JP2006250202A - ローラの回転駆動伝達装置 - Google Patents

ローラの回転駆動伝達装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐久性を向上させるとともに製造コストの低減を図る。
【解決手段】 アニロックスローラ28の端軸28bに軸着されたローラギヤ83は、遊星歯車装置60のキャリアに取り付けられた伝達ギヤ90に噛合している。アニロックスローラ駆動用モータ84のモータギヤ85は、遊星歯車装置60のサンギヤと一体的に回転する中間ギヤ86に噛合している。本機駆動用モータによって駆動される駆動ギヤ81は、遊星歯車装置60のインターナルギヤ61に取り付けられた中間ギヤ88に噛合している。少なくとも本機駆動用モータ82の駆動が停止しているときはアニロックスローラ駆動用モータ84を駆動させる制御手段が備えられている。この制御手段は、アニロックスローラ駆動用モータ84の駆動が停止しているときは本機駆動用モータ82を駆動させる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、例えば印刷物にニスを塗布するためのアニロックスローラ等に適用されるローラの回転駆動伝達装置に関するものである。
この種のローラの回転駆動伝達装置においては、印刷が終了してアニロックスローラがニス供給胴から胴抜きされた後も、ニスの乾燥を防止するために、アニロックスローラを回転させている。すなわち、アニロックスローラがニス供給胴に胴入れしているときは、相対的な回転ムラによってニスの膜厚ムラが発生しないように、アニロックスローラをニス供給胴と同じ駆動源である本機駆動用モータによって駆動するようにしている。一方、印刷終了後に本機モータを停止するときは、アニロックスローラを駆動する専用のモータに切り替えてアニロックスローラを常時回転させるようにしている。このため、本機駆動用モータからの駆動と専用のモータからの駆動とを切り替えるためのクラッチが設けられている。
従来は、ゴム胴に胴入れ・胴抜き自在なニス着ローラと、ゴム胴の胴ギヤとニス着ローラの着ローラギヤとの間に設けられた第1の一方向クラッチと、ニス着ローラ駆動専用モータとニス着ローラの着ローラギヤとの間に設けられた第2の一方向クラッチとを備え、ゴム胴に対してニス着ローラが着しているときは、第1の一方向クラッチを介して本機モータからの駆動がニス着ローラに伝達され、ゴム胴からニス着ローラが脱しているときは、第2のクラッチを介してニス着ローラ駆動専用モータからの駆動がニス着ローラに伝達されるものがある(例えば、特許文献1参照)。なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見付け出すことはできなかった。
特公平4−3303号公報(4頁右欄37行〜5頁左欄39行、第7図および第8図)
上述した従来のローラの回転駆動伝達装置においては、内輪と外輪とが空回りするとき、一方向クラッチを構成しているローラまたはスプラグと内輪および外輪とが接触したままの状態で滑らしているために、耐久性において問題があった。また、ニス着ローラと接触して回転するゴム胴の周面には切欠きが設けられているため、この切欠きにニス着ローラが対向するときに大きな負荷変動が発生する。このため、ローラまたはスプラグと内輪および外輪との間に大きな変動負荷がかかる結果、これらに偏摩耗や変形等を生じさせる。また、一方向クラッチを2つ設ける必要があるため製造コストが嵩むという問題もあった。
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、耐久性を向上させるとともに製造コストの低減を図ることにある。
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、第1の駆動源の駆動により回転するインターナルギヤと、第2の駆動源の駆動により回転するサンギヤと、これらサンギヤとインターナルギヤと噛合するプラネットギヤと、このプラネットギヤを回転自在に支持し前記インターナルギヤと前記サンギヤとの少なくともいずれか一方が回転することにより前記サンギヤの周りを回転するキャリアと、このキャリアと連結されキャリアの回転により回転するローラと、少なくとも前記第1の駆動源の駆動が停止しているときには前記第2の駆動源を駆動させる制御手段を備えたものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記制御手段は、少なくとも印刷またはコーティング中の状態で前記第1の駆動源が駆動しているときに前記第2の駆動源の駆動が停止している。