JP5582211B1 - 応力−ひずみ関係シミュレート方法、スプリングバック量予測方法およびスプリングバック解析装置 - Google Patents

応力−ひずみ関係シミュレート方法、スプリングバック量予測方法およびスプリングバック解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】弾塑性材料の応力−ひずみ関係シミュレート方法、プレス成形時の弾塑性材料のスプリングバック量予測方法及びスプリングバック解析装置を提供する。
【解決手段】弾塑性材料に変位又は荷重を与えて塑性変形をさせて応力−ひずみ関係の実験値を取得する実験値取得ステップS1と、応力及び背応力の関数として定義される弾塑性構成式に含まれる材料定数を、実験値取得ステップで取得された実験値を用いて同定する第1材料定数同定ステップS2と、該第1材料定数同定ステップで同定された材料定数と実験値取得ステップで取得された実験値とに基づいて応力反転直後の特性を決める材料定数を同定する第2材料定数同定ステップS4と、同定された材料定数及び弾塑性構成式を用いて弾塑性材料の応力−ひずみ関係をシミュレートするステップS5とを有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、弾塑性材料の応力−ひずみ関係を評価する応力−ひずみ関係シミュレート方法、プレス成形時の弾塑性材料のスプリングバック量を予測するスプリングバック予測方法、およびプレス成形品のスプリングバック解析装置に関するものである。
プレス成形とは、成形対象のブランク(金属板)に金型を押し付けることにより、金型の形状をブランクに転写して加工する方法である。このプレス成形においては、プレス成形品を金型から取り出した後に、ブランクに加えた変形が若干元に戻る、いわゆるスプリングバックが発生することによって、プレス成形品が所望の形状とは異なってしまうことがある。このため、プレス成形においては、プレス成形品のスプリングバック量を予測し、予測結果に基づいてスプリングバック後のプレス成形品の形状が所望の形状となるように金型の形状を設計する必要がある。
スプリングバックは、プレス成形品を金型から取り出した際、加工によって受けた応力が取り除かれることにより発生する。材料がプレス成形過程およびスプリングバック過程で受ける応力とひずみの関係を、横軸にひずみ、縦軸に応力をとって示した図16を用いて、さらに詳しくスプリングバックを説明する。
プレス成形過程において、材料に外力σが与えられると、材料は弾性変形領域を経て降伏点Aを境に塑性変形が生じ、所望の形状に対応するひずみ量ε2(応力σ2)である点Bまで塑性変形は進行する。そして、材料が金型から取り出されると、外力は除荷され応力σは低下して、材料全体に働く力が釣り合うひずみ量ε1(応力σ1)の点Cで除荷は終了する。
スプリングバック量は、この除荷過程に生じたひずみ量εの差、すなわち除荷開始点Bのひずみ量ε2と除荷終了点Cのひずみ量ε1との差Δεによって決まる。
従来の等方硬化モデルと呼ばれる古典的な数式モデルでは、除荷開始点Bに対して応力σ2の絶対値が等しい点Dまで弾性変形領域、つまり応力とひずみが線形な関係となる領域と仮定するので、除荷終了点は点Eとなる。
しかしながら、実際の多くの材料は、除荷過程において線形な領域はほとんど存在せず、弾性変形領域から外れて点Dよりはるかに早期に降伏現象が起こり、応力とひずみの関係は非線形な曲線を描く。
このような反転負荷時の早期降伏現象はバウシンガー効果と呼ばれる。このバウシンガー効果を再現するには、移動硬化を考慮することが必要となる。移動硬化とは、降伏曲面がその大きさを変えることなく移動することによって硬化することを意味する。
移動硬化を考慮した代表的な例としては、吉田−上森モデルがある(非特許文献1参照)。この吉田−上森モデルにおいてはバウシンガー効果を再現できて、さらに、応力反転直後の非線形な応力−ひずみ関係を加工硬化が直線状に生ずると仮定することによって応力とひずみの見掛けの勾配(見掛けのヤング率)として線形近似している。
しかしながら、除荷過程の非線形な応力−ひずみ挙動と、これを線形近似することによる挙動の差は明らかであり、吉田−上森モデルによって応力−ひずみ関係を精度よく再現することはできない。
このような背景から、除荷過程の初期に起こるバウシンガー効果を表現する方法として、特許文献1に記載の方法が提案されている。特許文献1に記載の方法は、ひずみに対する応力の勾配から除荷過程における塑性変形開始応力を同定し、降伏応力を従来技術より小さくする、すなわち、線形となる弾性領域を少なくし、非線形の加工硬化領域を増やすことによって、除荷過程の初期に起こるバウシンガー効果を表現している。
また、特許文献1に記載の方法では、除荷時の再降伏した後の加工硬化(塑性変形)領域での精度を向上させるために、降伏曲面の移動硬化の収束速さ、すなわち、ひずみに対する応力の勾配において、ひずみが小さい領域で応力が急増する場合を収束速さが大きいとし、ひずみが大きく応力があまり増加しない場合の収束速さが小さいとすることを表す係数を相当塑性ひずみの関数と定義している。
特許第3809374号公報 Yoshida,F.,Uemori,T.:Int.J.Plasticity,18,(2002),661-686.
