JP4866041B2 - アリールアミン重合体 - Google Patents
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Description
しかし、低分子系材料、いわゆる低分子集合体の場合には、長時間使用した際に、膜状態に変化が生じることが報告されており、経時における膜の安定性に関して本質的な問題点を抱えている。
しかしながら、これらの材料系は純度を上げることが困難であることや、本質的に蛍光量子収率が低いことが問題点として挙げられ、高性能な発光素子は得られていないのが現状である。
このような高分子材料の例としては、例えば、繰り返し単位としてアリールアミンユニットを含む高分子材料を挙げることができる(例えば、特許文献1〜6、非特許文献1参照。)。
上記従来技術に提案されている材料においても溶解性に難点を有する高分子材料が多く、これを回避すべく様々な分子設計が行なわれているのが現状である。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、優れた移動度特性を有すると共に湿式法による成膜が可能で、低コストプロセスに適応でき、発光素子、FET素子、光電変換素子などの有機エレクトロニクス用材料として有用なトリアリールアミン重合体を提供することを目的とする。なお、本発明における移動度特性とは、主にホール輸送に基づく電荷の移動度特性である。
以下、本発明について具体的に説明する。
このため、耐久性に優れた光電変換素子用の高分子材料として、あるいは優れた発光特性を有すると共に耐久性に優れた発光素子用の高分子材料として、または薄膜トランジスタの活性層用高分子材料として特に有用である。
(i)アリールボロン酸とアルカンジオールを無水有機溶媒中にて加熱反応する。
(ii)アリールハロゲン化物のハロゲン部位をメタル化した後に、アルコキシボロンエステルを加える反応。
(iii)アリールハロゲンのグリニャール試薬を調製した後に、アルコキシボロンエステルを加える反応。
(iv)アリールハロゲン化物とビス(ピナコラト)ジボロンやビス(ネオペンチル グリコラト)ジボロンをパラジウム触媒下にて加熱反応する。
その他、苛性ソーダ、苛性カリ、金属アルコシド等、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシドなども用いることができる。
上記重合反応における反応時間は、用いるモノマーの反応性や、所望とする重合体の分子量などにより適宜設定することができるが、2〜50時間が好適であり、さらには5〜24時間がより好ましい。
分子量調節剤あるいは末端封止剤としては、フェニルボロン酸、ブロモベンゼン、ヨウ化ベンゼン等、反応活性基を1個有する化合物が挙げられる。
分子量が小さ過ぎる場合には、成膜性が悪化してクラックが発生するなど実用性に乏しいものとなる。一方、分子量が大き過ぎる場合には、一般の有機溶媒に対する溶解性が悪くなり、例えば、溶液の粘度が高くなって塗工が困難となり、やはり実用上の問題が生ずる。
これらの成膜方法により形成された薄膜は、クラックの発生等がなく、強度、靭性、耐久性等にも優れ、光電変換素子、FET素子、発光素子等の有機エレクトロニクスに好適である。
前記一般式(I)における置換もしくは無置換の1価の芳香族炭化水素基Ar5、Ar6としては、単環基、多環基(縮合多環基、非縮合多環基)の何れでもよく、一例として以下のものを挙げることができる。
例えば、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられる。
なお、Ar5およびAr6は、それぞれ別異であり、各芳香族炭化水素基が互いに異なるか、あるいは芳香族炭化水素基が同一である場合には、置換基が互いに異なるか、または置換基が同一である場合には、互いに置換基の結合位置が異なるか、置換基の数が異なる。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)炭素数1 〜25 の直鎖または分岐鎖の、アルキル基、アルコキシ基。これらはさらにハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基で置換されていてもよい。
(3)アリールオキシ基:アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するアリールオキシ基が挙げられる。これらは、ハロゲン原子を置換基として含有してもよく、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基、アルコキシ基、またはアルキルチオ基を含有していてもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(4)アルキルチオ基またはアリールチオ基:アルキルチオ基またはアリールチオ基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(5)アルキル置換アミノ基:具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N ,N−ジフェニルアミノ基、N ,N−ジ(p −トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。
(6)アシル基:アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
これら置換基の炭素数が増加すれば溶解性はより向上するが、その反面、電荷輸送性等の特性は低下してしまうため、溶解性が損なわれない範囲で所望の特性が得られるような置換基を選択することが好ましい。
これら置換基は同一のものを複数導入してもよいし、異なるものを複数導入してもよい。また、これらのアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基はさらにハロゲン原子、シアノ基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基または、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基あるいはアルキルチオ基で置換されたアリール基を含有していてもよい。
また、アルコキシ基、アルキルチオ基としては、上記アルキル基の結合位に酸素原子または硫黄原子を挿入して、それぞれアルコキシ基またはアルキルチオ基としたものが一例として挙げられる。
