JP7229049B2 - 温熱具 - Google Patents
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Description
また、このような構成を採用することにより、温熱具が使用者に適合しやすく、また、違和感を受け難い温熱具を提供できることが示されている。
使用者の鼻と口とを覆うマスクの内側に配される温熱具であって、
前記温熱具は、前記温熱具の長手方向に並んで配置される一対の水蒸気発生体を備え、該一対の水蒸気発生体は外装体に収容されており、
前記水蒸気発生体は、前記使用者側に位置する第1シート、及び前記使用者側とは反対側に位置する第2シートからなる袋体を備え、
前記第1シートの透気度が10,000秒/100ml以下であり、
前記第2シートの透気度が、前記第1シートの透気度よりも高く、
前記外装体が、前記マスクの内側に向かう凸部を形成する凸部形成部を有する、温熱具である。
使用者の鼻と口とを覆うマスクの内側に配される温熱具であって、
前記温熱具は、前記温熱具の長手方向に並んで配置される一対の水蒸気発生体を備え、該一対の水蒸気発生体は外装体に収容されており、
前記水蒸気発生体は、前記使用者側に位置する第1シート、及び前記使用者側とは反対側に位置する第2シートからなる袋体を備え、
前記第1シートの透気度が8,000秒/100ml以下であり、
前記第2シートの透気度に対する、前記第1シートの透気度が35%以下であり、
前記外装体が、前記マスクの内側に向かう凸部を形成する凸部形成部を有する、温熱具である。
透気度は、JIS P8117(2009年改訂版)によって測定される値であり、一定の圧力のもとで100mlの空気が6.42cm2の面積を透過する時間として定義される。したがって、透気度の数値が大きいことは空気の透過に時間がかかること、即ち透気性が低いことを意味している。逆に、透気度の数値が小さいことは透気性が高いことを意味している。このように、透気度の数値の大小と透気性の高低とは逆の関係を示す。透気度は、王研式透気度計で計測することができる。
なお、本明細書中において、この透気度が30000秒/100ml以上となるものを「難透気」、80000秒/100ml以上となるものを「非透気」であるものとして扱う。
図1(a)に示されるように、温熱具100は、その長手方向に並んで配置される一対の水蒸気発生体50を備えるものであり、また、一対の水蒸気発生体50を収容する外装体60を備えるものである。
ここで、水蒸気発生体50には、後述する水蒸気発生部40(図2参照)が収容されている。
さらに、外装体60には、一対の水蒸気発生体50を離隔する領域において、外装体60の端部から、外装体60の中央部に向かって延びるスリット70が設けられている。
また、後述するように、水蒸気発生体50は第1シート51と第2シート52で構成される袋体53を備えており、第1シート51及び第2シート52が特定の透気度の組み合わせとなるように設定されている。
以下、本実施形態の温熱具100に備えられる各構成について説明する。
水蒸気発生部40は、被酸化性金属と、吸水剤と、水とを含むものである。また、水蒸気発生部40は、その他、必要に応じて、電解質や反応促進剤等を含むこともできる。
このような水蒸気発生部40が空気と接触すると、それに含まれている被酸化性金属の酸化反応が起こり、熱が発生する。この熱によって水蒸気発生部40に含まれている水が加熱されて所定温度の水蒸気となり、水蒸気発生体50を通じて外部へ放出される。ここで、水蒸気は、水蒸気発生体50のうち透気性の高い部位から外部へ放出される。
さらに、塗工性を良好にする観点から、平均粒径が10μm以上200μm以下であることが好ましく、平均粒径が20μm以上150μm以下であることがより好ましい。
また、繊維状物等の保水材への定着性、反応のコントロールを良好にする観点から、粒径が0.1~150μmのものを50質量%以上含有するものを用いることも好ましい。
なお、被酸化性金属の粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定することができるが、なかでもレーザー回折法により測定することが好ましい。
ここで、被酸化性金属の含有量は、JIS P8128に準じる灰分試験や、熱重量測定器で求めることができる。他に外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。なかでも、熱重量測定器で求めることが好ましい。
なお、吸水剤の平均粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定することができるが、なかでもレーザー回折法により測定することが好ましい。炭素成分は粉体状の形態のものを用いることが好ましいが、粉体状以外の形態のものを用いることもでき、例えば、繊維状の形態のものを用いることもできる。
天然の繊維状物としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等の植物繊維が挙げられる。また羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルパカ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等の動物繊維が挙げられる。更に、石綿等の鉱物繊維が挙げられる。
