JP2006248256A - トレーリングアーム構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 部品追加あるいは重量増を制限してカラー部のねじり剛性を向上して応力低減を図りうるトレーリングアーム構造を提供する。
【解決手段】 長尺のプレートの両側を下方に折り曲げて上面と両側面を有するアーム部材を形成し、このアーム部材の長手方向の一端部に車体側取付部を設けるとともに上記アーム部材の他端部側の上面に車輪側取付部を設けたトレーリングアーム構造において、上記他端部3b側の車輪側取付部50の下方側に位置する上記アーム部材3の両側面31下部側にアーム部材3の幅方向の段差部32をアーム部材3の所定長さにわたって形成し、該段差部32の前端32aを上記車輪側取付部50より前方に設けたことにある。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両のトレーリングリンク式の懸架装置に用いられるトレーリングアーム構造に関する。
一般に、車両においては、車軸と、車体又はフレームとの間に懸架装置を設けている。後部側の懸架装置では、後部車輪の車軸を支持する懸架装置として、ピボット部位を車軸の前方に配置し、このピボット部位と車軸との間をリンクで連結する、いわゆるトレーリングリンク式の懸架装置が知られている。
従来のトレーリングリンク式の懸架装置は、図5に示すように、前端を車体の下面側に揺動可能に支持されたトレーリングアーム100の後端で車軸101を支持している。車軸101の両端には、車輪102が取り付けられ、かつショックアブソーバ103とコイルスプリング104を介して車体に支持されている。
トレーリングアーム100は、図6および図7に示すように、プレス加工により、長尺のプレートの両側を下方に折り曲げて上面105と両側面106を有するアーム部材107を形成し、上面105と両側面106によって横断面ハット形状に形成されている。
このトレーリングアーム100には、図6に示すように、一端に車体側取付部材である筒状の車体側カラー108を溶接によって取り付けるとともに、他端近傍の上面に車輪側第1取付部材である筒状の車輪側第1カラー109を溶接によって取り付け、且つ、他端には車輪側第2取付部である筒状の車輪側第2カラー110を溶接によって取り付けている。これら車体側カラー108と車輪側第1カラー109と車輪側第2カラー110とには、弾性部材からなる車体側ブッシュ111と車輪側第1ブッシュ112と車輪側第2ブッシュ113とが挿着されている。
車体側ブッシュ111には、車体側に取り付ける取付ボルト(図示せず)を挿通する車体側ボルト孔114が形成されている。車輪側第1ブッシュ112と車輪側第2ブッシュ113とには、アクスルブラケット(図示せず)に取り付ける各取付ボルト(図示せず)を挿通する車輪側第1ボルト孔115と車輪側第2ボルト孔116とが形成されている。
特開2001−191775号公報
路面変化によって車輪102に加わる荷重は車軸101に伝わり、この荷重を車体側で受け止めるのは車体側カラー108を介して車体側ブッシュ111である。また、上記路面変化の荷重により車軸101は揺動もしくは傾くため、車体側カラー108を介して車体側ブッシュ111をねじる荷重も働く。
トレーリングアーム100にかかる荷重は、上記の車体側ブッシュ111へかかる荷重の反力であり、荷重の起点はカラー108である。
このため、トレーリングアーム100では、カラー108に対し、制動荷重、上下荷重、ツイスト荷重がかかることになる。
一方、カラー109、110はアクスル側のトレーリングブラケットで保持されるため、荷重による変形時にはカラー109、110が剛性のあるトレーリングブラケットにより一体的に保持される。上記荷重がかかる場合、トレーリングアーム100の変形の節は、トレーリングブラケットで一体的に保持されるカラー109、110の手前、カラー周辺部Aに発生し、このカラー周辺部Aに応力が集中する。
特に、ツイスト荷重では、図8および図9に示すようにアーム部材107がねじれ、カラー周辺部Aに補強部品追加やアーム板厚アップ等の対応が必要となる。
本発明は、上記課題を解決し、追加部品あるいは重量を制限し、変形の起点となるカラー周辺部Aの応力を低減するとともに剛性を向上し、もって耐久性と操縦安定性の向上を図りうるトレーリングアームを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、長尺のプレートの両側を下方に折り曲げて上面と両側面を有するアーム部材を形成し、このアーム部材の長手方向の一端部に車体側取付部を設けるとともに上記アーム部材の他端部側の上面に車輪側取付部を設けたトレーリングアーム構造において、上記他端部側の車輪側取付部の下方側に位置する上記アーム部材の両側面下部側にアーム部材の幅方向の段差部をアーム部材の所定長さにわたって形成し、該段差部の前端を上記車輪側取付部より前方に設けたことにある。
また、本発明は、上記アーム部材の車輪側取付部を2箇所に設け、上記段差部の後端側を上記2箇所の車輪側取付部の中間位置に設けたことにある。
さらに、本発明は、上記アーム部材の両側面下部側を幅方向外側に膨出させて上記段差部を形成したことにある。
本発明の効果として、車輪側取付部のねじり剛性を向上して応力の低減を図り、操縦安定性の向上、コストの低減を図ることができる。
以下、図示の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、トレーリングリンク式の懸架装置を示したもので、車体の前後方向に配設される左右のトレーリングアーム1で車軸2の両端部を揺動可能に懸架したものである。
