JPH10138308A - 樹脂成形品の品質予測方法 - Google Patents

樹脂成形品の品質予測方法

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JPH10138308A
JPH10138308A JP29686096A JP29686096A JPH10138308A JP H10138308 A JPH10138308 A JP H10138308A JP 29686096 A JP29686096 A JP 29686096A JP 29686096 A JP29686096 A JP 29686096A JP H10138308 A JPH10138308 A JP H10138308A
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molding
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JP29686096A
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Teruaki Ogino
輝明 荻野
Shinichi Sawae
慎一 沢江
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】CAE解析シミュレーションの段階で樹脂成形
品の品質を予測する。 【解決手段】成形品有限要素モデルデータから各有限要
素の各ノード位置の肉厚値を計算するとともに(ステッ
プS7b)、前記成形品有限要素モデルデータに基づい
て実行されたCAE解析結果から前記各ノード位置につ
いての圧力値と温度についての所定の物理量を計算し
(ステップS7d)、前記各ノード位置についての前記
肉厚値と前記所定の物理量を、予め成形不良データベー
スに基づいて作成した回帰式である不良予測式に代入し
て、成形不良の発生(品質)を予測する(ステップS7
f)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、射出成形機によ
り製作される樹脂成形品の品質をコンピュータ援用エン
ジニアリング(CAE)シミュレーションの段階で予測
する樹脂成形品の品質予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、実際に金型を製作し、この金型を
射出成形機に装着して樹脂成形品を製作する前の段階
で、シミュレーションにより樹脂成形品の品質の予測を
行うことの可能なコンピュータ援用エンジニアニング
(CAE)解析手法が提案されている。
【0003】このCAE解析手法は、先ず、コンピュー
タ援用設計(CAD)システムにより作成された最終的
な樹脂成形品に対応する成形品モデルデータに対して、
ゲート、ランナ等の付帯条件を付加してCAE解析用の
有限要素からなる成形品有限要素モデルデータを作成す
る。次いで、作成した成形品有限要素モデルデータによ
り、射出成形における金型内の溶湯の流れや凝固状態を
シミュレーションするCAE解析を行い、所望の成形品
形状が得られる金型形状および成形条件(射出成形機に
設定するための温度や圧力のプロファイル等)を決定す
るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、CAE解析手
法を使用して決定した金型形状により設計製作した金型
を実際の射出成形機に装着し、同様にCAE解析手法に
より決定した成形条件により熱可塑性樹脂の実際の射出
成形を行った場合において、完成された樹脂成形品の外
形形状は、ほぼ所望の形状のものが得られるが、完成さ
れた樹脂成形品の表面の凹凸、すなわち表面粗さ等のデ
フォーム量(成形不良)については考慮していないため
に、このデフォーム量が仕様以上の値となる場合が多々
あり、結果として、CAE解析シミュレーションの段階
で十分な品質予測を行うことができないという問題があ
った。
【0005】この発明は、このような課題を考慮してな
されたものであって、CAE解析シミュレーションの段
階で製品としての樹脂成形品の十分な品質を確保するこ
とを可能とする樹脂成形品の品質予測方法を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、CAE解析
用の有限要素からなる成形品有限要素モデルデータを読
み込むとともに、この成形品有限要素モデルデータに基
づいて実行されたCAE解析結果を読み込み、前記成形
品有限要素モデルデータから各有限要素の各ノード位置
の肉厚値を計算するとともに、前記CAE解析結果から
前記各ノード位置についての圧力値と温度についての所