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記ローラをニス供給胴に対接するアニロックスローラとし、このアニロックスローラを前記ニス供給胴に対して着脱させる着脱用駆動手段を設け、前記制御手段は、前記アニロックスローラが前記ニス供給胴に胴入れしているときは前記第2の駆動源の駆動を停止させ、前記アニロックスローラが前記ニス供給胴から胴抜きされているときには前記第2の駆動源を駆動させる。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第1の駆動源の電圧値を検出する電圧値検出手段を備え、前記制御手段は、前記電圧値検出手段の検出出力が零のときに前記第2の駆動源の駆動を開始させるとともに、前記電圧値検出手段の検出出力が零を越えたときに前記第2の駆動源の駆動を停止させる。
本発明によれば、インターナルギヤおよびサンギヤならびにプラネットギヤの互いに噛みあっている歯どうしが滑るようなことがないから対摩耗性や耐久性が向上する。また、従来のようにクラッチを2つ設ける必要がなく、1個の遊星歯車装置を設ければよいから製造コストの低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係るローラの回転駆動伝達装置を備えた枚葉輪転印刷機の側面図、図2は同じく枚葉輪転印刷機のローラの配列図であってコーティング開始直後の状態を示し、図3は同じく枚葉輪転印刷機のローラの配列図であってコーティング終了時の状態を示し、図4は同じく胴の着脱装置の側面図、図5は同じくクラッチ手段として機能する遊星歯車装置を示し、同図(A)は正面図、同図(B)は分解して示す斜視図、図6は同じく回転駆動伝達装置を説明するための要部を示す断面図、図7は同じく要部におけるギヤの駆動伝達経路を示すモデル図、図8は同じく枚葉輪転印刷機の構成を示すブロック図である。
図1において、全体を符号1で示す枚葉輪転印刷機は、シート状物としての紙を給紙する給紙部2と、給紙された紙を印刷する印刷部3と、印刷された紙の表裏面にニスをコーティングするコーティング部4と、コーティングされた紙が排紙される排紙部5とによって構成されている。印刷部3は、4台の第1ないし第4の表面印刷ユニット6Aないし6Dと、4台の第1ないし第4の裏面印刷ユニット7Aないし7Dとからなる。
4台の表面印刷ユニット6Aないし6Dには、周面に紙をくわえる爪が設けられた倍径の圧胴10aと、この圧胴10aの上部において対向するゴム胴11aと、このゴム胴11aの上部において対向する版胴12aと、この版胴12aにインキを供給するインキ装置13aと、版胴12aに水を供給する給水装置14aとがそれぞれ備えられている。
また、4台の裏面印刷ユニット7Aないし7Dには、周面に紙をくわえる爪が設けられた倍径の圧胴10bと、この圧胴10bの下部において対向するゴム胴11bと、このゴム胴11bの下部において対向する版胴12bと、この版胴12bにインキを供給するインキ装置13bと、版胴12bに水を供給する給水装置14bとがそれぞれ備えられている。
このような構成において、給紙部2からフィーダボード15に供給された紙の先端は、スイング装置16にくわえられ、渡し胴17を介して第1の表面印刷ユニット6Aの圧胴10aの爪にくわえ替えられ、圧胴10aとゴム胴11aとの対向点を通過するときに表面に1色目が印刷される。次いで、表面に1色目が印刷された紙は、第1の裏面印刷ユニット7Aの圧胴10bにくわえ替えられ、圧胴10bとゴム胴11bとの対向点を通過するときに裏面に1色目が印刷される。
順次、第2ないし第4の表面印刷ユニット6Bないし6Dおよび第2ないし第4の裏面印刷ユニット7Bないし7Dによって、表裏面に4色が印刷された紙は、後述するようにコーティングユニット4によって表裏面にニスがコーティングされる。コーティングされた紙は、排紙ユニット5の排紙チェーン19の排紙爪(図示せず)にくわえ替えられ、排紙チェーン19によって搬送された後、排紙パイル20上に落下し積載される。
