JP2003170269A - 鋳造シミュレーション方法、鋳造シミュレーション装置及び鋳造シミュレーションプログラム並びに当該鋳造シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体 - Google Patents

鋳造シミュレーション方法、鋳造シミュレーション装置及び鋳造シミュレーションプログラム並びに当該鋳造シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体

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JP2003170269A
JP2003170269A JP2001375466A JP2001375466A JP2003170269A JP 2003170269 A JP2003170269 A JP 2003170269A JP 2001375466 A JP2001375466 A JP 2001375466A JP 2001375466 A JP2001375466 A JP 2001375466A JP 2003170269 A JP2003170269 A JP 2003170269A
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casting
heat transfer
cooling
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cooling point
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JP2001375466A
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Mikinari Nozaki
美紀也 野崎
Yukio Otsuka
幸男 大塚
Harumi Ueno
治己 上野
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳造型の温度分布を作業者の経験に頼らず、よ
り正確に推測できる鋳造シミュレーション方法を提供す
ること。 【解決手段】鋳造型を座標系上に位置づけ、鋳造型を多
面体からなる複数の微小要素に分割する要素作成工程
と、隣接する要素間の伝熱と鋳造型最表面の要素及び該
鋳造型外との間の伝熱とを解析する伝熱解析工程とを有
し、鋳造型の温度分布を推定する鋳造シミュレーション
方法である。さらに、鋳造型をキャビティ面側から冷却
する冷却ポイントを設定する冷却ポイント設定工程S3
2を有し、要素作成工程及び冷却ポイント設定工程S3
2の後、伝熱解析工程S34の前に、冷却ポイント設定
工程S32で設定した冷却ポイントの設定情報に応じて
鋳造型最表面の要素と鋳造型外との間の伝熱係数を設定
する伝熱係数設定工程S33を有することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造シミュレーシ
ョン方法、鋳造シミュレーション装置及び鋳造シミュレ
ーションプログラム並びに当該鋳造シミュレーションプ
ログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のコンピュータの計算能力の向上に
伴い、鋳鉄・アルミ等による鋳造・ダイキャスト等を行
う際の溶湯の挙動についてのコンピュータ上における鋳
造シミュレーションの適用範囲が広がっている。鋳造シ
ミュレーションは溶湯の湯流れ及び凝固の挙動について
理解を深めることを目的としており、適正な鋳造条件を
探索する有用な手段として期待されている。
【0003】鋳造時の溶湯の挙動を適正に追跡するには
鋳造型についても正確な挙動の理解が必要である。鋳造
型は鋳造工程において溶湯のキャビティ内への射出、キ
ャビティ内での溶湯の凝固による鋳造製品の形成、型開
き、型締め等というサイクルが進行するにつれて熱の蓄
積、放出が進行し、複雑な温度分布変化を示している。
【0004】このような鋳造型の温度分布はキャビティ
内の鋳造製品に大きな影響を与える。たとえば、鋳造型
の温度により溶湯の冷却速度が大きく変化し、鋳造型の
温度分布によっては鋳造製品に好ましくない、ひけ等の
欠陥が生じることもある。また、鋳造型のキャビティ表
面の温度には一定温度以下に保持しないと適正に離型剤
塗布ができないことに加え、一定温度以上に保持しない
と鋳造型の冷却に用いた冷却水の除去が完全にできない
等の理由から一定範囲内に保持する要請もある。このよ
うに、鋳造を適正に行うためには鋳造型の温度分布を正
確に把握することはもちろん、正確に制御することが望
まれている。
【0005】従来、鋳造工程での型開き時の温度管理
は、鋳造型内に形成された冷却管等の内冷手段により冷
却部位及び冷却量が大まかに決定される他、細かい調整
をキャビティ面側から冷却水等を噴射する方法により行
っていた。
【0006】これらの鋳造型についての温度管理はあま
り系統だっては行われておらず、製造現場において、実
際の鋳造製品に発生する不具合から推測して経験的に鋳
造型の冷却部位及び冷却量を変化させていた。また、現
実的にも実際の鋳造型の型温を測定することは煩雑且つ
困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来の鋳造操作は作業者の経験に頼るところが大きく、
安定性に欠けるものであった。また、従来の鋳造シミュ
レーション方法では、鋳造製品に発生するひけ等の欠陥
の発生を正確に発見することができなかった。これは従
来の鋳造シミュレーション方法における鋳造型の温度分
布についての理解が適正でなかったことを示唆してい
る。
【0008】そこで本発明では鋳造型の温度分布を作業
者の経験に頼らず、より正確に推測できる鋳造シミュレ