定の物理量を計算し、前記各ノード位置についての前記
肉厚値と前記所定の物理量を、予め成形不良データベー
スに基づいて作成した不良予測式に代入して、不良の発
生を予測することを特徴とする。
【0007】この発明によれば、CAE解析シミュレー
ションの段階で得られた成形条件の中、所望の物理量、
および肉厚値を不良予測式に代入することで、製品とし
て得られる樹脂成形品の品質、具体的には、デフォーム
量を予測することができる。
【0008】この場合、前記不良予測式は、前記成形不
良データベース中、デフォームの度合いを目的変数にす
るとともに、前記各ノード位置における前記肉厚値と、
前記圧力積分値と、前記加圧時間と、前記流入温度値を
説明変数として重回帰分析を行って、回帰係数と定数項
を求めた回帰式とする。このようにして求めた回帰式の
重回帰係数の値は、値1にきわめて近い値となり、回帰
式のフィットがよいことが確かめられた。
【0009】また、回帰式は、前記CAE解析を行う際
の入力データである樹脂材料データと射出成形機の仕様
に応じて作成することにより、これら樹脂材料データお
よび前記射出成形機に対応して正確に品質を予測するこ
とができる。
【0010】さらに、回帰式により予測した不良発生結
果を、成形品有限要素モデルデータに応じて描かれる樹
脂成形品形状上に表示することにより、成形不良発生の
可能性を迅速に発見することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態に
ついて図面を参照して説明する。
【0012】図1は、この発明の一実施の形態が適用さ
れた射出成形システム10の構成を示している。
【0013】この射出成形システム10は、基本的に
は、各々コンピュータで構成されるCADシステム12
とCAEシステム14と原因解析システム16と実際に
樹脂成形品60を製作するための射出成形機18とから
構成される。
【0014】射出成形機18は、キャビティ20を有す
る金型21と、シリンダ22内のスクリュー23を金型
21側に押し込むことで、ホッパ25に貯留されている
熱可塑性樹脂をキャビティ20内に注入するための射出
ラム24とを有する。
【0015】射出成形機18には、射出ラム24の油圧
制御に係わる油圧を検出する油圧センサ31と、スクリ
ュー23の移動量を検出する位置センサ32と、樹脂注
入口に設けられたノズル圧センサ33と、同様に樹脂注
入口に設けられた樹脂温度センサ34と、金型21によ
って形成されるキャビティ20内の圧力と樹脂温度を各
々測定するためのキャビティ圧センサ35と樹脂温度セ
ンサ37と、金型21の開閉を検出する型開きセンサ3
6と、その他、金型表面温度センサ38、金型冷却水温
度センサ39、製品取出温度センサ40が取り付けられ
ている。
【0016】これらのセンサ31〜40の出力信号は、
インタフェースボックス42の各増幅器41を介して原
因解析システム16を構成するコンピュータ本体43に
供給され、このコンピュータ本体43内のAD変換器4
4によりデジタル信号(デジタルデータ)に変更され
る。このデジタル信号は、判断・制御・計算の各手段と
して機能するCPU45の制御の下に記憶手段であるR
AM46に記憶され、必要に応じて不揮発性記憶手段で
あるハードディスク47に記憶される。
【0017】CPU45には、システムプログラムや制
御プログラム等が記憶される記憶手段としてのROM5
0、文字・記号等の入力手段であるキーボード51、表
示手段としてのCRTディスプレイ52が接続されてい
る。また、CPU45には、射出成形機18により製作
された製品としての樹脂成形品60の3次元形状(外形
形状)を測定するための3次元形状測定機62と、樹脂
成形品60の表面の凹凸である表面粗さ等のデフォーム
量(成形不良)を測定するための表面粗さ計61が接続
されている。
【0018】原因解析システム16とCAEシステム1
4とCADシステム12とは、この実施の形態では、C
AEシステム14を介して相互にデータ等の通信を行う
ことができるように構成されている。さらに、CAEシ
ステム14により決定された成形条件(成形条件データ
ともいう。)63が成形機制御盤64に設定される。
【0019】成形機制御盤64上で実際に設定された各
種設定値が、成形機制御データとして原因解析システム
16に取り込まれる。また、成形機制御盤64により射
出開始信号、型閉め信号がインタフェースボックス42
に供給されると同時に、この成形機制御盤64による射
出成形機18に対する実際の制御(油圧制御、射出制
御、温度制御)が実行される。
【0020】次に、上述の実施の形態が適用された射出