一方、合成の繊維状物としては、例えばレーヨン、ビスコースレーヨン、キュプラ、アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等の半合成繊維が挙げられる。またナイロン、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンに加え、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等の合成高分子繊維が挙げられる。更に金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等を用いることもできる。これらの繊維は単独でまたは混合して用いることもできる。これらの中でも、被酸化性金属や反応促進剤との定着性、水蒸気発生部40の柔軟性、酸素透過性、シート形態の維持機能、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットン、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、木材パルプ、コットンは、鉄粉等の固体物を担持、固定化する機能を有している。
同様の観点から、水蒸気発生部40の水分量は被酸化性金属100質量部に対し、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましい。また、水蒸気発生部40の水分量は被酸化性金属100質量部に対し、250質量部以下であることがより好ましく、200質量部以下であることがさらに好ましく、160質量部以下であることがことさらに好ましい。
水蒸気発生部40は、温熱具100に備えられる水蒸気発生体50に収容されるものであるが、この水蒸気発生体50は第1シート51と第2シート52により構成される袋体53によって、水蒸気発生部40を収容している。
より具体的には、水蒸気発生体50の使用者側の面に第1シート51が配され、水蒸気発生体50の使用者側とは反対側の面に第2シート52が設けられる。
すなわち、これらの第1シート51と第2シート52の周縁部を好ましくは密閉接合することで水蒸気発生体50が構成されている。第1シート51と第2シート52の周縁部以外の領域は非接合領域であり、非接合領域内に水蒸気発生部40が配置される。
以下、これらのシートについて詳述する。
第1シート51の透気度は、10,000秒/100ml以下である。これにより、適度な温感と、発熱体への空気の充分な流入を両立できるようになる。
また、第1シート51の透気度は、水蒸気発生体50から発生した水蒸気を使用者側に効果的に供給する観点からは、好ましくは8000秒/100ml以下であり、より好ましくは7000秒/100ml以下であり、さらに好ましくは5000秒/100ml以下である。さらに、充分な温感を高める観点からは、2500秒/100ml以下、1500秒/100ml以下、500秒/100ml以下、300秒/100ml以下、10秒/100ml以下、5秒/100ml以下の順により好ましい。
また、第1シート51は、上記の透気度を満足すれば特に限定されず、不織布等のシートを用いてもよく、また、その一部が透気性を有しない非透気性シートであってもよい。
また、第1シート51の透気度が8000秒/100ml以下のときは、第2シート52の透気度に対する、第1シート51の透気度が35%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、さらにより好ましくは5%以下である。ここで、第1シート51の透気度が高くなるほど、水蒸気発生体50から発生した水蒸気が第1シート51側からの水蒸気が放出されにくくなることが意図される。そこで、第2シート52の透気度に対する、第1シート51の透気度が35%以下とすることにより、第1シート51と、第2シート52の透気度との間にできるだけ差を設け、第1シート51側からの水蒸気を放出しやすくでき、良好な潤い感が得られる。
透気度は、ある程度低いほうが酸素を取り入れやすくなり、蒸気発生量が多くなり、潤い感が得られる。発熱体の空気の流入を向上させ、温感蒸気感及び持続性を高める観点から、第2シート52の透気度は、好ましくは12000秒/100ml以下であり、より好ましくは10000秒/100ml以下であり、さらに好ましくは80000秒/100ml以下である。
水蒸気発生部40が例えばシート状である場合には、例えば本出願人の先の出願にかかる特開2003-102761号公報に記載の湿式抄造法や、ダイコーターを用いたエクストルージョン法を用いることができる。この場合には、まず、被酸化性金属、吸水剤及び反応促進剤を含む成形シートを湿紙抄造法によって形成し、この成形シートに電解質水溶液を添加することでシート状の水蒸気発生部40が得られる。得られたシート状の水蒸気発生部40は1枚で用いてもよく、或いは複数枚を重ねて用いてもよい。或いは1枚の水蒸気発生部40を折り畳み、折り畳まれた複数枚の水蒸気発生部40を重ねて使用してもよい。
図2に示すように、水蒸気発生部40は、基材層40Bと保水シート40Cとの間に、水蒸気発生層40Aを有している。水蒸気発生層40Aと保水シート40Cは直接接触している。本実施形態においては、水蒸気発生体50を構成する第1シート51及び第2シート52からなる袋体内に水蒸気発生部40が備えられるものであるが、保水シート40C側に第1シート51、基材層40Bが第2シート52側に配置されることが好ましい。これにより、水蒸気発生部40からの蒸気を第1シート51から効率よく排出し、使用者に適用することができる。
なお、水蒸気発生層40Aは、保水シート40Cの一方の面に設けられてもよいし、保水シート40C及び基材層40Bに挟まれた形で設けられていてもよい。図2には、水蒸気発生層40Aが保水シート40Cと基材層40Bに挟まれた形で設けられている例が示されている。
なお、水分を含んだ状態(すなわち、水分量が当該保水シート40Cの最大吸水量の15質量%以上30質量%以下)の透気度下限値は、たとえば、1秒/100mlである。
吸水性ポリマーの粒子の形状としては、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状等が挙げられる。
