JP2001105098A - 鋳造方案の設計方法及び設計装置 - Google Patents

鋳造方案の設計方法及び設計装置

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JP2001105098A
JP2001105098A JP28589999A JP28589999A JP2001105098A JP 2001105098 A JP2001105098 A JP 2001105098A JP 28589999 A JP28589999 A JP 28589999A JP 28589999 A JP28589999 A JP 28589999A JP 2001105098 A JP2001105098 A JP 2001105098A
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Japan
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casting
amount
shrinkage
molten metal
hot water
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JP28589999A
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English (en)
Inventor
Kazutaka Okura
和孝 大庫
Yasushi Iwata
靖 岩田
Hiroaki Iwabori
弘昭 岩堀
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 押し湯位置及び量あるいは湯口量を精度よく
求めることができる鋳造方案の設計方法及び設計装置を
提供すること。 【解決手段】 鋳造方案を設計する方法において,押し
湯位置及び押し湯量を決定するに当たり,鋳型全体の空
間を微小な要素に分割すると共に各要素に物性値データ
を与えるステップ(1)と,鋳物要素のうち引け巣が生
じうる引け巣要素を特定するステップ(2)と,押し湯
位置を決定するステップ(3)と,仮押し湯量を決定す
るステップ(4)と,再び引け巣要素が有るか否かの判
断,及び該引け巣要素の特定を行うステップ(5)と,
引け巣要素が有った場合にステップ(5)に戻るステッ
プ(6)と,引け巣要素が無かった場合に押し湯量に決
定するステップ(7)とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,主型設計等を行う鋳造方案に関
するものであって,特に,押し湯位置及び量あるいは湯
口量を精度よく求めることができる鋳造方案の設計方法
及び設計装置に関する。
【0002】
【従来技術】従来,鋳造製品を作製しようとする場合に
は,まず製品モデルを作製し,これを基にして,型設計
者の経験とノウハウにより鋳造方案,すなわち型設計が
行なわれる。その際に,通常は凝固CAEと湯流れCA
Eが使用されるが,現状の各CAEは機能が十分でな
く,大部分は設計者のノウハウに依存している。
【0003】そのために,過去の実績のある鋳造方案を
知識ベースに登録し,すなわち堰,湯道の形と数を登録
し,型設計時にそれらを引き出すことから鋳造方案を設
計する手法,鋳造方案支援エキスパートシステムが提案
されている(特開平8−323446号公報)。また湯
道内の溶湯の流れを精度良くシミュレーションするため
に溶湯の自由表面移動とガス通過速度を計算し,湯流れ
CAEとして採用する方法がある(特開平6−1220
68号公報)。
【0004】
【解決しようとする課題】ところで,上記従来技術には
次の問題がある。即ち,前者の提案は,過去の実績方案
が主体であり,技術的に進歩が乏しく,またデータの登
録に多大な工数が必要である。後者の場合には湯流れ方
案CAEが主体であり,押し湯に関するCAEが欠如し
ている。
【0005】また,製品の内部に空間部分が設計されて
いる場合には,空間部分を形成するための中子及びこの
中子を支持する幅木が使用され,これらの主型への設置
法が検討される。この場合は特に,製品形状の制約から
湯流れ不良が発生し,引け巣などの製品欠陥が生じ易
い。それを防ぐために押し湯の設計が必要である。この
場合,従来では,中子用の幅木,押し湯位置とその量お
よび堰の設置法などを設計する技能を有する熟練鋳造方
案設計者の存在が不可欠となる。
【0006】特に,押し湯位置及び押し湯量の決定,あ
るいは湯口量の決定等は,鋳型が砂型の場合だけに限ら
ず,金型である場合においても品質の向上に非常に重要
である。そのため,これらを精度よく決定することがで
きる鋳造方案の設計方法及び設計装置の開発が強く望ま
れていた。
【0007】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,押し湯位置及び量あるいは湯口量を精度
よく求めることができる鋳造方案の設計方法及び設計装
置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,鋳物を鋳造する
ための鋳造方案を設計する方法において,押し湯位置及
び押し湯量を決定するに当たり,鋳物形状データ,鋳型
形状データ及び中子形状データを基にして,鋳型全体の
空間を鋳物要素,鋳型要素及び中子要素の微小な要素に
分割すると共に各要素に物性値データを与えるステップ
(1)と,溶湯充填完了時点から全凝固完了時点までに
ついて上記要素の熱伝導解析及び圧力解析を行って,上
記鋳物要素のうち引け巣が生じうる引け巣要素を特定す
るステップ(2)と,上記引け巣要素のうちの一つを出
発要素として,該出発要素の上部に位置する上部要素の
種類を調べ,該上部要素が鋳物要素である場合には新た
にこれを出発要素とし,上記上部要素が中子要素である
場合には上記出発要素に隣接する鋳物要素の一つを新た
な出発要素とし,上記上部要素が鋳型要素である場合に
はこれを押し湯位置に決定するステップ(3)と,上記
引け巣要素における引け巣発生を防止するために追加す
る押し湯の仮押し湯量を決定するステップ(4)と,上
記押し湯位置に隣接する鋳型要素を上記仮押し湯量分だ
け鋳物要素に変換してその物性値データを与え,再び各
要素の熱伝導解析及び圧力解析を行って,上記鋳物要素
に引け巣要素が有るか否かの判断,及び該引け巣要素の
特定を行うステップ(5)と,該ステップ(5)におい
て引け巣要素が有った場合にはその特定された上記引け
巣要素における引け巣発生を防止するために追加する押
し湯の新たな仮押し湯量を決定して上記ステップ(5)
に戻るステップ(6)と,上記ステップ(5)において
引け巣要素が無かった場合には上記仮押し湯量の累積量
を押し湯量に決定するステップ(7)とを有することを
特徴とする鋳造方案の設計方法にある。
【0009】上記ステップ(1)における鋳物形状デー
タ,鋳型形状データ及び中子形状データとしては,種々
のデータ形式のものを用いることができるが,例えば,
国際規格IGES(Initial Graphics Exchange Specif
ication)の機能を介して取り込むことができる。な
お,中空部のない鋳物を作製しようとする場合には,中
子は必要ないので,その中子形状データは実質的に無く
なる。
【0010】また,上記微小要素への分割は,従来から
ある種々の手法を用いることができる。要素の種類とし
ては,上記のごとく鋳物要素,鋳型要素及び中子要素の
3種類であり,内部処理的には,例えば,要素毎に番号
を割り付けて,それにより区別するようにすることがで
きる。また,ここでも,中子が必要ない場合には,中子
要素は実質的に存在しなくなる。また,各要素に与える
物性値データとしては,例えば,熱伝導率,潜熱量など
の,後述の熱伝導解析及び圧力解析に必要な物性値であ
る。
【0011】上記ステップ(2)における熱伝導解析及
び圧力解析は,後述する手法の他,種々の手法がある
が,最終的に上記引け巣発生要素が求まるように行う。
つまり,引け巣発生は,概念的には,充填された溶湯の
うち,内部よりも周囲が先に凝固状態になって内部への
