JP2006061935A - 疑似鋳造方案及び鋳造方案、これらの作製方法、装置、プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 作製時間を大幅に短縮した疑似鋳造方案及び鋳造方案、それらの作製方法、装置、プログラムを提供する。
【解決手段】
鋳造製品1の三次元形状(データ)に基づいて、模型方案2と疑似鋳造方案3とを作製した後、模型方案2と疑似鋳造方案3とから鋳造方案5を作製する。
【選択図】 図1
【解決手段】
鋳造製品1の三次元形状(データ)に基づいて、模型方案2と疑似鋳造方案3とを作製した後、模型方案2と疑似鋳造方案3とから鋳造方案5を作製する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、鋳物を製造する疑似鋳造方案及び鋳造方案、それらの作製方法、装置、プログラムに関するものである。
鋳造とは、溶融状態の金属および合金(以下、溶湯という。)を鋳型に注入し、溶湯を凝固、冷却させた後、鋳型より取り出して製品(鋳造製品)とする加工である。鋳造で作られた製品、鋳造製品を鋳物という。鋳造は、切削加工やプレス加工などと比較して、製品の形状、組成、生産数量などに関して柔軟に対応しうる加工法である。
鋳造に用いられる金属および合金としては、各種のものがあり、製品に求められる性能に応じて材料が決定される。これらの材料は、流動性が良好で収縮量が小さいものが好ましく、鋳造用合金として規格化されているものには、流動性が良好で収縮量が小さいものが多い。
鋳型を作る材料としては、砂や金属、熱硬化性樹脂などが挙げられる。一般的には、砂を利用した砂型鋳造が多く利用されるが、それ以外に金型を用いたダイカスト、ろう型模型によるロストワックス鋳造、模型を鋳型中に残したまま注湯する消失模型鋳造などが普及している。
鋳造に際しては、溶湯の流動性不良、ガス、空気の巻込み、凝固収縮などにより鋳造欠陥が生じる場合がある。また、凝固時に肉厚の差などにより鋳造ひずみが生じる。したがって、これらの欠陥がない、健全な鋳物を得ることを目的として、予め湯口、押湯などの鋳込方法を検討する必要がある。この検討の結果、設計される方案を鋳造方案といい、鋳型はこの鋳造方案を転写して形成される。
従来、鋳造方案を作製する際には、鋳造製品の三次元形状に基づいて模型方案を作製した後、当該模型方案に基づいて鋳造方案を作製していた。
ここで、模型方案とは、鋳造工程における金属の凝固・冷却時の体積変化、金属冷却後の鋳造製品の取り出しやすさ等を考慮して、鋳造製品の三次元形状に縮みしろ、仕上げしろ、抜き勾配等の収縮・抜き等を適正化する部分を付与した方案である。
すなわち、上述するようにして作製した模型方案に基づいて、凝固・湯流れ解析を行い、湯だまり、湯口、湯道、押湯、冷し金などの凝固・湯流れ等を適正化する部材を付加することにより、最終的な鋳造方案を作製していた。
しかしながら、模型方案の作製は、収縮・抜き等の適正化の解析が難しく、多大な時間が必要となる。従来の方法では、凝固・湯流れ解析による鋳造欠陥評価を行い、当該解析結果に基づいて鋳造方案を決定するためには、予め模型方案を作製しておく必要があるため、最終的な鋳造方案の作製に多大な時間が必要であった。
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、作製時間を大幅に短縮した疑似鋳造方案及び鋳造方案、それらの作製方法、装置、プログラムを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、鋳造製品の三次元形状に微妙な体積変化等を付与した模型方案と、鋳造製品の三次元形状そのものとでは、凝固・湯流れ解析の結果にほとんど差がないことを見出し、本発明を完成させたものであり、本発明の概略は、鋳造製品の三次元形状に基づいて、模型方案と疑似鋳造方案とを作製した後、疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分と模型方案とを置き換えて、鋳造方案とするものである。
すなわち、従来の方法により模型方案を作製すると共に、当該模型方案の作製中に、鋳造製品の三次元形状に基づいて直接、凝固・湯流れ解析を行い、押湯、冷し金、湯道などを設定して、疑似鋳造方案を作製する。この結果、模型方案の完成を待たずに、後の簡単な置き換え作業で鋳造方案とすることができる疑似鋳造方案を作製することができる。
<疑似鋳造方案>
上記課題を解決する本発明に係る疑似鋳造方案は、
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けたことを特徴とする疑似鋳造方案である。
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けたことを特徴とする疑似鋳造方案である。
模型方案の完成を待たずに、後の簡単な置き換え作業で鋳造方案とすることができる疑似鋳造方案を作製して、最終的な鋳造方案を短時間で作製する。
