JP2006251413A - ポリカーボネート樹脂を用いたプラスチックレンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリカーボネート樹脂製プラスチックレンズ基材に、プライマー層無しでも密着性の良いハードコート層を設け、塩水煮沸試験に対しても優れた耐性を示すプラスチックレンズを得ることである。また、干渉縞を抑制し、外観を向上させたプラスチックレンズを得ることである。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂からなるプラスチックレンズであって、表面に耐塩水煮沸性を有する反射防止層を有し、プラスチックレンズ基材との間に、(A)成分:ポリカーボネートジオール、(B)成分:金属酸化物のコロイド粒子、(C)成分:オルガノシランの加水分解物、及び(D)成分:溶剤を含有するコーティング組成物により形成されたハードコート層を設けてなることを特徴とするプラスチックレンズ。

Description

本発明は、レンズ基材にポリカーボネート樹脂を用いたプラスチックレンズに関するものである。
近年、レンズ用の素材として、ガラスと比較して軽量であり、耐衝撃性、染色性、加工性等において利点を有することから、プラスチックが選ばれている。反面、ガラスと比較して耐擦傷性、耐熱性等では劣っており、これら欠点を克服するため種々の改良、改質の努力がなされている。耐擦傷性を改良する方法として、プラスチック基材にハードコートを施すことが行われている。ハードコート層はオルガノシランの加水分解物を主成分とするコーティング組成物によるものが一般的である。
しかしながら、レンズ基材に上述したようなコーティング組成物を塗布し、ハードコート層を形成させようとしても、密着性が足りず、初期密着、耐候密着ともに実用に耐えうる物ではなかった。そのため、密着性を付与するためにプライマー液をレンズ基材に塗布し、その後にハードコート液を塗布するという2段階の工程を必要としていた。特にポリカーボネート樹脂からなるレンズ基材においては、ハードコート層との密着性が悪くプライマー処理が不可欠であった。
また、レンズ基材にプライマー処理無しにハードコート層を設けると、耐衝撃性が著しく悪化する。プライマー層は、レンズ基材とハードコート層との間で衝撃吸収層としての役割を果たし、レンズの耐衝撃性を改善するのに役立っている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は多樹脂に比べて耐衝撃性が秀でているため、プライマー層が無くても十分実用に耐えうる耐衝撃性を持つレンズとなることができる。従って、ポリカーボネート樹脂からなるレンズ基材に対して、プライマー処理無しでも密着性に優れるようなハードコート層が望まれていた。
このようなハードコート層を得るものとして、特開平06−256718号公報では、接着促進剤としてカプロラクトン基ポリエステルポリオールを含有させることにより、プライマー組成物の塗布無しに熱可塑性シートと密着するコーティング組成物が開示されている。しかし、このカプロラクトン基ポリエステルポリオールを含有させて密着性を得る事ができても、ハードコート層を施した樹脂製複合物は白化してしまっていた。白化現象はレンズにとっては極めて不都合であり、実際にレンズには実施ができなかった。白化しない程度にカプロラクトン基ポリエステルポリオールの分量を減らそうとすると、密着性が得られなくなる。
これに対し、本出願人は、ポリカーボネートジオールを含有したハードコート組成物を、特願2003−312782号及びこれを優先権主張したPCT出願(PCT/JP2004/12290)にて出願している。ポリカーボネートジオールを含有したハードコート組成物は、白化現象を抑制しながらも優れた密着性を示し、ポリカーボネート樹脂に対しても有効である。ポリカーボネート樹脂を用いたレンズ基材に対してこのハードコート組成物を用いたレンズは、外観、初期密着性、硬度、耐候性等の各試験において優れた結果を示すが、塩水煮沸試験においては、クラックや膜剥げが早い段階で発生してしまっていた。塩水煮沸試験とは、4.2重量%濃度のNaCl水溶液を煮沸し、その中へ1分間レンズを繰り返し浸漬し、耐性を検査する試験である。
特開平06−256718号公報
