JP2006271963A - 生理機能改善器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】人体の種々の生理機能を改善し得る温熱器具を提供すること。
【解決手段】化学エネルギーを利用した発熱部2を有し、該発熱部2と体表との間にシートを介在させて当接させた状態下に該発熱部2から発生する水蒸気を供給するようになされている人体等の生理機能改善器具1である。生理機能改善器具1は、水蒸気の発生能を2時間以上有し、これを体表に当接させた状態下で、体表の温度が1時間以内に38℃以上42℃未満となるようになされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、水蒸気を利用した生理機能改善具に関する。
ライフスタイルの変化に伴い、健康に対する社会全体の流れがセルフメディケーション化に傾いている。また それに伴ってデイリーヘルスケアの気運が高まっている。成人の共通した健康上の悩みとしては、腰痛、肩痛、冷え性、かすみ目、生理痛、関節痛などがある。今後、これらの症状を日々の家庭生活の中で緩和ないし治療すること、或いは予防することが一般的になると予想される。例えば腰痛等の緩和のために、被酸化性金属を含む発熱体(いわゆる使い捨てカイロ)を腰部等に装着して当該部位を温める温熱療法が知られているが、このような温熱療法は個人レベルでますます盛んになると予想される。
ところで本出願人は先に、目及び目の周囲に水蒸気を供給する、アイマスク様形状の視力改善治療具やマイボーム腺機能改善治療具を提案した(特許文献1及び2参照)。これらの治療具は、目及び目の周囲に、侵害刺激にならない温度以下の水蒸気を供給することで、調節筋の弛緩を回復、向上させ、視力を向上させたり、マイボーム腺の機能を改善させたりするものである。これらの治療具は、目及び目の周囲に適用することを目的としているので、水蒸気の適用時間は、侵害刺激にならない程度の短時間であり、高々数十分程度である。これらの治療具によれば、視力の改善やマイボーム腺機能の改善が図られる。しかし前記の各特許文献には、これらの治療具によって、その他の生理機能が改善されるか否かについては記載されていない。
これらの治療具とは別に、本出願人は、皮膚や粘膜に水蒸気を供給する水蒸気発生体を提案した(特許文献3参照)。この水蒸気発生体においては、該発生体と、皮膚や粘膜等の適用部位との距離を5mm以上となるようにしている。しかし、この適用方法では多量の蒸気を必要とするために、蒸気温熱を長時間発生することが容易でない。
特開2002−65714号公報 特開2002−78727号公報 特開2002−78728号公報
従って本発明の目的は、人体等の種々の生理機能を改善し得る生理機能改善器具を提供することにある。
本発明は、化学エネルギーを利用した発熱部を有し、該発熱部と体表との間にシートを介在させて当接させた状態下に該発熱部から発生する水蒸気を供給するようになされている人体等の生理機能改善器具であって、
前記器具は、水蒸気の発生能を2時間以上有し、これを体表に当接させた状態下で、体表の温度が1時間以内に38℃以上42℃未満となる人体等の生理機能改善器具を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の生理機能改善器具を人体等に装着させると、適用部位の表面温度のみならず、人体の深部温度を高めることができる。その結果、全身の血流量が増加し、適用部位の温度が上昇するのみならず、指先などの末梢温度も上昇する。また末梢温度の保温効果もある。従って、本発明の生理機能改善器具は、血行促進、筋肉の疲れを取る、筋肉の凝りや筋肉痛の緩和、冷え性の緩和、神経痛の緩和などの効能を有する。また、腰部に適用することで腰痛が緩和ないし解消され、腹部に適用することで腹痛が緩和ないし解消されるという効能もある。更に、腰部及び/又は腹部に適用することで胃腸の働きが改善され、また疲労が回復するという効能もある。更に生理痛を緩和する効能もある。
本発明の生理機能改善器具は、特に人体の体表に適用される。適用部位に特に制限はなく、腰部、腹部、頸部、肩部や、各所の関節など所望の部位に適用し得る。生理機能改善器具は、体表に当接して適用される。当接して適用とは、水蒸気の透過が可能なスペーサー機能を兼ねたシートや、固定具を兼ねたシートを介して生理機能改善器具を体表へ接触させ適用することをいう。
本発明の生理機能改善器具は、化学エネルギーを利用した発熱部を有しており、該発熱部から生じた水蒸気を体表に適用する点に特徴を有している。従って、発熱部は、水蒸気発生部ともいえる。特に、生理機能改善器具は、水蒸気発生の持続時間が長いことによって特徴付けられるものである。以下の説明においては、体表に適用される水蒸気を伴う熱を湿熱という。また湿熱との対比で、体表に適用される水蒸気を伴わない熱、例えば市販の使い捨てカイロから発生する熱を乾熱という。
本発明において利用し得る化学エネルギーとしては、被酸化性金属の酸化反応により生じる酸化熱、酸とアルカリの中和熱、無機塩類(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ゼオライト等)の水和熱などが挙げられる。これらのうち、取り扱い性が良好であることや、発熱量が比較的大きいこと、携帯やコンパクト化が容易であることから、被酸化性金属の酸化反応により生じる酸化熱を用いることが好ましい。
化学エネルギーを利用した発熱部の具体的な構成は、化学エネルギーの種類に応じて適宜定められる。例えば被酸化性金属の酸化反応により生じる酸化熱を用いる場合には、金属粉(例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅等)、触媒となる塩類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩化物等)、及び水を含有した水蒸気発生組成物から構成される。この組成物には、更に保水剤(例えば、バーミキュライト、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、シリカ系多孔質物質、アルミナ、パルプ、木紛、吸水ポリマー等)、反応促進剤(例えば、活性炭、カーボンブラック、黒鉛等)等を含有させる。
本発明の生理機能改善器具は化学エネルギーを利用した発熱部を有し、該発熱部と体表との間にシートを介在させて該器具を当接させた状態下に該発熱部から発生する水蒸気を供給するようになされている人体等の生理機能改善器具である。該器具は、水蒸気の発生能を少なくとも2時間以上有し、これを体表に当接させた状態下で、体表の温度が1時間以内に38℃以上42℃未満となるような水蒸気発生能を有している。このような水蒸気の発生能を有する生理機能改善器具を、シートを介して体表に適用することで、後述する実施例において例証されるように、人体の各種生理機能が顕著に改善される。
本発明者らの検討の結果、乾熱で人体を温めるよりも、乾熱と同温度の湿熱で人体を温めた方が、効果的に人体を温めることができることが判明した。このことは、図1(a)及び図1(b)に示すサーモグラフィの測定結果から明らかである。図1(a)は、本発明に係る湿熱式の生理機能改善器具を人体の腰部に適用した場合であり、図1(b)は、乾熱式の温熱具を人体の腰部に適用した場合である(後述する図11(a)〜(c)の測定方法参照)。本発明においては、図1(a)に示すよう に、適用部位の周辺部の体表温度が、乾熱式の温熱具を適用した部位の周辺部(図1(b))の体表温度と比べて高く、湿熱式の生理機能改善器具により適用周辺部への熱の伝わりが顕著であることが確認される。その理由として、発熱体から発生する水蒸気によって、発熱体から皮膚までの熱伝導率(この定義は後述する)が上昇するからであると考えられる。しかも、皮膚に到達した水蒸気はその凝縮熱を放出することで、更に皮膚に熱が伝わるとも考えられる。これに対し乾熱では、熱拡散による伝熱しか起こらないため、熱伝導率が低い。このような理由によって、湿熱は乾熱に比較して伝熱効率が高いと考えられる。
