JP2006249561A - 延性に優れた高強度極細鋼線 - Google Patents

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Abstract

【課題】 引張強さ及び延性に非常に優れた高強度鋼線を提供する。
【解決手段】 板状のフェライトの平均幅が15nm以下であり、かつフェライト中心部の平均C濃度が0.2質量%以下であることを特徴とする延性に優れた高強度鋼線。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車用タイヤのスチールコード等に使用される高強度鋼線に関するものである。詳しくは、ダイスを用いて冷間で伸線加工強化された線径0.04〜0.4mm、強度4200MPa級以上の極細線に関するものである。
自動車タイヤスチールコード用鋼線においては、タイヤの軽量化の要求から、鋼線の高張力化に対するニーズが高まっている。このような要請に答えるために、多数の研究が精力的に展開された結果、鋼線の高張力化に加え十分な延性が確保される必要があることが明らかになった。延性指標としてはいくつかあるが、例えばねじり試験による捻回数や、試験中に鋼線の長手方向に生ずる割れ(デラミネーション)の発生の有無がある。鋼線の高強度化には延性の低下が大きな課題となっており、これを抑制することが重要である。
高強度鋼線は、一般には、パーライト組織をダイス等を用いて、伸線加工を行うことによって製造されている。この加工によって、パーライトラメラ間隔が小さくなり、またフェライト中に多量の転位が導入されることで、引張り強度が増大する。この伸線歪みが非常に大きくなると、パーライト組織中のセメンタイトが微細化し、炭素に分解することが近年明らかにされている。しかしながら、組織が微細であることから、これらの炭素の存在位置及び存在状態、機械的性質との関係は明らかにされておらず、特に延性劣化の原因についても不明な点が多かった。
極細鋼線の高強度化を図るためには、最終パテンティング処理後の素線強度を上げるか、最終の伸線加工歪みを増加させる必要ある。ところが、最終パテンティング処理後の素線強度ないしは伸線加工歪を増加させて極線鋼線の高強度化を図っても、強度が4200MPaを超えると延性の低下が著しく、実用化することが極めて困難となっていた。
これに対して、延性低下の少ない高強度化手段の従来の知見としては、例えば特許文献1〜3の各公報にはそれぞれC、Si、Mn、Cr等の化学成分を規定した高強度で高延性の極細線用高炭素鋼線材が提案されている。しかし、これらの公報で開示されている実施例からも分かるように、鋼線の引張強さは最大でも3500〜3600MPaであり、極細鋼線の高強度化には限界があった。また、特許文献4では化学成分と非金属介在物組織および初析セメンタイトの面積分率を制御した高強度鋼高じん性鋼線材が提案されている。更に、特許文献5では鋼の化学成分と最終ダイスでの減面率を制御する高強度鋼高じん性極細線鋼の製造方法が開示されている。しかし、いずれの技術でも引張強さが4200MPa以上で高延性を有する極細鋼線を実現することは難しかった。
特開昭60−204865号公報 特開昭63−24046号公報 特開平3−223674号公報 特開平6−145895号公報 特開平7−113119号公報
伸線加工時に伸線加工量を非常に大きくすることによって、従来技術によっても高強度化は図れるものの、延性が低下する問題が避けれなかった。本発明は以上のような現状を背景にして、4200MPa以上の高強度でありかつ延性に優れた高強度鋼線、特に高強度極細鋼線を提供するものである。
本発明者は、高強度鋼線の延性の支配因子について種々解析した結果、強加工されたパーライト組織におけるフェライト中のC濃度が鋼線の延性に著しい影響を及ぼすことを見出した。高強度極細鋼線の延性を担っているのはフェライト素地の延性であり、フェライトの延性を維持すれば、高強度でも延性が確保される。しかし、伸線加工歪みが増加すると、一般にセメンタイトが分解してC原子がフェライト中に拡散し、フェライト中のC濃度が増加することになる。日本金属学会誌 第45巻 第9号 (1981)942〜947に記載されているように、冷延鋼板において、フェライト中のC濃度の増加した場合、引張試験中にフェライト中の転位がCによって固着される動的歪み時効が生じ、顕著な延性低下を引き起こすことが述べられている。フェライトの延性の観点からは、固溶するC濃度が低いほど好ましい。