特許文献1記載の方法は、降伏曲面の移動硬化の収束速さの係数を相当塑性ひずみの関数として定義している。
しかしながら、除荷過程で発生する塑性ひずみ量はごくわずかであり、その大きさが極めて小さいため、塑性ひずみ量を求めるために同一材料で試験を行ったとしても、除荷時に発生する塑性ひずみ量はばらつき易い。このため、特許文献1記載の方法では、降伏曲面の移動硬化収束速さの係数を精度よく算出することができず、結果として、応力−ひずみ関係を精度よく算出できない。その結果、プレス成形時の弾塑性材料のスプリングバック量を精度よく予測することが困難であった。
プレス成形過程においては、引張から圧縮、圧縮から引張のように反転する応力を材料は受けて変形する。
したがって、材料が反転する応力を受ける場合の応力−ひずみ関係をシミュレートすることは非常に重要であるが、上記特許文献1で開示された方法では精度よくシミュレートすることはできない。以下、この点を説明する。
図17は材料が引張変形の後除荷され、さらに再引張変形を受けた際の応力とひずみの関係を表している。除荷(圧縮)過程では、前述のように非線形な曲線を描き、また再引張時も同様に非線形な挙動となる。さらに、引張変形が進むと元の引張応力−ひずみ関係と同様の変形をする。
図18は図17の除荷(圧縮)及び再引張変形を受けた際のひずみに対する応力の勾配(dσ/dε)の変化を示しており、横軸が応力(σ)、縦軸が勾配(dσ/dε)である。除荷(圧縮)と再引張時の勾配は変形初期の高い値から塑性変形するため徐々に小さくなるのであるが、除荷と再引張時の勾配はσ3を境に対称になることを発明者は実験により知見している。すなわち除荷(圧縮)と再引張による応力−ひずみ関係は点対称なヒステリシスとなる。
しかしながら、特許文献1記載の方法で、除荷(圧縮)−再引張変形の応力−ひずみ関係を算出すると、除荷と再引張では異なる応力−ひずみ勾配となり、実験で得られるような点対称なヒステリシスを描くことができない。つまり、特許文献1の方法では、材料が反転する応力を受ける場合の応力−ひずみ関係を精度よくシミュレートすることができない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、弾塑性材料の応力−ひずみ関係を精度よくシミュレート可能な応力−ひずみ関係シミュレート方法を提供し、また、プレス成形時の弾塑性材料のスプリングバック量を精度よく予測可能なスプリングバック予測方法、さらには精度よくスプリングバックを解析できるスプリングバック解析装置を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る応力−ひずみ関係シミュレート方法は、弾塑性材料を塑性変形させて応力−ひずみ関係の実験値を取得する実験値取得ステップと、
計算機が、応力及び背応力の関数として定義される弾塑性構成式における降伏曲面の移動硬化増分ベクトルdαijを式(1)として、該弾塑性構成式に含まれる材料定数を、前記実験値取得ステップで取得された実験値を用いて同定する第1材料定数同定ステップと、
計算機が、該第1材料定数同定ステップで同定された材料定数代入された前記式(1)と、前記実験値取得ステップで取得された実験値に基づいて式(2)に含まれる材料定数を同定する第2材料定数同定ステップと、
計算機が、同定された材料定数代入された前記式(1)、前記式(2)、及び前記弾塑性構成式を用いて弾塑性材料の応力−ひずみ関係をシミュレートするステップと、を含むことを特徴とするものである。
Figure 0005582211
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記式(1)(2)における変数Xij,ρ,A,nが式(3)によって表されることを特徴とするものである。
Figure 0005582211
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記実験値取得ステップにおける弾塑性材料に塑性変形を与える方法として、前記弾塑性材料に対して引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷する方法、前記弾塑性材料に引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、圧縮方向に応力を加えて塑性変形させる方法、又は引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、再び引張方向に応力を加えて塑性変形させる方法のうちのいずれかの方法で行うことにしたことを特徴とするものである。
(4)本発明に係るスプリングバック量予測方法は、弾塑性材料を塑性変形させて応力−ひずみ関係の実験値を取得する実験値取得ステップと、
計算機が、応力及び背応力の関数として定義される弾塑性構成式における降伏曲面の移動硬化増分ベクトルdαijを式(1)として、該弾塑性構成式に含まれる材料定数を、前記実験値取得ステップで取得された実験値を用いて同定する第1材料定数同定ステップと、
計算機が、該第1材料定数同定ステップで同定された材料定数代入された前記式(1)と、前記実験値取得ステップで取得された実験値に基づいて式(2)に含まれる材料定数を同定する第2材料定数同定ステップと、
計算機が、同定された材料定数代入された前記式(1)、前記式(2)及び前記弾塑性構成式を用いてスプリングバック量を予測するステップと、を含むことを特徴とするものである。