成形システム10の動作について、図2に示すフローチ
ャートをも参照して詳しく説明する。
【0021】この射出成形システム10では、まず、製
品としての樹脂成形品60に対応するCADデータであ
る成形品モデルデータ70をCADシステム12により
作成する(ステップS1)。この場合、例えば、自動車
の樹脂バンパーの成形品モデルデータ70が、デザイン
図に基づいて作成され、CADシステム12により作成
された成形品モデルデータ70がCAEシステム14に
供給される。なお、この成形品モデルデータ70に対応
する所望の樹脂成形品(変形とデフォームのない樹脂成
形品)の符号を60A(図3中、実線で示す形状を参
照)で表す。
【0022】次いで、CAEシステム14上で、前記成
形品モデルデータ70に対してゲート、ランナ等の金型
の付帯条件データが自動的にあるいは手動により付加さ
れる(ステップS2)。
【0023】次に、ゲート、ランナ等の付帯条件データ
が付加された成形品モデルデータ70Aに対する解析モ
デル化がCAEシステム14上で実行される(ステップ
S3)。この場合、付帯条件付き成形品モデルデータ7
0Aが自動的に3次元の有限要素に分解されて、CAE
解析用の有限要素からなる成形品有限要素モデルデータ
70Bが作成される。
【0024】次に、CAEシステム14で、この成形品
有限要素モデルデータ70Bと、記憶手段73から供給
される粘度、比熱、PVT(圧力・体積・温度)値等の
熱可塑性樹脂の仕様・特性を表す樹脂材料データ74
と、記憶手段75から供給される射出成形機18の性能
(仕様)データ(成形機データ)76とに基づいてCA
E解析シミュレーションを行い、最適な変形量を算出す
る成形条件(例えば、圧力プロファイル、樹脂温度プロ
ファイル、金型温度プロファイル等を含む成形条件であ
り、以下、最適成形条件データ63Aともいう)を計算
する(ステップS4)。
【0025】この最適成形条件データ63Aは、CAE
システム14を構成するハードディスク等の記憶手段8
1に格納され、CAEシステム14を構成する成形機制
御パラメータ変換プログラム82を通じて、射出成形機
18用の設定データとしての成形条件データ63に変換
されて成形機制御盤64に供給される。この場合、成形
機制御パラメータ変換プログラム82により、例えば、
最適成形条件データ63Aとしては[MPa]単位の圧
力値(物理量)で規定されているが、この値が射出成形
機18の最大圧力値の何%の値(相対量)になるかに変
換されて成形機制御盤64に供給される。なお、成形条
件データ63への変換を実行する成形機制御パラメータ
変換プログラム82は、原因解析システム16にインス
トールしておき、それを利用して原因解析システム16
から成形機制御盤64に供給するように構成してもよ
い。
【0026】ステップS4の最適成形条件計算処理後
に、その最適成形条件データ63Aを計算したときの解
析結果の成形品有限要素モデルデータ70Bを用いて、
製品形状や金型構造、成形プロセスに依存する成形品の
収縮と、この収縮を原因とする反り変形量予測値をCA
Eシステム14により計算する(ステップS5)。
【0027】次に、このようにして計算した変形量(外
形形状の変形量)が、予め設定した所望の変形量以内の
値になっているかどうかの評価を行う(ステップS
6)。この評価は、図3に模式的に示すように、所望の
樹脂成形品60Aに対して、CAEシステム14により
計算した(シミュレーションした)樹脂成形品60B
(図3中、2点鎖線で示す形状)の変形量、すなわち寸
法差が許容範囲内であるかどうかを、CAEシステム1
4または原因解析システム16で判定することにより行
う。この実施の形態では、原因解析システム16で判定
を行っている。
【0028】ステップS6におけるこの評価結果が否定
的であった場合には、ステップS1にもどり、CADシ
ステム12において製品形状を設計変更して、ステップ
S6の判定が肯定的となるまで、ステップS2〜S6の
処理を繰り返す。
【0029】ステップS6の判定が肯定的となった場
合、すなわち、変形量予測値が所望量以内の値となった
場合には、前記ステップS3の工程で作成したCAE解
析用の有限要素からなる成形品有限要素モデルデータ7
0Bを構成する各有限要素の各ノード位置(ノード点)
でのデフォームの度合い(程度)を成形不良予測プログ
ラムに基づいて予測する(ステップS7)。この成形不
良予測プログラムは、この実施の形態では原因解析シス
テム16に予めインストールされ、この原因解析システ
ム16により実行される。
【0030】図4は、この成形不良予測プログラムによ
りデフォームの度合い(表面粗さの度合い、表面凹凸の
度合い)を予測するステップS7のサブルーチン処理の
