JP4145078B2 - 鋳造シミュレーション方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中子等の型部品から鋳造時に発生する燃焼ガス等のガスの発生を予測する鋳造シミュレーション方法及び鋳造シミュレーションプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳鉄・アルミ等の金属を型内に流し入れて成型品を製造する鋳造は、種々の形状をもつ成型品を作成する手法の一つとして汎用されている。
【0003】
型の一つとして、有機物や無機物の粘結剤により作成される砂型は、溶湯との接触によって、粘結剤の分解等によりガスが発生する。発生するガス圧が所定値を超えると溶湯に作用し、ブローホール、ピンホール等のガス欠陥を生じ、鋳物の品質に大きな影響を与える。特に型を形成する中子は、ガス抜き用のベント等を適正に設けないと成型品の品質に大きな影響を与える。
【0004】
成型品の品質向上のためには、ガスの発生量を減少させるために、中子に含まれる粘結剤の量を最適化したり、発生したガスが容易に排出されるように、ベント等を設けたり中子の形状を最適化することが行われる。これらの最適化は、鋳造条件を再現した現実の型を用いて、実際のガス圧を直接測定することで検討することができる。実際のガス圧を測定したい部位に圧力センサ等を配置して、鋳造過程における圧力変化を測定することができる。測定した圧力変化のうち、ピーク値が鋳物に発生するガス欠陥に対応することが分かっており、ガス圧に影響を与える中子形状、粘結剤量、砂の通気性、ベント位置・形状、ガス抜きのための幅木の形状等を最適化する。
【0005】
しかしながら従来技術の方法では、中子等の型部品の形状が複雑になるにつれて、適正条件を見出すことは容易ではなく、試行錯誤を繰り返すこととなって、実用的な時間内で最適化を達成できなくなった。
【0006】
ところで近年のコンピュータの計算能力の向上に伴い、鋳造時に溶湯を型内に充填するときの溶融材料の挙動についてのコンピュータ上における鋳造シミュレーションの適用範囲が広がっている。鋳造シミュレーションは溶湯の流れ及び凝固の挙動について理解を深めることを目的としており、適正な鋳造条件を探索する有用な手段として期待されている。
【0007】
例えば、特開2000−211005号公報に開示された射出成型品の欠陥予測・評価方法では、金型のキャビティ領域内で溶湯が充填されていない部分の圧力変動を考慮して、溶融材料(溶湯)の射出成型における流動解析を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術の鋳造シミュレーション方法では中子等の型部品から発生するガスを考慮していなかった。また、コンピュータ上で行うシミュレーションの特徴として、解析に必要な時間がモデルの作成の適否により大きく変化することが挙げられる。解析に要する時間は短い方が好ましいことはいうまでもない。
【0009】
本発明では、鋳造時に型部品から発生するガスを考慮した鋳造シミュレーション方法を提供することを解決すべき課題とする。更に本発明では、鋳造時に型部品から発生するガスを考慮し、且つ迅速な解析ができる鋳造シミュレーション方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の鋳造シミュレーション方法は、▲1▼鋳造に用いる型部品の形状を座標系上に位置づけ、該座標系の空間を複数の微小要素に分割する要素作成ステップと、▲2▼該微小要素のそれぞれについて、該型部品の領域に位置する場合には型部品要素と、該型部品の表面に接するキャビティ領域に位置する場合にはキャビティ要素と定義する要素定義ステップと、をもつ前処理工程と;▲1▼該キャビティ要素について、溶湯の充填解析を経時的に行う充填解析ステップと、▲2▼該型部品要素間、及び該型部品要素と該キャビティ要素との間の伝熱を経時的に解析し、各該型部品要素の温度を算出する伝熱解析ステップと、▲3▼該伝熱解析ステップで解析された該型部品要素の温度に基づき、該型部品要素から発生する単位時間当たりのガスの発生量を算出するガス発生量解析ステップと、▲4▼該型部品要素間で、発生したガスの流れ解析を経時的に行うガス流れ解析ステップと、をもつ解析工程と;を有することを特徴とする(請求項1)。
【0011】
つまり、型部品を微小要素に分割し、各微小要素毎に温度を解析して、その温度に基づいて発生するガスの量を算出する。算出したガスは、型部品要素内で流れ解析を行うことで、必要な部位のガス圧力を求めることができる。
【0012】