溶湯の補給が閉ざされた場合に起こりやすい。そこで,
周囲,例えば上部よりも凝固状態(溶湯が動けなくなる
状態)になるのが遅い要素を割り出して,それを引け巣
発生要素とすることができる。
【0012】上記ステップ(3)では,上記のごとく,
出発要素を決めて,その上部要素の種類を調べながら探
索する。このとき,上部要素が中子要素である場合に
は,例えば,出発要素の水平方向に隣接する要素を次の
出発要素に決める。
【0013】上記ステップ(4)の仮押し湯量は,後述
するごとく,予め定めた一定値とすることもできるし,
種々の計算により,最初から比較的精度の高い量を求め
て定めることもできる。
【0014】上記ステップ(5)は,鋳物に上記仮押し
湯量分の押し湯を加えた状態で,上記ステップ(2)と
同様の熱伝導解析及び圧力解析を行うものである。この
場合には,押し湯部分に位置する鋳物要素の増加によっ
て,ステップ(2)の場合よりも引け巣要素が減少する
か,消滅する。そのため,このステップ(5)では,鋳
物要素に引け巣要素がいまだ存在するか否かの判断と,
存在する場合の引け巣要素の特定を行う。
【0015】上記ステップ(6)は,上記のステップ
(5)において未だ引け巣要素が存在する結果となった
場合に,さらに押し湯を付加して再度ステップ(5)を
やりなおさせるステップである。このステップ(6)の
存在により,引け巣要素が存在しなくなるまで繰り返し
計算がなされる。
【0016】上記ステップ(7)は,ステップ(5)に
おいて引け巣要素が存在しなくなった際に繰り返し計算
を止めて押し湯量を決定する。この場合,押し湯量は,
上記仮押し湯量の累積量とする。即ち,上記ステップ
(4)により決定された仮押し湯量と,その後ステップ
(6)において新たに算出された仮押し湯量のすべてを
足したものを押し湯量とする。
【0017】なお,本発明の鋳造方案は,押し湯位置及
び押し湯量を決定するに当たり上記7つのステップを用
いるものであるが,これに加えて,湯口量,堰,その他
の部分の方案を併せて設計できるように組み合わせるこ
とも勿論可能である。
【0018】次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明においては,上記のごとく,ステップ(1)〜
(7)を行うことにより,押し湯の位置とその量を決定
することができる。また,本発明の決定に従って押し湯
を設計し,実際に鋳造作業を行った場合には,引け巣の
ない非常に優れた鋳造製品が得られることが,実験的に
も明らかとなった(実施形態例参照)。
【0019】従って,本発明によれば,押し湯位置及び
量を精度よく求めることができる鋳造方案の設計方法を
提供することができる。
【0020】次に,請求項2の発明のように,上記ステ
ップ(2)及びステップ(5)における上記引け巣要素
の特定は,潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行って,各
鋳物要素の溶湯状態から凝固完了するまでの経過時間毎
の温度及び固相率を求め,次いで,該温度及び固相率を
用いた圧力解析を行って各鋳物要素の経過時間毎の圧力
値を求め,次いで,該圧力値と上記固相率とを用いて各
要素における溶湯の流動限界となる限界固相率を経過時
間毎に算出し,次いで,各経過時間毎に上記固相率と限
界固相率とを比較して,上記固相率が上記限界固相率を
超える経過時間を限界時間として求め,各鋳物要素につ
いてその上部要素と上記限界時間を比較して上部要素よ
りも上記限界時間が短い場合を引け巣要素とすることに
より行うことが好ましい。この場合には,精度よく上記
引け巣要素を特定することができる。
【0021】また,請求項3の発明のように,上記ステ
ップ(3)における最初の出発要素は,潜熱放出を考慮
した熱伝導解析を行って,各鋳物要素の溶湯状態から凝
固完了するまでの経過時間が最も長い鋳物要素とするこ
とが好ましい。この場合には,より最適な押し湯位置の
決定を行うことができる。
【0022】また,請求項4の発明のように,上記ステ
ップ(4)及びステップ(6)における上記仮押し湯量
は,所定の一定値とすることができる。この場合には,
仮押し湯量の算出を行う必要がなくなるので,本方法を
採用したシステムを簡略化することができると共に,計
算時間の短縮化を図ることができる。
【0023】また,請求項5の発明のように,上記ステ
ップ(4)及びステップ(6)における上記仮押し湯量
は,潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行って,各鋳物要
素の溶湯状態から凝固完了するまでの経過時間が最も長
い鋳物要素を基準要素とし,該基準要素の上部に位置す
る鋳物要素の固相率がその限界固相率を超えるまでの時
間が上記基準要素の固相率がその限界固相率を超えるま
での時間よりも長くなるのに必要な熱量を供給すること
ができる溶湯量を算出することにより求めることもでき
る。この場合には,前述のように一定値の仮押し湯量を
決定する場合よりも,仮押し湯量の精度を向上させるこ
とができる。また,上記基準要素の上部の要素だけにつ
いて考慮して仮押し湯量の算出を行うので,計算時間の
大幅な増加を回避することができる。
【0024】また,請求項6の発明のように,上記ステ
ップ(4)及びステップ(6)における上記仮押し湯量
は,各引け巣発生要素の上部に位置する鋳物要素の固相
率がその限界固相率を超えるまでの時間が上記各引け巣
発生要素の固相率がその限界固相率を超えるまでの時間
よりも長くなるのに必要な熱量の総和量を供給すること
ができる溶湯量を算出することにより求めることもでき
る。この場合には,すべての引け巣要素の上部に位置す
る要素について考慮するために,仮押し湯量の算出精度
を非常に高めることができる。そのため,上記ステップ
(5)の繰り返し計算の回数を減少させることができ
る。ただし,この場合には,仮押し湯量の算出時間があ
る程度長くなるおそれがある。
【0025】次に,請求項7の発明は,鋳物を鋳造する
ための鋳造方案を設計する方法において,湯口量を決定
するに当たり,鋳物形状データ,鋳型形状データ及び中
子形状データを基にして,鋳型全体の空間を鋳物要素,
鋳型要素及び中子要素の微小な要素に分割すると共に各
要素に物性値データを与えるステップ(1)と,予め決
められた湯口位置から溶湯注入を開始した時点から溶湯
充填完了時点までについて上記要素の熱伝導解析及び圧
力解析を行い,上記鋳物要素のうち湯回り不良が生じう
る湯回り不良要素を特定するステップ(2)と,上記湯
回り不良要素における湯回り不良発生を防止するための
仮湯口量を決定するステップ(3)と,上記湯口に上記
仮湯口量分だけ鋳物要素を加えてその物性値データを与
え,再び各要素の熱伝導解析及び圧力解析を行って,上
記鋳物要素に湯回り不良要素が有るか否かの判断,及び
該湯回り不良要素の特定を行うステップ(4)と,該ス
テップ(4)において湯回り不良要素が有った場合には
その特定された上記湯回り不良要素における湯回り不良
発生を防止するための新たな仮湯口量を算出して上記ス
テップ(4)に戻るステップ(5)と,上記ステップ
(4)において湯回り不良要素が無かった場合には上記
仮湯口量の累積量を湯口量に決定するステップ(6)と
を有することを特徴とする鋳造方案の設計方法にある。
【0026】上記ステップ(1)における鋳物形状デー
タ,鋳型形状データ及び中子形状データとしては,上記
の請求項1の発明の場合と同様に,種々のデータ形式の
ものを用いることができる。また,上記微小要素への分
割としても,従来からある種々の手法を用いることがで
きる。
【0027】上記ステップ(2)における熱伝導解析及
び圧力解析は,後述する手法の他,種々の手法がある
が,最終的に上記湯回り不良要素が求まるように行う。
つまり,湯回り不良の発生は,概念的には,充填が完了
するまでに凝固状態になる部分があればそれよりも先の
キャビティへの溶湯充填が不十分となって起こりやす
い。そこで,溶湯注入開始から充填完了までの間に凝固
状態(溶湯が動けなくなる状態)に達する要素を湯回り
不良要素とすることができる。
【0028】上記ステップ(3)の仮湯口量は,後述す
