JP2020168636A - 鋳造解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易に精度よく引け巣の発生を予測することができる鋳造解析方法を提供すること。【解決手段】成形型内のキャビティに合金の溶湯を加圧注入する圧力鋳造装置の鋳造解析方法において、そのキャビティを複数の体積要素に分割し、加圧注入される溶湯の温度変化に基づいて体積要素毎に溶湯の流動が停止する凝固時間を算出する凝固時間算出工程と、算出した凝固時間に基づいて体積要素毎に加圧注入の圧力が作用する押湯作用時間を算出する押湯作用時間算出工程と、算出した凝固時間と押湯作用時間との対比により体積要素毎に出力値を算出する出力値算出工程と、算出した出力値に基づいて引け巣が発生する範囲を判定する引け巣判定工程を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、圧力鋳造装置を用いる鋳造の鋳造解析方法に関し、特に溶湯に作用する圧力を考慮して引け巣の発生を予測する鋳造解析方法に関する。
従来から、合金等の材料を高温にして溶融させた溶湯を鋳造型(成形型)内のキャビティに流し入れ、冷却して目的の形状に凝固させて成形する鋳造が様々な工業分野で利用されている。溶湯は温度が下がって凝固する際に収縮するので、周りよりも遅く凝固する部分では体積収縮により溶湯が不足して材料が無い空間(引け巣)ができることがある。
引け巣部分には本来あるはずの材料が無いので、強度低下等の問題が発生する。それ故、溶湯の温度変化に基づいて凝固時間を算出する鋳造解析によって引け巣の発生を予測して、鋳造品の形状変更等の対策を行って鋳造型のキャビティの形状を変更している。
例えば特許文献1には、鋳造型内のキャビティを複数の要素(体積要素)に分割し、各要素を溶湯の温度、固相率、固相内の溶質濃度、液相内の溶質濃度でモデル化し、所定経過時間毎の要素間の熱伝導と溶質移動を計算して温度、固相率、液相内の溶質濃度を更新することにより合金成分の偏析と引け巣の発生を予測する鋳造解析方法が記載されている。
特開平10−34320号公報
しかし、特許文献1の鋳造解析方法は、合金成分の偏析の予測には有用であるが、各要素が有する情報が多いので鋳造物全体では情報量が膨大になり、引け巣の発生を容易に予測することが困難であった。それ故、鋳造型のキャビティの形状変更等を容易に行うことができなかった。
そのため、特許文献1よりも容易に引け巣発生を予測できるように、キャビティを複数の体積要素に分割し、熱伝導方程式等を用いて溶湯の温度変化等を計算して溶湯注入から溶湯の凝固までの凝固時間等を体積要素毎に算出し、凝固時間から鋳造物の内部の引け巣の発生を予測していた。
例えば図14に示すように、算出した凝固時間のピーク値を有する体積要素と、その周りにあるピーク値の所定割合以上(例えば80%以上)の凝固時間を有する体積要素を、引け巣の発生が予測されると判定して出力(表示)していた。図15は、図14の白い矢印で示す溶湯の入口に近い方からXV−XV線に沿って体積要素番号を順に付けたときに、ピーク値「17」の80%の「13.6」以上の体積要素を引け巣の発生が予測されると判定し、ピーク値「33」とピーク値「15」についても同様にして引け巣の発生が予測されると判定している。しかし、この予測では引け巣の発生範囲を大きく予測してしまい、実際の引け巣の発生とあまりよく一致しないので、成形型の設計変更で経験等に頼る部分も少なくなかった。
本発明の目的は、容易に精度よく引け巣の発生を予測することができる鋳造解析方法を提供することである。
請求項1の発明の鋳造解析方法は、成形型内のキャビティに合金の溶湯を加圧注入する圧力鋳造装置の鋳造解析方法において、前記キャビティを複数の体積要素に分割し、加圧注入される溶湯の温度変化に基づいて前記体積要素毎に溶湯の流動が停止する凝固時間を算出する凝固時間算出工程と、前記凝固時間に基づいて前記体積要素毎に前記加圧注入の圧力が作用する押湯作用時間を算出する押湯作用時間算出工程と、前記凝固時間と前記押湯作用時間との対比により前記体積要素毎に出力値を算出する出力値算出工程と、前記出力値に基づいて引け巣が発生する範囲を判定する引け巣判定工程を有することを特徴としている。