また、吸水性ポリマーの粒子の粒径は、製造時の取り扱い易さの観点から、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。また、吸水性ポリマーの粒子の粒径は、吸水速度の観点から、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。
また、吸水性ポリマーの粒子の粒径は、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、10μm以上500μm以下であることがより好ましい。
なお、吸水性ポリマー粒子の粒径は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定することができるが、なかでもレーザー回折法により測定することが好ましい。
基材層40Bとしては、たとえば合成樹脂フィルムがあげられ、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
外装体60としては、通常は透気抵抗のない素材により構成される。たとえば、風合いの良いシート材料であるエアスルー不織布などの不織布により構成される。この場合、不織布は、水蒸気の通過を阻害しない程度の通気性を有していることが好ましい。またさらに、不織布が水蒸気により濡れることに起因して、水蒸気の通過を阻害せず、かつ、空気の流入を阻害しないよう、適度な撥水性を有することがより好ましい。
また、外装体60の長手方向の長さは20cm以下であることが好ましく、18cm以下であることがより好ましく、16cm以下であることがさらに好ましい。
外装体60の長手方向の長さをこの範囲に設定することで、使用者に温熱具100を適度にフィットさせつつ、発生する水蒸気を温熱具100から形成される空間に滞留させることができる。
また、外装体60の短手方向の長さは、10cm以下であることが好ましく、9.5cm以下であることがより好ましく、9cm以下であることがさらに好ましい。
外装体60の短手方向の長さをこの範囲に設定することで、温熱具100から発生する水蒸気を、使用者の鼻と口とに効果的に適用することができる。
また、外装体60の「長手方向の長さ」と「短手方向の長さ」は、各々の方向について、外装体60が取りうる長さの平均値として定義できる。
また、温熱具100において、スリット70は、外装体60における一対の水蒸気発生体50を離隔する領域において、外装体60の端部から、外装体60の中央部に向かって延在している。例えば、図1に示すように、スリット70は、外装体60の下端から、外装体の中央部に向かう直線状の切り込みであり、外装体の長手方向中央部に設けられている。スリット70は、温熱具100の使用時において、使用者の顔の凹凸に沿うように、温熱具100の形状を変形させる機能を有する。これにより、水蒸気発生体50が使用者の顔の一部に密着することを抑制し、使用者と温熱具100との間に適度な空間が設けられる。
また、スリット70の長さは、7cm以下であることが好ましく、6.5cm以下であることがより好ましく、6cm以下であることがさらに好ましい。
また、スリット70の長さは、温熱具100の強度を確保する観点から、外装体60の短手方向の長さの70%以下の長さであることが好ましく、60%以下の長さであることが好ましく、50%以下の長さであることがさらに好ましい。
一方、温熱具100の水蒸気発生量は、マスク中の結露を抑止する観点から、温熱具100全体として、好ましくは2400mg/10min以下であり、より好ましくは2000mg/10min以下であり、さらに好ましくは1600mg/10min以下であり、さらに好ましくは1400mg/10min以下であり、ことさらに好ましくは1000mg/10min以下である。
また、水蒸気発生体50の平面視における単位面積あたりの水蒸気発生量は、マスク中の結露を抑止する観点から、好ましくは20mg/cm2・10min以下であり、より好ましくは18mg/cm2・10min以下であり、さらに好ましくは15mg/cm2・10min以下である。
ここで、温熱具100の水蒸気発生量は、図3に示す装置30を用いて、次のように測定される数値である。
図3に示す装置30は、アルミニウム製の測定室(容積4.2L)31、測定室31の下部に除湿空気(湿度2%未満、流量2.1L/分)を流入させる流入路32、測定室31の上部から空気を流出させる流出路33、流入路32に設けられた入口温湿度計34と入口流量計35、流出路33に設けられた出口温湿度計36と出口流量計37、測定室31内に設けられた温度計(サーミスタ)38からなっている。温度計38としては、温度分解能が0.01℃程度のものを使用する。
また、温熱具100使用中におけるマスク150内の絶対湿度の最大値は、マスク150内の結露を防止する観点から、好ましくは35g/m3以下であり、より好ましくは33g/m3以下であり、さらに好ましくは30g/m3以下である。
また、温熱具100使用中におけるマスク150内の絶対湿度の平均値は、マスク150内の結露を防止する観点から、好ましくは35g/m3以下であり、より好ましくは30g/m3以下であり、さらに好ましくは25g/m3以下である。
なお、温熱具100使用時の絶対湿度は以下のようにして測定することができる。
20℃60%RHの環境下、有限会社デジタルヒューマンテクノロジー社の男性人頭データ(日本人成人男性52名平均)を用い作製した頭部模型マネキンの鼻下部に、温湿度センサー(センシリオン株式会社製SHT71)を取り付け、頭部模型の鼻部よりベンチレーター(HARVARD APPARATUS DUAL PHASE CONTROL RESPIRATOR(HARVARD APPARATUS社製))を用いて、人の呼吸リズムを模して、1分間に15回、1回あたり500mlの頻度で吸気を行う。この状態で、温熱具100とマスク150とをこの順でマネキンに装着し、温湿度変化を計測し、記録する。記録計としては、例えば、センシリオン株式会社製EK-H4等を用いる。温度と相対湿度より、絶対湿度を算出し、10分間の最大絶対湿度と平均絶対湿度を求める。
