JP4785565B2 - 蒸気温熱具 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸気温熱具に関する。
近年、オフィスのIT化の進歩に伴い、腰、肩、首の痛みや、目の疲れなどが問題となっている。これらの症状を改善させる方法の一つとして、温熱療法が注目されている。例えば腰痛等の緩和のために、被酸化性金属を含む発熱体(いわゆる使い捨てカイロ)を腰部等に装着して当該部位を温めることが、個人レベルで盛んに行われている。
これに関連して、本出願人は先に、目及び目の周囲に水蒸気を供給する、アイマスク様形状の視力改善治療具やマイボーム腺機能改善治療具を提案した(特許文献1及び2参照)。これらの治療具は、目及び目の周囲に、身体に支障のない温度以下の水蒸気を供給することで、調節筋の弛緩を回復、向上させ、視力を向上させたり、マイボーム腺の機能を改善させたりするものである。これらの治療具は、目及び目の周囲に適用することを目的としているので、水蒸気の適用時間は、身体に支障のない短時間であり、高々数十分程度である。これらの治療具によれば、視力の改善やマイボーム腺機能の改善が図られる。しかし前記の各特許文献には、これらの治療具によって、使用者にリラックス感を与えられるか否かについては記載されていない。
特開2002−65714号公報 特開2002−78727号公報
従って本発明の目的は、人体にリラックス感を与え得る蒸気温熱具を提供することにある。
本発明は、化学エネルギーを利用した発熱部を有し、該発熱部と体表との間にシートを介在させて体表に当接させた状態下に該発熱部から発生する水蒸気を供給するようになされている蒸気温熱具であって、
前記シートは150〜2000g/(m2・24hr)の透湿度(JIS Z0208、40℃、90%RH)を有する通気性部位を少なくとも備え、
前記蒸気温熱具の発熱部は、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が発熱開始から0.5〜25分で最大となる水蒸気発生能を有し、
前記発熱部と体表との間に介在させるシートは、該発熱部に空気の供給量を制御する機能と、蒸気温熱具の熱を体表に伝達する機能を有し、該シートの総厚みが0.05〜1.5mmである蒸気温熱具を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明によれば、本発明の蒸気温熱具を身体に適用すると、使用者の交感神経活動が抑制され、副交感神経活動が優位になり、温感を伴う心地よいリラックス感を与えることができる。
本発明の蒸気温熱具は、人体の体表に適用される。適用部位に特に制限はなく、腰部、腹部、頸部、肩部や、各所の関節など所望の部位に適用し得る。蒸気温熱具は、体表に当接して適用される。当接して適用とは、水蒸気の透過が可能なスペーサー機能を兼ねたシートや、固定具を兼ねたシートを介して蒸気温熱具を体表へ接触させ適用することをいう。
蒸気温熱具は、水蒸気を使用者の体表に適用して、使用者の自律神経を副交感神経優位にする発熱部を有している点に特徴を有している。特に、蒸気温熱具は、背景技術の項で述べた、水蒸気を目に適用する治療具との対比において、水蒸気発生の持続時間が長い点において特徴付けられる。以下の説明においては、体表に適用される水蒸気を伴う熱を湿熱という。また湿熱との対比で、体表に適用される水蒸気を伴わない熱、例えば市販の使い捨てカイロから発生する熱を乾熱という。
本発明における発熱部は化学エネルギーを利用したものである。本発明において利用し得る化学エネルギーとしては、被酸化性金属の酸化反応により生じる酸化熱、酸とアルカリの中和熱、無機塩類(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ゼオライト等)の水和熱などが挙げられる。特に、被酸化性金属の酸化反応を利用した発熱部が好適に用いられる。被酸化性金属の酸化反応を利用した発熱部は、疑似固体であり、発熱部の厚みを均一に保持する等の取り扱い性が良好であることや、発熱量が比較的大きいこと、携帯やコンパクト化が容易だからである。被酸化性金属の酸化反応を利用した発熱部は、被酸化性金属、保水材、水、電解質及び反応促進剤を含んでいることが好ましい。
前記の特許文献1及び2に記載されている視力改善治療具やマイボーム腺機能改善治療具においては、発熱温度は、通気シートの通気量又は透湿度でコントロールしていた。しかし、温度の立ち上がり方は、通気シートの通気量や透湿度のコントロールよりも、発熱部の発熱特性に起因するところが大きいことが本発明者らの検討の結果判明した。そこで本発明においては、蒸気温熱具の発熱部の発熱特性を以下のようにした。具体的には、本発明の蒸気温熱具の発熱部は、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が発熱開始から0.5〜25分で最大となるような水蒸気の発生能を有している。このような水蒸気の発生能を有する発熱部を備えた蒸気温熱具を体表に適用することで、後述する実施例において例証されるように、使用者にリラックス感を実感させることができる。副交感神経を優位にするためには、高温によって血管収縮を起こさせる熱刺激受容体を刺激させない程度の温度に蒸気温熱具を設定する必要があるので、水蒸気発生が遅いと温熱効果を感じる迄に長時間かかり、満足度を実感させることが困難である。
