JP3403322B2 - 弾塑性凝固応力解析を利用したアルミニウムdc鋳造鋳型の設計方法及びその鋳型 - Google Patents

弾塑性凝固応力解析を利用したアルミニウムdc鋳造鋳型の設計方法及びその鋳型

Info

Publication number
JP3403322B2
JP3403322B2 JP22551697A JP22551697A JP3403322B2 JP 3403322 B2 JP3403322 B2 JP 3403322B2 JP 22551697 A JP22551697 A JP 22551697A JP 22551697 A JP22551697 A JP 22551697A JP 3403322 B2 JP3403322 B2 JP 3403322B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shape
mold
ingot
aluminum
cooling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22551697A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1157947A (ja
Inventor
宣仁 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Original Assignee
THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD. filed Critical THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Priority to JP22551697A priority Critical patent/JP3403322B2/ja
Publication of JPH1157947A publication Critical patent/JPH1157947A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3403322B2 publication Critical patent/JP3403322B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P90/00Enabling technologies with a potential contribution to greenhouse gas [GHG] emissions mitigation
    • Y02P90/30Computing systems specially adapted for manufacturing

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)
  • Complex Calculations (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウムDC
鋳造鋳型の設計方法に関し、特に、アルミニウムDC鋳
造鋳型の設計において、弾塑性凝固応力解析を利用し
て、ある鋳型から完成される鋳塊形状を予測することに
より、最適な鋳塊形状を得るための鋳型を設計するため
の方法及びその鋳型に関する。ここでアルミニウムと
は、純アルミニウム金属の他、各種のアルミニウム合金
をいう。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムDC鋳造においては、溶融
アルミニウムを鋳型に注入し、凝固させて、目的とする
断面形状を得るための初期形状を与え、鋳型通過後は更
に冷却しつつ垂直に降下させてアルミニウムを凝固さ
せ、鋳塊を得る。
【0003】図4は、アルミニウムDC鋳造の概略断面
図であり、ローンダー100から溶融アルミニウム10
2を冷却水106を内部に有する鋳型104の中に注入
する。鋳造の当初はボトム・ブロック112は鋳型10
4に接しており、アルミニウムを注入するのに応じて次
第に降下させる。
【0004】注入された溶融アルミニウム102はまず
鋳型104によって冷却され、それから鋳型内の冷却水
106が鋳型下方の孔からスプレー状108に流出して
鋳型から下方に突出したアルミニウム鋳塊110の側面
を急冷却する。
【0005】ここで、鋳型104による冷却と、スプレ
ーからの冷却水108による急冷却との間に、アルミニ
ウムの収縮によってエア・ギャップ114が発生してし
まうが、エア・ギャップでは上の2つに比べ冷却効果が
はるかに小さい。
【0006】さらに、ボトム・ブロック112及びアル