なお、ここでのマスクとしては、市販のプリーツマスクのふつうサイズのものが用いられる。
図4は、温熱具100を使用者に適用する例を示した図である。図4に示されるように、温熱具100は使用者の鼻と口とを覆うマスク150の内側に配されて使用される。すなわち、マスク150と使用者との間に温熱具100が配される。マスク150と温熱具100とは、直接接している場合に限られず、接していない領域があってもよく、一部が接していてもよい。
また、マスク150の形状としては使用者の顔の輪郭に合せるような立体形状を形成する形状となっていてもよく、一方で、マスク本体部が平坦形状となっているものでもよい。
まず、本実施形態の温熱具100は、外装体60にスリット70が設けられており、温熱具100に凸部を容易に形成することができ、使用者の顔の一部に水蒸気発生体50が密着することを抑制できる結果、過剰に熱くなることを抑制できる。また、温熱具100に凸部を形成することで使用者と温熱具100との間に適度な空間が配されるようになり、発熱体への空気の充分な流入が可能になる。これに加え、第2シート52よりも第1シート51の側の透気度を低くすることで、第1シート51側、すなわち上記の使用者と温熱具100との間に形成された閉じられた空間内において、空気の出し入れが積極的に行われるようになる。これにより、水蒸気発生体50への酸素供給量が適切に調整されやすくなり、過剰な発熱、または不十分な発熱となることを抑制し、良好な温熱効果を得ることができる。
図6は、本実施形態に係る温熱具の変形例を示した模式図であり、外装体60を使用者側の面から見た図である。図6(a)に示されるように、外装体60は、凸部形成部として、外装体60中央部に向かう頂点を有する、略三角状に切り取られた細隙71を有する。細隙71は、外装体60の下縁中央部に一つ設けられている。図6(b)に示すように、使用者側が内側となるように外装体60を二つ折りにしつつ、細隙71を挟む領域同士を近づけて、細隙71による隙間を閉鎖することによって、細隙71の基部を頂点とする山状の凸部が形成され、外装体60をマスク150側に突出させることができる。このとき、細隙71を挟む外装体60の一部領域は重なり合ってもよい。
細隙71の大きさは、特に限定されないが、細隙71によって形成される凸部により外装体60が使用者の顔の形状にフィットしやすくなるものであって、外装体60の強度を保持できる程度に小さく、また、使用者が凸部を形成しやすい程度に大きいものであればよい。なお、細隙71の大きさとは、三角形状としてみた場合の、高さ及び底辺の長さを意図する。
例えば、図9は、本実施形態に係る温熱具の変形例を示した模式図であり、外装体60を使用者側の面から見た図である。図9(a)に示されるように、外装体60の中央部であって、2つの水蒸気発生体50に挟まれた領域において、外装体60の下端から上端に達する2つの直線状の伸縮性部材90を備えるものであってもよい。伸縮性部材90は、外装体60よりも伸縮性を有する。そのため、2つの伸縮性部材90に挟まれた領域を可動できるようになる。図9(b)に示すように、伸縮性部材90に挟まれた領域を外装体60の使用者とは反対側に突出させることで、外装体60をマスク150側に突出できる。
伸縮性部材90の材料としては、ゴム、伸縮性を有する布などが挙げられるが、軽量性・肌触りなどの観点から、伸縮性を有する布が好ましく、不織布がより好ましい。
伸縮性部材90の数、大きさ、形状および位置等は、上記の例に限られず、凸部を形成する観点から、適宜、変更されてもよい。
前記温熱具は、前記温熱具の長手方向に並んで配置される一対の水蒸気発生体を備え、該一対の水蒸気発生体は外装体に収容されており、
前記水蒸気発生体は、前記使用者側に位置する第1シート、及び前記使用者側とは反対側に位置する第2シートからなる袋体を備え、
前記第1シートの透気度が10,000秒/100ml以下であり、
前記第2シートの透気度が、前記第1シートの透気度よりも高く、
前記外装体は、前記マスクに向かう凸部を形成する凸部形成部を有する、温熱具。
<2> 使用者の鼻と口とを覆うマスクの内側に配される温熱具であって、
前記温熱具は、前記温熱具の長手方向に並んで配置される一対の水蒸気発生体を備え、該一対の水蒸気発生体は外装体に収容されており、
前記水蒸気発生体は、前記使用者側に位置する第1シート、及び前記使用者側とは反対側に位置する第2シートからなる袋体を備え、
前記第1シートの透気度が8,000秒/100ml以下であり、
前記第2シートの透気度に対する、前記第1シートの透気度が35%以下であり、
前記外装体が、前記マスクの内側に向かう凸部を形成する凸部形成部を有する、温熱具。
<3> <1>または<2>に記載の温熱具であって、
前記凸部形成部が、前記一対の水蒸気発生体を離隔する領域において、前記外装体の端部から、前記外装体の中央部に向かって延在する間隙である、温熱具。
前記温熱具の全体としての水蒸気発生量が、好ましくは50mg/10min以上であり、より好ましくは100mg/10min以上であり、さらに好ましくは300mg/10min以上であり、さらに好ましくは500mg/10min以上であり、ことさらに好ましくは600mg/10min以上であり、また、好ましくは2400mg/10min以下であり、より好ましくは2000mg/10min以下であり、さらに好ましくは1600mg/10min以下であり、さらに好ましくは1400mg/10min以下であり、ことさらに好ましくは1000mg/10min以下である、温熱具。