詳細なフローチャートを示している。
【0031】ここでは、まず、ステップS3の工程で作
成したCAE解析用の有限要素からなる成形品有限要素
モデルデータ70BをCAEシステム14から読み込む
(ステップS7a)。
【0032】次に、読み込んだ成形品有限要素モデルデ
ータ70Bを構成する各有限要素を構成するノード毎の
肉厚値tを計算する(ステップS7b)。
【0033】この場合、各有限要素(符号をEiとす
る。)は、各有限要素Ei毎に肉厚値tiを属性値とし
て有しているが、ノード毎には有していない。そこで、
例えば、図5に模式的に示すように、有限要素Eiのう
ち、Ei=E1のノードをノード90と定義した場合に
は、そのノード90の肉厚値ti=t1は、このノード
90を共有する周囲の有限要素Ej(j=1、2、…、
N、図5例では、j=1、2、…、6)が属性値として
有している各肉厚値tjの相加平均値として求められる
{(1)式参照}。
【0034】 ti=(1/N)Σtj …(1) 図5例の場合には、ノード90の肉厚値t1は、t1=
(1/6)(t1+t2+…+t6){左辺のt1はノ
ード90の肉厚値であり、一方、右辺のt1は有限要素
E1の肉厚値である}として求めることができる。な
お、図5例の有限要素Eiは、面が三角形となる有限要
素を示しているが、これに限らず、直交差分有限要素で
も同様に適用することができる。
【0035】次に、前記ステップS6の判定が成立した
ときの、ステップS4のCAE解析結果のデータの中、
各有限要素Eiに対する所定の成形条件を読み込む(ス
テップS7c)。この実施の形態において、所定の成形
条件は、圧力プロファイルと樹脂温度プロファイルであ
る。
【0036】図6は、ある有限要素Eiに対する圧力P
pのプロファイルを示しており、図7は、そのある有限
要素Eiに対する温度Tpのプロファイルを示してい
る。図6において、横軸は時間T(秒)であり、縦軸は
圧力Pp(kgf/cm2 )である。また、図7におい
て、横軸は時間T(秒)であり、縦軸は温度Tp(℃)
である。図6、図7中、時間TがT=0の時点は、図1
中、ノズル圧センサ33の取付位置に溶融樹脂が供給さ
れた瞬間の時点を示している。また、時間TがT≒21
の立ち上がり時点が、ある有限要素Eiに溶融樹脂が到
着した時点を意味している。
【0037】次いで、有限要素Eiの各ノード毎の不良
予測(用)パラメータを計算する(ステップS7d)。
この実施の形態において、不良予測パラメータは、図6
のハッチング部で示す圧力Ppが掛かっている加圧時間
(積分時間)PTとこの加圧時間PT内の圧力Ppの積
分値SP(SP=∫PpdT)と、図7中のピーク温度
である流入温度FTと、前記の肉厚値tiである。な
お、流入温度FTとは、上述したように、溶融している
熱可塑性樹脂が、その有限要素Eiにかかるノード位置
に到達した時(T≒21)の温度Tp(図7の温度プロ
ファイルの前縁部の温度)である。なお、図7の温度プ
ロファイル中、後縁部は型開き時点を意味している。
【0038】次に、予め取得している成形不良データベ
ースから不良予測式を計算する(ステップS7e)。不
良予測式は、デフォーム(表面凹凸)の度合いをRdと
してこれを目的変数とし、各有限要素Eiを形成する各
ノード位置についての肉厚値tiと圧力積分値SPiと
流入温度FTiと加圧時間PTiとを説明変数とし、定
数項をeとするとき、次の(2)式の回帰式(不良予測
式)で与えられることが見い出された。
【0039】 Rd=a・ti+b・SPi+c・FTi+d・PTi+e …(2) ここで、a〜dは偏回帰係数(重回帰係数)であり、e
は定数項である。
【0040】(2)式中、デフォームの度合いRdは、
図8に示すデフォーム品質判定表および図9に示すデフ
ォーム量の説明図において、ある幅Wd(mm)におけ
る凹凸(これを深さと定義する。)Dp(mm)が基準
面91からどの程度の値になっているのかを意味する。
例えば、図8において、幅WdがWd=100であっ
て、深さDpがDp=0.05であるとき、デフォーム
の度合いRdは、Rd=1と定義している。また、例え
ば、幅WdがWd=20であって、深さDpがDp=
0.02であるとき、デフォームの度合いRdは、Rd
=1と定義している。このデフォームの度合いRdの値
が1以下の値(Rd<1)であるときに、デフォーム量
が所望の値以内である合格領域にあると判定し、1を超
える値(Rd>1)であるときに、デフォーム量が不合
格領域にあると判定するようにしている。
【0041】前記成形不良データベースは、基本的に
は、次に説明する手順で予め作成している。すなわち、
