JP2006272379A - 熱間圧延における潤滑剤供給方法 - Google Patents
熱間圧延における潤滑剤供給方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 潤滑圧延する各スタンド毎に、圧下量及びワークロール直径から接触弧長を演算し、演算して求めた接触弧長とワークロール周速度とに基づいて潤滑剤の供給量を決定し、潤滑圧延する各スタンドのロールバイト入側へ潤滑剤を供給する。
【選択図】 図1
Description
このようなスリップによる圧延トラブルを発生せずに、必要最小限の潤滑油供給量で最大限の潤滑効果を発揮させることを狙った熱間圧延における潤滑供給方法が特許文献1に開示されている。
圧延速度を増加させる際に、潤滑油の供給量をロール表面積1平方メートルあたりに0.1cc以上30cc以下の範囲で圧延速度と共に増加させるようにしているが、仕上圧延機列のそれぞれのスタンドに対して、潤滑油の供給量をどのようにするのか言及されていない。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、圧下条件が厳しいスタンドでの圧延荷重低減効果と、圧延後の材料表面性状の改善とを共に達成することが可能な熱間圧延における潤滑剤供給方法を提供することを目的とする。
本発明は、複数のスタンドのワークロールで被圧延材を順次圧下する熱間圧延において、潤滑圧延する各スタンド毎に、圧下量及びワークロール直径から接触弧長を演算し、演算して求めた接触弧長とワークロール周速度とに基づいて潤滑剤の供給量を決定し、潤滑圧延する各スタンドのロールバイト入側へ潤滑剤を供給することを特徴とする熱間圧延における潤滑剤供給方法である。
図1中、潤滑圧延はF1〜F3スタンドで行い、F4〜F7スタンドでは、潤滑圧延を行っていないとした。上下のワークロール1は、それぞれバックアップロール2により補強され、被圧延材Sの圧下を行う。F1〜F3スタンドには、スタンド入側に潤滑剤を噴射するスプレーノズル6が被圧延材Sの幅方向に複数配置されている。
なお、各スタンドの圧下位置は、ドラフトスケジュールや、ワークロール1の直径、被圧延材Sの変形抵抗などに基づき、圧延荷重が予測され、F1〜F7スタンドの圧下量Δhがドラフトスケジュール通りとなるようにプロセスコンピューター5内で決められて初期設定される。また、各スタンドのワークロール周速度もドラフトスケジュールに基づいて、例えば図2に示した圧延速度パターンの被圧延材噛み込み時点の圧延速度となるようにプロセスコンピューター5内で決められて初期設定される。プロセスコンピューターは、仕上げ熱間圧延機列を制御して、圧下制御と同時に、被圧延材の圧延速度を例えば図2のように制御する。圧延された被圧延材Sは、適宜な熱履歴を受けた、その後、巻取機により巻取られる。
ここで、F1〜F3スタンドの入側に配置されたスプレーノズル6は、(潤滑剤をワークロール表面に噴射することで、被圧延材Sとワークロール1とが接触する)ロールバイト入側に所定量の潤滑剤を供給可能な潤滑供給装置とされている。なお、スプレーノズル6は潤滑剤をワークロール表面に向けて噴射することによってロールバイト入側に供給するようにした。その理由は潤滑剤として、一般的に潤滑油が用いられるため、熱間状態の被圧延材S表面に噴射した場合、ロールバイト入側に到達する前に潤滑油が燃焼してしまい、効率的に、潤滑油をロールバイト入側に供給することが困難となるからである。
Q=A・VR(B・Ld)・・・・・・(1)
ここで、Ld〔m〕は接触弧長であり、圧下量Δhとワークロール1の直径Dの1/2の積の平方根(=√Δh・D/2)で求める。圧下量Δhとワークロール1の直径Dは、プロセスコンピューター5に記憶されている値を用いる。なお、VR〔m/min〕は、初期のワークロール周速度度で、当該被圧延材Sの設定計算で決定され、プロセスコンピューター5に記憶されている値を用いる。
下ロールの場合、A=1.5〔−〕、上ロールの場合、A=1.0〔−〕
上下ロール共に、B=25〔cc/m2〕
係数Bは、実機の水切り状況等により、15〜40〔cc/m2〕の範囲で調整する。
このように本発明の実施の形態に係る潤滑剤供給方法では、潤滑圧延時に、潤滑圧延する各スタンド毎に、圧下量及びワークロール直径から接触弧長を演算し、演算して求めた接触弧長とワークロール周速度とに基づいて潤滑剤の供給量を決定し、当該スタンドのロールバイト入側へ潤滑剤を供給するようにしている。
また、熱間圧延機列の各スタンドの圧下条件によりスタンド間で接触弧長Ldが異なっている場合には、圧下条件が厳しいスタンドへの潤滑剤量Qを接触弧長Ldに応じて増やすようにしているので、圧延後の材料表面性状を向上することができる。
この理由は、噛み込みスリップは、圧延中におけるスリップに比べ、潤滑剤の供給量が多い場合にも発生し、噛み込みスリップが発生すると、大きな圧延トラブルに至るので、上記のようにした。すなわち、上記式(1)で決定した供給量の潤滑剤を被圧延材噛み込み前に、ワークロール表面へ噴射した場合には噛み込みスリップが発生する恐れがあり、従って被圧延材尾端抜け前で、潤滑圧延する当該スタンドへの未通材長さが少なくともワークロール周長以上残っている時点で、決定した供給量より潤滑剤の供給量を少なくして供給し、次被圧延材の噛み込みスリップの発生を防止する。なお、潤滑剤の供給量を減少させる未通材長さを長くとりすぎると、潤滑不足を誘発することから、ワークロール周長の2倍長さの未通材長さまでとすることが好ましい。
実験3(本発明例)は、上述した式(1)により、接触弧長Ldを考慮して潤滑剤の供給量Qを決定し、ロールバイト入側へそれぞれ潤滑剤を供給した場合である。この実験3では、ワークロール周速度度に応じて潤滑剤の供給量を決定し、かつ接触弧長Ldも考慮したので、接触弧長Ldの長いスタンドでの圧延荷重低減率を接触弧長Ldの短いスタンドと同程度にすることが出来ていることがわかる。
表1に示す結果から、従来法に比べて本発明を適用した場合には、圧下条件が厳しくて接触弧長Ldの長いスタンドでの圧延荷重低減率を接触弧長Ldの短いスタンドと同程度にすることが出来、かつ酸洗材の表面性状の向上も同時に達成できていることがわかる。
1 ワークロール
2 バックアップロール
3 圧下制御装置
4 電動機
5 プロセスコンピューター
6 スプレーノズル
7 ワークロール1の回転方向
8 圧延方向
Claims (2)
- 複数のスタンドのワークロールで被圧延材を順次圧下する熱間圧延において、潤滑圧延する各スタンド毎に、圧下量及びワークロール直径から接触弧長を演算し、演算して求めた接触弧長とワークロール周速度とに基づいて潤滑剤の供給量を決定し、当該スタンドのロールバイト入側へ潤滑剤を供給することを特徴とする熱間圧延における潤滑剤供給方法。
- 被圧延材噛み込み前に潤滑剤の供給量を決定し、被圧延材噛み込み直後からロールバイト入側へ決定した供給量の潤滑剤を供給し、被圧延材尾端抜け前において潤滑圧延する当該スタンドへの未通材長さが少なくともワークロール周長以上残っている時点で、決定した供給量より潤滑剤の供給量を少なくすることを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延における潤滑剤供給方法。
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