また、上記疑似鋳造方案において、
前記凝固・湯流れ適正化部材は、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案である。
前記凝固・湯流れ適正化部材は、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案である。
<疑似鋳造方案および鋳造方案の作製方法>
上記課題を解決する本発明に係る疑似鋳造方案の作製方法は、
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行い、当該解析結果に基づいて前記凝固・湯流れ適正化部材を最適化して作製することを特徴とする疑似鋳造方案の作製方法である。
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行い、当該解析結果に基づいて前記凝固・湯流れ適正化部材を最適化して作製することを特徴とする疑似鋳造方案の作製方法である。
上記課題を解決する本発明に係る鋳造方案の作製方法は、
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行い、当該解析結果に基づいて前記凝固・湯流れ適正化部材を最適化して作製する疑似鋳造方案と、
前記鋳造製品の三次元形状に収縮・抜き適正化部分を設けて作製する模型方案とを作製した後、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分を前記模型方案に置き換えて作製することを特徴とする鋳造方案の作製方法である。
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行い、当該解析結果に基づいて前記凝固・湯流れ適正化部材を最適化して作製する疑似鋳造方案と、
前記鋳造製品の三次元形状に収縮・抜き適正化部分を設けて作製する模型方案とを作製した後、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分を前記模型方案に置き換えて作製することを特徴とする鋳造方案の作製方法である。
また、上記鋳造方案の作製方法において、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分を模型方案に置き換えた後、
更に、凝固・湯流れ解析を行い形状補正することを特徴とする鋳造方案の作製方法である。
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分を模型方案に置き換えた後、
更に、凝固・湯流れ解析を行い形状補正することを特徴とする鋳造方案の作製方法である。
鋳造方案を作製後、再度、凝固・湯流れ解析を行い形状補正することで、鋳造方案の精度を高める。疑似鋳造方案を作製する際に既に凝固・湯流れ解析を行っているため、再度行う解析は、それほど時間を要することなく簡易的な解析ですむ場合が多く、時間短縮の効果を減少させることはない。
また、上記疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法において、
前記凝固・湯流れ適正化部材は、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法である。
前記凝固・湯流れ適正化部材は、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法である。
また、上記疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法において、
前記収縮・抜き適正化部分は、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉またはケレンの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法である。
前記収縮・抜き適正化部分は、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉またはケレンの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法である。
<疑似鋳造方案および鋳造方案の作製装置>
上記課題を解決する本発明に係る疑似鋳造方案の作製装置は、
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析手段を有し、疑似鋳造方案を作製することを特徴とする疑似鋳造方案の作製装置である。
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析手段を有し、疑似鋳造方案を作製することを特徴とする疑似鋳造方案の作製装置である。
上記課題を解決する本発明に係る鋳造方案の作製装置は、
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析手段を有し、疑似鋳造方案を作製する疑似鋳造方案作製手段と、