ミニウム110を水によるプール116内に沈降させて
さらに緩冷却を進めてもよい。緩冷却により、鋳塊の割
れなどが少なくなる。このような鋳造方法がとられるた
め、目的とするアルミニウムの鋳塊形状は、アルミニウ
ム降下方向に垂直な断面の形状で表現される。
【0007】さて、このようなアルミニウムDC鋳造鋳
型の設計手法としては、従来は以下のような手法がとら
れていた。 (1)まず、目的の鋳塊と形状や大きさが近い鋳塊が得
られる既知の鋳型形状を参考にし、(2)両鋳塊の形状
や大きさの差から、鋳型形状をどのようにどれだけ変更
すればよいかを経験によって推測した後、(3)その鋳
型の形状から目的とする鋳塊形状が得られるか否かを調
べるために、試験鋳型を作成して試験鋳造を行い、
(4)この工程を何度か繰り返して、経験により鋳型の
寸法調整を行う。
【0008】また、最近では、たとえば特開平第3−2
85737号公報に記載されているように、アルミニウ
ムの凝固温度モデルを用いて、鋳塊内の引け巣欠陥や偏
析層の予測をし、欠陥や偏析が少ない鋳型を設計する手
法も提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
手法においては、試験鋳型の作成及び試験鋳造をするた
めの費用や労力がかかること、得られた鋳塊形状と目的
の鋳塊形状との差から鋳型の形状を修正する際に、修正
量が経験的に行なわれ、必ずしも最適な形状を得ること
ができず、得られたとしても多大な時間がかかることと
いう問題が生ずる。
【0010】一方、後者の方法においては、凝固温度モ
デルでは、組織的な欠陥の有無、位置などの情報しか予
測できないため、欠陥のない鋳塊を得るための鋳型設計
には利用できるものの、目的の鋳塊形状を得るための鋳
型形状設計には応用ができない。したがって、凝固温度
モデルを利用するのみでは、最適な鋳型形状を得ること
はできない。
【0011】特に、現実の鋳造による鋳塊においては、
アルミニウム降下方向に垂直な断面の幅方向の両端から
幅の約4分の1の場所にある2箇所について凹みが生ず
る、いわゆるガター形状(凹み)が発生していたが、従
来の手法では、このような形状になることが予測できな
かった。
【0012】これは、アルミニウムは冷却凝固の際に収
縮するため、熱伝播及び凝固によるひずみ及び応力を考
慮しなければならないからである。従来の手法では、特
に凝固によるひずみ及び応力を考慮していないため、最
終的な鋳塊形状の予測が十分にはできないのである。
【0013】本発明は、以上のような問題を解決するた
めになされたもので、目的とするアルミニウム鋳塊形状
を得るためのアルミニウムDC鋳造の鋳型形状を設計す
る方法及びその鋳型を提供することを目的とする。通
常、目的とする鋳塊の断面形状はできる限り正確な長方
形若しくは正方形であるが、本発明が提供するところは
これらの形状に限定されるものではない。したがって例
えば、凸型断面形状を目的鋳塊形状とする鋳型形状を設
計する際にも、本発明が応用できる。
【0014】特に、初期形状として鋳型形状を与え、こ
れを冷却凝固させたときの最終的な鋳塊断面形状の予測
ができれば、これをもって試験鋳型の作成や試験鋳造に
変えることができるので、この予測方法を提供すること
も目的とする。
【0015】また特に、冷却凝固後の最終的な鋳塊断面
形状と、目的とする鋳塊断面形状との相違から、鋳型の
形状を、経験的にではなく、系統的・機械的に修正する
方法を提供することも目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めの発明は下記の発明である。
【0017】第1の発明は、以下のステップを備えたD
C鋳造による鋳塊形状の予測方法である。 (a)初期鋳塊形状及び冷却凝固パラメータを与えるス
テップと、(b)初期鋳塊形状を有限要素に分割するス
テップと、(c)鋳塊の降下長さをあらかじめ定めた長
さだけ増加させるステップと、(d)前記降下長さにお
ける冷却条件を計算するステップと、(e)前記有限要
素のそれぞれについて、前記冷却凝固パラメータ及び前
記冷却条件に基いて凝固温度を計算するステップと、
(f)前記有限要素のそれぞれについて前記冷却凝固パ
ラメータ、前記冷却条件及び前記凝固温度に基いて弾塑
性応力を計算するステップと、(g)前記有限要素のそ
れぞれについて、前記弾塑性応力に基いて各節点の座標
の変位を求めて節点の座標を更新するステップと、
(h)前記降下長さがあらかじめ定めた長さに達してい
ない場合は、(c)に戻って計算を繰り返すステップ
と、(i)前記降下長さがあらかじめ定めた長さに達し
ている場合は、前記鋳塊形状の外周に配置された前記有