Figure 0005582211
(5)また、上記(4)に記載のものにおいて、前記式(1)(2)における変数Xij,ρ,A,nが式(3)によって表されることを特徴とするものである。
Figure 0005582211
(6)また、上記(4)又は(5)に記載のものにおいて、前記実験値取得ステップにおける弾塑性材料に塑性変形を与える方法として、前記弾塑性材料に対して引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷する方法、前記弾塑性材料に引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、圧縮方向に応力を加えて塑性変形させる方法、又は引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、再び引張方向に応力を加えて塑性変形させる方法のうちのいずれかの方法で行うことにしたことを特徴とするものである。
(7)本発明に係るスプリングバック解析装置は、プレス成形品のスプリングバック解析装置であって、
プレス成形解析によって前記プレス成形品の離型前の解析の形状、残留応力分布及びひずみ分布を取得するプレス成形解析手段と、
前記プレス成形品の形状、残留応力分布及びひずみ分布に基づいて、スプリングバック解析によって前記プレス成形品の離型後のスプリングバック量を取得するスプリングバック解析手段とを有し、
前記プレス成形解析手段及び前記スプリングバック解析手段が有する弾塑性構成式における降伏曲面の移動硬化増分ベクトルdαijが式(1)(2)であることを特徴とするものである。
Figure 0005582211
(8)また、上記(7)に記載のものにおいて、前記式(1)(2)における変数Xij,ρ,A,nが式(3)によって表されることを特徴とするものである。
Figure 0005582211
本発明によれば、弾塑性材料の応力−ひずみ関係を精度よくシミュレートでき、また本発明のスプリングバック予測方法によれば弾塑性材料のスプリングバックを精度よく予測することができる。さらは、本発明のスプリングバック解析装置によれば、スプリングバックを精度よく解析できる。
本発明の原理を説明するための説明図である(その1)。 本発明の原理を説明するための説明図である(その2)。 本発明の原理を説明するための説明図である(その3)。 本発明の原理を説明するための説明図である(その4)。 本発明の原理を説明するための説明図である(その5)。 本発明の原理を説明するための説明図である(その6)。 本発明の実施の形態1に係る応力−ひずみ関係シミュレート方法の流れを説明するフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係るスプリングバック量予測方法の流れを説明するフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係るスプリングバック解析装置の構成を説明するブロック図である。 本発明の実施の形態3に係るスプリングバック解析装置を用いたスプリングバック解析方法の流れを説明するフローチャートである。 本発明の実施例1における実験結果について説明する説明図である。 本発明の実施例2における実験内容を説明する説明図である。 本発明の実施例2における実験結果のスプリングバック評価方法について説明する説明図である。 本発明の実施例2における実験結果について説明する説明図である。 本発明の効果を説明する図であって、正転変形過程における応力とひずみとの関係の一例を示す図である。 本発明の従来技術について説明する説明図である。 本発明が解決しようとする課題について説明するための説明図である(その1)。 本発明が解決しようとする課題について説明するための説明図である(その2)。
[本発明の原理]
発明者は、現在提案されている応力及び背応力の関数として定義される弾塑性構成式の中で精度が高いとされる吉田−上森モデルに着目し、吉田−上森モデルの有する問題点を解明し、新たな弾塑性構成式を考えたので、まずその原理を説明する。
図1(a)は材料に引張変形を与えて除荷し、再度引張変形を与えた際の応力−ひずみ関係の一例を示す図であり、図1(b)は図1(a)に示す領域R1の拡大図である。
図1(b)に示すように、除荷時(点A→点B間)および再引張時(点B→点C間)共に応力−ひずみ関係は非線形な曲線となるヒステリシスを描いている。このように、圧縮を伴わない引張、除荷、再引張の場合であっても、除荷および再度引張の応力−ひずみ関係は変形非線形な曲線となる。
しかしながら、吉田−上森モデルの弾塑性構成式では、この領域は弾性変形域として扱われるため、応力−ひずみ関係は直線として仮定している。このため、図1に示すような圧縮を伴わないような変形であっても応力−ひずみのヒステリシスを精度よく再現することができず、まして圧縮を伴うような変形挙動については現実との乖離がより大きくなるという問題がある。
吉田−上森モデルの弾塑性構成式では、降伏曲面半径を大きくとるのが一般的であるが、上記の通り、引張変形を与えて除荷し、再度引張変形を与えるような場合には、弾性変形領域が小さい。
そこで、発明者は、除荷および再度引張の領域における応力−ひずみ勾配が一定である弾性変形域を小さくするため、降伏曲面半径を小さくとり、この領域の大半を加エ硬化(塑性変形)域とすることをまず考えた。