るごとく,予め定めた一定値とすることもできるし,種
々の計算により,最初から比較的精度の高い量を求めて
定めることもできる。
【0029】上記ステップ(4)は,鋳物の湯口に上記
仮湯口量分の湯口を追加した状態で,上記ステップ
(2)と同様の熱伝導解析及び圧力解析を行うものであ
る。この場合には,湯口における鋳物要素の増加によっ
て,ステップ(2)の場合よりも湯回り不良要素が減少
するか,消滅する。そのため,このステップ(4)で
は,鋳物要素に湯回り不良要素がいまだ存在するか否か
の判断と,存在する場合の湯回り不良要素の特定を行
う。
【0030】上記ステップ(5)は,上記のステップ
(4)において未だ湯回り不良要素が存在する結果とな
った場合に,さらに湯口量を付加して再度ステップ
(4)をやりなさせるステップである。このステップ
(5)の存在により,湯回り不良要素が存在しなくなる
まで繰り返し計算がなされる。
【0031】上記ステップ(6)は,ステップ(4)に
おいて湯回り不良要素が存在しなくなった際に繰り返し
計算を止めて湯口量を決定する。この場合,湯口量は,
上記仮湯口量の累積量とする。即ち,上記ステップ
(3)により決定された仮湯口量と,その後ステップ
(4)において新たに算出された仮湯口量のすべてを足
したものを湯口量とする。
【0032】なお,本鋳造方案は,湯口量を決定するに
当たり上記6つのステップを用いるものであるが,これ
に加えて,押し湯位置及び押し湯量,堰,その他の部分
の方案を併せて設計できるように組み合わせることも勿
論可能である。
【0033】次に,本鋳造方案の作用効果につき説明す
る。本発明においては,上記のごとく,ステップ(1)
〜(6)を行うことにより,最適な湯口量を容易に決定
することができる。また,本発明の決定に従って湯口量
を設計し,実際に鋳造作業を行った場合には,湯流れ不
良のない非常に優れた鋳造製品が得られることが,実験
的にも明らかとなった(実施形態例参照)。
【0034】従って,本発明によれば,湯口量を精度よ
く求めることができる鋳造方案の設計方法を提供するこ
とができる。
【0035】次に,請求項8の発明のように,上記ステ
ップ(2)及びステップ(4)における上記湯回り不良
要素の特定は,潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行っ
て,上記溶湯注入を開始した時点から溶湯充填完了時点
までの経過時間毎の各鋳物要素の温度及び固相率を求
め,次いで,該温度及び固相率を用いた圧力解析を行っ
て各鋳物要素の経過時間毎の圧力値を求め,次いで,該
圧力値と上記固相率とを用いて各要素における溶湯の湯
回り限界となる湯回り限界固相率を経過時間毎に算出
し,次いで,各経過時間毎に上記固相率と湯回り限界固
相率とを比較して,全経過時間内において上記固相率が
上記湯回り限界固相率を超えることがある鋳物要素を湯
回り不良要素とすることにより行うことが好ましい。こ
の場合には精度よく上記湯回り不良要素を特定すること
ができる。
【0036】次に,請求項9の発明のように,上記ステ
ップ(3)及びステップ(5)における上記仮湯口量
は,所定の一定値とすることができる。また,請求項1
0の発明のように,上記ステップ(3)及びステップ
(5)における上記仮湯口量は,各湯回り不良要素の固
相率がその湯回り限界固相率を超えることがないように
するために必要な熱量の総和量を供給することができる
溶湯量を算出することにより求めることもできる。
【0037】また,請求項11の発明のように,上記湯
口位置は,鋳物形状データ,鋳型形状データ及び中子形
状データを基にして,鋳型全体の空間を鋳物要素,鋳型
要素及び中子要素の微小な要素に分割すると共に各要素
に物性値データを与えるステップ(7)と,溶湯充填完
了時点から凝固完了までについて上記要素の熱伝導解析
及び圧力解析を行って,上記鋳物要素のうち引け巣が生
じうる引け巣要素を特定するステップ(8)と,上記引
け巣要素のうちの一つを出発要素として,該出発要素の
上部に位置する上部要素の種類を調べ,該上部要素が鋳
物要素である場合には新たにこれを出発要素とし,上記
上部要素が中子要素である場合には上記出発要素に隣接
する鋳物要素の一つを新たな出発要素とし,上記上部要
素が鋳型要素である場合にはこれを押し湯位置に決定す
るステップ(9)とを行って予め得られた上記押し湯位
置と同じ位置とすることができる。この場合には,押し
湯位置と湯口位置の兼用化により,鋳型構造を簡単にす
ることができる。
【0038】また,請求項12の発明は,鋳物を鋳造す
るための鋳造方案を設計する装置において,鋳物形状デ
ータ,鋳型形状データ及び中子形状データを基にして,
鋳型全体の空間を鋳物要素,鋳型要素及び中子要素の微
小な要素に分割すると共に各要素に物性値データを与え
る要素分割手段と,溶湯充填完了時点から全凝固完了時
点までについて上記要素の熱伝導解析及び圧力解析を行
って,上記鋳物要素のうち引け巣が生じうる引け巣要素
を特定する第1引け巣判定手段と,上記引け巣要素のう
ちの一つを出発要素として,該出発要素の上部に位置す
る上部要素の種類を調べ,該上部要素が鋳物要素である
場合には新たにこれを出発要素とし,上記上部要素が中
子要素である場合には上記出発要素に隣接する鋳物要素
の一つを新たな出発要素とし,上記上部要素が鋳型要素
である場合にはこれを押し湯位置に決定する押し湯位置
決定手段と,上記引け巣要素における引け巣発生を防止
するために追加する押し湯の仮押し湯量を決定する仮押
し湯量決定手段と,上記押し湯位置に隣接する鋳型要素
を上記仮押し湯量分だけ鋳物要素に変換してその物性値
データを与え,再び各要素の熱伝導解析及び圧力解析を
行って,上記鋳物要素に引け巣要素が有るか否かの判
断,及び該引け巣要素の特定を行う第2引け巣判定手段
と,該第2引け巣判定手段において引け巣要素が有った
場合にはその特定された上記引け巣要素における引け巣
発生を防止するための押し湯の新たな仮押し湯量を決定
して上記第2引け巣判定手段に再び戻すリターン手段
と,上記第2引け巣判定手段において引け巣要素が無か
った場合には上記仮押し湯量の累積量を押し湯量に決定
する押し湯量決定手段とを有することを特徴とする鋳造
方案の設計装置にある。
【0039】この設計装置を用いれば,上記の優れた設
計方法を容易に実行することができ,押し湯位置及び量
を精度よく求めることができる。
【0040】また,請求項13の発明のように,上記第
1引け巣判定手段及び第2引け巣判定手段における上記
引け巣要素の特定は,潜熱放出を考慮した熱伝導解析を
行って,各鋳物要素の溶湯状態から凝固完了するまでの
経過時間毎の温度及び固相率を求め,次いで,該温度及
び固相率を用いた圧力解析を行って各鋳物要素の経過時
間毎の圧力値を求め,次いで,該圧力値と上記固相率と
を用いて各要素における溶湯の流動限界となる限界固相
率を経過時間毎に算出し,次いで,各経過時間毎に上記
固相率と限界固相率とを比較して,上記固相率が上記限
界固相率を超える経過時間を限界時間として求め,各鋳
物要素についてその上部要素と上記限界時間を比較して
上部要素よりも上記限界時間が短い場合を引け巣要素と
することにより行うことが好ましい。
【0041】また,請求項14の発明のように,上記押
し湯位置決定手段における最初の出発要素は,潜熱放出
を考慮した熱伝導解析を行って,各鋳物要素の溶湯状態
から凝固完了するまでの経過時間が最も長い鋳物要素と
することが好ましい。
【0042】また,請求項15の発明のように,上記仮
押し湯量決定手段及び第2引け巣判定手段における上記
仮押し湯量は,所定の一定値とすることができる。ま
た,請求項16の発明のように,上記仮押し湯量決定手
段及び第2引け巣判定手段における上記仮押し湯量は,
潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行って,各鋳物要素の
溶湯状態から凝固完了するまでの経過時間が最も長い鋳
物要素を基準要素とし,該基準要素の上部に位置する鋳
物要素の固相率が限界固相率を超えるまでの時間が上記
基準要素の固相率が限界固相率を超えるまでの時間より
