JP2003256484A - 多層構造体の設計方法、設計装置、プログラムおよび製造方法 - Google Patents

多層構造体の設計方法、設計装置、プログラムおよび製造方法

Info

Publication number
JP2003256484A
JP2003256484A JP2002058503A JP2002058503A JP2003256484A JP 2003256484 A JP2003256484 A JP 2003256484A JP 2002058503 A JP2002058503 A JP 2002058503A JP 2002058503 A JP2002058503 A JP 2002058503A JP 2003256484 A JP2003256484 A JP 2003256484A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
material data
multilayer structure
designing
layer
acoustic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002058503A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihito Okawa
彰人 大川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2002058503A priority Critical patent/JP2003256484A/ja
Publication of JP2003256484A publication Critical patent/JP2003256484A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
  • Building Environments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 遮音性能を向上させる多層構造体設計方法を
提供する。 【解決手段】 コンピュータを用いて2層以上の層から
なる多層構造体を設計する方法であって、少なくとも1
つの層に対して2種類以上の材料データを設定する工程
と、該2種類以上の材料データから1種類の材料データ
を選択する工程と、選択された材料データに基づいて多
層構造体の音響特性を計算する工程と、前記2種類以上
の材料データから前回とは異なる1種類の材料データを
選択する工程と、多層構造体の音響特性を再計算する工
程とを有することを特徴とする多層構造体の設計方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層構造体の設計
方法、多層構造体の設計装置、ソフトウェアおよび記憶
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】防音壁等の遮音性能を向上させる構造と
しては多層構造が挙げられ、空気層、粘弾性材料層、多
孔質材層、粉体層を設けることにより、音響透過損失を
向上することができる。
【0003】しかし、安易にこれらの層を設けた場合、
対象とする周波数帯で共振が発生して遮音性能が低下し
たり、剛性が低下する、重量が希望する範囲内に収まら
ない等の問題が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、遮音
性能を向上させる多層構造体設計方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、コンピ
ュータを用いて2層以上の層からなる多層構造体を設計
する方法であって、少なくとも1つの層に対して2種類
以上の材料データを設定する工程と、該2種類以上の材
料データから1種類の材料データを選択する工程と、選
択された材料データに基づいて多層構造体の音響特性を
計算する工程と、前記2種類以上の材料データから前回
とは異なる1種類の材料データを選択する工程と、多層
構造体の音響特性を再計算する工程とを有することを特
徴とする多層構造体の設計方法によって達成される。
【0006】また、本発明の目的は、コンピュータを用
いて2層以上の層からなる多層構造体を設計する装置で
あって、少なくとも1つの層に対して2種類以上の材料
データを設定する材料データ設定手段と、該2種類以上
の材料データから1種類の材料データを選択する材料デ
ータ選択手段と、材料データに基づいて多層構造体の音
響特性を計算する音響特性計算手段とを有することを特
徴とする多層構造体の設計装置によって達成される。
【0007】また、本発明の目的は、上記の設計方法の
各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムに
よって達成される。
【0008】また、本発明の目的は、上記の設計方法を
用いて多層構造体を解析し、解析結果に基づいて各層の
材料および厚さを最終決定し、最終決定された材料およ
び厚さに基づいて多層構造体を製造する多層構造体の製