一方、鋼線の引張強度の観点からは、フェライト中のC量の増加は、転位固着強化や固溶強化機構によって、フェライト素地の強度を増加させるため、高強度化のためには好ましい。しかしこのような機構による強化では、前述したような原因によって十分な延性を確保することは不可能となる。十分な延性が確保された高強度鋼線を実現するためには、極端な延性低下を引き起こさない強化機構を利用する必要がある。鋼線を強化するためには、伸線歪量を増加し転位密度を大きくする強化法、またC濃度を増加させセメンタイト分率を増加させる強化法、フェライト中に微細析出物を分散させる強化など多数あるが、本発明者は、板状のフェライト幅を特定値以下に微細化し、かつフェライト中のC濃度を特定値以下とすることによって、延性の極端な低下なく高強度化が実現できることを見出した。すなわち、延性はフェライト中のC濃度低減によって実現し、高強度化はフェライト幅を微細化することによって実現するものである。
本発明は、以上の新知見に基づきなされたものであり、その要旨とするところは、
(1)板状のフェライトの平均幅が15nm以下であり、かつフェライト中心部の平均C濃度が0.2質量%以下であることを特徴とする延性に優れた高強度鋼線。
(2)前記フェライト中心部の平均C濃度が0.1質量%以下であることを特徴とする延性に優れた高強度鋼線。
(3)前記フェライトの平均幅が10nm以下である請求項1または2に記載の延性に優れた高強度鋼線。
(4)前記高強度鋼線が引張強さ4200MPa以上の鋼線であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の延性に優れた高強度鋼線、である。
本発明の適用により、自動車タイヤ用をはじめとする十分な延性を有する高強度鋼線の製造が可能となり、これによりタイヤの軽量化が可能となり、産業上に与える貢献は非常に多大なものである。
高強度鋼線を製造するためには、一般にはパーライト組織を有する材料をダイス等を用い、高伸線加工を施し強化することによって得られる。この高伸線歪によって、パーライト組織中のセメンタイトが微細化しCに分解してフェライト中に溶け込む現象が生じる。微細領域の炭素の存在量を測定することができる3次元アトムプローブ装置(以下3D−APと表記する)を使用し、フェライト中のC濃度と鋼線の強度、延性の関係を、詳細に調べ、その結果、フェライト中のC濃度が高くなると、強度増加には寄与するものの、延性が著しく低下することを突き止めた。更に延性低下を抑制する強化にはフェライト幅の微細化によって達成されることを突き止めた。これらの知見から、十分な延性が確保された強度鋼線を実現するためには、1)このフェライト中心部の平均C濃度を特定値以下に限定し、かつ2)フェライトの平均幅を特定値以下に限定することが必要であるとの結論に達した。
以下に、限定理由を詳細に述べる。
色々な製法によって、フェライト中心部の平均C濃度とフェライトの平均幅を変化させた試料を準備し、引張り強度及び延性との関係を調べた。フェライトの平均幅は透過型電子顕微鏡(TEM)によって、またフェライト中心部の平均C濃度は3D−APによって調べた。引張強度測定は引張試験機によって行い、延性評価の一つであるねじり試験はねじり試験機によって行った。延性指標として破断に至るまでのねじり回数すなわち捻回値を測定した。
図1には、フェライトの平均幅とフェライト中心部の平均C濃度の関係を示したものである。縦軸にはフェライト中の平均C濃度、横軸にはフェライトの平均幅を示す。図中白丸の点は、引張強さ(強度)と延性共に良好であった試料を示し、黒丸、黒三角、黒四角の点は引張強さまたは延性が目標値に達しなかった試料を示す。ここで目標値として、引張強さは4200MPa以上、延性は捻回値で評価し20回以上とした。但し、捻回値は、試験片の両端線径の100倍のつかみの間隔で固定し、破断するまでのねじり回数とした。フェライトの平均幅が小さいかまたはフェライト中心部の平均C濃度が高い場合に、引張強さが大きくなる傾向が見られる。また平均C濃度が高い場合には特に延性が低下する傾向が見られる。フェライトの平均幅が15nm以下でかつフェライト中心部の平均C濃度が0.2質量%以下の場合にのみ、強度と延性が十分な領域が存在することが示されている。
図2は、フェライト中心部の平均C濃度とねじり試験による捻回数の関係について調べた結果を示す。平均C濃度が小さくなるほど、捻回数は高くなる傾向を示している。フェライト中心部の平均C濃度が0.2質量%で捻回数は20回を超えるが、平均C濃度が0.1質量%以下となると25回以上の高い値となり、延性がより良好になることを示す。
図3は、捻回数は20回を超え延性良好な試料において、引張強さとフェライトの平均幅の関係について調べた結果を示す。フェライトの平均幅が15nm以下の場合で引張強度は4200MPa以上を示すが、特に10nm以下となると引張強度が4600MPa以上と非常に高い値に到達することが分かる。
以上の結果より、高強度でかつ十分な延性を実現するために、フェライトの平均幅を15nm以下、好ましくは10nm以下にし、かつフェライト中心部の平均C濃度を0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下に限定した。鋼線の強度を上げるためには、フェライト平均幅を小さくする以外にも、転位密度を増加せさる、転位を炭素で固着させる、セメンタイト分率を増加させるなど多数の方法があるが、いずれも延性が低下することになるため、本発明の特性は得られない。