も長くなるのに必要な熱量を供給することができる溶湯
量を算出することにより求めることができる。さらに,
請求項17の発明のように,上記仮押し湯量決定手段及
び第2引け巣判定手段における上記仮押し湯量は,各引
け巣発生要素の上部に位置する鋳物要素の固相率が限界
固相率を超えるまでの時間が上記各引け巣発生要素の固
相率が限界固相率を超えるまでの時間よりも長くなるの
に必要な熱量の総和量を供給することができる溶湯量を
算出することにより求めることもできる。
【0043】次に,請求項18の発明は,鋳物を鋳造す
るための鋳造方案を設計する装置において,鋳物形状デ
ータ,鋳型形状データ及び中子形状データを基にして,
鋳型全体の空間を鋳物要素,鋳型要素及び中子要素の微
小な要素に分割すると共に各要素に物性値データを与え
る要素分割手段と,予め決められた湯口位置から溶湯注
入を開始した時点から溶湯充填完了時点までについて上
記要素の熱伝導解析及び圧力解析を行い,上記鋳物要素
のうち湯回り不良が生じうる湯回り不良要素を特定する
第1湯回り不良判定手段と,上記湯回り不良要素におけ
る湯回り不良発生を防止するための仮湯口量を決定する
仮湯口量決定手段と,上記湯口に上記仮湯口量分だけ鋳
物要素を加えてその物性値データを与え,再び各要素の
熱伝導解析及び圧力解析を行って,上記鋳物要素に湯回
り不良要素が有るか否かの判断,及び該湯回り不良要素
の特定を行う第2湯回り不良判定手段と,該第2湯回り
不良判定手段において湯回り不良要素が有った場合には
その特定された上記湯回り不良要素における湯回り不良
発生を防止するための新たな仮湯口量を算出して上記第
2湯回り不良判定手段に再び戻すリターン手段と,上記
第2湯回り不良判定手段において湯回り不良要素が無か
った場合には上記仮湯口量の累積量を湯口量に決定する
湯口量決定手段とを有することを特徴とする鋳造方案の
設計装置がある。
【0044】この設計装置を用いれば,上記の優れた設
計方法を容易に実行することができ,湯口量を精度よく
求めることができる。
【0045】また,請求項19の発明のように,上記第
1湯回り不良判定手段及び第2湯回り不良判定手段にお
ける上記湯回り不良要素の特定は,潜熱放出を考慮した
熱伝導解析を行って,上記溶湯注入を開始した時点から
溶湯充填完了時点までの経過時間毎の各鋳物要素の温度
及び固相率を求め,次いで,該温度及び固相率を用いた
圧力解析を行って各鋳物要素の経過時間毎の圧力値を求
め,次いで,該圧力値と上記固相率とを用いて各要素に
おける溶湯の湯回り限界となる湯回り限界固相率を経過
時間毎に算出し,次いで,各経過時間毎に上記固相率と
湯回り限界固相率とを比較して,全経過時間内において
上記固相率が上記湯回り限界固相率を超える鋳物要素を
湯回り不良要素とすることにより行うことが好ましい。
【0046】また,請求項20の発明のように,上記仮
湯口量決定手段及び第2湯回り不良判定手段における上
記仮湯口量は,所定の一定値とすることができる。ま
た,請求項21の発明のように,上記仮湯口量決定手段
及び第2湯回り不良判定手段における上記仮湯口量は,
各湯回り不良要素の固相率が湯回り限界固相率を超える
ことがないようにするために必要な熱量の総和量を供給
することができる溶湯量を算出することにより求めるこ
ともできる。
【0047】また,請求項22の発明のように,上記湯
口位置は,鋳物形状データ,鋳型形状データ及び中子形
状データを基にして,鋳型全体の空間を鋳物要素,鋳型
要素及び中子要素の微小な要素に分割すると共に各要素
に物性値データを与える要素分割手段と,溶湯充填完了
時点から凝固完了までについて上記要素の熱伝導解析及
び圧力解析を行って,上記鋳物要素のうち引け巣が生じ
うる引け巣要素を特定する引け巣判定手段と,上記引け
巣要素のうちの一つを出発要素として,該出発要素の上
部に位置する上部要素の種類を調べ,該上部要素が鋳物
要素である場合には新たにこれを出発要素とし,上記上
部要素が中子要素である場合には上記出発要素に隣接す
る鋳物要素の一つを新たな出発要素とし,上記上部要素
が鋳型要素である場合にはこれを押し湯位置に決定する
押し湯位置決定手段とを行って予め得られた上記押し湯
位置と同じ位置とする湯口位置決定手段を有することが
好ましい。
【0048】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる鋳造方案の設計方法及び設
計装置につき,図1〜図8を用いて説明する。本例で
は,図2に示す鋳物1を製造するための鋳造方案におけ
る,押し湯位置及び量の設計を行った。そして,得られ
た鋳造方案に従った鋳物の作製例(実施例E1),押し
湯を設けなかった場合及び得られた鋳造方案と異なる方
法で押し湯を設置して鋳物を作製した例(比較例C1〜
C3)を実施した。鋳物1は,図2に示すごとく,中央
に直方体状の中空部10を有し,上面及び下面にそれぞ
れ厚肉部11,12を有する形状を呈している。
【0049】また,本例では,鋳物としては,AC4C
合金(6.86wt%Si,0.06wt%Cu,残り
Al)の実用亜共晶アルミニウム合金とした。このアル
ミニウム合金の熱伝導率は126W/(m・K),密度
は2.7mg/m3,粘性係数は2.4cPである。ま
た,鋳型としては,型全体と中子の両方とも,レジンで
コーティングした砂型(熱伝導率0.9W/(m・
K),比熱0.8kJ/(kg・K),密度1.6mg
/m3)を用いた。また,溶湯温度は,充填終了時の平
均温度が620℃となるようにした。
【0050】(実施例E1)実施例E1の鋳造方案の設
計装置としては,上記各手段を備えたコンピュータを用
い,次のように行った。図1に示したフローチャートに
示すごとく,まず,ステップS1において鋳物形状デー
タ,鋳型形状データ及び中子形状データを3次元ソリッ
ドデータとして入力する。
【0051】次いで,ステップS2において,要素分割
手段により,入力された上記データを基にして,鋳型全
体の空間を鋳物要素,鋳型要素及び中子要素の微小な要
素に分割すると共に各要素に物性値データを与える。本
例では,図形上の差分法から要素分割した。また,物性
値データとしては,熱伝導率,密度,粘性係数,比熱を
用いた。
【0052】次に,ステップS3において,第1引け巣
判定手段を用い,溶湯充填完了時点から全凝固完了時点
までについて上記要素の熱伝導解析及び圧力解析を行っ
て,上記鋳物要素のうち引け巣が生じうる引け巣要素を
特定する。具体的には,下式[数1]に従って,各要素
の潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行って,各鋳物要素
の溶湯状態から凝固完了するまでの経過時間毎の温度を
求める。次いで,下式[数2]に従って固相率fsを算
出する。
【0053】
【数1】
【0054】
【数2】
【0055】次いで,該温度及び固相率を用いた圧力解
析を行って,下式[数3]に従って各鋳物要素の経過時
間毎の圧力値Pを求める。
【0056】
【数3】
【0057】次いで,下式[数4]に従って,該圧力値
と上記固相率とを用いて各要素における溶湯の流動限界
となる限界固相率Dfsを経過時間毎に算出する。
【0058】
【数4】
【0059】次いで,各経過時間毎に上記固相率fsと
限界固相率Dfsとを比較して,上記固相率fsが上記
限界固相率Dfsを超える経過時間を限界時間として求
め,各鋳物要素についてその上部要素と上記限界時間を
比較して上部要素よりも上記限界時間が短い場合を引け
巣要素とする。
【0060】次に,ステップS4において,押し湯位置
決定手段により押し湯位置を決める。具体的には,ま
ず,上記ステップS3における潜熱放出を考慮した熱伝
導解析の結果,各鋳物要素の溶湯状態から凝固完了する
までの経過時間が最も長い鋳物要素を出発要素に決め
る。そして,出発要素の上部に位置する上部要素の種類
を調べ,該上部要素が鋳物要素である場合には新たにこ
れを出発要素とし,上記上部要素が中子要素である場合
には上記出発要素に水平方向に隣接する鋳物要素の一つ
を新たな出発要素とし,上記上部要素が鋳型要素である
場合にはこれを押し湯位置に決定する。
【0061】次に,ステップS5において,仮押し湯量