図2において、22はフィーダボード15の前端部に設けられたセンサーであって、フィーダボード15上の紙の有無を検出する。コーティングユニット4は、最終の裏面印刷ユニット7Dの圧胴10bに対向する圧胴としてのゴム圧胴24と、印刷された紙の裏面をコーティングする第1のニスコーティング手段25と、印刷された紙の表面をコーティングする第2のニスコーティング手段26とによって構成されている。
第1のニスコーティング手段25は、ゴム圧胴24と圧胴10bの対向点から紙搬送方向の上流側においてゴム圧胴24と対向するニス供給胴としての第1のニス膜形成胴27と、この第1のニス膜形成胴27に対向するニス供給手段としての第1のアニロックスローラ28と、この第1のアニロックスローラ28にニスを供給するチャンバーコータ29とから構成されている。したがって、チャンバーコータ29から第1のアニロックスローラ28に供給されたニスは、第1のニス膜形成胴27を介してゴム圧胴24の周面に転移される。
第2のニスコーティング手段26は、ゴム圧胴24と圧胴10bの対向点から紙搬送方向の下流側においてゴム圧胴24と対向するニス供給胴としてのゴム胴30と、このゴム胴30と対向するニス供給胴としての第2のニス膜形成胴31と、この第2のニス膜形成胴31に対向するニス供給手段としての第2のアニロックスローラ32と、この第2のアニロックスローラ32にニスを供給するチャンバーコータ33とから構成されている。
したがって、チャンバーコータ33から第2のアニロックスローラ32に供給されたニスは、第2のニス膜形成胴31を介してゴム胴30に転移され、このゴム胴30とゴム圧胴24の対向点を通過する印刷された紙の表面にコーティングされる。このゴム胴30とゴム圧胴24の対向点を紙が通過するときに、ゴム胴30の印圧によって、上述した第1のニスコーティング手段25の第1のニス膜形成胴27からゴム圧胴24の周面に転移されたニスが、印刷された紙の裏面にコーティングされる。
次に、図4を用いて第1のニスコーティング手段25における第1のニス膜形成胴27の胴入れ、胴抜きを行う胴着脱装置および第2のニスコーティング手段26におけるゴム胴30の胴入れ、胴抜きを行う胴着脱装置について説明する。これら胴着脱装置は共に同じ構造であるため、ここではゴム胴30の胴入れ、胴抜きを行う胴着脱装置40についてのみ詳細に説明し、ゴム胴27の胴入れ、胴抜きを行う胴着脱装置については必要に応じて概略を説明する。
ゴム圧胴24と第2のニス膜形成胴31との両端軸は、フレーム39に図示をしない軸受を介して回転自在に軸支されている。また、ゴム胴30の両端軸30aは、左右のフレーム39に嵌着された後述する偏心軸受41に回転自在に軸支されている。ゴム圧胴24の端軸に近接して片側のフレーム39から外方へ突設されたスタッド42には、ブラケット43が支持されており、このブラケット43には、駆動装置としてのステッピングモータ44が駆動ロッド45を直立させて固定されている。
ステッピングモータ44を駆動させてナット44aを回転させることにより、このナット44aにねじ部を螺合させた駆動ロッド45が上下に進退するように構成されている。駆動ロッド45の上方に位置して左右のフレーム39に両端部を軸支されたレバー軸46の突出部には、正面視をL字状に形成された連結レバー47が軸着されている。
前記偏心軸受41は、フレーム39の軸受孔に嵌着されたハウジングに、針状ころを介してハウジングと嵌合する外輪と、これに円錐ころを介して回転自在に嵌合された内輪(いずれも図示せず)とで形成されている。このような偏心軸受41の外輪に固定された軸受レバー48と前記連結レバー47とはロッド49で連結されており、前記ステッピングモータ44の駆動により駆動ロッド45を進退させ、連結レバー47とロッド49および軸受レバー48を経て偏心軸受41が回動するように構成されている。
偏心軸受41を構成する内輪内周面の軸芯と、偏心軸受41の外輪外周面の軸芯とは、互いに所定の寸法だけ偏心されている。すなわち、ゴム胴30の胴入れ状態から、ステッピングモータ44のロッド45を後退させることにより、内輪内周面の軸芯が外輪外周面の軸心を中心として移動する。この結果、ゴム胴30とゴム圧胴24との間に隙間が形成され胴抜きが行われる。なお、ゴム胴30と第2のニス膜形成胴31とは互いの周面が対向された状態が維持されている。
一方、第1のニスコーティング手段25の第1のニス膜形成胴27の偏心軸受(図示せず)にも、ステッピングモータ44によって駆動することによりこの偏心軸受を回動させる同じ機構が備えられている。したがって、この第1のニスコーティング手段25のゴム胴27においても、ステッピングモータ44を回転させ偏心軸受を回動させることにより、ゴム胴27とゴム圧胴24との間に隙間が形成され胴抜きが行われる。