すなわち、溶解性の向上により、例えば、塗工溶媒の選択肢、溶液調製時の温度範囲、並びに、溶媒の乾燥時の温度範囲および圧力範囲を拡大することができ、これらプロセッシビリティーの高さにより、結果的に高純度で均一性の高い高品質な薄膜が得られる。
〈重合体1の合成〉
下記反応式(1)に示す反応工程に沿って以下の条件で重合反応を行い重合体1を合成した。
その後、反応溶液を室温に戻した後、有機層をメタノール/水の混合溶媒中に滴下し、再沈殿させることによりポリマーを得た。次いで、得られたポリマーをクロロホルム溶液とし、イオン交換水で十分に洗浄した後に、テトラヒドロフラン溶液とし、メタノール中に滴下して再沈殿することによりポリマーを精製した。収量0.840g、収率96%であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量:9900、重量平均分子量:23200、
示差操作熱量測定から求めたガラス転移温度:198.7℃および256.0℃、
元素分析値(計算値);C:88.73%(88.32%)、H:7.23%(6.89%)、N:4.71%(4.79%)、
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜):図1に示した。
〈重合体2の合成〉
下記反応式(2)に示す反応工程に沿って以下の条件で重合反応を行い重合体2を合成した。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量:5700、重量平均分子量:14900、
示差操作熱量測定から求めたガラス転移温度:188.1℃および252.8℃、
元素分析値(計算値);C:87.80%(88.25%)、H:6.98%(7.07%)、N:4.54%(4.68%)、
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜):図2に示した。
〈重合体3の合成〉
下記反応式(3)に示す反応工程に沿って以下の条件で重合反応を行い重合体3を合成した。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量:2600、重量平均分子量:4600、
示差操作熱量測定から求めたガラス転移温度:102.5℃および133.7℃、
元素分析値(計算値);C:85.50%(85.92%)、H:7.78%(7.79%)、N:3.65%(4.04%)、
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜):図3に示した。
p−ドープされてゲートとして作用するシリコン基板表面を熱酸化してSiO2の絶縁層を200nm形成した後、酸化膜を片面だけ除去し、除去した面にAlを蒸着してゲート電極とした。次に、該SiO2の絶縁層上に、実施例1で得られた重合体1をTHF/パラキシレン=8/2の混合溶媒に約1.0wt%となるように溶解して調製した溶液をスピンコートした後、乾燥することにより有機半導体層を形成した。引き続き有機半導体層上にチャネル長30μm、チャネル幅10mmとなるようにAu膜を蒸着してソース・ドレイン電極を形成し、応用例1のTFTを作製した。
Ids=μCinW(Vg−Vth)2/2L …(a)
(ただし、Cinはゲート絶縁膜の単位面積あたりのキャパシタンス、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Vgはゲート電圧、Idsはソースドレイン電流、μは移動度、Vthはチャネルが形成し始めるゲートの閾値電圧である。)
上記作製した応用例1のTFTの移動度は8.9×10-5(cm2/Vsec)であった。
また、オンオフ比(Vds=−20V、Vg=−20VにおけるIdsと、Vds=−20V、Vg=+10〜−20Vの範囲内で観測された最小のIdsの比)は2.6×102で、閾値電圧は1.82Vであった。
以上のように、作製した応用例1のTFTは非常に優れた特性を示した。
p−ドープされてゲートとして作用するシリコン基板表面を熱酸化してSiO2の絶縁層を200nm形成した後、酸化膜を片面だけ除去し、除去した面にAlを蒸着してゲート電極とした。次に、該SiO2の絶縁層上に、実施例2で得られた重合体2をTHF/パラキシレン=8/2の混合溶媒に約1.0wt%となるように溶解して調製した溶液をスピンコートした後、乾燥することにより有機半導体層を形成した。引き続き有機半導体層上にチャネル長30μm、チャネル幅10mmとなるようにAu膜を蒸着してソース・ドレイン電極を形成し、応用例2のTFTを作製した。
以上のように、作製した応用例2のTFTは非常に優れた特性を示した。
p−ドープされてゲートとして作用するシリコン基板表面を熱酸化してSiO2の絶縁層を200nm形成した後、酸化膜を片面だけ除去し、除去した面にAlを蒸着してゲート電極とした。次に、該SiO2の絶縁層上に、実施例3で得られた重合体3をTHF/パラキシレン=8/2の混合溶媒に約1.0wt%となるように溶解して調製した溶液をスピンコートした後、乾燥することにより有機半導体層を形成した。引き続き有機半導体層上にチャネル長30μm、チャネル幅10mmとなるようにAu膜を蒸着してソース・ドレイン電極を形成し、応用例3のTFTを作製した。
以上のように、作製した応用例3のTFTは非常に優れた特性を示した。
Claims (2)
- 下記一般式(III)で表される繰返し単位を有することを特徴とするアリールアミン重合体。
(式中、R 1 、R 2 は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアルキルチオ基から選択される互いに異なる基を表し、xおよびyは、それぞれ0から5までの整数を表し、同一でも別異でもよく、R 1 とR 2 が同一である場合は、xおよびyが0から5までの互いに異なる整数を表すか、あるいはR 1 、R 2 の結合位置が異なる。R 3 、R 4 、R 5 、R 6 はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基を表し、同一でも別異でもよく、z、u、v、wはそれぞれ独立に0から4の整数を表す。) - 前記一般式(III)で表される繰返し単位におけるR1、R2で表される基のそれぞれ少なくとも一つがパラ位に結合していることを特徴とする請求項1に記載のアリールアミン重合体。
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