<5> <1>ないし<4>のいずれか一つに記載の温熱具であって、
前記水蒸気発生体は、被酸化性金属と、吸水剤と、水とを含む、水蒸気発生部を備える温熱具。
<6> <5>に記載の温熱具であって、
前記被酸化性金属は、好ましくは鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末あるいは繊維であり、より好ましくは鉄粉である、温熱具。
<7> <5>または<6>に記載の温熱具であって、
前記吸水剤は、好ましくは活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは活性炭であり、さらに好ましくは椰子殻炭、木粉炭、及びピート炭から選ばれる1種又は2種以上の粉末状物又は小粒状物であり、ことさら好ましは木粉炭である、温熱具。
<8> <5>ないし<7>のいずれか一つに記載の温熱具であって、
前記水蒸気発生部における水分量が、前記被酸化性金属100質量部に対し、好ましくは35質量部以上であり、より好ましくは40質量部以上であり、さらに好ましくは50質量部以上であり、また、前記被酸化性金属100質量部に対し、好ましくは300質量部以下であり、より好ましくは250質量部以下であり、さらに好ましくは200質量部以下であり、ことさらに好ましくは160質量部以下である、温熱具。
<9> <1>ないし<8>のいずれか一つに記載の温熱具であって、
前記間隙の長さが、好ましくは0.5cm以上であり、より好ましくは0.7cm以上であり、さらに好ましくは1cm以上であり、また、好ましくは7cm以下であり、より好ましくは6.5cm以下であり、さらに好ましくは6cm以下である、温熱具。
<10> <1>ないし<9>のいずれか一つに記載の温熱具であって、
前記間隙の長さが、好ましくは前記外装体の短手方向の長さの3%以上の長さであり、より好ましくは5%以上の長さであり、さらに好ましくは10%以上の長さであり、また、好ましくは前記外装体の短手方向の長さの70%以下の長さであり、より好ましくは60%以下の長さであり、さらに好ましくは50%以下の長さである、温熱具。
<11> <1>ないし<10>のいずれか一つの温熱具であって、
前記外装体の長手方向の長さが、好ましくは12cm以上であり、より好ましくは13cm以上であり、さらに好ましくは14cm以上であり、また、好ましくは20cm以下であり、より好ましくは18cm以下であり、さらに好ましくは16cm以下である、温熱具。
<12> <1>ないし<11>のいずれか一つの温熱具であって、
前記外装体の短手方向の長さが、好ましくは5cm以上であり、より好ましくは6cm以上であり、さらに好ましくは7cm以上であり、また、好ましくは10cm以下であり、より好ましくは9.5cm以下であり、さらに好ましくは9cm以下である温熱具。
<13> <1>ないし<12>のいずれか一つの温熱具であって、
前記水蒸気発生体の単位面積あたりの水蒸気発生量が、好ましくは1mg/cm2・10min以上であり、より好ましくは1.5mg/cm2・10min以上であり、さらに好ましくは5mg/cm2・10min以上であり、さらに好ましくは7mg/cm2・10min以上であり、ことさらに好ましくは9mg/cm2・10min以上であり、また、好ましくは20mg/cm2・10min以下であり、より好ましくは18mg/cm2・10min以下であり、さらに好ましくは15mg/cm2・10min以下である、温熱具。
<14> <1>ないし<13>のいずれか一つの温熱具であって、
前記温熱具の使用中における前記マスク内の絶対湿度の最大値が、好ましくは12g/m3以上であり、より好ましくは13g/m3以上であり、さらに好ましくは14g/m3以上であり、また、好ましくは30g/m3以下であり、より好ましくは25g/m3以下であり、さらに好ましくは20g/m3以下である、温熱具。
<15> <1>ないし<14>のいずれか一つの温熱具であって、
前記温熱具使用中における前記マスク内の絶対湿度の平均値が、好ましくは11.7g/m3以上であり、より好ましくは12g/m3以上であり、さらに好ましくは13g/m3以上であり、さらに好ましくは14g/m3以上であり、ことさらに好ましくは15g/m3以上であり、また、好ましくは35g/m3以下であり、より好ましくは30g/m3以下であり、さらに好ましくは25g/m3以下である、温熱具。
<16> <1>ないし<15>のいずれか一つに記載の温熱具であって、
前記第2シートの透気度が250秒/100ml以上、12,000秒/100ml以下であり、前記第2シートの透気度に対する前記第1シートの透気度が20%以下である、温熱具。
<17> <1>ないし<16>のいずれか一つに記載の温熱具であって、
前記第1シートの透気度が、好ましくは8000秒/100ml以下であり、より好ましくは7000秒/100ml以下であり、さらに好ましくは5000秒/100ml以下であり、2500秒/100ml以下、1500秒/100ml以下、500秒/100ml以下、300秒/100ml以下、10秒/100ml以下、5秒/100ml以下の順により好ましい、温熱具。
<18> <1>ないし<17>のいずれか一つに記載の温熱具であって、
第1シートの透気度は、好ましくは250秒/100ml以上であり、より好ましくは1500秒/100ml以上であり、さらに好ましくは3000秒/100ml以上である、温熱具。
<19> <1>ないし<18>のいずれか一つに記載の温熱具であって、
