JP2006244739A - 非水系電解液二次電池及び非水系電解液二次電池用電解液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
充放電によりリチウムイオンを吸蔵、放出しうる負極及び正極と非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池において、負極活物質がSi、Sn、Pb及びこれらの元素の少なくとも1種を含有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ上記非水系電解液が特定構造の珪素含有硫酸エステル又は亜硫酸エステルを含有することを特徴とする非水系電解液二次電池。
Description
このような状況において、金属リチウムを負極とする二次電池が、高容量化を達成できる電池として盛んに研究されている。しかしながら、金属リチウムには、充放電の繰り返しにより金属リチウムがデンドライト状に成長し、これが正極に達し電池内部での短絡が生じてしまうという問題があり、これが金属リチウムを負極とするリチウムニ次電池を実用化する際の最大の障害となっている。
式化合物を非水系電解液に添加して、負極活物質の表面に被膜を形成し、充放電サイクル特性を向上させる方法も提案されている(特許文献2参照)。
一方、炭素電極を負極とする場合、リチウムイオンと負極の炭素電極との反応でLi2CO3等の皮膜が生成するが、充電初期に形成された上記皮膜はリチウムイオンと炭素負極または他の物資との反応を防ぐ等の効果を有し、安定した充放電が維持できることが知られており、かかる皮膜をより良好に形成し電気化学特性に優れたリチウム二次電池とするための電解液として、リチウム塩、非水製有機溶媒及びアルキルシリル硫酸エステル等、特定構造の硫酸エステル等の有機化合物を含むリチウム二次電池用電解液が提案されている(特許文献3)。
一方、特許文献3は、炭素電極を負極とする場合の安定した充放電維持について記載されているが、炭素電極以外の電極については記載されていない。
即ち、本発明の要旨は、充放電によりリチウムイオンを吸蔵、放出しうる負極及び正極と非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池において、負極活物質がSi、Sn、Pb及びこれらの元素の少なくとも1種を含有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ上記非水系電解液が下記一般式(1)で示される珪素含有硫酸エステル又は亜硫
酸エステルを含有することを特徴とする非水系電解液二次電池、に存する。
本発明の非水系電解液二次電池は、充放電によりリチウムイオンを吸蔵、放出しうる負極及び正極と、非水系電解液とを備える。本発明の非水系電解液二次電池は、負極及び非水系電解液以外の構成については従来公知の非水系電解液二次電池と同様であり、通常は本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケースに収納された形態を有する。従って、本発明の非水系電解液二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
まず、本発明に係る負極について説明する。
本発明においては、負極に含まれるリチウムを吸蔵及び放出可能な負極活物質が、Si、Sn、Pb及びこれらの元素の少なくとも1種を含有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。負極活物質としてSi、Sn、Pb又はこれらの元素を含有する化合物を用いることで、電池の高容量化が可能である。Si、Sn、Pbの金属元素の少なくとも1種を含有する化合物としては、上記金属の棚化物、酸化物、窒化物、硫化物、燐化物等の複合化合物材料、上記複数の金属元素を含む合金やその複合化合物、更には、上記の金属の合金や合金の棚化物、酸化物、窒化物、硫化物、燐化物等の複合化合物等が、更に複雑に化学的に結合化合物等が挙げられる。
負極の製造は、常法によればよい。負極の製造方法としては、例えば、負極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、これを集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化して、集電体上に負極活物質層を形成する方法が挙げられる。
どの1種又は2種以上が挙げられる。特に導電材として炭素材料を用いると炭素材料が活物質としても作用するため好ましい。導電材の含有量は負極材中3重量%以上、特に5重量%以上で、30重量%以下、特に25重量%以下であることが好ましい。この範囲よりも導電材含有量が少ないと導電性が不足し、多いと相対的に負極活物質等の含有量が不足することにより、電池容量や強度が低下する傾向となる。
溶媒としては、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
負極用集電体の材質としては、鋼、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス等が挙げられる。これらのうち、薄膜に加工しやすいという点及びコストの点から銅箔が好ましい。集電体の厚さは、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。集電体の厚さが厚過ぎると、電池全体の容量が低下し過ぎることになり、逆に薄過ぎると取り扱いが困難になることがある。
[正極]
正極活物質としては、遷移金属の酸化物、遷移金属とリチウムとの複合酸化物(リチウ
ム遷移金属複合酸化物)、遷移金属の硫化物、金属酸化物等の無機化合物、リチウム金属
、リチウム合金若しくはそれらの複合体が挙げられる。具体的には、MnO、V205、V6O13、Ti02等の遷移金属酸化物;基本組成がLiCoO2であるリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2
であるリチウムニッケル複合酸化物、LiMn2O4又はLiMnO2であるリチウムマンガン複合酸