発熱部の単位時間当たりの水蒸気の蒸散量は、蒸気温熱具からの水蒸気の発生のしやすさの指標となるものである。ここで発熱部とは、粉体の混合物や、抄造シートなどの成形シートの形態のものを包含する。単位時間当たりの水蒸気の蒸散量は次の方法で測定される。蒸気温熱具から発熱部を取り出す。発熱部を発熱温度測定器(JIS S 4100)に載せる。20℃±2℃、50±10%RHの条件下で発熱を開始させる。発熱によって水蒸気が発生し、それによって蒸気温熱具は時間の経過と共にその重量が減少する。発熱開始時の蒸気温熱具の重量から、所定時間経過後の重量を差し引いた値が、それまでに発生した水蒸気の量(積算量)に相当する。このようにして、水蒸気の量(積算量)と時間との関係を表す曲線が得られる。この曲線を時間で微分して得られた曲線が発熱部の単位時間当たりの水蒸気の蒸散量を表す。その一例を図1に示す。重量測定は電子天秤で測定する。
本発明の蒸気温熱具の発熱部においては、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量は、発熱開始から所定の時間経過後に最大となる。本発明者らの検討の結果、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が最大となる時間が0.5〜25分の範囲内にあると、同温度で水蒸気発生量の少ない一般の使い捨てカイロで同じ部位を温めた場合に比べて(即ち乾熱で温めた場合に比べて)、全身の血行が促進され、末梢温度が上昇することが判明した。また加温をやめた後も数十分に亘り温度の上昇が持続することが判明した。その結果、使用者にリラックス感を与え得ることが判明した。この理由を本発明者らが検討したところ、湿熱は熱伝導性が高く、適用部位の皮膚表面温度のみならず、人体の深部の温度を高め得ることが判明した。人体の深部の温度が高くなることで、温熱中枢が刺激され、それによって自律神経が副交感神経優位となると推定される。単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が最大となる時間が0.5分以内の発熱部を用いた蒸気温熱具では、被酸化性金属の反応性が高く、人体に適用するには現実的でない。一方単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が最大となる時間が25分を超える発熱部を用いた蒸気温熱具を人体に適用すると、温まらない、ぬるいという感覚を使用者に与えがちとなる。
例えば、後述する実施例により例証されるように、蒸気温熱具を人体の腰部や腹部に適用することにより、同条件の乾熱を適用する場合に比較して、縮瞳率、心電図R−R間隔変動解析値、総ヘモグロビン量等の評価に関して有意差が生じる。これらの評価は、自律神経が副交感神経優位か交感神経優位かを判定する指標として生理学の分野で広く認知されているものである。乾熱を利用した温熱療法は以前から行われていたものであるが、湿熱を利用し、しかも、先に述べた副交感優位手段を有する蒸気温熱具によって湿熱を供給することで、使用者にリラックス感を与え得ることは、本発明者らが見出したものである。
蒸気温熱具の発熱部における単位時間当たりの水蒸気の蒸散量は、具体的な発熱部の種類に応じて適宜コントロールされる。例えば発熱部が、被酸化性金属の酸化反応を利用している場合には、発熱部で反応させる反応物の量、反応物が粒体である場合にはその粒径、反応物の供給量等を適宜変えることにより反応速度を調整し、これらにより水蒸気の蒸散量をコントロールする。
本発明者らの検討の結果、発熱部における保水材と水の比率が、水蒸気の蒸散量に大きく影響することが判明した。発熱部に水を多量に含有させると水蒸気の蒸散量は高くなる傾向にある。しかし、水を過度に多量に含有させると、発熱部が過度に湿潤した状態になり、発熱が阻害されて、逆に水蒸気が発生しづらくなる。そこで本発明においては、発熱部に水を多量に含有させることに加えて、保水材も含有させ、多量に加えた水を保水材によって保持させ、発熱部自体が過度に湿潤した状態になることを防止している。その結果、発熱が阻害されることなく、水蒸気の蒸散量を高くすることができる。本発明者らの検討によれば、発熱部における保水材の合計量/水の重量比が好ましくは0.26〜0.60、更に好ましくは0.30〜0.50、一層好ましくは0.30〜0.45であると、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が最大となる時間が、容易に前記範囲内となることが判明した。
水蒸気の蒸散量は、発熱部における被酸化性金属と反応促進剤との重量比にも影響されることが判明した。詳細には、被酸化性金属/反応促進剤の重量比が好ましくは2〜25、更に3〜20、一層好ましくは3〜12であることによって、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が最大となる時間が、容易に前記範囲内となる。この理由は、反応促進剤が被酸化性金属のまわりに付着して、局部的に電池が形成され、酸化反応が促進されると考えられると考えられるからである。また被酸化性金属/反応促進剤の重量比が前記範囲内であれば、発熱の持続時間が十分に長くなり、また発熱の立ち上がりが適度に早くなる。