解決しようとする問題点は、ポリカーボネート樹脂製プラスチックレンズ基材に、プライマー層無しでも密着性の良いハードコート層を設け、塩水煮沸試験に対しても優れた耐性を示すプラスチックレンズを得ることである。また、干渉縞を抑制し、外観を向上させたプラスチックレンズを得ることである。
本発明のプラスチックレンズは、ポリカーボネート樹脂からなるプラスチックレンズであって、表面に耐塩水煮沸性を有する反射防止層を有し、プラスチックレンズ基材との間に、下記(A)〜(D)成分:
(A)成分:ポリカーボネートジオール、
(B)成分:金属酸化物のコロイド粒子、
(C)成分:オルガノシランの加水分解物、及び
(D)成分:溶剤
を含有するコーティング組成物により形成されたハードコート層を設けてなることを特徴とするプラスチックレンズである。
また、上記プラスチックレンズにおいて、プラスチックレンズ基材の屈折率nと前記ハードコート層の屈折率nが、下記式を満たすことを特徴とする。
|n−n|≦0.02
プラスチックレンズ基材には、ポリカーボネート樹脂を用いる。ポリカーボネート樹脂は、分子の主鎖にカーボネート結合(−O−COO−)を有する高分子化合物であり、熱可塑性で優れた耐衝撃性を持つ樹脂である。この優れた耐衝撃性を持つポリカーボネート樹脂をレンズ基材に用いることにより、衝撃吸収層の役割を果たすプライマー層を省いてハードコート層を設けても、実用に十分耐えうる耐衝撃性を有するレンズとすることを可能にしている。
ハードコート層の形成は、ポリカーボネートジオールを含有したコーティング組成物を用いる。ポリカーボネートジオールは、直鎖脂肪族カーボネート骨格を有し、両末端に水酸基を持ったポリ炭酸エステルで、一般的には次のような構造式で表されるものである。
Figure 2006251413
(式中nは1以上の数であり、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。)
ポリカーボネートジオールは、密着促進剤としての性質を持ち、これを含有したコーティング組成物を用いることによりプライマー処理無しにレンズ基材への密着性の優れたハードコート層を形成することが可能になる。コーティング組成物におけるポリカーボネートジオールの含有量は、0.1重量%〜12重量%であるのが好ましく、0.1重量%〜7重量%であるのがより好ましい。含有量が0.1重量%未満の場合は、十分な密着性を有するハードコート層を形成できない。7重量%超の場合は、白化現象が目立つようになり外観が悪くなる。
コーティング組成物に含有させる金属酸化物のコロイド粒子としては、屈折率、安定性、分散性、耐擦傷性といった観点から様々な金属酸化物が選ばれ、これらのコロイド粒子を溶媒に分散させたゾルが用いられる。好ましくは、スズ、チタン、ジルコニウム、アンチモン、ケイ素、及びタングステンのうち、1種以上の金属の酸化物によるコロイド粒子を含んだものが用いられる。また、酸化チタンを核として五酸化アンチモンで被覆した複合コロイド粒子を主成分とするゾルや、酸化スズと酸化ジルコニウムを核として五酸化アンチモンで被覆した複合コロイド粒子を主成分とするゾルといったものも好ましく用いられる。本発明においては、これらコロイド粒子をハードコート層の屈折率調整として用いるが、プラスチックレンズ基材の屈折率をn、前記ハードコート層の屈折率をnとすると、下記式(1)を満たすように含有量を調整するのが好ましい。
|n−n|≦0.02
このように屈折率を調整されたレンズは、干渉縞が抑制されて外観特性が向上する。
コーティング組成物に含有させるオルガノシランの加水分解物とは、以下のような有機ケイ素化合物である。
例えばRSiX(Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基を有する有機基、Xは加水分解可能な基)で表される単官能性シランであり、具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
あるいはRSiXで表される二官能性シランであり、具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
あるいはRSiXで表される三官能性シランであり、具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、βーグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