ーション方法及び鋳造シミュレーション装置並びにそれ
らをコンピュータ上で実現する鋳造シミュレーションプ
ログラムを提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する目的
で本発明者等が鋭意研究を行った結果、従来の鋳造シミ
ュレーション方法では、鋳造型を冷却する手段として鋳
造型内に設けられた冷却管等の内冷手段は再現している
ものの、鋳造時の型開き時における鋳造型キャビティ内
表面への離型材の塗布や、鋳造型の過熱部分への冷却水
の噴射等の冷却手段の再現が充分でないことが鋳造型の
温度分布を正確に推測できない原因であることに想到し
た。
【0010】従来の鋳造シミュレーション方法は鋳造型
と周囲の雰囲気との間の伝熱を場所に関係なく常に一定
であると仮定して計算を行っていた。たとえば鋳造シミ
ュレーション方法ではなく樹脂の射出成形のシミュレー
ション方法に関する従来技術であるが、特開平7−52
220号公報では、樹脂成形品形状を2次元的な微小要
素に分割し、微小要素間の接続状態が平面か屈曲かを判
別し、屈曲部分については屈曲角度に応じた補正肉厚を
算出して熱伝導を解析する方法が開示される。また、特
開平10−29233号公報には樹脂成形品モデル及び
冷却管モデルを作成し、冷却管の位置、管径を変化させ
てシミュレーションを行い、温度分布がゲートを中心と
した軸対称となるように冷却管の位置及び関係を変化さ
せて決定する方法が開示される。これらの従来技術の方
法に限られず、従来のシミュレーション方法では型と雰
囲気との間の伝熱係数は常に一定であると仮定されて計
算されていた。
【0011】そこで本発明者等は、鋳造型を座標系上に
位置づけ、その鋳造型を多面体からなる複数の微小要素
に分割する要素作成工程と、隣接するそれら要素間の伝
熱とその鋳造型最表面のそれら要素及び該鋳造型外との
間の伝熱とを解析する伝熱解析工程とを有し、その鋳造
型の温度分布を推定する鋳造シミュレーション方法につ
いて、鋳造型と雰囲気との間の伝熱条件(係数)を部位
によって変化させたり、鋳造シミュレーションの結果か
ら変化させたりする方法を実現する方法を研究した。
【0012】その結果、さらに、前記鋳造型をキャビテ
ィ面側から冷却する冷却ポイントを設定する冷却ポイン
ト設定工程を有し、前記要素作成工程及び前記冷却ポイ
ント設定工程の後、前記伝熱解析工程の前に、その冷却
ポイント設定工程で設定した冷却ポイントの設定情報に
応じて前記鋳造型最表面のそれら要素とその鋳造型外と
の間の伝熱係数を設定する伝熱係数設定工程を有するこ
とを特徴とする鋳造シミュレーション方法を発明した
(請求項1)。
【0013】つまり、設定した冷却ポイントの設定情報
に応じて、鋳造型を微小に分割した各要素の伝熱係数の
みを必要に応じて変更するだけで、正確な鋳造型温度を
推測することが可能となった。また、本発明方法では冷
却ポイントの設定情報を変化させても鋳造型を形成する
各要素から形成されるモデルについて再構築等の影響を
与えることなく簡便に再計算をすることが可能となり、
冷却ポイントの設定情報の変動が容易にでき、冷却ポイ
ントについての試行錯誤が簡単に行える利点をもつ。
【0014】そして、この場合に、前記冷却ポイントは
冷却流体を噴射口から噴射する手段として扱い、その冷
却ポイントの設定情報としては座標系における噴射口の
配置位置とその冷却流体を噴射する噴射方向と、その冷
却流体の噴射投影形状と、冷却能力とをもたせることが
好ましい。それにより、前記した伝熱係数設定工程とし
ては、設定した冷却ポイント毎に、噴射口の位置と噴射
方向と噴射投影形状とから噴射可能範囲を導出するステ
ップと、その噴射可能範囲内に含まれる鋳造型最表面の
要素を検出するステップと、検出された最表面の要素と
鋳造型外との間の伝熱係数を冷却能力に応じた値に設定
するステップとをもたせることにより、より現実の鋳造
工程における型開きの工程を再現することが可能となり
好ましい(請求項2)。
【0015】また、伝熱解析工程としては、所定時間後
に所定の前記要素の温度が所定温度範囲外となる場合に
冷却ポイントの設定情報を変動させる冷却ポイント変動
ステップと、それぞれの要素について温度を型開き後の
初期条件に再設定した後に再解析を行う再解析ステップ
とをもち、鋳造型の温度が所定温度範囲内となるまで冷
却ポイント変動ステップ及び再解析ステップを繰り返す
ことにより、鋳造型の型温を好ましい範囲内に自動的に
制御することができるので好ましい(請求項3)。
【0016】さらに、前記課題を解決する本発明の鋳造
シミュレーション装置は上記した鋳造シミュレーション
方法の各工程を実現する装置とすることができる(請求
項4〜6)。
【0017】具体的には、鋳造型を座標系上に位置づ
け、その鋳造型を多面体からなる複数の微小要素に分割
する要素作成手段と、隣接するそれら要素間の伝熱とそ
の鋳造型最表面のそれら要素及びその鋳造型外との間の
伝熱とを解析する伝熱解析手段とを有し、その鋳造型の
温度分布を推定する鋳造シミュレーション装置である。
【0018】本装置は、さらに前記鋳造型をキャビティ
面側から冷却する冷却ポイントを設定する冷却ポイント
設定手段を有し、前記冷却ポイント設定手段で設定した
前記冷却ポイントの設定情報に応じて前記伝熱解析手段
で用いる前記鋳造型最表面のそれら要素とその鋳造型外
との間の伝熱係数を設定する伝熱係数設定手段を有する
ことを特徴としている(請求項4)。
【0019】そして前記冷却ポイントを冷却流体を噴射
口から噴射する手段とし、その冷却ポイントの設定情報
としては前記座標系におけるその噴射口の配置位置と冷
却流体を噴射する噴射方向と、該却流体の噴射投影形状
と、冷却能力とを設定する。その場合に前記伝熱係数設
定手段は、それら冷却ポイント毎に、噴射口の位置と噴
射方向と噴射投影形状とから噴射可能範囲を導出する手