このトレーリングアーム1は、図2および図3に示すように、板金タイプのもので、長尺のプレートの両側を下方に折り曲げて上面30と両側面31を有する所謂ハット形のアーム部材3を形成し、このアーム部材3の長手方向の一端部3aに車体側取付部4を設けるとともに上記アーム部材3の長手方向の他端部3b側の上面30に2箇所の車輪側取付部5,6を設けている。
上記車体側取付部4は、アーム部材3に溶着された筒状のカラー40と、このカラー40内に圧入されたゴム等の弾性体で形成されたブッシュ41とで構成されている。また、車輪側取付部5,6は、アーム部材3に前後に位置をずらせて溶着された筒状のカラー50,60と、このカラー50,60内に圧入されたゴム等の弾性体で形成されたブッシュ51,61とで構成されている(図3参照)。
上記車体側取付部4は、図1に示すように、ブッシュ41の中心に挿通されるボルト(図示せず)を介して車体下面に揺動可能に軸支されている。また、上記車輪側取付部5,6は、ブッシュ51,61の中心に挿通されるボルト7を介してアクスルブラケット8に取り付けられており、このアクスルブラケット8が車軸2の両端部に装着されている。
車軸2の両端部には、ショックアブソーバ9とコイルスプリング10が装着され、これらショックアブソーバ9とコイルスプリング10を介して車体下面に支持されている(図1参照)。
上記トレーリングアーム1のアーム部材3は、図3(a)(b)および図4(a)(b)に示すように、他端部3b側の車輪側取付部5,6の下方側に位置する上記アーム部材3の両側面31下部側に、アーム部材3の幅方向の段差部32をアーム部材3の所定長さにわたって形成し、該段差部32の前端32aを上記車輪側取付部5より前方に設けている。アーム部材3の幅方向の段差部32は、両側面31下部側を外側に膨出させることにより形成されている。上記段差部32の後端32bを上記2箇所の車輪側取付部5,6の中間位置に設けている。
上記構成によると、車体取付部4への荷重はアーム部材3に伝わり、さらに段差部32に伝わる。段差部32で荷重を受けるため、カラー周辺部Aへの荷重は従来の構造に比べて分散される。これによりカラー周辺部Aでの応力が低減される。
特に、路面の凹凸により走行時の車軸2が、車軸2の両端で高低差を生じた場合、ツイスト荷重が発生して、左右のトレーリングアーム1に大きな捩れが生じることがある。こうして、車輪側取付部5には、大きな応力が集中する。そして、この応力はアーム部材3の両側面31下部側の段差部32に伝わり、分散される。大きな応力が集中するおそれがある場合でも、アーム部材3の両側31下部側の段差32で荷重が分散されるため、応力の低減効果が大きい。
こうして、車輪側取付部5に集中する応力を効率よく分散することができるので、捩じりによる応力の集中を低減することができる。また、剛性の向上があるため操縦安定性の向上も図ることができる。一方、段差部32の範囲を車輪取付部5より前方から車輪取付部5、6の中間位置に設定しているので、アーム部材3への荷重をカラー50、60へ効率よく伝えることができ、カラー50、60周辺での応力集中を低減することができる。
なお、本発明は上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、例えば、段差部32の長さ、および突出幅は任意に設定することができる。など、その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施し得ることは言うまでもない。
本発明の実施の形態によるトレーリングリンク式の懸架装置を示す斜視図である。 図1のトレーリングリンク式の懸架装置に適用された本発明の実施の形態によるトレーリングアームを示す斜視図である。 図2のトレーリングアームを示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。 (a)は、図3(a)のA−A線断面図、(b)は、図3(a)のB−B線断面図である。 従来のトレーリングリンク式の懸架装置を示す斜視図である。 従来のトレーリングアームを示す斜視図である。 図6のC−C線断面図である。 従来のツイスト荷重時のトレーリングアームの捩れ現象を示す斜視図である。 図8の拡大図である。
符号の説明
1 トレーリングアーム
2 車軸
3 アーム部材
4 車体側取付部
5,6 車輪側取付部
8 アクスルブラケット
30 上面
31 側面
32 段差部

Claims (3)

  1. 長尺のプレートの両側を下方に折り曲げて上面と両側面を有するアーム部材を形成し、このアーム部材の長手方向の一端部に車体側取付部を設けるとともに上記アーム部材の他端部側の上面に車輪側取付部を設けたトレーリングアーム構造において、上記他端部側の車輪側取付部の下方側に位置する上記アーム部材の両側面下部側にアーム部材の幅方向の段差部をアーム部材の所定長さにわたって形成し、該段差部の前端を上記車輪側取付部より前方に設けたことを特徴とするトレーリングアーム構造。
  2. 上記アーム部材の車輪側取付部を2箇所に設け、上記段差部の後端側を上記2箇所の車輪側取付部の中間位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載のトレーリングアーム構造。
  3. 上記アーム部材の両側面下部側を幅方向外側に膨出させて上記段差部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のトレーリングアーム構造。
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