前記の特徴を有する湿熱によって人体の各部位、例えば腰部や肩を温めると、同温度の乾熱で温めた場合に比べて全身の血行が促進され、末梢温度が上昇することが確認されている。また加温をやめた後も数十分に亘り温度の上昇が持続することも確認されている。この理由は、先に述べた通り、湿熱は乾熱よりも熱の伝導が速いので、人体の深部の温度を一層高め得るからである。人体の深部の温度が高くなることで、自律神経を介して温熱中枢が刺激され、それによって血管が拡張して血流が増加し、また末梢温度が上昇すると推定される。従って本発明の生理機能改善具は、これを適用した人体の部位の温度上昇や血行の改善のみならず、体全体の血行の改善や、指先等の末梢温度の上昇、冷え性の改善がみられる。また、湿熱は伝熱を効果的に行えるため、発熱部の温度が低い状態でも多くの熱を皮下深部に伝えることができる。よって市販のカイロで問題となっている低温やけどのリスクを低減させる効果がある。
体表温度及び深部温度測定は、以下の方法にて行った。測定環境は、20℃40%RHとした。この環境下に、後述する図5(a)及び(b)に示す保持具に保持させた生理機能改善器具を被験者に装着した。被験者は、腋下体温が35〜37℃で、腰部表面温度が31〜35℃である健常者とした。保持具の締め付け張力は4〜6Nとした。更に被験者に測定機器を装着し30分間安静にさせた。測定環境が一定となるように、被験者に、clo値が0.3〜1.5の着衣をつけて測定した。clo値は、着衣の断熱・保温性を示す指標である。ASHRAE(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers)では、「湿度50%RH、風速10cm/s、気温21.2℃の大気中で、椅子に腰掛けて安静にしている標準男子被服者が、平均皮膚温33℃の快適な状態を継続できるのに必要な被服の熱絶縁値を1cloという」と定義している。1cloは0.18℃m2h/kcal(=0.155℃m2/W)である。
体表温度は、被験者の腰部に装着した生理機能改善器具における発熱体直下の位置および発熱体の縁部から外側2cmの位置で測定した。深部温度は、被験者の腰部に装着した生理機能改善器具における発熱体の縁部から外側2cm、皮下10mmの位置で測定した。体表温度(発熱体直下)、深部温度は体温モニター(コアテンプCM−210:テルモ株式会社製、体表温度プローブ:PDK161、深部温度プローブ:PD1)を用いて測定した。また、発熱体外側2cmの体表温度は、LTST08−12(グラム社製のサーミスター式の表面温度測定器)を用いて測定した。
本発明の生理機能改善器具を用いた場合、生理機能の改善効果と人体への安全性及び使用時の心地よさを考慮すると、適用部位の体表温度が、該生理機能改善器具を適用してから1時間以内に38℃以上、42℃未満となるように、体表に当接させた生理機能改善器具の発熱部と体表との間に介在させるシートの特性を設定する。具体的には、生理機能改善器具の発熱部に空気の供給量を制御する機能と、生理機能改善器具の熱を体表に伝達する機能との双方を発揮し得るように、該シートの特性を設定する。なお、ここで言う「1時間以内に38℃以上、42℃未満」には、温度上昇のオーバーシュートによって、温度が一旦42℃以上に上昇するものの、1時間以内に38℃以上、42℃未満の温度範囲で安定する場合も含む。
本発明の生理機能改善器具を用いると伝熱効率が高まることは、熱伝導率を測定することで裏付けられる。しかし、熱伝導率の計測は、本発明の生理機能改善器具を実際に人体に適用し、その状態下に実測することは難しい。そこで本発明においてはモデル測定系を作製し、その測定系を用いて熱伝導率を測定する。
図2には、JIS S4100を参考にしたモデル測定系を用いた熱伝導率の測定方法が示されている。測定環境は20℃、50%RHとした。モデル測定系100は、熱浴101上にポリプロピレン製の板102(厚さ7mm)を載置し、その上を八枚重ねのネル織布104(綿100% テックス番手5.905双糸のネル)で覆ったものから構成される。熱浴101は人体に相当するものであり、その体表面温度すなわち熱浴の表面温度が、体温としての一般的な値である36.0℃に維持されている。生理機能改善器具1は、板102とネル織布104との間に配され、温度及び熱伝導率が測定される。ここでいう熱伝導率は、生理機能改善器具1の発熱部から、体表と定義した熱浴101の表面までの熱伝導率である。枠体105を、生理機能改善器具1を取り囲むようにネル織布104上に載置し、ネル織布104と板102との間に空隙が生じないように生理機能改善器具1を固定する。熱流束計106を、生理機能改善器具1の真下の位置において、熱浴101と板102との間に配置する。熱流束計106は熱流束を測定するためのセンサである。熱流束計106とは別に、熱電対107を、生理機能改善器具1と板102との間に配置する。熱電対107は、生理機能改善器具1の発熱温度を測定するためのセンサである。熱流束計106としては、プリート社のPHF01(商品名)を用いた。
図2に示すモデル測定系100を用い、熱流束計106及び熱電対107から得られた信号(電圧)をパーソナルコンピュータで処理し、生理機能改善器具1の熱流束及び発熱温度を測定・記録した。パーソナルコンピュータによる処理で、これらの値から熱伝導率を求めた。パーソナルコンピュータによる処理は、市販のソフトウエアを用いて行った。
生理機能改善器具1は、発熱部で発生する水蒸気の放出可能部位が体表に対向するように人体に装着されて使用される。したがってモデル測定系においても水蒸気放出可能部位が熱浴101に対向するように装着され熱伝導率が求められる。
このモデル測定系において湿熱及び乾熱の熱浴101までの熱伝導率の比較を行った。生理機能改善器具1をモデル測定系の板102に当接させた状態下で、該器具1における発熱部から熱浴101への熱伝導率を求めた。適用1時間後の湿熱及び乾熱それぞれの温度が同じ(42.0℃)であるのに対して、熱伝導率は以下の通りとなった。
・湿熱 0.046W/(m・℃)
・乾熱 0.039W/(m・℃)
更に、適用2時間後の熱伝導率は以下の通りとなった。
・湿熱 0.048W/(m・℃)
・乾熱 0.032W/(m・℃)
これらの結果から、湿熱の熱伝導率が乾熱に比べて有意に高いことが確認された。このモデル系の測定結果から、本発明の生理機能改善器具1から人体への伝熱が水蒸気によって一層高まり、生理機能の改善が一層顕著なものとなると考察される。
以上の結果から、本発明の生理機能改善器具1は、これをモデル測定系の板102に当接させた状態下で(20℃、50%RH)、該生理機能改善器具1の発熱部から熱浴101への熱伝導率が0.04〜0.06W/(m・℃)、特に0.045〜0.055W/(m・℃)となる水蒸気の発生能を有していることも好ましい。
乾熱、即ち空気の熱伝導率が0.096kJ/(m・hr・℃)(=0.027W/(m・℃))(40℃)であり、一方、水の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも高い値である2.40kJ/(m・hr・℃)(=0.67W/(m・℃))(60℃)である。このことと、以上の結果とを考え併せると、本発明においては水蒸気が熱伝導率を高めていること、即ち水蒸気によって熱の伝わり方が大きくなると考えられる。このように、湿熱を利用した本発明の生理機能改善器具は、該器具と人体との間の熱伝導率を極めて高くするものである。
生理機能を効果的に改善させる観点から、本発明の生理機能改善器具は、水蒸気発生の持続時間が長いことが好ましい。具体的には、生理機能改善器具は、自律神経を副交感神経優位にすることで生理機能を改善する観点から、水蒸気の発生能を2時間以上、好ましくは2〜12時間、更に好ましくは3〜6時間有する。これに加えて、本発明の生理機能改善器具を体表に当接させた状態下で2〜12時間、特に3〜6時間にわたり、体表温度を38℃以上42℃未満、特に38℃以上41℃未満に維持し得る発熱能と水蒸気の発生能を有していることが好ましい。