段と、噴射可能範囲内に含まれる前記鋳造型最表面の要
素を検出する手段と、検出された最表面の要素と鋳造型
外との間の伝熱係数を該冷却能力に応じた値に設定する
手段とをもつ装置である(請求項5)。
【0020】また、前記伝熱解析手段としては、所定時
間後に所定の前記要素の温度が所定温度範囲外となる場
合に前記冷却ポイントの前記設定情報を変動させる冷却
ポイント変動手段と、それぞれの要素について温度を型
開き後の初期条件に再設定した後に再解析を行う再解析
手段とをもち、鋳造型の温度が所定温度範囲内となるま
で冷却ポイント変動手段及び再解析手段を繰り返す装置
である(請求項6)。
【0021】さらに、前記課題を解決する本発明の鋳造
シミュレーションプログラムは上記した鋳造シミュレー
ション方法の各工程をコンピュータ上で実現するプログ
ラム(請求項7〜9)及びそれらのプログラムを記録し
たコンピュータ読みとり可能な記録媒体とすることがで
きる(請求項10)。
【0022】具体的には、鋳造型を座標系上に位置づ
け、その鋳造型を多面体からなる複数の微小要素に分割
する要素作成手段と、隣接するそれら要素間の伝熱とそ
の鋳造型最表面のそれら要素及び鋳造型外との間の伝熱
とを解析する伝熱解析手段とを有し、その鋳造型の温度
分布を推定する鋳造シミュレーション手段として、コン
ピュータを機能させる鋳造シミュレーションプログラム
である。
【0023】本プログラムは、さらに、鋳造型をキャビ
ティ面側から冷却する冷却ポイントを設定する冷却ポイ
ント設定手段を有し、前記冷却ポイント設定手段で設定
した前記冷却ポイントの設定情報に応じて前記伝熱解析
手段で用いる前記鋳造型最表面の要素と鋳造型外との間
の伝熱係数を設定する伝熱係数設定手段を有することを
特徴としている(請求項7)。
【0024】そして、前記冷却ポイントを冷却流体を噴
射口から噴射する手段として扱い、冷却ポイントの設定
情報として前記した座標系における噴射口の配置位置と
冷却流体を噴射する噴射方向と、冷却流体の噴射投影形
状と、冷却能力とを設定する。その場合に前記伝熱係数
設定手段は、冷却ポイント毎に、噴射口の位置と噴射方
向と噴射投影形状とから噴射可能範囲を導出する手段
と、噴射可能範囲内に含まれる鋳造型最表面の要素を検
出する手段と、検出された最表面の要素と鋳造型外との
間の伝熱係数を冷却能力に応じた値に設定する手段とを
もつプログラムである(請求項8)。
【0025】また、前記伝熱解析手段としては、所定時
間後に所定の前記要素の温度が所定温度範囲外となる場
合に冷却ポイントの設定情報を変動させる冷却ポイント
変動手段と、それぞれの要素について温度を型開き後の
初期条件に再設定した後に再解析を行う再解析手段とを
もち、鋳造型の温度が所定温度範囲内となるまで冷却ポ
イント変動手段及び再解析手段を繰り返すプログラムで
ある(請求項9)。
【0026】
【発明の実施の形態】〔鋳造シミュレーション方法〕本
方法は要素作成工程と伝熱解析工程とを有し、伝熱解析
工程の前に冷却ポイント設定工程と伝熱係数設定工程と
を有する。そして本方法は必要に応じてその他の工程を
さらに有することができる。要素作成工程は、何らかの
方法で作成された鋳造型のモデルデータを微小な要素に
分割したモデルを構築する工程であり、伝熱工程は作成
したモデルに基づき要素の伝熱を計算する工程である。
冷却ポイント設定工程は鋳造型を冷却する手段である冷
却ポイントを、構築したモデルに対して対応づけること
で設定する工程であり、伝熱係数設定工程は設定した冷
却ポイントに応じて要素の伝熱係数を設定する工程であ
る。
【0027】(要素作成工程)要素作成工程は、本鋳造
シミュレーション方法の対象である鋳造型を座標系上に
位置づけ、その鋳造型を多面体からなる複数の微小要素
に分割する工程である。すなわち、座標系上の鋳造型を
解析用の微少要素に細分化する工程である。鋳造型のモ
デルデータの要素への分割・作成は、鋳造型の分割単
位、入れ子及び鋳造型を形成する材質等により、分類さ
れた単数又は複数の単位モデル毎に行うことができる。
単位モデル内では熱伝達係数は一括して設定して、計算
量を減少させることが好ましい。そして必要に応じて、
各要素毎に熱伝達係数を個別に設定する。また、鋳造型
に一般的に設けられている内冷手段についても同様に微
小な要素に分割し、単位モデルを形成して高い伝熱係数
を設定することで精密な鋳造工程の再現が可能となる。
【0028】座標系は、適当なものを選択することが可
能である。微小要素に分割する方法としては有限差分法
で採用されるような直交6面体の要素で分割する方法、
有限要素法のように要素の形状を鋳造型のモデルデータ
に応じて比較的自由に変更できる方法等がある。有限差
分法が要素への分割が容易であり、且つ解析が数学的に
簡潔であるという利点がある。
【0029】また、鋳造型についてのみ要素に分割する
ばかりでなく、同時に鋳造製品が形成されるキャビティ
内についても微小な要素に分割することが好ましい。反
対に、要素は座標系のすべてに規定する必要はなく、必
要な部分(鋳造型が存在する部分・溶湯が注入されるキ
ャビティ部分)を充分に含むように要素を形成すること
で充分である。キャビティ内の要素は溶湯の湯流れや凝
固のシミュレーションを行う場合に使用される。
【0030】そして作成する要素の大きさは要求される
精度やシミュレーションの原理的な制約、解析時間等か
ら適正に決定できる。なお、要素の大きさはすべての部
分について同じ大きさとする必要はなく、解析部位によ
って要素の大きさを変更することができる。たとえば、
鋳物の肉厚が薄い部分では、可能ならば解析精度向上の
ために、局所的に要素の大きさを小さく設定することが
好ましい。
【0031】ところで、鋳造型を座標系上に位置づける
ためには、鋳造型の形状が鋳造型のモデルデータとして
CADデータ型式等の数値データに変換されている必要