上記構成によれば、体積要素毎に算出した溶湯の流動が停止する凝固時間に基づいて加圧注入の圧力が作用する押湯作用時間を算出し、凝固時間と圧力の作用によって溶湯の流動が可能な押湯作用時間とを対比した出力値に基づいて、引け巣が発生する範囲を判定する。従って、体積要素毎の凝固時間に基づいて簡単な演算で容易に精度よく引け巣の発生を予測することができる。
請求項2の発明の鋳造解析方法は、請求項1の発明において、前記出力値は、前記凝固時間から前記押湯作用時間を減算した時間出力値であることを特徴としている。
上記構成によれば、複数の体積要素の時間出力値を簡単な計算によって算出できるので、鋳造解析を容易に行うことができる。
請求項3の発明の鋳造解析方法は、請求項2の発明において、前記引け巣判定工程は、前記時間出力値に基づいて前記複数の体積要素を前記時間出力値が極大となるピーク値を有する体積要素を含む複数の体積要素群に区分し、前記体積要素群毎に前記ピーク値を有する体積要素が前記ピーク値の所定割合未満の前記時間出力値を有する複数の体積要素によって囲まれる場合に、その内側の前記ピーク値の前記所定割合以上の前記時間出力値を有する体積要素に引け巣が発生すると判定することを特徴としている。
上記構成によれば、区分した体積要素群の時間出力値のピーク値を有する体積要素と、その周囲の体積要素の時間出力値の差が大きい部分では、押湯による溶湯供給が早く途切れてしまうため凝固による体積収縮を十分に補うことができず引け巣が発生し易いので、そのピーク値の所定割合以上の時間出力値を有する体積要素に引け巣が発生すると判定する。従って、単純な計算によって引け巣の発生する領域を判定することができる。
請求項4の発明の鋳造解析方法は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記押湯作用時間算出工程は、前記キャビティにおける溶湯の入口に相当する体積要素を起点にして前記起点から遠ざかる方向に隣接する体積要素に前記起点から遠ざかる程大きくなるように計算番号を付与し、前記計算番号の順に前記体積要素毎に前記計算番号が小さく且つ隣接する体積要素と前記凝固時間を対比して小さい方の凝固時間を当該体積要素の前記押湯作用時間とすることを特徴としている。
上記構成によれば、付与した計算番号の順に隣接する体積要素の凝固時間を対比して、各体積要素の押湯作用時間を決定するので、対比する体積要素の数を減らすことができると共に単純な比較により各体積要素の押湯作用時間を決定できる。
請求項5の発明の鋳造解析方法は、請求項4の発明において、前記押湯作用時間算出工程は、前記計算番号が増加する程大きくなる溶湯の圧力損失を表す係数を用いて、前記押湯作用時間を補正することを特徴としている。
上記構成によれば、溶湯の入口から遠い程溶湯の圧力損失が大きくなって押湯の作用が弱まることを容易に反映させることができる。
請求項6の発明の鋳造解析方法は、請求項1〜5の何れか1項の発明において、前記圧力鋳造装置は、前記キャビティに連通するスリーブに注がれた溶湯をプランジャで加圧することを特徴としている。
上記構成によれば、圧力鋳造装置による溶湯の加圧が溶湯の凝固まで維持されるので、圧力により流動する溶湯の供給が反映された押湯作用時間を各体積要素において決定して、引け巣の発生する範囲を適切に判定することができる。
本発明の鋳造解析方法によれば、容易に引け巣の発生を予測することができる。
圧力鋳造装置の基本的な構成図である。 本発明の実施例1〜3に係る鋳造解析方法のフローチャートである。 図2の各ステップで得られた結果の例を示す計算モデル図である。 実施例1に係る図2のS2の押湯作用時間決定のフローチャートである。 図4のS11の計算番号付与を示す計算モデル図である。 図4のS12〜S16で押湯作用時間決定の途中経過を示す計算モデル図である。 実施例1に係る図2のS3の出力値算出のフローチャートである。 図7のS21〜S23で出力値算出の途中経過を示す計算モデル図である。 実施例1に係る図2のS4の引け巣判定のフローチャートである。 実施例1に係る図3のX−X線に沿ってプロットした時間出力値のグラフである。 実施例2に係る図2のS3の出力値算出のフローチャートである。 実施例2に係る出力値算出の結果を示す計算モデルである。 実施例3に係る押湯作用時間の補正を行う場合の計算モデル図である。 凝固時間に基づいて引け巣判定した従来例を示す計算モデル図である。 図14のXV−XV線に沿ってプロットした時間出力値のグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
