JP2006265518A - 新規なアリールアミン重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた発光特性を有すると共に耐久性に優れた有機薄膜EL素子用の高分子材料として、有機トランジスタの活性層用高分子材料として、また、電子写真感光体用材料などの有機エレクトロニクス用素材として有用な新規アリールアミン重合体を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(I)で表わされる繰返し単位を有するアリールアミン重合体。
【化1】
Figure 2006265518

(式中、Xは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは無置換のアルキル基を表わす。Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の1価基であり、窒素原子と結合する芳香族炭化水素基であるAr、Ar、Arを構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)
【選択図】 なし

Description

本発明は新規なアリールアミン重合体に関し、さらに詳しくは有機EL素子用材料、有機トランジスタ用材料、及び電子写真感光体用材料などの有機エレクトロニクス用素材などとして有用な新規なアリールアミン重合体に関する。
有機材料の発光特性や電荷輸送特性を利用して、有機エレクトロルミネッセンス素子や、有機トランジスタ素子が提案されている。これらの素子に有機材料を用いることにより、軽量、安価、低製造コスト、フレキシブル等の利点が期待される。
有機薄膜EL素子用の材料としては、低分子系および高分子系の様々な材料が報告されている。低分子系においては、種々の積層構造の採用により高効率化の実現が、またドーピング法をうまくコントロールすることにより耐久性の向上が報告されている。しかし、低分子集合体の場合には、長時間における経時での膜状態の変化が生じることが報告されており、膜の安定性に関して本質的な問題点を抱えている。一方、高分子系材料においては、これまで、主にPPV(poly−p−phenylenevinylene)系列やpoly−thiophene等のπ共役系高分子について精力的に検討が行なわれてきた。しかしながら、これらの材料系は純度を上げることが困難であることや、本質的に蛍光量子収率が低いことが問題点として挙げられ、高性能なEL素子は得られていないのが現状である。またπ共役高分子主鎖中にアリールアミン部位を含む高分子材料も検討されている(特開平10−310635号公報、特開平8−157575号公報、特表2002−515078号公報・・・特許文献1〜3、およびWO97/09394、Synth.Met.,84,269,1997)。高分子材料は本質的にガラス状態が安定であることを考慮すると、高蛍光量子効率を付与することができれば優れたEL素子の構築が可能となるため、この分野でさらなる改良が行なわれている。
一方、有機薄膜トランジスタ素子においても、低分子系および高分子系の様々な材料が報告されている。例えば低分子材料ではペンタセン(Synth.Met.,51,419,1992.)、フタロシアニン(Appl.Phys.Lett.,69,3066,1996.)、フラーレン(特開平8−228034号公報、Appl.Phys.Lett.,67,121,1995.)、アントラジチオフェン(特開平11−195790号公報)、チオフェンオリゴマー(特許第3145294号公報、Chem.Mater.,4,457,1998.)、ビスジチエノチオフェン(Appl.Phys.Lett.,71,3871,1997.)などが、また高分子材料ではポリチオフェン(Appl.Phys.Lett.,69,4108,1996.)、ポリチエニレンビニレン(Appl.Phys.Lett.,63,1372,1993.)などの幾つかの材料が挙げられる。さらに本出願人は、先にポリアリールアミン(特願2004−174088)を提案した。
低分子系の成膜は蒸着などの真空プロセスが必須であり製造コストが膨大になるという問題があるが、高分子系では湿式プロセスによる成膜が可能であることから、低コスト化が可能である。しかし、湿式プロセスによる成膜を可能とするためには、有機溶媒に可溶な分子設計を行なわなければならないが、ポリアリールアミン(Proc. SPIE. Vol.3148. P139〜150, 1997.・・・非特許文献1)は溶解性に乏しく更なる改良が望まれている。
特開平10−310635号公報 特開平8−157575号公報 特表2002−515078号公 Proc. SPIE. Vol.3148. P139〜150, 1997
本発明は上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、優れた発光特性を有すると共に耐久性に優れた有機薄膜EL素子用の高分子材料として、有機トランジスタの活性層用高分子材料として、また、電子写真感光体用材料などの有機エレクトロニクス用素材として有用な新規アリールアミン重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構成単位を含有する新規アリールアミン重合体により上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は本発明の(1)〜(6)によって解決される。
(1)「下記一般式(I)で表わされる繰返し単位を有するアリールアミン重合体。
Figure 2006265518
(式中、Xは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは無置換のアルキル基を表わす。Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の1価基であり、窒素原子と結合する芳香族炭化水素基であるAr、Ar、Arを構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)」;