がある。鋳造型の形状を数値データに変換する方法とし
ては、特に限定されず、たとえば、最初から鋳造型の形
状をCADにより設計したり、試作品等の実物について
の形状情報を何らかの方法で読み込んで数値化しても良
い。ここでCADにより鋳造型の数値データを作成した
場合には、CAD等により作成された鋳造型のデータを
読み込み鋳造型のモデルデータとして、その外形データ
を抽出する必要がある。その方法については公知の方法
が使用できる。また、本方法においてCADデータをそ
のまま使用できるようにしても良い。
【0032】(冷却ポイント設定工程)本工程は鋳造型
をキャビティ面側から冷却する手段を表す冷却ポイント
を前述の座標系上に設定する工程である。
【0033】冷却ポイントを設定する方法としては座標
系上で鋳造型のモデルへの作用が明らかとなるように設
定されるものであれば特に限定されない。たとえば、冷
却ポイントは、冷却ポイントが鋳造型を構成する要素に
影響を与える範囲を表す設定情報で特定される。
【0034】より正確に鋳造シミュレーション方法を行
うために冷却ポイントとして、実際にキャビティ面側か
らの冷却に汎用される冷却流体を噴射口から噴射する手
段を適用することが好ましい。この場合に、冷却ポイン
トの設定情報は座標系における噴射口の配置位置と冷却
流体を噴射する噴射方向と、冷却流体の噴射投影形状
と、冷却能力とをもつ。
【0035】噴射口の配置位置は座標系上での点として
表される。冷却流体を噴射する方向は座標系上でのベク
トルとして表される。冷却流体の噴射投影形状は、噴射
口から冷却流体が放射状に噴出されるモデルを採用し、
噴射口を頂点とし、噴射する方向に向けた錐体の立体角
及び底面の形状を特定して近似することができる。ま
た、噴射口から冷却流体が放射状に噴出されるモデル以
外にも、噴射口からの距離に関係なく常に一定形状の広
がりをもつモデルで近似することもできる。冷却能力は
実測値や理論値等の適正な値を設定する。
【0036】冷却ポイントとしては実際に用いられてい
るように、噴射投影形状や冷却能力が異なる複数種類を
設定することが好ましい。たとえば噴射投影形状として
は円や楕円、方形、線状等どのような形状でも良い。冷
却能力も噴射される冷却流体の種類(冷却水、離型剤を
含む水、空気等)や冷却流体を噴射する量等により適正
に変化させる。
【0037】(伝熱係数設定工程)伝熱係数設定工程
は、冷却ポイント設定工程で設定した冷却ポイントの設
定情報に応じて鋳造型最表面の要素と鋳造型外との間の
伝熱係数を設定する工程である。つまり、鋳造型の最表
面に存在する要素であって、冷却ポイントの冷却能力が
及ぶ範囲の要素について、鋳造型外との伝熱係数を冷却
ポイントの冷却能力に応じた値に設定するものである。
ここで「鋳造型外」とはキャビティを要素に分割する場
合にはそのキャビティ内の要素をいう。
【0038】冷却ポイントとして冷却流体を噴射口から
噴射する手段を設定した場合に、具体的に好ましい伝熱
係数設定工程としては冷却ポイントが冷却流体を噴射で
きる噴射可能範囲を導出するステップと、その噴射可能
範囲内に含まれる鋳造型の最表面の要素を検出するステ
ップと、検出された各要素について鋳造型外(この場合
には噴射される冷却流体)との間の伝熱係数を設定する
ステップとをもつ工程である。
【0039】噴射可能範囲を導出するステップは、冷却
ポイントの設定情報のうちの噴射口の位置と噴射方向と
噴射投影形状とから冷却流体が噴射される範囲を噴射可
能範囲として導出する。たとえば冷却ポイントとして噴
射口から放射状に冷却流体を噴射するモデルを想定した
場合には、噴射口を頂点とし噴射方向を底面方向とする
錐体として噴射可能範囲を導出でき、冷却ポイントとし
て噴射口からの距離に関係なく常に一定形状の広がりを
もつモデルで近似する場合には噴射口から噴射方向に延
びる断面形状が噴射投影形状である柱体として噴射可能
範囲を導出できる。
【0040】噴射可能範囲内の最表面の要素を検出する
ステップとしては、たとえば、噴射可能範囲内のすべて
の要素について鋳造型の最表面であるか否かを検出する
方法がある。たとえば、ある要素が鋳造型の最表面か否
かを判断する方法として、多面体である各要素の各面毎
に隣接する要素が鋳造型の要素であるか否かを判断する
方法である。ある要素に隣接する要素が鋳造型でない場
合、より精密には隣接する要素がキャビティ内の要素で
ある場合に、その要素は鋳造型の最表面の要素であると
判断する。
【0041】また、簡易的な検出方法としては、噴射口
から噴射方向に向けての要素について順次、鋳造型の要
素であるかキャビティ内の要素であるかを判断してい
き、要素がキャビティ内の要素から鋳造型の要素に変化
した部分の鋳造型の要素について鋳造型の最表面である
と判断する方法がある。この方法は要素のすべての面
(の方向)について鋳造型とキャビティとの境界部分を
検出しないので計算速度が速くなる利点がある。さら
に、本シミュレーション方法が有限差分法のように、平
行6面体の要素を用いて計算を行っている場合に、冷却
ポイントからの冷却流体の噴射方向を要素の分割方向と
一致させることで、要素の判断が要素の並びと同じ方向
に進行できるので、より容易に鋳造型とキャビティとの
境界を検出することが可能である。
【0042】伝熱係数を設定するステップは前述したよ
うに検出された鋳造型最表面の要素について冷却ポイン
トの冷却能力に応じた値を伝熱係数として個別に設定す
るステップである。
【0043】(伝熱解析工程)本工程は特に限定される
ものではなく熱移流、潜熱を考慮した非定常熱伝導解析
に差分法とADI法とを併用等の計算方法を用いてそれ
ぞれの要素について熱の伝導を計算する工程である。本
工程では計算が発散せず且つ許容時間内で計算が終了す
るように設定された微小時間間隔で各要素間の伝熱を各