前記第2シートの透気度は、好ましくは250秒/100ml以上であり、より好ましくは1000秒/100ml以上であり、さらに好ましくは5000秒/100ml以上であり、ことさら好ましくは8000秒/100ml以上であり、10000秒/100ml以上、30000秒/100ml以上、80000秒/100ml以上の順により好ましい、温熱具。
<20> 使用者の鼻と口とを覆うマスクの内側に、<1>ないし<19>のいずれか一つに記載の温熱具を配した状態で、当該マスクを装着する、温熱具の使用方法。
<21> <20>に記載の温熱具の使用方法であって、
前記凸部形成部により、前記外装体に前記凸部を形成する、温熱具の使用方法。
<22> <20>または<21>に記載の温熱具の使用方法であって、
前記凸部形成部が、前記一対の水蒸気発生体を離隔する領域において、前記外装体の端部から、前記外装体の中央部に向かって延在する間隙であって、
前記間隙を閉鎖するように、前記間隙を挟む領域同士を重ね合わせる、または近づけることによって、前記外装体に前記凸部を形成する、温熱具の使用方法。
(実施例A1)
上記の実施形態で説明したものと同様の温熱具100を作製した。具体的には以下のとおりである。
<水蒸気発生部40の作製>
表1に示す組成の発熱組成物を、次の手順で調製した。
増粘剤を水に溶解し、次いでリン酸三カリウムを溶解して水溶液を用意した。一方で鉄粉、活性炭をプレ混合した粉体を用意し、前記水溶液にプレ混合粉体を入れ、ディスクタービン型攪拌羽根で150rpm、10分間攪拌してスラリー状の発熱組成物を得た。
そして、得られた発熱組成物を基材層40Bの片面にダイコーティング法を用い、水蒸気発生部40の1個(4.9cm×4.9cm;面積24.0cm2)あたり、1.4gになるように塗工した。さらに、塗工面上に食塩(局方塩化ナトリウム(大塚製薬株式会社製))を水蒸気発生部40の1個(同上)あたり0.07gとなるように散布して水蒸気発生層40Aを形成し、その上に、保水シート40Cを重ねて水蒸気発生部40を作製した。
基材層40Bとしては、坪量27g/m2のポリエチレンフィルムを使用した。保水シート40Cとしては、木材パルプ製の紙(秤量20g/m2、伊野紙株式会社製)と吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、秤量50g/m2、アクアリックCA、株式会社日本触媒製)と木材パルプ製の紙(坪量30g/m2、伊野紙株式会社製)を積層して一体化したポリマーシートを使用した。
このようにして得られた水蒸気発生部40を、保水シート40Cが肌側(第1シート51側)に配置されるように2層に重ねた(質量3.43g)。作製直後の水蒸気発生部40中の水分量は、鉄粉100質量部に対し、62質量部であった。
得られた水蒸気発生部40を2つ用意し、それぞれを表3に記載した透気度の第1シート51、及び第2シート52からなる袋体53に収容し、水蒸気発生体50とした。具体的には、水蒸気発生体50の第1シート51として、TMS不織布(サーマルボンド(PET/PE)-メルトブローン(ポリプロピレン)-スパンボンド(ポリプロピレン)積層一体型、坪量50g/m2、株式会社クラレ製)を2層積層し、透気度0秒/100mlのシートとした。水蒸気発生体50の第2シート52として、ポリエチレン100質量%のフィルムとパルプシートとをラミネートして、すなわち張り合わせて、坪量40g/m2の非透気性シートを使用した。
第1シート51と第2シート52との間に一対の水蒸気発生部40を配置して、周縁部を密閉シールして袋体53とし、水蒸気発生体50を得た。このとき、水蒸気発生部40の基材層40Bは、第2シート52側に配置された。
このとき、水蒸気発生体50はその寸法が、6.3cm×6.3cm(面積39.7cm2)となるように調整した。
また、上記のようにして得られた水蒸気発生体50を二つ用意し、図1に示されるような外装体60にて収容することで温熱具100とした。この外装体60はエアスルー不織布により構成されており、長手方向の長さは15cm、短手方向の長さは8cmであった。
また、この温熱具100としては、図1に示されるようなスリット70を、外装体60の縦中心線に沿うようにして、外装体60の端部から1.5cmの長さで設けた。
温熱具100は、後述する評価を実施するまで、酸素遮断袋に入れて保存した。
水蒸気発生体50の第1シート51として、表3に記載の透気度を有する、坪量50g/m2(商品名:TSF-EU、株式会社興人社製)の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを使用した以外は、実施例A1と同じ方法で温熱具100を作製した。
水蒸気発生体50の第2シート52として、表3に記載の透気度を有する、坪量50g/m2(商品名:TSF-EU、株式会社興人製)の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを使用した以外は、実施例A1と同じ方法で温熱具100を作製した。
水蒸気発生部として、表2に示す組成の粉体状の発熱組成物を、次の手順で作製した。
窒素気流下で、鉄粉、水、食塩、吸水ポリマー及び活性炭を均一になるまで混合し、粉体状の水蒸気発生部を作製した。温熱具100の作製において、実施例A1におけるシート状の水蒸気発生部40に替えて、それぞれ前記粉体状の水蒸気発生部2.8gを使用した以外は、実施例A1と同じ方法で温熱具100を作製した。
スリット70の代わりに、図7に示されるような略三角状の折り畳み線を形成し、当該折り畳み線に沿って外装体60の一部を折り込んだ以外は、実施例A1と同じ方法で温熱具100を作製した。
なお、略三角状の折り畳み線の頂点から外装体の下端部までの距離(図7の谷折り部72cの長さ)は、1.5cmとし、略三角状の底辺の長さは1cmとした。