本発明の蒸気温熱具の発熱部においては、前述の水蒸気の単位時間当たりの蒸散量に加えて、発熱開始から30分迄の間の水蒸気の積算蒸散量が発熱部1gあたり、好ましくは0.1〜0.5g、更に好ましくは0.1〜0.3gとなっている。積算蒸散量がこの範囲であることによって、使用者の自律神経を副交感神経優位にするという効果が奏される。積算蒸散量の測定方法は、前述の単位時間当たりの蒸散量の測定方法と同様である。また積算蒸散量を前記の範囲内にするための手法も、単位時間当たりの蒸散量と同様である。
次に、本発明の蒸気温熱具の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図2には本発明の蒸気温熱具の一実施形態が示されている。図3は図2におけるIII−III線断面図である。図3に示す蒸気温熱具1は扁平な矩形状であり、発熱部2及び発熱部2を収容する収容体3を備えている。収容体3は扁平な袋状のものであり、複数のシート材の周縁を貼り合わせて、内部が空洞の袋状となされている。収容体3は少なくともその一部が透湿性を有する通気性部位となっている。
発熱部2は、空気との接触により発熱可能なものである。この目的のために、発熱部2は被酸化性金属、保水材、水、電解質及び反応促進剤を含んでいる。発熱部2が空気と接触すると、それに含まれている被酸化性金属の酸化反応が起こり、熱が発生する。この熱によって発熱部2に含まれている水が加熱されて所定温度の水蒸気となり、収容体3を通じて外部へ放出される。水蒸気は、収容体3のうち通気性部位から外部へ放出される。
発熱部2は種々の形態をとり得る。例えばシート状や粉体の形態をとり得る。発熱部2をどのような形態にするかは、蒸気温熱具1の具体的な用途に応じて適宜決定すればよい。例えば、蒸気温熱具1の使用中における被酸化性金属の偏りが懸念されるような用途の場合には、粉体よりもシート状の発熱部2を用いることが好ましい。
発熱部2に含まれる被酸化性金属としては、被酸化性金属としては例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム等の粉末や繊維が挙げられる。これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コストの点から鉄粉が好ましく用いられる。被酸化性金属が粉末である場合その粒径は0.1〜300μmであることが、繊維状物等の保水材への定着性、反応のコントロールが良好なことから好ましい。同様の理由により、粒径が0.1〜150μmものを50重量%以上含有するものを用いることも好ましい。
保水材としては、水の保持が可能なものであればその種類に特に制限はない。保水材は、発熱部2の形態に応じて適切なものが用いられる。例えば発熱部2がシート状である場合には、保水材として繊維状物を用いることが好ましい。この理由は、繊維状物が保水材としての機能と、発熱部2がシート形態を維持する機能とを兼ね備えるからである。その結果、被酸化性金属の偏りが起こりにくくなり、発熱部2はその発熱温度分布が均一になる。一方、発熱部2が粉体からなる場合には、保水材として高吸収性ポリマー、バーミキュライト、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、シリカ系多孔質物質、アルミナ、木粉などを用いることが好ましい。
シート形態を維持する機能を兼ね備える保水材として繊維状物を用いる場合、該繊維状物としては、天然又は合成の繊維状物を特に制限無く用いることができる。天然繊維状物としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等の植物繊維が挙げられる。また羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等の動物繊維が挙げられる。更に、石綿等の鉱物繊維が挙げられる。一方、合成繊維状物としては、例えばレーヨン、ビスコースレーヨン、キュプラ、ビスコースレーヨン、キュプラ、アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等の半合成繊維が挙げられる。またナイロン、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、アクリル、ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等の合成高分子繊維が挙げられる。更に金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等を用いることもできる。これらの繊維は単独でまたは混合して用いることもできる。これらの中でも、被酸化性金属や反応促進剤との定着性、発熱部2の柔軟性、酸素透過性、シート形態の維持機能、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットン、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、木材パルプ、コットンは、鉄粉等の固体物を担持、固定化する機能を有している。
反応促進剤としては、被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能を有しているものを用いることが好ましい。例えば活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ等が挙げられる。これらの中でも酸素供給能や触媒能に加えて保水能を有する点から活性炭が好ましく用いられる。反応促進剤の粒径は0.1〜500μmであることが、被酸化性金属と効果的に接触し得る点から好ましい。同様の理由により、0.1〜200μmのものを50重量%以上含有するものを用いることも好ましい。