決定手段により,上記引け巣要素における引け巣発生を
防止するために追加する押し湯の仮押し湯量を決定す
る。本例では,各引け巣発生要素の上部に位置する鋳物
要素の固相率fsがその限界固相率Dfsを超えるまで
の時間が上記各引け巣発生要素の固相率fsがその限界
固相率Dfsを超えるまでの時間よりも長くなるのに必
要な熱量qの総和量Σqを供給することができる溶湯量
を算出することにより求める。具体的には,上記上部要
素のfs,Dfsを用いて下式[数5][数6]に従っ
て求める。
【0062】
【数5】
【0063】
【数6】
【0064】次に,ステップS6において,第2引け巣
判定手段を用い,上記押し湯位置に隣接する鋳型要素を
上記仮押し湯量分だけ鋳物要素に変換してその物性値デ
ータを与え,再び各要素の熱伝導解析及び圧力解析を行
って,上記鋳物要素に引け巣が生じうる引け巣要素が有
るか否かの判断,及び該引け巣要素の特定を行う。
【0065】次に,ステップS7においては,上記ステ
ップS6において引け巣要素が有った場合には,リター
ン手段を用いて,その特定された上記引け巣要素におけ
る引け巣発生を防止するために追加する押し湯の新たな
仮押し湯量を決定して上記ステップS6に戻る。このと
きの仮押し湯量の決定は上記ステップS5の場合と同様
の方法により行う。
【0066】一方,ステップS7においては,引け巣要
素が無かった場合にはステップS8に移り,押し湯決定
手段を用いて上記仮押し湯量の累積量を押し湯量に決定
し,ステップS9において終了する。
【0067】次に,上記のごとく求めた鋳造方案に従っ
て押し湯を付加した鋳物モデル5の形状を図3に示す。
同図に示すごとく,鋳物10の上部には,鋳物体積の1
/8の容積の押し湯2が必要であることがわかった。こ
の鋳造方案に従って実際に押し湯2を設けて作製した鋳
物1が実施例E1であり,これを図4に示す。同図より
知られるごとく,ガス巣8は発生したものの,引け巣は
全く発生しなかった。
【0068】(比較例C1)比較例C1は,押し湯を設
けない例である。この場合の引け巣9の発生は,上記鋳
造方案設計時のステップS3の結果によって予想するこ
とができる。これの鋳物モデル5を図5(a)に示す。
同図に示すごとく,上記ステップS3の結果によれば,
鋳物の下面側の厚肉部12の基部に引け巣9が生じるこ
とが予想される。これに対し,実際に押し湯無しで作製
した鋳物1を図5(b)に示す。同図より知られるごと
く,予想通りの位置に引け巣9が発生することがわか
る。なお,この場合にもガス巣8が発生した。
【0069】(比較例C2)比較例C2は,図6に示す
ごとく,押し湯2の位置を実施例E1の場合と変更した
鋳物モデル5となるように鋳造方案を設計した例であ
る。この場合に実際に得られた鋳物1には,図7に示す
ごとく,引け巣9が小さくはなったものの依然残存し
た。
【0070】(比較例C3)比較例C3は,押し湯2の
量を実施例E1の場合よりも少なくし,鋳物体積の1/
9とした例である。この場合に実際に得られた鋳物1に
は,図8に示すごとく,引け巣9が小さくはなったもの
の依然残存した。
【0071】実施形態例2 本例では,図11に示すごとく,実施形態例1の場合と
鋳型の構成を変更し,型の上部と中子を上記と同様のレ
ジンでコーティングした砂型61(熱伝導率0.9W/
(m・K),比熱0.8kJ/(kg・K),密度1.
6mg/m3)を用い,型の下面には炭素鋼材よりなる
型62(熱伝導率40W/(m・K),比熱0.5kJ
/(kg・K),密度7.86mg/m3)を用いた。
そして,実施形態例1と同様の鋳造方案の設計方法に従
って押し湯位置及び量の設計を行い,得られた鋳造方案
に従った鋳物の作製例(実施例E2),押し湯を設けな
かった場合及び得られた鋳造方案と異なる方法で押し湯
を設置して鋳物を作製した例(比較例C4〜C6)を実
施した。
【0072】(実施例E2)鋳造方案に従って押し湯を
付加した鋳物モデル5の形状を図9に示す。同図に示す
ごとく,鋳物10の上部には,鋳物体積の1/10の容
積の押し湯2が必要であることがわかった。この鋳造方
案に従って実際に作製した鋳物1(実施例E2)を図1
0に示す。同図より知られるごとく,ガス巣8は発生し
たものの,引け巣は全く発生しなかった。
【0073】(比較例C4)比較例C4は,押し湯を設
けない例である。この場合の引け巣9の発生は,上記鋳
造方案設計時のステップS3の結果によって予想するこ
とができる。この予想された鋳物モデル5を図11
(a)に示す。同図に示すごとく,上記ステップS3の
結果によれば,鋳物1の下面側の厚肉部12の基部に引
け巣9が生じることが予想される。これに対し,実際に
押し湯無しで作製した鋳物1を図11(b)に示す。同
図より知られるごとく,予想通りの位置に引け巣9が発
生することがわかる。なお,この場合にも若干ガス巣8
は生じた。
【0074】(比較例C5)比較例C5は,図12(図
6参照)に示すごとく,押し湯2の位置を実施例E2の
場合と変更した例である。この場合に得られた鋳物に
は,図12に示すごとく,引け巣9が小さくはなったも
のの依然残存した。
【0075】(比較例C6)比較例C6は,押し湯の量
を実施例E2の場合よりも少なくし,鋳物体積の1/1
1とした例である。この場合に得られた鋳物1には,図
13に示すごとく,引け巣9が小さくはなったものの依
然残存した。
【0076】実施形態例3 本例においては,実施形態例1の実施例E1と同様の鋳
造方案を用いて,溶湯温度600℃,溶湯流入速度1m
/sの場合に生じる湯回り不良の対策例について説明す
る。本例では,あらためて湯口量を求めるため,新たに
鋳造方案の設計を行った。そして,得られた鋳造方案に
従った湯口量で作製した鋳物の作製例(実施例E3),
その他の鋳造方案で鋳物を作製した例(比較例C7〜C
9)を実施した。
【0077】(実施例E3)実施例E3の鋳造方案の設
計装置としては,上記各手段を備えたコンピュータを用
い,次のように行った。図14に示したフローチャート
に示すごとく,まず,ステップS21において鋳物形状
データ,鋳型形状データ及び中子形状データを3次元ソ
リッドデータとして入力する。
【0078】次いで,ステップS22において,要素分
割手段により,入力された上記データを基にして,鋳型
全体の空間を鋳物要素,鋳型要素及び中子要素の微小な
要素に分割すると共に各要素に物性値データを与える。
本例では,図形上の差分法から要素分割した。また,物
性値データとしては,熱伝導率,密度,粘性係数,比熱
を用いた。
【0079】次に,ステップS23において,第1湯回
り不良判定手段を用い,上記実施例E1の押し湯位置を
湯口位置として,ここから溶湯注入を開始した時点から
溶湯充填完了時点までについて上記要素の熱伝導解析及
び圧力解析を行い,上記鋳物要素のうち湯回り不良が生
じうる湯回り不良要素を特定する。具体的には,上述の
式[数1]に従って,各要素の潜熱放出を考慮した熱伝
導解析を行って,各鋳物要素の溶湯状態から凝固完了す
るまでの経過時間毎の温度を求める。次いで,この温度
から,上述の式[数2]に従って固相率fsを算出す
る。
【0080】次いで,該温度及び固相率を用いた圧力解
析を行って,上述の式[数3]に従って各鋳物要素の経
過時間毎の圧力値Pを求める。次いで,下式[数7]に
従って,該圧力値Pと上記固相率fsとを用いて各要素
における溶湯の湯回り限界となる湯回り限界固相率YD
fsを経過時間毎に算出する。
【0081】
【数7】
【0082】次いで,各経過時間毎に上記固相率fsと
湯回り限界固相率YDfsとを比較して,全経過時間内
において上記固相率fsが上記湯回り限界固相率YDf
sを超えることがある鋳物要素を湯回り不良要素とす
る。
【0083】次に,ステップS24において,仮湯口量
決定手段を用いて,上記湯回り不良要素における湯回り
不良発生を防止するための仮湯口量を決定する。本例で
は,各湯回り不良要素の固相率fsがその湯回り限界固
相率YDfsを超えることがないようにするために必要
な熱量qの総和量Σqを供給することができる溶湯量を
算出することにより求める。具体的には,下式[数8]
[数9]に従って求める。