水蒸気発生体50の第1シート51として、表3に記載の透気度を有する、坪量50g/m2(商品名:TSF-EU、株式会社興人製)の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを使用した以外は、実施例A6と同じ方法で温熱具100を作製した。
温熱具の外装体に切り込み部(スリット70)を設けなかった以外は、実施例A1と同じ方法で温熱具を作製した。
温熱具の外装体に切り込み部(スリット70)を設けなかった以外は、実施例A3と同じ方法で温熱具を作製した。
水蒸気発生体50の水蒸気発生量は、図3に示す装置30を用いて、次のように測定した。
測定環境温度30℃(30±1℃)において温熱具100を酸素遮断袋から取り出し、外装体60から取り出した水蒸気発生体50の肌側に位置する面、すなわち水蒸気放出面を上にして測定室31に載置し、金属球(4.5g)をつけた温度計38をその上に載せて計測した。また、この状態で下部より除湿空気を流し、入口温湿度計34と出口温湿度計36で計測される温度及び湿度から測定室31に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求め、さらに入口流量計35と出口流量計37で計測される流量から水蒸気発生体50が放出した水蒸気量を算出した。なお、本評価における水蒸気発生量は、温熱具100を酸素遮断袋から取り出した時点を起点とし、10分後までに測定された総量を指す。
20℃60%RHの環境下、有限会社デジタルヒューマンテクノロジー社の男性人頭データ(日本人成人男性52名平均)を用い作製した頭部模型マネキン(以下「マネキン」)に温熱具100と、マスクをこの順で装着した。30分後に、温熱具100を取り出し、注射器にて水蒸気発生体50内部(肌側シートと外側シートで閉じられた内部)の気体を吸引し、体積を測定した。2回測定を行い、その平均をもって測定値とした。
なお、この測定において、マスクはフィッティー(登録商標)吸着分解マスクスーパーフィットふつうサイズ(玉川衛材株式会社製)を使用した。
前述する水蒸気発生体50の水蒸気発生量の二倍量の値としてこれを評価した。
20℃60%RHの環境下、マネキンの鼻下部に、温湿度計(センシリオン株式会社製SHT75)を取り付け、頭部模型の鼻部よりベンチレーター(HARVARD APPARATUS DUAL PHASE CONTROL RESPIRATOR(HARVARD APPARATUS製))を用いて、人の呼吸リズムを模して、1分間に15回、1回あたり500mlの頻度で吸気を行った。この状態で、温熱具100とマスクとをこの順でマネキンに装着し、温湿度変化を計測した。温度と相対湿度より、絶対湿度を算出し、10分間の最大絶対湿度と平均絶対湿度を求めた。
なお、この測定において、マスクはフィッティー(登録商標)吸着分解マスクスーパーフィットふつうサイズ(玉川衛材株式会社製)を使用した。
22℃の環境において、男性5名のパネラーにてマスクの装着感を評価した。マスクを装着した状態での温感、持続性、蒸気感(潤い感)及び外気の吸い込みやすさを以下の基準で評価し、最も人数の多い点数を選びスコア化した。
1:マスク本体のみに比べ、温かさの差を感じにくい
2:マスク本体のみに比べ、やや温かさを感じにくい
3:マスク本体のみに比べ、温かい
4:マスク本体のみに比べ、やや温かい
5:マスク本体のみに比べ、十分温かく適度な温感
1:快適な温感及び蒸気感の持続時間が5分未満
2:快適な温感及び蒸気感の持続時間が5分以上10分未満
3:快適な温感及び蒸気感の持続時間が10分以上
1:マスク本体のみに比べ、喉や鼻の粘膜に潤いの差を感じにくい
2:マスク本体のみに比べ、喉や鼻の粘膜にやや潤いを感じる
3:マスク本体のみに比べ、喉や鼻の粘膜に潤いを感じる
4:マスク本体のみに比べ、喉や鼻の粘膜の潤い感が優れる
5:マスク本体のみに比べ、喉や鼻の粘膜の潤い感が非常に優れる
1:マスク本体に比べ、極めて外気を吸い込みにくい
2:マスク本体に比べ、かなり外気を吸い込みにくい
3:マスク本体に比べ、やや外気を吸い込みにくい
4:マスク本体に比べ、ほぼ同等の吸い込みやすさである
5:マスク本体着用時よりも外気を吸い込みやすい
(実施例B1)
上記実施例A1と同様にスリット70を有する同様の形状の温熱具100を作製した。具体的には以下のとおりである。
<水蒸気発生部40の作製>
表1に示す組成の発熱組成物を用い、上記実施例A1と同様の方法により、水蒸気発生部40を作製した。
得られた水蒸気発生部40全体を、表4に記載した透気度の第1シート51、及び第2シート52からなる袋体に収容し、水蒸気発生体50とした。具体的には、水蒸気発生体50の第1シート51(以下同じ)として、TMS不織布(サーマルボンド(PET/PE)-メルトブローン(ポリプロピレン)-スパンボンド(ポリプロピレン)積層一体型、坪量50g/m2、株式会社クラレ製)を2層に積層し、透気度0秒/100mlのシートとした。第2シート52(以下同じ)として、透気度7000秒/100ml、坪量50g/m2(商品名:TSF-EU、株式会社興人製)の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを使用した。第1シート51と第2シート52との間に水蒸気発生部40を配置して、周縁部を密閉シールして袋体に収容し、水蒸気発生体50とした。このとき、水蒸気発生部40の基材層40Bは、第2シート52側に配置された。この際、透気面(第1シート51)の面積が6.3cm×6.3cm(面積:36.7cm2)となるようにした。
温熱具100は、後述する評価を実施するまで、酸素遮断袋に入れて保存した。
水蒸気発生体50の第1シート51として、透気度250秒/100ml、坪量50g/m2(商品名:TSF-EU、株式会社興人製)の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを使用した。それ以外は、実施例B1と同じ方法で温熱具100を作製した。