図2は材料に引張変形を与えて除荷及び圧縮(以下、「除荷・圧縮」と表記する)し、再度引張変形を与えた際の応力−ひずみ関係を示している。図2において、線分L1は実験値を示し、線分L2は降伏曲面の半径を小さくした場合の吉田−上森モデルの計算値を示している。
図2を見ると分かるように、実験値と計算値は大きく乖離している。
発明者は、この乖離の仕方について検討し、2つの点に着目した。まず、実験値の除荷・圧縮と再引張の応力−ひずみ勾配はほぼ同じ値であるのに対し、計算値では除荷・圧縮と再引張の応力−ひずみ勾配が異なっていること(着目点1)、除荷・圧縮と再引張ともに、あるひずみ量における計算値の応力は実験値の応力より小さいこと(着目点2)。
以下、この着目点1、2について説明する。
<着目点1について>
着目点1を検討するため、除荷・圧縮を受けた後再引張を受けた際のひずみに対する応力の勾配(dσ/dε)(すなわち、図2における線分の傾き)の変化を調べるため、横軸を応力(σ)、縦軸を勾配(dσ/dε)としたグラフに整理したものが図3である。図3において、線分L3および線分L4はそれぞれ実験値における除荷・圧縮過程、再引張過程のグラフであり、線分L5および線分L6は吉田−上森モデルの計算値における除荷・圧縮過程、再引張過程のグラフである。
図3を見ると、実験での除荷・圧縮と再引張の応力−ひずみ勾配は、L3とL4の交点を通る垂直軸に対して、L3とL4は線対称となるのに対し、計算値ではこれらが大きく異なっていることが顕著に分かる。
そこで、発明者は、除荷・圧縮と再引張の応力−ひずみ勾配の性質を解明するため、応力反転からの応力変化量、すなわち、応力反転(図17における点Bからの除荷、または、点Cからの再引張)からどれだけ応力が変化したかを表す応力変化量Δσと応力−ひずみ勾配(dσ/dε)の関係を除荷・圧縮と再引張について整理することを考えた。図4は、縦軸を勾配(dσ/dε)、横軸応力変化量Δσとして、除荷・圧縮と再引張におけるこれらの関係を示している。図4において、線分L7は除荷・圧縮過程のグラフであり、線分L8は再引張過程のグラフである。
図4を見ると、除荷・圧縮(線分L7)と再引張(線分L8)での勾配がほぼ一致している。このことから、圧縮および再引張に関わらず、応力反転から応力がどれだけ変化したかによって応力−ひずみ関係の勾配すなわち材料の硬化挙動を決めているとの知見を得た。
上記の知見を前提として、発明者は吉田−上森モデルの問題点について検討した。
本発明の発明者らは弾塑性構成式において、降伏曲面の移動(背応力)に着目した。降伏曲面の移動は、材料の加工硬化に直接起因するために、その移動の程度を変化させることで応力−ひずみ関係に変化を与えることができる。以下に示す式(4)は、吉田−上森モデルの降伏曲面の移動ベクトルα* ijの増分式を示している。
Figure 0005582211
ここで、式(4)中の係数Cは、降伏曲面の収束速さを規定する材料定数、aは限界曲面と降伏曲面の半径差、Yは降伏応力、α* eqはα* ijの相当値、dεp eqは相当塑性ひずみ増分である。
圧縮および再引張に関わらず、応力反転からどれだけ応力が変化したかが材料の硬化挙動を決めているという知見から、α* ijの増分式中の減少項を修正することを考えた。減少項に含まれるα* ijは原点からの変化量を規定しているため、この減少項の影響で圧縮と再引張で硬化挙動の差が生じていた。
そこで、発明者らは本発明の弾塑性構成式において、降伏曲面の移動ベクトルα* ijの増分式における減少項を、式(5)に示すように、応力反転時からの降伏曲面の移動硬化量を表すベクトルXijを用いて表すことを考えた。
Figure 0005582211
さらに、式(5)中のρとXijを応力状態によって切り替えることを考えた。
ここで切り替え方ついて説明する。変形過程において、3次元的に受けている現在の応力の相当値(単軸引張応力への換算値)σeqが最大の場合、すなわち現在の応力がそれまでの応力の最大値σeqmax(等方硬化を仮定した際の相当応力の最大値)より大きい場合と、そうでない場合で式(5)中の変数を以下のように場合分けをすることとした。
Figure 0005582211
ここで、α*tmp ijは応力反転した時点での背応力(降伏曲面ベクトル)であり、次の応力反転が起こるまで変化しない値である。これらの式により、応力反転時からの硬化量で材料の硬化挙動が決まるという応力−ひずみ関係の特性を表現した。
なお、式(6)中における「σeq≧σeqmaxのときσeq=σeqmaxとなる」とは、現在受けている応力がそれまでに受けた応力よりも大きいときであるから、現在受けている応力が過去の最大となるという意味である。
そして、上記のような場合とは、例えば除荷・圧縮の後再引張をして、応力が除荷の値に戻った後さらに引張りをするような場合であり、図1(b)のC点以降の場合をいう。
また、式(6)中における「σeq<σeqmaxのとき」とは、現在受けている応力がそれまでに受けた応力よりも小さいときであるから、例えば除荷・圧縮から再引張の状態をいい、図1(b)ではA点からB点への移動、B点から再びAに移動する場合をいう。この場合、σeqmaxはA点での応力をいう。
上記のように、式(5)、式(6)を用いることで、材料の硬化挙動を応力反転時点からの応力の変化量によって規定することを定式化できる。
<着目点2について>