次に、図2を用いて第1のニスコーティング手段25の第1のアニロックスローラ28の胴入れ、胴抜きを行う胴着脱装置および第2のニスコーティング手段26の第2のアニロックスローラ32の胴入れ、胴抜きを行う胴着脱装置について説明する。第1のアニロックスローラ28は偏心軸受28aを介してフレーム39に回動自在に支持されており、この偏心軸受28aの外輪には軸受レバー53Aが固定されている。この軸受レバー53Aの揺動端部は、シリンダエンドをフレーム39に枢着されたエアーシリンダ51Aのロッド52Aに枢着されている。
したがって、エアーシリンダ51Aを作動させ、ロッド52Aを前進させると軸受レバー53Aを介して、偏心軸受28aが図中反時計方向へ回動することにより、第1のアニロックスローラ28と第1のニス膜形成胴27との間に隙間が形成され胴抜きが行われる。一方、エアーシリンダ51Aを作動させ、ロッド52Aを後退させることにより軸受レバー53Aを介して偏心軸受28aを図中時計方向へ回動させて、第1のアニロックスローラ28を第1のニス膜形成胴27に対向させ胴入れが行われる。
第2のアニロックスローラ32は偏心軸受32aを介してフレーム39に回動自在に支持されており、この偏心軸受32aの外輪には軸受レバー53Bが固定されている。この軸受レバー53Bの揺動端部は、シリンダエンドをフレーム39に枢着されたエアーシリンダ51Bのロッド52Bに枢着されている。したがって、エアーシリンダ51Bを作動させ、ロッド52Bを前進させることにより、軸受レバー53Bを介して偏心軸受32aを図中時計方向へ回動させて、第2のアニロックスローラ32と第2のニス膜形成胴31との間に隙間を形成し胴抜きが行われる。
一方、エアーシリンダ51Bを作動させロッド52Bを後退させることにより、軸受レバー53Bを介して偏心軸受32aを図中反時計方向へ回動させて、第2のアニロックスローラ32を第2のニス膜形成胴31に対向させ胴入れが行われる。以上説明した印刷装置は、従来から知られている枚葉輪転印刷機のコーティング装置と格別変わるところはない。
次に、図5を用いて、アニロックスローラ28,32への駆動伝達を切り替えるクラッチとして機能する遊星歯車装置60について説明する。同図に全体を符号60で示す遊星歯車装置は、第1の駆動源としての本機駆動用モータ82(図8参照)の駆動により回転するインターナルギヤ61と、第2の駆動源としてのアニロックスローラ駆動用モータ84の駆動により回転するサンギヤ62と、これらサンギヤ62とインターナルギヤ61と噛合する4個のプラネットギヤ63と、このプラネットギヤ63を回転自在に支持しインターナルギヤ61とサンギヤ62との少なくともいずれか一方が回転することによりサンギヤ62の周りを回転するキャリア64A,64Bとによって概ね構成されている。
よく知られているように、インターナルギヤ61はリング状に形成されており、周方向に等間隔おいて複数の挿通孔61aが設けられている。サンギヤ62の中央部には、断面がDカット状に形成された嵌合孔62aが設けられている。プラネットギヤ63の中央部には遊挿孔63aが設けられている。一方のキャリア64Aの中央部には内歯車65が形成され、周部の裏面には4個の仕切用凸部67が突設されており、この仕切用凸部67にはボス68が突設され、互いに隣接する仕切用凹部67,67間には、図示を省略した支持凹部が設けられている。
他方のキャリア64Bの中央部には嵌入孔70が設けられ、周部の裏面には4個の支持凹部71が設けられ、互いに隣接する支持凹部71,71間のそれぞれには4個の仕切用凸部72が突設されており、この仕切用凸部72のそれぞれには支持凹部73が設けられている。74A,74Bは4個ずつのプラネットローラであって、これらプラネットローラ74A,74Bのそれぞれには、鍔75,75が形成されており、中央部には遊挿孔76,76が設けられている。
このような構成において、プラネットローラ74A,74Bがプラネットギヤ63の両側から遊挿孔63aに遊挿されることにより、プラネットギヤ63がプラネットローラ74A,74Bのそれぞれの鍔75,75によって挟まれる。他方のキャリア64Bの支持凹部71に4本の支持軸77の一端部を嵌合固定され、これら4本の支持軸77にプラネットローラ74A,74Bの遊挿孔76,76が遊挿されることにより、プラネットギヤ63がキャリア64Bに回転自在に支持される。