一般的に利用されている圧力鋳造装置について簡単に説明する。図1に示すように、圧力鋳造装置1は、合金等を高温に熱して溶融した溶湯を成形型2(鋳造型)内に形成されたキャビティ3に充填するために、溶湯に圧力を加えて短時間で注入する。キャビティ3の入口4(湯口)にはキャビティ3に連通するスリーブ5が接続され、このスリーブ5に流し込まれた溶湯をプランジャ6によってキャビティ3内に押し込み、溶湯が凝固するまでプランジャ6によって加圧する。キャビティ3内の空気は、入口4から離して設けられた排気口7から排気される。
成形型2内のキャビティ3は鋳造物の形状に応じて形成されるが、鋳造物の内部に材料がない空間(引け巣)が発生しないように、成形型2の設計の変更等が必要になることがある。このとき、成形型2の設計変更を効率的に行うことができるように、所謂CAE(Computer Aided Engineering)によって鋳造の様子を解析する鋳造解析を行う。鋳造解析では、成形型2内のキャビティ3を複数の体積要素に分割し、熱伝導方程式等を用いて溶湯の温度変化等を計算して溶湯注入から溶湯の凝固までの凝固時間等を体積要素毎に算出することができる。
上記のように、算出した凝固時間から引け巣の発生を予測しても予測精度が高くない。それ故、算出した凝固時間に対して引け巣の発生防止に効果的に作用する加圧注入の圧力を考慮して引け巣の発生を精度よく予測する鋳造解析方法について、図2〜図10のフローチャートと計算モデル図を用いて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表し、白い矢印は溶湯の圧力注入を示す。尚、鋳造物は立体なので計算モデルは3次元であるが、説明を簡単にするためにその一部を取り出した2次元の計算モデル図で説明する。
図2,図3に示すように、最初にS1において、鋳造型内のキャビティを複数の体積要素(例えば1辺が1mmの立方体)に分割して、キャビティに加圧注入された溶湯の各体積要素における凝固時間を算出してS2に進む。凝固時間は、上述のように各体積要素における熱伝導等を考慮した温度変化に基づく公知の方法により算出する。このS1が凝固時間算出工程に相当する。尚、体積要素のサイズ等は適宜設定することができ、鋳造物の大きさや形状にもよるが体積要素の総数を10の9乗程度にすることもある。
次にS2において、加圧注入される溶湯の圧力が各体積要素において作用する時間(押湯作用時間)を算定してS3に進む。そしてS3において、各体積要素におけるS1で算出した凝固時間とS2で算定した押湯作用時間を対比することによって各体積要素の出力値を算出してS4に進む。
次にS4において、S3で算出した出力値に基づいて引け巣が発生する範囲(体積要素)を判定して結果を出力する。S2が押湯作用時間算定工程に相当し、S3が出力値算出工程に相当し、S4が引け巣判定工程に相当する。
S2の押湯作用時間算定工程について図4〜図6を用いて説明する。
S11において、溶湯の入口4の中央の体積要素を起点にして、起点から遠ざかる方向に隣接する体積要素に起点から遠ざかる程大きくなるように、各体積要素に計算番号を付与してS12に進む。例えば起点の計算番号が0の体積要素から遠ざかる方向に隣接する体積要素に計算番号の「1」を付与し、計算番号が「1」の各体積要素に対して起点から遠ざかる方向に隣接する計算番号未付与の体積要素に計算番号の「2」を付与する。こうして全ての体積要素に計算番号を付与する(図5参照)。ここで、隣接するとは、2つの体積要素が面、辺、角の何れかにおいて接することを言い、計算番号は、起点の体積要素からその計算番号の体積要素までの隣接する体積要素を経由して到達する最短経路における体積要素間の移動回数を表している。
次にS12において、計算番号が「0」の体積要素を除いて計算番号が小さい方から計算番号順に押湯作用時間を算定する対象の体積要素を1つ選択してS13に進む。同じ計算番号の体積要素の選択順は、例えば体積要素の3次元座標(x,y,z)のxが小さい順、yが小さい順、zが小さい順等によって選択され、体積要素がもれなく選択できればよい。
次にS13において、対象の体積要素の凝固時間と、その体積要素に隣接し且つ計算番号が1小さい体積要素の凝固時間とを対比してS14に進む。次にS14において、対比した凝固時間のうちの小さい方を対象の体積要素の押湯作用時間に決定してS15に進む。 そしてS15において、対象の体積要素に隣接し且つ計算番号が1小さい全ての体積要素と対比したか否か判定する。判定がYesの場合はS16に進み、判定がNoの場合はS13に戻る。尚、起点である計算番号が「0」の体積要素の押湯作用時間は凝固時間と同じである。
