のキャビティ要素に点で定義される。この加圧流入位置の設定された点で溶融材料が吹き出すことになる。なお、この選定キャビティ要素は一つでもよいが、通常はプランジャ形状に応じて複数設けられる。溶融材料の現実の加圧状況に応じて、複数の選定キャビティ要素に重み係数を付与しても良い。また、流入位置は、溶融材料を加圧するプランジャと共に移動するように設定しても良い。
(2)充填解析工程
充填解析工程は、設定された型モデル中のキャビティへ溶融材料が充填される充填過程を順次算出する工程である。これにより、キャビティ内に注入された溶融材料の物理的挙動が微小時間毎に、微小要素単位で解析される。
具体的な算出方法は、特に限定されるものではなく、公知または慣用される方法を用いることができる。例えば、VOF(Volumeof Fluid)、SOLA、FANやそれらの改良された計算方法等を用いることができる。これらの解析に用いられる基礎方程式として図3に示すような、(1)連続の式、(2)ナビア・ストークス(Navier−Stokes)の式、(3)VOF(界面の追跡)の式がある。
充填解析工程は、例えば、図7に示すような、流速・圧力算出ステップ、溶融材料の移動ステップ、要素フラッグの変更ステップから構成される。
(a)流速・圧力算出ステップ
流速・圧力算出ステップでは、充填要素および表面要素に関して、前記ナビア・ストークスの式および連続の式から流速が算出される。なお、ここでいう「圧力」は溶融材料の圧力である。
(b)溶融材料の移動ステップ
溶融材料の移動ステップでは、前記VOFの式から微小時間で移動する流体量が算出される。これにより各キャビティ要素の充填度合は充填率(流体率)で表現されることになる。例えば、充填率が0以下の場合は空隙要素であり、充填率>0の場合は充填要素となる。以降、本明細書では、溶融材料が少しでも充填された微小要素(充填率が0より大きく1以下のキャビティ要素)を「充填要素」と呼ぶ。逆に、充填率=0の微小要素を「空隙要素」と呼ぶ。
(c)要素フラッグの変更ステップ
要素フラッグの変更ステップでは、例えば、表面要素に境界条件として空隙圧力(キャビティ内の気圧)が付与される。
これら各ステップが溶融材料の充填完了まで繰り返される。なお、この充填完了は、キャビティ要素の種類を調べ、キャビティ要素の90%以上が充填要素になったかで判断する。または、予め、初期溶湯量とキャビティ体積から算出しておいた充填時間を超えた時点で判断してもよい。このとき、未充填要素がある場合の未充填要素の温度は隣接要素の温度を順次あてはめるとよい。
(3)凝固解析工程
凝固解析工程は、充填された溶融材料が凝固する凝固過程を順次算出する工程である。この凝固解析工程は、具体的には、図8に示すような、固相率算出ステップと、凝固収縮量算出ステップと、補給解析ステップとから構成される。なお、図7に示したフローでは、固相率算出ステップの前に、各充填要素内の溶融材料の温度を解析する温度解析ステップを設けた場合を示したが、このステップを固相率算出ステップまたは凝固収縮量算出ステップに含めて考えてもよい。
(a)温度解析ステップ
温度解析ステップは、充填要素内の溶融材料の温度を解析するステップである。この溶融材料の温度は、例えば、図3に示した(4)熱伝導式に基づいて算出される。具体的には、例えば、それぞれの充填要素間または金型の最表面とそれに接する充填要素との間における伝熱(熱伝導、熱伝達)を経時的に解析する伝熱解析により、各充填要素の溶融材料の温度が経時的に算出される。
(b)固相率算出ステップ
固相率算出ステップは、溶融材料が充填されたキャビティ要素である充填要素内での溶融材料の凝固割合である固相率を経時的に算出するステップである。この固相率は、例えば、前記熱伝導式に基づいて、各充填要素から放出される溶融材料の潜熱量を算出することで得られる。なお、固相率は、例えば、キャビティ要素内に充填された溶融材料全体に対する固相の質量%で表される。
(c)凝固収縮量算出ステップ
凝固収縮量算出ステップは、算出された固相率に基づいて充填要素内での凝固収縮量を経時的に算出するステップである。この凝固収縮量を算出する際に、温度解析ステップで算出した充填要素の温度を加味してもよい。
(d)補給解析ステップ