限要素の前記節点の座標を予測される鋳塊形状として出
力するステップ。
【0018】これによれば、従来よりも正確に鋳塊形状
を予測することができる。特に、アルミニウム鋳塊の製
造において表われる4分の1ガターの再現が可能であ
る。
【0019】第2の発明は、以下のステップを備えたD
C鋳造による鋳型形状の設計方法である。 (a)目標とする鋳塊形状を入力するステップと、
(b)鋳型形状を入力するステップと、(c)請求項2
に記載の予測方法において、前記初期鋳塊形状として前
記鋳型形状を与えることにより、鋳塊形状を得るステッ
プと、(d)前記目標とする鋳塊形状と前記得られた鋳
塊形状との差を計算するステップと、(e)前記差があ
らかじめ定めた精度内におさまらない場合には、前記計
算された差を元に前記鋳型形状を更新して(c)へ戻っ
て計算を繰り返すステップと、(f)前記差があらかじ
め定めた精度内におさまる場合には、前記鋳型形状を求
める鋳型形状として出力するステップ。
【0020】これにより、任意の精度の鋳塊形状を得る
ための鋳型形状を得ることができる。
【0021】第3の発明は、請求項3に記載の鋳型形状
の設計方法により出力された鋳型形状を備えたDC鋳造
鋳型である。これにより、従来できなかった形状精度を
有する鋳塊を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態を説明
する。
【0023】まず、本発明の実施例の工程の概略を図1
により説明する。図1は工程のフローチャートである。 (1)初期形状となる鋳型形状を選択し、冷却凝固に関
連する各種パラメータを与える(図1中の12)。 (2)初期鋳塊形状を鋳型形状と同じ形状として、これ
を三角形等で要素分割し、各節点の座標を得る(図1中
の13)。 (3)アルミニウム鋳塊を一定量降下させる(図1中の
14)。 (4)現在の降下長さでの冷却条件を設定する(図1中
の15)。 (5)2次元凝固温度計算を行う(図1中の16)。 (6)2次元弾塑性応力計算を行う(図1中の17)。 (7)各節点の座標の変位を求め、鋳塊形状を算出する
(図1中の18)。 (8)全体降下長さがあらかじめ定めた長さに達してい
るか調べる(図1中の19)。達していない場合は
(3)へ戻る。達した場合は次へ進む。 (9)得られた予測鋳塊形状と目標鋳塊形状を比較する
(図1中の20)。必要な精度を満たしていない場合
は、両鋳塊形状の差を鋳型形状にフィードバックして新
たな鋳型形状を構成し(図1中の21)、(2)へ戻
る。満たしている場合はこのときの鋳型形状が求める鋳
型形状である(図1中の22)。
【0024】以下にこれらの工程のそれぞれについて詳
細に説明する。以降では、目的とする鋳塊形状は一般に
長方形であることが多いので、長方形を例にとって説明
する。しかしながら、本願発明の原理から逸脱しない範
囲で、ほかの形状に対しても適用できることは明らかで
ある。
【0025】まず最初に、目的とする鋳塊形状に近い形
状を得ることができる鋳型形状を選択する。この鋳型形
状は、従来使用されていた鋳型の中から選択すればよ
い。この鋳型形状は、目的とする鋳型形状を以下で説明
する繰り返し計算によって得る際の初期形状となる。上
記のように断面形状が長方形の鋳塊を得るためには、鋳
型形状は略長方形となる。
【0026】ここで、鋳型の形状は、発明者らが必要と
する精度の鋳塊形状を得るためには、鋳型形状38を重
心39、幅方向、幅垂直方向について対称とし、図2の
ように、鋳型幅方向長さW(30)、鋳型中央部厚さG
(32)、鋳型端部厚さg(34)、中央突出部厚さE
(36)の4つのパラメータで表せばよいことがわかっ
ている。
【0027】なお、より一層の精度が必要な場合には、
更に分割し、例えば図3のW(40)、G(42)、g
1(44)、g2(45)、E1(46)、E2(4
7)などのように鋳型形状パラメータを必要に応じて増
やすことが可能である。このようにして、初期鋳型形状
を設定する。
【0028】ここで、この初期鋳型形状を鋳塊の初期形
状とする。以降の計算では、鋳塊の形状の冷却凝固によ
る変化を有限要素法によって求める。微小要素として
は、例えば三角形等を利用することができ、これによっ
て各節点の座標を定める。
【0029】冷却凝固に関連するパラメータとして与え
るものには、例えば、降下長さのステップ幅、降下時間
のステップ幅、降下の速度、各要素の密度、比熱、熱伝
導度、潜熱、液相温度、固相温度、注湯温度などがあ
る。さらに、鋳型、エア・ギャップ、スプレーによる急
冷却、プールによる緩冷却のそれぞれについて熱伝達係
数、境界温度などのパラメータも与える。
【0030】これらのパラメータには互いに依存関係に
