JP5573583B2 - 熱間圧延方法及び熱延鋼板の製造方法、並びに、熱間圧延機及び熱延鋼板の製造装置 - Google Patents

熱間圧延方法及び熱延鋼板の製造方法、並びに、熱間圧延機及び熱延鋼板の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、熱間圧延方法及び熱延鋼板の製造方法、並びに、熱間圧延機及び熱延鋼板の製造装置に関する。本発明は、特に、潤滑圧延を前提とした熱間圧延方法及び熱延鋼板の製造方法、並びに、熱間圧延機及び熱延鋼板の製造装置に関する。
通常の熱間圧延では、圧延ロールの肌荒れを防止するため、また、被圧延材の先端部(以下において、単に「先端部」ということがある。)の圧延ロールへの噛み込み性を確保するため、先端部及び被圧延材の尾端部(以下において、単に「尾端部」ということがある。)を除く定常部を圧延する際にのみ、圧延ロールへ潤滑剤を供給していた。より具体的には、圧延ロール上に潤滑油が付着していた場合に先端部が圧延ロールに噛み込まれる際に発生が懸念されるスリップを回避するために、尾端部では潤滑剤の供給を止め、残存した潤滑剤を焼き切ることが行われ、残存していた潤滑剤が焼き切られた後に、潤滑剤が圧延ロールへ供給されない無潤滑状態で、先端部を圧延ロールに噛み込ませることが行われていた。この場合の潤滑剤としては、これまでに、油とキャリア水とを混合機で混合して作製したエマルション潤滑剤が、一般的に用いられている。
熱間仕上圧延機列における後段スタンド(被圧延材の搬送方向下流側に位置するスタンド)の圧下率を、前段スタンド(被圧延材の搬送方向上流側に位置するスタンド)の圧下率よりも高めた仕上圧延等、圧下率を所定以上に高めた圧延(以下において、「高圧下圧延」という。)を行う場合に、上記のような潤滑方法を用いると、先端部や尾端部の圧延時に荷重が極めて高くなる。それゆえ、上記のような潤滑方法を用いて高圧下圧延を行うと、後段スタンドの圧延ロールの表面に肌荒れが発生したり、負荷が後段スタンドの設備限界を超えたりする、という問題が発生しやすい。かかる問題を回避するためには、先端部や尾端部を圧延する際にも、圧延ロールに潤滑剤を供給しながら圧延(以下において、「潤滑圧延」という。)を実施することが望まれる。
潤滑圧延に関する技術として、例えば特許文献1には、先端部がワークロールに噛み込まれた後に、ワークロールへの圧延潤滑油の塗布を開始し、尾端部の圧延が完了するまで潤滑圧延を行い、先行圧延材の圧延が終了してから後行圧延材がワークロールに噛み込まれるまでの間に、先行圧延材の圧延の際にワークロールに付着した圧延潤滑油を除去する熱間圧延方法が開示されている。また、特許文献2には、熱間圧延機のロール表面に、所定圧力の水に油原液を混合した潤滑油をノズルから噴射する熱間圧延機のロール潤滑方法において、供給する水の圧力を調節することで、潤滑油の噴射飛距離を変更できるようにし、圧延中は、供給する水の圧力を所定の値にして、潤滑油がロール表面に到達するように噴射するとともに、圧延と圧延の間は、供給する水の圧力を減圧して、潤滑油がロール表面に到達しないように噴射する技術が開示されている。また、特許文献3には、外周表面に試料板を固着するための回転ドラムと、試料板に潤滑剤をスプレーするためのノズルと、該ノズルの先端近傍に移動可能に設けられ且つ一部に開口部を有するシャッターと、を有する圧延油の潤滑性能試験装置が開示されている。
特開2002−178011号公報 特開2009−050884号公報 特公昭63−044198号公報
先端部が噛み込まれた直後に潤滑剤を塗布する特許文献1に開示された技術によれば、少なくとも、尾端部の圧延が完了するまで潤滑剤を塗布することができる。ここで、潤滑剤は、通常ヘッダーへの潤滑剤の供給の前に、混合機を用いて水と油とを混合させるのが一般的であり、混合機からの配管やヘッダーの体積等は無視できないほど大きい。そのため、潤滑剤の供給を一度止めているヘッダーへ潤滑剤の供給を再開する際には、タイムラグが生じると考えられる。それゆえ、特許文献1に開示された技術は、ロールに潤滑剤が供給されて潤滑効果が発揮されるまでの応答性が低く、圧延材の先端部の荷重低減対策が不十分になりやすかった。また、特許文献2に開示されている技術によれば、潤滑剤噴射切り替えの応答時間を従来よりも短縮することが可能になると考えられるが、実際には配管やヘッダー内の残圧の影響などにより十分な応答性を持たせることは難しい。したがって、特許文献2に開示されている技術には、先端部が圧延ロールに噛み込まれる際のスリップを回避し難くなる虞があった。また、特許文献3に開示されているシャッターの構成を、潤滑剤供給機構に応用すると、先端部を噛み込ませた後に、潤滑剤を圧延ロールへ高応答に供給することも可能になるとも考えられる。しかしながら、実機熱間圧延設備では、潤滑剤やグリースなどが設備に付着し易く、さらに高温に曝される等、環境が悪い。実機熱間圧延設備に特許文献3に開示されているシャッターの構成を適用すると、シャッター等の精密機器の動作不良が頻繁に起きる虞があるため、このような構成を実際に使用することは困難であると考えられる。