さらにSiXで表される四官能性シランであり、具体例としては、テトラエチルオルソシリケート、テトラメチルオルソシリケート等が挙げられる。
これらの内、1種以上のオルガノシランの加水分解物がコーティング組成物に含有される。2種以上用いる場合の好ましい組み合わせとしては、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの組み合わせ、メチルトリメトキシシランとγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの組み合わせ、又はメチルトリメトキシシランとγ−アミノプロピルトリメトキシシランの組み合わせが挙げられる。
コーティング組成物に含有させるオルガノシランの加水分解物の含有量は、10.0重量%〜40.0重量%が好ましい。
コーティング組成物に含有させる溶剤としては、水性のものと有機溶剤がある。水性の溶剤としては、水もしくは水を含んだメタノール等の有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、芳香族炭化水素類、塩化芳香族炭化水素類、塩化脂肪族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、グリコールエーテル類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類、脂肪族又は芳香族炭化水素の混合物等が挙げられる。扱いやすさとレンズ基材表面をアタックして白化現象を起こさないことから、アルコール類のメタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール等が好ましく使用される。
コーティング組成物には、上記以外に、染色性能を向上させるために染色性付与剤を含有させることができる。この他、コーティング組成物の分散性を高め、レンズ基材への塗布時に平滑性を向上させてぬれ性を良くする為に界面活性剤を含有させたり、硬化反応を促進し、低温硬化を可能にさせる為に硬化触媒を含有させたり、耐候性や耐熱性を向上させるために紫外線吸収剤や酸化防止剤も含有させたりすることも可能である。
本発明では、上記したコーティング組成物を、スピンコート、ディッピング等の公知の方法でポリカーボネート樹脂からなるレンズ基材に塗布する。塗布後、乾燥硬化させてハードコート層をレンズ基材上に形成させる。
更に本発明においては、ハードコート層上に単層あるいは多層の無機物質系の金属単体、金属酸化物及び金属フッ化物等を設ける。金属酸化物としては、例えばSiO,SiO,ZrO,TiO,Al,Ta,Sb,CeO,Nb、Y等が挙げられ、金属フッ化物としては、例えばMgF等が挙げられ、反射防止層はこれら無機物の中から単独または二種以上選択して設けられる。一般的なプラスチックレンズの反射防止層は、低屈折率層と高屈折率層を交互に堆積することで3〜7層からなり、設計中心波長λは450〜550nmの範囲で、最も基板側にある層を第1層として、順に外側に向けて層番号を付与した場合、奇数層を低屈折率層、偶数層を高屈折率層とする。成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を使用することができる。このような反射防止層を設けることにより、反射の低減による透過率の向上、耐候性の向上を図ることができる。また、上記したコーティング組成物によるハードコート層は、塩水煮沸試験に対して優れた耐性を持っていなかったが、無機物からなる反射防止層をハードコート層上に設けることにより、ハードコート層を保護するように作用し、塩水煮沸試験における耐性が飛躍的に向上する。
本発明のポリカーボネート樹脂製プラスチックレンズは、プライマー層が無くてもハードコート層の密着性に優れている。耐衝撃性も十分で、塩水煮沸試験に対しても優れた耐性を発揮する。また、干渉縞が抑制され、外観が優れている。
実施例1〜2及び比較例1〜4に掲げた通り、眼鏡用プラスチックレンズを作製し、その後、干渉縞、外見、密着性、硬度、耐衝撃性、耐塩水煮沸を評価した。