ここで、型部品から発生したガスにより発生する欠陥は、溶湯に接する部位でのガス圧のピーク値によって影響される。本発明者らは、発生するガス圧を精密に考慮せずに、単純な関数で近似しても、ガス圧のピーク値には大きな影響を与えないことを見出し、前記解析工程として、前記ガス発生量解析ステップに代えて;各前記型部品要素が所定温度を超えた後、単位時間当たり所定量の前記ガスが所定時間、発生すると近似するガス発生量近似ステップをもつ発明を完成した(請求項2)。
【0013】
つまり、すべての型部品要素について温度に応じてガス発生量を算出していると、計算量が膨大となり、解析時間が長くなるので、型部品要素から発生するガス量は所定温度に達した以後は、所定量で所定時間だけ発生すると仮定することができる。
【0014】
更に、本発明者らは、すべての型部品要素からガスが発生するとして解析を行わなくても、より少ない点をもってガス発生場所を代表させても解析精度に大きな影響を与えないことを見出した。すなわち、前記要素定義ステップは、前記型部品を複数の解析領域に分割し、各該解析領域毎に前記型部品要素を対応づけるステップであり;前記ガス流れ解析ステップは、該解析領域内の該型部品要素から発生するガスの発生部位を各該解析領域内にある代表点で近似するステップとすることができる(請求項3)。
【0015】
複数の型部品要素を合わせて解析領域として、その解析領域内で発生するガスが流れ出す点として解析領域内の代表点を設定することで、複数の型部品要素のそれぞれについての計算量が少なくでき、計算時間が短縮できる。
【0016】
そして、前記伝熱解析ステップは、前記所定温度を超えた前記型部品要素の割合を前記解析領域毎に経時的に算出し;前記解析工程は、該伝熱解析ステップにおける解析で該所定温度を超えた該型部品要素の割合を該解析領域毎に算出する割合算出ステップをもち;前記ガス発生量近似ステップに代えて、該伝熱解析ステップで算出した該割合が所定値を超えてから、該割合算出ステップで算出した該割合に応じて該解析領域毎に決定する量のガスが前記所定時間発生すると近似する第2ガス発生量近似ステップをもつことができる(請求項5)。
【0017】
伝熱解析ステップにおいて算出した型要素の温度が所定温度を超える割合に応じて、型部品要素から発生するガスの量を決定することで、より正確な解析ができる。
【0018】
また、解析時間を更に短縮する目的で、前記ガス発生量近似ステップは、前記伝熱解析ステップで算出した前記割合の値に係わらず前記解析領域毎に決定する前記量のガスが継続して発生すると近似するステップとすることができる(請求項6)。
【0019】
更に、上記課題を解決する本発明の鋳造シミュレーション方法は、▲1▼鋳造に用いる型部品の形状を座標系上に位置づけ、該座標系の空間を複数の微小要素に分割する要素作成ステップと、▲2▼該微小要素のそれぞれについて、該型部品の領域に位置する場合には型部品要素と定義する要素定義ステップと、をもつ前処理工程と;▲1▼単位時間当たり所定量のガスが該型部品要素から発生すると近似するガス発生量近似ステップと、▲2▼該型部品要素間で、発生したガスの流れ解析を経時的に行うガス流れ解析ステップと、をもつ解析工程と;を有することを特徴とする(請求項7)。
【0020】
つまり、型部品要素から発生するガスの量が型部品要素の温度に係わらずに一定であると仮定しても大きな解析精度の低下は認められないことからガス発生量を常に一定であると近似することで、解析時間を短縮できた。
【0021】
そして、前記要素定義ステップは、前記型部品を複数の解析領域に分割し、各解析領域毎に前記型部品要素を対応づけるステップであり;前記ガス流れ解析ステップは、該解析領域内の該型部品要素から発生するガスの発生部位を各該解析領域内にある代表点で近似するステップとすることができる(請求項8)。
【0022】
複数の型部品要素を合わせて解析領域として、その解析領域内で発生するガスが流れ出す点として解析領域内の代表点を設定することで計算時間が短縮できる。
【0023】
ここで、代表点としては、解析領域の境界近くに決定されないようにすることが好ましい。代表点が境界近くに設定されると、発生するガスが型部品要素からキャビティ要素へ直接流れ出して正確なガス圧の解析が困難となる。そこで、代表点の設定方法としては、前記解析領域を区画する表面からの最短距離が最も大きい前記型部品要素から任意に選択することができる(請求項4、9)。
【0024】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、中子等の型部品を有する型を用いて行う鋳造に適用される。型部品は、有機物や無機物の粘結剤により砂等の微粒子を粘結して作成される砂型等からなる。ここで、砂及び粘結剤の種類については特に限定しない。
【0025】
〔鋳造シミュレーション方法〕
[第1実施形態]
本実施形態の鋳造シミュレーション方法は、前処理工程と解析工程とその他必要に応じた工程とを有する。前処理工程は▲1▼要素作成ステップと▲2▼要素定義ステップとをもつ。解析工程は▲1▼充填解析ステップと▲2▼伝熱解析ステップと▲3▼ガス発生量解析ステップと▲4▼ガス流れ解析ステップとをもつ。