(i)本発明の前記補給解析ステップでは、固相率が低い場合における各キャビティ要素への溶融材料の充填のみならず、固相率が高い場合における充填要素への溶融材料の補給をも考慮して、溶融材料の流動を解析する。
この補給解析ステップは、充填要素に溶融材料が流動するものであるから、基本的には、前述した充填解析工程(特に、溶融材料の移動ステップ)と類似した解析を行う。
ここで、固相率が低い場合は、溶融材料が一般的な粘性流れ状態に近いため、前述したような基礎方程式に基づいて溶融材料の流動を解析することができる。一方、固相率が高い場合は、溶融材料の挙動が急変し、溶融材料はいわゆるダルシー流れ状態になる。このような状態に対して前述の基礎方程式をそのまま適用しても、溶融材料の流動を適正に解析することは難しい。そこで、固相率が高い状態にある溶融材料の挙動を適切に評価できる関係式が必要となる。
(ii)本発明者は、固相率の増加によって溶融材料が流動する際の抵抗が急増することに着目して、前記の基礎方程式(例えば、ナビア・ストークスの式)に抵抗項を付加した変形方程式を用いて解析することで、固相率が高い状態を適切に指標できることを知見した。この変形方程式の一例を図4に示す。ここで抵抗項として付加したHは、より具体的には、例えば、充填要素内で流動する溶融材料の流速ベクトル(V)と抵抗係数(B)とによって次のように表される。
抵抗項 : H=B・V
さらに、この抵抗係数(B)は、例えば、固相率(fs)および固相係数(Cs)を用いて次のように表される。
抵抗係数 : B=Cs・fs2/(1−fs)3
これらの式は本発明者が鋭意研究した結果得られたものであるが、抵抗項を特定するための式がこれらに限定されるということを意味しない。このことは本明細書でいう流動解析のための方程式全般に該当することである。
(iii)次に、どのような固相率になったときに、溶融材料の流動解析の方程式を使い分けるかが問題となる。この点は、溶融材料の特性に応じて異なるため一概には特定できない。もっとも本発明者は、溶融材料として全体を100質量%としたときにSiを10〜13%含む鋳造用アルミニウム合金からなる溶湯を用いてダイカスト鋳造した場合について実験したところ、次ような結果を得ている。
すなわち、補給解析ステップで使用する方程式を基礎方程式から変形方程式へ切り替える固相率の第1閾値(C1)の下限0.5さらには0.55、上限は0.7さらには0.6とすると、実鋳物に近接した結果が得られて好ましい。また、その変形方程式に基づく解析を継続する固相率の第2閾値(C2)の下限は0.9さらには0.93、上限は1未満であり、敢えていうと上限は0.99さらには0.98とすると、実鋳物に近接した結果が得られて好ましい。
さらに、前記の固相係数(Cs)の下限は、1x105さらには1x106、上限は1x109さらに1x108とすると、実鋳物に近接した結果が得られて好ましい。これら各係数が、上述の下限より過小または上限よりも過大であると、シミュレーションによる解析結果と現物との乖離が大きくなる。
なお、本明細書では、各係数について単位を敢えて示していないが、例えば、上記のC1やC2に対しては固相率の単位である質量%を用いることができる。また、Csについても、Bの単位に固相率の単位である質量%をかけたものとなる。ここで、Bの単位は、例えば、cm-1-1である。
(iv)上述した補給解析ステップの処理フローを図9に示した。このフローからも分かるように、固相率fsがC2を越えると、その充填要素はもはや溶融材料が流動する状況にはないため、補給解析ステップからは除外され、計算対象とはされない。そして、図8に示すように、凝固完了によって、凝固解析工程は終了する。なお、この凝固完了は、すべての要素(キャビティ)が固相率1となった時点とすればよい。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
本発明の溶融材料の充填凝固解析方法に係るダイカストシミュレーションを行い、その結果と実測結果とを比較して両者の適合性を評価した。以下、その内容を詳述する。
〈金型〉
図10に示す形状のキャビティを有する試験用の金型を用意した。この鋳物部の形状が本発明でいうキャビティ形状(領域)に相当する。各部のサイズは次の通りである。