次に、上記の着目点2の「圧縮と再引張ともに、あるひずみ量における計算値の応力は実験値の応力より小さい」という点について、この問題を解決するため、式(4)中の係数Cに着目した。
係数Cは降伏曲面の収束速さを規定する材料定数であるが、降伏曲面の収束速さが大きければ、応力反転後の応力−ひずみ勾配は大きくなる。図2を見ると、計算値の曲線の勾配が実験値より小さいために計算値の応力が実験値の応力よりも小さくなっていると考えることができる。そこで、計算値の曲線の誤差を小さくするためには、降伏曲面の収束速さを大きくする、すなわち加工硬化率を大きくすることが考えられる。
しかしながら、降伏曲面の収束速さを大きくするために単純に係数Cを大きくしても、計算値は実験値とうまく整合しない。
そこで、発明者は、除荷・圧縮過程および再引張過程で応力−ひずみ関係の計算値が実験値に一致するための係数Cの理想値を算出し、この理想値を基に検討することを考えた。
まず、式(5)を変形し、下式(7)とした。
Figure 0005582211
式(5)の[]内に着目すると、降伏曲面の収束速さを大きくするには、増加項を大きくすればよいので、減少項に関しては、吉田−上森モデルにおいて同定される係数と同じ定数であるC0として固定した式(8)を考えた。
Figure 0005582211
理想値は、実験値と式(8)を用いて、式(8)によって計算される応力−ひずみ関係が実験値に一致するための係数Cを求めることで算出した。
図5は、算出した係数Cの理想値を縦軸に、応力σを横軸にして示したものであり、図5中、曲線L9は除荷・圧縮過程における係数Cの理想値を示し、曲線L10は再引張過程における係数Cの理想値を示している。
発明者は、係数Cの理想値の性質を解明するため、応力反転からの応力変化量、すなわち、応力反転からどれだけ応力が変化したかを表す応力変化量Δσと係数Cの理想値との関係を除荷・圧縮過程および再引張過程で整理した。
図6は、縦軸を係数Cの理想値、横軸応力変化量Δσとして、除荷・圧縮過程および再引張過程におけるこれらの関係を示している。図6において、線分L11は除荷・圧縮過程のグラフであり、線分L12は再引張過程のグラフである。
図6をみると、除荷・圧縮過程および再引張過程の曲線(線分L11および線分L12)はほぼ一致しており、係数Cは、除荷・圧縮および再引張過程において初期は高い値を示し、応力反転からの応力変化量が大きくなるにつれて低い値に漸近する挙動を示しており、指数関数のグラフに近似できると考えられる。
そこで、本発明の発明者らは、係数Cを応力変化量の関数として前述の式(2)のように記述することとした。
Figure 0005582211
ここでXeqはXijの相当値、C0,CC,A1,A2,n1,n2は材料定数である。
係数C0は、係数Cの収束値に係る材料定数であり、吉田−上森モデルで同定された材料定数Cが代入される。また、係数CCは、係数Cの増加量に係る材料定数であり、係数A1、A2、n1、n2は係数Cの収束速さ(加工硬化率)に係る材料定数である。
なお、降伏曲面の移動硬化の収束速さを表す係数Cの定義にあたり、前述したように、特許文献1においてはひずみの関数を用いたため、変化の範囲が狭く、実験で求めるにはばらつきが大きくなっていた。これに対して、本発明では、係数Cを応力の関数としているため、変化の範囲が大きく、ばらつきが小さくて、精度良い結果を得られる。
以上のように、本発明においては、除荷・圧縮過程及び再引張過程における応力−ひずみ関係を、応力反転時からの応力の変化量によって規定するようにしたので、除荷・圧縮過程と再引張過程での実験値が示す関係と乖離なく表現することができる。
つまり、本発明によれば、除荷・圧縮過程および再引張過程(および圧縮過程)で応力−ひずみ関係の計算値を実験値に一致させることができ、結果としてスプリングバック量も精度高く予測することができる。
なお、上記の説明では、応力及び背応力の関数として定義される弾塑性構成式として吉田−上森モデルを例に挙げて説明した。そのため、移動硬化増分ベクトルdαijの表記として吉田−上森モデルで使用されているdα* ijという表記(「*」を用いた表記)をしている。
しかしながら、本発明は吉田−上森モデルを前提とするものではなく、従来提案されている弾塑性構成式における降伏曲面の移動硬化増分ベクトルとして本発明の移動硬化増分ベクトルdαijを用いることができる。また、弾塑性構成式を移動硬化増分ベクトルdαijのみで構成することもできる。また、吉田−上森モデル(式(4)参照)においてaは、前述したとおり限界曲面と降伏曲面の半径差を表しているが、移動硬化増分ベクトルを一般化した本発明(式(1)参照)においてaは、降伏曲面の移動最大値となる。
[実施の形態1]
〔応力−ひずみ関係シミュレート方法〕
次に、本発明の一実施形態である応力−ひずみ関係シミュレート方法の流れを示すフローチャートである図7を参照して、本発明の一実施形態である応力−ひずみ関係シミュレート方法について説明する。
ステップS1の処理では、オペレータが、弾塑性材料に対して引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、圧縮方向に応力を加えて塑性変形させる(引張→除荷→圧縮)試験と、引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、再び引張方向に応力を加えて塑性変形させる(引張→除荷→再引張)試験とを行い、弾塑性材料の応力−ひずみ関係の実験値を取得する。