【0026】
(前処理工程)
▲1▼:要素作成ステップ
要素作成ステップは、本鋳造シミュレーション方法の対象である型部品の形状を表すモデルデータを座標系上に位置づけ、その座標系上の空間を多面体からなる複数の微小要素に分割するステップである。すなわち、座標系上の空間を解析用の微小要素に細分化するステップである。
【0027】
座標系としては、任意のものを選択することが可能である。この座標系上の空間には必要に応じた大きさ・形状で微小要素が形成される。微小要素に分割する方法としては有限差分法で採用されるような直交6面体の微小要素で分割する方法、有限要素法のように要素の形状を型部品のモデルデータの形状に応じた多面体として比較的自由に変更できる方法等がある。有限差分法は微小要素への分割が容易であり、且つ解析が数学的に簡潔であるという利点がある。
【0028】
なお、座標系空間のすべてに微小要素を規定する必要はなく、必要な部分(型部品及びその周辺のキャビティ領域のように後述する解析工程で必要な部分)を最小限含むような範囲で規定すれば充分である。但し、より正確に解析するために、本鋳造シミュレーション方法で解析する型部品のほか、他の型等の領域のすべてを含む範囲で微小要素を作成することが好ましい。
【0029】
そして作成する微小要素の大きさはできるだけ小さい方が解析の精度が向上できるが、より多くの解析時間が必要となる。また、型部品の構造を充分に再現できるような微小要素の大きさを採用することが好ましい。従って、微小要素の大きさは要求される精度やシミュレーションの原理的な制約、解析時間等から適正に決定できる。なお、微小要素の大きさはすべての部分について同じ大きさとする必要はなく、解析部位によって大きさを変更することができる。例えば、型部品の肉薄な部分では、局所的に微小要素の大きさを小さく設定し、解析精度を向上することが好ましい。
【0030】
ところで、型部品を含む型のモデルデータは、その形状がCADデータ型式等の数値データに変換されている必要がある。型部品を含む型の形状を数値データに変換する方法としては、特に限定されない。例えば、最初から型の形状をCADにより設計したり、試作品の形状を3次元スキャナ等の何らかの方法で数値化しても良い。ここでCADにより型の数値データを作成した場合には、CAD等により作成された型のデータを読み込み、型の外形データを抽出する必要がある。その方法については公知の方法が使用できる。また、本方法においてCADデータをそのまま使用できるようにしても良い。
【0031】
▲2▼:要素定義ステップ
要素定義ステップは、前述の要素作成ステップにおいて規定された微小要素のそれぞれについて、型部品の領域に位置する場合には型部品要素と定義し、その型部品の表面に接するキャビティ領域に位置する場合にはキャビティ要素と定義するステップである。すなわち、後述の解析工程用に各微小要素の属性を定義し、座標系上に型部品の形状を微小要素により構築するステップである。型部品要素に接しないキャビティ領域に位置する微小要素についてもキャビティ要素と定義することが好ましい。
【0032】
なお、本ステップは、前述の要素作成ステップにおいて微小要素が規定された後に行われるステップであるが、すべての微小要素が規定された後に行う必要は必ずしもなく1以上の微小要素が規定される毎に本ステップを行い、その後に要素作成ステップを再度行うことを繰り返すこともできる。
【0033】
ここで、型の「型部品領域」とは型部品自身を形成する領域であって、溶湯が流れない部分であり、型の「キャビティ領域」とは溶湯が流れ最終的に成型品が形成される部分である領域をそれぞれ意味する。
【0034】
具体的に各微小要素を型部品要素とキャビティ要素とに定義する方法としては特に限定されず、公知の方法が採用可能である。以下に図を参照しながら一例を説明する。図1には、型の形状及び微小要素の一部を拡大して示す。また、図は記載及び説明の便宜上2次元上にて型及び微小要素を示し、以下の説明も2次元の図に基づいて行うが、その本質は3次元のものと異なるところはない。
【0035】
図1に示すように、座標として直交座標を採用し、その座標系上に正方形の微小要素20(形状は特に正方形に限定されるものではない。また、3次元上に適用する場合には直方体・立方体その他任意形状の多面体が要素の形として例示できる。以下同じ。)が規則的に規定されている。また、座標上には、型部品の形状を表すモデルデータの境界線Dが位置づけられている。
【0036】
