JP4265268B2 - 鋳造品の凝固解析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造品の凝固解析方法に係り、特に、鋳造不良の発生場所、大きさを正確に予測することができる凝固解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、鋳造品の歩留まり向上を図るため、凝固解析シミュレーションプログラムによる凝固解析が広く行われるようになってきた。凝固解析をより速くより正確に行えるようにするため、さまざまな解析手法が提案されている。たとえば、下記特許文献1に開示されている解析手法では、3次元直交格子データを用いて計算量を減少させている。また、下記特許文献2に開示されている解析手法では、溶湯の初期温度分布を正確に設定できるようにして、解析精度の向上を実現させている。さらに、下記特許文献3に開示されている解析手法では、引け巣の発生位置とその形状や体積を予測させている。最後に、下記特許文献4に開示されている解析手法では、引け巣の発生位置とその形状や体積を予測して、その予測結果を画面上に表示させている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−153214号公報
【特許文献2】
特開平8−271500号公報
【特許文献3】
特開平11−314152号公報
【特許文献4】
特開2001−287023号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの解析手法を、たとえば、溶湯を反重力方向から鋳型に送り込む低圧鋳造法と称される鋳造方法の凝固解析シミュレーションに適用した場合には、鋳型に流し込まれた溶湯の一部が湯口部分から溶湯保持炉側に戻る湯戻りが考慮されていないため、鋳造不良の発生場所、大きさを正確に予測することが困難になるという問題がある。
【0005】
つまり、従来の凝固解析方法は、湯口部分を含む鋳型のキャビティ内に湯が万遍なく行き渡っている状態を前提に凝固解析シミュレーションが行われる。ところが、低圧鋳造の場合は、湯戻りの発生によって湯口部分の一部に湯が存在していない状態となる。したがって、湯口部分の温度変化が実際の温度変化とは大きく相違することから、溶湯の最終的な凝固位置が凝固解析シミュレーションの結果とは異なってしまう。このため、たとえば引け巣の発生位置の予測精度が悪化する。
【0006】
本発明は、このような従来の凝固解析方法の問題を解決するために成されたものであり、鋳造不良の発生場所、大きさを正確に予測することができる鋳造品の凝固解析方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る鋳造品の凝固解析方法は、
溶湯を加圧して溶湯を鋳型のキャビティ内に流し込み溶湯をキャビティ内で凝固させることによって製造される鋳造品を対象とする凝固解析方法である。まず、鋳型のキャビティ内に溶湯が充填されてから溶湯への加圧が終了するまでの間、溶湯の凝固解析を行う。次に、溶湯への加圧を終了した後に、キャビティの湯口部分の未凝固領域を凝固解析によって認識する。最後に、湯口部分の未凝固領域を液相から気相に置き換えて以降の凝固解析を行う。
鋳型のキャビティ内に溶湯が充填されてから前記溶湯への加圧が終了するまでの間に行なう溶湯の凝固解析は、キャビティを微小領域に分割し各微小領域の溶湯の温度を算出する溶湯温度算出ステップと、算出された溶湯の温度に基づいて各微小領域の固相率を算出する固相率算出ステップと、溶湯温度算出ステップと固相率算出ステップとを繰り返して溶湯の凝固時間分布を算出する凝固時間分布算出ステップとを含む。
溶湯への加圧を終了した後に、キャビティの湯口部分の未凝固領域を認識する凝固解析は、凝固解析の結果求められた湯口部分の固相率が所定値よりも低いか否かを判断するステップと、固相率が所定値よりも低い領域を未凝固領域とするステップとを含む。
液相から気相に置き換えて行なう凝固解析は、湯口部分の未凝固領域を溶湯から高温ガスに置き換え、未凝固領域と接触する他の領域との境界面の熱伝達条件を設定し、熱伝達条件により凝固解析を継続し、このときの熱伝達条件は、境界面における熱伝達係数と高温ガスの温度を含んでいる。
【0008】
たとえば、鋳型をさかさまにして密閉した溶湯保持炉の上に置き、溶湯の上面を圧搾空気で加圧して鋳型のキャビティ内に溶湯を流し込む、低圧鋳造を行う場合でも、圧搾空気による加圧を終了した時の湯戻りを考慮した凝固解析を行うことができ、鋳造不良の発生場所、大きさを正確に予測することができるようになる。