なお、本実施形態では、引張→除荷→圧縮試験と引張→除荷→再引張試験とを行うことによって弾塑性材料の応力−ひずみ関係の実験値を取得することとしたが、この2つの試験のうちいずれか一方の試験のみを行うようにしてもよい。また、この2つの試験の代わりに、引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷する試験(引張→除荷試験)を行うこととしてもよい。
ステップS2の処理では、ステップS1の処理によって得られた応力−ひずみ関係の実験値を利用して、吉田−上森モデルに含まれる非特許文献1記載の他の材料定数Y,B,C,b,m,Rsat,hを計算機により同定する。
ステップS3の処理では、ステップS1の処理によって得られた応力−ひずみ関係を利用して、応力とひずみとの接線勾配dσ/dεが低下しはじめる応力を材料定数Y(降伏応力)として計算機により再同定する。
ステップS4の処理では、ステップS2およびステップS3により同定された材料定数を用いた本発明の弾塑性構成式である式(1)を利用して、応力反転直後の特性を決める材料定数Cc,A1,A2,n1,n2を同定する。なお、式(1)中の係数C0はステップS2で同定した吉田−上森モデルにおける係数Cを用いる。
ステップS5の処理では、計算機を利用してステップS2乃至ステップS4の処理によって同定された材料定数を弾塑性構成式(1)(2)に代入し、材料定数が代入された弾塑性構成式を用いて弾塑性材料の応力−ひずみ関係を算出する。
これらステップS1乃至ステップS5により、一連の応力−ひずみ関係シミュレート処理は終了する。
[実施の形態2]
〔スプリングバック量予測方法〕
次に、本発明の一実施形態であるスプリングバック量予測方法の流れを示すフローチャートである図8を参照して、本発明の一実施形態であるスプリングバック量予測方法について説明する。
ステップS1〜ステップS4の処理は、図7と同様であるのでその説明を省略する。
ステップS6の処理では、計算機を利用してステップS2乃至ステップS4の処理によって同定された材料定数を弾塑性構成式(1)(2)に代入し、材料定数が代入された弾塑性構成式を用いてスプリングバック量を予測する。
[実施の形態3]
実施の形態1で作成された移動硬化増分ベクトルdαijを含む弾塑性構成式を、有限要素法解析ソフトウェアに組み込むことでスプリングバック解析装置1を構成することができる。
以下、このようなスプリングバック解析装置1の構成を図9に示すブロック図に基づいて説明する。
[スプリングバック解析装置]
スプリングバック解析装置1は、図9に示すように、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成され、図9に示されるように、表示装置3と入力装置5と主記憶装置7と補助記憶装置9および演算処理部11とを有している。
また、演算処理部11には、表示装置3と入力装置5と主記憶装置7および補助記憶装置9が接続され、演算処理部11の指令によって各機能を行う。表示装置3は計算結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成されている。
入力装置5はオペレータからの入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成されている。
主記憶装置7は演算処理部11で使用するデータの一時保存や演算等に用いられ、RAM等で構成されている。補助記憶装置9は、データの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成されている。
演算処理部11はPC等のCPU等によって構成され、演算処理部11内には、プレス成形解析手段13と、スプリングバック解析手段15を有している。これらの手段はCPU等が所定のプログラムを実行することによって実現される。
以下にこれら手段について詳細に説明する。
<プレス成形解析手段>
プレス成形解析手段13は、プレス成形品についてプレス成形解析を行い、プレス成形後(離型前)の形状情報、応力分布及びひずみ分布を取得するものである。
プレス成形解析手段13には、応力及び背応力の関数として定義される弾塑性構成式が入力されているが、その移動硬化増分ベクトルdαijは下式に示すものである。
Figure 0005582211
<スプリングバック解析手段>
スプリングバック解析手段15は、プレス成形解析手段13で得られた離型前の形状情報、応力分布、ひずみ分布、および与えられた物性値に基づいてスプリングバック解析を行い、離型後のスプリングバック量を取得するものである。
スプリングバック解析手段15にも、プレス成形解析手段13と同様に応力及び背応力の関数として定義される弾塑性構成式が入力されており、その移動硬化増分ベクトルdαijは上記の式(1)と同様である。
プレス成形解析手段13及びスプリングバック解析手段15が有する弾塑性構成式における材料定数は、図7に示したステップS1〜ステップS4を実行することで同定できる。
したがって、本実施の形態のスプリングバック解析装置1によってスプリングバック解析を行う場合には、プレス成形に用いる材料についてステップS1〜ステップS4の処理を実行して式(1)(2)の材料定数を同定し、プレス成形解析手段13及びスプリングバック解析手段15が有する弾塑性構成式に代入するようにすればよい。