サンギヤ62を4個のプラネットギヤ63の中央に位置させて4個のプラネットギヤ63に噛合させるとともに、インターナルギヤ61によって4個のプラネットギヤ63を囲むようにしてインターナルギヤ61を4個のプラネットギヤ63に噛合させる。この状態で、一方のキャリア64Aの4本のボス68を他方のキャリア64Bの支持凹部73に嵌合固定させるとともに、支持軸77の他端部を一方のキャリア64Aの支持凹部に嵌合固定させることにより遊星歯車装置60が形成される。
このように形成された遊星歯車装置60は、インターナルギヤ61およびサンギヤ62ならびにプラネットギヤ63のそれぞれの歯数が、後述するように本機駆動用モータ82によってアニロックスローラ28を回転させるときに、アニロックスローラ28とゴム胴27との互いの周速が同じになるように設定されている。また、これらインターナルギヤ61およびサンギヤ62ならびにプラネットギヤ63のそれぞれの歯数は、本機駆動用モータ82とアニロックスローラ駆動用モータ84とが同時に駆動しているときに、アニロックスローラ28の回転が停止することがないように設定されている。
次に、図6ないし図8を用いてアニロックスローラ28,32の回転駆動伝達装置について説明する。これら回転駆動伝達装置は共に同じ構造であるため、ここではアニロックスローラ28の回転駆動伝達装置についてのみ詳細に説明し、アニロックスローラ32の回転駆動伝達装置については必要に応じて概略を説明する。
図6において、81は本機駆動用モータ82(図8参照)の駆動によって回転する駆動ギヤであって、アニロックスローラ28の端軸28bに回転自在に支持されている。83はアニロックスローラ28の端軸28bに軸着されたローラギヤである。84はフレーム39の外側に取り付けられたアニロックスローラ駆動用モータであって、出力軸84aに軸着されたモータギヤ85にはフレーム39に回転自在に支持された中間ギヤ86が噛合している。87は一端側周部にキー溝が設けられ、他端側の断面がDカット状に形成された軸であって、一端側には中間ギヤ86がキーを介して軸着され、他端側が上記した遊星歯車装置60のサンギヤ62の嵌合孔62aに嵌合されており、この軸87を介して中間ギヤ86はサンギヤ62と一体的に回転する。
88はフレーム39に取り付けられた軸受部材89に回転自在に支持された中間ギヤであって、上記した駆動ギヤ81に噛合するとともに、図5(A)に示すように、遊星歯車装置60のインターナルギヤ61の挿通孔61aに挿通させたねじ61bによってインターナルギヤ61に取り付けられている。図6において、90はフレーム39に取り付けられた軸受部材91に回転自在に支持された伝達ギヤであって、上記したローラギヤ83に噛合している。
図5(B)において、92は一端側周部にスプラインが形成され、他端側周部にキー溝が設けられた軸であって、他端側端面に小軸92aが突設している。この軸92の一端側は、遊星歯車装置60の一方のキャリア64Aの内歯65に噛合し、他端側には、図6に示すように伝達ギヤ90がキーによって軸着されており、この軸92を介して伝達ギヤ90はキャリア64Aと一体的に回転する。軸92の小軸92aは、フレーム39に取り付けられた軸受部材93に回転自在に支持されている。
図8において、95は印刷機の各胴の回転位置を検出するロータリーエンコーダ、96は機械運転開始ボタン、97は機械運転停止ボタンである。98は制御手段であって、本機駆動用モータ82が駆動して印刷しているとき、最後の紙がスイング装置16から渡し胴17の爪にくわえ替えられ、センサー22で紙無しと検出することにより、エアーシリンダ51A,51Bを作動させて、第1のアニロックスローラ28を第1のニス膜形成胴27から胴抜きさせるとともに、第2のアニロックスローラ32を第2のニス膜形成胴31から胴抜きさせる。同時に、制御手段98は、アニロックスローラ駆動用モータ84を駆動し、本機駆動用モータ82の駆動を継続させる。この後、最後の紙が排紙装置5に排紙されたことをロータリーエンコーダ95によって検出すると、制御手段98は本機駆動用モータ82の駆動を停止する。
すなわち、制御手段98は、最後の紙がスイング装置16から渡し胴17の爪にくわえ替えられ、センサー22で紙無しと検出したときから最後の紙が排紙装置5に排紙されるまでの間は、本機駆動用モータ82とアニロックス駆動用モータ84とを同時に駆動する。そして、最後の紙が排紙装置5に排紙された後、本機駆動用モータ82の駆動が停止しているときはアニロックスローラ駆動用モータ84を駆動する。