次に、本発明の生理機能改善器具の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図3には本発明の生理機能改善器具の一実施形態としての蒸気温熱シート1が示されている。図4は図3におけるIII−III線断面図である。図3に示す蒸気温熱シート1は扁平な矩形状であり、発熱部2及び該発熱部2を収容する収容体3を備えている。収容体3は扁平な袋状のものであり、複数のシート材の周縁を貼り合わせて、内部が空洞の袋状となされている。収容体3は少なくともその一部が透湿性を有する通気性部位となっている。
発熱部2が被酸化性金属の酸化反応を利用したものである場合、該発熱部2は、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む発熱粉体又は発熱シートからなる。尚、発熱シートは温度分布を均一化する事が容易であり、また、粉体担持能力が優れているため、人体が動いても発熱体が移動せず、低温やけどを防止出来るため、発熱粉体よりも好ましい。発熱部2が空気と接触すると、該発熱部2に含まれている被酸化性金属の酸化反応が起こり、熱が発生する。この熱によって発熱部2に含まれている水が加熱されて所定温度の水蒸気となり、収容体3を通じて外部へ放出される。発熱シートとしては、抄紙からなるものや、発熱粉体を紙等で挟持してなる積層体等が挙げられる。体への密着性、水蒸気を均一に発生させる観点から抄紙がより好ましい。
発熱部2が発熱粉体からなる場合には、発熱粉体は被酸化性金属、反応促進剤、保水剤、電解質及び水を含んで構成されていることが好ましい。本発明者らが検討したところ、これらの各種材料のうち、前述した蒸気温熱シート1の水蒸気発生能に大きく影響する材料は、被酸化性金属、反応促進剤及び保水剤であることが判明した。詳細には、発熱粉体に含まれる被酸化性金属の量が好ましくは20〜50重量%、更に好ましくは25〜40重量%、反応促進剤の量が好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%、保水剤の量が3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%であることが重要である。これらの材料の量が前述の範囲にあると、所望の水蒸気発生能が期待できる。更に、発熱粉体に含まれる電解質の量が0.3〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%で、水の量が20〜70重量%、更に好ましくは30〜60重量%であることも、所望の水蒸気発生能を発現させるために重要である。
一方、発熱部2が発熱シートからなる場合には、発熱シートは被酸化性金属、反応促進剤、繊維状物、電解質及び水を含む繊維シートから構成されていることが好ましい。つまり、発熱シートは、被酸化性金属、反応促進剤、繊維状物及び電解質を含む繊維シートが含水状態となっているものであることが好ましい。特に、発熱シートは、被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物を含有する成形シートに、電解質水溶液を含有させて構成されていることが好ましい。
本発明者らが検討したところ、発熱部2が発熱シートからなる場合には、蒸気温熱シート1の水蒸気発生能に大きく影響する材料は、成形シートに含まれる被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物であることが判明した。詳細には、成形シートに含まれる被酸化性金属の量が好ましくは60〜90重量%、更に好ましくは70〜85重量%、反応促進剤の量が好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは8〜15重量%、繊維状物の量が好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは8〜20重量%であることが重要である。これらの材料の量が前述の範囲にあると、所望の水蒸気発生能が期待できる。
蒸気温熱シート1の水蒸気発生能に影響する他の重要な要因としては、発熱シートにおける電解質水溶液の濃度及び電解質水溶液の添加量が挙げられる。詳細には、発熱シートにおける電解質水溶液の濃度は好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%である。電解質水溶液の濃度が1重量%未満であると所望とする温度が得られない場合がある。15重量%超となると顕著な効果の向上は期待できない。また電解質水溶液は、成形シート100重量部に対して好ましくは30〜80重量部、更に好ましくは45〜65重量部添加される。添加量が30重量部未満では所望とする温度の持続が達成されない場合がある。また所望とする蒸気発生量が得られない場合もある。80重量部超では、所望とする温度が得られない場合がある。
発熱部2が発熱粉体からなるか、或いは発熱シートからなるかを問わず、蒸気温熱シート1の水蒸気発生能に影響する他の大きな要因として、収容体3の透湿度(JIS Z0208、40℃、90%RH、以下透湿度というときにはこの方法で測定された値をいう)が挙げられる。発熱部2として前述の各成分を前述の配合量で含有したものを用い、且つ収容体3として以下に述べる透湿度を有するものを用いることで、蒸気温熱シート1の水蒸気発生能を所望のものとすることができる。詳細には、収容体3のうち、通気性を有する部分の透湿度を好ましくは150〜2000g/(m2・24hr)、更に好ましくは400〜1000g/(m2・24hr)とする。通気性を有する部分の透湿度を150g/(m2・24hr)以上とすることで、所望とする蒸気放出量が達成される。2000g/(m2・24hr)以下とすることで、所望とする温度の持続時間が達成される。収容体3のうち通気性を有する部分の透湿度をこの範囲とすることで、該部分に、蒸気温熱シート1の発熱部2への空気の供給量を主として制御する機能が付与される。ここで言う制御とは、発熱部2への空気の供給量を適切な範囲に制限するという意味での制御である。この制御によって、長時間にわたって安定した水蒸気の発生が可能になる。
水蒸気の適切な温度制御及び所望とする温度での水蒸気の発生持続時間を得る観点から、収容体3はその通気性を有する部分の通気度(JIS P8117、以下通気度というときにはこの方法で測定された値をいう)が8000〜15000s/100cm3であることが好ましく、9000〜12000s/100cm3であることが更に好ましい。収容体3のうち通気性を有する部分の通気度をこの範囲とすることで、該部分に、蒸気温熱シート1の発熱部2への空気の供給量を主として制御する機能が付与される。ここで言う制御の意味は上述の意味と同じである。
なお、以下に述べるように、収容体3のうち、通気性を有する部分は、透湿性フィルム3aと不織布3cからなる。これらの材料のうち、透湿性フィルム3aは、不織布3cに比較して透湿度の値が小さく、且つ通気度の値が大きいので、上述の透湿度および通気度は主として透湿性フィルム3aによって決定される。なお、ここで通気度の値が大きいということは、空気がより通りにくい事を表している。
図3及び図4に示すように、本実施形態の蒸気温熱シート1においては、収容体3は、透湿性フィルム3aと難透湿性フィルム3bとの周縁が互いに接合されて扁平な袋状に形成されている。つまり透湿性フィルム3aと難透湿性フィルム3bは、収容体の一部を構成している。収容体3においては、その一方の側が透湿性フィルム3aを有しており、他方の側が難透湿性フィルム3bを有している。透湿性フィルム3aは、発熱部2から発生した水蒸気を通過させる。しかし難透湿性フィルム3bは水蒸気を通過させにくい。つまり水蒸気は収容体3の主として一方の側、即ち透湿性フィルム3aの側から多量の水蒸気が外部へ放出される。透湿性フィルム3aの透湿度及び通気度は、前述した範囲となっている。これによって蒸気温熱シート1はその水蒸気発生能が前述した所望のものとなる。