上述のように、ヘッダーの体積や混合機からヘッダーまでの配管体積が、求められる応答性に対して無視できないほど大きいという課題に対し、ヘッダーに潤滑剤を供給する配管やホースのうちヘッダーに極力近い位置に、遠隔操作可能な3方弁等を設置し、潤滑剤をヘッダーに供給するか/ロール・圧延材に触れないようにミル外に排出するか、を瞬時に切り替えられるような構造とし、先端部が噛み込まれた直後に、その弁を操作する等の方法も考えることができる。しかしながら、かかる方法では、操作弁が高温環境に曝されるために動作不良が頻繁に起きる虞があるほか、ヘッダーに潤滑剤を供給していない間にヘッダー内における潤滑剤の状態が変化するため、噴射直後に安定した潤滑効果を得ることが困難になりやすいという問題がある。
以上に述べた理由から、これまで実用上は、混合機を極力ヘッダーに近づけ、混合機にはキャリア水を常に供給しておきながら、潤滑剤をあるタイミングで混ぜる以外の方法は、ほとんど採用されてこなかった。しかしながら、かかる方法でも、圧延開始・終了時に潤滑剤が安定して供給されない時間が5秒程度は存在し、その時間でロールダメージが発生してしまうという問題があった。
そこで、本発明では、高圧下圧延を行う場合であっても、先端部噛み込み時のスリップやワークロール表面の肌荒れ等を最小限に抑えることが可能な、熱間圧延方法及び熱延鋼板の製造方法、並びに、熱間圧延機及び熱延鋼板の製造装置を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、5MPa以上の圧力で噴射された70℃以上の高圧温水(以下において、「洗浄材」ということがある。)を、潤滑剤が塗布されている圧延ロールの表面に一回接触させることにより、圧延ロール表面の潤滑剤を洗浄することができ、先端部のスリップを防止することが可能になることを知見した。かかる技術を用いることにより、潤滑剤を圧延ロールへ供給しながら、潤滑剤の洗浄効果を得ることができる。また、圧延ロールへ向けて噴射される洗浄材が供給される洗浄ヘッダーからの、洗浄材噴射のON/OFF制御の応答時間(例えば、0.5秒程度)は、圧延ロールへ向けた潤滑剤噴射のON/OFF制御の応答時間(例えば、5秒程度)よりも、はるかに短い。これは、例えば、潤滑剤は複数の液体を混合させる必要があるのに対して、洗浄材は液体の種類が1種類であるという相違点や、潤滑剤は混合器から先のヘッダー・配管体積分の流体を置換する必要があるのに対して、洗浄材はヘッダー内に所定の圧力の非圧縮性流体を満たしておくことが可能であるという相違点による。それゆえ、洗浄材噴射のON/OFFを制御する技術によれば、圧延ロールへの洗浄材の供給を停止してから、潤滑剤による潤滑効果が回復するまでのタイムラグを非常に少なくすることができる。すなわち、一対のワークロールに先端部が噛み込まれた時から潤滑状態へと移行するまでの時間を極めて短くすることができるため、高圧下圧延時のワークロール表面の肌荒れ発生等を最小限に抑制することが可能になる。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の第1の態様は、潤滑剤供給手段(4a、4b)からワークロール(1a、1b)へ向けて潤滑剤(4、4)を供給しつつ、潤滑剤がワークロールへと衝突する衝突部(1ax、1bx)からワークロールの回転方向に向かってワークロールの圧下部(1ay、1by)へと至る途中の部位(1az、1bz)へ向けて、潤滑剤を洗浄するための70℃以上且つ5MPa以上の高圧温水(5、5)を洗浄剤供給手段(5a、5b)から供給しながら、ワークロールを用いて圧延される被圧延材(8)の先端部を一対のワークロールへと噛み込ませる工程、を有することを特徴とする、熱間圧延方法である。
ここに、「ワークロールの圧下部(1ay、1by)」とは、被圧延材(8)の上面と接触するワークロール(1a)の下死点(1ay)、及び、被圧延材(8)の下面と接触するワークロール(1b)の上死点(1by)をいう。
上記本発明の第1の態様において、被圧延材(8)の先端部が一対のワークロール(1a、1b)に噛み込まれた直後に、高圧温水(5、5)の供給が停止されることが好ましい。
また、上記本発明の第1の態様において、被圧延材(8)の先端部が一対のワークロール(1a、1b)を備える圧延機(10)に噛み込まれると出力される圧延機の荷重信号が検知された後、直ちに、高圧温水(5、5)の供給が停止されることが好ましい。
また、上記本発明の第1の態様において、被圧延材(8)の尾端部が圧延される時まで、潤滑剤(4、4)の供給が継続されることが好ましい。
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様にかかる熱間圧延方法を用いて鋼板(8)を熱間圧延する工程を有することを特徴とする、熱延鋼板の製造方法である。