造方法によって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】発明者らは、多層構造体の遮音性
能を向上させるために、コンピュータを用いて多層構造
体の音響特性を計算する方法について鋭意検討した。音
響特性としては、遮音性能を表すパラメータであれば、
どのような特性について計算しても良いが、入射音の音
圧レベルから透過音の音圧レベルを引いた音響透過損失
について計算することが、遮音性能をもっとも良く表す
ことができ好ましい。発明者らは、検討の結果、隣接す
る層の音響インピーダンス比が層の界面における音の透
過率に与える影響がきわめて大きいことを見出した。す
なわち、多層構造体の少なくとも1つの層に対して2種
類以上の材料データを設定し、該2種類以上の材料デー
タから1種類の材料データを選択して計算をくり返すこ
とにより、隣接する層の音響インピーダンス比を変化に
よる音の透過率の変化を計算することができる。
【0010】
【数1】
【0011】界面における音の透過率に加えて、さらに
各層の厚みや密度などから質量則による音の減衰などを
計算する。ここで質量則は、以下の式で与えられる。 音響透過損失=18log(周波数×面密度)−44 単一材料の板の場合は、音響透過損失は質量則で決ま
る。これらのファクターを加味し、最終的には音響透過
損失を算出する。
【0012】ここで、各層に対して設定する2種類以上
の材料データとしては、各材料の音響インピーダンスそ
のものを用いても良いし、他のデータから音響インピー
ダンスを算出するようにしてもよい。例えば、音響イン
ピーダンス=密度×音速である。さらに、音速と弾性率
の関係は以下のとおりである。縦波音速Vl、縦波弾性
率M、せん断弾性率G、体積弾性率K、密度ρとする
と、
【0013】
【数2】
【0014】よって、
【0015】
【数3】
【0016】また、上式のK、Gはヤング率E、ポアソ
ン比σを用いて以下の2式より求められる。
【0017】E=9KG/(3K+G) σ=(3K−2G)/2(3K+G) 以上より、音響インピーダンスは材料の(1)密度ρおよ
び音速Vl、(2) 密度ρ、せん断弾性率および体積弾性
率、(3) 密度ρ、ヤング率Eおよびポアソン比σなどの
組み合わせから計算できることが分かる。せん断弾性率
や体積弾性率よりも、データの入手が容易なヤング率お
よびポアソン比を用い、密度、ヤング率およびポアソン
比から計算することが好ましい。
【0018】以下、本発明の多層構造体設計方法、設計
装置、および、プログラム記憶媒体の好ましい実施形態
の一例について添付の図面を参照しながら説明する。
【0019】図1に、本実施形態のハードウェア構成を
示す。
【0020】この多層構造体の設計パラメータ決定装置
は、補助記憶装置2、入力装置3および表示装置4が接
続されたコンピュータ1で構成されており、このコンピ
ュータ1のメモリ上には計算用モデル作成手段を含む計
算用モデル作成手段5、最適化手段6、音響透過損失解
析手段を含む音響特性計算手段7、変形量解析手段を含
む力学特性計算手段8、重量算出手段9が記憶されてい
る。これらの各手段は、一つのソフトとして統合して設
けてもよいし、さらに細かいモジュールに分割して設け
ても良い。
【0021】計算用モデル作成手段5にはモデル作成手
段51、モデル体積計算手段52が含まれている。
【0022】このモデル作成手段51は、多層構造体の
形状を微小な要素に分割した計算用モデルを前記設計パ
ラメータとして入力された各層の厚みに従って作成し、
そのデータを補助記憶装置2に格納する。
【0023】また、モデル体積計算手段52は作成され
た計算用モデルの各層の体積を算出し、そのデータを補
助記憶装置2に格納する。
【0024】最適化手段6は、最適化計算条件の設定お
よび最適化計算を行なう。最適化手段6には、設計パラ
メータ設定手段61、設計条件設定手段62、目的関数
設定手段63、目的条件設定手段64、判定手段65、
工程制御手段66等が含まれている。
【0025】この設計パラメータ設定手段61は、オペ
レータの入力操作により、最適化する設計パラメータと
して、各層に使用されている材料の物性データから少な
くとも一つの変数を選択する。本発明においては、最適
化する変数として、音響インピーダンス、または、音響
インピーダンスを算出できる変数を少なくとも選択す
る。このような変数としては、密度、ヤング率、ポアソ
ン比が含まれる。さらに厚さを設計パラメータとして選
択してもよい。そのデータを補助記憶装置2に格納す
る。
【0026】また、設計条件設定手段62は、オペレー
タの入力操作により、設計パラメータの変化可能幅等の
設計条件を設定し、そのデータを補助記憶装置2に格納
する。
【0027】目的関数設定手段63は、オペレータの入
力操作により、目的関数を設定し、それらのデータを補
助記憶装置2に格納する。例えば、上記の構成例におい
ては、音響特性計算手段7から出力されたデータのう
ち、最適化計算に用いるデータを目的関数として設定す
ればよい。さらに力学特性計算手段8や重量算出手段9
からのアウトプットのいずれかもしくは複数を目的関数
として選択してもよい。目的条件設定手段64は、オペ