【0009】
【発明の効果】
本発明の鋳造品の凝固解析方法によれば、鋳型に流し込まれた溶湯の一部が湯口部分から溶湯保持炉側に戻る湯戻りを考慮し、湯口部分の未凝固領域を溶湯から高温ガスに置き換えて凝固解析を行なうようにしたので、鋳造不良の発生場所、大きさを正確に予測できるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる鋳造品の凝固解析方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本発明にかかる鋳造品の凝固解析方法は、溶湯を加圧して溶湯を鋳型のキャビティ内に流し込み溶湯をキャビティ内で凝固させることによって製造される鋳造品の凝固解析シミュレーションに適用される。本実施の形態では、低圧鋳造法により製造される鋳造品の凝固解析シミュレーションを例に挙げて説明する。
【0011】
図1は、低圧鋳造法により鋳造品を製造する低圧鋳造機の概略構成図である。低圧鋳造機では、鋳型10がさかさまにされ密閉した溶湯保持炉20の上に置かれる。鋳型10内に形成されているキャビティ15と溶湯保持炉20とはストーク25を通じて連通している。溶湯保持炉20の上部には溶湯保持炉20内に圧搾空気を供給する通気管30が接続されている。
【0012】
通気管30から保持炉20内に圧搾空気を供給すると、溶湯35の上面が加圧され、溶湯35がストーク25内を上昇しキャビティ15内の空気と入れ替わりに充填される。充填された溶湯35は、キャビティ15の湯口部分18から遠い部分から湯口部分18に向けて指向性凝固する。低圧鋳造の場合、溶湯35への加圧を終了すると同時にキャビティ15の溶湯35がストーク25側に戻ってしまう湯戻りが生じるので、湯口部分18の溶湯35が凝固し始めるまでは加圧を継続する。
【0013】
本発明にかかる凝固解析方法は、以上のような低圧鋳造機で製造される鋳造品に対して、高精度の凝固解析シミュレーションを可能とする。この凝固解析シミュレーションは、次のような装置によって行われる。
【0014】
図2は、本発明にかかる鋳造品の凝固解析方法を実施するシミュレーション装置の概略構成図である。シミュレーション装置50は、CADデータ記憶部52、解析用データ記憶部54、シミュレーション実行部56を備えている。
【0015】
CADデータ記憶部52は、凝固解析シミュレーションを行うために必要な鋳型10の形状データ、キャビティ15の形状データを記憶している。解析用データ記憶部54は、凝固解析シミュレーションを行うために必要な各種の条件データを記憶している。条件データには、溶湯の初期温度、溶湯の熱伝導率、湯口部分の未凝固領域に存在する高温ガスの温度、未凝固領域と接触する他の領域との境界面の熱伝達係数などが含まれる。シミュレーション実行部56は、本発明にかかる凝固解析方法を実行する部分であり、CADデータ記憶部52の形状データ、解析用データ記憶部54の条件データに基づいて、以下に示す凝固解析シミュレーションを行う。
【0016】
ディスプレイ60は、シミュレーション実行部56で行われた凝固解析シミュレーションの結果をカラー表示するものであり、この表示により鋳造不良の発生場所、大きさが容易に把握できる。キーボード70は、シミュレーション装置50にシミュレーションの実行に必要な指示やデータを入力するものである。
【0017】
シミュレーション装置50は、図3以降のフローチャートを処理することによって、凝固解析シミュレーションを行う。
【0018】
図3は、本発明にかかる凝固解析方法の処理手順を示す、請求項1の発明に対応するメインフローチャート、図4は、図3のメインフローチャートのS3の処理内容を示す、請求項3の発明に対応するサブルーチンフローチャート、図5は、同図S4の処理内容を示す、請求項4の発明に対応するサブルーチンフローチャートである。
【0019】
まず、シミュレーション実行部56は凝固解析を行う。この凝固解析は、鋳型10のキャビティ15内に溶湯35が充填されてから溶湯35への加圧が終了するまでの間行われる(S1)。
【0020】
具体的には、凝固解析は次の手順で行われる。まず凝固解析の前提として、CADデータ記憶部52に記憶されている、鋳型10の形状データ、キャビティ15の形状データなどの形状データに基づいて鋳型10、キャビティ15の3次元形状を作成する。次に、解析用データ記憶部54に記憶されている溶湯の初期温度、溶湯の熱伝導率などの条件データを入力する。