電解質としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点からアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の塩化物が好ましく用いられ、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄が好ましく用いられる。
発熱部2は、それに含まれる水の量が、一般の使い捨てカイロにおける発熱材料に含まれる水の量に比較して非常に多いという点において、該発熱材料と際立った相違を有する。具体的には、発熱部2に含まれる水の量は、発熱部2の重量から水と電解質の重量を除いた発熱部2の重量に対して、好ましくは30〜60重量%、更に好ましくは32〜45重量%という高いレベルになっている。発熱部2に含まれる水の量が高いレベルにある理由は、発熱開始から所定の時間内に十分な量の水蒸気を発生させるためである。一般の使い捨てカイロは、乾熱の供給を目的としており、水蒸気の発生、即ち湿熱の供給を目的としていないので、水の量が低レベルになっている。
発熱部2における保水材/水の重量比、及び被酸化性金属/反応促進剤の重量比は先に述べた通りであり、これらの材料それぞれの配合割合は次の通りであることが、十分な発熱温度を確保して十分な量の水蒸気を発生させる観点から好ましい。保水材の配合割合は、発熱部2の重量に対して好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは6〜15重量%である。被酸化性金属の配合割合は、好ましくは40〜60重量%、更に好ましくは50〜56重量%である。反応促進剤の配合割合は、1〜10重量%、更に好ましくは2〜6重量%である。
発熱部2には、必要に応じ凝集剤、サイズ剤、着色剤、紙力増強剤、歩留向上剤、填料、増粘剤、pHコントロール剤、嵩高剤等、抄紙の際に通常用いられる添加物を特に制限無く添加することもできる。
発熱部2の製造方法は、その形態に応じて適切な方法が採用される。発熱部2が例えばシート状である場合には、例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法や、ダイコーターを用いたエクストルージョン法を用いることができる。この場合には、先ず被酸化性金属、保水材及び反応促進剤を含む成形シートを湿紙抄造法によって形成し、この成形シートに電解質水溶液を添加することでシート状の発熱部2が得られる。得られたシート状の発熱部2は1枚で用いてもよく、或いは複数枚を重ねて用いてもよい。或いは1枚の発熱部2を折り畳み、折り畳まれた複数枚の発熱部2を重ねて使用してもよい。
一方、発熱部2が粉体からなる場合には、構成材料を均一混合することで、粉体の発熱部2が得られる。特に、初めに高吸収性ポリマー等の保水材と被酸化性金属とを均一混合し、そこに電解質水溶液を添加して、保水材の表面に被酸化性金属を付着させ、然る後に残りの材料である反応促進剤等を添加することが好ましい。発熱部2をこのように調製することで、酸化反応の立ち上がり時間が早くなり、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が最大となる時間が、容易に前記範囲内となる。
発熱部2における単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が最大となる状態おいては、該蒸散量は、被酸化性金属1g当たり0.01〜0.1g/分、特に0.02〜0.07g/分であることが、使用者に十分な量の湿熱を付与して、自律神経を副交感神経優位とする点から好ましい。蒸散量をこの範囲内とするためには、被酸化性金属、水、保水材等の配合割合等を前述の範囲内とすればよい。
蒸気温熱具1は、先に述べた水蒸気の蒸散量を有することに加えて、水蒸気発生の持続時間が長いことによっても特徴付けられる。水蒸気発生の持続時間は、収容体3の透湿度(JIS Z0208、40℃、90%RH、以下透湿度というときにはこの方法で測定された値をいう)によって制御することが好ましい。本実施形態においては、収容体3のうち、通気性を有する部分の透湿度を150〜2000g/(m2・24hr)に設定し、好ましくは400〜1000g/(m2・24hr)に設定する。透湿度をこの範囲に制御することと、発熱部2に含まれる水の量を先に述べた範囲とすることで、長時間にわたり水蒸気を安定に発生させることができる。その結果、蒸気温熱具1は、水蒸気発生の持続時間が好ましくは3〜10時間、更に好ましくは5〜8時間という長時間になる。また蒸気温熱具1は、これを体表に当接させた状態下で3〜10時間、特に5〜8時間にわたり、体表温度を38℃以上42℃未満、特に38℃以上41℃未満に維持し得る発熱能と水蒸気の発生能を有していることが好ましい。収容体3のうち通気性を有する部分の透湿度をこの範囲とすることで、該部分に、蒸気温熱具の発熱部への空気の供給量を主として制御する機能が付与される。ここで言う制御とは、発熱部への空気の供給量を適切な範囲に制限するという意味での制御である。この制御によって、長時間にわたって安定した水蒸気の発生が可能になる。