モデルに設定された伝熱係数に基づいて計算する。そし
て伝熱係数設定工程で、冷却ポイントの設定により個別
に伝熱係数が設定された要素についてはその伝熱係数に
基づいて個別に伝熱が計算される。
【0044】本工程はその他にも種々のステップを有す
ることができる。たとえば、冷却ポイントの設定情報を
一定時間後の鋳造型の各要素の温度情報に基づいて変化
させる冷却ポイント変動ステップや、変動させた冷却ポ
イントの設定情報に基づいて再解析を行う再解析ステッ
プがある。ここで、一定時間後とは、型開きされてから
型締めがされるまでの間であり、型開き時の鋳造型温度
の計算結果に望ましくない部分が存在する部分がある場
合に冷却ポイントを変動させて再解析を行うものであ
る。
【0045】冷却ポイント変動ステップは、鋳造型を構
成する要素の温度が所定範囲よりも高い場合にその要素
若しくはその要素周辺の要素が冷却ポイントにより冷却
される量を増加させるように冷却ポイントの設定情報を
変動させるステップである。反対に要素の温度が所定範
囲よりも低い場合にはその要素若しくはその要素の周辺
の要素が冷却ポイントにより冷却される量を減少させる
ように冷却ポイントの設定情報を変動させるものであ
る。ここで要素温度の所定範囲としては離型剤塗布や冷
却水の蒸発等の要請から適正に設定できる。
【0046】再解析ステップは冷却ポイント変動ステッ
プにより変動した設定情報に基づいて再度各要素の伝熱
係数を設定し再度の伝熱解析を行うものである。したが
って、前述の冷却ポイント設定工程や伝熱係数設定工程
中の操作を含むステップとなる。
【0047】この冷却ポイント変動ステップ及び再解析
ステップはそれぞれの要素についてその温度が所定範囲
内に収まるまで、又は一定以上の割合の要素についてそ
の温度が所定範囲内に収まるまで繰り返し行われる。
【0048】(その他の工程)本シミュレーション方法
はその他の工程として、鋳造型内のキャビティ内への溶
湯の射出をシミュレーションする湯流れ解析工程や凝固
解析工程等を含むものであるか、それらの工程と組み合
わせて用いることが好ましい。前述した種々の工程によ
り鋳造型の温度が正確に推定できる結果、鋳造時の溶湯
の挙動についても正確に推定できる。これらの解析工程
においては充填解析、凝固解析以外にも鋳造欠陥予測解
析(引け巣予測、湯回り及び湯境予測等)、DCスリー
ブ内流動解析、中子ガス発生解析、鋳造残留応力解析、
空気の巻き込み解析等を行うこともできる。
【0049】これらの解析を併せて行うことにより、全
体として、引け巣、めざし、巻き込み、型温分布、湯
境、湯しわ、ブリスター、残留歪、鋳造割れ、耐久強度
(静的、疲労、衝撃)、特性予測等を精度及び効率よく
行うことができる。
【0050】さらに、本実施形態の方法に含ませること
ができるその他の工程としては、解析結果を出力する工
程や解析結果を表示する工程が例示できる。
【0051】解析結果を出力する工程としては、たとえ
ば、独自形式乃至は他の汎用CAD等にて読み込み可能
なファイル形式で出力・保存したり、前述の解析結果を
出力する工程に出力することができるものである。
【0052】解析結果を表示する工程は、本実施形態の
鋳造シミュレーション方法における解析結果を可視化す
る工程である。可視化することにより解析結果の把握が
より容易となる。たとえば、鋳造時に問題が生じる可能
性のある部分(温度が所定範囲外となる部分)について
指摘したりすることができる。また、鋳造時の溶湯の湯
流れ等についても表示することができる。
【0053】〔鋳造シミュレーション装置〕以下に本発
明の鋳造シミュレーション装置について実施形態に基づ
いて詳細に説明する。
【0054】本実施形態の鋳造シミュレーション装置
は、要素作成手段と冷却ポイント設定手段と伝熱係数設
定手段と伝熱解析手段とを有する。また、本実施形態の
鋳造シミュレーション装置は、必要に応じて、その他の
手段を含むことができる。本実施形態の各手段はすべて
コンピュータ上のロジックとして実現可能であり、ま
た、コンピュータ上のロジックとして実現することが好
ましい。
【0055】(要素作成手段)要素作成手段は、本鋳造
シミュレーション方法の対象である鋳造型を座標系上に
位置づけ、その鋳造型を多面体からなる複数の微小要素
に分割する手段である。なお、本手段についての説明
は、前述の鋳造シミュレーション方法における要素作成
工程におけるものとほぼ同様であるので先の説明をもっ
て本手段の説明に代える。
【0056】(冷却ポイント設定手段)本手段は鋳造型
をキャビティ面側から冷却する手段を表す冷却ポイント
を前述の座標系上に設定する手段である。なお、本手段
についての説明は、前述の鋳造シミュレーション方法に
おける冷却ポイント設定工程におけるものとほぼ同様で
あるので先の説明をもって本手段の説明に代える。
【0057】(伝熱係数設定手段)伝熱係数設定手段
は、冷却ポイント設定手段が設定した冷却ポイントの設
定情報に応じて鋳造型最表面の要素と鋳造型外との間の
伝熱係数を設定する手段である。つまり、鋳造型の最表
面に存在する要素であって、冷却ポイントの冷却能力が
及ぶ範囲の要素について、鋳造型外との伝熱係数を冷却
ポイントの冷却能力に応じた値に設定するものである。
なお、本手段についての説明は、前述の鋳造シミュレー
ション方法における伝熱係数設定工程におけるものとほ
ぼ同様であるので先の説明をもって本手段の説明に代え
る。
【0058】(伝熱解析工程)本手段はそれぞれの要素
について熱の伝導を計算する手段である。なお、本手段
についての説明は、前述の鋳造シミュレーション方法に
おける伝熱解析工程におけるものとほぼ同様であるので
先の説明をもって本手段の説明に代える。
【0059】(その他の手段)本実施形態の装置に含ま
せることができるその他の手段としては、前述したシミ
ュレーション方法で説明したような鋳造型内のキャビテ