このように、本実施形態の蒸気温熱シート1においては、水蒸気は収容体3の主として一方の側から、即ち透湿性フィルム3aの側から放出される。これと共に、空気は、収容体3の主として一方の側から、即ち透湿性フィルム3aの側から供給される。その結果、本実施形態の蒸気温熱シート1は、その周縁部から中心部に向かって空気が供給される。従って本実施形態の蒸気温熱シート1は、その周縁部から中心部に向かって発熱が進行する。このような構成になっていることによって、本実施形態の蒸気温熱シート1は、長時間にわたって安定した水蒸気の発生が可能になっている。
透湿性フィルム3aとしては、水蒸気は透過させるが水は透過させにくいフィルムが用いられる。そのようなフィルムとしては、例えば微細孔を有するポリオレフィン系フィルムなどが挙げられる。このようなフィルムは例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどのサニタリー製品における透湿性バックシートとして良く知られたものである。なお前述した通り水蒸気は透湿性フィルム3aを通じて外部へ放出されることから、本実施形態の蒸気温熱シート1は、透湿性フィルム3aの側が人体と対向するように装着される。そこで装着感を高める観点から、図3及び図4に示すように、透湿性フィルム3aの外面には風合いの良好なシート材料であるエアスルー不織布等の不織布3cが配されている。この不織布3cも収容体の一部を構成している。蒸気温熱シート1の使用時には不織布3cが身体に対向することになる。不織布3cは、水蒸気の通過を阻害しない程度の通気性がある。且つ、不織不が濡れることに起因して、(1)水蒸気の通過を阻害しないようにする点と、(2)空気の流入を阻害しないようにする点で、不織布3cが撥水性を有することが好ましい。
なお本実施形態においては、蒸気温熱シート1における水蒸気の放出面が、透湿性フィルム3aと不織布3cの2層構造から構成されているが、水蒸気放出面の構成はこれに限られず、単層のシートのみで水蒸気発生面が構成されていてもよく、或いは3層以上のシートが互いに接合されて、又は互いに離間した状態で用いられて水蒸気放出面が構成されていてもよい。単層のシートのみで水蒸気放出面が構成されている場合、該単層のシートとしては、例えば微細孔を有するポリオレフィン系フィルム等の透湿性フィルムが用いられる。3層以上のシートから水蒸気放出面が構成されている場合には、該シートとして、例えば透湿性フィルムと、同種又は異種の2枚の不織布との組み合わせ等が用いられる。
先に述べた通り、本実施形態の蒸気温熱シート1は、発熱部2と体表との間にシートを介在させて、該蒸気温熱シート1を体表に当接させた状態下に水蒸気を供給する。本実施形態において、このシートに相当する部材は、透湿性フィルム3a及び不織布3cである。これらの部材は、蒸気温熱シート1の発熱部2に空気の供給量を制御する機能と、蒸気温熱シート1で発生した熱を体表に伝達する機能を有している。本実施形態においては、透湿性フィルム3a及び不織布3cの総厚みを0.05〜1.5mmとすることが、空気の安定供給及び熱の皮膚(体表)への効率的な伝播の点から好ましい。特に、透湿性フィルム3a及び不織布3cの総厚みをこの範囲とすることで、これら透湿性フィルム3a及び不織布3cに、主として、蒸気温熱シート1の熱を体表に伝達する機能が付与される。総厚みがこの範囲内に入ることを条件として、透湿性フィルム3aの厚みは0.01〜0.1mmであることが好ましく、不織布3cの厚みは0.03〜0.5mmであることが好ましい。厚みはJIS L1906及び/またはJIS L1096に準じ、荷重によって変形しやすい試料は荷重2kPa下で測定され、荷重によって変形しにくい試料は10kPa下で測定される。
一方、難透湿性フィルム3bとしては、水蒸気も水も透過させにくいフィルム、例えばポリオレフィン系フィルムやポリエステル系フィルムなどが用いられる。なお図4に示すように、難透湿フィルム3bの外面には、蒸気温熱シート1の風合いを向上させる目的で、エアスルー不織布等の不織布3dがラミネートされている。
以上の説明から明らかなように、収容体3のうち、外方を向く面を構成するシートは、その透湿度の値が、蒸気温熱シート1の発熱部と体表との間に介在させるシートよりも小さいか、またその通気度の値が、蒸気温熱シート1の発熱部と体表との間に介在させるシートよりも大きいものである。外方を向く面を構成するシートの透湿度及び通気度とは、本実施形態においては難透湿性フィルム3bと不織布3dの全体の透湿度及び通気度のことである。蒸気温熱シート1の発熱部と体表との間に介在させるシートの透湿度及び通気度とは、本実施形態においては透湿性フィルム3aと不織布3cの全体の透湿度及び通気度のことである。
発熱部2が発熱粉体からなる場合には、該発熱粉体に含まれる各材料の詳細について説明すると、被酸化性金属としては例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム等の粉末や繊維が挙げられる。これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コストの点から鉄粉が好ましく用いられる。被酸化性金属が粉末である場合その粒径は0.1〜300μmであることが、繊維状物への定着性、反応のコントロールが良好なことから好ましい。同様の理由により、粒径が0.1〜150μmものを50重量%以上含有するものを用いることも好ましい。
反応促進剤としては、水分保持剤として作用する他に、被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能も有しているものを用いることが好ましい。例えば活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、シリカ等が挙げられる。これらの中でも保水能、酸素供給能、触媒能を有する点から活性炭が好ましく用いられる。反応促進剤の粒径は0.1〜500μmであることが、被酸化性金属と効果的に接触し得る点から好ましい。同様の理由により、0.1〜200μmのものを50重量%以上含有するものを用いることも好ましい。
保水剤としては、繊維状物質、吸水性ポリマー、バーミキュライト、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、アルミナ等が挙げられる。これらの中でも、保持性が高く、また生産性に優れる点から吸水性ポリマーを用いることが好ましい。
前記繊維状物としては、天然又は合成の繊維状物を特に制限無く用いることができる。天然繊維状物としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等の植物繊維が挙げられる。また羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等の動物繊維が挙げられる。更に、石綿等の鉱物繊維が挙げられる。一方、合成繊維状物としては、例えばレーヨン、ビスコースレーヨン、キュプラ、ビスコースレーヨン、キュプラ、アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、等の半合成繊維が挙げられる。またナイロン、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、アクリル、ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等の合成高分子繊維が挙げられる。これらの中でも、被酸化性金属や反応促進剤との定着性、発熱部2の柔軟性、酸素透過性、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットン、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維が好ましく用いられる。繊維状物はその平均繊維長が0.1〜50mm、特に0.2〜20mmであることが、発熱シートの強度確保及び繊維状物の水分散性の点から好ましい。