図1において、各微小要素20それぞれの重心21の位置が、型部品の型領域(斜線部分)に存在する場合にはその微小要素20を型部品要素(以下「M要素」という。)と定義し、キャビティ領域に存在する場合にはその微小要素をキャビティ要素(以下「C要素」という。)と定義する。各微小要素20をM要素及びC要素に定義した状態を図2に示す。図2では型部品領域に存在する重心21を白丸で、キャビティ領域に存在する重心21を黒丸で表す。なお、型部品領域及びキャビティ領域のいずれにも該当しない微小要素20の扱いは特に限定しないが、計算上の負荷とならないように規定することが好ましい。そして、必要に応じて、型部品から発生するガスを排出するベント・巾木等のガス排出点を設定したり、ガスを吸引するガス吸引点を設定することができる。
【0037】
(解析工程)
解析工程は▲1▼充填解析ステップと▲2▼伝熱解析ステップと▲3▼ガス発生量解析ステップと▲4▼ガス流れ解析ステップとをもつ。これらの工程はそれぞれの適正な時間間隔で、それぞれ目的の解析を行う。
【0038】
ガス流れ解析ステップはガス発生量解析ステップの結果に基づき解析を行い、ガス発生量解析ステップは伝熱解析ステップの結果に基づいて解析を行い、伝熱解析ステップは充填解析ステップの結果に基づいて解析を行う。従って、これらのステップは時間間隔毎にそれぞれの解析を順次行っても良いし、充填解析ステップ、伝熱解析ステップ、ガス発生量解析ステップそしてガス流れ解析ステップの順番に解析を行っても良い。また、これらのステップを行う時間間隔はすべて同じ間隔を採用することもできるし、異なる間隔を採用することもできる。
【0039】
▲1▼:充填解析ステップ
充填解析ステップは、C要素のそれぞれについて、溶湯の充填解析を経時的に行うステップである。すなわち、型内における注入された溶湯の物理的挙動を解析するステップであり、微小要素毎に微小時間毎の溶湯の物理的挙動を解析する。溶湯が充填された微小要素は溶湯充填要素として扱う。
【0040】
基本的な溶湯の充填解析の方法については、特に限定されるものではない。例えば、VOF(Volume of Fluid)、SOLA、FAN等の公知技術・慣用技術及びそれらの改良された方法等を適用することができる。
【0041】
▲2▼:伝熱解析ステップ
M要素間、及びM要素とC要素との間の伝熱を経時的に解析し、各M要素の温度を算出する伝熱解析ステップと、
伝熱解析ステップは溶湯が充填されたM要素間、及びそのM要素とC要素との間の伝熱を経時的に解析し、各M要素の温度を算出するステップである。伝熱解析ステップでは計算が発散せず且つ許容時間内で計算が終了するように設定された時間間隔で各要素間の伝熱を各モデルに設定された伝熱係数に基づいて計算する。伝熱解析ステップで行う解析方法は特に限定されるものではない。例えば、熱移流、潜熱を考慮した非定常熱伝導解析に差分法とADI法とを併用する等の計算方法を用いてそれぞれの要素について熱の伝導を計算することができる。
【0042】
▲3▼:ガス発生量解析ステップ
ガス発生量解析ステップは、前述の伝熱解析ステップで解析されたM要素の温度に基づき、M要素から発生する単位時間当たりのガスの発生量を算出するステップである。型部品からのガスの発生は、主に自身の熱分解に起因する。例えば、砂型の構成要素である粘結剤の熱分解ガスである。また、型部品に水分が含有されていれば、その蒸発によってもガスが発生する。
【0043】
M要素の温度とそのM要素から発生するガス量との関係は、理論的及び/又は実験的に決定できる。特に実験的にガス発生量を測定して、温度と発生するガス量との関係を予め求めることが好ましい。
【0044】
▲4▼:ガス流れ解析ステップ
ガス流れ解析ステップは、M要素間で、発生したガスの流れ解析を経時的に行うステップである。M要素は、砂等の微細粒子を粘結剤で一体化したものであり、内部には隙間を有する。M要素で発生したガスは内部の隙間の空隙率等に応じて型部品内を流れていく。発生したガスは、発生源である各M要素の位置から発生するものと近似できる。ガス流れ解析ステップにより、型部品内の任意の部位でのガス圧力を導出できる。
【0045】
ここで、ガスはM要素からC要素には流れないものと近似して解析することが解析時間短縮の観点から好ましい。溶湯が存在するキャビティ領域内に、型部品から発生するガスが流入するには、型部品内でのガスの圧力が溶湯の圧力を超えることが条件となる。本鋳造シミュレーション方法では溶湯にガスが侵入することによる欠陥の発生を防止することを目的とするので、型部品からキャビティ領域内にガスが流れないとして解析を行っても結果に大きな影響は与えない。
【0046】
また、適宜、型部品から発生するガスを排出するベント・巾木等のガス排出点を設定したり、ガスを吸引するガス吸引点を設定することができる。どちらも型部品から発生するガスを型部品外部に導く点であるが、ガス排出点はM要素の圧力により受動的にガスを外部に導出するのに対して、ガス吸引点からは任意の量のガスが吸引されるものとする。