本発明の第3の態様は、一対のワークロール(1a、1b)と、該ワークロールの入側に配設された潤滑剤供給手段(4a、4b)及び洗浄材供給手段(5a、5b)と、を備え、洗浄剤供給手段(5a、5b)から供給された高圧温水(5、5)がワークロールへと衝突する部位(1az、1bz)が、潤滑剤がワークロールへと衝突する衝突部(1ax、1bx)からワークロールの回転方向に向かってワークロールの圧下部(1ay、1by)へと至る途中に、設定されていることを特徴とする、熱間圧延機(10)である。
ここに、「ワークロールの入側」とは、ワークロール(1a、1b)を用いて圧延される被圧延材(8)の搬送方向上流側をいう。
上記本発明の第3の態様において、被圧延材(8)の先端部が一対のワークロール(1a、1b)に噛み込まれた直後に、ワークロールの表面への高圧温水(5、5)の供給が停止されることが好ましい。
また、上記本発明の第3の態様において、被圧延材(8)の先端部が一対のワークロール(1a、1b)を備える圧延機(10)に噛み込まれると出力される圧延機の荷重信号が検知された後、直ちに、高圧温水(5、5)の供給が停止されることが好ましい。
また、上記本発明の第3の態様において、被圧延材(8)の尾端部が一対のワークロール(1a、1b)を用いて圧延される時まで、ワークロールの表面への潤滑剤(4、4)の供給が継続されることが好ましい。
本発明の第4の態様は、上記本発明の第3の態様にかかる熱間圧延機(10)と、該熱間圧延機の出側に配設された冷却装置(20)と、を備えることを特徴とする、熱延鋼板の製造装置(100)である。
ここに、「熱間圧延機の出側」とは、熱間圧延機(10)を用いて圧延される鋼板(8)の搬送方向下流側をいう。
本発明の第1の態様では、潤滑剤(4、4)が供給されているワークロール(1a、1b)の衝突部(1ax、1bx)からワークロールの回転方向に向かって圧下部(1ay、1by)へと至る途中の部位(1az、1bz)へ、洗浄材たる高圧温水(5、5)を供給しながら、被圧延材(8)の先端部を一対のワークロール(1a、1b)へと噛み込ませる。そのため、高圧温水(5、5)によって潤滑剤(4、4)が除去されたワークロール(1a、1b)の表面と被圧延材(8)の先端部とを接触させることができる。かかる形態とすることにより、被圧延材(8)の先端部のスリップを抑制することができるので、本発明の第1の態様によれば、高圧下圧延を行う場合であっても、被圧延材(8)の先端部の噛み込み性を向上させることが可能な、熱間圧延方法を提供することができる。
本発明の第1の態様において、被圧延材(8)の先端部が一対のワークロール(1a、1b)へと噛み込まれた直後に、高圧温水(5、5)の供給が停止されることにより、被圧延材(8)の先端部が噛み込まれた直後から、潤滑剤(4、4)による荷重低減効果を発揮させることができる。また、圧延機(10)の荷重信号を検知した後、直ちに、高圧温水の供給が停止されることにより、被圧延材(8)の先端部が噛み込まれた直後から、潤滑剤(4、4)による荷重低減効果を発揮させることが容易になる。したがって、これらの形態とすることにより、上記効果に加えて、さらに、高圧下圧延を行う場合であっても、ワークロール(1a、1b)表面の肌荒れを最小限に抑えることが可能になる。ワークロール(1a、1b)表面の肌荒れを最小限に抑えることにより、被圧延材(8)の表面性状を高めることが可能になる。
また、本発明の第1の態様において、被圧延材(8)の尾端部が圧延される時まで、潤滑剤(4、4)の供給が継続されることにより、被圧延材(8)の搬送方向ほぼ全長に亘って、安定した潤滑圧延を行うことが可能になる。安定した潤滑圧延を行うことにより、被圧延材(8)の歩留まり・寸法精度を向上させることが可能になる。
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様にかかる熱間圧延方法を用いて鋼板(8)を熱間圧延する工程を有しているので、高圧下圧延を行う場合であっても、先端部噛み込み時のスリップやワークロール(1a、1b)表面の肌荒れ等を最小限に抑えることが可能な、熱延鋼板の製造方法を提供することができる。
本発明の第3の態様では、洗浄材供給手段(5a、5b)が、潤滑剤供給手段(4a、4b)よりも被圧延材(8)に近い位置に設けられている。そのため、被圧延材(8)の先端部を噛み込む際に、潤滑剤(4、4)が供給されているワークロール(1a、1b)への潤滑剤の衝突部(1ax、1bx)からワークロールの回転方向に向かって圧下部(1ay、1by)へと至る途中に、洗浄剤供給手段(5a、5b)から供給された高圧温水(5、5)がワークロールへと衝突する部位(1az、1bz)を設定し、洗浄材たる高圧温水(5、5)を供給することができる。したがって、本発明の第3の態様によれば、高圧下圧延を行う場合であっても、被圧延材(8)の先端部の噛み込み性を向上させることが可能な、熱間圧延機(10)を提供することができる。