【0084】
【数8】
【0085】
【数9】
【0086】次に,ステップS25において,第2湯回
り不良判定手段を用い,上記湯口に上記仮湯口量分だけ
鋳物要素を加えてその物性値データを与え,再び各要素
の熱伝導解析及び圧力解析を行って,上記鋳物要素に湯
回り不良要素が有るか否かの判断,及び該湯回り不良要
素の特定を行う。
【0087】次に,ステップS26においては,上記ス
テップS25において湯回り不良要素が有った場合に
は,リターン手段を用いて,その特定された上記湯回り
不良要素における湯回り不良発生を防止するための新た
な仮湯口量を算出して上記ステップS25に戻る。この
ときの仮湯口量の決定は上記ステップS24の場合と同
様の方法により行う。
【0088】一方,ステップS26においては,湯回り
不良要素が無かった場合にはステップS27に移り,上
記仮湯口量の累積量を湯口量に決定するし,ステップS
28において終了する。
【0089】次に,上記のごとく求めた鋳造方案に従っ
て得られた湯口量は,本例では押し湯の高さによって示
され,鋳物高さh(図2)の1.8倍となった。この鋳
造方案に従って実際に作製した鋳物1が実施例E3であ
り,これは,注湯条件を上記のごとく,湯温度600
℃,溶湯流入速度1m/sとしても,湯回り不良が全く
発生しなかった(図示略)。
【0090】(比較例C7)比較例C7は,湯口高さ
(押し湯高さ)を実施例E1のままにして,注湯条件を
上記実施例E3と同様とした例である。この場合の湯流
れ不良7の発生は,上記鋳造方案設計時のステップS2
3の結果によって予想することができる。この予想され
た鋳物モデル5を図15(a)〜(d)に示す。同図に
示すごとく,上記ステップS23の結果によれば,鋳物
の上面側の厚肉部11の上端部に湯回り不良7が生じる
ことが予想される。これに対し,実際に押し湯無しで作
製した鋳物1を図16に示す。同図より知られるごと
く,予想通りの位置に湯回り不良7が発生することがわ
かる。
【0091】(比較例C8)比較例C8は,湯口量の増
加を行わず,即ち押し湯の設置をせずに,一般的な湯回
り不良対策である注湯温度を高める(600℃から68
0℃)例である。この場合に得られた鋳物1には,図1
7に示すごとく,湯回り不良の発生は認められなかった
が,引け巣9とガス巣8が多発した。引け巣の発生は,
注湯温度の増加による凝固時の温度分布が変化したこ
と,ガス巣の発生は,注湯温度の増加により燃焼して発
生する中子ガス圧が増加すること,または溶湯中の水素
の量が増加すること等が原因であると考えられる。
【0092】(比較例C9)比較例C9は,湯口量の増
加を行わず,即ち押し湯の設置をせずに,一般的な湯回
り不良対策である注湯速度の増加(2m/s)の例であ
る。この場合に得られた鋳物1には,図18に示すごと
く,湯回り不良の発生は認められなかった。しかしガス
巣8が鋳物全体に発生した。これは,注湯速度の増加か
ら溶湯充填時に鋳型内の空気を巻き込み,それが残存し
たためであると考えられ。
【0093】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,本発明
は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,押し
湯位置及び量あるいは湯口量を精度よく求めることがで
きる鋳造方案の設計方法及び設計装置を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,鋳造方案の設計方法の
フローチャート。
【図2】実施形態例1における,鋳物形状を示す,
(a)上面図,(b)側面図,(c)A−A線矢視断面
図。
【図3】実施形態例1における,実施例E1の鋳造方案
を示す,(a)上面図,(b)側面図,(c)A−A線
矢視断面図。
【図4】実施形態例1における,実施例E1の鋳造品質
を示す説明図。
【図5】実施形態例1における,比較例C1の,(a)
引け巣発生位置予想図,(b)鋳造品質を示す説明図。
【図6】実施形態例1における,比較例C2の鋳造方案
を示す,(a)上面図,(b)側面図,(c)A−A線
矢視断面図。
【図7】実施形態例1における,比較例C2の鋳造品質
を示す説明図。
【図8】実施形態例1における,比較例C3の鋳造品質
を示す説明図。
【図9】実施形態例2における,実施例E2の鋳造方案
を示す,(a)上面図,(b)側面図,(c)A−A線
矢視断面図。
【図10】実施形態例2における,実施例E2の鋳造品
質を示す説明図。
【図11】実施形態例2における,比較例C4の,
(a)引け巣発生位置予想図,(b)鋳造品質を示す説
明図。
【図12】実施形態例2における,比較例C5の鋳造品
質を示す説明図。
【図13】実施形態例2における,比較例C6の鋳造品
質を示す説明図。
【図14】実施形態例3における,鋳造方案の設計方法
のフローチャート。
【図15】実施形態例3における,湯回り不良位置を予
想した(a)上面図,(b)側面図,(c)A−A線矢
視断面図。
【図16】実施形態例3における,比較例C7の鋳造品
質を示す説明図。
【図17】実施形態例3における,比較例C8の鋳造品
質を示す説明図。
【図18】実施形態例3における,比較例C9の鋳造品
質を示す説明図。
【符号の説明】
1...鋳物, 10...中空部, 11,12...厚肉部, 2...押し湯, 7...湯回り不良, 8...ガス巣, 9...引け巣,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩堀 弘昭 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4E093 PB15 5B046 AA05 DA02 JA07 JA09

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳物を鋳造するための鋳造方案を設計す
    る方法において,押し湯位置及び押し湯量を決定するに
    当たり,鋳物形状データ,鋳型形状データ及び中子形状
    データを基にして,鋳型全体の空間を鋳物要素,鋳型要
    素及び中子要素の微小な要素に分割すると共に各要素に
    物性値データを与えるステップ(1)と,溶湯充填完了
    時点から全凝固完了時点までについて上記要素の熱伝導
    解析及び圧力解析を行って,上記鋳物要素のうち引け巣
    が生じうる引け巣要素を特定するステップ(2)と,上
    記引け巣要素のうちの一つを出発要素として,該出発要
    素の上部に位置する上部要素の種類を調べ,該上部要素
    が鋳物要素である場合には新たにこれを出発要素とし,
    上記上部要素が中子要素である場合には上記出発要素に
    隣接する鋳物要素の一つを新たな出発要素とし,上記上
    部要素が鋳型要素である場合にはこれを押し湯位置に決
    定するステップ(3)と,上記引け巣要素における引け
    巣発生を防止するために追加する押し湯の仮押し湯量を
    決定するステップ(4)と,上記押し湯位置に隣接する
    鋳型要素を上記仮押し湯量分だけ鋳物要素に変換してそ
    の物性値データを与え,再び各要素の熱伝導解析及び圧
    力解析を行って,上記鋳物要素に引け巣要素が有るか否
    かの判断,及び該引け巣要素の特定を行うステップ
    (5)と,該ステップ(5)において引け巣要素が有っ
    た場合にはその特定された上記引け巣要素における引け
    巣発生を防止するために追加する押し湯の新たな仮押し
    湯量を決定して上記ステップ(5)に戻るステップ
    (6)と,上記ステップ(5)において引け巣要素が無
    かった場合には上記仮押し湯量の累積量を押し湯量に決
    定するステップ(7)とを有することを特徴とする鋳造
    方案の設計方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記ステップ(2)
    及びステップ(5)における上記引け巣要素の特定は,
    潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行って,各鋳物要素の