電解質としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点からアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の塩化物が好ましく用いられ、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄が好ましく用いられる。
発熱部2が発熱シートである場合、該発熱シートの製造方法に特に制限はない。先に述べた通り、発熱シートは、被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物を含有する成形シートに、電解質水溶液を含有させてなるものであるから、先ず被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物を含む成形シートを形成し、この成形シートに電解質水溶液を添加することで発熱シートが得られる。成形シートの製造には例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法や、ダイコーターを用いたエクストルージョン法を用いることができる。特に、製造コストや生産性の点から湿式抄造法を用いることが好ましい。湿式抄造法を行う場合には、円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを用いることができる。抄造に用いられるスラリーは、被酸化性金属、反応促進剤、繊維状物及び水を含むものであり、その濃度は、0.05〜15重量%、特に5〜12重量%であることが好ましい。
成形シート(つまり含水前の状態の発熱シート)はその1枚の厚みが0.1mm〜2mm、特に0.15〜1.5mmであることが、成形シートの機械的強度を維持しつつ成形シートが柔軟になり、蒸気温熱シート1が身体の適用部位へフィットしやすくなる点から好ましい。また、発熱分布が均一になることから好ましい。更に、この範囲の厚みとすることで、蒸気温熱シート1を身体に適用した場合に、着衣の外側から該蒸気温熱シート1が目立たちにくくなる。同様の理由により成形シートは、その坪量が10〜1000g/m2であることが好ましく、50〜600g/m2であることがより好ましく、100〜500g/m2であることが更に好ましい。
成形シートは、そのままの状態で複数枚を重ねて使用してもよく、或いは1枚のシートを折りたたみ、折り畳まれた複数枚の成形シートを重ねて使用してもよい。湿熱シート1の面積に対する成形シートの重量比は、所望の温度持続が達成でき、フィット性が良好で、また製造上の問題が起こりにくい点から、好ましくは0.03g/cm2〜0.17g/cm2であり、更に好ましくは0.06g/cm2〜0.14g/cm2である。同様の理由により、被酸化性金属の単位面積あたりの重量の比は好ましくは0.02g/cm2〜 0.14g/cm2であり、更に好ましくは0.04g/cm2〜 0.12g/cm2である。
成形シートに電解質水溶液を含有させて発熱シートを得る。この工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。電解質水溶液を含有させるには例えば、スプレー塗工法、刷毛等で塗工する方法、電解質水溶液に浸漬する方法、グラビアコート法、リバースコート法、ドクターブレード法等が挙げられる。電解質水溶液における電解質の濃度及び電解質の水溶液の付与量は、得られる発熱シートにおける電解質の量及び水の含有量が、先に述べた範囲となるように調整される。
発熱部2が発熱粉体であるか、或いは発熱シートであるかを問わず、発熱部2は、収容体3内に収納される。これによって蒸気温熱シート1が得られる。蒸気温熱シート1は酸素バリア性の材料からなる包装袋内に密封されて、最終製品である湿熱シート入り包装袋となされることが好ましい。蒸気温熱シート1の使用に際しては、包装袋から該蒸気温熱シート1を取り出すことで、該蒸気温熱シート1に含まれる被酸化性金属が空気中の酸素と反応し、発熱が始まると共に水蒸気が発生する。酸素バリア性の材料としては、例えばその酸素透過係数(ASTM D3985)が10cm3・mm/(m2・day・MPa)以下、特に2cm3・mm/(m2・day・MPa)以下であるようなものが好ましい。また、その酸素透過率(JIS K7126B、20℃、0%RH)が10cc/(m2・24h・atm)以下であるようなものが好ましい。具体的にはエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアクリロニトリル等が挙げられる。
蒸気温熱シート1を包装する包装袋には、該蒸気温熱シート1が、人体の生理機能の改善のために用いられるものである旨の表示が付されていることが好ましい。例えば、身体の任意の部位に適用することにより、当該部位の深部温度が上昇し血流量が増加して血行が促進される旨の表示や、末梢温度が上昇して冷え性や神経痛の緩和が緩和される旨の表示を付すことができる。これによって、消費者に対して、従来知られていた一般の使い捨てカイロでは達成し得なかった生理機能の改善効果が、本発明によって達成されることを知らせることができる。従って消費者は、本発明の改良された性能の十分な価値を容易に認識することになる。前記の表示には、文字はもちろんのこと、記号や図形等、本発明の改良された性能を消費者に伝え得るあらゆる情報手段が含まれる。また前記の表示には、本発明が、他の製品に比して優れている旨の情報を含めることができる。更に、前記の表示を包装袋に付すことに加えて、又はそれに代えて、当該表示を含む指示書を、蒸気温熱シート1と共に包装袋の中に入れてもよい。或いは、蒸気温熱シート1そのものに、当該表示を付してもよい。
本実施形態の蒸気温熱シート1は、これを例えば図5(a)及び(b)に示すようなベルト状の保持具に保持させ、該保持具を人体に固定することによって、該蒸気温熱シート1を人体に適用することができる。図5(a)及び(b)に示す保持具10は、蒸気温熱シート1の収容保持が可能な矩形状の収容部12を中央に有し、その両側からそれぞれ延出した一対の腕部である第1腕部13a及び第2腕部13bを備えている。第1腕部13aと第2腕部13bとは対称形になっている。第1及び第2腕部13a,13bは、保持具10の長手方向に延びる水平線Hに対して、角度θの方向に向けて傾斜して延びている。
第1腕部13aの肌面側(図5(a)における紙面側)の先端部には、面ファスナのフック部材のような止着手段15が取り付けられている。一方、第2腕部13bの外面側(図5(a)における紙面と反対側)には、止着手段15の止着が可能な被着手段(図示せず)、例えば面ファスナのループ部材が取り付けられている。
第1及び第2腕部13a,13bは、収容部12寄りに位置する基部14aと先端部寄りに位置する自由端部14bとから構成されている。基部14aは、収容部12から自由端部14bに向けてその幅が漸減している。基部14aの幅が変化しなくなった箇所において、基部14aと自由端部14bとが連接している。基部14aは、腕部13a,13bの延びる方向とそれに直交する方向の双方(図5(a)中、矢印で示す方向)に伸縮性を有していることが好ましい。この観点から、基部14aは、いわゆるツーウエイの伸縮布地から構成されていることが好ましい。
外面側シート材21は、風合いの良好な布地から構成されていることが好ましい。また外面側シート材21は、十分な通気性を有することが好ましい。外面側シート材21は、例えばトリコット編みの編地から構成することができる。同様に、第1及び第2肌面側シート材22,23も、風合いの良好な布地から構成されていることが好ましい。また第1及び第2肌面側シート材22,23は十分な水蒸気透過性を有する素材から構成されていることが好ましい。そのような素材としては、例えばメッシュ状の編地が好ましく用いられる。