上記本発明の第3の態様において、被圧延材(8)の先端部が一対のワークロール(1a、1b)へと噛み込まれた直後に、高圧温水(5、5)の供給が停止されることにより、被圧延材(8)の先端部が噛み込まれた直後から、潤滑剤(4、4)による荷重低減効果を発揮させることができる。また、圧延機(10)の荷重信号を検知した後、直ちに、高圧温水の供給が停止されることにより、被圧延材(8)の先端部が噛み込まれた直後から、潤滑剤(4、4)による荷重低減効果を発揮させることが容易になる。したがって、これらの形態とすることにより、上記効果に加えて、さらに、高圧下圧延を行う場合であっても、ワークロール(1a、1b)表面の肌荒れを最小限に抑えることが可能になる。ワークロール(1a、1b)表面の肌荒れを最小限に抑えることにより、被圧延材(8)の表面性状を高めることが可能になる。
また、上記本発明の第3の態様において、被圧延材(8)の尾端部が圧延される時まで、潤滑剤(4、4)の供給が継続されることにより、被圧延材(8)の搬送方向ほぼ全長に亘って、安定した潤滑圧延を行うことが可能になる。安定した潤滑圧延を行うことにより、被圧延材(8)の歩留まり・寸法精度を向上させることが可能になる。
本発明の第4の態様は、上記本発明の第3の態様にかかる熱間圧延機(10)を有している。そのため、本発明の第4の態様によれば、高圧下圧延を行う場合であっても、先端部噛み込み時のスリップやワークロール(1a、1b)表面の肌荒れ等を最小限に抑えることが可能な、熱延鋼板の製造装置(100)を提供することができる。
本発明の熱間圧延機10を主に説明する図である。 本発明の熱延鋼板の製造装置100を簡略化して示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面に示す形態は本発明の例示であり、本発明は図示の形態に限定されるものではない。以下の説明において、被圧延材の搬送方向の上流側、すなわち、ワークロールの入側を単に「上流側」又は「入側」といい、被圧延材の搬送方向の下流側、すなわち、ワークロールの出側を単に「下流側」又は「出側」という。
図1は、本発明の熱延鋼板の製造装置100(以下において、単に「製造装置100」という。)の一部を簡略化して示す図である。図1では、製造装置100に備えられる仕上圧延機列11(熱間仕上圧延機列11)を構成する複数の仕上圧延機10、10、…(熱間圧延機10、10、…)のうち、下流側の端に配設されている仕上圧延機10(以下において、「仕上最終スタンド10」ということがある。)と、この仕上最終圧延スタンド10に備えられる機器、及び、この仕上最終圧延スタンド10の下流側に配設されている冷却装置20の一部を示している。図2は、製造装置100の形態例を簡略化して示す図である。図2では、被圧延材8(以下において、「鋼板8」ということがある。)の搬送方向に連続して配設された複数の仕上圧延機10、10、…を備える仕上圧延機列11、仕上最終スタンド10の下流側に仕上最終スタンド10と隣接して配設された冷却装置20、及び、被圧延材8を示しており、仕上圧延機列11の上流側に配設される粗圧延機や、冷却装置20の下流側に配設される巻き取り機等の記載は省略している。図1及び図2において、被圧延材8は紙面左側(上流側)から右側(下流側)へと移動する。
図1に示すように、製造装置100に備えられる仕上圧延機10は、ワークロール1、1と、バックアップロール2、2と、これらの動作を制御する制御装置3と、を具備している(以下において、被圧延材8の上面と接触するワークロール1をワークロール1a、該ワークロール1aと接触するバックアップロール2をバックアップロール2aといい、被圧延材8の下面と接触するワークロール1をワークロール1b、該ワークロール1bと接触するバックアップロール2をバックアップロール2bという。)。当該構成に加えて、仕上圧延機10は、ワークロール1a、1bの表面へ潤滑剤4、4を供給可能な潤滑剤供給手段4a、4bと、ワークロール1a、1bの表面へ高圧温水5、5を供給可能な洗浄材供給手段5a、5bと、ワークロール1a、1bを冷却する冷却水6、6を供給可能な冷却水供給手段6a、6bと、少なくとも潤滑剤供給手段4a、4b、洗浄材供給手段5a、5b、及び、冷却水供給手段6a、6bの動作を制御可能な制御手段7と、を有している。製造装置100は、このように構成される複数の仕上圧延機10、10、…を具備する仕上圧延機列11と、仕上最終スタンド10によって圧延された直後の被圧延材8を冷却可能な冷却装置20を有しており、冷却装置20は、被圧延材8に向けて冷却水を噴射するノズル21、21と、該ノズル21、21が接続されているヘッダー22、22を有している。図1に示した視点で見たとき、仕上圧延機10は、ワークロール1aが反時計回りに回転し、ワークロール1bが時計回りに回転する。
制御装置3は、不図示の被圧延材位置把握手段(例えば、トラッキング手段等。以下において同じ。)によって得られた被圧延材8の位置に関する情報等に基いて、ワークロール1a、1b、及び、バックアップロール2a、2bの動作を制御する。こうして動作を制御されたワークロール1a、1bによって、被圧延材8の先端部が噛み込まれ、被圧延材8が所望の圧下率で圧延される。