【0047】
M要素内における基本的なガスの流れ解析は、多孔体内を流れるガスの圧力損失量を実験的に調査し定式化したエルガン式(S.Ergun, "Fluid Flow through Paced Columns", Chemical Engineering Progress, 1952, 48, pp.89-94)を基にした、速度ベクトル方向に3次元解析用に拡張した非定常式を用いて解析される。本発明における3次元非定常解析における解析式及び解析方法を示す。
【0048】
解析の基礎方程式は、
(質量保存則)
【0049】
【数1】
【0050】
(運動量保存則)
【0051】
【数2】
【0052】
である。ここで、p,v,ε,ρgは、それぞれ、ガス圧力(Pa)、ガス速度(m/s)、多孔体の体積空隙率(−)、ガス密度(kg/cm3)である。(2)式の右辺第2項はガス流れと多孔体を構成する砂粒子等との間における圧力損失であり、
【0053】
【数3】
【0054】
で表現できる。ここで、βはエルガン式
【0055】
【数4】
【0056】
より算出される係数である。Reはレイノルズ数、dpは砂粒子直径(−)、μはガスの粘性係数(m2/s)である。(4)式におけるf1、f2はエルガン係数と呼ばれ、それぞれ150、1.75である。砂粒子直径dpは事実上測定不可能な値であり、平均粒子径daと粒子の形状係数φとを用いて、
dp=φda … (6)
と書き直される。更に詳細は後述するが、迅速且つ厳密な中子内のガス流れの把握を可能にするために、チューニングパラメータCを導入して、(4)式を下記に書き改める。
【0057】
【数5】
【0058】
(1)〜(3)、(5)、(7)式を基礎式として、例えば、SIMPLE(Semi-Implicit Method for Pressure-Linked Equations)法などにより厳密に圧力値、速度値を求めることでM要素内のガスの流れを知ることができる。
【0059】
以下に本解析の特徴を述べる。多孔体を流れる既存の流れ解析では、層流解析としてダルシー式を用いたものがあるが、(4)式のエルガン式は層流域を含め乱流域も考慮した適用範囲の広い解析式である。又、従来の解析では1次元又は2次元解析が行われている(久保公雄、福迫達一、大中逸雄:「減圧法による鋳型の通気測定について」、鋳物、第52巻、第7号、pp.411-417)。しかしながら、中子のような複雑形状な充填多孔体は3次元解析が不可欠であり、本発明において速度ベクトル方向に3次元化した式を提供している。更に、(4)〜(6)式のみを用いた定常流れの解析もあるが、本発明では(1)〜(3)の質量保存則、運動量保存則を解く非定常流れ解析アルゴリズムにより欠陥予測のための厳密な解析が可能となっている。
【0060】
(7)式で導入したチューニングパラメータCについて述べる。中子(M要素)内を流れるガスは(4)式のエルガン式が定常化されたときとは条件が異なるために、適正な解析値を得るためにはエルガン係数f1、f2を適用事例毎に微調整することが好ましい。一部の従来解析でこの操作を行ったものがある。しかし2つの係数を合理的に決定することは容易ではない。本発明ではこの部分に着目してチューニングパラメータCを導入することで、エルガン係数f1、f2はそのままの値を用い、1つのチューニングパラメータCのみの調整で適正化できるようにした。これにより迅速且つ簡便に適正な圧力損失量fpiを算出できる。
【0061】
(その他の工程)
本鋳造シミュレーション方法はその他に、種々の工程を含ませることができる。例えば、溶湯の凝固解析、その他の欠陥予測解析(空気の巻き込み予測、湯回り及び湯境予測等)、DCスリーブ内流動解析、残留応力解析等を行う工程を含ませることができる。
【0062】
これらの解析を併せて行うことにより、ひけ巣の解析のみならず、全体として、空気の巻き込み、めざし、型温分布、湯境、湯しわ、ブリスター、残留歪、割れ、耐久強度(静的、疲労、衝撃)、特性予測等を精度及び効率よく行うことができる。
【0063】
特に、本方法は、ガス流れ解析ステップで算出された各M要素でのガス圧力の大きさを可視化する工程、外部に出力する工程をもつことが好ましい。
【0064】
[第1実施形態の第1変形態様]
本変形態様における鋳造シミュレーション方法は、第1実施形態に示した鋳造シミュレーション方法とほぼ同様の工程からなるが、前述の解析工程において、ガス発生量解析ステップに代えて、ガス発生量近似ステップをもつ。ガス発生量近似ステップは各M要素が所定温度を超えた後に、単位時間当たり所定量のガスが所定時間、発生すると近似するステップである。
【0065】
具体的に、図3に基づき説明する。図3は、ある一つのM要素の温度変化(一点鎖線)と、そのM要素から発生するガス量(実線、ハッチングあり)との関係を示す。キャビティ領域内に導入した溶湯(充填ステップで解析を行う)からの伝熱によって、このM要素の温度が上昇する。