収容部12は、3枚のシート材21,22,23を縫製して袋状に形成されている。外面側シート材21は保持具10の外面側に位置しており、矩形状をしている。第1肌面側シート材22及び第2肌面側シート材23は、保持具10の肌面側に位置しており、それぞれ矩形状をしている。両肌面側シート材22,23の横幅は、外面側シート材21と同じになっている。両肌面側シート材22,23の縦の長さは、外面側シート材21の縦の長さよりも短くなっている。第1肌面側シート材22は、その上辺及び両側辺が、外面側シート材21の上辺及び両側辺と縫合されている。第2肌面側シート材23は、その下辺及び両側辺が、外面側シート材21の下辺及び両側辺と縫合されている。第1肌面側シート材22の下部と、第2肌面側シート材23の上部とは重ね合わせの状態になっており、且つ第1肌面側シート材22の下辺22a及び第2肌面側シート材23の上辺23aがそれぞれ自由縁部になっている。これによって収容部12には、その肌面側に、収容部2の幅方向に延びる蒸気温熱シート1の挿入部24が形成される。蒸気温熱シート1は、該挿入部24を通じて収容部12内に収容される。上述した通り、第1肌面側シート材22の下部と、第2肌面側シート材23の上部とは重ね合わせの状態になっているので、収容部12内に一旦収容された状態の蒸気温熱シート1は収容部12の外へ飛び出しづらくなり、収容部12内に安定に保持される。また、挿入部24の間口が大きく且つ開けやすいので、蒸気温熱シート1の出し入れが容易である。
保持具10に収容保持された蒸気温熱シート1は、図6(a)及び図6(b)に示すように、例えば人体の腰部や腹部に適用される。保持具10を人体に固定するには、保持具10を胴部に巻き付け、第1腕部13aに取り付けられた止着手段(図示せず)を、第2腕部13bに取り付けられた被着手段(図示せず)へ止着する。この場合には、蒸気温熱シート1は、保持具10における水蒸気の透過材料である第1肌面側シート材22及び第2肌面側シート材23を介して体表へ接触する。このような使用形態の場合には、蒸気温熱シート1における発熱部2と体表との間に介在するシートは、先に述べた透湿性フィルム3a及び不織布3c、並びに保持具における第1及び第2肌面側シート材22,23である。従って、これらの部材の総厚みを0.05〜1.5mmとすることが、先に述べた理由により好ましい。総厚みがこの範囲内に入ることを条件として、第1及び第2肌面側シート材22,23の厚みは1.4mm以下であることが好ましい。
蒸気温熱シート1を人体に装着させるための別法として、蒸気温熱シート1を体表へ直接接触させることもできる。その場合には、図7に示すように、蒸気温熱シート1における難透湿性フィルム3bの側の表面に粘着剤Nを塗布しておき、該蒸気温熱シート1を保持具10における収容部12の肌面に粘着させる。つまり、蒸気温熱シート1を収容部12内に収容させないでおく。そして蒸気温熱シート1が粘着した保持具10を身体に巻き付け固定する。或いは、保持具10に粘着させることに代えて、蒸気温熱シート1における粘着剤Nを使用者の下着に粘着させてもよい。
次に本発明の別の実施形態を図8及び図9を参照しながら説明する。本実施形態ついて特に説明しない点に関しては、先に述べた実施形態に関する説明が適宜適用される。本実施形態の蒸気温熱シート1は使用者の身体に固定されて使用されるものである。固定とは、蒸気温熱シート1を肌に直接固定する場合のみならず、蒸気温熱シート1を下着に固定する場合も包含する。
蒸気温熱シート1は縦長の扁平な形状をしている。蒸気温熱シート1は、発熱部2及び該発熱部2を収容する収容体3を備えている。収容体3は扁平であり、複数のシート材を接合部4において環状に貼り合わせて、閉じた空間を有する袋状となされている。この閉じた空間が発熱部2の収容部5になっている。
図9に示すように、収容体3においては、第1の透湿性シート33aと第2の透湿性シート33bとが接合部4において互いに接合されている。蒸気温熱シート1の装着感を高める観点から、図9に示すように、第2の透湿性シート33bの外面には風合いの良好なシート材料である不織布33cが配されており、蒸気温熱シート1の風合いを高める観点から、第1の透湿シート33aの外面には、不織布33dが配されている。第2の透湿性シート33bと不織布33cとはほぼ同寸である。第1の透湿シート33aと不織布33d、第2の透湿性シート33bと不織布33cは、それらの周縁でのみ接合されていても良いし、シート面内で部分的に接合されていても良い。第1の透湿性シート33a及び不織布33dは、蒸気温熱シート1の使用時に、使用者の肌から遠い側に位置する第1の通気層310aとして作用するものである。一方、第2の透湿性シート33b及び不織布33cは、使用者の肌に近い側に位置する第2の通気層310bとして作用するものである。つまり本実施形態の蒸気温熱シート1は、両面通気性のものであり、第2の透湿性シート33b及び不織布33cの側が肌と対向するように使用者の身体に固定される。なお、本実施形態においては、第1の通気層310aは第1の透湿性シート33a及び不織布33dからなり、第2の通気層310bは第2の透湿性シート33b及び不織布33cからなるが、第1及び2の通気層310a,310bはそれぞれ透湿性シート33a、33bのみで構成されていてもよい。
収容体3は、長手方向に延びる側縁S1及びS2を有している。また幅方向に延びる端縁E1及びE2を有している。一方の側縁S1は、収容体3の縦中心線に対して外向きの凸状となるような曲線形状をしている。他方の側縁S2は、縦中心線に向かう内向きの凸状となるような曲線形状をしている。端縁E1,E2はそれぞれ外向きの凸状となるような曲線形状をしている。これら側縁S1,S2及び端縁E1,E2は滑らかに連接しており、収容体全体としてみると湾曲した長円形となっている。このような形状を有する収容体を備えた蒸気温熱シート1は、図10に示すように、人体の肩部に取り付ける場合のフィット性が高いものとなる。この場合、図10に示すように、側縁S2が首に近い側に位置し、側縁S1が首から遠い側に位置するように蒸気温熱シート1を取り付ける。
図8及び図9に戻ると、第1の透湿性シート33a及び不織布33dは、収容体3の長手方向において、収容部5を囲繞する接合部4から外方に延出しており一対の耳部6,6を形成している。耳部6は、接合部4寄りに位置する基部6aと、先端寄りに位置し且つ基部6aと連接する先端部6bとから構成されている。
各先端部6bにおける第2の透湿性シート側の面上、即ち肌に近い側の面上には、蒸気温熱シート1を使用者の身体に固定するための固定部7が設けられている。固定部7は、発熱部2の収容部5よりも外方の位置(周縁部)に設けられている。固定部7は2カ所設けられており、各固定部7は、収容体3の縦中心線Lにそれぞれ設けられている。各固定部7は、収容体3において、固定部間の距離が最も遠くなる位置に設けられている。
固定部7としては、蒸気温熱シート1を使用者の身体に固定可能な様々な手段を用いることができる。典型的には、先端部6bに粘着剤を施すことによって固定部7を形成することができる。粘着剤としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを用いることができる。例えばゴム系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は非転着性であることが好ましい。
発熱部2の収容部5と固定部7との間の位置、即ち耳部7の基部6aは伸長可能になっている。基部6aは、2つの固定部7,7を結ぶ方向、つまり縦中心線Lの方向に伸長可能になっている。本実施形態においては、基部6aに多数のスリット8を形成することによって基部6aを伸長可能にしてある。詳細には次の通りである。
基部6aにおいて、各スリット8は縦中心線Lと交差する方向に延びている。これによって、蒸気温熱シート1をその長手方向に引っ張ると、スリット8が開口して基部6aが伸長する。その結果、例えば図10に示すように蒸気温熱シート1を使用者の身体に取り付けた場合、使用者の動作に基部6aが追従して伸長し、使用者につっぱり感を与えにくくなる。また固定部7が身体から外れにくくなる。図8においては、スリット8は、蒸気温熱シート1の縦中心線と直交する方向に延びているが、スリット8が縦中心線と交差していれば直交する必要はない。尤も、基部6aの伸長性を考慮すると、スリット8と縦中心線とのなす角度は直角に近いほど好ましい。