前記鋳造製品の三次元形状に収縮・抜き適正化部分を設ける加工手段を有し、模型方案を作製する模型方案作製手段と、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分を前記模型方案に置き換える置き換え手段とを有し、
鋳造方案を作製することを特徴とする鋳造方案の作製装置である。
鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析手段を有し、疑似鋳造方案を作製する疑似鋳造方案作製手段と、
前記鋳造製品の三次元形状に収縮・抜き適正化部分を設ける加工手段を有し、模型方案を作製する模型方案作製手段と、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分を前記模型方案に置き換える置き換え手段とを有し、
鋳造方案を作製することを特徴とする鋳造方案の作製装置である。
また、上記鋳造方案の作製装置において、
更に、前記置き換え手段により得られた鋳造法案を用いて凝固・湯流れ解析を行い形状補正する形状補正手段を有することを特徴とする鋳造方案の作製装置である。
更に、前記置き換え手段により得られた鋳造法案を用いて凝固・湯流れ解析を行い形状補正する形状補正手段を有することを特徴とする鋳造方案の作製装置である。
また、上記疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置において、
前記凝固・湯流れ適正化部材は、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置である。
前記凝固・湯流れ適正化部材は、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置である。
また、上記疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置において、
前記収縮・抜き適正化部分は、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉またはケレンの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置である。
前記収縮・抜き適正化部分は、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉またはケレンの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置である。
<疑似鋳造方案および鋳造方案を作製するプログラム>
上記課題を解決する本発明に係る疑似鋳造方案の作製プログラムは、
鋳造製品の三次元形状データに直接、凝固・湯流れ適正化部材データを付加して、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析機能を有し、
当該機能をコンピュータに実行させて疑似鋳造方案を作製することを特徴とする疑似鋳造方案の作製プログラムである。
鋳造製品の三次元形状データに直接、凝固・湯流れ適正化部材データを付加して、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析機能を有し、
当該機能をコンピュータに実行させて疑似鋳造方案を作製することを特徴とする疑似鋳造方案の作製プログラムである。
上記課題を解決する本発明に係る鋳造方案の作製プログラムは、
鋳造製品の三次元形状データに直接、凝固・湯流れ適正化部材データを付加して、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析機能を有し、当該機能をコンピュータに実行させて疑似鋳造方案を作製する疑似鋳造方案作製機能と、
前記鋳造製品の三次元形状データに収縮・抜き適正化部分データを付加する加工機能を有し、当該機能をコンピュータに実行させて模型方案を作製する模型方案作製機能と、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状データの部分を前記模型方案に置き換える置き換え機能とを有し、
これらの機能をコンピュータに実行させて鋳造方案を作製することを特徴とする鋳造方案の作製プログラムである。
鋳造製品の三次元形状データに直接、凝固・湯流れ適正化部材データを付加して、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析機能を有し、当該機能をコンピュータに実行させて疑似鋳造方案を作製する疑似鋳造方案作製機能と、
前記鋳造製品の三次元形状データに収縮・抜き適正化部分データを付加する加工機能を有し、当該機能をコンピュータに実行させて模型方案を作製する模型方案作製機能と、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状データの部分を前記模型方案に置き換える置き換え機能とを有し、