レータの入力操作により、前記目的関数の目的条件設定
する。音響透過損失に対してはその値を増加することを
目的条件として設定し、重量や変形量に対してはその値
を減少することを目的条件として設定し、そのデータを
補助記憶装置2に格納する。
【0028】判定手段65は、解析値が目的条件を満た
しているか否かを判定する。工程制御手段66は、各手
段の実行順序および実行回数を制御する。
【0029】音響特性計算手段7は、物性データおよび
計算用モデルを用いて、計算用モデルの音響特性を算出
し、そのデータを補助記憶装置2に格納する。音響特性
計算手段7は、少なくとも音響透過損失解析手段を含む
ことが好ましい。音響透過損失解析手段は、各層の界面
における音の透過率や音の減衰などを計算することによ
り、入射音の音圧レベルに対応する透過音の音圧レベル
を求め、入射音の音圧レベルから透過音の音圧レベルを
引いた音響透過損失について計算する。
【0030】力学特性計算手段8は、物性データおよび
計算用モデルを用いて、計算用モデルの力学特性を算出
し、そのデータを補助記憶装置2に格納する。力学特性
計算手段8は、少なくとも変形量解析手段を含むことが
好ましい。変形量解析手段は、例えば図4に示すような
特定の加重条件下における計算用モデルの変形を、せん
断弾性率、体積弾性率、ヤング率、ポアソン比などの材
料データから計算する。せん断弾性率や体積弾性率より
も、データの入手が容易なヤング率およびポアソン比を
用いて計算することが好ましい。変形量は、図6に示す
ように加重位置の変位量として算出される。
【0031】重量算出手段9は、各層に使用される材料
の密度に各層の体積を乗じて和を取ることにより計算用
モデル全体の重量を算出し、そのデータを補助記憶装置
2に格納する。
【0032】そして、コンピュータ1が計算用モデルと
最適化手法から計算された設計パラメータを内部のラン
ダムアクセスメモリ(RAM)に読み込み解析を行い、
目的関数が任意の範囲内に収まるまで繰り返し行う最適
化計算を実行する。
【0033】最適化計算の結果は、表示装置4により表
示される。必要に応じて最適化条件を変更して再び最適
化計算を行うことができる。また、最適化計算結果の出
力は、別途用意したプリンタ装置に対して行っても良
く、補助記憶装置2に格納しても良い。
【0034】そして、最適化計算の結果次第であるが、
必要に応じて最適化条件を変更して再び最適化計算を行
うことができる。
【0035】次に上記の多層構造体の設計装置における
動作、即ち、多層構造体の設計方法の一例について、図
2のフローチャートに沿って説明する。
【0036】この図2のフローチャートは、本発明の設
計パラメータ決定のために最適化計算を実行する際の手
順と大筋で合致するように配列されているが、実行順を
規定するものではなく、実状に応じた手順で実行するこ
とができる。
【0037】まず、ステップS100の計算用モデル作
成工程において、多層構造体の二次元的または三次元的
な形状を作成し、微小な要素に分割して計算用モデルを
作成する。ここで、微小な要素とは、図3に示すように
棒要素101、三角形要素102、、四角形要素10
3、四面体要素104、六面体要素105などの形状を
した計算の空間的な単位となる要素である。各要素の頂
点は、節点と呼ばれる。この計算用モデル作成作業に
は、汎用の計算用モデル作成ソフト(たとえばMSC社
の「PATRAN」)を用いることができる。
【0038】ステップS200の設計パラメータ入力フ
ァイル作成工程において、層の材料物性、各層の厚さの
初期設計パラメータを入力して設計パラメータ入力ファ
イルを作る。
【0039】ステップS300の最適化計算条件設定開
始工程において、最適化手段と音響特性計算手段、力学
特性計算手段とのリンクを行い、最適化条件の設定を行
う。また、最大計算回数、最大計算時間等の事件的計算
終了条件の設定も行う。
【0040】この最適化手法の技術は、設計条件下で目
的の条件を最も満足するような設計パラメータを、コン
ピュータにより自動的に求める技術であり、たとえば局
所勾配を利用して最適解となる極小、極大点を探索する
2次計画法(最適化の手法、茨木俊秀ら、共立出版発
行)、生物の進化過程をまねて、再生、交差、突然変異
という過程を繰り返しながら最適な解を探索する遺伝的
アルゴリズム(遺伝的アルゴリズムと最適化、三宮信夫
ら、朝倉書店発行)等がある。
【0041】音響特性計算手段としては、市販の音響解
析ソフトウェア(例えばLMS社製「SYSNOIS
E」,「VIOLINS」など)を用いることができ
る。また、力学特性計算手段としては汎用構造解析ソル
バー(例えばHKS社製「ABAQUS」など)を用い
ることができる。最適化ソルバーと他シミュレーション
とのリンク、最適化計算条件の設定、最適化計算を行な
う最適化手段としては、汎用最適化ソフト(例えばEn
gineous社製「iSIGHT」など)を用いるこ
とができる。
【0042】ステップS400の設計パラメータ設定工
程において、最適化する設計パラメータとして、各層に
使用されている材料の物性データから少なくとも一つ音
響インピーダンスの変数となるものを選択する。この変