制御手段7は、不図示の被圧延材位置把握手段によって得られた被圧延材8の位置に関する情報等に基いて、潤滑剤供給手段4a、4b、洗浄材供給手段5a、5b、及び、冷却水供給手段6a、6b(以下において、これらをまとめて「各手段」ということがある。)の動作を制御する。制御手段7には、各手段の動作制御を実行するCPU7aと、該CPU7aに対する記憶装置とが設けられている。CPU7aは、マイクロプロセッサユニット及びその動作に必要な各種周辺回路を組み合わせて構成され、CPU7aに対する記憶装置は、例えば、各手段の動作制御に必要なプログラムや各種データを記憶するROM7bと、CPU7aの作業領域として機能するRAM7c等を組み合わせて構成される。当該構成に加えて、さらに、CPU7aが、ROM7bに記憶されたソフトウエアと組み合わされることにより、仕上圧延機10における制御手段7が機能する。被圧延材位置把握手段によって検出された被圧延材8の位置に関する情報(出力信号)は、制御手段7の入力ポート7dを介して、入力信号としてCPU7aへと到達する。CPU7aは、この入力信号及びROM7bに記憶されたプログラムに基づいて、出力ポート7eを介して、各手段に対する動作指令を制御する。
本発明において、制御手段7によって動作を制御される各手段は、被圧延材8の先端部がワークロール1a、1bによって噛み込まれる前から作動される。すなわち、被圧延材8の先端部がワークロール1a、1bによって噛み込まれる前から、ワークロール1a、1bには、潤滑剤4、4、高圧温水5、5、及び、冷却水6、6が供給される。ここで、潤滑剤4、4は、油とキャリア水とを混合機で混合して作製したエマルション潤滑剤等の公知の潤滑剤であり、高圧温水5、5は、5MPa以上の圧力で噴射された70℃以上の温水である。図1に示すように、潤滑剤供給手段4a、4b、及び、洗浄材供給手段5a、5bは、ワークロール1a、1bの入側に設けられている。洗浄材供給手段5aは、潤滑剤供給手段4aよりも、被圧延材8の上面に近い位置に、洗浄材供給手段5bは、潤滑剤供給手段4bよりも、被圧延材8の下面に近い位置に設けられている。そして、洗浄材供給手段5aから噴射された高圧温水5は、圧下部1ayと潤滑剤供給手段4aから噴射された潤滑剤4がワークロール1aの表面に衝突する衝突部1axとの間に位置するワークロール1aの表面部位1azへと供給される。同様に、洗浄材供給手段5bから噴射された高圧温水5は、圧下部1byと潤滑剤供給手段4bから噴射された潤滑剤4がワークロール1bの表面に衝突する衝突部1bxとの間に位置するワークロール1bの表面部位1bzへと供給される。これらの表面部位1az、1bzへ高圧温水5、5を供給することにより、ワークロール1a、1bの表面に塗布されている潤滑剤4、4を洗浄することができる。潤滑剤4、4を洗浄することにより、被圧延材8の先端部と接触すべきワークロール1a、1bの表面部位から潤滑剤4、4を除去することができるので、被圧延材8の先端部がワークロール1a、1bによって噛み込まれる際のスリップを抑制することが可能になる。
仕上圧延機10による被圧延材8の熱間圧延では、潤滑剤4、4、高圧温水5、5、及び、冷却水6、6が供給されている状態で、被圧延材8の先端部がワークロール1a、1bに噛み込まれたら、その直後に、高圧温水5、5の供給のみが停止され、潤滑剤4、4及び冷却水6、6の供給は被圧延材8の尾端部が圧延される時まで継続される。ここで、エマルション潤滑剤の供給ON/OFF制御と比較して、温水の供給ON/OFF制御は高応答で行うことができる。それゆえ、被圧延材8の先端部が噛み込まれた直後に高圧温水5、5の供給が停止されるように、制御手段7を用いて洗浄材供給手段5a、5bの動作を制御し、且つ、被圧延材8の尾端部が圧延される時まで潤滑剤4、4の供給を継続するように、制御手段7を用いて潤滑剤供給手段4a、4bの動作を制御することにより、被圧延材8の先端部が噛み込まれた直後から尾端部が圧延される時まで、潤滑圧延を実施することができる。先端部が噛み込まれた直後から尾端部の圧延時まで潤滑圧延を実施することにより、高圧下圧延時等に発生しやすいワークロール1a、1b表面の肌荒れ等を最小限に抑制することが可能になるほか、このような熱間圧延を経て製造される製品の歩留まり・寸法精度を向上させることが可能になる。さらに、このような形態とすることで、被圧延材の尾端部では潤滑剤の供給を止めて残存した潤滑剤を焼き切り、引き続き、潤滑剤が残存していないワークロールに被圧延材の先端部を噛み込ませる方法(従来法)を採る必要がなくなる。高圧下圧延を行う際に従来法を採用すると、被圧延材の先端部が噛み込まれた直後や尾端部を圧延する際に潤滑圧延を行うことが困難になり、先端部や尾端部を圧延する際に荷重が極めて高くなってワークロールの肌荒れが発生したり、負荷が圧延機の設備限界を超えて圧延機が故障したりすることが懸念される。これに対し、仕上圧延機10を用いた上記形態の熱間圧延によれば、被圧延材8の先端部が噛み込まれた直後から尾端部が圧延される時まで、潤滑圧延を実施することができるので、従来法の上記懸念を解消することができる。