    溶湯状態から凝固完了するまでの経過時間毎の温度及び
    固相率を求め,次いで,該温度及び固相率を用いた圧力
    解析を行って各鋳物要素の経過時間毎の圧力値を求め,
    次いで,該圧力値と上記固相率とを用いて各要素におけ
    る溶湯の流動限界となる限界固相率を経過時間毎に算出
    し,次いで,各経過時間毎に上記固相率と限界固相率と
    を比較して,上記固相率が上記限界固相率を超える経過
    時間を限界時間として求め,各鋳物要素についてその上
    部要素と上記限界時間を比較して上部要素よりも上記限
    界時間が短い場合を引け巣要素とすることにより行うこ
    とを特徴とする鋳造方案の設計方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において,上記ステップ(3)
    における最初の出発要素は,潜熱放出を考慮した熱伝導
    解析を行って,各鋳物要素の溶湯状態から凝固完了する
    までの経過時間が最も長い鋳物要素とすることを特徴と
    する鋳造方案の設計方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
    上記ステップ(4)及びステップ(6)における上記仮
    押し湯量は,所定の一定値とすることを特徴とする鋳造
    方案の設計方法。
  5. 【請求項5】 請求項2又は3において,上記ステップ
    (4)及びステップ(6)における上記仮押し湯量は,
    潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行って,各鋳物要素の
    溶湯状態から凝固完了するまでの経過時間が最も長い鋳
    物要素を基準要素とし,該基準要素の上部に位置する鋳
    物要素の固相率がその限界固相率を超えるまでの時間が
    上記基準要素の固相率がその限界固相率を超えるまでの
    時間よりも長くなるのに必要な熱量を供給することがで
    きる溶湯量を算出することにより求めることを特徴とす
    る鋳造方案の設計方法。
  6. 【請求項6】 請求項2又は3において,上記ステップ
    (4)及びステップ(6)における上記仮押し湯量は,
    各引け巣発生要素の上部に位置する鋳物要素の固相率が
    その限界固相率を超えるまでの時間が上記各引け巣発生
    要素の固相率がその限界固相率を超えるまでの時間より
    も長くなるのに必要な熱量の総和量を供給することがで
    きる溶湯量を算出することにより求めることを特徴とす
    る鋳造方案の設計方法。
  7. 【請求項7】 鋳物を鋳造するための鋳造方案を設計す
    る方法において,湯口量を決定するに当たり,鋳物形状
    データ,鋳型形状データ及び中子形状データを基にし
    て,鋳型全体の空間を鋳物要素,鋳型要素及び中子要素
    の微小な要素に分割すると共に各要素に物性値データを
    与えるステップ(1)と,予め決められた湯口位置から
    溶湯注入を開始した時点から溶湯充填完了時点までにつ
    いて上記要素の熱伝導解析及び圧力解析を行い,上記鋳
    物要素のうち湯回り不良が生じうる湯回り不良要素を特
    定するステップ(2)と,上記湯回り不良要素における
    湯回り不良発生を防止するための仮湯口量を決定するス
    テップ(3)と,上記湯口に上記仮湯口量分だけ鋳物要
    素を加えてその物性値データを与え,再び各要素の熱伝
    導解析及び圧力解析を行って,上記鋳物要素に湯回り不
    良要素が有るか否かの判断,及び該湯回り不良要素の特
    定を行うステップ(4)と,該ステップ(4)において
    湯回り不良要素が有った場合にはその特定された上記湯
    回り不良要素における湯回り不良発生を防止するための
    新たな仮湯口量を算出して上記ステップ(4)に戻るス
    テップ(5)と,上記ステップ(4)において湯回り不
    良要素が無かった場合には上記仮湯口量の累積量を湯口
    量に決定するステップ(6)とを有することを特徴とす
    る鋳造方案の設計方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において,上記ステップ(2)
    及びステップ(4)における上記湯回り不良要素の特定
    は,潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行って,上記溶湯
    注入を開始した時点から溶湯充填完了時点までの経過時
    間毎の各鋳物要素の温度及び固相率を求め,次いで,該
    温度及び固相率を用いた圧力解析を行って各鋳物要素の
    経過時間毎の圧力値を求め,次いで,該圧力値と上記固
    相率とを用いて各要素における溶湯の湯回り限界となる
    湯回り限界固相率を経過時間毎に算出し,次いで,各経
    過時間毎に上記固相率と湯回り限界固相率とを比較し
    て,全経過時間内において上記固相率が上記湯回り限界
    固相率を超えることがある鋳物要素を湯回り不良要素と
    することにより行うことを特徴とする鋳造方案の設計方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8において,上記ステップ
    (3)及びステップ(5)における上記仮湯口量は,所
    定の一定値とすることを特徴とする鋳造方案の設計方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項8において,上記ステップ
    (3)及びステップ(5)における上記仮湯口量は,各
    湯回り不良要素の固相率がその湯回り限界固相率を超え
    ることがないようにするために必要な熱量の総和量を供
    給することができる溶湯量を算出することにより求める
    ことを特徴とする鋳造方案の設計方法。
  11. 【請求項11】 請求項7〜10のいずれか1項におい
    て,上記湯口位置は,鋳物形状データ,鋳型形状データ
    及び中子形状データを基にして,鋳型全体の空間を鋳物
    要素,鋳型要素及び中子要素の微小な要素に分割すると
    共に各要素に物性値データを与えるステップ(7)と,
    溶湯充填完了時点から凝固完了までについて上記要素の
    熱伝導解析及び圧力解析を行って,上記鋳物要素のうち
    引け巣が生じうる引け巣要素を特定するステップ(8)
    と,上記引け巣要素のうちの一つを出発要素として,該
    出発要素の上部に位置する上部要素の種類を調べ,該上
    部要素が鋳物要素である場合には新たにこれを出発要素
    とし,上記上部要素が中子要素である場合には上記出発
    要素に隣接する鋳物要素の一つを新たな出発要素とし,
    上記上部要素が鋳型要素である場合にはこれを押し湯位
    置に決定するステップ(9)とを行って予め得られた上
    記押し湯位置と同じ位置とすることを特徴とする鋳造方
    案の設計方法。
  12. 【請求項12】 鋳物を鋳造するための鋳造方案を設計
    する装置において,鋳物形状データ,鋳型形状データ及
    び中子形状データを基にして,鋳型全体の空間を鋳物要
    素,鋳型要素及び中子要素の微小な要素に分割すると共
    に各要素に物性値データを与える要素分割手段と,溶湯
    充填完了時点から全凝固完了時点までについて上記要素
    の熱伝導解析及び圧力解析を行って,上記鋳物要素のう
    ち引け巣が生じうる引け巣要素を特定する第1引け巣判
    定手段と,上記引け巣要素のうちの一つを出発要素とし
    て,該出発要素の上部に位置する上部要素の種類を調
    べ,該上部要素が鋳物要素である場合には新たにこれを
    出発要素とし,上記上部要素が中子要素である場合には
    上記出発要素に隣接する鋳物要素の一つを新たな出発要
    素とし,上記上部要素が鋳型要素である場合にはこれを
    押し湯位置に決定する押し湯位置決定手段と,上記引け