各基部6aにおいて、スリット8は2列に縦列して規則的に形成されている。隣り合う列においてスリット8は互いに半ピッチずれている。基部6aに十分な伸長性を付与する観点から、各スリット8の長さは5〜50mm、特に10〜30mmであることが好ましい。同様の理由により、各列におけるスリット間の距離は2〜10mm、特に3〜7mmであることが好ましく、また列間の距離は2〜10mm、特に3〜7mmであることが好ましい。
既に説明した通り、本実施形態の蒸気温熱シート1は、肌に近い側の面及び肌から遠い側の面の両方から空気が流入する両面通気性のものである。本実施形態の蒸気温熱シート1においては、第1の通気層310aの透湿度をA(g/(m2・24hr))、第2の通気層310bの透湿度をB(g/(m2・24hr))としたとき、A及びBが以下の(1)〜(3)の式を満たすように各透湿性シート33a,33bが選択されることが好ましい。
(1)A+(B/3)=200〜500g/(m2・24hr)
(2)A+B=200〜700g/(m2・24hr)
(3)B=100〜450g/(m2・24hr)
式(1)は、蒸気温熱シート1の平均温度に関するものである。蒸気温熱シート1は両面通気性なので、蒸気温熱シート1全体の通気性は、第1の通気層10aの透湿度と、第2の通気層10bの透湿度の和となる。しかし、肌に近い側に位置する第2の透湿性シート3bは、その一部が使用者の身体に接していて、そのすべての部分から空気が流入しづらい。そこで本実施形態においては、第2の通気層10bを通じて空気が流入する面積、即ち、空気の流入に寄与する面積は、蒸気温熱シート1の使用時間にわたり平均して第2の通気層10bの全体の面積の1/3であると考え、第2の通気層10bの透湿度Bに係数1/3を乗じてある。式(1)の下限値を200g/(m2・24hr)以上とすることで、使用者に温感を実感させるに足る発熱温度を得ることができる。また式(1)の上限値を500g/(m2・24hr)以下とすることで、蒸気温熱シート1への空気の流入が甚だしくなることが防止され、発熱温度の過度の上昇が防止される。皮膚平均温度を38℃以上42℃未満、蒸気温熱シート1の平均温度を40〜45℃に制御するには、式(1)の値は200〜500g/(m2・24hr)、特に200〜350g/(m2・24hr)であることが好ましい。
式(2)は、蒸気温熱シート1の最高温度に関するものである。式(1)に関して説明した通り、肌に近い側に位置する第2の通気層310bにおける空気流入についての平均寄与面積は1/3であるが、蒸気温熱シート1の使用時間中に第1及び第2の通気層310a,310bの両面全体から空気が流入する場合がある。そのような場合には、蒸気温熱シート1の平均温度を前記の式(1)でコントロールしても、突発的に温度が上昇してしまうことがある。突発的な温度上昇を防止する観点から、式(2)においては、蒸気温熱シート1全体の透湿度、即ち第1の通気層310aの透湿度と、第2の通気層310bの透湿度の和によって、蒸気温熱シート1の最高温度をコントロールしている。式(2)の上限値を700g/(m2・24hr)以下とすることで、突発的な温度上昇を防止することができる。また式(2)の下限値を200g/(m2・24hr)以上とすることで、使用者に温感を実感させるに足る発熱温度を得ることができる。突発的な温度上昇を50℃以下に抑えるためには、式(2)の値は200〜500g/(m2・24hr)であることが好ましい。
式(3)は、先に説明した式(1)及び(2)と異なり、肌に近い側に位置する第2の通気層310bの透湿度のみ規定している。この理由は、式(3)が蒸気温熱シート1の温度のゆらぎに関するものだからである。本実施形態の蒸気温熱シート1においては、肌から遠い側に位置する第1の通気層310aによって空気の十分な流入を確保しつつ、肌に近い側に位置する第2の通気層310bを通じて流入する空気の量の変化を利用して発熱温度にゆらぎを生じさせている。従って、第2の通気層310bの透湿度を適切にコントロールすることで、発熱温度のゆらぎの幅を調整できる。式(3)の下限値を100g/(m2・24hr)以上とすることで、発熱温度のゆらぎの幅が過度に小さくならないので、使用者に温感の持続を実感させることができる。式(3)の上限値を450g/(m2・24hr)以下とすることで、ゆらぎの幅が過度に大きくなることが防止されるので、突発的な温度上昇を防止することができる。式(3)の値は100〜450g/(m2・24hr)、特に250〜400g/(m2・24hr)であることが好ましい。
第1の通気層310aの透湿度そのものの値については特に制限はないが、前記の式(1)〜(3)との関係で100〜400g/(m2・24hr)、特に150〜300g/(m2・24hr)であることが好ましい。また第2の通気層310bは、その透湿度の値が、第1の通気層310aよりも小さいことが好ましい。同様に、第2の通気層310bは、その通気度の値が、第1の通気層310aよりも大きいことが好ましい。
なお、本実施形態においては、肌に近い側の面及び肌から遠い側の面の何れも、その面の全域が通気性を有しているが、発熱温度の制御等の理由により、当該面の一部に通気性を有していない領域を形成することがある。例えば、蒸気温熱シート1の一面が、透湿度x(g/(m2・24hr))の通気層から構成されていて、且つ該透湿性シートの面積のうちのy(%)を難透湿性シートで目張りして、通気性を有していない領域を形成する場合がある。その場合、当該面の透湿度はx×(100−y)となる。
本実施形態においては、第1の通気層310aは、第1の透湿性シート33a及び不織布33dからなり、不織布33dは第1の透湿性シート33aに比較して透湿度が十分に大きいから、第1の通気層310aの透湿度は、第1の透湿性シート33aの透湿度と実質的に同じになる。同様に、第2の通気層310bの透湿度は、第2の透湿性シート33bの透湿度と実質的に同じになる。
本実施形態の蒸気温熱シート1は、先に述べた実施形態の蒸気温熱シートと同様に、主として、第1の通気層310aを通じて発熱部2に空気が供給されるので、その周縁部から中心部に向かって発熱が進行する。その結果、長時間にわたって安定した水蒸気の発生が可能になる。
〔実施例1〕
図3及び図4に示す実施形態の生理機能改善器具(蒸気温熱シート)を、以下の手順で作製した。
<シート状の発熱部の調製>
鉄粉(同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」)、活性炭(日本エンバイロケミカル(株)製、商品名「カルボラフィン」)及びパルプ繊維(NBKP、製造者:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名「Mackenzie」)を含む固形分濃度0.3重量%のスラリーを用い、傾斜型短網抄紙機によって、ライン速度15m/分にて抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。成形シートをフェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま140℃の加熱ロール間に通し乾燥した。成形シートの組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄粉75%、活性炭10%、パルプ15%であった。シートの坪量は180g/m2であった。
得られた成形シートを80mm×100mmに切り取り、6枚を重ね合わせ、成形シート100重量部に対し60重量部の5%塩化ナトリウム水溶液を注入した。これによってシート状の発熱部を得た。保水材/水の重量比は0.44、被酸化性金属/反応促進剤の重量比は7.5であった。
<収容体への収容>
炭酸カルシウムを含有するポリエチレン製の透湿性フィルム(透湿度800〜1200g/m2・24hr、通気度10000±2000s/100cm3、厚み0.05mm)、線状低密度ポリエチレン製の難透湿性フィルム及びエアスルー不織布(厚み0.13mm)を用いて図3及び図4に示す袋状の収容体を作製した。この中に、前記のシート状の発熱部を封入して、図3及び図4に示す蒸気温熱シートを得た。水蒸気放出面側のシートの厚みの合計は0.18mmであった。また水蒸気放出面積は0.016m2であった。
〔実施例2〕
<発熱粉体による発熱部の調製>
原料組成物の配合は以下の通りである。
・被酸化性金属:鉄粉(同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」) 29.5重量%
・反応促進剤:活性炭(日本エンバイロケミカル(株)製、商品名「カルボラフィン」)
10重量%
・保水剤1:アクリル酸系高吸収性ポリマー(三菱化学製、名:アクアパール) 7重量%
・保水剤2:バーミキュライト(NNケミカル社製) 7重量%
・電解質:精製塩(NaCl) 1.5重量%
・水:工業用水 45重量%
<収容体への収容>
(2)蒸気温熱具の作製
前記の原料組成物を均一に混合してなる発熱粉体を、実施例1と同様の収容体に充填して図3及び図4に示す蒸気温熱シートを得た。発熱粉体の充填量は20gであった。
得られた蒸気温熱シートの生理機能改善効果の検証を目的として、腰痛の緩和効果を臨床試験した。図5(a)及び図5(b)に示す保持具10の収容部12に実施例1で得られた蒸気温熱シートを収容保持し、図6(a)に示すように8名の被験者の腰部に適用した。収容部12の第1及び第2肌面側シート材は、厚み0.26mmのメッシュ状の編地から構成されていた。先ず、蒸気温熱シートの水蒸気放出面側が被験者の腰部に対向するように該蒸気温熱シートを適用させた(以下、湿熱群という)。次いで、蒸気温熱シートの水蒸気非放出面側が被験者の腰部に対向するように該蒸気温熱シートを適用させた(以下、乾熱群という)。湿熱群においては、被験者の腰部に湿熱が適用される。乾熱群においては、被験者の腰部に水蒸気は適用されず、乾熱が適用される。20℃,40%RHの測定環境中で、シート適用後、60分から240分までの温度を測定し、その値を平均化した。温度の測定部位は、シートの適用部位の中心部における皮膚表面(表面温度)、適用部から下へ20mm外側の皮膚表面(表面温度)、及びシートの適用部位から上へ20mm外側の皮下10mm(深部温度)の三カ所とした。なお深部温度は、深部温度計(コアテンプCM−210、深部温プローブPD1、テルモ株式会社製)を用いて測定した。結果を図11(a)〜図11(c)に示す。図11(a)及び(b)において、*はχ2検定における危険率Pが0.05未満であることを示し、試験結果に有意差があることを意味している。
この試験とは別に、図2に示すモデル測定系を用いて、得られた蒸気温熱シートをモデル系に適用したときの温度及び熱伝導率を測定した。測定は、実施例1で得られた蒸気温熱シートを、その水蒸気放出面側が熱流束計に対向するように配置した場合(湿熱)と、水蒸気非放出面側が熱流束計に対向するように配置した場合(乾熱)とで行った。結果を図12(a)及び図12(b)に示す。
図11(a)〜図11(c)に示す結果から明らかなように、所定の水蒸気が付与された湿熱が適用されると、その伝熱効率の高さに起因して被験者の皮膚温が、乾熱を適用した場合に比較して上昇することが判る。特に、注目すべきは図12(a)及び図12(b)の結果である。この結果は、湿熱と乾熱とで発熱温度が同じであっても、熱伝導率の値が大きく異なることを示している。このことは、湿熱の伝熱効率が極めて高いことを意味している。なお、図には示していないが、実施例1で得られた蒸気温熱シートは、4時間にわたって水蒸気が発生して、体表の温度が39℃に維持されていた。また、実施例2で得られた蒸気温熱シートに対して行った同様の評価、測定においても、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
更に、以上の測定とは別に、実施例1で得られた蒸気温熱シートを、その水蒸気放出面を下側に向けてアクリル板上に載置し、JIS S4100に準拠して、酸素との接触開始時からの温度上昇特性を測定した。測定位置は、(イ)蒸気温熱シートの対角線上の位置であって、四隅から1cm内側の部位4箇所、(ロ)蒸気温熱シートの対角線上の位置であって、四隅から2cm内側の部位4箇所、及び(ハ)蒸気温熱シートの対角線の交点近傍の部位3箇所とした。その結果を図13(a)〜図13(d)に示す。この結果から明らかな通り、蒸気温熱シートは、時間の経過と共に、その周縁部から中心部に向かって温度が上昇していることが判る。つまり、時間の経過と共に、その周縁部から中心部に向かって発熱が進行していることが判る。
図1(a)は、本発明の生理機能改善器具を身体の腰部に適用したときのサーモグラフィを示す図であり、図1(b)は乾熱式の温熱具を身体の腰部に適用したときのサーモグラフィを示す図である。 図2は、熱伝導率を測定するためのモデル測定系を示す模式図である。 図3は、本発明の生理機能改善器具の一実施形態としての蒸気温熱シートを示す斜視図である。 図4は、図3におけるIII−III線断面図である。 図5(a)は、図2に示す蒸気温熱シートを収容保持する保持具を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)におけるb−b線断面図である。 図6(a)は、図2に示す蒸気温熱シートを腰部に適用した状態を示す図であり、図6(b)は腹部に適用した状態を示す図である。 図7は、本発明の生理機能改善器具の他の実施形態を示す断面図(図4相当図)である。 図8は、本発明の生理機能改善器具の他の実施形態を示す平面図である。 図8におけるII−II線断面図である。 図8に示す生理機能改善器具の使用形態の一例を示す図である。 図11(a)〜図11(c)は、本発明の生理機能改善器具による皮膚温度の上昇効果を示すグラフである。 図12(a)及び図12(b)は、本発明の生理機能改善器具の発熱温度及び熱伝導率の測定結果を示すグラフである。 図10(a)〜(d)は、本発明の生理機能改善器具の発熱温度の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 蒸気温熱シート(生理機能改善器具)
2 発熱部
3 収容体
10 保持具

Claims (4)

  1. 化学エネルギーを利用した発熱部を有し、該発熱部と体表との間にシートを介在させて当接させた状態下に該発熱部から発生する水蒸気を供給するようになされている人体等の生理機能改善器具であって、
    前記器具は、水蒸気の発生能を2時間以上有し、これを体表に当接させた状態下で、体表の温度が前記器具を適用してから1時間以内に38℃以上42℃未満となる人体等の生理機能改善器具。
  2. 前記生理機能改善器具の発熱部と体表との間に介在させるシートは、生理機能改善器具の発熱部に空気の供給量を制御する機能と、生理機能改善器具の熱を体表に伝達する機能を有し、該シートの総厚みが0.05〜1.5mmである請求項1記載の生理機能改善器具。
  3. 前記発熱部が収容体に収容されてなり、前記生理機能改善器具の発熱部と体表との間に介在させる前記シートが該収容体の一部を構成しており、
    該シートは通気性及び透湿性を有し、且つ
    前記生理機能改善器具は、その周縁部から中心部に向かって発熱が進行するようになされている請求項1又は2記載の生理機能改善器具。
  4. 前記収容体のうち、外方を向く面を構成するシートは、その透湿度の値が、生理機能改善器具の発熱部と体表との間に介在させる前記シートよりも小さいか、またその通気度の値が、生理機能改善器具の発熱部と体表との間に介在させる前記シートよりも大きいものである請求項3記載の生理機能改善器具。
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