これらの機能をコンピュータに実行させて鋳造方案を作製することを特徴とする鋳造方案の作製プログラムである。
また、上記鋳造方案の作製プログラムにおいて、
更に、前記置き換え機能により得られた鋳造法案を用いて凝固・湯流れ解析を行い形状補正する形状補正機能を有することを特徴とする鋳造方案の作製プログラムである。
更に、前記置き換え機能により得られた鋳造法案を用いて凝固・湯流れ解析を行い形状補正する形状補正機能を有することを特徴とする鋳造方案の作製プログラムである。
また、上記疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラムにおいて、
前記凝固・湯流れ適正化部材データは、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラムである。
前記凝固・湯流れ適正化部材データは、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラムである。
また、上記疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラムにおいて、
前記収縮・抜き適正化部分データは、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉またはケレンの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラムである。
前記収縮・抜き適正化部分データは、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉またはケレンの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラムである。
本発明にかかる疑似鋳造方案及び鋳造方案、これらの作製方法、装置、プログラムによれば、模型方案の完成を待たずに、後の簡単な置き換え作業で鋳造方案とすることができる疑似鋳造方案を作製して、最終的な鋳造方案を短時間で作製することができる。また、鋳造方案を作製後、再度、凝固・湯流れ解析を行い形状補正することで、鋳造方案の精度を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて例示的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る鋳造方案の作製方法の概略を示す概略工程図である。
図1に示すように、本実施形態に係る鋳造方案の作製方法では、鋳造製品1の三次元形状(データ)に基づいて、模型方案2と疑似鋳造方案3とを作製した後、模型方案2と疑似鋳造方案3とから鋳造方案5を作製する。なお、同図には、模型方案を作製する外型及び中子の形状が図示されており、模型方案は、外型の内部に中子を嵌め込んで形成された型に型材を流し込んで作製する。
鋳造製品1は、最終的に得られる製品であり、下記詳細に説明する鋳造方案5によって成形される鋳型に、溶融状態の金属等を流し込んで製造される。
模型方案2は、作製装置における模型方案作製手段又は作製プログラムにおける模型方案作製機能により、鋳造製品1の三次元形状(データ)に収縮・抜き適正化部分(データ)を設けて作製される。なお、模型方案2を作製する装置、方法及びプログラムは、従来の模型方案を作製する装置、方法及びプログラムを用いることができる。
収縮・抜き適正化部分(データ)の付加は、作製装置においては加工手段、作製プログラムにおいては加工機能が行う。
疑似鋳造方案3は、作製装置における疑似鋳造方案作製手段又は作製プログラムにおける疑似鋳造方案作製機能により、鋳造製品1の三次元形状(データ)に直接、凝固・湯流れ適正化部材(データ)を設けて、凝固・湯流れ解析4を行い、当該解析結果に基づいて凝固・湯流れ適正化部材(データ)を最適化して作製される。なお、疑似鋳造方案3を作製する装置、方法及びプログラムは、模型方案から鋳造方案を作成する従来の装置、方法及びプログラムを用いることができる。
凝固・湯流れ解析4は、作製装置においては凝固・湯流れ解析手段、作製プログラムにおいては凝固・湯流れ解析機能が行う。
鋳造方案5は、疑似鋳造方案3における鋳造製品1の三次元形状(データ)の部分を、模型方案2に置き換えて作製される。置き換え工程は、作製装置においては置き換え手段、作製プログラムにおいては置き換え機能が行う。
鋳造方案5は、最終的に、最終の凝固・湯流れ解析6を行い、当該解析結果に基づいて、軽微な形状補正を行うことで、更に精度の高い鋳造方案となる。形状補正は、作製装置においては形状補正手段、作製プログラムにおいては形状補正機能が行う。
なお、最終の凝固・湯流れ解析6は行わなくてもよい場合もある。これは、鋳造方案5における凝固・湯流れ適正化部材(データ)は、既に凝固・湯流れ解析4により十分に検討した結果付加されているためである。