化物、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物;TiS、FeS等の遷移金属硫化物;Sn02、Si02等の金属酸化物が挙げられる。中でも、リチウム遷移金属複合酸化物、具体的には、特にリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルトニッケル複合酸化物、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物は、高容量と高サイクル特性とを両立させ得るので好適に用いられる。また、リチウム遷移金属複合酸化物は、コバルト、ニッケル又はマンガンの一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等の他の金属で置換することにより、その構造を安定化させることができるので好ましい。これらの正極活物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和ポリマー及びその共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体等のアクリル酸系ポリマー及びその共重合体などが挙げられる。
電極中には、機械的強度や電気伝導度を高める目的で、増粘剤、導電材、充填剤などを含有させてもよい。
導電材としては、銅又はニッケル等の金属材料、グラファイト又はカーボンブラック等の炭素材料などが挙げられる。
正極集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル及びこれらの合金等が挙げられ、なかでもアルミニウム及びその合金が好ましい。表面に形成される活物質層との結着効果を向上させるため、これら集電体の表面は予め粗面化処理しておくのが好ましい。表面の粗面化方法としては、ブラスト処理、粗面ロールによる圧延、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシなどで集電体表面を研磨する機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法等が挙げられる。
になり、逆に薄過ぎると取り扱いが困難になることがある。
[非水系電解液]
次に、本発明に係る非水系電解液について説明する。
される珪素含有硫酸エステル又は亜硫酸エステル(以下、珪素含有化合物と略することがある)を含有することを特徴とする。
上記一般式において、Xは、上記の−SO2−又は、−S0−を表すが、−SO2−の場合は硫酸エステル(サルファイト構造をとる化合物)であり、−S0−の場合は亜硫酸エステル(サルフェート構造をとる化合物)である。
ン原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、通常1以上、6以下、好ましくは3以下である。nが大きすぎると、添加重量当たりの効果が薄れ、本発明の珪素含有化合物を含むことによる本発明の効果が十分発現しなくなる怖れがある。
アルキル基としては、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、などが挙げられる。これらの中でも特にメチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましい。
は3以下が好ましい。
したがって、一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、ビス(トリメチルシリル)サルフェート、ビス(トリス(フルオロメチル)シリル)サルフェート、ビス(トリエチルシリル)サルフェート、ビス(トリス(2−フルオロエチル))サルフェート、ビス(トリス(2,2−ジフルオロエチル))サルフェート、ビス(トリス(2,2,2−トリフルオロエチル))サルフェート、ビス(トリ-n-プロピル)サルフェート、ビス
(トリス(3-フルオロ-n-プロピル))サルフェート、ビス(トリス(3,3,3-トリフルオ
ロ-n-プロピル))サルフェート等の珪素含有硫酸エステル、ビス(トリメチルシリル)
サルファイト、ビス(トリス(フルオロメチル)シリル)サルファイト、ビス(トリエチルシリル)サルファイト、ビス(トリス(2−フルオロエチル))サルファイト、ビス(トリス(2,2−ジフルオロエチル))サルファイト、ビス(トリス(2,2,2−トリフルオロエチル))サルファイト、ビス(トリ-n-プロピル)サルファイト、ビス(トリス(3-フルオロ-n-プロピル))サルファイト、ビス(トリス(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル))サルファイト等の珪素含有亜硫酸エステルがあげられる。
一般式(1)で表される珪素含有化合物の配合量は、非水系電解液に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上であり、この下限を下回ると十分なサイクル特性向上効果を発言しなくなる恐れがある。また、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下であり、この上限を上回ると電解液内での反応性が上昇し、電池特性が悪化する恐れがある。
サイクル特性が向上する理由の詳細は明らかではないが、次のように推定される。即ち、本発明においては、非水系電解液中に含まれる一般式(I)で表される化合物が、合金系の活物質の表面に良好な保護皮膜層を形成し、これにより副反応が抑えられ、サイクル劣化が抑制される。
本発明の非水系電解液が含有し得る非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状及び環状カルボン酸エステル、鎖状及び環状エーテル類、含リン有機溶媒、含硫黄有機溶媒等の1種又は2種以上が挙げられる。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、エチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートが、誘電率が高いため溶質が溶解しやすく、電池にしたときにサイクル特性が良い点で好ましい。