例えば、対象の計算番号が「2」の体積要素の凝固時間「11」と隣接する計算番号が「1」の体積要素の凝固時間「13」とを対比して小さい方の「11」を計算番号が「2」の体積要素の押湯作用時間に決定する(図6参照)。このように順に押湯作用時間を決定してゆき、例えば対象の計算番号が「3」で凝固時間が「14」の体積要素は、隣接する計算番号が「2」の体積要素の凝固時間「11」と対比して押湯作用時間が「11」に一時的に決定され、他の隣接する計算番号が「2」の体積要素の凝固時間「11」,「11」と対比して最終的に押湯作用時間が「11」に決定される(図6参照)。尚、隣接する計算番号が1小さい体積要素のうち最小の凝固時間と対比して押湯作用時間を決定してもよい。
次にS16において、全体積要素の押湯作用時間を決定したか否か判定する。判定がYesの場合はリターンし、判定がNoの場合はS12に戻って次の計算番号の体積要素について押湯作用時間の算定を続ける。このようにS12〜16を繰り返すことによって全ての体積要素について押湯作用時間を決定する(図3のS2参照)。全ての体積要素の押湯作用時間を決定したらリターンしてS3の出力値算出工程に進む。
S3の出力値算出工程について図7,図8を用いて説明する。
S21において、計算番号が「0」の体積要素を除いて計算番号が小さい方から計算番号順に出力値を算出する対象の体積要素を選択してS22に進む。同じ計算番号の体積要素の選択順は、S2の押湯作用時間算定工程と同様である。
次にS22において、S1の凝固時間算出工程で算出した対象の体積要素の凝固時間から、S2の押湯作用時間算定工程で対象の体積要素と対比した体積要素のうちの最大の押湯作用時間を減算することにより、時間出力値を算出してS23に進む。そしてS23において、全ての体積要素について時間出力値を算出したか否か判定し、判定がYesの場合はリターンし、判定がNoの場合はS21に戻る。尚、起点の計算番号が「0」の体積要素の時間出力値を「0」にする。
例えば、計算番号が「1」の体積要素の時間出力値は、何れも凝固時間「13」から計算番号が「0」の体積要素の押湯作用時間「13」を減算するので「0」であり、計算番号が「2」の体積要素の時間出力値は、何れも凝固時間「11」から計算番号が「1」の隣接する体積要素の最大の押湯作用時間「13」を減算するので「−2」になる。このように時間出力値を算出してゆき、凝固時間が「13」の体積要素の時間出力値は、計算番号が「2」の隣接する体積要素の最大の押湯作用時間「11」を減算して「2」になり、次の計算番号が「3」で凝固時間が「14」の体積要素の時間出力値は、計算番号が「2」の隣接する体積要素の最大の押湯作用時間「11」を減算して「3」になる(図8参照)。このようにS21〜23を繰り返すことによって、全ての体積要素について時間出力値を算出する(図3のS3参照)。全ての体積要素の時間出力値を算出したらリターンして、S4の引け巣判定工程に進む。
S4の引け巣判定工程について図9,図10を用いて説明する。
S31において、時間出力値が極大となるピーク値を有する体積要素を含むように全体積要素を複数の体積要素群に区分してS32に進む。このとき時間出力値が極小となる体積要素が区分された複数の体積要素群の境界になる。
次にS32において、体積要素群毎にその体積要素群のピーク値に対して所定割合(例えば80%)以上の時間出力値を有する体積要素を抽出してS33に進む。そしてS33において、体積要素群毎に抽出した体積要素がピーク値の所定割合未満の時間出力値を有する体積要素に囲まれている場合に、抽出した体積要素を引け巣が発生する体積要素として判定してS34に進む。そしてS34において、引け巣が発生する体積要素(範囲)を示す結果を出力してリターンする。
例えば、S3の出力値算出工程の結果から、ピーク値は計算番号が「4」,「13」,[22,23]の体積要素における「6」,「24」,「10」である。これらを含むように全体積要素を3つの体積要素群E1〜E3に区分する。そして、体積要素群E1〜E3毎にそのピーク値の所定割合として80%以上の時間出力値の体積要素を抽出し、これらがピーク値の80%未満の時間出力値の体積要素に囲まれているので引け巣が発生する体積要素として判定して出力する(図3のS4参照)。