ステップS6での変形量予測値が所望の値以下となった
場合のステップS4で計算してある最適成形条件を射出
成形機18に設定するとともに、このときにステップS
2で得られているゲート、ランナ等の金型用の付帯条件
が付加された成形品モデルデータ70Aに基づいて金型
を製作する。製作した金型を射出成形機18に装着し、
実際に前記最適成形条件63Aで試し打ちを行い、この
試し打ち結果の樹脂成形品60を製作する。この樹脂成
形品60のデフォームの度合いRdを表面粗さ計61で
測定する。測定したデフォームの度合いRdと、このデ
フォームの度合いRdを測定した位置に対応する前記有
限要素Eiのノード位置についての肉厚値ti(上記計
算値)と、圧力積分値SPi(上記計算値)と、流入温
度FTi(上記計算値)と、加圧時間PTi(上記計算
値)の対応表を成形不良データベースとして作成する。
【0042】この成形不良データベースは、(2)式の
回帰式の有意性が所望の値以内となるまで、前記最適成
形条件63Aを種々変更して試し打ちを行い前記対応表
を構成するデータ(デフォームの度合いRd、肉厚値t
i、圧力積分値SPi、流入温度FTi、加圧時間PT
iの組み合わせデータ)の量を増加させる。なお、この
成形不良データベースは、後に説明するように必要な場
合に更新される。
【0043】そして、前記成形不良データベースの組み
合わせデータ中、デフォームの度合いRdを目的変数と
し、そのときの肉厚値tiおよび成形条件である圧力積
分値SPiと流入温度FTiと加圧時間PTiとを説明
変数として重回帰分析を行うことで、(2)式の係数a
〜eが決定された回帰式(不良予測式)が得られる。得
られた回帰式の重回帰係数は値1にきわめて近い値とな
り、回帰式のフィットがよいことが確認されている。
【0044】そこで、ステップS7b、S7dで計算し
ているCAE解析結果の各ノード毎のパラメータti、
SPi、FTi、PTiを重回帰係数が求められた
(2)式の不良予測式に代入して不良の発生を予測する
(ステップS7f)。デフォームの度合いRdの値が値
1より小さければ小さいほど不良発生の確率は小さくな
る。
【0045】次いで、ステップS7fで計算したノード
毎のデフォームの度合いRdについて、画面表示用プロ
グラムのための中間ファイルを作成し、この中間ファイ
ルを下にCRTディスプレイ52上に不良の発生予測結
果を表示する(ステップS7g)。このCRTディスプ
レイ52上の表示は、図10に示すように、付帯条件付
成形品モデルデータ70Aに基づいて描かれる製品形状
である樹脂成形品モデル60M上に、デフォームの度合
いRdの値に応じて色を変えて、例えば、デフォームの
度合いRdが値1を超えた部分は赤色(R)、デフォー
ムの度合いRdの値が1〜0.9の部分は黄色(Y)、
デフォームの度合いRdの値が0.9以下の部分は緑色
(G)で表示する。これにより、例えば、赤色(R)部
分を不良部位と決めることで、視覚的にも不良の発生部
位を容易に予測することができる。
【0046】次いで、再びメインルーチンに戻り、成形
不良予測値、この場合、デフォームの度合いRdの値を
評価する(ステップS8)。具体的には、CAE解析用
の成形品有限要素モデルデータ70Bを構成する各有限
要素Eiの各ノード位置での上記(2)式で計算される
デフォームの度合いの値Rdが、所望の値1以下の値で
あるかどうかを判断し、もし、デフォームの度合いRd
の値が値1を超える有限要素Eiが存在する場合には、
再び、上記のステップS2に戻り、付帯条件であるゲー
トランナ等の方案を変更する。この場合、図10に模式
的に示すランナ69の位置を、例えば、矢印方向(不良
発生部位の方向)に所定量移動した後、ステップS8の
判定が成立するまで、ステップS3〜S8のCAE解析
等の処理を繰り返す。
【0047】デフォームの度合いRdの値が所望の値1
以下となった場合には、最後にステップS2で作成した
ゲート、ランナ等の付帯条件データが付加された成形品
モデルデータ70Aに基づいて金型を設計し(ステップ
S9)、実際に金型21(図1参照)を製作(作成・制
作)する(ステップS10)。
【0048】次いで、ステップS10で作成した金型2
1を射出成形機18に装着し、一方、前記ステップS4
で最終的に得られた射出時間、射出圧力、保圧、樹脂温
度等についてのプロファイル(例えば、圧力プロファイ
ル、樹脂温度プロファイル等)を、成形機制御パラメー
タ変換プログラム82を通じて、射出成形機18用の設
定データとしての成形条件データ63に変形したデータ
を成形機制御盤64に設定して、試し打ち(成形トラ
イ)を行う(ステップS11)。
【0049】この試し打ちの結果品である樹脂成形品6