【0066】
M要素の温度が所定温度(a)を超えたときから、所定時間(t)、所定量(b)のガスがそのM要素から発生するものと近似する。この所定量及び所定時間は、その後のM要素の温度変化によらずに一定とする。ここで、所定温度、所定量及び所定時間は理論的及び/又は実験的に決定できる。
【0067】
例えば所定温度としては、型部品の構成要素の熱分解点や、実験によりガスがある量以上発生することが明らかとなった温度である。ガスが発生する所定量としてはM要素から実験的に発生するガス発生量のピーク値を用いることができる。ガス発生の解析において特に問題となるのはピーク値だからである。ここで、所定量はM要素の体積に比例して変化する値とすることが好ましい。最終的には図3におけるハッチングで示した部分の面積に相当する量(b×t)のガスが発生するものと近似する。
【0068】
以上説明したように、それぞれのM要素から発生するガスは、ある時点から所定量、所定時間発生し続けると近似することで解析に要する計算量を低減でき、全体の解析時間を短縮することができる。
【0069】
[第1実施形態の第2変形態様]
本変形態様における鋳造シミュレーション方法は、第1実施形態に示した鋳造シミュレーション方法とほぼ同様の工程からなるが、前述の要素定義ステップが、前述の型部品を複数の解析領域に分割し、各解析領域毎にそれぞれのM要素を対応づけるステップを更にもつこと、及び前述のガス流れ解析ステップが、その解析領域内に含まれるM要素から発生するガスが発生する部位を、各解析領域内にある代表点で近似するステップをもつ
型部品を複数の解析領域に分割して、ガスが発生する部位をその解析領域内の代表点とすることで、計算量を低減でき、解析時間を短縮できる。型部品を複数の解析領域に分割する方法としては、特に限定しない。例えば、型部品を分割後の解析領域の対称性を考慮して分割することも、全くランダムに分割することもできる。分割する解析領域の数としても特に限定しないが、型部品に設けられたガス排出点及びガス吸引点の総数よりも多く分割することでより精密な解析ができる。また、解析する型部品を構成するM要素の数に応じても最適値が異なる。例えば、M要素の数に対して、解析領域の数は0.003%〜0.06%程度の数に分割することが好ましい。
【0070】
各解析領域に設定される代表点の位置は、M要素上であれば特に限定しない。例えば各解析領域の形状を考慮して、その解析領域における重心の位置やランダムな部位等に設定することができる。図4に解析領域A1〜A5設定及び代表点q1〜q5設定の一例を挙げる。特に好ましい部位を挙げると、各解析領域を区画する表面(各解析領域の境界)から離れた部位である。例えば、解析領域を区画する表面からの最短距離が最も大きいM要素のうちから、任意に選択されるM要素の位置に代表点を設定できる。
【0071】
[第1実施形態の第3変形態様]
本変形態様における鋳造シミュレーション方法は、第1実施形態を基にして、第1変形態様及び第2変形態様で示した変更点を双方共、適用したものである。すなわち、▲1▼要素定義ステップが、前述の型部品を複数の解析領域に分割し、各解析領域毎にそれぞれのM要素を対応づけるステップを更にもつこと、▲2▼解析工程のガス発生量解析ステップに代えて、ガス発生量近似ステップをもつこと及び▲3▼ガス流れ解析ステップが、その解析領域内に含まれるM要素から発生するガスが発生する部位を、各解析領域内にある代表点で近似するステップをもつことが第1実施形態と異なる。ここで、代表点から発生するガスの量は、その解析領域内に含まれるM要素から発生するガスのその時点での総量である。
【0072】
つまり、ガスの発生量とガスの発生部位とを近似することで計算量を大きく低減することができ、極めて短時間に解析ができる。
【0073】
[第1実施形態の第4変形態様の1]
本変形態様における鋳造シミュレーション方法は、第3変形態様に示した鋳造シミュレーション方法とほぼ同様の工程からなるが、▲1▼伝熱解析ステップに、所定温度を超えたM要素の割合を解析領域毎に経時的に算出するステップをもつこと、▲2▼解析工程が、割合算出ステップをもつこと、▲3▼ガス発生量近似ステップに代えて、第2ガス発生量近似ステップをもつこと、が異なる。
【0074】
割合算出ステップは、伝熱解析ステップにおける解析で所定温度を超えたM要素の割合を解析領域毎に算出するステップである。つまり、伝熱解析を行う時間内において所定温度を一度でも超えたM要素の解析領域内での割合を各解析領域毎に算出するステップである。この割合は体積を基準とする。
【0075】