体表温度の測定は、以下の方法にて行う。測定環境は、20℃40%RHとした。この環境下に、後述する図4(a)及び(b)に示す保持具に保持させた蒸気温熱具を被験者に装着した。被験者は、腋下体温が35〜37℃で、腰部表面温度が31〜35℃である健常者とした。保持具の締め付け張力は4〜6Nとした。更に被験者に測定機器を装着し30分間安静にさせた。測定環境が一定となるように、被験者に、clo値が0.3〜1.5の着衣をつけて測定した。clo値は、着衣の断熱・保温性を示す指標である。ASHRAE(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers)では、「湿度50%RH、風速10cm/s、気温21.2℃の大気中で、椅子に腰掛けて安静にしている標準男子被服者が、平均皮膚温33℃の快適な状態を継続できるのに必要な被服の熱絶縁値を1cloという」と定義している。1cloは0.18℃m2h/kcal(=0.155℃m2/W)である。
体表温度は、被験者の身体(例えば腰部)に装着した蒸気温熱具における発熱体直下の位置および発熱部の縁部から外側2cmの位置で測定する。発熱体直下の体表温度の測定には、体温モニター(コアテンプCM−210:テルモ株式会社製、体表温度プローブ:PDK161)を用いる。発熱体外側2cmの体表温度は、LTST08−12(グラム社製のサーミスター式の表面温度測定器)を用いて測定する。
前記と同様の理由により、収容体3のうち、通気性を有する部分の通気度(JIS P8117、以下通気度というときにはこの方法で測定された値をいう)が8000〜15000s/100cm3であることが好ましく、9000〜12000s/100cm3であることが更に好ましい。収容体3のうち通気性を有する部分の通気度をこの範囲とすることで、該部分に、蒸気温熱具の発熱部への空気の供給量を主として制御する機能が付与される。ここで言う制御とは、発熱部への空気の供給量を適切な範囲に制限するという意味での制御である。この制御によって、長時間にわたって安定した水蒸気の発生が可能になる。
なお、以下に述べるように、収容体3のうち、通気性を有する部分は、透湿性フィルム3aと不織布3cからなる。これらの材料のうち、透湿性フィルム3aは、不織布3cに比較して透湿度の値が小さく、且つ通気度の値が大きいので、上述の透湿度および通気度は主として透湿性フィルム3aによって決定される。なお、ここで通気度の値が大きいということは、空気がより通りにくい事を表している。
図2及び図3に示すように、蒸気温熱具1においては、収容体3は、透湿性フィルム3aと難透湿性フィルム3bとの周縁が互いに接合されて扁平な袋状に形成されている。つまり透湿性フィルム3aと難透湿性フィルム3bは、収容体の一部を構成している。収容体3においては、収容体3の一方の側が透湿性フィルム3aを有しており、他方の側が難透湿性フィルム3bを有している。透湿性フィルム3aは、発熱シート2から発生した水蒸気を通過させる。しかし難透湿性フィルム3bは水蒸気を通過させにくい。つまり水蒸気は収容体3の一方の側、即ち透湿性フィルム3aの側からのみ外部へ放出される。透湿性フィルム3aの透湿度及び通気度は、前述した範囲となっている。これによって蒸気温熱具1はその水蒸気発生能が所望のものとなる。
このように、本実施形態の蒸気温熱具1においては、水蒸気は収容体3の主として一方の側から、即ち透湿性フィルム3aの側から放出される。これと共に、空気は、収容体3の主として一方の側から、即ち透湿性フィルム3aの側から供給される。その結果、本実施形態の蒸気温熱具1は、その周縁部から中心部に向かって空気が供給される。従って本実施形態の蒸気温熱具1は、その周縁部から中心部に向かって発熱が進行する。このような構成になっていることによって、本実施形態の蒸気温熱具1は、長時間にわたって安定した水蒸気の発生が可能になっている。
透湿性フィルム3aとしては、水蒸気は透過させるが水は透過させにくいフィルムが用いられる。そのようなフィルムとしては、例えば微細孔を有するポリオレフィン系フィルムなどが挙げられる。なお前述した通り水蒸気は透湿性フィルム3aを通じて外部へ放出されることから、本実施形態の蒸気温熱具1は、透湿性フィルム3aの側が人体と対向するように装着される。そこで装着感を高める観点から、図2及び図3に示すように、透湿性フィルム3aの外面には風合いの良好なシート材料であるエアスルー不織布等の不織布3cが配されていてもよい。この不織布3cも収容体の一部を構成している。不織布3cは、水蒸気の通過を阻害しない程度の通気性がある。且つ、不織不が濡れることに起因して、(1)水蒸気の通過を阻害しないようにする点と、(2)空気の流入を阻害しないようにする点で、不織布3cが撥水性を有することが好ましい。
先に述べた通り、本実施形態の蒸気温熱具1は、発熱部2と体表との間にシートを介在させて、該蒸気温熱具1を体表に当接させた状態下に水蒸気を供給する。本実施形態において、このシートに相当する部材は、透湿性フィルム3a及び不織布3cである。これらの部材は、蒸気温熱具1の発熱部2に空気の供給量を制御する機能と、蒸気温熱具1で発生した熱を体表に伝達する機能を有している。本実施形態においては、透湿性フィルム3a及び不織布3cの総厚みを0.05〜1.5mmとすることが、空気の安定供給及び熱の皮膚(体表)への効率的な伝播の点から好ましい。特に、透湿性フィルム3a及び不織布3cの総厚みをこの範囲とすることで、これら透湿性フィルム3a及び不織布3cに、主として、蒸気温熱温具の熱を体表に伝達する機能が付与される。総厚みがこの範囲内に入ることを条件として、透湿性フィルム3aの厚みは0.01〜0.1mmであることが好ましく、不織布3cの厚みは0.03〜0.5mmであることが好ましい。厚みはJIS L1906及び/またはJIS L1096に準じ、荷重によって変形しやすい試料は荷重2kPa下で測定され、荷重によって変形しにくい試料は10kPa下で測定される。