あるものもある。例えば、降下長さのステップ幅と降下
の速度を与えれば、降下時間のステップ幅は簡単な割り
算で得ることができる。このように互いに依存するパラ
メータのうちどれを入力すべきとするかは、設計者に便
利なものを選択すればよい。
【0031】上で入力されたパラメータにしたがえば、
鋳塊の各節点の状態、例えば、液相か固相か、温度、比
熱、熱伝導度、潜熱はどれだけか、等が設定できる。
【0032】パラメータが入力されたら、設定したステ
ップ幅だけアルミニウムを降下させたとして計算を進め
る。アルミニウムの降下のステップは上記降下長さのス
テップ幅から簡単に求めることができる。また、アルミ
ニウムの現在の降下長さは、これまでの降下長さのステ
ップ幅の総和である。
【0033】現在の降下長さから現在考慮すべき冷却の
条件を設定する。降下の当初は鋳型による冷却が行わ
れ、降下が進むについて、エア・ギャップ、流水による
急冷却、プールによる緩冷却と進んでいくため、以下の
計算の前に、降下長さによってこれらを随時変更する必
要がある。
【0034】この後、2次元凝固温度モデルにより、各
節点のステップ幅降下後の温度を求める。既に入力され
た境界条件や比熱などから、熱伝導方程式を有限要素法
により解けばよい。この際に利用する手法としては、例
えば等価比熱法や温度回復法などを利用することができ
る。このような方法において、数1で表わされる各節点
温度は、数2の方程式に従う。
【0035】
【数1】
【0036】
【数2】
【0037】ここで、各係数は、物性値、及び、数3で
表される形状関数の積分により、数4、数5、数6、数
7、数8によって与えられる。
【0038】
【数3】
【0039】
【数4】
【0040】
【数5】
【0041】
【数6】
【0042】
【数7】
【0043】
【数8】
【0044】有限要素法で離散化表現された熱伝導方程
式は、時間についても、クランク・ニコルソンの方法に
よって、離散化することが可能である。離散化した結果
は数9によって与えられる。これを数10に関する連立
一次方程式として解けば各節点の温度は求められる。
【0045】
【数9】
【0046】
【数10】
【0047】上記のようにして各節点の温度が求められ
たら、次に2次元弾塑性応力モデルに基いて、数11に
よって表される各節点の変位を求める。
【0048】
【数11】
【0049】変位を求めるには、仮想仕事の原理の下、
ひずみ増分理論を用いて応力・ひずみ方程式を有限要素
法で解くことになる。この場合、節点変位は数12に従
う。
【0050】
【数12】
【0051】ここで、各係数はそれぞれ以下のように定
義される。 弾性剛性マトリックス 数13 塑性剛性マトリックス 数14 熱ひずみ増分による弾性荷重 数15 熱ひずみ増分による塑性荷重 数16 凝固収縮ひずみ増分による弾性荷重 数17 凝固収縮ひずみ増分による塑性荷重 数18
【0052】
【数13】
【0053】
【数14】
【0054】
【数15】
【0055】
【数16】
【0056】
【数17】
【0057】
【数18】
【0058】なお、これらの係数及び定数は、当業者で
あれば公知の手法により測定可能である。すなわち、高
温引張試験等を行ってひずみと応力の関係を得ることに
より求めることができる。具体的には、例えばグリーブ
ル試験機を用いることにより、常温以外での応力と変形
の関係についての係数及び定数を求めることができる。
【0059】これらに基き、数12の節点変位の方程式
に基いて今回のステップにおける節点変位を求め、新た
な節点の位置座標を計算する。この計算によって、今回
のステップだけ降下した後の鋳塊の形状が得られること
になる。あとは、必要な長さだけ降下するまで計算を繰
り返せばよい。
【0060】実際のアルミニウムDC鋳造においては、
降下全長が1000mmから1500mm程度となると
鋳塊形状がほぼ安定することがわかっている。
【0061】このように、弾塑性凝固応力モデルを利用
して以下の条件のもとで鋳塊形状を計算した結果が図5
に示してある。鋳塊の材料として用いたアルミニウムは
JIS5182若しくはAA5182であり、目標の鋳
塊形状(横断面)は、幅2000mm、厚さ500mm
の長方形であり、降下速度は、1分あたり 50mm
であり、液相温度は 640℃、固相温度は 585
℃、注湯温度は 700℃であり、密度は、1立方cm
あたり、液相で 2. 3g、固相で 2. 7g であ
り、比熱は、1g あたり 0. 274cal であ
り、熱伝導度は、187kcal/mh℃ である。
【0062】図5のグラフ中の横軸は鋳塊幅方向長さ、
縦軸は鋳塊幅に垂直な方向の長さ(鋳塊厚さの2分の