(2)「前記一般式(I)で表わされる繰返し単位を有するアリールアミン重合体が、下記一般式(II)で表わされる繰り返し単位を有することを特徴とする前記(1)に記載のアリールアミン重合体。
Figure 2006265518
(式中、Xは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは無置換のアルキル基を表わす。Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基を表わす。Rはハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表わし、xは0から5の整数を表わす。そして窒素原子と結合する3個の芳香族炭化水素基を構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)」;
(3)「前記一般式(II)で表わされる繰返し単位を有するアリールアミン重合体において、該一般式(II)中のRが長鎖アルキル基であり、xは1から5の整数であり、xが2から5の整数の場合、Rは同一でも別異でもよいことを特徴とする前記(2)に記載のアリールアミン重合体」;
(4)「前記一般式(II)で表わされる繰返し単位を有するアリールアミン重合体が、下記一般式(III)で表わされる繰り返し単位を有することを特徴とする前記(2)または(3)に記載のアリールアミン重合体。
Figure 2006265518
(式中、Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基を表わす。Rは長鎖アルキル基を表わし、xは0から5の整数を表わす。R、Rはそれぞれ、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表わし、yおよびzはそれぞれ0から5の整数を表わし、yとzの合計が2以上の場合、Rおよび/またはRは同一でも別異でもよい。そして窒素原子と結合する3個の芳香族炭化水素基を構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)」;
(5)「前記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有するアリールアミン重合体が、下記一般式(IV)で表わされることを特徴とする前記(1)に記載のアリールアミン重合体。
Figure 2006265518
(式中、Xは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基を表わす。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表わし、tは1から3の整数を表し、uは1から4の整数を表わし、tまたはuが2以上の整数の場合、t個のRはそれぞれ異なっていてもよく、u個のRもそれぞれ異なっていてもよい。そして窒素原子と結合する3個の芳香族炭化水素基を構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)」;
(6)「前記一般式(IV)で表わされる繰り返し単位を有するアリールアミン重合体が、下記一般式(V)で表わされることを特徴とする前記(5)に記載のアリールアミン重合体。
Figure 2006265518
(式中、Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基を表わす。
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表わし、tは1から3の整数を表わし、uは1から4の整数を表わし、tまたはuが2以上の整数の場合、t個のRはそれぞれ異なっていてもよく、u個のRもそれぞれ異なっていてもよく、yおよびzはそれぞれ0から5の整数を表し、yとzの合計が2以上の場合、Rおよび/またはRは同一でも別異でもよい。そして窒素原子と結合する3個の芳香族炭化水素基を構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)」。
本発明の新規アリールアミン重合体は、優れた発光特性を有すると共に耐久性に優れた有機薄膜EL素子用の高分子材料として、また有機トランジスタ用の電荷輸送性高分子材料、また、電子写真感光体用材料などの有機エレクトロニクス用素材などとして有用である。
本発明のアリールアミン重合体は有機トランジスタ用の電荷輸送性高分子材料として、また優れた発光特性を有すると共に耐久性に優れた有機薄膜EL素子用の高分子材料などとして有用である。
以下に本発明のアリールアミン重合体の製造法について説明する。
本発明のアリールアミン重合体の製造方法は、例えばアルデヒドとホスホネートを用いたWittig−Horner反応、アルデヒドとホスホニウム塩を用いたWittig反応、ビニル置換体とハロゲン化物を用いたHeck反応、アミンとハロゲン化物を用いたUllmann反応などを用いることができ、公知の方法により製造可能である。特にWittig−Horner反応およびWittig反応は反応操作の簡便さから有効である。
一例としてWittig−Horner反応を用いた本発明における重合体の製造方法について説明する。
本発明における重合体は、下記の反応式で示されるように、ホスホン酸エステル化合物およびアルデヒド化合物が化学量論的に等しく存在する溶液と、その2倍モル量以上の塩基を混合させることにより重合反応が進行し、得ることができる。
Figure 2006265518
上記ジアルデヒド化合物は、公知の種々の反応により合成することが可能である。
例として下記Vilsmeier反応、
Figure 2006265518
あるいは、アリールリチウム化合物と、DMF、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン等をはじめとするホルミル化剤との反応、
Figure 2006265518
あるいは、下記Gatterman反応、
Figure 2006265518
あるいは、ヒドロキシメチル化合物の各種酸化反応、
Figure 2006265518
等を一例として挙げることができる。
