JP6525026B2 - 圧力鋳造の溶湯湯まわり判定方法及びその装置 - Google Patents
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Description
上記圧力鋳造で得た鋳造品の各部の性状に基づいて、該鋳造品に係る鋳型の対応する当該各部への湯まわり性指標である湯まわり値を決定する工程と、
上記鋳造品に係る鋳型のキャビティを複数の要素に分割してなる鋳型モデルを作成する工程と、
上記鋳型モデルについて、上記圧力鋳造のときと同じ溶湯射出条件で湯流れ解析を行なって、上記各部に達した溶湯の複数の状態量を算出する工程と、
重回帰分析によって、上記湯まわり値を目的変数とし、上記湯流れ解析によって得られた複数の状態量を説明変数とする回帰式を求める工程と、
判定対象鋳型のキャビティを複数の要素に分割してなる判定用鋳型モデルを作成する工程と、
上記判定用鋳型モデルについて所定の溶湯射出条件で湯流れ解析を行ない、該判定用鋳型モデルの判定対象要素における上記複数の状態量を算出する工程と、
上記判定対象要素における上記複数の状態量を上記回帰式に適用することによって、該判定対象要素における上記湯まわり値を求める工程と、
上記判定対象要素における上記湯まわり値に基づいて、該判定対象要素への湯まわり性の良否を判定する工程とを備えていることを特徴とする。
回帰式記憶手段と、モデル作成手段と、射出条件設定手段と、湯流れ解析手段と、湯まわり値算出手段と、判定手段とを備え、
上記回帰式記憶手段は、鋳型の各部に対する湯まわり性指標である湯まわり値を目的変数とし、湯流れ解析によって得られる上記湯まわり性に影響を与える複数の状態量を説明変数とする、重回帰分析によって得られた回帰式を記憶し、
上記モデル作成手段は、判定対象鋳型のキャビティを複数の要素に分割してなる判定用鋳型モデルを作成し、
上記射出条件設定手段は、湯流れ解析における上記判定用鋳型モデルに対する溶湯の射出条件を設定し、
上記湯流れ解析手段は、上記判定用鋳型モデルについて上記溶湯射出条件で湯流れ解析を行なって、上記判定用鋳型モデルの判定対象要素における上記複数の状態量を算出し、
上記湯まわり値算出手段は、上記判定対象要素の上記複数の状態量を上記回帰式に適用することによって、該判定対象要素における上記湯まわり値を算出し、
上記判定手段は、上記判定対象要素における湯まわり値に基づいて該判定対象要素への湯まわり性の良否を判定することを特徴とする。
図1に示すように、本実施形態に係る鋳型はハイプレッシャーダイカスト金型1であり、キャビティを減圧した状態でダイカストが行なわれる真空ダイカスト用金型である。なお、図1はダイカストマシンを概略的に描いたものである。ダイカスト金型(鋳型)1は、中子2を備え、図2に示すエンジンのシリンダブロック3を鋳造するためのキャビティ4を有する。固定盤5には、ランナ6、ゲート7及び真空引き通路8が形成されている。固定盤5には、ランナ6を介して溶湯をキャビティ4に射出するプランジャ9を有するシリンダ11と、真空引き通路8を介してキャビティ4を減圧するための真空ポンプ(図示省略)が取付けられている。
本発明の実施形態に係る湯まわり性判定方法には、図3に示す湯まわり性判定装置21を利用することができる。
本発明の実施形態に係る湯まわり性判定方法を図4に示すフローチャート等を参照して説明する。この実施形態は、上記エンジンのシリンダブロックを鋳造する金型1におけるアルミニウム合金溶湯の湯まわり性の判定に関する。