すなわち、疑似鋳造方案3における鋳造製品1の三次元形状(データ)の部分を模型方案2に置き換えたときの形状変化は軽微な場合も多く、最終の凝固・湯流れ解析6によって得られる精度向上よりも、当該解析を省略することによる鋳造方案の作製時間短縮を選択する場合も多いためである。
<収縮・抜き適正化部分(データ)>
収縮・抜き適正化部分(データ)としては、例えば、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉及びケレンなどが挙げられる。
収縮・抜き適正化部分(データ)としては、例えば、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉及びケレンなどが挙げられる。
縮みしろ:溶湯が凝固してから常温に冷えるまでの体積の収縮量に基づいて設けられる部分であり、金属の種類によって異なる。
仕上しろ:鋳造製品の原型を鋳型から取り出した後に、仕上げのために削り取る量に基づいて設けられる部分であり、取りしろとも呼ばれる。
抜きこう配:鋳造製品を鋳型から抜き取りやすくするために、鋳造製品の垂直面などに設けられるこう配の部分である。
面取り:鋳造製品の角や隅につける丸みの部分であり、鋳造製品を鋳型から抜き取りやすくしたり、角や隅の材質をよくしたりするために設ける部分である。
巾木:外型に中子を固定する部分を作るための突起部分である。最小限の寸法で設計し、軽量化と共用化を図るようにするとよい。
余肉:余肉とは、仕上しろ、縮みしろ、抜け勾配を設置するために、鋳造製品に対して設置される部分の総称である。
ケレン:外型に固定した中子は、溶湯に囲まれることにより、大きな浮力を受けるので、基本的には巾木で固定するが、この固定が難しい箇所ではケレン(型持ち)を用いて固定する。
<収縮・抜き適正化部分(データ)の設定作業>
鋳造製品1の三次元形状(データ)から模型方案2を作製する際には、鋳造製品1の形状・寸法精度・材質・構造などを考えて、鋳造製品1の三次元形状(データ)に上述する収縮・抜き適正化部分を余分に見込んで作製する。この際には、従来の方法である、鋳造製品の三次元形状(データ)から模型方案を作製するのと同じ方法を用いることができる。
鋳造製品1の三次元形状(データ)から模型方案2を作製する際には、鋳造製品1の形状・寸法精度・材質・構造などを考えて、鋳造製品1の三次元形状(データ)に上述する収縮・抜き適正化部分を余分に見込んで作製する。この際には、従来の方法である、鋳造製品の三次元形状(データ)から模型方案を作製するのと同じ方法を用いることができる。
例えば、縮みしろについては、材質や肉厚によって縮みしろの平均値はほぼ決まっており、鋳鉄の場合で通常8/1000(0.8%)、肉厚10mm程度の鋼鋳物には16/1000(1.6%)程度である。材料がステンレスである場合には、これらの約1.5倍程度となる。また、抜きこう配については、およそ5/1000〜30/1000である。
<凝固・湯流れ解析>
凝固・湯流れ解析とは、鋳造製品1の三次元形状(データ)から疑似鋳造方案3を作製する際に、また、鋳造方案5の形状精度を高める際に行う解析である。従来の方法である、模型方案から鋳造方案を作製する際に行う凝固・湯流れ解析と同じ解析原理を用いることができる。
凝固・湯流れ解析とは、鋳造製品1の三次元形状(データ)から疑似鋳造方案3を作製する際に、また、鋳造方案5の形状精度を高める際に行う解析である。従来の方法である、模型方案から鋳造方案を作製する際に行う凝固・湯流れ解析と同じ解析原理を用いることができる。
例えば、まず、鋳造製品1の三次元形状(データ)に、下記詳細に説明する凝固・湯流れ適正化部材を設置して凝固・湯流れ解析用の一次の疑似鋳造方案を作製する。次に、この一次の疑似鋳造方案に対して、凝固・湯流れ解析を複数回実施して、凝固・湯流れ適正化部材の最適な設置条件を決定し、最終的な疑似鋳造方案とする。
<凝固・湯流れ適正化部材(データ)>
凝固・湯流れ適正化部材(データ)としては、例えば、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりおよび冷し金などが挙げられる。
凝固・湯流れ適正化部材(データ)としては、例えば、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりおよび冷し金などが挙げられる。
湯だまり:湯口の上に設けて、鋳込みのときに溶湯を受ける部分であり、かけぜきとも呼ばれる。湯だまりは、ろうとの役目をして溶湯の飛び散りを防ぎ湯口に導く、スラグや不純物などを浮き上がらせる、溶湯に圧力を加えるなどの働きがある。鋳込み作業は、常に湯口に溶湯が存在するよう注湯し途中切らないことが条件であるため、湯だまりの形状・寸法に配慮する。
湯口、湯道、せき:溶湯を鋳型内の鋳造製品となる部分まで導く通路で、総称して湯口系統という。鋳造製品に残るせき痕跡を最小限に設定することが好ましく、せき痕を除去する仕上げ工程の簡素化または省略を図る。