製品部 :300x100x10(mm)
ゲート :幅25x厚さ2(mm)
ランナ :500x100x15(mm)
ビスケット:φ150x30(mm)
〈ダイカスト鋳物の製造〉
現物であるダイカスト鋳物を、上記の金型を用いて135tのダイカスト機を用いて製造した。このとき、金属溶湯が充填中にキャビティ内の空気を巻き込まないようにした。具体的には、プランジャを低速(射出速度:0.01m/s)で0.1s間移動させた後、高速(射出速度:0.4m/s)に切り替えて行った。金型のキャビティへ金属溶湯を加圧充填するプランジャは、サイズがφ150x40(mm)のものを用いた。キャビティ内のガスはガス排出孔から排出して、キャビティ内を50torr(キャビティ内の実測値)まで減圧した。こうして、アルミニウム合金(JIS ADC12合金)製のダイカスト鋳物を得た。
〈ダイカストシミュレーション〉
本発明の溶融材料の充填凝固解析方法であるAl合金のダイカストシミュレーションを次のように行った。
(1)モデル設定工程
上記の金型の設計時に作成したCADデータを用いて、ダイカストシミュレーションに用いる型モデルを形成した(モデル形成ステップ)。そして、その型モデルを微小要素に分割した(要素作成ステップ)。分割方法は、矩形要素でメッシュ分割とした。さらに、各要素をキャビティ要素または型要素として定義した(要素定義ステップ)。プランジャの内壁面近傍にあるキャビティ要素を選定して、その選定キャビティ要素に加圧流入位置を設定した(流入位置設定ステップ)。
(2)充填解析工程および凝固解析工程
上記金型モデルのキャビティ要素(空隙要素)への金属溶湯の充填凝固解析は、現実の鋳造条件を考慮しつつ、既述した図7〜9に示す各ステップに沿って行った。
充填完了は、キャビティ要素の90%以上が充填要素になった時点で判断し、凝固完了は、キャビティ要素の固相率が1となった時点で判断した。この凝固完了によりシミュレーションが終了する。
〈評価〉
実鋳物のダイカスト鋳物を調査した結果得られた欠陥量と、ダイカストシミュレーションの結果得られた欠陥量とを対比して、実際のダイカスト鋳造に近いシミュレーションができるような第1閾値(C1)、第2閾値(C2)および固相係数(Cs)を調べた。
(1)第1閾値:C1
C1を0.1〜1の範囲で変化させて、実鋳物の欠陥量とシミュレーションから得られた欠陥量とを対比したグラフを図11に示した。図11から、C1を0.5〜0.7にすると、シミュレーションの欠陥量が実鋳物の欠陥量にほぼ近い値になることが確認された。
(2)第2閾値:C2
C1を0.5とし、C2を0.1〜1の範囲で変化させて、実鋳物の欠陥量とシミュレーションから得られた欠陥量とを対比したグラフを図12に示した。図12から、C2を0.9以上で1未満にすると、シミュレーションの欠陥量が実鋳物の欠陥量にほぼ近い値になることが確認された。
(3)固相係数:Cs
C1を0.5、C2を0.9とし、Csを1x100〜1x1012の範囲で変化させて、実鋳物の欠陥量とシミュレーションから得られた欠陥量とを対比したグラフを図13に示した。図13から、Csを1x105〜1x109にすると、シミュレーションの欠陥量が実鋳物の欠陥量にほぼ近い値になることが確認された。
(4)収縮巣欠陥の様子
実鋳物に生じた収縮巣欠陥の分布を示すX線透過写真を図14(a)に示す。白い部分が収縮巣欠陥を示す。実鋳物では収縮巣欠陥が、製品部の中心部分に細長く分布していることが確認された。
次に、本発明のような固相率に基づく補給解析を行わなずに、固相率を0.7とした閉ループから求まる収縮量より求めた収縮巣の発生状態を図14(b)に示した(比較例)。
また本発明に係るダイカストシミュレーションした場合に得られる収縮巣欠陥を図14(c)に示した(実施例)。なお、実施例のシミュレーションに用いた数値は、C1=0.5、C2=0.9、Cs=10x108とした。
図14(a)と図14(b)および図14(c)とを比較すると明らかなように、比較例では、製品部中央に逆三角状の収縮巣が集中して発生したものとなった。この結果は、実鋳物の収縮巣欠陥の分布や欠陥量と明らかに異なっている。
一方、実施例では、製品部中央に細長い形状の収縮巣が集中して発生したものとなった。この結果は、実鋳物の収縮巣欠陥の分布や欠陥量に相当近いものである。