一方、難透湿性フィルム3bとしては、水蒸気も水も透過させにくいフィルム、例えば微細孔を有しないポリオレフィン系フィルムやポリエステル系フィルムなどが用いられる。なお図3に示すように、難透湿フィルム3bの外面には、蒸気温熱具1の風合いを向上させる目的で、エアスルー不織布等の不織布3dがラミネートされていてもよい。
以上の説明から明らかなように、収容体3のうち、外方を向く面を構成するシートは、その透湿度の値が、蒸気温熱具の発熱部と体表との間に介在させるシートよりも小さいか、またその通気度の値が、蒸気温熱具の発熱部と体表との間に介在させるシートよりも大きいものである。外方を向く面を構成するシートの透湿度及び通気度とは、本実施形態においては難透湿性フィルム3bと不織布3dの全体の透湿度及び通気度のことである。蒸気温熱具の発熱部と体表との間に介在させるシートの透湿度及び通気度とは、本実施形態においては透湿性フィルム3aと不織布3cの全体の透湿度及び通気度のことである。
蒸気温熱具1は、更に水蒸気の積算放出量が多いことによっても特徴付けられる。詳細には、発熱開始から3時間経過するまでの水蒸気の積算放出量が好ましくは0.5〜12mg/(3hr・cm2 )、更に好ましくは4〜9mg/(3hr・cm2)である。水蒸気の積算放出量をこのような高レベルにするためには、発熱部2に含まれる水の量を、先に述べた範囲とすればよい。水蒸気の積算放出量とは、蒸気温熱具1の発熱部2に酸化反応を生じさせてから3時間経過するまでに放出された水蒸気の総量をいう。水蒸気の積算放出量は次の方法で測定される。温度20℃、湿度40%RHとした容積54000cm3(縦30cmx横50cmx奥行き36cm)の密閉系内に、その内部に水蒸気が蒸散可能なように蒸気温熱具1を静置して酸化反応を生じさせる。そして、前記密閉系内の空気の湿度を湿度計で測定し、酸化反応開始後に発生する水蒸気量を求める。そして3時間経過するまでの積算値を積算放出量とする。
発熱部2は収容体3内に収納されて蒸気温熱具1となされる。蒸気温熱具1は酸素バリア性の材料からなる包装袋内に密封されて、最終製品である蒸気温熱具入り包装袋となされることが好ましい。蒸気温熱具1の使用に際しては、包装袋から該蒸気温熱具1を取り出すことで、該蒸気温熱具1に含まれる被酸化性金属が空気中の酸素と反応し、発熱が始まると共に水蒸気が発生する。酸素バリア性の材料としては、例えばその酸素透過係数(ASTM D3985)が10cm3・mm/(m2・day・MPa)以下、特に2cm3・mm/(m2・day・MPa)以下であるようなものが好ましい。また、その酸素透過率(JIS K7126B、20℃、0%RH)が10cc/(m2・24h・atm)以下であるようなものが好ましい。具体的にはエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアクリロニトリル等が挙げられる。
蒸気温熱具1を包装する包装袋には、該蒸気温熱具1が、人体をリラックスさせるために用いられるものである旨の表示が付されていることが好ましい。例えば、腰部や腹部に蒸気温熱具1を適用することにより温感を伴う心地よいリラックス感が生じる旨の表示を付すことができる。これによって、消費者に対して、従来知られていた一般の使い捨てカイロでは生じ得なかったリラックス感の付与効果が、本発明によって達成されることを知らせることができる。従って消費者は、本発明の改良された性能の十分な価値を容易に認識することになる。前記の表示には、文字はもちろんのこと、記号や図形等、本発明の改良された性能を消費者に伝え得るあらゆる情報手段が含まれる。また前記の表示には、本発明が、他の製品に比して優れている旨の情報を含めることができる。更に、前記の表示を包装袋に付すことに加えて、又はそれに代えて、当該表示を含む指示書を、蒸気温熱具1と共に包装袋の中に入れてもよい。或いは、蒸気温熱具1そのものに、当該表示を付してもよい。
本実施形態の蒸気温熱具1は、これを例えば図4(a)及び(b)に示すようなベルト状の保持具10に保持させ、該保持具10を人体に固定することによって、該蒸気温熱具1を人体の腰部や腹部に適用することができる。また、別の形態の保持具を用いることにより、腕部や脚部、肩部に適用することもできる。このような使用形態の場合には、蒸気温熱具1における発熱部2と体表との間に介在するシートは、先に述べた透湿性フィルム3a及び不織布3c、並びに保持具10に備えられている蒸気温熱具1の保持シート(図示せず)である。従って、これらの部材の総厚みを0.05〜1.5mmとすることが、先に述べた理由により好ましい。総厚みがこの範囲内に入ることを条件として、保持具10に備えられている蒸気温熱具1の保持シート(図示せず)の厚みは1.4mm以下であることが好ましい。