    巣要素における引け巣発生を防止するために追加する押
    し湯の仮押し湯量を決定する仮押し湯量決定手段と,上
    記押し湯位置に隣接する鋳型要素を上記仮押し湯量分だ
    け鋳物要素に変換してその物性値データを与え,再び各
    要素の熱伝導解析及び圧力解析を行って,上記鋳物要素
    に引け巣要素が有るか否かの判断,及び該引け巣要素の
    特定を行う第2引け巣判定手段と,該第2引け巣判定手
    段において引け巣要素が有った場合にはその特定された
    上記引け巣要素における引け巣発生を防止するための押
    し湯の新たな仮押し湯量を決定して上記第2引け巣判定
    手段に再び戻すリターン手段と,上記第2引け巣判定手
    段において引け巣要素が無かった場合には上記仮押し湯
    量の累積量を押し湯量に決定する押し湯量決定手段とを
    有することを特徴とする鋳造方案の設計装置。
  13. 【請求項13】 請求項12において,上記第1引け巣
    判定手段及び第2引け巣判定手段における上記引け巣要
    素の特定は,潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行って,
    各鋳物要素の溶湯状態から凝固完了するまでの経過時間
    毎の温度及び固相率を求め,次いで,該温度及び固相率
    を用いた圧力解析を行って各鋳物要素の経過時間毎の圧
    力値を求め,次いで,該圧力値と上記固相率とを用いて
    各要素における溶湯の流動限界となる限界固相率を経過
    時間毎に算出し,次いで,各経過時間毎に上記固相率と
    限界固相率とを比較して,上記固相率が上記限界固相率
    を超える経過時間を限界時間として求め,各鋳物要素に
    ついてその上部要素と上記限界時間を比較して上部要素
    よりも上記限界時間が短い場合を引け巣要素とすること
    により行うことを特徴とする鋳造方案の設計装置。
  14. 【請求項14】 請求項13において,上記押し湯位置
    決定手段における最初の出発要素は,潜熱放出を考慮し
    た熱伝導解析を行って,各鋳物要素の溶湯状態から凝固
    完了するまでの経過時間が最も長い鋳物要素とすること
    を特徴とする鋳造方案の設計装置。
  15. 【請求項15】 請求項12〜14のいずれか1項にお
    いて,上記仮押し湯量決定手段及び第2引け巣判定手段
    における上記仮押し湯量は,所定の一定値とすることを
    特徴とする鋳造方案の設計装置。
  16. 【請求項16】 請求項13又は14において,上記仮
    押し湯量決定手段及び第2引け巣判定手段における上記
    仮押し湯量は,潜熱放出を考慮した熱伝導解析を行っ
    て,各鋳物要素の溶湯状態から凝固完了するまでの経過
    時間が最も長い鋳物要素を基準要素とし,該基準要素の
    上部に位置する鋳物要素の固相率が限界固相率を超える
    までの時間が上記基準要素の固相率が限界固相率を超え
    るまでの時間よりも長くなるのに必要な熱量を供給する
    ことができる溶湯量を算出することにより求めることを
    特徴とする鋳造方案の設計装置。
  17. 【請求項17】 請求項13又は14において,上記仮
    押し湯量決定手段及び第2引け巣判定手段における上記
    仮押し湯量は,各引け巣発生要素の上部に位置する鋳物
    要素の固相率が限界固相率を超えるまでの時間が上記各
    引け巣発生要素の固相率が限界固相率を超えるまでの時
    間よりも長くなるのに必要な熱量の総和量を供給するこ
    とができる溶湯量を算出することにより求めることを特
    徴とする鋳造方案の設計装置。
  18. 【請求項18】 鋳物を鋳造するための鋳造方案を設計
    する装置において,鋳物形状データ,鋳型形状データ及
    び中子形状データを基にして,鋳型全体の空間を鋳物要
    素,鋳型要素及び中子要素の微小な要素に分割すると共
    に各要素に物性値データを与える要素分割手段と,予め
    決められた湯口位置から溶湯注入を開始した時点から溶
    湯充填完了時点までについて上記要素の熱伝導解析及び
    圧力解析を行い,上記鋳物要素のうち湯回り不良が生じ
    うる湯回り不良要素を特定する第1湯回り不良判定手段
    と,上記湯回り不良要素における湯回り不良発生を防止
    するための仮湯口量を決定する仮湯口量決定手段と,上
    記湯口に上記仮湯口量分だけ鋳物要素を加えてその物性
    値データを与え,再び各要素の熱伝導解析及び圧力解析
    を行って,上記鋳物要素に湯回り不良要素が有るか否か
    の判断,及び該湯回り不良要素の特定を行う第2湯回り
    不良判定手段と,該第2湯回り不良判定手段において湯
    回り不良要素が有った場合にはその特定された上記湯回
    り不良要素における湯回り不良発生を防止するための新
    たな仮湯口量を算出して上記第2湯回り不良判定手段に
    再び戻すリターン手段と,上記第2湯回り不良判定手段
    において湯回り不良要素が無かった場合には上記仮湯口
    量の累積量を湯口量に決定する湯口量決定手段とを有す
    ることを特徴とする鋳造方案の設計装置。
  19. 【請求項19】 請求項18において,上記第1湯回り
    不良判定手段及び第2湯回り不良判定手段における上記
    湯回り不良要素の特定は,潜熱放出を考慮した熱伝導解
    析を行って,上記溶湯注入を開始した時点から溶湯充填
    完了時点までの経過時間毎の各鋳物要素の温度及び固相
    率を求め,次いで,該温度及び固相率を用いた圧力解析
    を行って各鋳物要素の経過時間毎の圧力値を求め,次い
    で,該圧力値と上記固相率とを用いて各要素における溶
    湯の湯回り限界となる湯回り限界固相率を経過時間毎に
    算出し,次いで,各経過時間毎に上記固相率と湯回り限
    界固相率とを比較して,全経過時間内において上記固相
    率が上記湯回り限界固相率を超える鋳物要素を湯回り不
    良要素とすることにより行うことを特徴とする鋳造方案
    の設計装置。
  20. 【請求項20】 請求項18又は19において,上記仮
    湯口量決定手段及び第2湯回り不良判定手段における上
    記仮湯口量は,所定の一定値とすることを特徴とする鋳
    造方案の設計装置。
  21. 【請求項21】 請求項19において,上記仮湯口量決
    定手段及び第2湯回り不良判定手段における上記仮湯口
    量は,各湯回り不良要素の固相率が湯回り限界固相率を
    超えることがないようにするために必要な熱量の総和量
    を供給することができる溶湯量を算出することにより求
    めることを特徴とする鋳造方案の設計装置。
  22. 【請求項22】 請求項18〜21のいずれか1項にお
    いて,上記湯口位置は,鋳物形状データ,鋳型形状デー
    タ及び中子形状データを基にして,鋳型全体の空間を鋳
    物要素,鋳型要素及び中子要素の微小な要素に分割する
    と共に各要素に物性値データを与える要素分割手段と,
    溶湯充填完了時点から凝固完了までについて上記要素の
    熱伝導解析及び圧力解析を行って,上記鋳物要素のうち
    引け巣が生じうる引け巣要素を特定する引け巣判定手段
    と,上記引け巣要素のうちの一つを出発要素として,該
    出発要素の上部に位置する上部要素の種類を調べ,該上
    部要素が鋳物要素である場合には新たにこれを出発要素
    とし,上記上部要素が中子要素である場合には上記出発
    要素に隣接する鋳物要素の一つを新たな出発要素とし,
    上記上部要素が鋳型要素である場合にはこれを押し湯位
    置に決定する押し湯位置決定手段とを行って予め得られ
    た上記押し湯位置と同じ位置とする湯口位置決定手段を
    有することを特徴とする鋳造方案の設計装置。
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