ステップS1において、上記ダイカストで得た図5に示すテスト鋳造品3Aの各部の湯まわり値を決定する。このテスト鋳造品3Aは、シリンダブロックの側壁13を部分的に湯まわり性が低くなるように薄肉に形成したものである。その薄肉部は、湯まわり性が低いことにより、部分的に密度が低くなり、一部に欠肉(孔)14を生じ、また、肌荒れにより、表面光沢度が部分的に低くなっている。密度が低くなると、当該部分の導電率も低くなる。
ステップS2において、テスト鋳造品3Aに係る図6に示す鋳型モデル15を作成する。この鋳型モデル15はゲートランナー付きである。図6において、16はシリンダブロック部、17はランナー部、18はゲート部である。
ステップS3において、上記鋳型モデルを用いて鋳造シミュレーションによる湯流れ解析を行なう。この工程は演算装置26の湯流れ解析手段において行なう。具体的には、テスト鋳造品3Aの圧力鋳造のときと同じ溶湯射出条件で湯流れ解析を行なう。溶湯射出条件の設定は、演算装置26の射出条件設定手段において行なう。溶湯射出条件として、溶湯温度、射出速度、ゲートの形状及び位置等を設定する。これら射出条件は、記憶装置25に格納されている射出条件に基づいて、射出条件設定手段が自動的に選択して設定する。なお、作業者が射出条件を入力装置23により入力するようにしてもよい。
ステップS4において、テスト鋳造品3Aの各部の湯まわり値と上記状態量A〜Eとに基づいて、重回帰分析により、湯まわり値Yを目的変数とし、上記状態量A〜Eを説明変数とする下記の重回帰式を算出する。この算出には、表計算ソフト(エクセル マイクロソフト社)を用いることができる。下記回帰式において、α、β、γ、δ及びζは係数であり、ηは定数項である。
ここに、上記状態量A〜Eの湯まわり値Yへの寄与率は、溶湯温度Aが70%程度であり、溶湯流速Bが20%程度である。溶湯年齢C、溶湯流動距離D及び空気接触時間Eの寄与率は合わせても10%程度に過ぎない。従って、回帰式を簡略化して、Y=α’×A+β’×B+ηとしてもよい。ここでのα’とβ’は前述のα、βとは異なりA、Bの2説明変数の重回帰分析で導いた係数である。
ステップS5において、湯まわり性を判定すべき判定対象鋳型に係るゲートランナー付きの判定用鋳型モデルを作成する。本実施形態の判定対象鋳型は、上述のエンジンのシリンダブロックを鋳造する金型である。
ステップS6において、湯流れ解析における判定用鋳型モデルに対する溶湯の射出条件を設定する。溶湯射出条件の設定は、演算装置26の射出条件設定手段において行なう。溶湯射出条件としては、溶湯温度、射出速度、ゲートの形状及び位置等がある。これら射出条件は、記憶装置25に格納されている射出条件に基づいて、射出条件設定手段が自動的に選択して設定する。なお、作業者が射出条件を入力装置23により入力するようにしてもよい。
ステップS7において、上記判定用鋳型モデルを用いて、ステップS6で設定された溶湯射出条件で鋳造シミュレーションによる湯流れ解析を行なう。この工程は演算装置26の湯流れ解析手段において行なう。この湯流れ解析により、判定用鋳型モデルの要素のうちの判定対象要素における状態量、すなわち、溶湯温度A、溶湯流速B、溶湯年齢C、溶湯流動距離D及び空気接触時間Eを算出する。
ステップS8において、ステップS7で得られた判定対象要素における状態量A〜Eを回帰式(1)に適用して、当該要素における湯まわり値Ynを算出する。この工程は演算装置26の湯まわり値算出手段において行なう。
ステップS9において、上記湯まわり値Ynに基づいて判定対象要素への湯まわり性の良否を判定する。この工程は演算装置26の判定手段において行なう。具体的には、判定手段は、湯まわり値について複数レベルのしきい値を備え、判定対象要素の湯まわり値としきい値との比較により、当該要素への湯まわり性がどのレベルにあるかを判定する。その判定結果は、出力装置24により、判定用鋳型モデルの図形において湯まわり性レベル毎に色分けして表示され、湯まわり不良の要素があるときは、警報が発せられる。なお、湯まわり値についての1つの判定基準値によって、湯まわり性の良否判定をするようにしてもよい。