ィ内への溶湯の射出をシミュレーションする湯流れ解析
手段や凝固解析手段、解析結果を出力する手段や解析結
果を表示する手段が例示できる。なお、これらの手段に
ついての説明は、前述の鋳造シミュレーション方法にお
けるものとほぼ同様であるので先の説明をもってこれら
の手段の説明に代える。
【0060】〔鋳造シミュレーションプログラム〕本鋳
造シミュレーションプログラムは、使用されるコンピュ
ータ上において前述した鋳造シミュレーション装置が有
する各手段を実現可能としたものであり、そのコンピュ
ータ上で実行可能な型式で作成されている。また、本プ
ログラムはCD−ROM等の記録媒体上に記録されてい
ても、インターネット上に設置されたサーバ等の伝送媒
体上に記録されていても良い。本鋳造シミュレーション
プログラムの各構成要素については前述の鋳造シミュレ
ーション方法及び装置の各構成要素の説明と概ね同一で
あるので、先の説明をもって本構成要素の説明に代え
る。
【0061】
【実施例】本実施例では鋳造時の溶湯の湯流れ及び凝固
の解析、型開き時の鋳造型温度の解析を行うシミュレー
ション方法であり、複数回の鋳造を繰り返し行う鋳造の
シミュレーション方法について説明する。本方法ではC
ADで作成された鋳造型のモデルデータを用いて鋳造の
シミュレーションを行う方法である。
【0062】本方法は、図1に示すように、大きく分類
すると、要素作成工程S1と溶湯挙動解析工程S2と型
開き解析工程S3とからなる。
【0063】(1)要素作成工程S1では、座標系とし
てx、y、zの3軸をもつ直交座標系を採用した。鋳造
型のCADデータは鋳造型の型開き方向、それと直交す
る鋳造型の縦方向及び横方向の3方向をそれぞれx、
y、z軸に一致するように座標系上に位置づけた。
【0064】説明を簡略化するためにx、yで表す2次
元での説明を図3に示す。以下に行う2次元での説明は
単純にそのまま3次元に拡張可能である。まず、モデル
データDを2次元の座標系上に配置する。x軸の方向に
型開き方向を一致させる。そして、座標系をx、y軸方
向で微小要素に分割する。この微小要素の重心位置がモ
デルデータDの鋳造型内に位置する要素を型要素M、キ
ャビティ内に位置する要素をキャビティ要素Cと定義す
る。この場合に、図では示さないが、型要素Mは鋳造型
の分割単位に合わせて複数の単位モデルで形成される。
単位モデル内では要素M間の伝熱係数はすべて同一に設
定され、要素M及び鋳造型外としてのキャビティ要素C
間の伝熱係数も相手側に応じて同一の値に設定される。
要素Mとキャビティ要素Cとの間の伝熱係数は離型剤の
鋳造型キャビティ面への噴射を考慮して決定される。
【0065】(2)溶湯挙動解析工程S2は有限差分法
のうちVOF法と称される方法を用いて湯流れを解析
し、非定常熱伝導計算法により凝固解析を行う。本工程
S2ではキャビティ内の要素Cにおける溶湯の挙動の計
算に加えて、鋳造型の各要素Mについての温度分布も計
算する。
【0066】(3)型開き時解析工程S3は本発明を特
徴づける主たる工程である。本工程S3は詳細に示すと
図2に示すように冷却ポイントを設定するか否かを決定
する工程S31と、冷却ポイントを設定する場合に冷却
ポイントの設定情報を設定する冷却ポイント設定工程S
32と、設定された冷却ポイントの設定情報に基づき要
素の伝熱係数を設定する伝熱係数設定工程S33と、鋳
造型を構成する要素について伝熱を解析する伝熱解析工
程S34と、伝熱解析工程S34で導出された解析結果
について判断し型開き時解析工程S3を終了するか否か
を判断する工程S35と、工程S35により再度の解析
を行うと判断した場合に冷却ポイントの設定情報を変動
させる冷却ポイント変動工程S36と、再解析を行う再
解析工程37とからなる。
【0067】鋳造型に部分的に過熱した部分が存在しな
い場合には工程S31において冷却ポイントを設定しな
いとの判断を行うことができる。
【0068】冷却ポイント設定工程S32では冷却ポイ
ントとして冷却流体を噴射口から噴射する手段を仮定す
る。本工程S32で設定する設定情報としては噴射口の
位置、噴射方向、噴射投影形状としての噴射範囲、冷却
能力としての冷却流体の噴射量を設定する。設定情報と
しては数種類の選択肢を予め作成しておき、その中から
適正に選択する。
【0069】伝熱係数設定工程S33では噴射可能範囲
を算出するステップ(図略)とその噴射可能範囲内の鋳
造型最表面の要素を検出するステップ(図略)と検出し
た要素の伝熱係数を設定するステップ(図略)とをも
つ。
【0070】噴射可能範囲を算出するステップについ
て、2次元上で簡略化した図4及び5に基づいて説明す
る。座標系上に冷却ポイントRを設定する。冷却ポイン
トRは一定の噴射投影形状としての線分(3次元上では
円、楕円等)を設定情報にもつ。冷却流体の噴射方向は
図4上では図面上から下方向である。したがって、噴射
可能範囲としては冷却ポイントRを噴射方向に拡張した
範囲Lとなる(図5)。
【0071】噴射可能範囲内における型要素Mの最表
面を検出するステップは、範囲L内のすべての要素につ
いてx、y軸両方向の隣接する要素を判断し隣接する要
素のうちのいずれかがキャビティ要素Cであるときに最
表面の要素Sであるとする(図6)。
【0072】検出した最表面の要素Sについて、それ
ぞれ冷却ポイントの設定情報に基づいて伝熱係数を設定
する。
【0073】以上の〜のステップを設定された冷却
ポイントのすべてについて行い、伝熱係数を設定する。
【0074】伝熱解析工程S34は各型要素M間及び型
要素Mとキャビティ要素Cとの間の伝熱がそれぞれ設定
された伝熱係数に応じて計算される。伝熱係数は冷却ポ
イントに応じて変動しているので冷却ポイントを充分に
反映した型要素Mの温度が推測できる。
【0075】導出された解析結果について判断し型開き
時解析工程S3を終了するか否かを判断する工程S35