【0021】
凝固解析は、図1の低圧鋳造機において、圧搾空気により溶湯35を加圧して溶湯35を鋳型10のキャビティ15内に流し込み、溶湯35がキャビティ15内に充填されたところから開始される。
【0022】
凝固解析が開始されると、シミュレーション実行部56は、たとえば、特開平8−153214号公報、特開平8−271500号公報、特開平11−314152号公報、特開2001−287023号公報などに詳細に開示されているような、従来から一般的に行われている手法を利用して凝固解析シミュレーションを実行する。
【0023】
その概略の処理手順を例示すれば次のような手順となる。まず、キャビティ15を微小領域に分割し各微小領域の溶湯の温度を算出し、算出された溶湯の温度に基づいて各微小領域の固相率を算出し、この2つの処理を微小時間ごとに繰り返して溶湯の凝固時間分布を算出する。
【0024】
以上の凝固解析は、湯口部分18の溶湯35が凝固し始めるまでの時間として設定したt1まで行われる(S2)。キャビティ15に溶湯35が充填されて(t=0)から湯口部分18の溶湯35が凝固し始めるまでの時間(t=t1)まで凝固解析を行うのは、上述のように、低圧鋳造の場合は湯戻りが生じるので、湯口部分18の溶湯35が凝固し始めるまでは加圧を継続しておく必要があるからであり、その間の凝固解析を行う必要があるからである。
【0025】
凝固時間分布がわかれば、加圧されている間、溶湯35がキャビティ15内でどのように凝固して行くのかがわかる。通常は、キャビティ15の湯口部分18から遠い部分から湯口部分18に向けて指向性凝固する。しかし、湯口部分18に向けて順番に凝固していかず、孤立した未凝固領域が存在する場合には、引け巣などの鋳造不良が発生することがわかる。
【0026】
次に、キャビティ15の湯口部分18の未凝固領域を凝固解析によって認識する、湯口の未凝固セル判定ルーチンが実行される(S3)。t=t1の時点で未凝固の部分は湯戻りによって空洞化する。このルーチンでは空洞化する領域が判定されることになる。
【0027】
このルーチンの詳細な処理手順は、図4のフローチャートに示してある。図6に示すように、キャビティ15のストーク25に連結される湯口部分18、換言すれば、完成鋳造品の形状に影響を与えない溶湯の供給部分は、図7に示すように3次元の微小領域に分割されている。この微小領域の1つ1つをセルと称する。
【0028】
シミュレーション実行部56は、図7に示した湯口部分18の全セルを対象に各セルのフラグFを1にセットする(S31)。F=1にセットされたセルは未凝固セルであり溶湯がまだ未凝固の状態であることを意味する。
【0029】
次に、シミュレーション実行部56は、湯口部分のセル配列の中の1つのセルを注目セルに設定する。そして、その注目セルの周囲を囲む6方向セルの内少なくとも1つがF=1に設定されているか、注目セルが溶湯セルか、注目セルの固相率が所定値fsよりも小さいか否かを判断する。つまり、凝固解析の結果求められた湯口部分18の固相率が所定値よりも低いか否かを判断する(S32)。
【0030】
たとえば、図8に示すように、太線で囲まれたセルを注目セルとすると、この注目セルとそれぞれの面を共有する6つのセルが6方向セルとなる。最初に、この6方向セルに設定されているフラグFが1つでも1に設定されているか否かが判断される。いずれか1つのフラグFが1になっていれば、注目セルの溶湯はフラグが1になっているセルの方向に流れるからである。
【0031】
次に、この注目セルが溶湯セルであるか否かが判断される。つまり、注目セルが湯口部分18を構成するキャビティ15の空洞部分(溶湯が通過する部分)であるのか、鋳型10の部分であるのかが判断される。湯流れは空洞部分でないと生じないからである。
【0032】
最後に、注目セルの固相率が所定値fsよりも小さいか否かが判断される。固相率は固相と液相の存在比率を示す。固相率が所定値fsよりも小さければ液相の存在比率が多く、注目セルの溶湯が流れ出す程度にやわらかい。逆に固相率が所定値fsよりも大きければ液相の存在比率が少なく、注目セルの溶湯が流れ出さない程度に固まっている。本実施の形態では、流れ出す程度の液状であるか否かの境界点として所定値fsを0.7に設定している。
【0033】