フラスコにメチルトリメトキシシランを36gと蒸留水4gを混ぜて入れ、別のフラスコにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン81.5gと蒸留水28.5gを混ぜて入れ、それぞれ5時間以上攪拌しておいた。酸化スズ、酸化ジルコニウム、五酸化アンチモン、及び二酸化ケイ素からなる複合金属酸化物ゾル(固形分30%、メタノール分散ゾル、日産化学工業(株)製、商品名:サンコロイドHX−305M5)を250gフラスコに計り取って、攪拌して加水分解したメチルトリメトキシシラン38.1gと加水分解したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン105.9gを攪拌しながら添加した。その後、混合液を攪拌しながら、メトキシプロパノール80.5gを添加した。更に、硬化触媒としてアセチルアセトンアルミニウム5gを添加後、1時間攪拌した。その後、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPE200)を10g添加した。次にポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルCD205PL)を7.5g、フローコントロール剤としてシリコーン系界面活性剤(ダウコーニングアジア(株)製、商品名:ペインタッド32)を0.2gとシリコーン系界面活性剤(ダウコーニングアジア(株)製、商品名:DOW CORNING 57 ADDITIVE)を0.1g添加し、1時間攪拌した。上記混合液を室温で48時間熟成した。ポリカーボネート樹脂製の眼鏡用プラスチックレンズ基材(屈折率1.58)を作製し、ディッピング法により上記混合液を塗布し、100〜150℃で1時間30分間熱硬化させハードコート層(屈折率1.58)を形成させた。
上記ハードコート層を形成させたレンズを回転する蒸着ドームにセットし、真空室を60℃に加熱し真空圧力1.35×10−3Paまで排気を行い酸素イオンクリーニングを行った後 基板側から、
第1層 SiO 屈折率 1.47 光学膜厚 57nm
第2層 ZrO 屈折率 2.04 光学膜厚 47nm
第3層 SiO 屈折率 1.47 光学膜厚 13nm
第4層 ZrO 屈折率 2.04 光学膜厚 286nm
第5層 SiO 屈折率 1.47 光学膜厚 13nm
の順に真空蒸着し、反射防止層を形成させた。
酸化スズ、酸化ジルコニウム、五酸化アンチモン、及び二酸化ケイ素からなる複合金属酸化物ゾル(固形分30%、メタノール分散ゾル、日産化学工業(株)製、商品名:サンコロイドHX−305M5)370gをフラスコに計り取った。そこへ、蒸留水50gを攪拌しながら添加した。次にメチルトリメトキシシランを63gとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン175gを徐々に添加した。添加終了後さらに30分間攪拌した。その後、混合液を攪拌しながら、ジアセトンアルコール222gとメタノール44g添加した。更に、硬化触媒としてアセチルアセトンアルミニウム29gを添加後、1時間攪拌した。その後、ポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルCD205PL)を41g、フローコントロール剤としてシリコーン系界面活性剤(ダウコーニングアジア(株)製、商品名:ペインタッド32)を0.4gとシリコーン系界面活性剤(ダウコーニングアジア(株)製、商品名:DOW CORNING 57 ADDITIVE)を0.2g添加し、1時間攪拌した。上記混合液を室温で48時間熟成した。ポリカーボネート樹脂製の眼鏡用プラスチックレンズ基材(屈折率1.58)を作製し、ディッピング法により上記混合液を塗布し、100〜150℃で1時間30分間熱硬化させハードコート層(屈折率1.56)を形成させた。
上記ハードコート層を形成させたレンズを回転する蒸着ドームにセットし、真空室を60℃に加熱し真空圧力1.35×10−3Paまで排気を行い酸素イオンクリーニングを行った後 基板側から、
第1層 SiO 屈折率 1.47 光学膜厚 57nm
第2層 ZrO 屈折率 2.04 光学膜厚 47nm
第3層 SiO 屈折率 1.47 光学膜厚 13nm
第4層 ZrO 屈折率 2.04 光学膜厚 286nm
第5層 SiO 屈折率 1.47 光学膜厚 13nm
の順に真空蒸着し、反射防止層を形成させた。
[比較例1]
反射防止層を形成しなかった以外は実施例1と同じポリカーボネート樹脂製の眼鏡用プラスチックレンズを作製した。
[比較例2]