数には、密度、ヤング率、ポアソン比が含まれる。さら
に厚さを設計パラメータとして選択してもよい。
【0043】ステップS500の設計条件設定工程にお
いてステップS400で選択した設計パラメータの変化
可能範囲、即ち、設計条件を設定する。
【0044】ステップS600の目的関数設定工程にお
いて、音響透過損失を目的関数として選択する。さらに
共振周波数、重量、加重を与えた場合の変形量、発生応
力のいずれかもしくは複数を目的関数として選択しても
よい。
【0045】ステップS700の目的条件設定工程にお
いて、前記目的関数の目的条件を設定する。前記音響透
過損失に対してはその値を増加することを、前記重量、
変形量、発生応力に対してはその値を減少することを目
的条件として設定する。また、前記共振周波数に関して
は所望の値以上、以下、もしくはある範囲内に収まるこ
とを目的条件として設定する。つまり、遮音性能、共振
周波数、重量、剛性に関する目的関数が適正となる目的
条件を設定する。
【0046】ステップS800の最適化計算開始工程に
おいて、最適化手法によって目的条件を最もよく満足さ
せる設計パラメータを探索する最適化計算を開始する。
【0047】ステップS900の音響解析、構造解析工
程において、設計パラメータおよび計算用モデルを用い
て、目的関数の解析値を算出する音響特性解析、力学特
性解析を実行する。
【0048】ステップS1000の判定工程において、
目的関数の解析値が設定された目的条件を満たしている
か判定する。この判定で目的条件を満足している場合に
は、ステップS1100の最適設計パラメータ算出工程
において、最適設計パラメータが得られ、また、目的条
件を満たしていない場合は、ステップS1200の計算
回数判定工程において、最大計算回数、最大計算時間等
の時間的計算終了条件を満たしているか否かを判定す
る。
【0049】このステップS1200において、時間的
計算終了条件を満たしていない場合には、ステップS1
300の設計パラメータ制御工程において、最適化手法
の数値理論に基づいて設計パラメータを変更する。
【0050】そして、ステップS1400のモデル変更
判定工程において、計算用モデルの変更の必要があるか
否か判定し、計算用モデルの変更が必要ない場合は、そ
のままステップS800の最適化計算開始工程に戻り、
計算用モデルの変更が必要である場合は、ステップS1
500の計算用モデル再作成工程において、計算用モデ
ルの変更を行った後に、ステップS800に戻る。
【0051】また、ステップS1200において、時間
的計算終了条件を満たした場合には、ステップS160
0の仮最適パラメータ算出工程において、この工程まで
に得られている設計パラメータの中で、目的条件に最も
近い目的関数の解析値を与えるものを最適条件として選
択する。
【0052】そして、最適化計算の結果次第であるが、
必要に応じてこの仮最適パラメータを初期条件として再
び最適化計算を行うことができる。
【0053】上述のとおり、本実施の形態の多層構造体
設計装置は、コンピュータによって構成され、多層構造
体設計方法はこのコンピュータにロードされたソフトウ
ェアによって実現されている。かかるプログラムは、フ
レキシブルディスク、CD−ROM等の有形記憶媒体や
有線もしくは無線のネットワーク等の電送線路を通じて
流通される。
【0054】
【実施例】上述した多層構造体設計装置を用いて、図4
に示すような遮音板の設計パラメータを決定した。材料
は5種類、板厚は30mm、層数は3層とする。各材料
の物性データは表1のとおりである。材料は、可能な限
り音響インピーダンスが異なるものを用意した。
【0055】
【表1】
【0056】既存の遮音板としてヤング率8×108
a、ポアソン比0.3、密度1700kg/m3の材料
を使用した図4に示すサイズの均質板がある。1次元音
響解析によって求められた音響透過損失は図5のとおり
であり、この図5より共振周波数は14500Hz付近
ということが分かる。また重量は51kg、図4に示す
加重状態での変形量は92mmである。この均質板を多
層構造とすることにより音響透過損失、共振周波数、重
量、変形量を改善することを目的とした。
【0057】この実施例では設計パラメータとして、各
層の材料、厚みを選択した。材料を変更することにより
ヤング率、ポアソン比、密度が変わり、音響インピーダ
ンスが変化する。また、目的関数として、音響透過損
失、共振周波数、重量、図4に示す加重状態での変形量
を採用し、音響透過損失を増加し、重量、変形量を低減
することを目的条件とする。
【0058】まず図2のステップS100において計算
用モデル作成手段(MSC社の“PATRAN”)で射
出成形品Xの形状を作成し、複数の要素に分割すること
によって図4のような計算用モデルを構築した。
【0059】続いてステップS200において、図4に
示す層α〜γの初期設計パラメータ(層α:材料A、厚
み10mm、層β:材料A、厚み10mm、層γ:材料
A、厚み10mm)を入力して設計パラメータ入力ファ
イルを作成した。
【0060】続いてステップS300において、最適化
手段上に設計パラメータ入力ファイルを読み込み、設計