押湯:ほとんどの金属は凝固・冷却の際に収縮するため、凝固中に溶湯を補給しないと、引け巣などの鋳造欠陥が生じる場合がある。押湯とは、このような鋳造欠陥を防止し、しかも溶湯に圧力を加えて、緻密な鋳造製品を製造するために設けられる部分である。押湯の位置は、凝固が最後になる肉厚部が好ましい。
揚がり:鋳型内に混入又は鋳型内から発生したガスや不純物を排出させると共に、溶湯が鋳型内に充満したことを確かめるために設けられる部分である。したがって、揚がりの位置は鋳造製品の最も高いところが好ましい。
冷し金:鋳造製品における一部分の冷却速度を大きくして、引け巣などを防止したり、組織を緻密にしたりするために、鋳造製品の交差部や特に組織を緻密にしたい箇所に用いる金属片であり、溶湯の中に入れる内冷し(鋳ぐるみ)と溶湯の外側から冷す外冷し(当て金・面棒)などがある。
上述する凝固・湯流れ適正化部分のほかに、例えば、以下の点も考慮する。
鋳鉄では配肉厚によるミクロ組織の変化が大きく、肉厚変動のある鋳造製品は一様に冷却できるように工夫する。また、肉薄部はチル化をおさえるため溶湯が最後に満たすように工夫する。ミクロ組織の均一化と残留応力や曲がりなどの変形防止のため、一様に冷却されるように鋳造姿勢の配置と湯口および堰の設定をおこなう。
曲がり・変形の予測を行い、最小のバラツキで吸収できる機械加工のデイタム・ポイント選定の提案、予測値または実績値による変位模型の設計、あるいは非対象湯口系の回避や補強などを工夫する。
本実施形態にかかる鋳造方案の作製方法を実施した結果、同じ鋳造製品(例としてタービン車室)に対応する鋳造方案を作製した場合、従来の作製方法では約20時間の作製時間を必要としたのに対して、本実施形態の作製方法では約8時間の作製時間で終了し、大幅な作製時間の短縮が可能となった。
1 鋳造製品
2 模型方案
3 疑似鋳造方案
4 凝固・湯流れ解析
5 鋳造方案
6 最終の凝固・湯流れ解析
2 模型方案
3 疑似鋳造方案
4 凝固・湯流れ解析
5 鋳造方案
6 最終の凝固・湯流れ解析
Claims (17)
- 鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けたことを特徴とする疑似鋳造方案。
- 請求項1に記載する疑似鋳造方案において、
前記凝固・湯流れ適正化部材は、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案。 - 鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行い、当該解析結果に基づいて前記凝固・湯流れ適正化部材を最適化して作製することを特徴とする疑似鋳造方案の作製方法。
- 鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行い、当該解析結果に基づいて前記凝固・湯流れ適正化部材を最適化して作製する疑似鋳造方案と、
前記鋳造製品の三次元形状に収縮・抜き適正化部分を設けて作製する模型方案とを作製した後、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分を前記模型方案に置き換えて作製することを特徴とする鋳造方案の作製方法。 - 請求項4に記載する鋳造方案の作製方法において、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分を模型方案に置き換えた後、
更に、凝固・湯流れ解析を行い形状補正することを特徴とする鋳造方案の作製方法。 - 請求項3ないし5のいずれかに記載する疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法において、
前記凝固・湯流れ適正化部材は、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法。 - 請求項3ないし6のいずれかに記載する疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法において、
前記収縮・抜き適正化部分は、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉またはケレンの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製方法。 - 鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析手段を有し、疑似鋳造方案を作製することを特徴とする疑似鋳造方案の作製装置。
- 鋳造製品の三次元形状に直接、凝固・湯流れ適正化部材を設けて、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析手段を有し、疑似鋳造方案を作製する疑似鋳造方案作製手段と、
前記鋳造製品の三次元形状に収縮・抜き適正化部分を設ける加工手段を有し、模型方案を作製する模型方案作製手段と、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状の部分を前記模型方案に置き換える置き換え手段とを有し、