したがって、アニロックス駆動用モータ84は、本機駆動用モータ82が駆動しているときは、駆動するときと駆動しないときがあるが、本機駆動用モータ82が駆動していないときには必ず駆動する。換言すれば、制御手段98は、少なくとも本機駆動用モータ82が駆動していないときはアニロックスローラ駆動用モータ82を駆動する。また、制御手段98は、印刷の開始時には、アニロックスローラ駆動用モータ84の駆動を停止させるとともに本機駆動用モータ82を駆動する。
次に、このように構成されたローラの回転駆動伝達装置において、印刷の開始時と印刷の終了時におけるアニロックスローラへの駆動の切替動作について説明する。先ず、印刷の開始時におけるアニロックスローラへの駆動の切替動作について説明する。機械運転開始ボタン96をオンすることにより、アニロックスローラ着脱用エアーシリンダ51A,51Bが作動し、第1のアニロックスローラ28が第1のニス膜形成胴27から離間して胴抜きされるともに、第2のアニロックスローラ32が第2のニス膜形成胴31から離間して胴抜きされる。
また、本機駆動用モータ82の駆動は停止したままの状態で、アニロックスローラ駆動用モータ84が駆動し、この駆動はモータギヤ85および中間ギヤ86を介して遊星歯車装置60のサンギヤ62に伝達される。本機駆動用モータ82の駆動が停止しているため、中間ギヤ88を介して駆動ギヤ81に連結されている遊星歯車装置60のインターナルギヤ61の回転が停止している。
したがって、サンギヤ62が回転することによって、図5において、4個のプラネットギヤ63が回転し、プラネットギヤ63が噛合しているインターナルギヤ61の回転が停止しているため、キャリア64Aがサンギヤ62の周りを回転する。このため、キャリア64Aに取り付けられている伝達ギヤ90が回転するため、この伝達ギヤ90に噛合しているローラギヤ83を介してアニロックスローラ28,32が回転する。
この状態で、本機駆動用モータ82が駆動し印刷が開始されて、最初の紙が給紙装置2からフィーダボード15に給紙されセンサー22によって検知すると、各印刷ユニット6Aないし6Dのゴム胴10aと各印刷ユニット7Aないし7Dのゴム胴10bが胴入れされ、各印刷ユニット6Aないし6Dを搬送される紙の表面に印刷が施され、各印刷ユニット7Aないし7Dを搬送される紙の裏面に印刷が施される。印刷された紙がコーティングユニット4に搬送される直前に、ロータリーエンコーダ95の検出信号に基づき制御手段98は、ステッピングモータ44を作動させて、ゴム圧胴24に対して第1のニス膜形成胴27が胴入れするとともに、ゴム圧胴24に対してゴム胴30を胴入れする。
同時に、エアーシリンダ51Aが作動し、第1のニス膜形成胴27に対して第1のアニロックスローラ28を胴入れするとともに、エアーシリンダ51Bが作動し、第2のニス膜形成胴31に対して第2のアニロックスローラ32を胴入れする。したがって、チャンバーコータ29から第1のアニロックスローラ28に供給されていたニスが第1のニス膜形成胴27に供給される。同時に、チャンバーコータ33から第2のアニロックスローラ32に供給されていたニスは第2のニス膜形成胴31を介してゴム胴30に供給される。
この第1および第2のアニロックスローラ28,32の胴入れと同時に、制御手段98はアニロックスローラ駆動用モータ84の駆動を停止させる。このアニロックスローラ駆動用モータ84の駆動が停止されるまでの間、アニロックスローラ駆動用モータ84と本機駆動用モータ82とが同時に駆動するが、上述したように、インターナルギヤ61およびサンギヤ62ならびにプラネットギヤ63のそれぞれの歯数は、インターナルギヤ61とサンギヤ62が同時に回転するとき、キャリア64A,64Bの回転が停止することがないように設定されている。このため、キャリア64Aを介してアニロックスローラ28,32は回転を継続している。
このアニロックスローラ駆動用モータ84の駆動の停止によって、モータギヤ85および中間ギヤ86を介してアニロックスローラ駆動用モータ84に駆動連結されている遊星歯車装置60のサンギヤ62の回転が停止する。したがって、本機駆動用モータ82に駆動連結されている駆動ギヤ81に噛合している中間ギヤ88を介して、この中間ギヤ88が取り付けられている遊星歯車装置60のインターナルギヤ61が回転する。