1)である。すなわち、グラフの各プロットは、湯面か
ら所定の長さだけ降下した位置における鋳塊の4分の1
の断面形状を表わしている。
【0063】このようにして得られた鋳塊の予測形状に
は、現実の鋳塊に冷却過程で表われていた4分の1ガタ
ーがあらわれている。これは、従来のモデルでは説明で
きていなかった。つまり、本発明においては、鋳塊の冷
却過程における温度分布と、凝固収縮による変形とを連
動させて計算しているので、従来よりもはるかに正確な
形状予測ができるのである。
【0064】次に、この予測結果を用いて鋳型形状にフ
ィードバックし、目標とする鋳塊形状を得るための鋳型
形状を求める手法について説明する。得られた鋳塊の予
測形状と目的の鋳塊形状の差を計算し、その差をもとに
鋳型形状を修正する。
【0065】本実施例においては、鋳型形状は、W、
G、g、Eの4つのパラメータによって表現されてい
る。予測形状と目標形状とのずれの値として、たとえば
以下のような値を採用することができる。 (1)鋳塊厚さの偏差の最大値。 (2)鋳塊厚さの偏差の自乗平均。 (3)鋳塊厚さの偏差の絶対値を幅方向に積分したも
の。つまり、目的形状とずれている部分の面積。
【0066】ここでは(1)の手法によりフィードバッ
クを行う方法を一実施例としてあげる。厚さの偏差の最
大値mができるだけ小さくなるように4つのパラメータ
W、G、g、Eにフィードバックをかけて変化させる。
【0067】上記の鋳塊形状予測過程によって得られる
データにより、上記5つの値には以下の関係があること
になる。 m = f(W, G, g, E)
【0068】ただし、4つのパラメータW、G、g、E
を与えると鋳塊形状予測過程によってmを得ることがで
きるf関数である。このフィードバックが目的とするこ
とは、このmがあらかじめ定めた制度の誤差範囲内に納
まるようなW、G、g、Eを求めることである。
【0069】このようなmを求める手法には多々あり、
いずれの手法を適用することも可能である。これらの手
法にはW、G、g、Eを所定の値(ステップ幅)だけ変
化させるものが多い。この際には本手法における特有の
事項を考慮する必要がある。すなわち、鋳型を製作する
際の工作精度(例えば±0. 1mm)よりも小さいステ
ップ幅でパラメータを変化させる必要はない、というこ
とである。
【0070】したがって、目標とする形状へ近付くよう
にフィードバックを行うための一手法としては、鋳型工
作の際の精度程度、もしくはこれよりも大きなステップ
幅(それぞれ、dW、dG、dg、dEとする)でW、
G、g、Eを変化させてそれぞれの場合のmを求める。
それぞれのパラメータを変化させる、又は、させない場
合があるため、mとしては以下の16種類の値が得られ
る。 m1 = f(W, G, g, E) m2 = f(W, G, g, E+ dE) m3 = f(W, G, g+ dg, E) m4 = f(W, G, g+ dg, E+ dE) m5 = f(W, G+ dG, g, E) m6 = f(W, G+ dG, g, E+ dE) m7 = f(W, G+ dG, g+ dg, E) m8 = f(W, G+ dG, g+ dg, E+ dE) m9 = f(W+ dW, G, g, E) m10 = f(W+ dW, G, g, E+ dE) m11 = f(W+ dW, G, g+ dg, E) m12 = f(W+ dW, G, g+ dg, E+ dE) m13 = f(W+ dW, G+ dG, g, E) m14 = f(W+ dW, G+ dG, g, E+ dE) m15 = f(W+ dW, G+ dG, g+ dg, E) m16 = f(W+ dW, G+ dG, g+ dg, E+ d
E)
【0071】これらのうち、最もmの値が小さくなるも
のを選択し、その際の各パラメータを次の計算の繰り返
しの初期値として選択すればよい。なお、次の繰り返し
では、パラメータの値によってはすでにmの値を計算し
ているものがあるのでこれを省略するとよい。
【0072】ただし、これは例としてあげるものであ
り、これに制限する意図はなく、本発明の原理から逸脱
しない範囲で同等の手法を適用することが当業者であれ
ば可能である。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明によれ
ば、アルミニウムDC鋳造による鋳塊形状の予測におい
て従来不可能であった4分の1ガターを表現することが
でき、この予測方法と目標とする形状とのずれをもとに
鋳型形状をフィードバックすることにより、最適な鋳型
形状を容易に得ることができる。本発明の実施例によれ
ば、500mm×1820mmの長方形形状を得るため