つまり、S32のステップでは、以上の3つの条件の成立性を判断することによって、注目セルが湯流れに関係するセルであるか否かを判断している。注目セルが湯流れに関係するセルであれば(S32:YES)、S34のステップに進み、注目セルが湯流れに関係しないセルであれば(S32:NO)、その注目セルのフラグをF=1からF=0に設定する(S33)。
【0034】
S32とS33のステップの処理が図7に示したセル配列のすべてのセルに対して行われたか否かが判断され(S34)、すべてのセルに対する処理が終了していなければ(S34:NO)、注目セルを隣のセルに移動してS32とS33のステップの処理を繰り返す(S35)。一方、すべてのセルに対する処理が終了していれば(S34:YES)、湯口部分18のF=1に設定されているセルを未凝固セルにセットする。つまり、固相率が所定値よりも低い領域を未凝固領域とする(S36)。F=1にセットされたセルの集合領域は、圧搾空気による加圧が終了した時点でストーク25に湯戻りが生じる部分であり、空洞化して溶湯保持炉20内の高温ガスが流入する部分である。
【0035】
次に、未凝固セルを非溶湯セルに置き換えしてt=t1からt=tendまで凝固解析を行う。すなわち、湯口部分18の未凝固領域を液相から気相に置き換えて以降の凝固解析を行う(S4、S5)。
【0036】
この凝固解析の詳細な処理手順は、図5のフローチャートに示してある。
【0037】
S3の処理が行われた結果、湯口部分18の未凝固セルがわかると、その未凝固セルの部分を高温ガスで構成される非溶湯セルに置き換えする。つまり、湯口部分18の未凝固領域を溶湯から高温ガスに置き換える(S41)。未凝固セルの集合領域は湯流れによって空洞化し高温ガスに置き換わるからである。
【0038】
次に、シミュレーション実行部56は、非溶湯セルと他のセルとの接触をチェックして、未凝固領域と接触する他の領域との境界面の熱伝達係数と湯口部分の未凝固領域に存在する高温ガスの温度をセットする(S42)。熱伝達係数と高温ガスの温度は、解析用データ記憶部54から取得する。本実施の形態では、高温ガスの温度として500℃を想定している。
【0039】
そして、湯口部分18に存在する高温ガスとキャビティ15に存在する高温の鋳造品との境界面における熱伝達計算を行いながら、S1のステップで行ったのと同様の凝固解析を行う(S43)。なお、この熱伝達計算は、高温の金属が常温の空気中で冷却される場合の計算を応用すればよく、特殊な計算は不要である。
【0040】
以上のようにして凝固解析シミュレーションを行うと、従来の凝固解析方法の解析結果よりも解析精度が向上する。従来の凝固解析方法と本発明の凝固解析方法の比較例が図9及び図10に示してある。
【0041】
図9は、従来の凝固解析方法を用いた場合の解析結果を示している。図中の実線Aはキャビティ15の湯口部分18の温度の解析値であり、点線Bはキャビティ15の湯口部分18の温度の実測値である。
【0042】
この図を見ればわかるが、溶湯35への加圧が終了したあとの温度変化は、解析値では徐々に低下するものであるが、実測値では湯戻りの影響により大きく低下している。解析値と実測値との差があまりにも大きいので、最終的に得られる鋳造不良の発生位置や大きさに悪影響を与える。
【0043】
図10は、本発明の凝固解析方法を用いた場合の解析結果を示している。図中の実線Aはキャビティ15の湯口部分18の温度の解析値であり、点線Bはキャビティ15の湯口部分18の温度の実測値である。解析の条件は図9の従来の場合と全く同一である。
【0044】
この図を見ればわかるが、溶湯35への加圧が終了したあとの温度変化は、解析値と実測値とがほぼ同じように低下しているのがわかる。したがって、最終的に得られる鋳造不良の発生位置や大きさは、凝固解析シミュレーションの結果と実際の鋳造品に現れるものとがほぼ一致する。
【0045】
このため、本発明の凝固解析方法を用いれば、鋳造不良の発生場所、大きさを正確に予測できるようになる。
【0046】
なお、以上の実施の形態では、低圧鋳造法を例示して説明したが、本発明の凝固解析方法はこの鋳造法に限らず、重力に逆らって溶湯を流し込み、湯流れが生じる鋳造法であれば、適用が可能である。また、液相と固相を判断するための固相率の閾値として0.7を例示したが、この閾値は鋳造品の材料によって異なるため、材料の種類に応じて最適な値を選択することが好ましい。さらに、未凝固領域の溶湯と置き換わる高温ガスの温度として500℃を例示したが、この温度も材料により異なる融解温度のため、材料の種類に応じて最適な温度を選択することが好ましい。