パラメータの書き換えを可能にした。最適化手段として
は、汎用最適化ソフト(Engineous社製「iS
IGHT」)、音響特性解析手段としては、音響解析ソ
フト(LMS社製「SYSNOISE」,「VIOLI
NS」)、力学特性解析手段としては、構造解析ソフト
(HKS社製「ABAQUS」)を使用した。さらに最
適化手法は遺伝的アルゴリズムを選択した。また、最大
計算回数を500回、最大計算時間を20時間とした。
【0061】続いてステップS400において、設計パ
ラメータとして各層の材料データ(ヤング率、ポアソン
比、密度)および厚みを選択した。各層の材料に関して
は、音響特性解析手段および力学特性解析手段の、各層
の厚みに関しては、計算用モデル作成手段の設計パラメ
ータ入力ファイル内の当該データを書き換えることとし
た。
【0062】続いてステップS500において、設計パ
ラメータの設計条件として、各層の材料データに関して
は、表1に示す5種類の中から選択すると設定し、各層
厚みに関しては、図4に示すα層の厚みをx(mm)、
β層の厚みをy(mm)、γ層の厚みをz(mm)とす
ると以下のように設定した。 1x28 1y29−x z=30−x−y 続いてステップS600において、音響特性計算手段か
ら得られた音響透過損失および共振周波数、計算用モデ
ル作成手段から得られた計算用モデルの体積に各層材料
の密度を乗じることによって算出された重量、構造解析
結果から得られた変形量を目的関数として読み込むこと
とした。
【0063】続いてステップS700において、音響透
過損失の増加、重量、変形量の減少、共振周波数を14
500Hz以上とすることを目的条件として設定した。
【0064】続いて、ステップS800において最適化
手段により最適化計算を開始し、ステップS900にお
いて、音響特性解析手段による音響解析、力学特性解析
手段による構造解析を行った。
【0065】続いてステップS1000において、目的
条件を満たしているか判定を行なった。しかし、満足の
いく結果ではなかったため、ステップS1200に進ん
だ。
【0066】続いてステップS1200において、最大
計算回数、最大計算時間を超えているか判定を行なっ
た。両条件を超えていなかったため、ステップS130
0に進んだ。
【0067】ステップS1300において、遺伝的アル
ゴリズムの理論に基づいて、各層の材料データおよび厚
みを変化させた。
【0068】続いてステップS1400において、計算
用モデルの変更が必要か判定した。各層の厚みを変化さ
せたことにより計算用モデルの変更が必要となったため
ステップS1500に進んだ。
【0069】続いてステップS1500において、計算
用モデルの変更を計算用モデル作成手段で行い、さら
に、各層の体積も算出した。
【0070】続いてステップS800〜S1500を繰
り返して最適化計算を行なった。
【0071】続いてステップS1100においてステッ
プS900の最適化計算の結果から、図7の各層材料構
成および厚みを得た。この最適化された多層板レイアウ
トによる、音響透過損失は図5に示す値となり、共振周
波数は、前記既存の遮音板とほぼ同じであることが分か
る。重量は50.5kg、加重による変形量は1.43
mmとなり、どの目的関数も既存の遮音板より改善され
た。ここで、図6より、最適化計算により設計された多
層板は、ほぼ同一面密度の均質板からなる既存の遮音板
より音響透過損失が向上しており、多層構造体において
は、各層の材料を入れ替えて音響インピーダンス比を変
化させ、音の透過率を減少させることにより、質量則以
上の遮音効果を得られることが分かる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、多
層構造体の音響特性を安定して精度良く計算することが
でき、遮音性能を向上させた多層構造体を効率的に設計
することができる。さらに、解析値の算出と、設計パラ
メータの変更とを、音響透過損失、重量および力学特性
が適正であると判定されるまで繰り返す構成にした場
合、所望する音響透過損失、重量および力学特性となる
多層構造体の設計パラメータを安定して精度良く自動的
に計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる多層構造体の設計パ
ラメータ決定装置のハードウェア構成を示すブロック図
である。
【図2】本発明の多層構造体の設計パラメータ決定方法
の一例を示すフローチャートである。
【図3】計算モデルにおける要素と節点を示す図であ
る。
【図4】遮音板の計算用モデルを示す図である。
【図5】遮音板の最適化前、後の透過損失のグラフであ
る。
【図6】遮音板の加重時の変形モードおよび最適化前、
後の最大変形量である
【図7】最適化後の多層板レイアウトを表す図である。
【符号の説明】
1 コンピュータ 2 補助記憶装置 3 入力装置 4 表示装置 5 計算用モデル作成手段 6 最適化手段 7 音響特性解析手段 8 力学特性解析手段 51 モデル作成手段 52 モデル体積算出手段 61 設計パラメータ設定手段 62 設計条件設定手段 63 目的関数設定手段 64 目的条件設定手段 65 重量算出手段 65 判定手段 66 工程制御手段 101 棒要素 102 三角形要素 103 四角形要素 104 四面体要素 105 六面体要素