反射防止層を形成しなかった以外は実施例2と同じポリカーボネート樹脂製の眼鏡用プラスチックレンズを作製した。
[比較例3]
屈折率1.60のウレタン樹脂製の眼鏡用プラスチックレンズ基材に市販の熱硬化性ポリウレタン樹脂からなるプライマー液(日本エーアールシー(株)製、商品名:CP−605)をディッピング法により塗布し、80〜90℃で30分間熱硬化させプライマー層(屈折率1.52)を形成させた。
上記プライマー層を形成させたレンズに市販のシリコン樹脂からなるハードコート液(日本エーアールシー(株)製、商品名:C−337)をディッピング法により塗布し、100〜150℃で2時間熱硬化させハードコート層(屈折率1.47)を形成させた。
[比較例4]
比較例3のレンズを回転する蒸着ドームにセットし、真空室を60℃に加熱し真空圧力1.35×10−3Paまで排気を行い酸素イオンクリーニングを行った後 基板側から、
第1層 SiO 屈折率 1.47 光学膜厚 57nm
第2層 ZrO 屈折率 2.04 光学膜厚 47nm
第3層 SiO 屈折率 1.47 光学膜厚 13nm
第4層 ZrO 屈折率 2.04 光学膜厚 286nm
第5層 SiO 屈折率 1.47 光学膜厚 13nm
の順に真空蒸着し、反射防止層を形成させた。
実施例1〜2及び比較例1〜4のそれぞれのレンズの評価結果を下記表に示す。
Figure 2006251413
上記表中での評価方法を以下に示す。
(1)干渉縞
検査用光源(ナショナルパルック、三波長系昼白色15W)を使用して目視検査により確認した。評価基準は下記の通りである。
◎…干渉縞が極めて少ない。
○…干渉縞が眼鏡用レンズとして問題の無い程度。
△…干渉縞が顕著に表れている。
(2)外観
目視検査によりレンズの白化の度合いを確認した。評価基準は下記の通りである。
○…白化が確認できない。
△…少々の白化が確認できる。
×…白化が顕著に表れている。
(3)密着性
クロスハッチ試験により密着性を評価した。表中の数字は100個の碁盤目の内剥離が確認できなかった個数を示している。
(4)SW硬度
スチールウール#0000でハードコート面をこすりつけて傷つき具合を評価した。500gの荷重でこすり回数は10往復である。評価基準は下記の通りである。
A…全く傷が確認できない。
B…若干の傷が確認できる。
C…目立った傷が確認できる。
D…多くの目立った傷が確認できる。
E…傷が帯状に確認できる。
(5)耐衝撃性
1.2gの鉄球を127cmの高さからレンズ中心部に向かって自然落下させた。評価は次のような基準で行った。
○…割れなかった。
×…割れた。
(6)耐塩水煮沸
4.2%NaCL溶液を作製し、よく溶解させて煮沸状態に保つ。この中にレンズを1分間浸漬後取り出す。次に、常温のイオン交換水に1分間浸漬後取り出し、外観上の「密着性試験」を行う。上記の試験を繰り返し、密着性不良となるまでサイクル試験を行いその合格したサイクルを記す。10サイクルで試験を打ち切ったので、10サイクルと評価したものは10サイクル以上の耐性を有することを示す。
ポリカーボネートジオールを含有させたハードコート層は、プライマー層無しでもポリカーボネート樹脂製のプラスチックレンズ基材に優れた密着性を示し、耐衝撃性も十分であることが判明した。反射防止層を設けると、反射防止層を設けない場合に比べて耐塩水煮沸が向上した。ハードコートの屈折率とレンズ基材との屈折率との差を0.02未満に設定すると干渉縞が抑制された。

Claims (2)

  1. ポリカーボネート樹脂からなるプラスチックレンズであって、表面に耐塩水煮沸性を有する反射防止層を有し、プラスチックレンズ基材との間に、下記(A)〜(D)成分:
    (A)成分:ポリカーボネートジオール、
    (B)成分:金属酸化物のコロイド粒子、
    (C)成分:オルガノシランの加水分解物、及び
    (D)成分:溶剤
    を含有するコーティング組成物により形成されたハードコート層を設けてなることを特徴とするプラスチックレンズ。
  2. 前記プラスチックレンズ基材の屈折率nと前記ハードコート層の屈折率nが、下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックレンズ。
    |n−n|≦0.02
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