蒸気温熱具1を人体に装着させるための別法として、蒸気温熱具1を体表へ直接接触させることもできる。その場合には、図5に示すように、蒸気温熱具1における難透湿性フィルム3bの側の表面に粘着剤Nを塗布しておき、該蒸気温熱具1を保持具10の肌対向面に粘着させる。そして蒸気温熱具1が粘着した保持具10を身体に巻き付け固定する。或いは、保持具10に粘着させることに代えて、蒸気温熱具1における粘着剤Nを使用者の下着に粘着させてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
(1)粉体の発熱部の調製
鉄粉(同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」)と、高吸収性ポリマーと、バーミキュライトとを均一に混合し、次いで4.5%塩化ナトリウム水溶液を添加して更に均一に混合した。更に活性炭(日本エンバイロケミカル(株)製、商品名「カルボラフィン」)を添加し均一に混合し、粉体の発熱部を得た。組成は次の通りである。保水材/水の重量比は0.44、被酸化性金属/反応促進剤の重量比は20であった。
・鉄粉 41%
・高吸収性ポリマー 10%
・バーミキュライト 7%
・活性炭 2%
・塩化ナトリウム 1.8%
・水 38.2%
(2)蒸気温熱具の作製
炭酸カルシウムを含有するポリエチレン製の透湿性フィルム(透湿度800〜1200g/(m2・24hr)、通気度10000±2000s/100cm3、厚み0.05mm)、線状低密度ポリエチレン製の難透湿性フィルム及びエアスルー不織布(厚み0.13mm)を用いて図2及び図3に示す袋状の収容体を作製した。この中に粉体の発熱部を収容して、図2及び図3に示す蒸気温熱具を得た。水蒸気放出面側のシートの厚みの合計は0.18mmであった。
(3)対照
実施例1の蒸気温熱具の対照として、水蒸気の発生がほとんどない乾熱のカイロを作製した。カイロは、発熱温度が実施例1の蒸気温熱具と同様になるように設計した。具体的には以下の成分を混合して発熱部を得た。保水材/水の重量比は1.75、被酸化性金属/反応促進剤の重量比は5であった。
・鉄粉 55%
・高吸収性ポリマー 1%
・バーミキュライト 20%
・活性炭 11%
・塩化ナトリウム 1%
・水 12%
炭酸カルシウムを含有するポリエチレン製の透湿性フィルム(透湿度1000g/(m2・24hr)、通気度10000s/100cm3)、線状低密度ポリエチレン製の難透湿性フィルム及びエアスルー不織布を用いて図2及び図3に示す袋状の収容体を作製した。この中に粉体の発熱部を収容して、図2及び図3に示す蒸気温熱具を得た。
(4)評価
得られた蒸気温熱具の発熱部における単位時間当たりの水蒸気の蒸散量及び発熱開始から30分迄の積算蒸散量を、先に述べた方法で測定した。その結果、実施例1においては発熱開始から3.5分後に蒸散量は最大となった。そのときの蒸散量は、鉄粉1g当たり0.055g/分であった。積算蒸散量は発熱部1g当たり0.2gであった。蒸気温熱具は、5時間にわたって水蒸気が発生して、体表の温度が39℃に維持されていた。また、蒸気温熱具のリラックス感付与効果を、乾熱のカイロを対照に用い以下の方法で検証した。図4(a)及び(b)に示す保持具10に蒸気温熱具を保持させ、同図に示すように被験者の腹部に適用した。このとき、蒸気温熱具の水蒸気放出面側が被験者の腹部に対向するように該蒸気温熱具を適用させた。乾熱のカイロについても同様とした。保持具10における蒸気温熱具の保持シートの厚みは0.8mmであった。被験者は、冷え性の成人女性5人とした。評価項目は、以下の(A)ないし(C)とした。先に述べた通り、これらの評価項目は、自律神経が副交感神経優位か交感神経優位かを判定する指標として生理学の分野で広く認知されているものである。各評価とも、被験者を30分間馴化させた後、蒸気温熱具及びカイロをそれぞれ60分間装着させ、次いで脱着させた。以下の表1に示す数値は、馴化時を基準とした相対表示(%)となっている。また、表1に示す数値は、平均値±標準誤差で表示されている。
(A)光刺激前の瞳孔直径D1、光刺激後の瞳孔直径の変化量D2、縮瞳率CR
光刺激前の瞳孔直径D1(mm)はその値が小さいほど副交感神経優位であることを示す。光刺激後の瞳孔直径の変化量D2(mm)はその値が大きいほど副交感神経優位であることを示す。縮瞳率CRはD2/D1から算出され、その値が大きいほど副交感神経優位であることを示す。
(B)心電図R−R間隔変動解析
心臓の心室が収縮するピークとピークとの間の時間を周波数解析したものである。周波数解析によってLFとHFの値が測定される。HFは副交感神経活動の指標となるものであり、その値が大きいほど副交感神経優位であることを示す。LF/HFは交感神経活動の指標となるものであり、その値が大きいほど交感神経優位であることを示す。
(C)総ヘモグロビン量
2波長(780nm及び830nm)の近赤外光を用いた近赤外分光法によって指先の総ヘモグロビン量を測定する。指先は、身体のなかで交感神経支配が高い部位である。総ヘモグロビン量が多いほど、交感神経支配が抑えられていることを示す。
Figure 0004785565
表1に示す結果から明らかなように、湿熱が発生する実施例1の蒸気温熱具によれば、乾熱のカイロに比較して、どの評価項目においても副交感神経優位となっていることが判る。特に注目すべきは、蒸気温熱具の脱着後においても副交感神経優位が持続していることである。この理由は、湿熱により人体の深部温度が上昇し、それによって脱着後においても血流の促進が維持されているからであると考えられる。
〔実施例2〕
(1)シート状の発熱部の調製