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンピュータを用いて2層以上の層からな
    る多層構造体を設計する方法であって、少なくとも1つ
    の層に対して2種類以上の材料データを設定する工程
    と、該2種類以上の材料データから1種類の材料データ
    を選択する工程と、選択された材料データに基づいて多
    層構造体の音響特性を計算する工程と、前記2種類以上
    の材料データから前回とは異なる1種類の材料データを
    選択する工程と、多層構造体の音響特性を再計算する工
    程とを有することを特徴とする多層構造体の設計方法。
  2. 【請求項2】材料データが少なくとも音速、ヤング率、
    ポアソン比、せん断弾性率および体積弾性率から選ばれ
    た1つ以上のデータと密度とを含む請求項1に記載の多
    層構造体の設計方法。
  3. 【請求項3】音響特性が音響透過損失である請求項1ま
    たは2に記載の多層構造体の設計方法。
  4. 【請求項4】音響特性を計算するに際して、多層構造体
    の力学特性および/または多層構造体の重量も計算する
    請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造体の設計方
    法。
  5. 【請求項5】多層構造体の力学特性が、所定の加重をか
    けた際の変形量である請求項4に記載の多層構造体の設
    計方法。
  6. 【請求項6】音響特性を計算する工程の前に、音響特性
    の目標値を設定する工程を有し、該目標値を達成するま
    で、前記2種類以上の材料データから前回とは異なる1
    種類の材料データを選択する工程と、多層構造体の音響
    特性を再計算する工程とをくり返す請求項1〜5のいず
    れかに記載の多層構造体の設計方法。
  7. 【請求項7】音響特性を計算する工程の前に、音響特性
    の目標値を設定する工程並びに力学特性および/または
    重量の目標値を設定する工程を有し、該音響特性の目標
    値並びに力学特性および/または重量の目標値の全てを
    達成するまで、前記2種類以上の材料データから前回と
    は異なる1種類の材料データを選択して、多層構造体の
    音響特性を再計算する工程をくり返す請求項4または5
    に記載の多層構造体の設計方法。
  8. 【請求項8】前記2種類以上の材料データから前回とは
    異なる1種類の材料データを選択する工程において、数
    値最適化手法を用いて材料データの選択を行なう請求項
    1〜7のいずれかに記載の多層構造体の設計方法。
  9. 【請求項9】音響特性を計算する工程の前に、各層の厚
    さの変化の許容範囲を設定する工程および各層の厚さを
    設定された変化の許容範囲内で変更する工程をさらに有
    する請求項1〜8のいずれかに記載の多層構造体の設計
    方法。
  10. 【請求項10】各層の厚さを設定された変化の許容範囲
    内で変更する際に数値最適化手法を用いて変更後の各層
    の厚さを決定する請求項9に記載の多層構造体の設計方
    法。
  11. 【請求項11】コンピュータを用いて2層以上の層から
    なる多層構造体を設計する装置であって、少なくとも1
    つの層に対して2種類以上の材料データを設定する材料
    データ設定手段と、該2種類以上の材料データから1種
    類の材料データを選択する材料データ選択手段と、材料
    データに基づいて多層構造体の音響特性を計算する音響
    特性計算手段とを有することを特徴とする多層構造体の
    設計装置。
  12. 【請求項12】材料データが少なくとも音速、ヤング
    率、ポアソン比、せん断弾性率および体積弾性率から選
    ばれた1つ以上のデータと密度とを含む請求項11に記
    載の多層構造体の設計装置。
  13. 【請求項13】音響特性計算手段が音響透過損失解析手
    段を含む請求項11または12に記載の多層構造体の設
    計装置。
  14. 【請求項14】多層構造体の力学特性を計算する力学特
    性計算手段および/または多層構造体の重量を計算する
    重量計算手段をさらに有する請求項11〜13のいずれ
    かに記載の多層構造体の設計装置。
  15. 【請求項15】力学特性計算手段が、所定の加重をかけ
    た際の変形量を計算する変形量解析手段を含む請求項1
    4に記載の多層構造体の設計装置。
  16. 【請求項16】音響特性の目標値を設定する目的条件設
    定手段を有し、設定された目標値を達成するまで、材料
    データ選択手段により2種類以上の材料データから1種
    類の材料データを選択する工程と、音響特性計算手段に
    より材料データに基づいて多層構造体の音響特性を計算
    する工程とがくり返されるように構成された請求項11