では型要素Mの温度が許容できない温度である場合、す
なわち、型温度が所定温度範囲内にない場合に型開き開
始の最初から再計算を行う。
【0076】再計算を行う前に冷却ポイントの設定情報
を適正に変動S36する。変動に応じて再び噴射可能範
囲を算出し、その噴射可能範囲内の最表面の要素Sを検
出して、伝熱係数を再設定する。再解析工程S37は、
すべての要素について型開き時解析工程S3前の状態に
復帰させた後に、再設定した伝熱係数に基づき伝熱解析
を行う。再解析結果を再びステップS35で判断し、さ
らなる再解析を行うか否か決定する。
【0077】(4)この溶湯挙動解析工程S2と型開き
時解析工程S3とを必要回数だけ繰り返し行い必要な情
報を得る。たとえば、製造される鋳造製品の性状が定常
化した場合等はその後の解析を省略できる。
【0078】(変形例)前述した(3)伝熱係数設定工
程S33中の噴射可能範囲内における型要素Mの最表
面を検出するステップは、範囲L内のすべての要素Mの
すべての方向について最表面か否かを判断することに代
えて、冷却ポイントRから噴射方向に向けてすべての要
素を順次、判定していき、キャビティ要素Cから初めて
型要素Mが検出された部分の型要素Mを最表面の要素S
であると判断する方法がある。
【0079】前述した実施例の方法では最表面の要素S
の検出の漏れがないのに対して、本方法では抜き勾配の
大きい部分等で最表面の要素Sの検出漏れがありうる。
しかしながら、前述の方法が少なくともx、y、z軸の
3方向で境界を検出する必要があるのに対して、本方法
では噴射方向の一方向の境界を検出するのみで足り、計
算速度を速くすることができる。また、一箇所から冷却
流体を噴射する冷却ポイントでは噴射方向に対して勾配
の大きい部分に冷却流体が噴射されにくいこともあり、
大きな誤差も生じ難い。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鋳造シミ
ュレーション方法によれば、鋳造工程における型開き時
の鋳造型についてキャビティ側から冷却を行う冷却ポイ
ントを自由に設定できるので、より正確・精密な鋳造型
温度の推測が可能となり、結果として、鋳造シミュレー
ションにおける精度のさらなる向上が達成できる。
【0081】同様に本発明のシミュレーション装置及び
鋳造シミュレーションプログラムによれば、鋳造シミュ
レーションにおける精度のさらなる向上が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の鋳造シミュレーション方法のフローチ
ャートである。
【図2】実施例の鋳造シミュレーション方法の型開き時
解析工程についてのフローチャート図である。
【図3】実施例における要素作成工程の説明を補助する
図である。
【図4】実施例における伝熱係数設定工程の説明を補助
する図である。
【図5】実施例における伝熱係数設定工程の説明を補助
する図である。
【図6】実施例における伝熱係数設定工程の説明を補助
する図である。
【図7】変形例における伝熱係数設定工程の説明を補助
する図である。
【符号の説明】
D…モデルデータ C…キャビティ要素 M…型要素 S…鋳造型最表面の要素 R…冷却ポイント L…噴射可能範囲
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野 治己 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 5B046 AA05 JA09

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造型を座標系上に位置づけ、該鋳造型
    を多面体からなる複数の微小要素に分割する要素作成工
    程と、隣接する該要素間の伝熱と該鋳造型最表面の該要
    素及び該鋳造型外との間の伝熱とを解析する伝熱解析工
    程とを有し、該鋳造型の温度分布を推定する鋳造シミュ
    レーション方法であって、 さらに、前記鋳造型をキャビティ面側から冷却する冷却
    ポイントを設定する冷却ポイント設定工程を有し、 前記要素作成工程及び前記冷却ポイント設定工程の後、
    前記伝熱解析工程の前に、該冷却ポイント設定工程で設
    定した前記冷却ポイントの設定情報に応じて前記鋳造型
    最表面の該要素と該鋳造型外との間の伝熱係数を設定す
    る伝熱係数設定工程を有することを特徴とする鋳造シミ
    ュレーション方法。
  2. 【請求項2】 前記冷却ポイントは冷却流体を噴射口か
    ら噴射する手段であり、該冷却ポイントの設定情報は前
    記座標系における該噴射口の配置位置と該冷却流体を噴
    射する噴射方向と、該冷却流体の噴射投影形状と、冷却
    能力とをもち、 前記伝熱係数設定工程は、該冷却ポイント毎に、該噴射
    口の位置と該噴射方向と該噴射投影形状とから噴射可能
    範囲を導出するステップと、該噴射可能範囲内に含まれ
    る前記鋳造型最表面の前記要素を検出するステップと、
    検出された該最表面の該要素と該鋳造型外との間の伝熱
    係数を該冷却能力に応じた値に設定するステップとをも
    つ請求項1に記載の鋳造シミュレーション方法。
  3. 【請求項3】 前記伝熱解析工程は、所定時間後に所定
    の前記要素の温度が所定温度範囲外となる場合に前記冷
    却ポイントの前記設定情報を変動させる冷却ポイント変
    動ステップと、該要素について温度を型開き後の初期条
    件に再設定した後に再解析を行う再解析ステップとをも
    ち、該温度が所定温度範囲内となるまで該冷却ポイント
    変動ステップ及び該再解析ステップを繰り返す請求項1
    又は2に記載の鋳造シミュレーション方法。
  4. 【請求項4】 鋳造型を座標系上に位置づけ、該鋳造型