このように、本発明に係るダイカストシミュレーションを行った場合、実測に非常に良いマッチングを示す結果が得られることが明かであり、実際のダイカストを巧く再現できることが確認できた。
型モデルを微小要素に分割した様子を示す模式図である。 分割した微小要素を型要素またはキャビティ要素と定義した様子を示す模式図である。 流動解析等で用いた基礎方程式を示す図である。 補給解析で用いた変形方程式を示す図である。 本発明の溶融材料の充填凝固解析方法の処理手順を示すメインフローチャートである。 メインフローチャートの中のモデル設定工程を詳述したサブフローチャートである。 メインフローチャートの中の充填解析工程を詳述したサブフローチャートである。 メインフローチャートの中の凝固解析工程を詳述したサブフローチャートである。 図8のサブフローチャートの中の補給解析ステップを詳述したサブフローチャートである。 本発明の一実施例であるダイカストシミュレーションを行う対象である鋳物形状を示す斜視図である。 第1閾値について、実測の欠陥量とダイカストシミュレーションの欠陥量とを比較したグラフである。 第2閾値について、実測の欠陥量とダイカストシミュレーションの欠陥量とを比較したグラフである。 固相係数について、実測の欠陥量とダイカストシミュレーションの欠陥量とを比較したグラフである。 実鋳物の収縮巣欠陥を解析したX線透過写真(同図(a))と、ダイカストシミュレーションの結果得られた収縮巣欠陥の解析図であり、同図(b)は比較例の場合を示し、同図(c)は実施例の場合を示す。

Claims (5)

  1. 溶融材料の充填されるキャビティを構成する型を座標系上にモデル化した型モデルを設定するモデル設定工程と、
    該設定された型モデル中のキャビティへ溶融材料が充填される充填過程を順次算出する充填解析工程と、
    該充填された溶融材料が凝固する凝固過程を順次算出する凝固解析工程とからなる溶融材料の充填凝固解析方法において、
    前記凝固解析工程は、
    前記溶融材料が充填されたキャビティ要素である充填要素内での該溶融材料の凝固割合である固相率を経時的に算出する固相率算出ステップと、
    該算出された固相率に基づいて該充填要素内での凝固収縮量を経時的に算出する凝固収縮量算出ステップと、
    前記固相率算出ステップで算出された充填要素の固相率が少なくとも第1閾値(C1)に至るまでは該充填要素内における溶融材料の流動を流体の流れを解析する基礎方程式に基づき算出し、前記固相率算出ステップで算出された充填要素の固相率が少なくとも第1閾値(C1)を越え第2閾値(C2)に至るまでは該充填要素内における溶融材料の流動を前記基礎方程式に該溶融材料の凝固に伴う流動抵抗を指標する抵抗項を加味した変形方程式に基づき算出すると共に前記固相率算出ステップで算出された充填要素の固相率が少なくとも第2閾値(C2)を越えると該充填要素を計算領域から除外することにより、前記凝固収縮量算出ステップで算出された凝固収縮量のある充填要素へ溶融材料が補給される補給過程を経時的に解析する補給解析ステップと、
    を備えることを特徴とする溶融材料の充填凝固解析方法。
  2. 前記溶融材料は、全体を100質量%としたときにSiを10〜13%含む鋳造用アルミニウム合金からなる溶湯であり、
    前記第1閾値(C1)は、0.5〜0.7である請求項1に記載の充填凝固解析方法。
  3. 前記溶融材料は、全体を100質量%としたときにSiを10〜13%含む鋳造用アルミニウム合金からなる溶湯であり、
    前記第2閾値(C2)は、0.9〜0.99である請求項1または2に記載の充填凝固解析方法。
  4. 前記抵抗項は、前記充填要素内で流動する溶融材料の流速ベクトル(V)と抵抗係数(B)とによって表される請求項1または3に記載の充填凝固解析方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の溶融材料の充填凝固解析方法をコンピュータを機能させて実行することを特徴とする溶融材料の充填凝固解析プログラム。
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