本発明においては、これら反応を用いて、目的とする重合体に対応する原料ジアルデヒド化合物を合成することができる。
また、上記ホスホン酸ジエステル化合物についても、公知の種々の反応により合成することが可能であるが、下記Michaelis−Arbuzov反応が特に容易である。
Figure 2006265518
上記重合反応には塩基を使用するが、該塩基はホスホネートカルボアニオンが形成されるものであれば特に限定されず、金属アルコシド、金属ヒドリド、有機リチウム化合物等が挙げられ、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムナフチリド、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。
反応に用いる塩基の量は、通常ホスホン酸エステル化合物の重合活性点に対して同量使用するだけでよいが、さらに過剰量用いても支障ない。
上記の塩基は固形状態や懸濁溶液の状態で反応系内に添加してもよいが、得られる重合体の均質性が良好になるために、特に均一溶液として添加することが好ましい。塩基を溶解する溶媒としては、使用する塩基と安定な溶液を形成する溶媒を選択しなければならないが、その他の要因として塩基の溶解度が高いものがよく、また反応系で生成する高分子量体の反応溶媒に対する溶解性を損ねないものがよく、さらに生成する高分子量体が良好に溶解する溶媒がよく、用いる塩基と製造する高分子量体の特性に応じて、一般に知られているアルコール系、エーテル系、アミン系、炭化水素系溶媒等から任意に選択することができる。
塩基とそれを均一に溶解する溶媒の組み合わせとしては、例えばナトリウムメトキシドのメタノール溶液、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−メチル−2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液、カリウムt−ブトキシドのジオキサン溶液、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液、メチルリチウムのエーテル溶液、リチウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液、リチウムジイソプロピルアミドのシクロヘキサン溶液、カリウムビストリメチルシリルアミドのトルエン溶液等をはじめとして、種々の組み合わせの溶液が挙げられ、幾つかの溶液は市販品として容易に入手することができる。温和な反応条件、取り扱いの容易さの観点から好ましくは金属アルコキシド系の溶液が用いられ、生成する重合体の溶解性、取り扱いの容易さ、反応の効率性、生成する重合体の溶解性等の観点からより、好ましくは金属t−ブトキシドのエーテル系が用いられ、さらに好ましくはカリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液が用いられる。
上記重合反応はホスホン酸エステル化合物およびアルデヒド化合物の溶液に塩基溶液を添加してもよく、塩基溶液にホスホン酸エステル化合物およびアルデヒド化合物の溶液を加えてもよく、同時に反応系に加えてもよく、添加の順序に制約はない。
上記重合反応における重合時間は、用いられるモノマーの反応性、または望まれる重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよいが、0.2時間〜30時間が好適である。
上記重合反応における反応温度は特に制御する必要なく室温において良好に重合反応が進行するが、反応効率をより上げるために加熱したり、または冷却してより温和な条件にすることも可能である。
また、以上の重合操作において分子量を調節するために分子量調節剤、または末端修飾基として重合体の末端を封止するための封止剤を反応途中に添加することも可能であり、反応開始時に添加しておくことも可能である。従って、本発明におけるアリールアミン重合体の末端には停止剤に基づく置換基が結合してもよい。
分子量調節剤、末端封止剤としては、ベンジルホスホン酸ジエチル、ベンズアルデヒド等、反応活性基を1個有する化合物が挙げられる。
本発明の重合体の好ましい分子量はポリスチレン換算数平均分子量で1000〜1000000であり、より好ましくは2000〜500000である。分子量が小さすぎる場合にはクラックの発生等成膜性が悪化し実用性に乏しくなる。また分子量が大きすぎる場合には、一般の有機溶媒への溶解性が悪くなり、溶液の粘度が高くなって塗工が困難になり、やはり実用性上問題になる。
また、機械的特性を改良するために重合時に分岐化剤を少量加えることもできる。使用される分岐化剤は、重合反応活性基を3つ以上(同種でも異種でもよい)有する化合物である。これらの分岐化剤は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
以上のようにして得られたアリールアミン重合体は、重合に使用した塩基、未反応モノマー、末端停止剤、又、重合中に発生した無機塩等の不純物を除去して使用することが好ましい。これら精製操作は再沈澱、抽出、ソックスレー抽出、限外濾過、透析等をはじめとする従来公知の方法を使用できる。
上記重合反応による製造方法により得られた本発明の重合体は、スピンコート法、キャスト法、ディップ法、インクジェット法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、スプレー塗工等の公知の成膜方法により、クラックのない強度、靭性、耐久性等に優れた良好な薄膜を作製することが可能であり、有機EL素子、有機トランジスタ素子などの材料として好適に用いることが可能である。
次に本発明の重合体の繰り返し単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)についてさらに詳細に説明する。
前記一般式(I)における置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基Arとしては単環基、多環基(縮合多環基、非縮合多環基)の何れでもよく、一例として以下のものを挙げることができる。
例えばフェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられ、前記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)における、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基Ar、Arとしては、単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基等であり、一例としては、Arの例として挙げた上記芳香族基の2価基が挙げられる。
また、これら芳香族炭化水素基は以下に示す置換基を有していてもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基、アルコキシ基。これらはさらにハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基で置換されていてもよい。
(3)アリールオキシ基。(アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するアリールオキシ基が挙げられる。これらは、ハロゲン原子を置換基として含有してもよく、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基またはアルコキシ基あるいはアルキルチオ基を含有していてもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。)
(4)アルキルチオ基又はアリールチオ基。(アルキルチオ基又はアリールチオ基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。)
(5)アルキルおよび/またはアリール置換アミノ基。(具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。)
(6)アシル基。(アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。)
本発明の前記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)で表わされる繰り返し単位を有するアリールアミン重合体は、窒素原子に結合する芳香環上に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を置換基として有するものであり、溶媒への溶解性向上の観点からは、置換基もしくは無置換の、アルキル基やアルコキシ基、アルキルチオ基を有することが好ましい。これら置換基の炭素数が増加すれば溶解性はより向上するが、その反面、電荷輸送性等の特性は低下してしまうため、溶解性が損なわれない範囲で所望の特性が得られるような置換基を選択することが好ましい。その場合の好適な置換基の例としては炭素数が1〜25の、アルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基が挙げられる。これら置換基を複数有する場合は同一のものを複数導入してもよいし、異なるものを複数導入してもよい。また、これらのアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基はさらにハロゲン原子、シアノ基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、または炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基あるいはアルキルチオ基で置換されたアリール基を含有していてもよい。
アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を一例として挙げることができ、アルコキシ基、アルキルチオ基としては上記アルキル基の結合位に酸素原子または硫黄原子を挿入してアルコキシ基、アルキルチオ基としたものが一例として挙げられる。
前記一般式(I)、(II)および(IV)におけるXにおいて、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の好ましい例としては、単環基、多環基(縮合多環基、非縮合多環基)の何れでもよく、一例として以下のものを挙げることができる。
例えばフェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられる。
また、これら芳香族炭化水素基は以下に示す置換基を有していてもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基、アルコキシ基。これらはさらにハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基で置換されていてもよい。
(3)アリールオキシ基。(アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するアリールオキシ基が挙げられる。これらは、ハロゲン原子を置換基として含有してもよく、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基またはアルコキシ基あるいはアルキルチオ基を含有していてもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。)
(4)アルキルチオ基又はアリールチオ基。(アルキルチオ基又はアリールチオ基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。)
(5)アルキルおよび/またはアリール置換アミノ基。(具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。)
(6)アシル基。(アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。)
置換もしくは無置換のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を一例として挙げることができる。