本発明鋼の成分組成に以下の理由で限定を加えても良い。なお、以下に示す「%」は特に説明がない限り「質量%」を意味するものとする。
C:Cは、0.7〜1.1%とする。Cはパテンティング処理後の引張強さの増加及び伸線加工硬化率を高める効果があり、より少ない伸線加工歪で引張強さを高めることが可能となる。Cが0.7%以下では本発明で目的とする高強度の鋼線を実現することが困難となり、一方1.1%を超えるとパテンティング処理時に初析セメンタイトがオーステナイト粒界に析出して伸線加工性が劣化し伸線加工中に断線の原因になるため、Cを0.7〜1.1%の範囲に限定した。
Si:Siは、Siはパーライト中のフェライトを強化させるためと鋼の脱酸のために有効な元素である。0.05%未満では上記の効果が期待できず、一方2%を超えると伸線加工性に対して有害は硬質のSiO2系介在物が発生しやすくなるため、0.05〜2.0%の範囲に限定した。
Mn:Mnは脱酸、脱硫のために必要であるばかりでなく、鋼の焼入性を向上させパテンティング処理後の引張り強さを高めるために有効な元素であるが、0.2%未満では上記の効果が得られず、一方2.0%を越えると上記の効果が飽和し、更にパテンティング処理時のパーライト変態を完了するまでの処理時間が長くなりすぎて生産性が低下するため、0.2〜2.0%の範囲に限定した。
以上の成分組成に加え、本発明では、以下の理由によって、Cr、Ni、V、Nbの1種または2種以上を含んでも良い。
Cr:Crはパーライトのセメンタイト間隔を微細化しパテンティング処理後の引張強さを高めるとともに特に伸線加工硬化率を向上させる有効な元素であるが、0.05%未満では前記作用の効果が少なく、一方1.0%を越えるとパテンティング処理時のパーライト変態終了時間が長くなり生産性が低下するため0.05〜1.0%の範囲に限定した。
Ni:Niはパテンティング処理時に変態生成するパーライトを伸線加工性の良好なものにする作用を有するが、0.1%未満では上記の効果が得られず、1.0%を超えても添加量に見合うだけの効果が少ないためこれを上限にした。
V:Vはパーライトのセメンタイト間隔を微細化しパテンティング処理時の引張強さを高める効果があるが、この効果は0.01%未満では不十分であり、一方0.5%を超えると効果が飽和するため0.01〜0.5%の範囲に制限した。
Nb:NbはVと同様、セメンタイト間隔を微細化しパテンティング処理時の引張強撚さを高める効果があるが、0.001%未満では不十分であり、一方0.1%を超えると効果が飽和するため0.001〜0.1%の範囲に制限した。
他の元素は特に限定しないが、不純物として含有される元素としてP:0.015%以下、S:0.015%以下、N:0.007%以下が好ましい範囲である。またAlは0.005%を超えると鋼中の介在物の中で最も硬質なAl23系介在物が生成しやすくなり、伸線加工あるい撚り線加工の際の断線原因となるため、0.005%以下が好ましい範囲である。
強加工された極細線のパーライト組織におけるフェライト中心部の平均C濃度を0.2質量%以下でかつフェライト平均幅を15nm以下に制御するためには、最終パテインティング処理以降の製造工程で、下記のA〜Dの製造方法を採用することが有効である。下記製造方法の中でも、特にBが重要な技術であり、下記Bと、A、C及びDの1種類、より好ましくは2種類以上の方法を組み合わせることが良い。但し、本発明は最終製品である鋼線の組織構造に関するものであって、その製法を限定するものではない。
A:伸線速度を10m/分、好ましくは1m/分の低速伸線で行う。
低速伸線を行うことによって、摩擦や塑性変形による加工発熱量を小さくすることができ、これによってパーライト組織中のセメンタイトの分解を抑制しフェライト中に拡散する炭素量を減らすことができる。
B:伸線加工パス間に40〜400℃の温度の加熱処理を1秒〜10分間施す。
伸線加工によるワイヤ温度は瞬時に上がり直ぐに下がる。これとは別に、適当な温度の加熱処理を伸線加工パス間に施すことによって、セメンタイトが分解してフェライト中に溶け込んだ過飽和な炭素を排出させフェライト中のC濃度を低下させると共に、不要な転位や欠陥を消滅させることができる。これによって、延性を回復し高歪量の加工、すなわち、フェライト間隔の微細化を可能にする。但し、この処理は伸線加工パス間すべてに施すのではなく、特定パス間に施すことが有効である。
C:伸線加工後、40〜300℃の加熱保持を1分から48時間施す。
伸線加工後の低温加熱によって、セメンタイトが分解してフェライト中に溶け込んだ過飽和な炭素を排出させ、フェライト中の炭素濃度を低下させる。但し、この温度が高温過ぎる場合は、球状セメンタイトが形成することになるため、鋼材種類、伸線条件に応じて適した温度に設定する必要がある。