    を多面体からなる複数の微小要素に分割する要素作成手
    段と、隣接する該要素間の伝熱と該鋳造型最表面の該要
    素及び該鋳造型外との間の伝熱とを解析する伝熱解析手
    段とを有し、該鋳造型の温度分布を推定する鋳造シミュ
    レーション装置であって、 さらに、前記鋳造型をキャビティ面側から冷却する冷却
    ポイントを設定する冷却ポイント設定手段を有し、 前記冷却ポイント設定手段で設定した前記冷却ポイント
    の設定情報に応じて前記伝熱解析手段で用いる前記鋳造
    型最表面の該要素と該鋳造型外との間の伝熱係数を設定
    する伝熱係数設定手段を有することを特徴とする鋳造シ
    ミュレーション装置。
  5. 【請求項5】 前記冷却ポイントは冷却流体を噴射口か
    ら噴射する手段であり、該冷却ポイントの設定情報は前
    記座標系における該噴射口の配置位置と該冷却流体を噴
    射する噴射方向と、該冷却流体の噴射投影形状と、冷却
    能力とをもち、 前記伝熱係数設定手段は、該冷却ポイント毎に、該噴射
    口の位置と該噴射方向と該噴射投影形状とから噴射可能
    範囲を導出する手段と、該噴射可能範囲内に含まれる前
    記鋳造型最表面の前記要素を検出する手段と、検出され
    た該最表面の該要素と該鋳造型外との間の伝熱係数を該
    冷却能力に応じた値に設定する手段とをもつ請求項4に
    記載の鋳造シミュレーション装置。
  6. 【請求項6】 前記伝熱解析手段は、所定時間後に所定
    の前記要素の温度が所定温度範囲外となる場合に前記冷
    却ポイントの前記設定情報を変動させる冷却ポイント変
    動手段と、該要素について温度を型開き後の初期条件に
    再設定した後に再解析を行う再解析手段とをもち、該温
    度が所定温度範囲内となるまで該冷却ポイント変動手段
    及び該再解析手段を繰り返す請求項4又は5に記載の鋳
    造シミュレーション装置。
  7. 【請求項7】 鋳造型を座標系上に位置づけ、該鋳造型
    を多面体からなる複数の微小要素に分割する要素作成手
    段と、隣接する該要素間の伝熱と該鋳造型最表面の該要
    素及び該鋳造型外との間の伝熱とを解析する伝熱解析手
    段とを有し、該鋳造型の温度分布を推定する鋳造シミュ
    レーション手段として、コンピュータを機能させる鋳造
    シミュレーションプログラムであって、 さらに、前記鋳造型をキャビティ面側から冷却する冷却
    ポイントを設定する冷却ポイント設定手段を有し、 前記冷却ポイント設定手段で設定した前記冷却ポイント
    の設定情報に応じて前記伝熱解析手段で用いる前記鋳造
    型最表面の該要素と該鋳造型外との間の伝熱係数を設定
    する伝熱係数設定手段を有することを特徴とする鋳造シ
    ミュレーションプログラム。
  8. 【請求項8】 前記冷却ポイントは冷却流体を噴射口か
    ら噴射する手段であり、該冷却ポイントの設定情報は前
    記座標系における該噴射口の配置位置と該冷却流体を噴
    射する噴射方向と、該冷却流体の噴射投影形状と、冷却
    能力とをもち、 前記伝熱係数設定手段は、該冷却ポイント毎に、該噴射
    口の位置と該噴射方向と該噴射投影形状とから噴射可能
    範囲を導出する手段と、該噴射可能範囲内に含まれる前
    記鋳造型最表面の前記要素を検出する手段と、検出され
    た該最表面の該要素と該鋳造型外との間の伝熱係数を該
    冷却能力に応じた値に設定する手段とをもつ請求項7に
    記載の鋳造シミュレーションプログラム。
  9. 【請求項9】 前記伝熱解析手段は、所定時間後に所定
    の前記要素の温度が所定温度範囲外となる場合に前記冷
    却ポイントの前記設定情報を変動させる冷却ポイント変
    動手段と、該要素について温度を型開き後の初期条件に
    再設定した後に再解析を行う再解析手段とをもち、該温
    度が所定温度範囲内となるまで該冷却ポイント変動手段
    及び該再解析手段を繰り返す請求項8又は9に記載の鋳
    造シミュレーションプログラム。
  10. 【請求項10】 鋳造型を座標系上に位置づけ、該鋳造
    型を多面体からなる複数の微小要素に分割する要素作成
    手段と、隣接する該要素間の伝熱と該鋳造型最表面の該
    要素及び該鋳造型外との間の伝熱とを解析する伝熱解析
    手段とを有し、該鋳造型の温度分布を推定する鋳造シミ
    ュレーション手段として、コンピュータを機能させる鋳
    造シミュレーションプログラムであって、 さらに、前記鋳造型をキャビティ面側から冷却する冷却
    ポイントを設定する冷却ポイント設定手段を有し、 前記要素作成手段及び前記冷却ポイント設定手段の後、
    前記伝熱解析工程の前に、該冷却ポイント設定手段で設
    定した冷却ポイントの設定情報に応じて前記鋳造型最表
    面の該要素と該鋳造型外との間の伝熱係数を設定する伝
    熱係数設定手段を有することを特徴とする鋳造シミュレ
    ーションプログラムを記録したコンピュータ読みとり可
    能な記録媒体。
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CN102567564A (zh) * 2010-10-25 2012-07-11 本田技研工业株式会社 模具设计装置、方法、系统及程序
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CN113579223A (zh) * 2021-08-03 2021-11-02 重庆大学 一种基于体系热平衡技术的模具温度控制方法
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