鉄粉(同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」)、活性炭(日本エンバイロケミカル(株)製、商品名「カルボラフィン」)及びパルプ繊維(NBKP、製造者:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名「Mackenzie」)を含む固形分濃度0.3重量%のスラリーを用い、傾斜型短網抄紙機によって、ライン速度15m/分にて抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。成形シートをフェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま140℃の加熱ロール間に通し乾燥した。成形シートの組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄粉75%、活性炭10%、パルプ15%であった。シートの坪量は180g/m2であった。
得られた成形シートを80mm×100mmに切り取り、6枚を重ね合わせ、成形シート100重量部に対し60重量部の5%塩化ナトリウム水溶液を注入した。これによってシート状の発熱部を得た。保水材/水の重量比は0.44、被酸化性金属/反応促進剤の重量比は7.5であった。
(2)蒸気温熱具の作製
得られたシート状の発熱部を、実施例1と同様の収容体に収容して図2及び図3に示す蒸気温熱具を作製した。
(3)対照
実施例1と同様のものを用いた。
(4)評価
実施例1と同様とした。蒸気温熱具の発熱部における単位時間当たりの水蒸気の蒸散量は、発熱開始から10〜12分後に最大となった。そのときの蒸散量は、鉄粉1g当たり0.052g/分であった。尚、発熱開始から30分後の積算蒸散量は発熱シート1g当たり0.1〜0.4gであった。蒸気温熱具は、5時間にわたって水蒸気が発生して、体表の温度が39℃に維持されていた。また、評価項目は、前記の(A)ないし(C)に、以下の(D)も追加した。また、被験者は健常成人男性5人とした。
(D)胃電図
胃の動き及び腸の動きを測定した。胃の動きは3cpm(1分間に3回の動き)、腸の動きは6cpm(1分間に6回の動き)のものとした。値が大きいほど副交感神経優位であることを示す。
Figure 0004785565
表2に示す結果から明らかなように、湿熱が発生する実施例2の蒸気温熱具によれば、実施例1の蒸気温熱具と同様に、乾熱のカイロに比較して、どの評価項目においても副交感神経優位となっており、また蒸気温熱具の脱着後においても副交感神経優位が持続していることが判る。
図1は、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量の時間経過を示すグラフである。 図2は、本発明の蒸気温熱具の一実施形態を示す斜視図である。 図3は、図1におけるIII−III線断面図である。 図4(a)は、図2に示す蒸気温熱具を腰部に適用した状態を示す図であり、図4(b)は腹部に適用した状態を示す図である。 図5は、本発明の蒸気温熱具の他の実施形態を示す断面図(図3相当図)である。
符号の説明
1 蒸気温熱具
2 発熱部
3 収容体
10 保持具

Claims (7)

  1. 化学エネルギーを利用した発熱部を有し、該発熱部と体表との間にシートを介在させて体表に当接させた状態下に該発熱部から発生する水蒸気を供給するようになされている蒸気温熱具であって、
    前記シートは150〜2000g/(m2・24hr)の透湿度(JIS Z0208、40℃、90%RH)を有する通気性部位を少なくとも備え、
    前記蒸気温熱具の発熱部は、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が発熱開始から0.5〜25分で最大となる水蒸気発生能を有し、且つ、発熱開始から30分迄の間の水蒸気の積算蒸散量が発熱部1g当たり、0.1〜0.5gの範囲となる水蒸気発生能を有し、
    前記蒸気温熱具の発熱部が、被酸化性金属の酸化反応を利用したものであり、該発熱部は、前記通気性部位を備えた収容体内に収容されており、該発熱部は、被酸化性金属、保水材、水、電解質及び反応促進剤を含み、保水材/水の重量比が0.30〜0.45であり、
    前記発熱部と体表との間に介在させるシートは、該発熱部に空気の供給量を制御する機能と、蒸気温熱具の熱を体表に伝達する機能を有し、該シートの総厚みが0.05〜1.5mmであり、腰部、腹部、頸部、肩部又は各所の関節に適用するものである蒸気温熱具。
  2. 前記収容体における前記通気性部位の通気度(JIS P8117)が8000〜15000s/cm 3 である請求項1記載の蒸気温熱具。
  3. 体表に当接させた状態下で3〜10時間にわたり、体表温度を38℃以上42℃未満に維持し得る発熱能と水蒸気の発生能を有している請求項1又は2記載の蒸気温熱具。
  4. 被酸化性金属/反応促進剤の重量比が2〜25である請求項3記載の蒸気温熱具。
  5. 発熱部が、抄造により形成されたシートからなる請求項3又は4記載の蒸気温熱具。
  6. 発熱部が、粉体からなる請求項3又は4記載の蒸気温熱具。
  7. 前記発熱部と体表との間に介在させる前記シートを、体表に直接当接させて用いるものである請求項1ないし6のいずれか一項に記載の蒸気温熱具。
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