このように、仕上圧延機10を用いて上記形態の熱間圧延方法を実施することにより、高圧下圧延を行う場合であっても、被圧延材8の先端部の噛み込み性を向上させることや、ワークロール1a、1b表面の肌荒れ等を最小限に抑えることが可能になる。それゆえ、仕上圧延機10で鋼板8を熱間圧延する工程を経て、製造装置100により熱延鋼板を製造する形態とすることにより、高圧下圧延を行う場合であっても、鋼板8の先端部が噛み込まれる際のスリップやワークロール1a、1b表面の肌荒れ等を最小限に抑えることが可能な、熱延鋼板の製造方法を提供することができる。
さらに、上述のように、仕上圧延機10によれば、高圧下圧延を行う場合であっても、被圧延材8の先端部の噛み込み性を向上させることや、ワークロール1a、1b表面の肌荒れ等を最小限に抑えることが可能になる。それゆえ、仕上圧延機10が備えられる形態とすることにより、高圧下圧延を行う場合であっても、鋼板8の先端部が噛み込まれる際のスリップやワークロール1a、1b表面の肌荒れ等を最小限に抑えることが可能な、熱延鋼板の製造装置100を提供することができる。
本発明において、潤滑剤供給手段4a、4bから供給される潤滑剤4、4は、熱延鋼板の製造装置に備えられる圧延機のロールに使用可能な公知の潤滑剤を適宜用いることができ、例えば、圧延潤滑剤、又は、圧延潤滑剤と水との混合物等を用いることができる。
また、本発明の製造装置100において、仕上圧延機列11の各仕上圧延機10、10、…における圧下率、及び、冷却装置20の形態は、特に限定されるものではない。ただし、表面性状を向上させた、フェライト結晶粒の平均粒径が2μm以下である熱延鋼板(超微細粒鋼)を製造可能な形態にする等の観点からは、例えば、仕上圧延機10、10、…のうち下流側の3つの仕上圧延機10、10、10で線荷重が2.0t/mm以上の高圧下圧延を行った後、仕上最終スタンド10による圧延が終了してから0.2秒以内に500℃/s以上(好ましくは1000℃/s以上)の冷却速度で鋼板8を急冷可能なように、冷却装置20を構成することが好ましい。
本発明に関する上記説明では、被圧延材8の先端部がワークロール1a、1bへと噛み込まれた直後に、高圧温水5、5の供給が停止される形態を例示したが、本発明は、当該形態に限定されるものではない。ただし、被圧延材の先端部が噛み込まれた直後から潤滑圧延を実施することにより、高圧下圧延を行う場合であっても、ワークロール表面の肌荒れを抑制しやすい形態とし、歩留まり・寸法精度を向上させやすい形態とする等の観点からは、被圧延材の先端部がワークロールへと噛み込まれた直後に、高圧温水の供給が停止される形態とすることが好ましい。
また、本発明に関する上記説明では、被圧延材8の尾端部が圧延される時まで、潤滑剤4、4の供給が継続される形態を例示したが、本発明は、当該形態に限定されるものではない。ただし、被圧延材の尾端部が圧延される時まで潤滑圧延を実施することにより、高圧下圧延を行う場合であっても、ワークロール表面の肌荒れを抑制しやすい形態とし、歩留まり・寸法精度を向上させやすい形態とする等の観点からは、被圧延材の尾端部が圧延される時まで潤滑剤の供給が継続される形態とすることが好ましい。
本発明例及び従来例の試験結果を参照しつつ、本発明についてさらに説明を続ける。
<圧延条件>
一対のワークロール(直径:200mm、バレル長:400mm)及び一対のバックアップロール(直径:350mm、バレル長:400mm)、を備えた小型4重圧延機、又は、一対のワークロール(直径:350mm、バレル長:400mm)を備えた小型2重圧延機(以下、これらをまとめて単に「圧延機」ということがある。)を用いて、被圧延材(0.15%炭素鋼)を温度900℃で熱間圧延した。
被圧延材の長さ、すなわち、圧延機による圧延前の搬送方向長さは3m程度とし、被圧延材をワークロールに5〜8回程度接触させた。
ワークロールの材質は、熱延プロセスの熱間仕上圧延機列における後段スタンドで用いられることが多い、高合金グレンロールとした。
<潤滑条件>
0.2L/minの潤滑油(合成エステル油、鉱油および極圧添加剤を混合した、40℃における動粘度が10−4/sの潤滑油)と6L/minの水とを混合機で混合することにより圧延潤滑剤を作製し、長さ2m且つ断面積約110mmのホースで混合機に接続されているウォーターインジェクション方式の圧延潤滑用ヘッダーへと供給した。そして、この圧延潤滑用ヘッダーに接続されたフラットスプレーノズルから圧延機の一対のワークロールへ向けて、圧延潤滑剤を吹き付けた。ここで、フラットスプレーノズルは、圧延潤滑用ヘッダーの幅方向(被圧延材の板幅方向と同じ)3箇所に設けられており、圧延機の入側且つワークロールから距離200mmの位置(被圧延材の上面側及び下面側)に配置した。圧延潤滑用ヘッダーへと供給される水の圧力(供給圧)は約3MPaとした。