インターナルギヤ61が回転することによって、図5において、4個のプラネットギヤ63が回転し、プラネットギヤ63が噛合しているサンギヤ62の回転が停止しているため、キャリア64Aがサンギヤ62の周りを回転する。このため、キャリア64Aに取り付けられている伝達ギヤ90が回転するため、この伝達ギヤ90に噛合しているローラギヤ83を介してアニロックスローラ28,32が回転している。このアニロックスローラ28,32は本機駆動用モータ82によって駆動する。
このとき、上述したように、遊星歯車装置60のインターナルギヤ61およびサンギヤ62ならびにプラネットギヤ63のそれぞれの歯数が、本機駆動用モータ82によってアニロックスローラ28を回転しているとき、アニロックスローラ28とゴム胴27との互いの周速が同じになるように設定されている。このため、このアニロックスローラ28,32とニス膜形成胴27,31間における相対的な回転ムラによるニスの膜厚ムラが発生するようなことはない。
次に、図3を用いて、印刷終了時におけるアニロックスローラへの駆動の切替動作について説明する。給紙装置2からの給紙が終了し、最後の紙がスイング装置16から渡し胴17の爪にくわえ替えられると、センサー22で紙無しと検出する。この検出によって、エアーシリンダ51A,51Bが作動し、第1のアニロックスローラ28が第1のニス膜形成胴27から離間して胴抜きされるとともに、第2のアニロックスローラ32が第2のニス膜形成胴31から離間して胴抜きされる。
同時に、制御手段98では、アニロックスローラ駆動用モータ84を駆動させ、この駆動はモータギヤ85および中間ギヤ86を介して遊星歯車装置60のサンギヤ62に伝達され、サンギヤ62が回転を開始する。このとき、本機駆動用モータ82の駆動が継続されているため、中間ギヤ88を介して駆動ギヤ81に連結されている遊星歯車装置60のインターナルギヤ61も回転している。
上述したように、インターナルギヤ61およびサンギヤ62ならびにプラネットギヤ63のそれぞれの歯数は、インターナルギヤ61とサンギヤ62が同時に回転するとき、キャリア64A,64Bの回転が停止することがないように設定されている。このため、キャリア64Aを介して胴抜きされた状態のアニロックスローラ28,32が回転を継続するため、アニロックスローラ28,32上におけるニスの乾燥が防止される。
この状態で、各印刷ユニット6Aないし6D、各印刷ユニット7Aないし7Dでは、順次最後の紙が通過したときに各ゴム胴11a,11bが圧胴10a,10bに対して胴抜きされ、この最後の紙が排紙装置5に排紙されたことをロータリーエンコーダ95によって検出すると、制御手段98では本機駆動用モータ82の駆動を停止する。したがって、本機駆動用モータ82と駆動連結されている遊星歯車装置60のインターナルギヤ61の回転が停止するため、アニロックスローラ28,32はアニロックスローラ駆動用モータ84のみによる駆動に切り替わる。機械運転停止ボタン97をオンすることにより印刷機械の駆動が停止する。
このように、アニロックスローラ28,32への駆動の切替を遊星歯車機構によって行うようにしたことにより、インターナルギヤ61、サンギヤ62、プラネットギヤ63の互いに噛みあっているギヤの歯どうしは滑るようなことがないから対摩耗性や耐久性が向上する。また、従来のようにクラッチを2つ設ける必要がないから製造コストの低減を図ることもできる。
図9は本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。同図において、99は本機駆動用モータ82の電圧値を検出する電圧値検出手段である。100は制御手段であって、電圧値検出手段99の検出出力が零のときにアニロックスローラ駆動用モータ84の駆動源の駆動を開始させるとともに、前記電圧値検出手段の検出出力が零を越えたときにアニロックスローラ駆動用モータ84の駆動を停止させる。すなわち、制御手段98は、本機駆動用モータ82が停止しているときはアニロックスローラ駆動用モータ84を駆動させるとともに、本機駆動用モータ82が駆動しているときはアニロックスローラ駆動用モータ84の駆動を停止させるように制御する。換言すれば、上述した第1の実施の形態と異なり本機駆動用モータ82とアニロックスローラ駆動用モータ84とを同時に駆動する状態が存在しない。