上記のようなスプリングバック解析装置1を用いることで、プレス成形過程において材料に与えられる除荷・圧縮、再引張における応力−ひずみ関係を精度よく再現でき、これによってスプリングバック量も精度高く予測することができる。
次に、上記のスプリングバック解析装置1を用いてスプリングバック解析を行う方法を図10により説明する。
上述のステップS1乃至ステップS4の処理を実行することによって弾塑性構成式(1)(2)に含まれる材料定数を同定する(ステップS11)。
ステップS12の処理では、ステップS11の処理によって同定された材料定数の他、成形解析処理に必要なデータ、例えば金型に関するデータ、ブランクに関するデータ、成形速度等のデータを準備して、入力データとして作成する。
ステップS13の処理では、ステップS12の処理によって作成された入力データを計算機にインストールされているスプリングバック解析装置1に入力することによって成形解析を実行する。
ステップS14の処理では、ステップS13の成形解析結果に基づいてスプリングバック解析を行いプレス成形時の弾塑性材料のスプリングバック量を予測する。
これらステップS11乃至ステップS14により、一連のスプリングバック量予測処理は終了する。
実施例1では、板厚1.2mmの鋼板JSC980Yに対して(1)引張→除荷試験、(2)引張→除荷→圧縮試験、および(3)引張→除荷→再引張試験の各試験を行い、各試験において鋼板JSC980Yの応力−ひずみ関係の実験値を取得した。また、各試験において取得した実験値を利用して弾塑性構成式の材料定数を同定し、材料定数が同定された弾塑性構成式を用いて鋼板JSC980Yの応力−ひずみ関係を算出した。
図11は、吉田−上森モデルを用いて算出された応力−ひずみ関係(L13)、引張→除荷試験から得られた応力−ひずみ関係の実験値に基づいて算出された本発明の応力−ひずみ関係(L14)、および引張→除荷→圧縮試験から得られた応力−ひずみ関係の実験値に基づいて算出された本発明の応力−ひずみ関係(L15)と、実験値(P1)との関係を示す図である。
図11から明らかなように、引張→除荷試験および引張→除荷→圧縮試験から得られた応力−ひずみ関係の実験値に基づいて算出された応力−ひずみ関係の曲線L14、L15は、吉田−上森モデルを用いて算出された応力−ひずみ関係を示す曲線L13よりも高い精度で実験値P1と整合している。
以上のことから、(1)引張→除荷試験、(2)引張→除荷→圧縮試験、および(3)引張→除荷→再引張試験のうちのいずれかの試験から得られた応力−ひずみ関係の実験値を利用して本発明の弾塑性構成式の材料定数を同定し、同定された材料定数を用いて式(2)によって表される降伏曲面の移動硬化の収束速さを規定する係数Cを算出し、算出された材料定数と係数Cとを弾塑性構成式に代入することによって、応力−ひずみ関係を高精度に算出できることが確認された。
実施例2では、成形解析におけるスプリングバック量予測に対する本発明の有用性を検証するために、板厚1.2mmの鋼板JSC980Yに対して単純曲げ試験を行った。
図12は、単純曲げ試験の内容を説明するための模式図である。この単純曲げ試験では、始めに、図12(a)に示すように、パンチ21とダイ23およびパッド25との間に鋼板27を配置し、ダイ23およびパッド25を矢印D1方向に移動させることによって、曲げ角度θ1(=30〜75°)で鋼板27に対して単純曲げ成形(一次曲げ)を施した。
そして、次に、図12(b)に示すように、曲げ角度θ1より大きな曲げ角度θ2(=45〜75°)で鋼板27に対して再度単純曲げ成形(二次曲げ)を施した。これにより、鋼板27の曲げ部には、負荷→除荷→再負荷→再除荷変形が加えられたことになる。スプリングバック後の角度φを図13に示すように定義し、一次曲げ後と二次曲げ後とのφにおいて、実験結果とスプリングバック予測解析結果との角度差を図14に示す。
図14に示すように、一次曲げおよび二次曲げ共に、本発明による角度は、従来の等方効果モデルおよび吉田−上森モデルによって予測された角度よりも、実験値との角度差が小さいことが確認された。以上のことから、本発明によれば、スプリングバック量を精度高く予測できることが確認された。
以上説明したように、本発明の応力−ひずみ関係シミュレート方法は、弾塑性材料の応力−ひずみ関係の実験値を用いて、弾塑性構成式に含まれる弾塑性材料の材料定数を算出し、算出された材料定数を用いて式(2)によって表される降伏曲面の移動硬化の収束速さを規定する係数Cを算出し、算出された材料定数と係数Cを弾塑性構成式に代入することによって、弾塑性材料の応力−ひずみ関係を算出する。
このような応力−ひずみ関係シミュレート方法によれば、降伏曲面の移動硬化の収束速さを規定する係数Cが応力状態によって変化することになるので、弾塑性材料の応力−ひずみ関係を精度高く算出することができる。
また、本発明に係るスプリングバック量予測方法は、本発明に係る応力−ひずみ関係シミュレート方法によって算出された応力−ひずみ関係を用いて予測するので、プレス成形時の弾塑性材料のスプリングバック量を精度高く予測することができる。
また、〔背景技術〕において述べた特許文献1に記載の方法では、応力−ひずみ関係の表現性について応力が反転した場合のみしか検討されていない。しかしながら、実際のプレス成形では、図15に示すように、除荷した後に再度同じ方向に負荷を与えるような変形(正転変形)が必要な場合がある。このため、従来の特許文献1では、正転変形を含むプレス成形における応力−ひずみ関係およびスプリングバック量の予測精度が低下する可能性がある。これに対して、本発明では、引張→除荷→再引張試験によって得られた弾塑性材料の応カーひずみ関係の実験値も利用して弾塑性構成式の材料定数を決定するので、正転変形を含むプレス成形における応カーひずみ関係およびスプリングバック量も精度高く予測することができる。