0(図1参照)を表面粗さ計61および3次元形状測定
機62により各々表面粗さと変形量を測定し、それらの
値が所望の値(設計値)以内の値であるかどうかを念の
ために確認する(ステップS12)。
【0050】万一不良が発生していた場合には、この成
形不良データを先に蓄積してある成形不良データに加え
(ステップS13)、ハードディスク等の記憶手段83
に格納する。そして、この新たな成形不良データをも使
用して、重回帰分析を行うことにより、より一層(2)
式で示した回帰式の精度を上げるようにする。
【0051】ステップS12の判定において、成形不良
が発生していなかった場合には、成形トライを行った、
金型21および最適成形条件データ63Aにより、製品
打ちを行う。
【0052】このように、上述の実施の形態によれば、
CADシステム12により成形品モデルデータ70を設
計し、これにゲートランナ等の付帯条件をつけた後、C
AEシステム14によりCAE解析用の有限要素Eiか
らなる成形品有限要素モデルデータ70Bを作成し、こ
の成形品有限要素モデルデータ70BをCAE解析して
最適成形条件63Aを導出する。そして、この最適成形
条件63Aを導出したときのCAE解析結果による成形
品外形形状の変形量を計算し、この予測変形量が所望量
以内の値となるまで、CADシステム12により成形品
モデルデータ70の設計から前記CAE解析までの過程
を繰り返す。次いで、前記最適成形条件63Aを検証す
るために、この最適成形条件63Aをパラメータとする
上記(2)式の不良予測式により前記CAE解析用の成
形品有限要素モデルデータ70Bを構成する各有限要素
の各ノード位置でのデフォームの度合いRdの値を計算
する。
【0053】このデフォームの度合いRdの値が所望の
値より大きかった場合には、製品形状としては所望のも
のとなっているが、成形条件が最適成形条件になってい
なかったものとして、デフォームの度合いRdの値が所
望の値以内となるまで、金型におけるゲートランナ等の
付帯条件を変更して、CAE解析を行い、この新たな成
形品有限要素モデルデータ70Bに対する最適成形条件
63Aを導出する。
【0054】デフォームの度合いRdの値が所望の値以
内の値となったときに導出した成形条件を最適成形条件
データ63Aとするとともに、金型21の設計製作を行
う。
【0055】したがって、上述の実施の形態によれば、
予め1回だけ回帰式を作成しておくことにより、新たな
樹脂成形品を設計製作しようとする際に、金型21の設
計製作の前段階で、樹脂成形品60の外形形状(変形
量)およびデフォーム量が共に所望の値となる最適成形
条件データ63AをCAE解析シミュレーションにより
導出することができるという効果が達成される。
【0056】なお、この発明は上述の実施の形態に限ら
ず、この発明の要旨を逸脱することなく種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、成形品有限要素モデルデータから計算される各ノー
ド位置についての肉厚値と、CAE解析結果の成形条件
から導かれる所定の物理量を、予め成形不良データベー
スに基づいて作成した不良予測式に代入して、不良の発
生を予測するようにしている。このため、金型を製作す
る前工程で、製品として得られる樹脂成形品の品質、具
体的には、デフォーム量を予測することができるという
効果が達成される。
【0058】換言すれば、CAE解析シミュレーション
の段階で製品としての樹脂成形品のデフォーム量を予測
することが可能となるので、このCAE解析シミュレー
ションの段階で、十分な品質を確保することが可能にな
るという効果が達成される。
【0059】なお、不良予測式は、前記成形不良データ
ベース中、デフォームの度合いを目的変数にするととも
に、前記各ノード位置における前記肉厚値と、前記圧力
積分値と、前記加圧時間と、前記流入温度値を説明変数
として重回帰分析を行って、回帰係数と定数項を求めた
回帰式とする。このようにして求めた回帰式の重回帰係
数の値は、値1にきわめて近い値にすることができるこ
とを確認しており、フィットのよい回帰式である不良予
測式が得られる。
【0060】また、回帰式は、前記CAE解析を行う際
の入力データである樹脂材料データと射出成形機の仕様
に応じて作成することにより、これら樹脂材料データお
よび前記射出成形機に対応して正確に品質を予測するこ
とができる。
【0061】さらに、回帰式により予測した不良発生結
果を、成形品有限要素モデルデータに応じて描かれる樹
脂成形品形状上に表示することにより、不良発生の可能
性を目視により迅速かつ正確に発見することができると
