JP2006243216A - 偏光板保護用積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】
この発明は、高いレベルの導電性が湿度変化によらず発現し、防汚性、平滑性、透明性に優れ、更に驚くべき事にオリゴマー析出抑制性も兼ね備えた偏光板保護用途の基材フィルムを提供する。
【解決手段】
熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、組成物(A)と炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂からなる積層膜が設けられた積層フィルムであって、組成物(A)が、少なくともポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物および/またはポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物であり、かつ、該積層フィルムの少なくとも片面の3次元中心線平均粗さ(SRa)が3〜50nmであることを特徴とする偏光板保護用積層フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリチオフェン系組成物と炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂からなる積層膜を設けた偏光板保護用積層フィルムに関するものであり、更に詳しくは、液晶テレビ、カーナビゲーション用ディスプレイ、携帯電話の液晶ディスプレイ、コンピューターディスプレイなどに用いられる偏光板などの加工、実装時における表面保護用に使用される、高いレベルの導電性が湿度変化によらず発現し、防汚性、平滑性、透明性にも極めて優れる偏光板保護用積層フィルムである。
近年のディスプレイ革命と相まって、いわゆるブラウン管型テレビから液晶ディスプレイへの切替が顕著である。液晶ディスプレイにおいては、主要構成部材である偏光板などの光学用シートの加工、実装する工程があるが、表面保護の目的でポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、あるいはポリエステルフィルムなどの透明な保護用のフィルム、いわゆる表面保護フィルムに、該部材と貼り付けるために粘着剤などを塗布したりし、積層して用いている。そして、液晶ディスプレイなどの組み込みが完了した後に、これらの保護フィルムを剥離、除去するのであるが、この剥離時に、いわゆる剥離帯電現象が発生し、静電気によってゴミが付着したり、あるいは、貼られた状態そのもので帯電し、ゴミなどが付着する問題があった。これらのゴミの付着の問題は、例えば、製品の検査時に液晶部材自体の欠点であるのか、表面に付着したゴミによるものなのか判別が難しく、また、検査がスムーズ行えないなどの製造工程上の重大な問題でもあった。また、特に、近年の高精細ディスプレイなどでは、上記したゴミの付着による問題の他、剥離帯電によるディスプレイの電子素子の破壊といった問題も発生している。
一方、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムに帯電防止剤を練り込んだりしたものは透明性が劣っており、液晶ディスプレイなどが組み込まれた後の製品の欠点検査時、該保護フィルムの透明性が劣るため、検査精度が落ちる、検査が遅くなるなどの問題があった。
また、透明性に優れるポリエステルフィルムを用いた場合でも、未処理のものでは帯電防止性がないため、ゴミの付着などの帯電現象由来のトラブルが多発する。これを解決するため、帯電防止剤を練り込んだポリエステルフィルムや、帯電防止剤を塗布したポリエステルフィルムが検討されているが、例えば、帯電防止剤としてイオン伝導型を用いた場合には、アクリル樹脂などと併用することで、フィルム製膜工程中で塗布、乾燥、延伸、熱処理するインラインコート法に適用した場合でも優れた透明性を有する帯電防止層を設けることができることなどが提案されている(特許文献1)。
一方、電子伝導型の帯電防止剤を用いたものとして、例えば、ポリアニリン系帯電防止剤(特許文献2)、酸化スズ系帯電防止剤(特許文献3)、ポリチオフェン系帯電防止剤(特許文献4)などが提案されている。特に、電子伝導型のポリチオフェン系帯電防止剤とラテックス重合体を含む塗液を塗布したものも提案されている(特許文献5)。
また、上記した貼り合わせ時、粘着剤を用いるが、このときに意図せず付着した粘着剤、特に反対面の積層フィルム面に付着した粘着剤が簡単に拭き取れるなど、いわゆる防汚性が上記と同様の理由で要求されており、防汚性を有する層を設けることなどが提案されている(特許文献6)。
:特開昭61−204240号公報(第1頁、請求項など) :特開平7−330901号公報(第1頁、請求項など) :特開平7−329250号公報(第1頁、請求項など) :特開平1−313521号公報(第1頁、請求項など) :特開平6−295016号公報(第1頁、請求項など) :特開2003−154616号公報(第1頁、請求項など)
しかし、前述した従来の技術には次のような問題点がある。
帯電防止性の付与に関して上記した従来技術では、イオン伝導型の帯電防止剤を用いた場合、その導電メカニズムはイオンによる空気中の水分の吸着に依存するものであるため、必然的に湿度依存性が存在し、特に低分子量タイプのものを用いた場合は顕著に現れ、冬場など湿度の低い環境下では全く導電性が得られないなどの問題がある。