    〜15のいずれかに記載の多層構造体の設計装置。
  17. 【請求項17】音響特性の目標値並びに力学特性および
    /または重量の目標値を設定する目的条件設定手段を有
    し、設定された目標値を達成するまで、材料データ選択
    手段により2種類以上の材料データから1種類の材料デ
    ータを選択する工程と、音響特性計算手段により材料デ
    ータに基づいて多層構造体の音響特性を計算する工程と
    がくり返されるように構成された請求項14または15
    に記載の多層構造体の設計装置。
  18. 【請求項18】前記材料データ選択手段が数値最適化手
    法を用いて材料データの組み合わせを決定するものであ
    る請求項11〜17のいずれかに記載の多層構造体の設
    計装置。
  19. 【請求項19】各層の厚さの変化の許容範囲を設定する
    厚さ範囲設定手段および設定された変化の許容範囲内で
    各層の厚さを変更する厚さ変更手段をさらに有する請求
    項11〜18のいずれかに記載の多層構造体の設計装
    置。
  20. 【請求項20】前記厚さ変更手段が数値最適化手法を用
    いて変更後の各層の厚さを決定するものである請求項1
    9に記載の多層構造体の設計装置。
  21. 【請求項21】請求項1〜10のいずれかに記載の設計
    方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログ
    ラム。
  22. 【請求項22】請求項21に記載のプログラムを記憶し
    たコンピュータ読みとり可能な記憶媒体。
  23. 【請求項23】請求項1〜10のいずれかに記載の設計
    方法を用いて多層構造体を解析し、解析結果に基づいて
    各層の材料および厚さを最終決定し、最終決定された材
    料および厚さに基づいて多層構造体を製造する多層構造
    体の製造方法。
JP2002058503A 2002-03-05 2002-03-05 多層構造体の設計方法、設計装置、プログラムおよび製造方法 Pending JP2003256484A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002058503A JP2003256484A (ja) 2002-03-05 2002-03-05 多層構造体の設計方法、設計装置、プログラムおよび製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002058503A JP2003256484A (ja) 2002-03-05 2002-03-05 多層構造体の設計方法、設計装置、プログラムおよび製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003256484A true JP2003256484A (ja) 2003-09-12

Family

ID=28668460

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002058503A Pending JP2003256484A (ja) 2002-03-05 2002-03-05 多層構造体の設計方法、設計装置、プログラムおよび製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003256484A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005147939A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The 物性推定方法、音波透過体の最適設計方法及びプログラム
JP5329087B2 (ja) * 2005-06-30 2013-10-30 新日鐵住金株式会社 部材の設計方法及び装置、コンピュータプログラム、並びにコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP2014232121A (ja) * 2011-12-01 2014-12-11 日東紡音響エンジニアリング株式会社 音響性能計算装置、音響性能計算方法、及び音響性能計算プログラム
CN108564938A (zh) * 2018-03-18 2018-09-21 西北工业大学 一种新型仿生复合吸声结构

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005147939A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The 物性推定方法、音波透過体の最適設計方法及びプログラム
JP4604477B2 (ja) * 2003-11-18 2011-01-05 横浜ゴム株式会社 物性推定方法、音波透過体の最適設計方法及びプログラム