いう効果も達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態が適用された射出成形
システムの構成を示すブロック図的線図である。
【図2】図1例の動作説明に供されるメインルーチンの
フローチャートである。
【図3】CAE解析結果の予測変形量の説明に供される
斜視図である。
【図4】図2のフローチャート中、成形不良予測プログ
ラムによる処理の説明に供されるサブルーチンのフロー
チャートである。
【図5】有限要素のノード位置に対する肉厚値の算出の
説明に供される線図である。
【図6】あるノード位置に対する成形圧力プロファイル
を示す特性図である。
【図7】あるノード位置に対する成形温度プロファイル
を示す特性図である。
【図8】デフォーム品質判定表を示す線図である。
【図9】デフォームの度合いの説明に供される線図であ
る。
【図10】デフォームの度合いを樹脂成形品上に表示し
た斜視図である。
【符号の説明】
10…射出成形システム 12…CADシステ
ム 14…CAEシステム 16…原因解析シス
テム 18…射出成形機 20…キャビティ 21…金型 60…樹脂成形品 61…表面粗さ計 62…3次元形状測
定機

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CAE解析用の有限要素からなる成形品有
    限要素モデルデータを読み込むとともに、この成形品有
    限要素モデルデータに基づいて実行されたCAE解析結
    果を読み込み、 前記成形品有限要素モデルデータから各有限要素の各ノ
    ード位置の肉厚値を計算するとともに、前記CAE解析
    結果から前記各ノード位置についての圧力値と温度につ
    いての所定の物理量を計算し、 前記各ノード位置についての前記肉厚値と前記所定の物
    理量を、予め成形不良データベースに基づいて作成した
    不良予測式に代入して、不良の発生を予測することを特
    徴とする樹脂成形品の品質予測方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法において、 前記各ノード位置についての圧力値と温度についての所
    定の物理量は、圧力積分値と、加圧時間と、流入温度値
    とし、 前記成形不良データベースは、ゲート、ランナ等の金型
    用の付帯条件が付加された成形品モデルデータに基づい
    て製作した金型を射出成形機に装着して試し打ちを行
    い、この試し打ち結果の樹脂成形品のデフォームの度合
    いの実測値と、前記ノード位置における肉厚値と、およ
    び前記試し打ちを行ったときの成形条件から導かれる前
    記所定の物理量との対応表であり、 前記不良予測式は、前記対応表中、デフォームの度合い
    を目的変数にするとともに、前記各ノード位置における
    前記肉厚値と、前記圧力積分値と、前記加圧時間と、前
    記流入温度値を説明変数として重回帰分析を行って、回
    帰係数と定数項を求めた回帰式とすることを特徴とする
    樹脂成形品の品質予測方法。
  3. 【請求項3】請求項2記載の方法において、 前記回帰式は、前記CAE解析を行う際の入力データで
    ある樹脂材料データおよび前記射出成形機の仕様に応じ
    て作成することを特徴とする樹脂成形品の品質予測方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法
    において、予測した不良発生結果を、前記成形品有限要
    素モデルデータに応じて描かれる樹脂成形品形状上に表
    示することを特徴とする樹脂成形品の品質予測方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004074654A (ja) * 2002-08-20 2004-03-11 Shindengen Electric Mfg Co Ltd 成形シミュレーション用データベースファイルの生成方法及びプログラム
JP2008093860A (ja) * 2006-10-06 2008-04-24 Toyota Motor Corp 発泡射出成形品の品質予測システム、プログラム、及び方法
JP2010042540A (ja) * 2008-08-11 2010-02-25 Polyplastics Co 金型、成形品評価方法、及び成形条件決定方法
JP2010228247A (ja) * 2009-03-26 2010-10-14 Honda Motor Co Ltd シミュレーションシステム

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