また、導電メカニズムとして共役電子を用いた電子伝導性導電剤を用いた場合は、上記した湿度依存性は無いものの、組成物自体が剛直であり、例えば、フィルム製膜工程中で塗布、乾燥、延伸、熱処理するインラインコート法に適用した場合、延伸追従性が無いため、延伸により塗膜に亀裂が生じ、塗膜が白化し、上記した製品検査時に支障をきたすなどの問題が発生する。
一方、単に帯電防止剤を塗布した技術のみでは、該帯電防止層に防汚性がないため、上記したとおり、例えば、製品の検査時に液晶部材自体の欠点であるのか、表面に付着した粘着剤なのか判別が難しく、検査がスムーズに行えないなどの製造工程上の重大な問題が発生する。
更に、表面が荒れたフィルムや、粗大な突起を有するフィルムなどを用いた場合も、その欠点状のモノが、液晶部材自体の欠点なのか、単なるフィルムの欠点、例えば突起由来の欠点なのか判別が難しいという、同様の問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記した欠点を解消せしめ、高いレベルの導電性が湿度変化によらず発現し、かつ、防汚性、平滑性、透明性にも極めて優れる偏光板保護用積層フィルムを提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、組成物(A)と炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂を含有する積層膜が設けられた積層フィルムであって、組成物(A)が、少なくともポリチオフェンとポリ陰イオンを含有する組成物および/またはポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンを含有する組成物を含有し、かつ、該積層フィルムの少なくとも片面の3次元中心線平均粗さ(SRa)が3〜50nmであることを特徴とする偏光板保護用積層フィルム、
である。
本発明の偏光板保護用積層フィルムは、高いレベルの導電性が湿度変化によらず発現し、かつ、防汚性、平滑性、透明性にも極めて優れるものである。
本発明でいう熱可塑性樹脂フィルムとは、熱によって溶融もしくは軟化するフィルムの総称であって、特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムやポリスチレンフィルムなどのアクリル系フィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム、フッ素系フィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどを用いることができる。
これらは、ホモポリマーでも共重合ポリマーであってもよい。これらのうち、機械的特性、寸法安定性、透明性などの点で、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルムなどが好ましく、更に、機械的強度、汎用性などの点で、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
以下、本発明の偏光板保護用積層フィルムについてポリエステルフィルムを代表例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の偏光板保護用積層フィルムとして好ましく用いられるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを好ましく用いることができる。これら構成成分は、1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断すると、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステル、すなわち、ポリエチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。また、基材に熱や収縮応力などが作用する場合には、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが更に好ましい。これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。
また、このポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適である。
上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、積層膜が設けられた状態においては二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱処理が施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、本発明の偏光板保護用積層フィルムが使用される用途や種類に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常は好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜250μm、最も好ましくは9〜50μmである。また、ポリエステルフィルム基材は、共押出による複合フィルムであってもよい。特に2層以上の複合フィルムとしたとき、例えば、スキン層に易滑性の微粒子を添加し、コア層は無粒子とするなど、易滑性と表面粗さを両立しやすい。更に、3層複合フィルムとしたとき、例えば、スキン層に易滑性の微粒子を添加し、コア層は無粒子あるいは回収原料を用いるなどした場合でも、易滑性と表面粗さを両立しやすいなどのメリットがある。一方、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせて用いることもできる。