ーボネートが電池にしたときにサイクル特性が良い点で好ましい。
酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸−i−プロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸−i−ブチル、プロピオン酸−t−ブチル等が挙げられる。これらの中で、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルがより好ましい。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、エトキシメトキシエタン等を挙げることができ、これらの中で、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンがより好ましい。
られる。
含リン有機溶媒としては、例えぱ、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類;例えば、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、
亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸エステル類;例えぱ、トリメチルホスフィンオキシド
、トリエチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類などが挙げられる。
この場合、本発明の非水系電解液中の非水溶媒中にしめる鎖状カーボネートの好適な含有量は、通常30体積%以上、好ましくは50体積%以上で、通常95体積%以下、好まし
くは90体積%以下であり、本発明の非水系電解液中の非水溶媒中にしめる環状カーボネ
ートの好適な含有量は通常5体積%以上、好ましくは10体積%以上で、通常50体積%以
下、好ましくは40体積%以下である。
〈添加剤〉
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を損ねない範囲において、各種の添加剤を含有していてもよい。この添加剤としては、従来公知の過充電防止剤や、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤などが挙げられる。
クロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化
合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニオール等の含フッ素アニソール化合物などの1種又は2種以上が挙げられる。非水系電解液が過充電防止剤を含有する場合、その濃度は、非水系電解液全体に対して通常0.1〜5重量%である。非水系電解液に過充電防止剤を含有させることは、過充電による電池の破裂・発火を挽制することができ、電池の安全性が向上するので好ましい。
、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファ
イト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフ.イド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド及ぴN,N−ジエチルメタン
スルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチルー2−ピロリジノン、1−メチルー2−ピペリ
ドン、3−メチルー2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチルー2−イミダゾリジノン、N−メ
チルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素
化合物、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物などの1種又は2種以上が挙げられる。上記の中で、不飽和結合を有するカーボネート、及び含フッ素カーボネートが好ましく、ビニレンカーボネートが特に好ましい。非水系電解液がこれらの助剤を含有する場合、その濃度は、非水系電解液全体に対して通常0.1〜5重量%である。
〈電解質〉
電解質については特に制限はなく、目的とする二次電池の電解質として用いられるものであれば、公知のものを任意に用いることができる。リチウムニ次電池に用いる場合であれば、通常は電解質としてリチウム塩を用いる。
パンジスルホニルイミド、LiN(CF3S02)(C4F9S02)、LiC(CF3S02)3、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3S02)2、LiPF4(C2F5S02)2、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3S02)2、LiBF2(C2F5S02)2、リチウムビス(オキサラト)ボレート等の含フッ素有機リチウム塩;KPF6、NaPF6、NaBF4、Na2CF3S03等のナトリウム又はカリウム塩などが挙げられる。これらのうち、LiPF6、LiBF4、LiCF3S03、LiN(CF3S02)2、LiN(C2F5SO2)2が好ましく、特にLiPF6、LiBF4が好ましい。
フッ素有機リチウム塩とを併用すると連続充電時のガス発生が抑制され、若しくは高温保存後の劣化が抑制されるので好ましい。特に、LiPF6とLiBF4との併用や、LiPF6,LiBF4等
の無機リチウム塩と、LiCF3S03、LiN(CF3S02)2,LiN(C2F5S02)2等の含フッ素有機リチウム塩との併用が好ましい。LiPF6とLiBF4を併用する場合、リチウム塩全体に対してLiBF4が
通常0.01重量%以上、20重量%以下の比率で含有されていることが好ましい。LiPF6、LiBF4等の無機リチウム塩と、LiCF3S03、LiN(CF3S02)2、LiN(C2F5S02)2等の含フヅ素有機リチ