D:方位が一方向に向いたパーライト組織を有するパテンティング材を用いる。
パーライト組織方位を揃えたパテンティング材を用いることによって、伸線加工時に個々に加わる応力歪量を均一とし、場所によるフェライト幅とフェライト中心部のC濃度のばらつきを小さくすることができる。
フェライト幅の測定は例えばTEM観察によって行う。Arイオンミリングなどによって、鋼線試料のC断面(ワイヤ方向に垂直)を薄膜化し、視野内のフェライト幅を測定しこの平均を求める。このような測定を10箇所以上の分散した任意位置について行い、これらの値の平均を求め、これをフェライトの平均幅とする。ワイヤ方向に平行なL断面からの観察の場合、板状のフェライトの界面に平行方向からの観察がされているとは限らないため、フェライト平均幅を過小評価する危険性があり注意が必要である。
フェライト中のC濃度の測定は、アトムプローブ法によって簡単にかつ正確に測定することが可能である。但し、C濃度はフェライト中の位置によって異なる値を示す場合がある。セメンタイトが分解しCがフェライト中に拡散した場合、一般には、フェライト/セメンタイト界面部でのC濃度が高く、フェライト中心部で最も値が小さくなる。本発明で規定するフェライト中のC濃度は、フェライト中心部の値とする。3D-APを使用する場合は、フェライト/セメンタイト界面を含むフェライト中のC濃度の測定が可能であるため、この測定データから、フェライト中心部のC濃度を容易に決定することができる。一方、1D−AP(1次元アトムプローブ)を用いる場合は、試料のFIM像によってフェライト位置を確認後、フェライトの中心位置を分析することによって、C濃度を計測する必要がある。測定したCイオン数をFeを含む全検出イオン数で割り100を掛けることによって、C濃度を原子%で求めることができる。これに、12/56を掛けることによって、C濃度を質量%で求めることができる。このような測定を10箇所以上の分散した任意位置のフェライトについて行い、これらの値の平均を求め、これをフェライト中心部の平均C濃度とする。
以下、実施例により本発明の効果を更に具体的に説明する。
表1に示す化学組成を有する供試材を熱間圧延で所定の線径にした後、鉛浴を用いてパテンテイング処理、伸線加工を行い、線径が0.04〜0.40mmのブラスめっきを有する極細線鋼を試作した。表2に極細鋼線の製造条件および引張強さ、フェライト中心部の平均C濃度、フェライトの平均幅、捻回数を示す。同表において、製造条件を前述した内容を示す記号で表した。ねじり試験は、試験片の両端線径の100倍のつかみの間隔で固定し、破断するまでのねじり回数を捻回数とした。
Figure 2006249561
Figure 2006249561
表2において試験No.1〜6が本発明であり、その他は比較例である。同表に見られるように、本発明例はいずれも引張強さが4200MPa以上であるとともに、フェライト中心部の平均C濃度が0.2質量%以下に押さえられている。この結果、捻回数の高い十分な延性を有する極細鋼線が実現できている。また、試験No.7はSi含有量が高く断線しやすいため、特に1m/分の極低速伸線を行うことによって、断線せずに良好な引張強さと延性が得られた。
これに対して、比較例であるNo.8〜11は、引張強さは十分であるが、フェライト中心部の平均C濃度が0.2質量%を超えているため、本発明例に比べ捻回数が低下しており延性低下が著しい。またNo.12〜15は、延性は良好であるが、フェライト平均幅は大きく十分な引張強さに達していない。さらに、No.16〜19は延性、引張強さ共に十分な値を示しておらず本発明の範囲外となる。
極細線鋼のフェライト中心部の平均C濃度とフェライトの平均幅の関係について調べた結果の一例を示す図である。 極細線鋼のフェライト中心部の平均C濃度と捻回数の関係について調べた結果の一例を示す図である。 延性の良好な極細線鋼試料において、フェライトの平均幅と引張強度について調べた結果の一例を示す図である。

Claims (4)

  1. 板状のフェライトの平均幅が15nm以下であり、かつフェライト中心部の平均C濃度が0.2質量%以下であることを特徴とする延性に優れた高強度鋼線。
  2. 前記フェライト中心部の平均C濃度が0.1質量%以下であることを特徴とする延性に優れた高強度鋼線。
  3. 前記フェライトの平均幅が10nm以下である請求項1または2に記載の延性に優れた高強度鋼線。
  4. 前記高強度鋼線が引張強さ4200MPa以上の鋼線であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の延性に優れた高強度鋼線。
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