本発明の重合体は、アルキル基やアルコキシ基、アルキルチオ基の存在により、溶媒への溶解性が向上する。これらの材質において溶解性を向上させることは、有機EL素子や有機トランジスタ素子製造の際の、湿式成膜過程の製造許容範囲が大きくなることから重要である。例えば塗工溶媒の選択肢の拡大、溶液調製時の温度範囲の拡大、溶媒の乾燥時の温度及び圧力範囲の拡大となり、これらプロセッシビリティーの高さにより、結果的に高純度で均一性の高い高品質な薄膜が得られる可能性が高くなる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
実施例1
重合体1の合成
Figure 2006265518
200ml四つ口フラスコに、上記のジアルデヒド1.465g(3.8mmol)及びジホスホネート2.016g(3.8mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン60ml、およびベンズアルデヒド10mg(0.095mmol)を加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0mol dm−3テトラヒドロフラン溶液11.4ml(11.4mmol)を滴下し室温で2時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチル89.3mg(0.391mmol)を加え、さらに1時間撹拌した。酢酸およそ0.4mlを加えて反応を終了し、反応溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後テトラヒドロフラン及びメタノールを用いて再沈澱による精製を行ない、重合体1を2.20g得た。収率94%。
元素分析値(計算値);C:90.83%(91.07%)、H:6.76%(6.67%)、N:2.02%(2.26%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は103.5℃であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は3800、重量平均分子量は1800であった。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図1に示した。
実施例2
重合体2の合成
Figure 2006265518
200ml四つ口フラスコに、上記のジアルデヒド1.000g(3.17mmol)及びジホスホネート1.682g(3.17mmol)を入れ、窒素置換してジメチルホルムアミド90ml、およびベンズアルデヒド10mg(0.095mmol)を加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0mol dm−3テトラヒドロフラン溶液7.93ml(7.93mmol)を滴下し室温で2時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチル144.7mg(0.634mmol)を加え、さらに1時間撹拌した。酢酸およそ0.3mlを加えて反応を終了し、反応溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後テトラヒドロフラン及びメタノールを用いて再沈澱による精製を行ない、重合体2を1.20g得た。収率72%。
元素分析値(計算値);C:91.82%(91.58%)、H:5.85%(5.81%)、N:2.55%(2.60%)。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は1800、重量平均分子量は1200であった。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図2に示した。
実施例3
重合体3の合成
Figure 2006265518
50ml三つ口フラスコに、上記のジアルデヒド0.417g(1.0mmol)及びジホスホネート0.590g(1.0mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン17ml、およびベンズアルデヒド2mg(0.018mmol)を加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0mol dm−3テトラヒドロフラン溶液3.0ml(3.0mmol)を滴下し室温で2時間撹拌した後、40℃にて1時間攪拌した。その後、ベンジルホスホン酸ジエチル32.0mg(0.140mmol)を加え、さらに1時間撹拌した。酢酸およそ0.2mlを加えて反応を終了し、反応溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後テトラヒドロフラン及びメタノールを用いて再沈澱による精製を行ない、重合体3を0.364g得た。収率52%。
元素分析値(計算値);C:87.21%(87.52%)、H:6.18%(5.90%)、N:1.94%(2.00%)。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は2800、重量平均分子量は5800であった。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図3に示した。
実施例4
重合体4の合成
Figure 2006265518
50ml三つ口フラスコに、上記のジアルデヒド0.475g(1.11mmol)及びジホスホネート0.586g(1.11mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン15mlを加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0mol dm−3テトラヒドロフラン溶液3.3ml(3.3mmol)を滴下し室温で1時間撹拌した後、さらに40℃にて3時間攪拌した。その後、ベンズアルデヒド31mg(0.030mmol)を加え、1時間撹拌した後、続けて、ベンジルホスホン酸ジエチル45.3mg(0.198mmol)を加え、さらに1時間撹拌した。酢酸およそ0.2mlを加えて反応を終了し、反応溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後テトラヒドロフラン及びメタノールを用いて再沈澱による精製を行ない、重合体4を0.432g得た。収率60%。