図10は、図3のS4の中央を縦断するようにX−X線に沿って体積要素の時間出力値を計算番号順にプロットしている。計算番号が「4」,「13」,「22,23」で夫々ピーク値を有する。計算番号が「7」,「19」で時間出力値が極小であり、区分した体積要素群E1,E2,E3の境界になっている。そして、体積要素群E1〜E3毎にピーク値に対して80%以上の体積要素を引け巣の発生が予想される体積要素として夫々抽出している。尚、計算番号が「0」の入口近傍は、最後まで確実に押湯が作用するので体積要素群に区分することを省略した。
実施例1の鋳造解析方法を部分的に変更した鋳造解析方法について説明する。S1の凝固時間算出工程とS2の押湯作用時間算定工程とS4の引け巣判定工程は上記実施例1と同じなので説明を省略し、S3の出力値算出工程について図11に基づいて説明する。
S41において、計算番号が「0」の体積要素を除いて計算番号が小さい方から計算番号順に出力値を算出する対象の体積要素を選択してS42に進む。同じ計算番号の体積要素の選択順は、S2の押湯作用時間算定工程と同様である。
S42において、対象の体積要素のS1の凝固時間算出工程で算出した凝固時間から、対象の体積要素のS2の押湯作用時間算定工程で算定した押湯作用時間を減算して時間出力値を算出してS43に進む。そしてS43において、全ての体積要素について時間出力値を算出したか否か判定し、判定がYesの場合はリターンし、判定がNoの場合はS41に戻る。
例えば、計算番号が「1」の体積要素の時間出力値は、凝固時間「13」から押湯作用時間「13」を減算するので「0」であり、計算番号が「2」の体積要素の時間出力値は、凝固時間「11」から押湯作用時間「11」を減算するので「0」になる。このように全ての体積要素について時間出力値を算出するまで、S41〜43を繰り返す。全ての体積要素の時間出力値を算出したらリターンして、S4の引け巣判定工程に進んで、引け巣が発生する体積要素を出力する(図12参照)。
実施例1又は2の鋳造解析方法を部分的に変更した鋳造解析方法について説明する。S1の凝固時間算出工程とS3の出力値算出工程とS4の引け巣判定工程は上記実施例1又は実施例2と同じなので説明を省略し、S2の押湯作用時間算定工程について説明する。
押湯作用時間算出工程では、計算番号が増加する程大きくなる溶湯の圧力損失を表す係数を用いて、前記押湯作用時間を補正する。圧力注入によって溶湯に伝わる圧力は、圧力損失によって溶湯の入口4から遠ざかる程小さくなってゆくので、その分だけ押湯作用が小さくなる。この小さくなる押湯作用を反映させるために、計算番号が増加する程大きくなる溶湯の圧力損失を表す押湯作用係数p(係数)を用いて押湯作用時間を短くする補正を体積要素毎に行う。
例えば、計算番号が1増加する毎に伝わる圧力が0.4%小さくなる場合に、出力値を算出する対象の体積要素の算出した押湯作用時間と、計算番号が1小さい隣接する体積要素の押湯作用時間に押湯作用係数p(=1−0.004)を乗算した値を比べて小さい方を押湯作用時間とする。こうして押湯作用係数pを用いて補正した押湯作用時間を決定して、入口4から遠ざかる程押湯の作用が弱まることを反映させる(図13参照)。
次に、本発明の作用、効果について説明する。
凝固時間算出工程で体積要素毎に算出した溶湯の流動が停止する凝固時間に基づいて、押湯作用時間算出工程で加圧注入の圧力が作用する押湯作用時間を算出する。そして、出力値算出工程で凝固時間と押湯作用時間とを対比して算出した出力値に基づいて、引け巣判定工程で引け巣が発生する範囲を判定する。従って体積要素毎の凝固時間を基礎に簡単な演算で容易に引け巣の発生を予測することができる。
出力値算出工程で算出する出力値は、凝固時間から押湯作用時間を減算した時間出力値なので、複数の体積要素の出力値を簡単な計算によって算出でき、鋳造解析を容易に行うことができる。
引け巣判定工程は、時間出力値に基づいて複数の体積要素を時間出力値が極大となるピーク値を有する体積要素を含む複数の体積要素群に区分し、体積要素群毎にピーク値を有する体積要素がピーク値の所定割合未満の時間出力値を有する複数の体積要素によって囲まれる場合に、その内側のピーク値の所定割合以上の時間出力値を有する体積要素に引け巣が発生すると判定する。区分した体積要素群の時間出力値のピーク値を有する体積要素と、その周囲の体積要素の時間出力値の差が大きい部分では、押湯による溶湯供給が早く途切れてしまうため凝固による体積収縮を十分に補うことができず引け巣が発生し易いので、そのピーク値の所定割合以上の時間出力値を有する体積要素に引け巣が発生すると判定する。従って、単純な計算によって引け巣の発生する領域を判定することができる。