の最適な鋳型形状を、図6のように得ることができた。
これによって鋳造したアルミニウム鋳塊の形状は、発明
者らが必要とする精度(±2mm以内)に納めることが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の設計手法を示すフローチャート図であ
る。
【図2】本発明における鋳型の形状パラメータの説明図
である。
【図3】本発明における鋳型の形状パラメータの説明図
である。
【図4】アルミニウムDC鋳造方法を説明する断面図で
ある。
【図5】本発明の鋳塊形状予測方法による予測結果を示
す図である。
【図6】本発明により得られた鋳型形状を示す図であ
る。
【符号の説明】
11 開始 12 初期形状・パラメータ入力工程 13 要素分割工程 14 ステップ幅降下工程 15 冷却条件設定工程 16 凝固温度解析工程 17 弾塑性応力解析工程 18 節点変位計算工程 19 降下長さチェック工程 20 精度チェック工程 21 フィードバック工程 22 終了 30 鋳型形状幅方向長さ 32 鋳型形状中央部厚さ 34 鋳型形状端部厚さ 36 鋳型形状突出部長さ 38 鋳型形状 39 鋳型形状の重心 40, 42, 44, 45, 46, 47 鋳型形状パラメ
ータ 48 鋳型形状 49 鋳型形状の重心 100 ローンダー 102 溶融アルミニウム 104 鋳型 106 鋳型内の冷却水 108 スプレー 110 凝固アルミニウム 112 ボトム・ブロック 114 エア・ギャップ 116 プール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/049 B22D 11/00 B22D 11/057 G06F 17/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のステップを備えたDC鋳造による
    鋳塊形状の予測方法。 (a)初期鋳塊形状及び冷却凝固パラメータを与えるス
    テップと、 (b)初期鋳塊形状を有限要素に分割するステップと、 (c)鋳塊の降下長さをあらかじめ定めた長さだけ増加
    させるステップと、 (d)前記降下長さにおける冷却条件を計算するステッ
    プと、 (e)前記有限要素のそれぞれについて、前記冷却凝固
    パラメータ及び前記冷却条件に基いて凝固温度を計算す
    るステップと、 (f)前記有限要素のそれぞれについて前記冷却凝固パ
    ラメータ、前記冷却条件及び前記凝固温度に基いて弾塑
    性応力を計算するステップと、 (g)前記有限要素のそれぞれについて、前記弾塑性応
    力に基いて各節点の座標の変位を求めて節点の座標を更
    新するステップと、 (h)前記降下長さがあらかじめ定めた長さに達してい
    ない場合は、(c)に戻って計算を繰り返すステップ
    と、 (i)前記降下長さがあらかじめ定めた長さに達してい
    る場合は、前記鋳塊形状の外周に配置された前記有限要
    素の前記節点の座標を予測される鋳塊形状として出力す
    るステップ。
  2. 【請求項2】 以下のステップを備えたDC鋳造による
    鋳型形状の設計方法。 (a)目標とする鋳塊形状を入力するステップと、 (b)鋳型形状を入力するステップと、 (c)請求項1に記載の予測方法において、前記初期鋳
    塊形状として前記鋳型形状を与えることにより、鋳塊形
    状を得るステップと、 (d)前記目標とする鋳塊形状と前記得られた鋳塊形状
    との差を計算するステップと、 (e)前記差があらかじめ定めた精度内におさまらない
    場合には、前記計算された差を元に前記鋳型形状を更新
    して(c)へ戻って計算を繰り返すステップと、 (f)前記差があらかじめ定めた精度内におさまる場合
    には、前記鋳型形状を求める鋳型形状として出力するス
    テップ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の鋳型形状の設計方法に
    より出力された鋳型形状と同じ形状を備えたDC鋳造鋳
    型。
JP22551697A 1997-08-08 1997-08-08 弾塑性凝固応力解析を利用したアルミニウムdc鋳造鋳型の設計方法及びその鋳型 Expired - Fee Related JP3403322B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22551697A JP3403322B2 (ja) 1997-08-08 1997-08-08 弾塑性凝固応力解析を利用したアルミニウムdc鋳造鋳型の設計方法及びその鋳型