ウム塩とを併用する場合、リチウム塩全体に占める無機リチウム塩の割合は、通常70重量%以上、99重量%以下の範囲であることが望ましい。
[セパレータ]
正極と負極の間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
であり、通常50μm以下、好ましくは40μ以下、更に好ましくは30μm以下である。セパレータが薄過ぎると、絶縁性や機械的強度が悪化することがあり、厚過ぎるとレート特性等の電池性能が悪化するばかりでなく、電池全体としてのエネルギー密度が低下する。
セパレータの空孔率は、通常20%以上、好ましくは35%以上、更に好ましくは45%以上で
あり、通常90%以下、好ましくは85%以下、更に好ましくは75%以下である。空孔率が小さ
過ぎると膜低抗が大きくなり、レート特性が悪化する傾向にある。また、大き過ぎるとセパレータの機械的強度が低下し、絶縁性が低下する傾向にある。
[外装体]
本発明の非水系電解液二次電池に使用する電池の外装体の材質も任意であり、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
実施例1〜7及び比較例1〜6
以下の手順で非水系電解液二次電池を組み立て、その評価を行い、結果を表1に示した
。
〈ケイ素合金負極の作製:実施例1〜7、比較例1、2〉
活物質の非炭素材料としてケイ素73.2重量部と、銅8.1重量部を用い、これに、人造黒
鉛粉末(ティムカル社製商品名「KS-6」)12.2重量%、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を12重量%含有するN−メチルピロリドン溶液54.2重量部、並びにN−メチルピロリドン50重量部をディスパーザーで混合してスラリー状としたものを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均−に塗布し、乾燥後、電極密度が1.5g/cm3程度となるようにプレスし、その後直径12.5mmの円盤状に打ち抜いて負極とした。
〈グラファイト負極の作製:比較例3、4〉
人造黒鉛粉末(ティムカル社製商品名「KS-6」)100重量部にPVDFを12重量%含有するN−
メチルピロリドン溶液83.5重量部、並びにN−メチルピロリドン50重量部をデイスパーザーで混合してスラリー状としたものを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均一に塗布し、乾燥後、電極密度が1.5g/cm3程度となるようにプレスし、その後直径12.5μmの円盤状に打ち抜いて負極とした。
〈正極の作製〉
正極活物質としてLiCo02(目本化学工業社製「C5」)85重量%にカーボンブラック(電気化学工業社製商品名「デンカブラック」)6重量%、ポリフッ化ビニリデンKF-1000(呉羽化学
社製商品名「KF-1000」)9重量%を加えて混合し、N−メチルー2−ピロリドンで分散してスラリー状としたものを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に、用いる負極
の理論容量の9割となるように均一に塗布し、100℃で12時間乾燥後、直径12.5mmの円盤状に打ち抜いて正極とした。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比3:7の比率で混合させた溶液にLiPF6を1モル/リットルの濃度となるように溶解させ、さらに表1に示す割合で各
種添加剤を加えて非水系電解液を調製した。
[コイン型セルの作製]
上記の正極及び負極と、各実施例及び比較例で調製した電解液を用いて、正極導電体を兼ねるステンレス鋼製の缶体に正極を収容し、その上に電解液を含浸させたポリエチレン製のセパレータを介して負極を載置した。この缶体と負極導電体を兼ねる封口板とを、絶縁用のガスケットを介してかしめて密封し、コイン型セルを作製した。
25℃において、充電終止電圧4.2V-3mA、充電終了電流0.15μAの定電流定電圧充電と、
放電終止電圧3.0V-3mAの定電流放電とを1サイクルとして、50サイクル充放電を実施した
。この時の、1サイクル目、10サイクル目の放電容量を測定し、それぞれのサイクルにお
ける容量維持率を下記式で算出した。結果を表1に示す。なお、容量はいずれも負極活物質単位重量当りの容量とした。
一般式(1)で示される化合物を含まない比較例1、2は、サイクル後の容量維持率が低いのに対し、一般式(1)で示される化合物を含む実施例1〜6は、容量維持率が改善されている。
炭素材料である比較例3〜6に比べ、負極活物質が珪素合金である実施例1〜7は放電容量が高い。又、負極活物質が炭素材料である場合、比較例3〜4と5〜6の対比から、非水系電解液が前記一般式(1)で示される化合物を含むことによる容量維持率の改善は認め
られない。これに対して、負極活物質が珪素合金である場合、比較例1〜2と実施例1〜7の対比から、非水系電解液が前記一般式(1)で示される化合物を含むことによる容量維
持率の改善が著しいことが分かる。
Claims (6)
- R1〜R6が、それぞれ独立に、無置換又はフッ素原子で置換された炭素数1〜3のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液二次電池。
- 非水系電解液中に、前記一般式(1)で示される珪素含有硫酸エステル又は亜硫酸エステ
ルを、0.01〜10重量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系電解液二次電池。 - 非水系電解液が環状カーボネートを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池。
- 非水系電解液が鎖状カーボネートを含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池。
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