鋳造方案を作製することを特徴とする鋳造方案の作製装置。 - 請求項9に記載する鋳造方案の作製装置において、
更に、前記置き換え手段により得られた鋳造法案を用いて凝固・湯流れ解析を行い形状補正する形状補正手段を有することを特徴とする鋳造方案の作製装置。 - 請求項8ないし10のいずれかに記載する疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置において、
前記凝固・湯流れ適正化部材は、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置。 - 請求項8ないし11のいずれかに記載する疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置において、
前記収縮・抜き適正化部分は、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉またはケレンの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製装置。 - 鋳造製品の三次元形状データに直接、凝固・湯流れ適正化部材データを付加して、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析機能を有し、
当該機能をコンピュータに実行させて疑似鋳造方案を作製することを特徴とする疑似鋳造方案の作製プログラム。 - 鋳造製品の三次元形状データに直接、凝固・湯流れ適正化部材データを付加して、凝固・湯流れ解析を行う凝固・湯流れ解析機能を有し、当該機能をコンピュータに実行させて疑似鋳造方案を作製する疑似鋳造方案作製機能と、
前記鋳造製品の三次元形状データに収縮・抜き適正化部分データを付加する加工機能を有し、当該機能をコンピュータに実行させて模型方案を作製する模型方案作製機能と、
前記疑似鋳造方案における鋳造製品の三次元形状データの部分を前記模型方案に置き換える置き換え機能とを有し、
これらの機能をコンピュータに実行させて鋳造方案を作製することを特徴とする鋳造方案の作製プログラム。 - 請求項14に記載する鋳造方案の作製プログラムにおいて、
更に、前記置き換え機能により得られた鋳造法案を用いて凝固・湯流れ解析を行い形状補正する形状補正機能を有することを特徴とする鋳造方案の作製プログラム。 - 請求項13ないし15のいずれかに記載する疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラムにおいて、
前記凝固・湯流れ適正化部材データは、湯だまり、湯口、湯道、せき、押湯、揚がりまたは冷し金の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラム。 - 請求項13ないし16のいずれかに記載する疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラムにおいて、
前記収縮・抜き適正化部分データは、縮みしろ、仕上しろ、抜きこう配、面取り、巾木、余肉またはケレンの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする疑似鋳造方案または鋳造方案の作製プログラム。
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JP2004246290A JP2006061935A (ja) | 2004-08-26 | 2004-08-26 | 疑似鋳造方案及び鋳造方案、これらの作製方法、装置、プログラム |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102423801A (zh) * | 2011-11-28 | 2012-04-25 | 清华大学 | 一种铸件充型水模拟的方法 |
JP2014130456A (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-10 | Mitsubishi Electric Corp | 鋳物部材の形状予測方法及び形状予測装置並びに鋳物部材の加工方法及び加工装置 |
CN110991093A (zh) * | 2020-01-07 | 2020-04-10 | 大连远景铸造有限公司 | 一种使用冒口模型替换保温冒口的铸造模拟方法 |
CN114041136A (zh) * | 2019-04-24 | 2022-02-11 | 艾尼凯斯特软件股份公司 | 铸造方案设计方法及其系统 |
-
2004
- 2004-08-26 JP JP2004246290A patent/JP2006061935A/ja not_active Withdrawn
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