本発明において、積層膜とは、基材となる熱可塑性樹脂フィルムの表面に積層構造的に形成されて存在する膜状のものをいう。該膜自体は、単一層であっても複数層からなるものであってもよい。
本発明の偏光板保護用積層フィルムの積層膜は、組成物(A)と炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂からなる積層膜であり、組成物(A)が、少なくともポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物および/またはポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物である。
また、本発明においては、エポキシ架橋剤(B)および/またはその反応生成物を含んだ状態で、すなわち、積層膜中の『「組成物(A)」と「炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂」と「エポキシ架橋剤(B)および/またはその反応生成物」』の含有量が、積層膜全体の50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。
本発明の偏光板保護用積層フィルムの積層膜の組成物(A)は、好ましくは、ポリチオフェン、および、ポリチオフェン誘導体を含んでなる。
本発明の積層フィルムの積層膜に用いることのできる組成物(A)としては、下記の化1
Figure 2006243216
および/または、下記の化2
Figure 2006243216
で示した化合物を、ポリ陰イオンの存在下で重合することによって得ることができる。化1において、R1、R2は、それぞれ独立に、水素元素、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、もしくは芳香族炭化水素基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロへキシレン基、ベンゼン基などである。化2では、nは1〜4の整数である。
本発明の偏光板保護用積層フィルムでは、化2で表される構造式からなるポリチオフェン、および/または、ポリチオフェン誘導体を用いることが好ましく、例えば、化2で、n=1(メチレン基)、n=2(エチレン基)、n=3(プロピレン基)の化合物が好ましい。中でも特に好ましいのは、n=2のエチレン基の化合物、すなわち、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンである。
本発明の偏光板保護用積層フィルムでは、ポリチオフェンおよび/またはポリチオフェン誘導体として、例えば、チオフェン環の3位と4位の位置が置換された構造を有する化合物が例示され、かつ、上記したとおり該3位と4位の炭素原子に酸素原子が結合した化合物が例示される。該炭素原子に直接、水素原子あるいは炭素原子が結合したものは、塗液の水性化が容易でない場合がある。
本発明の偏光板保護用積層フィルムの積層膜に用いる組成物(A)のうち、ポリ陰イオンについて説明する。
本発明の偏光板保護用積層フィルムのポリ陰イオンは、遊離酸状態の酸性ポリマーであり、高分子カルボン酸、あるいは、高分子スルホン酸、ポリビニルスルホン酸などである。高分子カルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸が例示され、高分子スルホン酸としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸が例示され、特に、ポリスチレンスルホン酸が導電性の点で最も好ましい。なお、本発明において、遊離酸は、一部が中和された塩の形をとってもよい。
これらポリ陰イオンを重合時に用いることにより、本来、水に不溶なポリチオフェン系化合物を水分散あるいは水性化しやすく、かつ、酸としての機能がポリチオフェン系化合物のドーピング剤としての機能も果たすものと考えられる。
なお、本発明においては、高分子カルボン酸や高分子スルホン酸は、共重合可能な他のモノマー、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなどと共重合した形で用いることもできる。
ポリ陰イオンとして用いられる高分子カルボン酸や高分子スルホン酸の分子量は特に限定されないが、塗剤の安定性や導電性の点で、その重量平均分子量は1000〜1000000が好ましく、より好ましくは5000〜150000である。本発明の特性を阻害しない範囲で、一部、リチウム塩やナトリウム塩などのアルカリ塩やアンモニウム塩などを含んでもよい。中和された塩の場合も、非常に強い酸として機能するポリスチレンスルホン酸とアンモニウム塩は、中和後の平衡反応の進行により、酸性サイドに平衡がずれることが分かっており、これにより、ドーパントとして作用するものと考える。