JP5329087B2 (ja) * 2005-06-30 2013-10-30 新日鐵住金株式会社 部材の設計方法及び装置、コンピュータプログラム、並びにコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP2014232121A (ja) * 2011-12-01 2014-12-11 日東紡音響エンジニアリング株式会社 音響性能計算装置、音響性能計算方法、及び音響性能計算プログラム
CN108564938A (zh) * 2018-03-18 2018-09-21 西北工业大学 一种新型仿生复合吸声结构
CN108564938B (zh) * 2018-03-18 2024-03-26 西北工业大学 一种新型仿生复合吸声结构

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6985836B2 (en) Computer-aided engineering method and apparatus for predicting a quantitative value of a physical property at a point from waves generated by or scattered from a body
JP6815186B2 (ja) 仮想現実オーサリング方法
JP4702469B2 (ja) 車両の音響解析装置
US7925475B2 (en) Analyzing structural design relative to vibrational and/or acoustic loading
JP2007509383A (ja) 最適な制振処理のレイアウトおよびパネル形状のレイアウトを決定するための方法
JP2007188164A (ja) 音響構造連成最適設計解析方法とその最適設計システム、およびその解析プログラム、ならびにその解析プログラムを記録した記録媒体
Favre et al. A continuous crystallographic approach to generate cubic lattices and its effect on relative stiffness of architectured materials
Venter et al. Response surface approximations for fatigue life prediction
JP5854067B2 (ja) 不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法、不均質材料のシミュレーション方法、及びプログラム
Chen et al. Modeling and vibro-acoustic analysis of elastically restrained panel backed by irregular sound space
Dinachandra et al. Isogeometric analysis for acoustic fluid-structure interaction problems
US8190413B2 (en) Method for simulating performance of golf club head
Chang et al. Topology optimization of compressor bracket
JP2006015866A (ja) 不均質材料のシミュレーション方法
Prasad et al. A general capability of design sensitivity for finite element systems
Li et al. Vibro-acoustic analysis and optimization of damping structure with Response Surface Method
JP2003256484A (ja) 多層構造体の設計方法、設計装置、プログラムおよび製造方法
JP2003090758A (ja) 成形品の音響特性のシミュレーション方法および装置
US20100160072A1 (en) Method of analysis for kinetic properties of golf club head and golf club therefor
CN104239676B (zh) 在宽频范围对系统声发射与传播建模的方法和设备
Inci et al. Applications of an isogeometric indirect boundary element method and the importance of accurate geometrical representation in acoustic problems
Kundra Structural dynamic modifications via models
JP4631319B2 (ja) 不均質材料のシミュレーションモデル作成方法
Guisset et al. Numerical methods for modeling and optimization of noise emission applications
JPH11203330A (ja) 形状変形モード生成システムと形状最適化解析システムおよびそれに用いるプログラムを記録した記録媒体