第2ガス発生量近似ステップは、割合算出ステップで各解析領域毎に算出された、所定温度を超えるM要素の割合の値に応じた量のガスがその解析領域内の代表点から発生すると近似するステップである。ここで、代表点から発生するガスの量は、解析領域内の所定温度を超えたM要素の体積を基準として決定された、前述の第2変形態様で説明した所定量である。この所定量のガスが発生する時点としては、伝熱解析ステップで経時的に算出する解析領域内のM要素のうち所定温度を超えた割合が所定値を超えた時点とする。例えば、解析領域内の一部のM要素であっても所定温度を超える割合(0%を僅かにでも超えると)を採用できる。
【0076】
ガスの発生量を個々のM要素に関係なく近似することで、解析時間を大幅に短縮できる。
【0077】
[第1実施形態の第4変形態様の2]
本方法は、前述の第4変形態様の1における第2ガス発生量近似ステップが解析時間内における解析領域内のM要素の温度履歴に関係なく、解析領域の体積に比例する一定量のガスが発生するものと近似する方法である。一定量のガス発生量としては特に限定しない。ガス発生量をM要素の温度に関係なく近似することで、解析時間を短縮できる。
【0078】
[第1実施形態の第4変形態様の3]
本方法は、前述の第4変形態様の1における第2ガス発生量近似ステップが解析時間内における解析領域内のM要素の温度履歴に関係なく、解析時間内の最初から最後まで一定量のガスが発生するものと近似する方法である。ガスの発生をM要素の温度に関係なく近似することで、解析時間を短縮できる。
【0079】
[第2実施形態]
本実施形態の鋳造シミュレーション方法は、前処理工程と解析工程とその他必要に応じた工程とを有する。前処理工程は▲1▼要素作成ステップと▲2▼要素定義ステップとをもつ。解析工程は▲1▼ガス発生量近似ステップと▲2▼ガス流れ解析ステップとをもつ。
【0080】
(前処理工程)
前処理工程は溶融した材料の成型に用いる型の形状を微小要素に分割し、解析モデルを作成する工程である。解析モデルとしては微小要素に分割していること以外にはどのようなものでも良い。好ましい例としては、第1実施形態の鋳造シミュレーション方法で説明した前処理工程がそのまま適用できる。但し、第1実施形態では、キャビティ領域をC要素と定義することが必須であったが、本実施形態では必須としない。
【0081】
(解析工程)
▲1▼ガス発生量近似ステップ
ガス発生量近似ステップは、前述の第1実施形態の第4変形態様の3における第2ガス発生量近似ステップと同様のステップであるので更なる説明は省略する。
【0082】
▲2▼ガス流れ解析ステップ
ガス流れ解析ステップは、第1実施形態のガス流れ解析ステップと同様のステップであるので更なる説明は省略する。
【0083】
ガスはM要素の温度に係わらず所定量が発生すると近似するので、計算量が低減でき極めて多大な解析時間の短縮が達成できる。
【0084】
(その他の工程)
本鋳造シミュレーション方法はその他に、種々の工程を含ませることができる。例えば、充填解析、伝熱解析や第1実施形態で説明した種々の工程を含ませることができる。
【0085】
[第2実施形態の変形態様]
本変形態様における鋳造シミュレーション方法は、第2実施形態に示した鋳造シミュレーション方法とほぼ同様の工程からなるが、前述の要素定義ステップが、前述の型部品を複数の解析領域に分割し、各解析領域毎にそれぞれのM要素を対応づけるステップを更にもつこと、及び前述のガス流れ解析ステップが、その解析領域内に含まれるM要素から発生するガスが発生する部位を、各解析領域内にある代表点で近似するステップをもつ。詳細は前述の第1実施形態の第2変形態様で説明したものと同様であるので更なる説明は省略する。
【0086】
〔鋳造シミュレーション装置〕
以下に本発明の鋳造シミュレーション装置について実施形態に基づいて詳細に説明する。本実施形態の鋳造シミュレーション装置は、前処理手段と解析手段とを有する。前処理手段及び解析手段共に前述の第1実施形態又は第2実施形態で説明した鋳造シミュレーション方法で述べた各工程を実現する手段である。また、本実施形態の鋳造シミュレーション装置は、必要に応じて、その他の手段を含むことができる。本実施形態の各手段はすべてコンピュータ上のロジックとして実現可能であり、また、コンピュータ上のロジックとして実現することが好ましい。
【0087】
〔鋳造シミュレーションプログラム〕