【0047】
以上のように、本発明では、溶湯への加圧が終了するまではキャビティのすべての領域で溶湯が凝固するため一般的な凝固解析を行い、その加圧が終了した時点で湯流れが生じる領域を特定し、以降の凝固解析は湯流れにより空洞化した部分に溶融保持炉内の高温ガスが充満したものとして行う。したがって、本願発明は、請求項ごとに次のような効果が生じる。
【0048】
請求項1にかかる発明は、鋳型に流し込まれた溶湯の一部が湯口部分から溶湯保持炉側に戻る湯戻りを考慮するようにしたので、鋳造不良の発生場所、大きさを正確に予測できるようになる。
【0049】
請求項2にかかる発明は、鋳型のキャビティ内に溶湯が充填されてから溶湯への加圧が終了するまでの間の凝固解析を正確に行うことができる。
【0050】
請求項3にかかる発明は、固相率が所定値よりも低い領域を未凝固領域とすることによって、湯流れを起こす部分を正確に把握することができる。
【0051】
請求項4にかかる発明は、未凝固領域を高温ガスに置き換えて以降の凝固解析を行うので、凝固解析の精度が向上する。
【0052】
請求項5にかかる発明は、熱伝達条件に境界面における熱伝達係数と高温ガスの温度を含めているので、凝固解析の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】低圧鋳造法により鋳造品を製造する低圧鋳造機の概略構成図である。
【図2】本発明にかかる鋳造品の凝固解析方法を実施するシミュレーション装置の概略構成図である。
【図3】本発明にかかる凝固解析方法の処理手順を示すメインフローチャートである。
【図4】図3のメインフローチャートのS3の処理内容を示すサブルーチンフローチャートである。
【図5】図3のメインフローチャートのS4の処理内容を示すサブルーチンフローチャートである。
【図6】図3のメインフローチャートのS3の処理内容の説明に供する図である。
【図7】図3のメインフローチャートのS3の処理内容の説明に供する図である。
【図8】図3のメインフローチャートのS3の処理内容の説明に供する図である。
【図9】従来の凝固解析方法によるシミュレーション結果を示す図である。
【図10】本発明の凝固解析方法によるシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
10…鋳型、
15…キャビティ、
18…湯口部分、
20…溶湯保持炉、
25…ストーク、
30…通気管、
35…溶湯、
50…シミュレーション装置、
52…CADデータ記憶部、
54…解析用データ記憶部、
56…シミュレーション実行部、
60…ディスプレイ、
70…キーボード。
Claims (1)
- 溶湯を加圧して当該溶湯を鋳型のキャビティ内に流し込み前記溶湯を当該キャビティ内で凝固させて製造する鋳造品の凝固解析方法であって、
前記鋳型のキャビティ内に前記溶湯が充填されてから前記溶湯への加圧が終了するまでの間、前記溶湯の凝固解析を行う第1凝固解析ステップと、
前記溶湯への加圧を終了した後に、前記キャビティの湯口部分の未凝固領域を前記凝固解析によって認識する未凝固領域認識ステップと、
前記湯口部分の未凝固領域を液相から気相に置き換えて以降の凝固解析を行う第2凝固解析ステップと、を含み、
前記第1凝固解析ステップで行われる溶湯の凝固解析は、
前記キャビティを微小領域に分割し各微小領域の溶湯の温度を算出する溶湯温度算出ステップと、
算出された溶湯の温度に基づいて各微小領域の固相率を算出する固相率算出ステップと、
前記溶湯温度算出ステップと前記固相率算出ステップとを繰り返して前記溶湯の凝固時間分布を算出する凝固時間分布算出ステップと、
を含み、
前記未凝固領域認識ステップは、
前記凝固解析の結果求められた前記湯口部分の固相率が所定値よりも低いか否かを判断するステップと、
前記固相率が所定値よりも低い領域を未凝固領域とするステップと、
を含み、
前記第2凝固解析ステップは、
前記湯口部分の未凝固領域を溶湯から高温ガスに置き換えるステップと、
前記未凝固領域と接触する他の領域との境界面の熱伝達条件を設定するステップと、
当該熱伝達条件により凝固解析を継続するステップと、
を含み、
前記熱伝達条件は、前記境界面における熱伝達係数と前記高温ガスの温度を含むことを特徴とする鋳造品の凝固解析方法。
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