被圧延材の先端部が圧延機に噛み込まれる前から、圧延潤滑剤を一対のワークロールへと噴射する場合には、最低10秒以上に亘って圧延潤滑剤を一対のワークロールへと噴射してから、被圧延材の先端部が圧延機に噛み込まれるようにした。これに対し、被圧延材の先端部が圧延機に噛み込まれた直後に、圧延潤滑剤を一対のワークロールへと噴射する場合には、圧延機の荷重信号を検知してから直ちに、混合機への潤滑油供給の自動弁が開かれるように、自動弁の動作を制御した。なお、圧延機の荷重信号を検知してから、混合機への潤滑油供給の自動弁が作動するまでの遅れ時間は、0.2秒程度であった。
<洗浄条件>
圧延潤滑剤が一対のワークロールそれぞれの表面へと衝突する衝突部と一対のワークロールそれぞれの圧下部との間の部位へ、フラットスプレーノズルから高圧温水を吹き付けた。ここで、高圧温水を噴射するフラットスプレーノズルは、洗浄材用ヘッダーの幅方向(被圧延材の板幅方向と同じ)3箇所に設けられており、圧延機の入側且つワークロールから距離250mmの位置(被圧延材の上面側及び下面側)に配置した。高圧温水の温度は50℃から80℃の間とし、洗浄材用ヘッダーへと供給される水の圧力(供給圧)は3MPaから15MPaとした。また、被圧延材の上面側に設けられているフラットスプレーノズルと被圧延材の下面側に設けられているフラットスプレーノズルとの合計で、供給圧が3MPaの時に水量が12L/minとなり、供給圧が15MPaの時に水量が26.8L/minとなるようなフラットスプレーノズルを用いた。
高圧温水を供給する場合には、被圧延材の先端部が圧延機に噛み込まれる7秒以上前から高圧温水の噴射を開始し、圧延機の荷重信号を検知してから直ちに、洗浄材用ヘッダーへの温水供給の自動弁が閉じられるように、自動弁の動作を制御した。なお、圧延機の荷重信号を検知してから、洗浄材用ヘッダーへの温水供給の自動弁が作動するまでの遅れ時間は、0.1秒程度であった。
<評価>
同一条件で10本以上の圧延を行い、先端部がスリップして圧延機に噛み込まれなかった被圧延材が1本でもあった場合、噛み込み評価を「×」とし、すべての被圧延材が噛みこまれた場合に噛み込み評価を「○」とした。また、先端部が圧延機に噛み込まれて圧延された場合に、圧延後のワークロール表面を確認し、肌荒れや焼き付きが1本でも発生した場合、ロール肌評価を「×」とし、肌荒れや焼き付きが発生しなかった場合にロール肌評価を「○」とした。結果を表1に示す。表1において、「直径」はワークロールの直径を意味し、「板厚」は圧延機の入側における被圧延材の板厚を意味し、「開度」は被圧延材の先端部が噛み込まれる前の時点における一対のワークロールの鉛直方向の間隔を意味し、「角度」は噛み込み角を意味する。また、表1において、「評価1」は噛み込み評価を意味し、「評価2」はロール肌評価を意味する。また、表1の噛み込み時操作の潤滑欄における表記「A」は、被圧延材の先端部が噛み込まれた直後に圧延潤滑剤をワークロールへと噴射したことを意味し、表記「B」は、被圧延材の先端部が噛み込まれる前から圧延潤滑剤をワークロールへと噴射したことを意味する。また、表1の噛み込み時操作の洗浄欄における表記「なし」は、高圧温水をワークロールへと噴射しなかったことを意味し、表記「C」は、被圧延材の先端部が噛み込まれる前から高圧温水をワークロールへと噴射し、圧延機の荷重信号が検知された後に高圧温水の噴射を停止したことを意味する。
Figure 0005573583
表1に示すように、ワークロールへ、潤滑剤と70℃以上且つ5MPa以上の高圧温水とをそれぞれ噴射しながら、被圧延材の先端部を噛み込ませた、No.12、13、15、27、28、30では、40%を超える圧下率で圧延(高圧下圧延)しても、先端部のスリップを防止でき、圧延後のロール肌評価が良好であった。
これに対し、被圧延材の先端部が噛み込まれた直後に圧延潤滑剤をワークロールへと噴射する一方、被圧延材の先端部が噛み込まれる際には高圧温水をワークロールへ噴射しない条件(No.1、No.16)では、噛み込み時に圧延潤滑剤を供給しないので噛み込み評価は○になったが、圧下率が40%を超えていたため被圧延材の先端部の圧延時に荷重が極めて大きくなり、ロール肌評価が×になった。
また、被圧延材の先端部が噛み込まれる前から圧延潤滑剤をワークロールへと噴射する一方、被圧延材の先端部が噛み込まれる際には高圧温水をワークロールへ噴射しない条件(No.2〜5、No.17〜20)では、圧下率が20%未満の場合(圧下率が17%のNo.2及び圧下率が13%のNo.17)のみ、噛み込み評価及びロール肌評価が○になった。しかしながら、圧下率が25%以上になると、被圧延材の先端部が噛み込まれる際にスリップが発生し、噛み込み評価が×になった。