水蒸気発生体50の第2シート52として、表4に記載の透気度を有する、坪量50g/m2(商品名:TSF-EU、株式会社興人製)の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを使用した以外は、実施例B1と同じ方法で温熱具100を作製した。
水蒸気発生部として、表2に示す組成の粉体状の発熱組成物を、次の手順で作製した。
窒素気流下で、鉄粉、水、食塩、吸水ポリマー及び活性炭を均一になるまで混合し、粉体状の水蒸気発生部を作製した。温熱具100の作製において、実施例B1におけるシート状の水蒸気発生部40に替えて、前記粉体状の水蒸気発生部2.8gを使用した以外は、実施例B1と同じ方法で温熱具100を作製した。
スリット70の代わりに、図7に示されるような略三角状の折り畳み線を形成し、当該折り畳み線に沿って外装体60の一部を折り込み、かつ、水蒸気発生体50の第1シート51として、透気度2500秒/100ml、坪量50g/m2(商品名:TSF-EU、株式会社興人製)の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを使用し、第2シート52として、透気度10000秒/100ml、坪量50g/m2(商品名:TSF-EU、株式会社興人製)の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを使用した以外は、実施例B1と同じ方法で温熱具100を作製した。
なお、略三角状の折り畳み線の頂点から外装体の下端部までの距離(図7の谷折り部72cの長さ)は、1.5cmとし、略三角状の底辺の長さは1cmとした。
水蒸気発生体の第1シート及び第2シートとして、表4に示した透気度、坪量50g/m2、TSF-EU、株式会社興人製の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを使用した以外は、実施例B1と同じ方法で温熱具を作製した。
温熱具の外装体に切り込み部(スリット70)を設けなかった以外は、実施例B3と同じ方法で温熱具を作製した。
31 測定室
32 流入路
33 流出路
34 入口温湿度計
35 入口流量計
36 出口温湿度計
37 出口流量計
38 温度計
40 水蒸気発生部
40A 水蒸気発生層
40B 基材層
40C 保水シート
50 水蒸気発生体
51 第1シート
52 第2シート
53 袋体
60 外装体
70 スリット
71 細隙
72 折り畳み線
72a 山折り部
72b 山折り部
72c 谷折り部
82 折り畳み線
82a 山折り部
82b 山折り部
82c 谷折り部
90 伸縮性部材
100 温熱具
150 マスク
Claims (8)
- 使用者の鼻と口とを覆うマスクの内側に配される温熱具であって、
前記温熱具は、前記温熱具の長手方向に並んで配置される一対の水蒸気発生体を備え、該一対の水蒸気発生体は外装体に収容されており、
前記水蒸気発生体は、前記使用者側に位置する第1シート、及び前記使用者側とは反対側に位置する第2シートからなる袋体を備え、
前記第1シートの透気度が10,000秒/100ml以下であり、
前記第2シートの透気度が、前記第1シートの透気度よりも高く、
前記外装体が、前記マスクの内側に向かう凸部を形成する凸部形成部を有し、
前記温熱具使用時に当該外装体が前記マスク側に突出されることで前記使用者と前記温熱具との間に空間が設けられる、温熱具。 - 使用者の鼻と口とを覆うマスクの内側に配される温熱具であって、
前記温熱具は、前記温熱具の長手方向に並んで配置される一対の水蒸気発生体を備え、該一対の水蒸気発生体は外装体に収容されており、
前記水蒸気発生体は、前記使用者側に位置する第1シート、及び前記使用者側とは反対側に位置する第2シートからなる袋体を備え、
前記第1シートの透気度が8,000秒/100ml以下であり、
前記第2シートの透気度に対する、前記第1シートの透気度が35%以下であり、
前記外装体が、前記マスクの内側に向かう凸部を形成する凸部形成部を有し、
前記温熱具使用時に当該外装体が前記マスク側に突出されることで前記使用者と前記温熱具との間に空間が設けられる、温熱具。 - 前記凸部形成部が、前記一対の水蒸気発生体を離隔する領域において、前記外装体の端部から、前記外装体の中央部に向かって延在する間隙である、請求項1または2に記載の温熱具。
- 前記第2シートの透気度が250秒/100ml以上、12,000秒/100ml以下であり、前記第2シートの透気度に対する、前記第1シートの透気度が20%以下である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の温熱具。
- 前記温熱具の全体としての水蒸気発生量が50mg/10min以上、2400mg/10min以下である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の温熱具。
- 前記第1シートの透気度が、250秒/100ml以上である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の温熱具。
- 前記間隙を前記外装体の長手方向中央部に有する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の温熱具。
- 前記水蒸気発生体は、被酸化性金属と、吸水剤と、水とを含む、水蒸気発生部を備える、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の温熱具。
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