1 スプリングバック解析装置
3 表示装置
5 入力装置
7 主記憶装置
9 補助記憶装置
11 演算処理部
13 プレス成形解析手段
15 スプリングバック解析手段
21 パンチ
23 ダイ
25 パッド
27 鋼板

Claims (8)

  1. 弾塑性材料を塑性変形させて応力−ひずみ関係の実験値を取得する実験値取得ステップと、
    計算機が、応力及び背応力の関数として定義される弾塑性構成式における降伏曲面の移動硬化増分ベクトルdαijを式(1)として、該弾塑性構成式に含まれる材料定数を、前記実験値取得ステップで取得された実験値を用いて同定する第1材料定数同定ステップと、
    計算機が、該第1材料定数同定ステップで同定された材料定数代入された前記式(1)と、前記実験値取得ステップで取得された実験値に基づいて式(2)に含まれる材料定数を同定する第2材料定数同定ステップと、
    計算機が、同定された材料定数代入された前記式(1)、前記式(2)、及び前記弾塑性構成式を用いて弾塑性材料の応力−ひずみ関係をシミュレートするステップと、を含むことを特徴とする応力−ひずみ関係シミュレート方法。
    Figure 0005582211
  2. 前記式(1)(2)における変数Xij,ρ,A,nが式(3)によって表されることを特徴とする請求項1に記載の応力−ひずみ関係シミュレート方法。
    Figure 0005582211
  3. 前記実験値取得ステップにおける弾塑性材料に塑性変形を与える方法として、前記弾塑性材料に対して引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷する方法、前記弾塑性材料に引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、圧縮方向に応力を加えて塑性変形させる方法、又は引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、再び引張方向に応力を加えて塑性変形させる方法のうちのいずれかの方法で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の応力−ひずみ関係シミュレート方法。
  4. 弾塑性材料を塑性変形させて応力−ひずみ関係の実験値を取得する実験値取得ステップと、
    計算機が、応力及び背応力の関数として定義される弾塑性構成式における降伏曲面の移動硬化増分ベクトルdαijを式(1)として、該弾塑性構成式に含まれる材料定数を、前記実験値取得ステップで取得された実験値を用いて同定する第1材料定数同定ステップと、
    計算機が、該第1材料定数同定ステップで同定された材料定数代入された前記式(1)と、前記実験値取得ステップで取得された実験値に基づいて式(2)に含まれる材料定数を同定する第2材料定数同定ステップと、
    計算機が、同定された材料定数代入された前記式(1)、前記式(2)及び前記弾塑性構成式を用いてスプリングバック量を予測するステップと、を含むことを特徴とするスプリングバック量予測方法。
    Figure 0005582211
  5. 前記式(1)(2)における変数Xij,ρ,A,nが式(3)によって表されることを特徴とする請求項4に記載のスプリングバック量予測方法。
    Figure 0005582211
  6. 前記実験値取得ステップにおける弾塑性材料に塑性変形を与える方法として、前記弾塑性材料に対して引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷する方法、前記弾塑性材料に引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、圧縮方向に応力を加えて塑性変形させる方法、又は引張方向に応力を加えて塑性変形させた後に除荷し、再び引張方向に応力を加えて塑性変形させる方法のうちのいずれかの方法で行うことを特徴とする請求項4又は5に記載のスプリングバック量予測方法。
  7. プレス成形品のスプリングバック量を予測するスプリングバック解析装置であって、
    プレス成形解析によって前記プレス成形品の離型前の解析の形状、残留応力分布及びひずみ分布を取得するプレス成形解析手段と、
    前記プレス成形品の形状、残留応力分布及びひずみ分布に基づいて、スプリングバック解析によって前記プレス成形品の離型後のスプリングバック量を取得するスプリングバック解析手段とを有し、
    前記プレス成形解析手段及び前記スプリングバック解析手段が有する弾塑性構成式における降伏曲面の移動硬化増分ベクトルdαijが式(1)(2)で表わされることを特徴とするスプリングバック解析装置。
    Figure 0005582211
  8. 前記式(1)(2)における変数Xij,ρ,A,nが式(3)によって表されることを特徴とする請求項7に記載のスプリングバック解析装置。
    Figure 0005582211
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