また、被圧延材の先端部が噛み込まれる前から圧延潤滑剤をワークロールへと噴射し、且つ、被圧延材の先端部が噛み込まれる際に70℃未満5MPa以上の高圧温水をワークロールへと噴射していた条件(No.6〜10、No.21〜25)では、被圧延材の先端部が噛み込まれる際にスリップが発生し、噛み込み評価が×になった。この結果は、ワークロールへと供給される高圧温水の温度が低いと、圧延潤滑剤の洗浄効果が不十分になることを示していると考えられる。
また、被圧延材の先端部が噛み込まれる前から圧延潤滑剤をワークロールへと噴射し、且つ、被圧延材の先端部が噛み込まれる際に70℃以上5MPa未満の高圧温水をワークロールへと噴射していた条件(No.11、14、26、29)では、被圧延材の先端部が噛み込まれる際にスリップが発生し、噛み込み評価が×になった。この結果は、ワークロールへと供給される高圧温水の圧力が低いと、圧延潤滑剤の洗浄効果が不十分になることを示していると考えられる。
以上より、潤滑剤と70℃以上且つ5MPa以上の高圧温水とをそれぞれ噴射しながら、被圧延材の先端部を噛み込ませることで、高圧下圧延を行う場合であっても、先端部噛み込み時のスリップやワークロール表面の肌荒れ等を最小限に抑えることができた。
本発明の熱間圧延方法、熱延鋼板の製造方法、熱間圧延機、及び、熱延鋼板の製造装置は、自動車用、家電用、機械構造用、建築用等の用途に使用される熱延鋼板を製造する際に、利用することができる。
1、1a、1b…ワークロール
1ax、1bx…衝突部
1ay、1by…圧下部
1az、1bz…高圧温水がワークロールへと衝突する部位
2、2a、2b…バックアップロール
3…制御装置
4…潤滑剤
4a、4b…潤滑剤供給手段
5…高圧温水
5a、5b…洗浄材供給手段
6…冷却水
6a、6b…冷却水供給手段
7…制御手段
8…被圧延材(鋼板)
10…仕上圧延機(熱間圧延機)
11…仕上圧延機列
20…冷却装置
21…ノズル
22…ヘッダー
100…熱延鋼板の製造装置

Claims (10)

  1. 潤滑剤供給手段からワークロールへ向けて潤滑剤を供給しつつ、前記潤滑剤が前記ワークロールへと衝突する衝突部から前記ワークロールの回転方向に向かって前記ワークロールの圧下部へと至る途中の部位へ向けて、前記潤滑剤を洗浄するための70℃以上且つ5MPa以上の高圧温水を洗浄剤供給手段から供給しながら、前記ワークロールを用いて圧延される被圧延材の先端部を一対の前記ワークロールへと噛み込ませる工程、を有することを特徴とする、熱間圧延方法。
  2. 前記被圧延材の先端部が一対の前記ワークロールに噛み込まれた直後に、前記高圧温水の供給が停止されることを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延方法。
  3. 前記被圧延材の先端部が一対の前記ワークロールを備える圧延機に噛み込まれると出力される前記圧延機の荷重信号が検知された後、直ちに、前記高圧温水の供給が停止されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱間圧延方法。
  4. 前記被圧延材の尾端部が圧延される時まで、前記潤滑剤の供給が継続されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱間圧延方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱間圧延方法を用いて鋼板を熱間圧延する工程を有することを特徴とする、熱延鋼板の製造方法。
  6. 一対のワークロールと、前記ワークロールの入側に配設された潤滑剤供給手段及び洗浄材供給手段と、を備え、前記洗浄材供給手段から供給された高圧温水が前記ワークロールへと衝突する部位が、前記潤滑剤が前記ワークロールへと衝突する衝突部から前記ワークロールの回転方向に向かって前記ワークロールの圧下部へと至る途中に、設定されていることを特徴とする、熱間圧延機。
  7. 前記被圧延材の先端部が一対の前記ワークロールに噛み込まれた直後に、前記ワークロールの表面への前記高圧温水の供給が停止されることを特徴とする、請求項6に記載の熱間圧延機。
  8. 前記被圧延材の先端部が一対の前記ワークロールを備える圧延機に噛み込まれたことを知らせる前記圧延機の荷重信号が検知された後、直ちに、前記高圧温水の供給が停止されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の熱間圧延機。
  9. 前記被圧延材の尾端部が一対の前記ワークロールを用いて圧延される時まで、前記ワークロールの表面への前記潤滑剤の供給が継続されることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の熱間圧延機。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載の熱間圧延機と、該熱間圧延機の出側に配設された冷却装置と、を備えることを特徴とする、熱延鋼板の製造装置。
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