3 シリンダブロック
4 キャビティ
Claims (5)
- 溶湯を鋳型に加圧注入する圧力鋳造における湯まわり性を判定する方法であって、
上記圧力鋳造で得た鋳造品の各部の性状に基づいて、該鋳造品に係る鋳型の対応する当該各部への湯まわり性指標である湯まわり値を決定する工程と、
上記鋳造品に係る鋳型のキャビティを複数の要素に分割してなる鋳型モデルを作成する工程と、
上鋳型モデルについて、上記圧力鋳造のときと同じ溶湯射出条件で湯流れ解析を行なって、上記各部に達した溶湯の複数の状態量を算出する工程と、
重回帰分析によって、上記湯まわり値を目的変数とし、上記湯流れ解析によって得られた複数の状態量を説明変数とする回帰式を求める工程と、
判定対象鋳型のキャビティを複数の要素に分割してなる判定用鋳型モデルを作成する工程と、
上記判定用鋳型モデルについて所定の溶湯射出条件で湯流れ解析を行ない、該判定用鋳型モデルの判定対象要素における上記複数の状態量を算出する工程と、
上記判定対象要素における上記複数の状態量を上記回帰式に適用することによって、該判定対象要素における上記湯まわり値を求める工程と、
上記判定対象要素における上記湯まわり値に基づいて、該判定対象要素への湯まわり性の良否を判定する工程とを備えていることを特徴とする圧力鋳造の溶湯湯まわり判定方法。 - 請求項1において、
上記複数の状態量として、少なくとも、上記判定対象要素に到達した溶湯の温度と該溶湯の流速を用いることを特徴とする圧力鋳造の溶湯湯まわり判定方法。 - 請求項1において、
上記複数の状態量として、上記判定対象要素に到達した溶湯の温度、該溶湯の流速、溶湯が射出開始から当該要素に到達するまでの経過時間、ゲートから当該要素に到達するまでの溶湯の流動距離、並びに当該要素に到達した溶湯の空気との接触時間を用いることを特徴とする圧力鋳造の溶湯湯まわり判定方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
上記圧力鋳造はダイカストであり、上記鋳型はエンジンのシリンダブロックを鋳造する鋳型であることを特徴とする圧力鋳造の溶湯湯まわり判定方法。 - 溶湯を鋳型に加圧注入する圧力鋳造における湯まわり性を判定する装置であって、
回帰式記憶手段と、モデル作成手段と、射出条件設定手段と、湯流れ解析手段と、湯まわり値算出手段と、判定手段とを備え、
上記回帰式記憶手段は、鋳型の各部に対する湯まわり性指標である湯まわり値を目的変数とし、湯流れ解析によって得られる上記湯まわり性に影響を与える複数の状態量を説明変数とする、重回帰分析によって得られた回帰式を記憶し、
上記モデル作成手段は、判定対象鋳型のキャビティを複数の要素に分割してなる判定用鋳型モデルを作成し、
上記射出条件設定手段は、湯流れ解析における上記判定用鋳型モデルに対する溶湯の射出条件を設定し、
上記湯流れ解析手段は、上記判定用鋳型モデルについて上記溶湯射出条件で湯流れ解析を行なって、上記判定用鋳型モデルの判定対象要素における上記複数の状態量を算出し、
上記湯まわり値算出手段は、上記判定対象要素の上記複数の状態量を上記回帰式に適用することによって、該判定対象要素における上記湯まわり値を算出し、
上記判定手段は、上記判定対象要素における湯まわり値に基づいて該判定対象要素への湯まわり性の良否を判定することを特徴とする圧力鋳造の溶湯湯まわり判定装置。
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