押湯作用時間算出工程は、キャビティにおける溶湯の入口に相当する体積要素を起点にして起点から遠ざかる方向に隣接する体積要素に起点から遠ざかる程大きくなるように計算番号を付与し、この計算番号の順に体積要素毎に計算番号が小さく且つ隣接する体積要素と凝固時間を対比して小さい方の凝固時間を当該体積要素の押湯作用時間とする。付与した計算番号の順に隣接する体積要素の凝固時間を対比して、各体積要素の押湯作用時間を決定するので、対比する体積要素の数を減らすことができると共に単純な比較により各体積要素の押湯作用時間を決定できる。
押湯作用時間算出工程は、計算番号が増加する程大きくなる溶湯の圧力損失を表す係数を用いて、押湯作用時間を補正する。溶湯の入口から遠い程溶湯の圧力損失が大きくなって押湯の作用が弱まることを容易に反映させることができる。
圧力鋳造装置は、キャビティに連通するスリーブに注がれた溶湯をプランジャで加圧するので、圧力鋳造装置による溶湯の加圧が溶湯の凝固まで維持され、圧力により流動する溶湯の供給が反映された押湯作用時間を各体積要素において決定して、引け巣の発生する範囲を適切に判定することができる。
押湯作用時間算定工程で押湯作用時間の算定が終了してから引け巣判定工程に移行して時間出力値を算出したが、計算番号順に選択した体積要素について押湯作用時間の算定と時間出力値の算出を行うことを前体積要素について行うようにしてもよい。
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はその種の変更形態をも包含するものである。
1 :圧力鋳造装置
2 :鋳造型
3 :キャビティ
4 :入口
5 :スリーブ
6 :プランジャ
7 :排気口

Claims (6)

  1. 成形型内のキャビティに合金の溶湯を加圧注入する圧力鋳造装置の鋳造解析方法において、
    前記キャビティを複数の体積要素に分割し、加圧注入される溶湯の温度変化に基づいて前記体積要素毎に溶湯の流動が停止する凝固時間を算出する凝固時間算出工程と、
    前記凝固時間に基づいて前記体積要素毎に前記加圧注入の圧力が作用する押湯作用時間を算出する押湯作用時間算出工程と、
    前記凝固時間と前記押湯作用時間との対比により前記体積要素毎に出力値を算出する出力値算出工程と、
    前記出力値に基づいて引け巣が発生する範囲を判定する引け巣判定工程を有することを特徴とする鋳造解析方法。
  2. 前記出力値は、前記凝固時間から前記押湯作用時間を減算した時間出力値であることを特徴とする請求項1に記載の鋳造解析方法。
  3. 前記引け巣判定工程は、前記時間出力値に基づいて前記複数の体積要素を前記時間出力値が極大となるピーク値を有する体積要素を含む複数の体積要素群に区分し、前記体積要素群毎に前記ピーク値を有する体積要素が前記ピーク値の所定割合未満の前記時間出力値を有する複数の体積要素によって囲まれる場合に、その内側の前記ピーク値の前記所定割合以上の前記時間出力値を有する体積要素に引け巣が発生すると判定することを特徴とする請求項2に記載の鋳造解析方法。
  4. 前記押湯作用時間算出工程は、前記キャビティにおける溶湯の入口に相当する体積要素を起点にして前記起点から遠ざかる方向に隣接する体積要素に前記起点から遠ざかる程大きくなるように計算番号を付与し、前記計算番号の順に前記体積要素毎に前記計算番号が小さく且つ隣接する体積要素と前記凝固時間を対比して小さい方の凝固時間を当該体積要素の前記押湯作用時間とすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の鋳造解析方法。
  5. 前記押湯作用時間算出工程は、前記計算番号が増加する程大きくなる溶湯の圧力損失を表す係数を用いて、前記押湯作用時間を補正することを特徴とする請求項4に記載の鋳造解析方法。
  6. 前記圧力鋳造装置は、前記キャビティに連通するスリーブに注がれた溶湯をプランジャで加圧することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の鋳造解析方法。
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