本鋳造シミュレーションプログラムは、使用されるコンピュータ上において前述した鋳造シミュレーション装置が有する各手段を実現可能としたロジックであり、そのコンピュータ上で実行可能な形式で作成されている。また、本プログラムはCD−ROM等の記録媒体上に記録されていても良い。本鋳造シミュレーションプログラムの各構成要素については前述の鋳造シミュレーション方法及び装置の各構成要素の説明と概ね同一であるので、先の説明をもって本構成要素の説明に代える。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の鋳造シミュレーション方法によれば、中子等の型部品から発生するガスにより鋳物に欠陥が発生するかどうか、また、欠陥が発生するおそれがある場合にどのように対応すればよいか(ガス抜きのためのベント等の位置及び吸引の位置、型部品の形状等)が実際に実物を製造して検討しなくても予測することができる。その結果、実物を作成する費用や試験時間等が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微小要素を定義する方法の一例を示した図である。
【図2】微小要素を定義する方法の一例を示した図である。
【図3】第1実施形態の第1変形態様において採用するM要素の温度とガス発生量との関係を示した図である。
【図4】実施形態における解析領域の分割方法の一例を示した断面模式図である。
【符号の説明】
20…微小要素
21…重心
D…型モデルデータ
C…キャビティ要素(C要素)
M…型要素(M要素)
N…中子
A1〜A5…解析領域
q1〜q5…代表点
Claims (9)
- 鋳造に用いる型部品の形状を座標系上に位置づけ、該座標系の空間を複数の微小要素に分割する要素作成ステップと、
該微小要素のそれぞれについて、該型部品の領域に位置する場合には型部品要素と、該型部品の表面に接するキャビティ領域に位置する場合にはキャビティ要素と定義する要素定義ステップと、
をもつ前処理工程と、
該キャビティ要素について、溶湯の充填解析を経時的に行う充填解析ステップと、
該型部品要素間、及び該型部品要素と該キャビティ要素との間の伝熱を経時的に解析し、各該型部品要素の温度を算出する伝熱解析ステップと、
該伝熱解析ステップで解析された該型部品要素の温度に基づき、該型部品要素から発生する単位時間当たりのガスの発生量を算出するガス発生量解析ステップと、
該型部品要素間で、発生したガスの流れ解析を経時的に行うガス流れ解析ステップと、
をもつ解析工程と、を有することを特徴とする鋳造シミュレーション方法。 - 前記解析工程は、
前記ガス発生量解析ステップに代えて、
各前記型部品要素が所定温度を超えた後、単位時間当たり所定量の前記ガスが所定時間、発生すると近似するガス発生量近似ステップをもつ請求項1に記載の鋳造シミュレーション方法。 - 前記要素定義ステップは、前記型部品を複数の解析領域に分割し、各該解析領域毎に前記型部品要素を対応づけるステップであり、
前記ガス流れ解析ステップは、該解析領域内の該型部品要素から発生するガスの発生部位を各該解析領域内にある代表点で近似するステップである請求項1又は2に記載の鋳造シミュレーション方法。 - 前記代表点は、前記解析領域を区画する表面からの最短距離が最も大きい前記型部品要素から任意に選択される請求項3に記載の鋳造シミュレーション方法。
- 前記伝熱解析ステップは、前記所定温度を超えた前記型部品要素の割合を前記解析領域毎に経時的に算出し、
前記解析工程は、
該伝熱解析ステップにおける解析で該所定温度を超えた該型部品要素の割合を該解析領域毎に算出する割合算出ステップをもち、
前記ガス発生量近似ステップに代えて、該伝熱解析ステップで算出した該割合が所定値を超えてから、該割合算出ステップで算出した該割合に応じて該解析領域毎に決定する量のガスが前記所定時間発生すると近似する第2ガス発生量近似ステップをもつ請求項3又は4に記載の鋳造シミュレーション方法。 - 前記ガス発生量近似ステップは、前記伝熱解析ステップで算出した前記割合の値に係わらず前記解析領域毎に決定する前記量のガスが継続して発生すると近似するステップである請求項5に記載の鋳造シミュレーション方法。
- 鋳造に用いる型部品の形状を座標系上に位置づけ、該座標系の空間を複数の微小要素に分割する要素作成ステップと、
該微小要素のそれぞれについて、該型部品の領域に位置する場合には型部品要素と定義する要素定義ステップと、
をもつ前処理工程と、
単位時間当たり所定量のガスが該型部品要素から発生すると近似するガス発生量近似ステップと、
該型部品要素間で、発生したガスの流れ解析を経時的に行うガス流れ解析ステップと、
をもつ解析工程と、を有することを特徴とする鋳造シミュレーション方法。 - 前記要素定義ステップは、前記型部品を複数の解析領域に分割し、各解析領域毎に前記型部品要素を対応づけるステップであり、
前記ガス流れ解析ステップは、該解析領域内の該型部品要素から発生するガスの発生部位を各該解析領域内にある代表点で近似するステップである請求項7に記載の鋳造シミュレーション方法。 - 前記代表点は、前記解析領域を区画する表面からの最短距離が最も大きい前記型部品要素から任意に選択される請求項8に記載の鋳造シミュレーション方法。
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