元素分析値(計算値);C:88.15%(88.44%)、H:6.71%(6.96%)、N:2.18%(2.15%)。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は1800、重量平均分子量は3300であった。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図4に示した。
実施例1で得られたアリールアミン重合体の赤外吸収スペクトル図である。 実施例2で得られたアリールアミン重合体の赤外吸収スペクトル図である。 実施例3で得られたアリールアミン重合体の赤外吸収スペクトル図である。 実施例4で得られたアリールアミン重合体の赤外吸収スペクトル図である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表わされる繰返し単位を有するアリールアミン重合体。
    Figure 2006265518
    (式中、Xは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは無置換のアルキル基を表わす。Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の1価基であり、窒素原子と結合する芳香族炭化水素基であるAr、Ar、Arを構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)
  2. 前記一般式(I)で表わされる繰返し単位を有するアリールアミン重合体が、下記一般式(II)で表わされる繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1に記載のアリールアミン重合体。
    Figure 2006265518
    (式中、Xは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは無置換のアルキル基を表わす。Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基を表わす。Rはハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表わし、xは0から5の整数を表わす。そして窒素原子と結合する3個の芳香族炭化水素基を構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)
  3. 前記一般式(II)で表わされる繰返し単位を有するアリールアミン重合体において、該一般式(II)中のRが長鎖アルキル基であり、xは1から5の整数であり、xが2から5の整数の場合、Rは同一でも別異でもよいことを特徴とする請求項2に記載のアリールアミン重合体。
  4. 前記一般式(II)で表わされる繰返し単位を有するアリールアミン重合体が、下記一般式(III)で表わされる繰り返し単位を有することを特徴とする請求項2または3に記載のアリールアミン重合体。
    Figure 2006265518
    (式中、Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基を表わす。Rは長鎖アルキル基を表わし、xは0から5の整数を表わす。R、Rはそれぞれ、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表わし、yおよびzはそれぞれ0から5の整数を表わし、yとzの合計が2以上の場合、Rおよび/またはRは同一でも別異でもよい。そして窒素原子と結合する3個の芳香族炭化水素基を構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)
  5. 前記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有するアリールアミン重合体が、下記一般式(IV)で表わされることを特徴とする請求項1に記載のアリールアミン重合体。
    Figure 2006265518
    (式中、Xは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基を表わす。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表わし、tは1から3の整数を表し、uは1から4の整数を表わし、tまたはuが2以上の整数の場合、t個のRはそれぞれ異なっていてもよく、u個のRもそれぞれ異なっていてもよい。そして窒素原子と結合する3個の芳香族炭化水素基を構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)
  6. 前記一般式(IV)で表わされる繰り返し単位を有するアリールアミン重合体が、下記一般式(V)で表わされることを特徴とする請求項5に記載のアリールアミン重合体。
    Figure 2006265518
    (式中、Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の2価基を表わす。
    、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表わし、tは1から3の整数を表わし、uは1から4の整数を表わし、tまたはuが2以上の整数の場合、t個のRはそれぞれ異なっていてもよく、u個のRもそれぞれ異なっていてもよく、yおよびzはそれぞれ0から5の整数を表し、yとzの合計が2以上の場合、Rおよび/またはRは同一でも別異でもよい。そして窒素原子と結合する3個の芳香族炭化水素基を構成する水素原子のうち少なくとも1つがアルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基により置換されており、複数存在する場合は同一でも別異でもよい。)





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