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22551697A JP3403322B2 (ja) 1997-08-08 1997-08-08 弾塑性凝固応力解析を利用したアルミニウムdc鋳造鋳型の設計方法及びその鋳型

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1157947A JPH1157947A (ja) 1999-03-02
JP3403322B2 true JP3403322B2 (ja) 2003-05-06

Family

ID=16830544

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22551697A Expired - Fee Related JP3403322B2 (ja) 1997-08-08 1997-08-08 弾塑性凝固応力解析を利用したアルミニウムdc鋳造鋳型の設計方法及びその鋳型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3403322B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007160346A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Mishima Kosan Co Ltd 連続鋳造用鋳型
JP4681508B2 (ja) * 2006-06-05 2011-05-11 新日本製鐵株式会社 鋳片の連続鋳造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1157947A (ja) 1999-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8355894B2 (en) Method for simulating casting defects and microstructures of castings
JP2003510202A (ja) 金型キャビティ内の流体の射出をモデリングするための方法および装置
JPH06122068A (ja) 通気性鋳型の鋳造方案の作成方法
US6298898B1 (en) Optimizing cycle time and/or casting quality in the making of cast metal products
CN108446505B (zh) 一种漏斗结晶器内铸坯凝固传热计算方法
CN107909189B (zh) 一种模拟铝合金砂型铸造过程的缩孔缺陷预测方法
Oliveira et al. An inverse approach for the interfacial heat transfer parameters in alloys solidification
CN107844852B (zh) 一种模拟铸钢件砂型铸造过程的缩松缺陷预测方法
CN105665684A (zh) 一种铸件晶粒组织数值预测的方法
JP2007167893A (ja) 鋳造割れ予測方法及び鋳造割れ予測システム
JP3403322B2 (ja) 弾塑性凝固応力解析を利用したアルミニウムdc鋳造鋳型の設計方法及びその鋳型
Hétu et al. Numerical modeling of casting processes
JP2010052019A (ja) 砂型鋳物のシミュレーション方法
Danylchenko Comparative analysis of computer systems for casting processes simulation
Liu et al. Stochastic modeling of columnar-to-equiaxed transition in Ti–(45–48 at%) Al alloy ingots
JP2001191336A (ja) 金型設計装置と金型形状の設計方法
JPH0641015B2 (ja) 3次元凝固解析方法
Dautov et al. On 3D dynamic control of secondary cooling in continuous casting process
WO2009133602A1 (ja) 鋳鉄鋳物の引け巣の予測および防止方法
Chandra Benchmark problems and testing of a finite element code for solidification in investment castings
JP2008155248A (ja) 鋳物の伝熱凝固解析方法
JPH07236942A (ja) 鋳造用金型の設計方法
US20220114305A1 (en) Method for predicting porosity distribution in cast metal objects
JP6941074B2 (ja) 長尺の構造物のたわみ量分布算出方法
JP4265268B2 (ja) 鋳造品の凝固解析方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080229

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090228

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090228

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100228

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100228

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110228

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees