JP7332839B2 - 温熱具 - Google Patents

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Description

本発明は、温熱具に関する。
被酸化性金属の酸化反応による発熱を利用した温熱具は、様々な用途に用いられている。本出願人は先に、被酸化性金属、水、保水剤を含有する発熱組成物からなる発熱層と、ポリマーを含有する保水シートと、が積層されてなる発熱部と、発熱部を収容する袋体とを備える蒸気温熱具を提案した(特許文献1参照)。この温熱具は、被酸化性金属100質量部に対する温熱具全体に含まれる水の質量割合を40質量部以上80質量部以下とすることも同文献に開示されている。
特開2013-146554号公報
本発明は、温熱具に関する。
一実施形態では、被酸化性金属の粉末、炭素材料の粉末、水、及び電解質を含む発熱体を備える。
一実施形態では、前記発熱体はシート状物である。
一実施形態では、前記発熱体は、前記被酸化性金属の粉末の含有質量に対する前記水の含有質量の比に百を乗じた値[100×(水/被酸化性金属の粉末)]が、95以上130以下である。
一実施形態では、前記発熱体は、前記炭素材料の粉末の含有質量に対する前記水の含有質量の比が、6以上30以下である。
図1(a)及び(b)は、温熱具における発熱体の態様を模式的に示す断面図である。 図2(a)ないし(c)は、温熱具における発熱体と吸水性樹脂の層との配置態様を模式的に示す断面図である。 図3は、温熱具における発熱体と吸水性樹脂の層との別の配置態様を模式的に示す断面図である。 図4は、温熱具の一実施形態を模式的に示す平面図である。 図5は、図4に示す温熱具を模式的に示す分解斜視図である。 図6は、図4に示す温熱具の長手方向である横方向に沿う断面の模式図である。 図7は、図5に示す温熱具の拡大断面の模式図である。 図8は、図4に示す温熱具の使用状態を模式的に示す図である。 図9は、温熱具の別の実施形態を模式的に示す平面図である。 図10は、温熱具の更に別の実施形態を模式的に示す平面図である。 図11は、温熱具の更に別の実施形態を模式的に示す斜視図である。 図12は、温熱具から発生した蒸気量を測定する装置の概略図である。
発明の詳細な説明
近年、温熱具の需要の高まりを受けて、発熱による温度特性を向上させつつ温度持続性を有し、蒸気発生量を高める等の技術が検討されている。発熱による温度特性を向上させるための方法としては、例えば、被酸化性金属の含有量を多くする方法が挙げられるが、この場合、製造コストが増大したり、目的とする温熱具の質量が増加したりしてしまう。特許文献1に開示されている温熱具は、発熱による温度特性が向上したものであるが、製造コストを低減しつつ、発熱による温度特性、温度持続性及び水蒸気発生量のさらなる向上が望まれる。
発熱による温度特性、温度持続性及び水蒸気発生量の向上に関して本発明者が鋭意検討したところ、意外にも、電解質を含有させつつ水分量を増加させることで、製造コストを抑制しつつ、発熱による温度特性、温度持続性及び水蒸気発生量が良好な温熱具を製造可能であることを見出した。
したがって、本発明は、製造コストを抑制しながらも、発熱による温度特性、温度持続性及び水蒸気発生量に優れる温熱具に関する。
本開示における「温度特性」とは、温熱具の発熱によって、到達する最高温度が高いことを意味し、該最高温度は好ましくは38℃以上42℃以下である。これによって、熱を加熱対象体に早期に伝達あるいは知覚させやすくすることができる。
また本開示における「温度持続性」とは、温熱具の発熱によって、所定の温度以上に維持されている時間が長いことを意味し、該所定の温度は好ましくは38℃以上である。これによって、熱を加熱対象体に長時間伝達あるいは知覚させやすくすることができる。
本開示の温熱具は、その使用時に加熱対象体に当接させて、該加熱対象体に対して温熱を付与するために用いられる。
加熱対象体としては、例えば、硬質表面を有する物品、又は、ヒトの眼、口、鼻及びその周囲の皮膚や粘膜、あるいは、喉、顔、頭皮、首、腕、肩、脚、膝、腹部、背部、腰部、臀部等の部位における皮膚や粘膜等であり得るが、これらに限定されず適用可能である。
本開示の温熱具としては、例えば以下の態様(a)ないし(d)が挙げられるが、これらの態様に限られない。
(a)眼及びその周囲に保持可能に構成されたアイマスクの形態。
(b)首、腕、肩、脚、肘、膝、額、腹部、背部又は腰部に保持可能に構成された貼付形態。
(c)口、鼻及びその周囲、又は顔全域に保持可能に構成されたフェイスマスクの形態。
(d)口、鼻及びその周囲に当接可能に構成されたカップの形態。
本明細書におけるすべての開示は、上述した(a)ないし(d)の態様のすべてに適用可能である。
本開示の温熱具は、発熱体を備えている。
発熱体は、(1)被酸化性金属の粉末、(2)炭素材料の粉末、(3)水、及び(4)電解質を含むことが好ましい。
被酸化性金属の粉末は、空気中の酸素との酸化反応に伴う発熱を生じさせて、加熱対象体に対して温熱を付与可能にする機能を有する。
炭素材料の粉末は、被酸化性金属の酸化反応を促進させて、効率良く発熱させる機能を有する。
水は、被酸化性金属の粉末と、酸化反応の触媒となる炭素材料等との相互作用を発生させやすくする機能を有する。
電解質は、被酸化性金属の酸化反応を促進させる際に、発熱効率を高める機能を有する。
発熱体は、好ましくは前記(1)~(4)の材料を含む混合物を備える。
発熱体は、シート状物として構成されている。
「シート状物」とは、対向する二つの面を有し、当該面間の厚みが小さく、可撓性及び保形性を有する薄手の物体である。
シート状物は、その厚みが0.6mm以上のものであり、好ましくは0.8mm以上、更に好ましくは1.0mm以上のものである。
また、シート状物は、その厚みが3.0mm以下のものであり、好ましくは2.8mm以下、更に好ましくは2.0mm以下のものである。
温熱具を構成する発熱体は、空気中の酸素と反応して発熱して、この発熱に伴い、発熱体自体から所定温度に加熱された水蒸気が発生する機能を有するように構成されていることが好ましい。
この場合、発熱体に含まれる水は、被酸化性金属の酸化反応に起因する発熱に伴って、その一部が蒸発する水蒸気となり得る。
シート状の発熱体の形態は、例えば、以下に示す(i)及び(ii)の形態が挙げられる。
発熱体の一形態として、(i)発熱体が、基材シートと、その一方の面に設けられた発熱組成物の層とからなるシート状物である形態が挙げられる。
この場合、発熱組成物は、被酸化性金属の粉末、炭素材料の粉末、水及び電解質を含むペーストを、基材シートの一方の面に塗布して得られるものである。
以下の説明では、前記(i)の発熱体の形態を「塗布タイプ」ともいう。
また、発熱体の別の形態として、(ii)発熱体が、被酸化性金属の粉末、炭素材料の粉末、水及び電解質を含み、好ましくは繊維材料を更に含み、この混合物をシート状物に成形した抄紙体である形態が挙げられる。この形態における発熱体は、発熱組成物と同義である。
以下の説明では、前記(ii)の発熱体の形態を「抄紙タイプ」ともいう。
発熱体は、これらの(i)又は(ii)の形態のうちいずれかをそのまま使用してもよい。
あるいは、(i)又は(ii)のいずれかの形態の発熱体を通気性の包材内に収容したものを用いてもよい。
また包材は、固体が流入及び流出しないものであることも好ましい。
発熱体が包材内に収容されている場合、該包材は発熱体とは別体のものである。つまり、包材は発熱体を構成するものではない。
包材の形状は特に限定されないが、温熱具を薄く形成しやすくして、取り扱い性及びフィット性を高める観点から、扁平状のものであることが好ましい。
包材を扁平状に形成する場合、包材は、少なくともその一方の面が、JIS P8117の規定によって測定される通気度が所定の範囲であるシート材で構成されていることも好ましい。
一実施形態では、包材は、上述の所定の通気度を満たす第1シート材によって、該包材の一方の面が構成されていることが好ましい。また第1シート材よりも通気性が低く、上述の所定の通気度を満たさない第2シート材によって、包材の他方の面が構成されるように、貼りあわせて形成されていることも好ましい。
シート材及び通気度に関する説明は後述する。
上述した発熱体の一実施形態は、例えば図1(a)及び(b)に示されている。
図1(a)は塗布タイプの発熱体の例示であり、図1(b)は抄紙タイプの発熱体の例示である。
図1(a)及び(b)中、各構成部材は、発熱体3、発熱組成物30、基材シート31、被酸化性金属3aの粉末、炭素材料3bの粉末、電解質3c、繊維材料33及び包材35として示されている。
なお図1(a)及び(b)中、説明の便宜上、電解質3cは、発熱体3内に固体で存在しているように図示しているが、この形態に限られない。具体的には、電解質3cは、その一部又は全部が発熱体を構成する水に溶解するなどして、電解質3cが視認できない態様も本開示に含まれる。
温熱具を構成する発熱体は、被酸化性金属と水との含有割合が所定の含有割合となっていることが好ましい。
詳細には、蒸気を十分に発生させる観点から、発熱体に含まれる被酸化性金属の粉末の含有質量に対する前記水の含有質量の比に百を乗じた値[100×(水/被酸化性金属の粉末)]が、好ましくは95以上、より好ましくは98以上、更に好ましくは100以上、より好ましくは105以上である。
また、発熱効率を高めて意図しない温度低下を防ぐ観点から発熱体に含まれる被酸化性金属の粉末の含有質量に対する前記水の含有質量の比に百を乗じた値[100×(水/被酸化性金属の粉末)]は、好ましくは130以下、より好ましくは125以下、更に好ましくは120以下、より更に好ましくは110以下である。
本開示における「被酸化性金属の粉末の含有質量に対する水の含有質量の比に百を乗じた値」は、「100×(水の質量[g]/被酸化性金属の粉末の質量[g])」で表される式によって算出される。
被酸化性金属と水とをこのような含有割合とすることによって、被酸化性金属の含有量を従来の温熱具よりも少なくした場合であっても、従来と同等以上の発熱による温度特性を発現させることができる。これに加えて、温熱具の製造コストの低減を図ることができる。
本開示において「製造コストの低減」とは、従来の温熱具と比較して、発熱による温度特性を同等以上に高めつつ、発熱体に含まれる被酸化性金属の含有量を低減できることを意味する。
発熱体を構成する被酸化性金属の粉末としては、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム及びカルシウム等の粉末が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コストの点から、金属鉄を用いることが好ましい。すなわち、鉄粉が好ましく用いられる。
鉄粉としては、例えば、還元鉄粉及びアトマイズ鉄粉から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
発熱体を構成する被酸化性金属の粉末は、その粒子表面に孔を有しない金属粒子の集合体であってもよく、あるいは多孔性の金属粒子の集合体であってもよい。
発熱体を構成する炭素材料の粉末としては、酸化反応を促進させるための機能を有し、具体的には、被酸化性金属への酸素保持供給材及び触媒能のうち一種以上としての機能を有しているものを用いることができる。
このような炭素材料としては、例えば、椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭及び亜炭等の活性炭、カーボンブラック、アセチレンブラック、並びに黒鉛等の粉末が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、酸素供給能及び触媒能の良好なバランスを有する点から、炭素材料の粉末として、活性炭の粉末が好ましく用いられる。
発熱体の発熱に伴う水蒸気の発生を容易なものとする観点から、発熱体は、電解質を含むことが好ましい。
発熱体に含まれる電解質としては、例えば、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属とリン酸若しくは硫酸との塩、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩化物若しくは水酸化物のうち一種又は二種以上が挙げられる。
これらのうち、化学的安定性及び生産コストに優れる観点から、電解質としては、リン酸三カリウム、水酸化カリウム、塩化ナトリウム、及び塩化カリウムのうち一種又は二種以上を用いることが好ましく、塩化ナトリウムを少なくとも含むことも好ましい。
電解質は、例えば粉末等の固体で用いてもよく、水等の液媒に溶解又は分散させた液体として用いてもよい。
次に、温熱具における発熱体の別の実施形態を説明する。
以下の説明では、上述した各実施形態と異なる構成部分について主に説明し、同様の構成部分は説明を省略する。本実施形態において特に説明しない構成部分は、上述した各実施形態についての説明が適宜適用される。
本実施形態は、上述した実施形態と組み合わせてもよく、あるいは独立して採用してもよい。
本実施形態では、発熱体は、電解質として塩化ナトリウムを含み、且つ塩化ナトリウムに対する水の含有質量の比が所定の割合となっていることが好ましい。
電解質としての塩化ナトリウムと、水とを所定の含有割合にすることによって、被酸化性金属の含有量を従来の温熱具よりも少なくした場合であっても、従来と同等以上の発熱による優れた温度特性を発現させることができる。これに加えて、発熱体を備える温熱具の製造コストの低減を図ることができる。
本実施形態における発熱体は、被酸化性金属の含有量を低減した場合であっても、塩化ナトリウムによる被酸化性金属の酸化を長期間促進させて、酸化反応に起因する発熱を長期間持続させる観点から、塩化ナトリウムの含有質量に対する水の含有質量の比(水/塩化ナトリウム)が、好ましくは3.5以上、より好ましくは5.0以上、更に好ましくは10.0以上、一層好ましくは11.0以上である。
また、被酸化性金属の含有量を低減した場合であっても、酸化反応に起因する発熱を長期間持続させる観点から、塩化ナトリウムの含有質量に対する水の含有質量の比(水/塩化ナトリウム)は、好ましくは25.0以下、より好ましくは20.0以下、更に好ましくは18.0以下、一層好ましくは15.0以下である。
このような割合となっていることで、被酸化性金属の酸化反応を十分且つ持続的に進行させることができ、発熱による優れた温度持続性が発現した温熱具となる。これに加えて、温熱具の製造コストの低減を図ることができる。
また、温熱具における発熱体の更に別の実施形態において、発熱体は、炭素材料の粉末の含有質量に対する水の含有質量の比が所定の割合となっていることが好ましい。
水と炭素材料とを所定の含有割合に設定することによって、被酸化性金属の含有量を従来の温熱具よりも少なくした場合であっても、従来と同等以上の発熱による優れた温度特性及び優れた温度持続性を発現させることができる。これに加えて、温熱具の製造コストの低減を図ることができる。
詳細には、被酸化性金属の酸化反応の進行を効率的に促進させて、時間当たりに生じる発熱量を増加させるとともに、発熱に伴う蒸気の発生を更に増加させる観点から、発熱体は、炭素材料の粉末の含有質量に対する水の含有質量の比(水/炭素材料の粉末)が、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは11以上、一層好ましくは12以上である。
また、酸化反応を発熱開始時点から効率的に発生させて発熱を促進しつつ、加熱対象体に適切な温度を付与させる観点から、発熱体に含まれる炭素材料の粉末の含有質量に対する水の含有質量の比(水/炭素材料の粉末)は、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは15以下、一層好ましくは14以下である。
このような構成となっていることで、炭素材料が有する細孔によって、被酸化性金属の酸化反応の進行を促進する水の供給と、大気中の酸素との供給のバランスを適切なものとすることができるので、被酸化性金属の酸化反応を十分且つ持続的に進行させることができ、発熱による優れた温度特性が発現した温熱具1となる。これに加えて、温熱具の製造コストの低減を図ることができる。
また、温熱具における発熱体の更に別の実施形態において、塗布タイプにおける発熱組成物、又は抄紙タイプにおける発熱体は、水に対する水を除く構成材料の含有質量の比が所定の割合となっていることが好ましい。
水と、水以外の構成材料とを所定の含有割合に設定することによって、被酸化性金属の含有量を従来の温熱具よりも少なくした場合であっても、従来と同等以上の発熱による優れた温度特性を発現させることができる。これに加えて、温熱具の製造コストの低減を図ることができる。
本実施形態は、上述した各実施形態と組み合わせてもよく、あるいは独立して採用してもよい。
詳細には、塗布タイプにおける発熱組成物、又は抄紙タイプにおける発熱体は、水の含有質量に対する水以外の構成材料の含有質量の比(水以外の構成材料/水)が、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.9以上、更に好ましくは1.0以上である。
また、塗布タイプにおける発熱組成物、又は抄紙タイプにおける発熱体は、水の含有質量に対する水以外の構成材料の含有質量の比(水以外の構成材料/水)は、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.2以下である。
このような構成となっていることで、被酸化性金属の酸化反応を十分且つ持続的に進行させることができ、発熱による優れた温度特性が発現した温熱具1となる。これに加えて、温熱具の製造コストの低減を図ることができる。
上述した各実施形態における発熱体(あるいは発熱組成物)において、被酸化性金属と水との含有割合、塩化ナトリウムと水との含有割合、水と炭素材料の粉末との含有割合、並びに水以外の構成材料と水との含有割合は、これらのうちいずれか一つが好適な含有割合を満たすものであることが好ましく、これらのうち任意の二つが好適な含有割合を満たすものであることがより好ましく、これらの全てが好適な含有割合を満たすものであることが更に好ましい。
これによって、酸素供給能及び触媒能のバランスを一層良好に保ち、被酸化性金属の酸化反応を十分且つ持続的に進行させることができるので、被酸化性金属の含有量を従来の温熱具よりも少なくした場合であっても、従来と同等以上の発熱による一層優れた温度特性及び一層優れた温度持続性を効率的に発現させることができる。
これに加えて、発熱体及びこれを備える温熱具の製造コストのさらなる低減を図ることができる。
更に、発熱体及びこれを備える温熱具の製造効率を更に高めることができる。
以下に、上述した各実施形態に共通して適用される事項について説明する。
発熱体からの水蒸気の連続的な発生と、酸化反応の適度な進行とを両立する観点から、発熱体中あるいはその近傍に、吸水性樹脂を更に配することも好ましい。
発熱体からの水蒸気の連続的な発生と、酸化反応の適度な進行とを両立するとともに、構成材料の意図しない脱落を防いで製造効率を更に高める観点から、吸水性樹脂を更に配する場合、包材を更に配置して、発熱体における発熱組成物と包材との間に、吸水性樹脂の粉末を含む層が配置されていることが更に好ましい。
上述した各形態は、塗布タイプ及び抄紙タイプのいずれであっても適用可能である。
吸水性樹脂を発熱体中あるいはその近傍に更に配することによって、発熱体に存在する余剰の水分を吸収させることができる。その結果、被酸化性金属の酸化反応を効率良く進行させて、発熱による温度特性と温度持続性とを向上させることができるとともに、吸水性樹脂及び発熱体に保持されている水分を水蒸気として持続的に放出させることができるので、温熱具の使用者に対して心地よい温感を与えることができる。
発熱体の中あるいはその近傍に吸水性樹脂を更に配する場合、吸水性樹脂の存在態様の一態様として、例えば、吸水性樹脂の粉末が、発熱体における発熱組成物の被酸化性金属、炭素材料の各粉末、水及び電解質と混合されて存在している態様が挙げられる。この場合、吸水性樹脂の粉末は発熱体の一部を構成している。
これに代えて、吸水性樹脂の存在態様の別の態様として、吸水性樹脂の粉末を含む層が発熱体と隣接して存在する態様が挙げられる。この場合、吸水性樹脂の粉末を含む層は、発熱体とは別体に構成されている。
吸水性樹脂の粉末を含む層が発熱体と隣接して存在する態様としては、例えば、(a)吸水性樹脂の粉末が2枚の透湿性シート間に挟持されて形成された単一層を有する態様、(b)吸水性樹脂の粉末が、発熱体を構成する発熱組成物と他の部材を介することなく接触して、単一層状に配された態様、あるいは(c)吸水性樹脂の粉末が隣接して層状に配された第1吸水性樹脂層と、第1吸水性樹脂層に隣接し、吸水性樹脂の粉末が2枚の透湿性シート間に挟持されて形成された第2吸水性樹脂層とが配された積層構造が、発熱体を構成する発熱組成物と他の部材を介することなく配された態様が挙げられる。
つまり、上述した(a)~(c)のいずれの場合であっても、基材シートと吸水性樹脂の粉末を含む層との間に、発熱体を構成する発熱組成物が配されていることが好ましい。
またこれに代えて、吸水性樹脂の存在態様の更に別の態様として、吸水性樹脂の粉末を含む層が基材シートとして配されており、発熱体における発熱組成物の層と隣接して存在する態様が挙げられる。この場合、吸水性樹脂の粉末は、発熱体の一部を構成している。
吸水性樹脂の粉末を含む層は、吸水性樹脂が2枚の透湿性シート間に挟持されて形成されていることが好ましい。この場合、発熱体における発熱組成物は、一方の透湿性シートの外面に接触して配されていることも好ましい。
吸水性樹脂の粉末を含む層が基材シートとして配される場合、構成材料の意図しない脱落を防ぐ観点から、吸水性樹脂の粉末を含む層は、発熱体とともに包材内に収容されていることが好ましい。
包材を備える場合、包材は、通気性を有する第1シート材によって一方の面が構成され、第1シート材よりも通気性が低い第2シート材によって他方の面を構成するように、貼りあわせて形成されていることも好ましい。
包材は、好ましくは扁平状である。
吸水性樹脂の粉末を含む層が基材シートとして配され且つ包材を備える場合、吸水性樹脂の粉末を含む層と、包材における通気性を有する第1シート材とが対向するように配されることが更に好ましい。
発熱体と吸水性樹脂との存在態様に関して、吸水性樹脂の粉末を含む層が発熱体と隣接して存在する一形態が、図2(a)ないし(c)に例示されている。
図2(a)ないし(c)に示す実施形態では、いずれも発熱体3における発熱組成物30と包材35との間に、吸水性樹脂37の粉末を含む層3L(以下、これを吸水性樹脂層3Lともいう。)が配置されている態様となっている。
なお、図2(a)ないし(c)に示す発熱体3及び吸水性樹脂層3L並びに包材35は、全体として厚みが異なるように描かれているが、説明の便宜上そのように示しているだけであり、図2(a)ないし(c)の各形態における実際の発熱体3及び吸水性樹脂層3L並びに包材35は、その厚みが同一であってもよく、異なっていてもよい。
詳細には、吸水性樹脂層3Lが配置されている場合、図2(a)に示すように、吸水性樹脂層3Lは、吸水性樹脂37が2枚の透湿性シート38,38間に挟持されて形成されていることが好ましい。この場合、吸水性樹脂層3Lが透湿性シート38を介して発熱体3を構成する発熱組成物30と接触していることも好ましい。
詳細には、基材シート31と吸水性樹脂層3Lとの間に発熱体3を構成する発熱組成物30が配されていることが好ましい。
このような構成となっていることによって、発熱による優れた温度特性を持続的に発現させつつ水蒸気を持続的に放出させて、水蒸気を従来の温熱具より多く発生させることができるので、目や鼻、喉等の加熱対象体に心地よい温感と潤いとを両立して持続的に知覚させることができる。
吸水性樹脂層における当該構成は、例えば、好ましくはアイマスクの形態や貼付形態の温熱具に適用することによって、使用者の眼及びその周囲等の適用部位に温感を持続的に知覚させて、使用者に心地よさを与えることができる点で有利である。
これに代えて、図2(b)に示すように、吸水性樹脂層3Lは、吸水性樹脂37が、発熱体3を構成する発熱組成物30と他の部材を介することなく接触して層状に配されていることも好ましい。
詳細には、基材シート31と吸水性樹脂層3Lとの間に発熱体3を構成する発熱組成物30が配されていることが好ましい。
このような構成となっていることによって、水蒸気を従来の温熱具よりも更に多く発生させることができるので、水蒸気の発生量を更に高めて、眼や鼻、口、喉等の加熱対象体に心地よい温感と潤いを両立して知覚させることができるという利点がある。
吸水性樹脂層における当該構成は、例えば、好ましくはフェイスマスクの形態の温熱具に適用することによって、使用者の口及び鼻並びにその周囲に温感及び潤いを広範囲に知覚させて、使用者に心地よさを与えることができる点で有利である。
またこれに代えて、図2(c)に示すように、吸水性樹脂層3Lは、発熱体3を構成する発熱組成物30と他の部材を介することなく吸水性樹脂37が隣接して配された第1吸水性樹脂層3sと、第1吸水性樹脂層3sに隣接し、吸水性樹脂37が2枚の透湿性シート38,38間に挟持されて形成された第2吸水性樹脂層3tとが配された積層構造であることが好ましい。
詳細には、基材シート31と吸水性樹脂層3Lとの間に発熱体3を構成する発熱組成物30が配されていることが好ましい。
図2(c)に示す実施形態では、吸水性樹脂層3Lは、第1吸水性樹脂層3sと第2吸水性樹脂層3tとが接触して配されている積層構造となっている。
このような構成となっていることによって、発熱体の発熱反応を効率良く進行させて、多量の水蒸気を比較的短時間で発生させることができるので、眼や鼻、口、喉等の加熱対象体に温感及び潤いを早期に知覚させることができる。
吸水性樹脂層における当該構成は、例えば、好ましくはカップの形態の温熱具に適用することによって、使用者の口及び鼻並びにその周囲に温感及び潤いを短時間で集中的に与えることができる点で有利である。
発熱体と吸水性樹脂との存在態様に関して、吸水性樹脂の粉末を含む層が発熱体における発熱組成物と隣接して存在する別の一形態が、図3に例示されている。
図3に示す実施形態では、発熱体3における発熱組成物30と包材35との間に、吸水性樹脂層3Lが配置されている態様となっている。
図3に示すように、吸水性樹脂層3Lは、吸水性樹脂37が2枚の透湿性シート38,38間に挟持されて形成されていることが好ましい。
また図3に示すように、発熱体3における発熱組成物30は、透湿性シート38の一方の面に接触して配されていることが好ましい。この場合、吸水性樹脂層3Lは、発熱体3における基材シート31とすることも好ましい。
図3に示すように、吸水性樹脂層3Lが基材シート31として配され且つ扁平状の包材35を備える場合、吸水性樹脂層3Lと、包材における通気性を有する第1シート材とが対向するように配されることが更に好ましい。
このような構成となっていることによって、発熱による優れた温度特性を持続的に発現させつつ水蒸気を持続的に放出させて、水蒸気を従来の温熱具より多く発生させることができるので、目や鼻、喉等の加熱対象体に心地よい温感と潤いとを両立して持続的に知覚させることができる。
吸水性樹脂層における当該構成は、例えば、好ましくはアイマスクの形態や貼付形態の温熱具に適用することによって、使用者の眼及びその周囲等の適用部位に温感を持続的に知覚させて、使用者に心地よさを与えることができる点で有利である。
吸水性樹脂層が発熱体と隣接して配される場合、吸水性樹脂層は、好ましくはシート状物として構成されている。
吸水性樹脂の具体例としては、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体の一種以上が挙げられる。
ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を用いることができる。
また、吸水性樹脂の形状としては、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状、又はこれらの組み合わせ等からなる粒子が挙げられる。
吸水性樹脂は、好ましくは粒子の集合体からなる粉末である。
透湿性シートとしては、例えば、薄葉紙、吸収紙、不織布等の繊維シートやメッシュシート等を用いることができる。
透湿性シートは、好ましくは通気性を有する。
酸化反応を適切に制御して、発熱による温度特性が良好な温熱具を得る観点から、被酸化性金属の粉末は、該粉末を構成する粒子の平均粒径が、好ましくは1μm以上、更に好ましくは10μm以上である。
同様の観点から、被酸化性金属の粉末を構成する粒子の平均粒径は、好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
酸化反応の触媒能を十分に発現させて、発熱による温度特性が良好な温熱具を得る観点から、炭素材料の粉末は、該粉末を構成する粒子の平均粒径が、好ましくは1μm以上、更に好ましくは10μm以上である。
同様の観点から、炭素材料の粉末を構成する粒子の平均粒径は、好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
吸水性樹脂を粉末として用いる場合、該粉末を構成する粒子の平均粒径については本技術分野に通常用いられる範囲のものを用いることができる。
上述した各材料の平均粒径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、(型番:LA-950V2))を用いたレーザー回折散乱法によって測定したメジアン径(体積)とすることができる。
発熱体が繊維材料を含んで構成される抄紙タイプのシート状物である場合、繊維材料としては、天然及び合成の繊維材料を特に制限無く用いることができる。
天然繊維材料としては、植物繊維(コットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等)、動物繊維(羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等)、鉱物繊維(石綿等)が挙げられる。これらの繊維材料は単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
合成繊維材料としては、例えば、半合成繊維(アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等)、合成高分子繊維(ナイロン、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、アクリル、ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、レーヨン、ビスコースレーヨン、キュプラ等)、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。これらの繊維材料は単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
これらのうち、被酸化性金属の均一な分散性と、空隙の確保による酸素透過性とを両立して、発熱による温度特性を向上させる観点から、繊維材料は、木材パルプ、コットン及びポリエステルのうち少なくとも一種を用いることが好ましい。
繊維材料は、その平均繊維長が好ましくは0.5mm以上、より好ましくは2mm以上である。
また繊維材料は、その平均繊維長が、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
繊維材料の平均繊維長は、50本以上の繊維材料を測定対象として、各繊維の一方の端部を水平な板に固定し、繊維の自重で下方に垂らした状態としたときの繊維長を、留め定規を用いて測定するか、又は顕微鏡用スライド上で留めて顕微鏡を用いて測定し、得られた測定結果の算術平均値とする。
発熱体は、被酸化性金属の粉末、炭素材料の粉末、水及び電解質、並びに必要に応じて繊維材料のみから構成されていてもよく、各種粉末及び水並びに必要に応じて繊維材料に加えて、被酸化性金属の粉末、炭素材料の粉末及び電解質以外の他の粉末を発熱組成物中に含んでいてもよい。
他の粉末としては、例えば上述した吸水性樹脂などが挙げられる。
発熱体中の他の粉末の含有割合は、発熱による温度特性、温度持続性及び水蒸気発生量のさらなる向上を図る観点から、発熱体を構成する全粉末に対する総質量割合で表して、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
発熱体を構成する全粉末に対する被酸化性金属の粉末及び炭素材料の粉末の総質量割合は、発熱による温度特性、温度持続性及び水蒸気発生量のさらなる向上を図る観点から、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
他の粉末として吸水性樹脂を含む場合、その質量は絶乾状態の質量を基準とする。
製造コストのさらなる低減の観点から、発熱体は被酸化性金属の粉末、炭素材料の粉末、水及び電解質、並びに必要に応じて含まれる繊維材料以外の多孔性材料を含まないことが好ましい。このような多孔性材料としては、ゼオライト、シリカ、珪藻土、バーミキュライト、パーライト及びケイ酸カルシウム等の含ケイ素無機化合物などが挙げられる。
以上の構成を有する温熱具は、発熱体における上述した各材料の含有割合のうち少なくとも一つを適切に設定することによって、被酸化性金属の酸化反応を促進させることができ、その結果、温度と発熱持続時間の積分で表される顕熱積算量が高く、発熱による温度特性及び温度持続性に優れた温熱具を得ることができる。
また、被酸化性金属の含有量を従来の温熱具よりも低減した場合であっても、発熱による優れた温度特性及び優れた温度持続性を発現させることができるので、従来と同等以上の発熱による温度特性及び温度持続性を有する温熱具を、コストを抑制して製造することができる。これに加えて、発熱体からの水蒸気発生量に優れた温熱具となる。
温熱具は、本体部と、該本体部に備えられた発熱体とを備えていることが好ましい。
本体部は、使用時に加熱対象体を覆う形状を有することも好ましい。
温熱具は、加熱対象体に近い側に位置する表面シートと、加熱対象体に遠い側に位置する裏面シートとを備えていることが好ましい。
詳細には、温熱具は、使用者の肌に近い側に位置する表面シートと、使用者の肌から遠い側に位置する裏面シートとを備えていることが好ましい。
温熱具は、前記表面シートと前記裏面シートとによって本体部が構成されていることが好ましい。
発熱体は、本体部を構成する表面シート及び裏面シートの間に保持されていることが好ましい。
発熱体は、通気性の包材内に収容された状態で、表面シート及び裏面シートの間に保持されていることも好ましい。
包材が第1シート材及び第2シート材によって形成されている場合、通気性を有する第1シート材は、加熱対象体に近い側、詳細には使用者の肌から近い側に配されていることが好ましい。つまり、第1シート材は表面シートと対向するように配されることが好ましい。
包材が第1シート材及び第2シート材によって形成されている場合、第1シート材よりも通気性が低い第2シート材は、加熱対象体から遠い側、詳細には使用者の肌から遠い側に配されていることが好ましい。つまり、第2シート材は裏面シートと対向するように配されることが好ましい。
温熱具は、所定温度に加熱された水蒸気が発熱体から発生するようになされていることも好ましい。これによって、加熱対象体及びその周囲に対して温熱を付与することができる。
以下に、温熱具の一実施形態を図面を参照して説明する。
図4ないし図7には、温熱具の一実施形態として、いわゆるアイマスクの形態を有する温熱具が示されている。
つまり本開示は、温熱具のアイマスクとしての使用、並びに温熱具をアイマスクとして使用する方法を包含する。
以下の説明では、上述した各実施形態と異なる構成部分について主に説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態において特に説明しない構成部分は、上述した各構成の説明が適宜適用される。
本実施形態の温熱具は、眼及びその周囲に保持可能に構成されている。この温熱具は、その使用時に加熱対象体であるヒトの両眼を覆うように当接させて、眼及びその周囲に温熱を付与するために用いられるものである。
温熱具は、所定温度に加熱された水蒸気が発生するようになされており、これによって、加熱対象体である眼及びその周囲に対して温熱を付与することができる。
本実施形態の温熱具は、使用時に使用者の両眼を覆う形状を有する横方向に長い本体部と、該本体部に備えられた発熱体とを備えていることが好ましい。
また、本実施形態の温熱具は、本体部に取り付けられた一対の耳掛け部を備えていることも好ましい。耳掛け部によって、使用者の両眼の被覆状態を維持可能になっている。
本実施形態に係る以下の説明では、温熱具の長手方向に相当する方向を横方向ともいい、横方向に直交する方向を縦方向ともいう。
本実施形態における温熱具は、図4において、温熱具1、本体部2、発熱体3、横方向X及び縦方向Yとして例示されている。
図4に示す温熱具1は、耳掛け部4が、本体部2の横方向Xの両外端域に設けられており、横方向Xの外方へ向けて反転可能となっている。これによって、各耳掛け部4,4を使用者の耳にそれぞれ掛けて、本体部2による使用者の両眼の被覆状態を維持できるようになっている。
装着性の向上の観点から、耳掛け部4を構成するシート材は、伸縮性を有するシートであることが好ましい。
図5には、本実施形態の温熱具1の分解斜視図が示されている。
また図6には、温熱具1の横方向Xに沿う断面図が示されている。
図5及び図6に示す温熱具1における本体部2は、使用者の肌に近い側に位置する表面シート5と、使用者の肌から遠い側に位置する裏面シート6とを備えている扁平のものである。
表面シート5は、温熱具1の使用時において、ヒトの眼や、口、鼻等の加熱対象体と当接する部位を含む面を構成する。
裏面シート6は、使用者の肌から遠い側の面であり、温熱具1の外面を形成している。つまり、図5及び図6中、紙面上方が使用者の肌に近い側であり、同図中紙面下方が使用者の肌から遠い側である。
図5及び図6に示す表面シート5及び裏面シート6は、これらを重ね合わせた状態でホットメルト接着剤等の接着剤7によって互いに接合されており、これによって、両シート5,6の間に2つの発熱体3,3が横方向Xに互いに離間して収容されている。
つまり、本実施形態では、発熱体3は、本体部2から脱着不能に構成されている。
発熱体3は、本体部2を構成する表面シート5及び裏面シート6の間に保持されていることが好ましい。
表面シート5及び裏面シート6のうち、少なくとも表面シート5は、通気性を有する繊維シートから構成されることが好ましい。
繊維シートは、複数の構成繊維が絡合、融着及び接着の少なくとも一種の態様によりシート状に保形された構成繊維の集合体である。
各シート5,6の詳細な説明は後述する。
図6に示す断面図には、発熱体3の固定状態が示されている。
図6に示すように、発熱体3は、複数のシート材がヒートシール等によって貼りあわせて形成され、且つ通気性を有する包材35内に収容されていることも好ましい。
この場合、発熱体3は、通気性の包材35に収容された状態で、表面シート5及び裏面シート6の間に保持されていることも好ましい。
包材35は扁平状であることが好ましい。この場合、包材35は、通気性を有する第1シート材によって一方の面が構成され、第1シート材よりも通気性が低い第2シート材によって他方の面を構成するように、貼りあわせて形成されていることも好ましい。
包材35が第1シート材及び第2シート材によって形成されている場合、通気性を有する第1シート材は、使用者の肌から近い側に配されていることが好ましい。つまり、第1シート材は表面シート5と対向するように配されることが好ましい。
包材35が第1シート材及び第2シート材によって形成されている場合、第1シート材よりも通気性が低い第2シート材は、使用者の肌から遠い側に配されていることが好ましい。つまり、第2シート材は裏面シート6と対向するように配されることが好ましい。
図6には、包材35を構成するシート材として、第1シート材351及び第2シート材352が例示されている。
温熱具1が包材35を含んで構成される場合、図6に示すように、包材35の外面と、温熱具1における裏面シート6の内側の面とが、接着剤7によって形成された接着固定部7a,7aによって固定されており、それ以外の面は裏面シート6と固定されていないことが好ましい。
図6に示す実施形態における各接着固定部7a,7aは、温熱具1の横方向Xの中央域に設けられており、温熱具1の縦方向Yに沿って延びている。
このような構成を有していることによって、温熱具1の使用時に加熱対象体に発熱体3がフィット性高く配することができ、効率良く温熱を加熱対象体に付与できるようになる。
図5に戻ると、同図に示すように、耳掛け部4は、シート材からなり、該シート材に、横方向Xに延びる挿通部4Aが形成されていることが好ましい。
挿通部4Aは、耳掛け部4を耳に掛ける際に耳を通すための穴である。
これに代えて、挿通部4Aは、耳を通すことができる貫通スリット等によって形成されていてもよい。
図5及び図7に示すように、耳掛け部4は、横方向Xの両外端域において、本体部2における表面シート5の外面に接合されており、これによって、本体部2と耳掛け部4とが接合された接合領域9が形成されている。
接合領域9は、接合端部9sを軸として、耳掛け部4を反転させるときの折り曲げ部としても機能する。
図7は、本実施形態の温熱具1における接合領域9の形態を示す断面図である。
図5及び図7に示す本体部2と耳掛け部4との接合領域9は、接合領域9における横方向Xの内側端である接合端部9sから本体部2の横方向Xの外端部まで連続的に接合されており、略半楕円の形状となっていることが好ましい。
図7に示すように、接合領域9は、本体部2における表面シート5と、耳掛け部4とが接合して形成されたものであることが好ましい。
接合領域9は、接合端部9sを軸として、耳掛け部4を反転させるときの折り曲げ部としても機能することが好ましい。
図5及び図7に示す接合領域9は連続的に接合されて形成されているが、これに代えて、間欠的に接合されて形成されていてもよい。
図4ないし図7に示すアイマスク形態の温熱具1は、その使用方法として、例えば図8に示すように、耳掛け部4を利用して、温熱具1を耳に保持して使用することができる。
このような使用形態とすることで、使用者の姿勢(例えば仰臥位や座位等)によらず、温熱具1から発生した水蒸気及び温熱を使用者の眼及びその周囲に均一に適用することができる。このことは、温熱具1の使用形態の汎用性が向上する点から有利である。
以下に、温熱具1の別の実施形態を図9を参照して説明する。図9には、温熱具の一実施形態として、いわゆる貼付形態を有する温熱具が示されている。
つまり本開示は、温熱具の貼付形態としての使用、並びに温熱具を貼付形態として使用する方法を包含する。
以下の説明については、上述した各実施形態と異なる構成部分について主に説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態において特に説明しない構成部分は、上述した各構成の説明が適宜適用される。
図9には、温熱具1を貼付形態としたときの一実施形態が示されている。
本実施形態の温熱具1は、使用時において肌対向面を構成する表面シート5と、使用時において非肌対向面を構成する裏面シート6とを有する本体部2と、本体部2に備えられた発熱体3とを備えることが好ましい。
発熱体3は、本体部2を構成する表面シート5及び裏面シート6の間に保持されていることが好ましい。
発熱体3は、通気性の包材35に収容された状態で、本体部2を構成する表面シート5及び裏面シート6の間に保持されていることも好ましい。
本実施形態において、肌対向面を構成する表面シート5は、その外面の一部の領域又は全域に、粘着部51が設けられていることが好ましい。
粘着部51は、温熱具1から発生する温熱及び水蒸気を適用する部位に、温熱具1を保持させるためのものである。
粘着部51を設けることによって、使用者の肌に直接貼付するか、あるいは、使用者の衣服に貼付して使用することができ、加熱対象体である所定の部位に温熱具1を容易に保持させることができる。
また、所望のタイミングで粘着部の粘着性を発現させるために、粘着部を被覆するフィルムなどの基材が設けられていてもよい。
以下に、温熱具1の更に別の実施形態を図10を参照して説明する。図10には、温熱具の一実施形態として、いわゆるフェイスマスクの形態を有する温熱具が示されている。
つまり本開示は、温熱具のフェイスマスクとしての使用、並びに温熱具をフェイスマスクとして使用する方法を包含する。
以下の説明についても、上述した各実施形態と異なる構成部分について主に説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態において特に説明しない構成部分は、上述した各構成の説明が適宜適用される。
図10には、温熱具1をフェイスマスクの形態としたときの一実施形態が示されている。
本実施形態の温熱具1は、使用時に使用者の口及び鼻の少なくとも一方を被覆する本体部2と、本体部2に備えられた発熱体3とを備えることが好ましい。
これに加えて、本実施形態の温熱具1は、本体部2の左右両端に設けられた一対の耳掛け部4を備えていることが好ましい。耳掛け部によって、使用者の口及び鼻の少なくとも一方の被覆状態を維持可能になっている。
本実施形態における耳掛け部4は、シート材で構成されている。
耳掛け部4の中央域には、挿通部4Aが形成されていることが好ましい。
発熱体3は、本体部2を構成する表面シート5及び裏面シート6の間に保持されていることが好ましい。
発熱体3は、通気性の包材35に収容された状態で、本体部2を構成する表面シート5及び裏面シート6の間に保持されていることも好ましい。
本実施形態の温熱具1は、図10に示すように、使用者の鼻梁に対応する位置に折り畳み線15を有していることが好ましい。
本実施形態における折り畳み線15は、温熱具1における本体部2の横方向中央域に設けられている。
このような構成になっていることによって、フェイスマスクの形態の温熱具1は、これを使用した際に、折り畳み線15を可撓軸として鼻の凸形状に沿って表面シート5を密着させることができるので、温熱具1と加熱対象体との隙間が生じにくくなり、加温加湿効果を高めることができる。
これに代えて、用途等にあわせて、折り畳み線15を有さない平坦形状の温熱具1としてもよい。
本実施形態の温熱具1は、その使用方法として、耳掛け部4を利用して、温熱具1を耳に保持して使用することができる。
以下に、温熱具1の更に別の実施形態を図11を参照して説明する。図11には、温熱具の一実施形態として、いわゆるカップの形態を有する温熱具が示されている。
つまり本開示は、温熱具のカップの形態としての使用、並びに温熱具をカップの形態として使用する方法を包含する。
以下の説明についても、上述した各実施形態と異なる構成部分について主に説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態において特に説明しない構成部分は、上述した各構成の説明が適宜適用される。
図11には、温熱具1をカップの形態としたときの一実施形態が示されている。
本実施形態の温熱具1は、使用時に使用者の口及び鼻の少なくとも一方を被覆する本体部2と、本体部2に備えられた発熱体3とを備えていることが好ましい。
本実施形態の温熱具1は、その用途に応じて、使用者の口及び鼻の少なくとも一方の被覆状態を維持可能な耳掛け部を備えていてもよく、該耳掛け部を備えていなくてもよい。
本実施形態における温熱具1は、図11に示すように、第1パネル部21と、第1パネル部21と略同形状の第2パネル部22とが連続して構成された本体部2を有することが好ましい。
本実施形態では、両パネル部21,22はいずれも扇状に形成されており、両パネル部21,22の先細り部分が連続するように構成されていることが好ましい。
第1パネル部21と第2パネル部22とはいずれも、連続した表面シート5と連続した裏面シート6とから構成されており、表面シート5と裏面シート6との間に発熱体3が保持されるようになっていることが好ましい。
発熱体3は、通気性の包材35に収容された状態で、本体部2を構成する表面シート5及び裏面シート6の間に保持されていることも好ましい。
本実施形態における温熱具1は、第1パネル部21と第2パネル部22との連続部分に、本体部2を折り曲げる可撓軸となる境界線Dを有していることが好ましい。
本実施形態において、第1パネル部21と第2パネル部22とは、境界線Dを軸として線対称の形状となっていることが好ましい。
本実施形態の温熱具1は、境界線Dを軸として、表面シート5が互いに対向するように折り曲げられるとともに、第1パネル部21の第1側縁21A及び第2パネル部22の第1側縁22A、並びに、第1パネル部21の第2側縁21B及び第2パネル部22の第2側縁22Bをそれぞれ重ね合わせて接合されている。
両パネル部21,22において、外方に位置する第1パネル部21の第3側縁21C及び第2パネル部22の第3側縁22Cはともに接合されておらず、カップ形状における開口部を形成する。この開口部は、使用者の鼻及び口を覆うことが可能な程度に開口していることが好ましい。
これによって、境界線D及びその近傍の位置を底部とした、有底筒状のカップ状温熱具が形成される。このカップ状温熱具は、その外面が裏面シート6によって形成されており、内面が表面シート5によって形成されている。
本実施形態のカップ状温熱具は、耳掛け部を備えていない。この場合、有底筒状のカップ状温熱具は、本体部が人手で把持可能な寸法を有することが好ましい。つまり、カップ状温熱具は、本体部が人手で把持可能に構成されていることが好ましい。
カップ状温熱具は、その使用時において、例えば本体部を人手によって把持して、カップ状温熱具の開口部を使用者の鼻及び口の近傍に保持させることによって使用することができる。
上述したいずれの実施形態の温熱具であっても、意図しない酸化反応の発生に起因する発熱及び水蒸気の発生を抑制して、使用時までに高い品質を維持する観点から、温熱具は、該温熱具が酸素遮断袋などの包装袋に密封収容された温熱具の包装体の態様として、製造、保管及び流通されることが好ましい。包装体とする場合、1個の温熱具が1つの包装袋に収容された個別包装体であってもよく、必要に応じて、1つの包装袋に複数の温熱具が収容された包装体であっていてもよい。
耳掛け部、表面シート及び裏面シート、並びに基材シート、包材及び透湿性シートに用いられ得る各種シート材は、それぞれ独立して、これらの通気性、透湿性、風合い、伸縮性、強度や、発熱組成物の構成材料の漏れ出し防止等の性質を考慮して適宜決定すればよい。
シート材としては、例えば不織布、織布、紙などの繊維シート、樹脂発泡シート、金属シート又はこれらの組み合わせ等が用いられる。
シート材は、単層及び多層を問わない一枚のシート材のみからなる単一構造であってもよく、二種以上のシート材を重ね合わせた積層構造であってもよい。
通気性や透湿性が高いシート材としては、メルトブローン不織布が好適に用いられる。
風合いを良好にする目的で用いられるシート材としては、エアスルー不織布やサーマルボンド不織布が好適に用いられる。
伸縮性を発現させる目的で用いられるシート材としては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維を含むエアスルー不織布やスパンボンド不織布、サーマルボンド不織布等が用いられる。
強度を付与する目的で用いられるシート材としては、スパンボンド不織布やスパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布等が好適に用いられる。
上述した不織布に加えて、又はこれに代えて、不織布をシリコーンや界面活性剤等で表面処理したものを用いたり、ポリエチレンやポリウレタン等の熱可塑性樹脂を原料とする発泡シート等を用いたりすることができる。
また、これらのシート材は、繊維の原料、繊維径、繊維の捲縮の度合い等が異なる繊維を複数混合して用いたり、シート材を複数組み合わせたりして、所望の性質を発現させることもできる。
耳掛け部、表面シート及び裏面シート、並びに基材シート、包材及び透湿性シートは、それぞれ独立して、単層及び多層を問わない一枚のシート材のみからなる単一構造であってもよく、二種以上のシート材を重ね合わせた積層構造であってもよい。
表面シートは、上述のとおり繊維シートを用いることが好ましい。
温熱具の製造効率を高める観点から、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、及びケミカルボンド不織布の少なくとも一種を好ましく用いることができる。
表面シート及び裏面シートとして不織布等の繊維シートを用いる場合、表面シート及び裏面シートはいずれも通気性を有していることが好ましい。「通気性を有する」とは、JIS P8117:2009に従って測定される通気度が、10000秒/100mL以下であることをいう。JIS P8117に従って測定される通気度は、常温常圧下で100mLの空気が6.42cmの面積を通過する時間として定義される。
詳細には、表面シート及び裏面シートの通気度は、それぞれ独立して、0.01秒/100mL以上であることが好ましく、0.03秒/100mL以上であることがより好ましい。
通気度は、JIS P8117:2009に従って測定される。通気度が小さいことは、空気の通過に時間がかからないことを意味しているので、通気性が高いことを意味している。
このような通気度を有する表面シートを用いることによって、温熱や水蒸気を加熱対象体に効率良く付与できるようにするとともに、被酸化性金属の酸化反応を効率良く制御して、発熱による所望の温度特性及び所望の温度持続性を有する温熱具を得ることができる。
通気性の包材を備える場合、温熱蒸気を外部に適度に放出して加熱対象体に温熱を効果的に付与させる観点から、包材の一方の面を構成するシート材は、そのJIS P8117の規定によって測定される通気度が、好ましくは0秒/100mL超、より好ましくは10秒/100mL以上、更に好ましくは20秒/100mL以上、一層好ましくは30秒/100mL以上である。
また、意図しない過剰な蒸気放出及び温度低下を抑える観点から、包材の一方の面を構成する前記シート材は、そのJIS P8117の規定によって測定される通気度が、好ましくは5000秒/100mL以下、より好ましくは3000秒/100mL以下、更に好ましくは1500秒/100mL以下、一層好ましくは100秒/100mL以下である。
一実施形態において、通気性の包材35を備え、且つ該包材が通気性を有する第1シート材351と、第1シート材よりも通気性が低い第2シート材352とを有する場合、第1シート材351の通気度は、上述の範囲を満たすことが好ましい。
また第2シート材352の通気度は、10000秒/100mL以上であることが好ましく、25000秒/100mL以上であることがより好ましく、発熱による十分且つ適度な温度持続性を発現し、水蒸気を加熱対象体に十分に付与する観点から、非通気であることが更に好ましい。
「非通気」とは、JIS P8117:2009に従って測定される通気度が80000秒/100mL以上であることをいう。
上述した通気度を有する第1シート材は、例えば樹脂フィルムに複数の貫通孔を設けたものや、あるいは、ポリエチレンと、炭酸カルシウム等のフィラーを含む樹脂組成物から得られたシートを一軸延伸又は二軸延伸して得られるフィルムを用いることができる。通気度は、延伸の度合いを調整することによって適宜変更することができる。
第1シート材に適用可能なシートは、例えば、EP1939240 A1に開示されている。
上述した通気度を有する第2シート材としては、例えば第1シート材よりも貫通孔を少なくするか、又は貫通孔を有さない樹脂フィルム等を用いることができる。
通気性の包材を備え、且つ包材が通気性を有する第1シート材と、第1シート材よりも通気性が低い第2シート材とを有する場合、JIS Z0208に従って測定される第1シート材の透湿度が、好ましくは480g/(m・24h)以上、より好ましくは720g/(m・24h)以上、更に好ましくは960g/(m・24h)以上である。
また、JIS Z0208に従って測定される第1シート材の透湿度が、好ましくは5000g/(m・24h)以下、より好ましくは4750g/(m・24h)以下、更に好ましくは4500g/(m・24h)以下である。
また、JIS Z0208に従って測定される第2シート材の透湿度が、好ましくは480g/(m・24h)以下、より好ましくは240g/(m・24h)以下、更に好ましくは0g/(m・24h)である。
第1シート材及び第2シート材の各透湿度をそれぞれ独立して上述した範囲とすることによって、発熱による十分且つ適度な温度特性及び温度持続性を発現し、水蒸気を加熱対象体に十分に付与させることができる。
このような透湿度を満たす各シート材は、例えば、上述の通気度にて説明した同様のシート材を用いることができる。
表面シートとして繊維シートを用いる場合、表面シートの坪量は、10g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることがより好ましく、50g/m以上であることが更に好ましい。
表面シートの坪量は、200g/m以下であることが好ましく、130g/m以下であることがより好ましく、100g/m以上であることが更に好ましい。
また、裏面シートとして繊維シートを用いる場合、裏面シートの坪量は、保温性向上の観点及び印字性の向上の観点から、裏面シートの坪量が表面シートの坪量よりも小さいほうが好ましい。
詳細には、裏面シートの坪量は、10g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることが更に好ましい。
裏面シートの坪量は、100g/m以下であることが好ましく、80g/m以下であることが更に好ましい。
表面シート及び裏面シートが積層構造を有する場合、シート全体の坪量が上述の範囲であればよい。
透湿性シートにおける「透湿性」とは、JIS Z0208に従って測定されるシートの透湿度が2000g/(m・24h)以上であることをいう。
具体的には、透湿性シートは、JIS Z0208に従って測定されるシートの透湿度が、好ましくは2000g/(m・24h)以上、より好ましくは2500g/(m・24h)以上、更に好ましくは3000g/(m・24h)以上である。
上述の透湿性を有するシートは、吸水性樹脂層における透湿性シートとして好適に使用できる。透湿性シートを複数用いる場合、各透湿性シートの透湿度の値はそれぞれ同じあってもよく、異なってもよい。
上述した各実施形態における温熱具は、温熱具の発熱開始時点から10分後まで(10分間)に発生した水蒸気発生量(mg/10min)が、好ましくは70mg/10min以上、より好ましくは130mg/10min以上、更に好ましくは180mg/10min以上、一層好ましくは185mg/10min以上、より一層好ましくは190mg/10min以上であり、300mg/10min以下が現実的である。
このような構成となっていることによって、水蒸気発生量が高いので、温熱具を口腔用マスクの形態とした場合に、加熱対象体として、使用者の口、頬、鼻、喉等の口内及び口外並びにその周囲の部位に心地よい温感と潤いとを両立して知覚させることができる。
このような水蒸気発生量は、例えば、上述した発熱体の各構成材料の含有割合を適切な割合としたり、図2(a)又は図2(b)に示すような構成で吸水性樹脂37を配した構成を採用したりすることによって容易に達成することができる。
水蒸気発生量の測定は、図12に示す構成を有する装置100を用いて測定する。
装置100は、アルミニウム製の測定室101(容積4.2L)、測定室101の下部に連通して配された流入路102、及び測定室101の上部に連通して配された流出路103を備える。流入路102は、空気供給部(図示せず)から供給された除湿空気(湿度2%RH未満、流量2.1L/分)を測定室101に流入できるようになっている。これに加えて、装置100は、流入路102に設けられた入口温湿度計104及び入口流量計105、流出路103に設けられた出口温湿度計106及び出口流量計107、測定室101内に設けられた温度計(サーミスタ)108を備える。温度計108としては、好ましくは温度分解能が0.01℃程度のものを使用する。
装置100を用いた水蒸気発生量の測定方法は、以下のとおりである。
まず、酸素遮断袋内に密閉収容した測定対象の温熱具を対象として、酸素遮断袋を開封し、そして、1つの発熱体を取り出す。発熱体が包材に収容されている場合、包材に収容された発熱体の状態で取り出す。
取り出した発熱体の包材の一方の面が外面に向くように測定室101に載置し、温度計108をその上に載せる。包材の一方の面と他方の面とが通気性の異なるシートで構成されている場合、包材における通気性の高いシート(好ましくは第1シート材)側の面が外面に向くように測定室101に載置し、該面上に温度計108を載せる。
この状態で測定室101の下部より流入路102を介して除湿空気を流し、入口温湿度計104と出口温湿度計106とで計測される各温度及び各湿度から、測定室101の空気流通前後の絶対湿度の差を求める。更に入口流量計105と出口流量計107とで計測される空気流量から、発熱具から放出された水蒸気量を算出する。水蒸気発生量は、温熱具を酸素遮断袋から取り出して発熱体を空気に接触させた時点を測定開始時点とし、該時点から所定時間に測定された総量とする。所定時間は、例えば10分間とすることができるが、これらの時間に限られず適宜設定可能である。
温熱具は、38℃以上の温度が持続する時間(以下、38℃以上持続時間ともいう。)が、好ましくは5分以上、より好ましくは15分以上、更に好ましくは20分以上であり、好ましくは30分以下、より好ましくは28分以下、更に好ましくは27分以下である。
このような構成となっていることによって、温熱具の使用時において、心地よい温熱を使用者の口、頬、鼻、喉等の口内及び口外並びにその周囲の部位等の加熱対象体に更に持続的に知覚させることができる。更に、使用後に加熱対象体が過度に熱くなったり、水蒸気の過度な付着に起因する濡れが生じたりすることを低減させることができる。また、温熱具を目及びその周囲に適応する場合は、頭部への過剰な温熱刺激を抑えることができる。
このような温度の持続時間は、例えば図2(a)又は図2(b)に示すような構成で吸水性樹脂37を配した構成を採用することによって、容易に達成することができる。
38℃以上持続時間は、例えば室温20℃、湿度50%RHの環境下において、以下の方法で測定することができる。
まず、酸素遮断袋内に密閉収容した測定対象の温熱具を対象として、酸素遮断袋を開封し、温熱具を取り出す。
次いで、データ収集型温度計(Gram社製、LT-8)の温度センサーの測定面を加熱対象体にテープで固定する。温熱具が例えばアイマスクや貼付形態等の形態であり、使用時に加熱対象体と面接触する構成である場合は、加熱対象体における温熱具との当接面(例えば、アイマスクの温熱具であれば、着用者の上瞼)に装着し、テープで固定する。これに代えて、例えば、温熱具が例えばフェイスマスクやカップ状等の形態であり、使用時に加熱対象体と空間を有する構成である場合は、温熱具の適用対象部位(例えば、フェイスマスクの温熱具であれば、着用者の口もと)に装着し、テープで固定する。温度計の測定器を温度センサーに接続した状態で、温度を経時的に測定する。発熱開始時点を測定開始時点として10秒間隔で温度を測定し、計60分間測定を行う。
縦軸を計測温度(℃)、横軸を計測時間(秒)としてプロットした発熱プロファイルから、38℃以上の温度が計測された時間の長さを38℃以上保持時間とする。また温熱具の最高到達温度を測定及び算出する場合には、同発熱プロファイルから計測された最高温度を、最高到達温度とする。
温熱具に耳掛け部を有する場合、耳掛け部の形態は、本体部を使用者の両眼に固定可能な態様であれば、図4及び図5に示すシート状の部材に限定されない。
例えば、シート材からなる耳掛け部に代えて、ひも状の部材からなる耳掛け部を採用したり、糸状又は帯状の部材からなる耳掛け部を採用したりしてもよい。
温熱具のフィット感を高める観点から、ゴムなどの弾性体を用いて、伸縮可能な耳掛け部4とすることが好ましい。
図4、図9、図10及び図11に示す実施形態の温熱具における発熱体の形態は、2つの発熱体が離間して保持された形態として説明したが、加熱対象体及びその周囲に温感を付与可能であれば、発熱体の形態は特に限定されない。
例えば、加熱対象体及びその周囲を覆うことができる形状及び大きさを有する1つの発熱体が表面シート及び裏面シートの間に保持されていてもよく、3つ以上の発熱体が表面シート及び裏面シートの間に保持されていてもよい。
また、図5及び図6に示す発熱体は、その一部が温熱具の横方向中央域で固定されているのみであったが、この形態に限られない。
例えば、発熱体と裏面シートとが横方向の中央域及び該中央域以外の領域で接着剤によって連続的に又は間欠的に接合されていてもよく、裏面シートにおける発熱体が配される位置の全面に接着剤を塗布して接合されていてもよい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
上述した本開示の実施形態に関し、更に以下の温熱具を開示する。
<1>
被酸化性金属の粉末、炭素材料の粉末、水及び電解質を含む発熱体を備え、
前記発熱体はシート状物であり、
前記発熱体は、前記被酸化性金属の粉末の含有質量に対する前記水の含有質量の比に百を乗じた値[100×(水/被酸化性金属の粉末)]が、95以上130以下であり、
前記発熱体は、前記炭素材料の粉末の含有質量に対する前記水の含有質量の比が、6以上30以下である、温熱具。
<2>
前記値[100×(水/被酸化性金属の粉末)]が、より好ましくは98以上、更に好ましくは100以上、より更に好ましくは105以上であり、
より好ましくは125以下、更に好ましくは120以下、より更に好ましくは110以下である、前記<1>に記載の温熱具。
<3>
前記電解質として塩化ナトリウムを含み、
前記塩化ナトリウムの含有質量に対する前記水の含有質量の比が3.5以上25以下である、前記<1>又は<2>に記載の温熱具。
<4>
前記塩化ナトリウムの含有質量に対する前記水の含有質量の比が、好ましくは5.0以上、更に好ましくは10.0以上、一層好ましくは11.0以上であり、
より好ましくは18.0以下、更に好ましくは15.0以下である、前記<3>に記載の温熱具。
<5>
前記炭素材料の粉末の含有質量に対する前記水の含有質量の比が、より好ましくは10以上、更に好ましくは11以上、一層好ましくは12以上であり、
より好ましくは20以下、更に好ましくは15以下、一層好ましくは14以下、前記<1>~<4>のいずれか一に記載の温熱具。
<6>
前記発熱体が、以下の(i)又は(ii)の構造を有し、
(i)基材シートとその一面に設けられた発熱組成物の層とからなり、該層が、前記被酸化性金属の粉末、前記炭素材料の粉末、前記水及び前記電解質を含むペーストから得られるものである。
(ii)記被酸化性金属の粉末、前記炭素材料の粉末、前記水、前記電解質、及び繊維材料を含む抄紙体である。
前記(i)における発熱組成物、又は前記(ii)における発熱体は、水の含有質量に対する水以外の構成材料の含有質量の比(水以外の構成材料/水)が、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.9以上、更に好ましくは1以上であり、
好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.2以下である、前記<1>~<5>のいずれか一に記載の温熱具。
<7>
前記発熱体が扁平な包材内に収容されており、
前記包材の一方の面は、JIS P8117の規定によって測定される通気度が0秒/100mL以上5000秒/100mL以下であるシート材から構成されている、前記<1>~<6>のいずれか一に記載の温熱具。
<8>
前記シート材は、JIS P8117の規定によって測定される通気度が、より好ましくは10秒/100mL以上、更に好ましくは20秒/100mL以上、一層好ましくは30秒/100mL以上であり、
より好ましくは3000秒/100mL以下、更に好ましくは1500秒/100mL以下、一層好ましくは100秒/100mL以下である、前記<7>に記載の温熱具。
<9>
前記包材の他方の面は、第2シート材によって構成されており、
前記第2シート材は、JIS P8117の規定によって測定される通気度が、10000秒/100mL以上であることが好ましく、25000秒/100mL以上であることがより好ましく、80000秒/100mL以上であることが更に好ましい、前記<7>又は<8>に記載の温熱具。
<10>
前記発熱体と前記包材との間に吸水性樹脂の粉末を含む層が配置されている、前記<7>~<9>のいずれか一に記載の温熱具。
<11>
前記発熱体が、基材シートとその一面に設けられた発熱組成物の層とからなり、
前記発熱組成物の層が、前記被酸化性金属の粉末、前記炭素材料の粉末、水及び電解質を含むペーストから得られるものであり、
前記発熱組成物の層に隣接して、吸水性樹脂の粉末を含む層を更に備える、前記<1>~<10>のいずれか一に記載の温熱具。
<12>
前記吸水性樹脂の粉末を含む層は、前記吸水性樹脂が2枚の透湿性シート間に挟持されて形成されている、前記<10>又は<11>に記載の温熱具。
<13>
前記透湿性シートは、それぞれ独立して、好ましくは2000g/(m・24h)以上、より好ましくは2500g/(m・24h)以上、更に好ましくは3000g/(m・24h)以上である、前記<12>に記載の温熱具。
<14>
発熱に伴って、前記発熱体自体から蒸気を発生する、前記<1>~<13>のいずれか一に記載の温熱具。
<15>
発熱開始時点から10分間の水蒸気発生量が70mg/10min以上である、前記<14>に記載の温熱具。
<16>
前記水蒸気発生量が、好ましくは130mg/10min以上、より好ましくは180mg/10min以上、更に好ましくは185mg/10min以上、一層好ましくは190mg/10min以上であり、
300mg/10min以下である、前記<15>に記載の温熱具。
<17>
38℃以上の温度の持続時間が5分以上30分以下である、前記<1>~<16>のいずれか一に記載の温熱具。
<18>
前記持続時間が、より好ましくは20分以上27分以下である、前記<17>に記載の温熱具。
<19>
アイマスクタイプである、前記<1>~<18>のいずれか一に記載の温熱具。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。表中、空欄の箇所は「非含有」であることを示す。
〔実施例1~9及び比較例1〕
<塗料の調製>
被酸化性金属の粉末として鉄粉(DOWA IPクリエイション株式会社製、RKH3、平均粒径:45μm)と、炭素材料の粉末として活性炭粉末(大阪ガスケミカル株式会社製、カルボラフィン、平均粒径:31μm)と、水、電解質及び増粘剤とを以下の表1に示す割合で混合し、B型粘度計で測定された25℃における粘度が5000mPa・sの発熱組成物のペーストを得た。
<発熱体の作製>
第1の透湿性シートとして木材パルプ製の紙(坪量20g/m、伊野紙株式会社製)の上に吸水性樹脂(アクアリック(登録商標)CA、株式会社日本触媒製)の粒子を坪量50g/mで層状に散布した。吸水性樹脂の層上に、第2の透湿性シートとして木材パルプ製の紙(坪量30g/m、伊野紙株式会社製)を積層して、吸水性樹脂層のシートを得た。
基材シートとしてポリエチレンをラミネートした薄葉紙(ニットク社製)を用い、該シートの一方の面に、上述したペーストを吐出圧を調整しながらダイコーティング法にて、塗布面積24.0cmの範囲に塗布し、シート状塗工物を得た。
その後、塩化ナトリウム(大塚製薬株式会社製、局方塩化ナトリウム)を表1に示す含有量となるように、ペースト側に均一に散布した。その後、ペースト側に吸水性樹脂シートを積層し、積層体前駆体を得た。そして、得られた積層体前駆体を49mm×49mmの大きさにカットし、塗布タイプの発熱体における発熱組成物側に吸水性樹脂層が配された積層体を得た。
続いて、63mm×63mmにそれぞれカットした通気性を有する第1シート材と非通気の第2シート材とで積層体を挟み、これらのシート材の四方をヒートシールして、包材内に収容された発熱体を得た。この構成は、図2(a)に例示されているものである。第1シート材は、以下の表1に示す通気度を有するものを用いた。
包材における第1シート材は、その内面と吸水性樹脂層のシートの外面とが対向するように配置した。また、包材における第2シート材は、その内面と基材シートの存在面とが対向するように配置した。
最後に、ニードルパンチ不織布(坪量80g/m)からなる表面シートと、エアスルー不織布(坪量30g/m)からなる裏面シートとの間に、包材に収容された発熱体を保持するように接合して、図4ないし図7に例示された構造を有するアイマスクタイプの温熱具を得た。
表面シートは、その内面と、包材における第1シート材の外面とが対向するように配置した。また、裏面シートは、その内面と包材における第2シート材の外面とが対向するように配置した。この温熱具は、発熱に伴って発熱体から蒸気を発生するように形成されていた。
〔実施例10及び比較例2〕
実施例1で用いた被酸化性金属、炭素材料及び水に加え、繊維材料としてパルプ繊維(針葉樹クラフトパルプ、スキーナ株式会社製、商品名「スキーナ」、平均繊維長:2.1mm)を含む混合物を抄紙して中間成形体を抄造した。その後、該中間成形体に、電解質(塩化ナトリウム)を含有させて、以下の表1に示す原料割合を有する抄紙タイプの発熱体を形成した。
そして、包材を構成する通気性のシート材として、以下の表1に示す通気度のものを用い、実施例1と同様の方法で温熱具を形成した。
この構成は、図1(b)に例示されているものである。
〔実施例11~15〕
発熱組成物のペースト作製時において、塩化ナトリウムの含有量又は炭素材料の含有量を変化させた以外は実施例6と同様の方法で温熱具を製造した。
〔実施例16〕
包材を構成する第1シート材として、以下の表1に示す通気度のものに変更した以外は、実施例3と同様の方法で温熱具を製造した。
〔水蒸気発生量の測定〕
実施例及び比較例の温熱具における水蒸気発生量は、上述した方法に従い、図12に示す装置100を用いて測定した。水蒸気発生量が多いほど、加熱対象体に心地よい温熱を十分に与えられるものであることを示す。結果を以下の表1に示す。
〔38℃以上持続時間及び最高到達温度の測定〕
実施例及び比較例の温熱具における38℃以上持続時間及び最高到達温度を室温20℃、湿度50%RHの環境下において、以下の方法で測定した。まず、酸素遮断袋内に密閉収容された温熱具を、酸素遮断袋を開封し、温熱具を取り出した。
温熱具を着用者(専門パネラー)の眼及びその近傍の皮膚に当接させた状態で、着用者の上瞼にデータ収集型温度計(Gram社製、LT-8)の温度センサーの測定面を装着しテープで固定した。次に、温度計の測定器を温度センサーに接続した状態で、温度を経時的に測定した。発熱開始時点を測定開始時点として10秒間隔で温度を測定し、計60分間測定を行った。
38℃以上の皮膚温度が持続する時間が長いほど、発熱による温度持続性が良好であり、最高到達温度が高いほど発熱による温度特性に優れるものであることを示す。結果を以下の表1に示す。
〔使用感の評価〕
実施例及び比較例の温熱具について、4名の専門パネラーにそれぞれ着用してもらい、使用感を以下の基準で評価してもらった。過半数の専門パネラーが評価した基準を、総合評価として採用した。総合評価を表1に示す。
<使用感の評価基準>
A:温熱具の使用開始から終了まで、心地よい温熱を知覚でき、使用感に優れる。
B:温熱具の使用時に、熱さを感じるか、又はぬるさを感じるが、温熱を知覚でき、問題の無い使用感である。
C:温熱具の使用時に、熱すぎるか又は発熱を感じず、使用感が悪い。
表1に示すように、各実施例の温熱具は、発熱体の構成材料の含有割合のうち一つ以上を特定の関係とした発熱体を備えることによって、比較例の温熱具と比較して、温熱具の被酸化性金属の含有量が同等であるにもかかわらず、発熱による温度特性及び温度持続性が優れていることが判る。
特に、発熱体の構成材料の含有割合を好適な範囲とした実施例6は、温度特性及び温度持続性が良好でありながら、水蒸気発生量も他の実施例と比較して顕著に高くなっており、温熱具として更に好適な構成であることも判る。
したがって、本開示の温熱具は、コストが高い被酸化性金属の含有量を増加させなくとも、発熱による温度特性と温度持続性に優れた温熱具が製造コストを抑制して製造可能であることが判る。
製造コストを抑制しながらも、発熱による温度特性及び水蒸気発生量に優れた温熱具が提供される。

Claims (8)

  1. 被酸化性金属の粉末、炭素材料の粉末、水及び電解質を含む発熱体を備え、
    前記発熱体はシート状物であり、
    前記発熱体は、前記被酸化性金属の粉末の含有質量に対する前記水の含有質量の比に百を乗じた値[100×(水/被酸化性金属の粉末)]が、95以上130以下であり、
    前記発熱体は、前記炭素材料の粉末の含有質量に対する前記水の含有質量の比が、6以上30以下である、温熱具。
  2. 前記電解質として塩化ナトリウムを含み、
    前記塩化ナトリウムの含有質量に対する前記水の含有質量の比が3.5以上20.0以下である、請求項1に記載の温熱具。
  3. 前記発熱体が扁平な包材内に収容されており、
    前記包材の一方の面は、JIS P8117の規定によって測定される通気度が0秒/100mL以上5000秒/100mL以下であるシート材から構成されている、請求項1又は2に記載の温熱具。
  4. 前記発熱体と前記包材との間に吸水性樹脂の粉末を含む層が配置されている、請求項3に記載の温熱具。
  5. 前記発熱体が、基材シートとその一面に設けられた発熱組成物の層とからなり、
    前記発熱組成物の層が、前記被酸化性金属の粉末、前記炭素材料の粉末、水及び電解質を含むペーストから得られるものであり、
    前記発熱組成物の層に隣接して、吸水性樹脂の粉末を含む層を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の温熱具。
  6. 発熱に伴って、前記発熱体自体から蒸気を発生する、請求項1~5のいずれか一項に記載の温熱具。
  7. 発熱開始時点から10分間の水蒸気発生量が70mg/10min以上である、請求項6に記載の温熱具。
  8. 38℃以上の温度の持続時間が分以上30分以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の温熱具。
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