なお、本実施の形態においては、ニスコーティングユニットとして、チャンバーコータ29,33からアニロックスローラ28,32にニスを供給するようにしたが、ニス舟内のニスに周面の一部を浸漬する元ローラによってニスを引き上げるようにしてもよい。また、コータ装置におけるアニロックスローラの例を説明したが、給水装置における水着ローラにも適用することができる。また、本実施の形態においては、コーティング装置を枚葉輪転印刷機の印刷部3と排紙部5との間に設けたコーティングユニットとしたが、独立したニス塗り機内等に設けたコーティングユニットとしてもよい。
本発明に係るローラの回転駆動伝達装置を備えた枚葉輪転印刷機の側面図である。 本発明に係るローラの回転駆動伝達装置を備えた枚葉輪転印刷機のローラの配列図であって、コーティング開始状態を示す。 本発明に係るローラの回転駆動伝達装置を備えた枚葉輪転印刷機のローラの配列図であって、コーティング終了時の状態を示す。 本発明に係るコーティング装置における胴着脱装置の側面図である。 本発明に係るローラの回転駆動伝達装置において、クラッチとして機能する遊星歯車装置を示し、同図(A)は正面図、同図(B)は分解して示す斜視図である。 本発明に係るローラの回転駆動伝達装置において、回転駆動伝達装置を説明するための要部を示す断面図である。 本発明に係るローラの回転駆動伝達装置において、要部におけるギヤの駆動伝達経路を示すモデル図である。 本発明に係るローラの回転駆動伝達装置を備えた枚葉輪転印刷機の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。
符号の説明
1…枚葉輪転印刷機、2…給紙装置、3…印刷部、4…コーティングユニット、22…センサー、24…ゴム圧胴、25…第1のニスコーティング手段、26…第2のニスコーティング手段、27…第1のニス膜形成胴、28,32…第1のアニロックスローラ、29,33…チャンバーコータ、30…ゴム胴、31…第2のニス膜形成胴、40…胴着脱装置、41…偏心軸受、51A,51B…アニロックスローラ着脱用エアーシリンダ、60…クラッチ手段、61…インターナルギヤ、62…サンギヤ、63…プラネットギヤ、64A,64B…キャリア、81…駆動ギヤ、82…本機駆動用モータ(第1の駆動源)83…ローラギヤ、84…アニロックスローラ駆動用モータ(第2の駆動源)、88…中間ギヤ、90…伝達ギヤ、95…ロータリーエンコーダ、98,100…制御手段、99…電圧値検出手段。

Claims (4)

  1. 第1の駆動源の駆動により回転するインターナルギヤと、
    第2の駆動源の駆動により回転するサンギヤと、
    これらサンギヤとインターナルギヤと噛合するプラネットギヤと、
    このプラネットギヤを回転自在に支持し前記インターナルギヤと前記サンギヤとの少なくともいずれか一方が回転することにより前記サンギヤの周りを回転するキャリアと、
    このキャリアと連結されキャリアの回転により回転するローラと、
    少なくとも前記第1の駆動源の駆動が停止しているときには前記第2の駆動源を駆動させる制御手段を備えたことを特徴とするローラの回転駆動伝達装置。
  2. 請求項1記載のローラの回転駆動伝達装置において、
    前記制御手段は、少なくとも印刷またはコーティング中の状態で前記第1の駆動源が駆動しているときに前記第2の駆動源の駆動が停止していることを特徴とするローラの回転駆動伝達装置。
  3. 請求項2記載のローラの回転駆動伝達装置において、
    前記ローラをニス供給胴に対接するアニロックスローラとし、
    このアニロックスローラを前記ニス供給胴に対して着脱させる着脱用駆動手段を設け、
    前記制御手段は、前記アニロックスローラが前記ニス供給胴に胴入れしているときは前記第2の駆動源の駆動を停止させ、前記アニロックスローラが前記ニス供給胴から胴抜きされているときには前記第2の駆動源を駆動させることを特徴とするローラの回転駆動伝達装置。
  4. 請求項1記載のローラの回転駆動伝達装置において、
    前記第1の駆動源の電圧値を検出する電圧値検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記電圧値検出手段の検出出力が零のときに前記第2の駆動源の駆動を開始させるとともに、前記電圧値検出手段の検出出力が零を越えたときに前記第2の駆動源の駆動を停止させることを特徴とするローラの回転駆動伝達装置。
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