本発明においては、ポリチオフェン、または、ポリチオフェン誘導体に対して、ポリ陰イオンは、固形分重量比で過剰に存在させた方が導電性の点で好ましく、ポリチオフェンおよび/またはポリチオフェン誘導体が1重量部に対し、ポリ陰イオンは、1重量部より多く、5重量部以下が好ましく、より好ましくは1重量部より多く、3重量部以下である。
もちろん、本発明の効果を損なわない範囲で、組成物(A)中に他の成分が用いられていてもよい。
また、上記した組成物(A)は、例えば、特開平6−295016号公報、特開平7−292081号公報、特開平1−313521号公報、特開2000−6324号公報、ヨーロッパ特許EP602713号、米国特許US5391472号などに記載の方法により製造することができるが、これら以外の方法であってもよい。例えば、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体の水性塗液として、Bayer社/H.C.Starck社(ドイツ国)から“Baytron”Pとして販売されているものなどを用いることができる。
組成物(A)は、例えば、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボキシエステルのアルカリ金属塩を出発物質として、3,4−エチレンジオキシチオフェンを得たのち、ポリスチレンスルホン酸水溶液にペルオキソ二硫酸カリウムと硫酸鉄と、先に得た3,4−エチレンジオキシチオフェンを導入し、反応させ、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などのポリチオフェンに、ポリスチレンスルホン酸などのポリ陰イオンが複合体化した組成物を得ることができる。
本発明の偏光板保護用積層フィルムの積層膜に用いる炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂としては、例えば、炭素数12〜25個のアルキル基を側鎖に持つアクリル系モノマーと、該アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合アクリル系樹脂が挙げられる。
共重合アクリル系樹脂中の炭素数12〜25個のアルキル基を側鎖に持つアクリル系モノマーの共重合比率は、35重量%以上のものが好ましい。なお、該共重合量は、より好ましくは35〜85重量%、最も好ましくは60〜80重量%であり、防汚性や共重合化などの点で好ましい。
このような炭素数が12〜25のアルキル鎖(以下、「長鎖アルキル基」と称することがある)を側鎖に持つアクリル系モノマーとしては、上記の要件を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ノナデシル、アクリル酸エイコシル、アクリル酸ヘンエイコシル、アクリル酸ドコシル、アクリル酸トリコシル、アクリル酸テトラコシル、アクリル酸ペンタコシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸エイコシル、メタクリル酸ペンタコシルなどの長鎖アルキル基含有アクリル系モノマーが用いられる。なお、炭素数が25を越えるものについては工業的に容易に入手することが困難であり、炭素数が25程度のものが上限である。
本発明で用いる長鎖アルキル基含有アクリル系樹脂は、環境面の配慮から、水系の塗剤を用いることが好ましく、例えば、エマルション化するために、他の共重合可能なモノマーとしては、下記のアクリル系モノマーやビニル系モノマーを用いることができる。モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトニル、メタクリロニトニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、スチレン、イタコン酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、Nーメチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル、ビニルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸ソーダ、無水マレイン酸などを用いることができる。
好ましい長鎖アルキル基含有アクリル系樹脂としては、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メチルメタクリレートから選ばれる共重合体などが挙げられる。
本発明の偏光板保護用積層フィルムの積層膜に好ましく用いることができるエポキシ系架橋剤(B)は特に限定されないが、本発明においては、分子量が1000以下であることが好適である。特に、エポキシ系架橋剤(B)を水溶性で分子量を1000以下とすることで、延伸工程での柔軟性や流動性が発現し、積層膜を形成する混合体の乾燥後の延伸追従性を高め、塗膜の亀裂による白化現象を抑制し、透明性が付与される。一方、例えば、分子量が大きくなり過ぎると、塗布、乾燥後の延伸時に塗膜に亀裂が入るなどの現象が発生し、透明性が低下する傾向がある。また、分子量を800以下、より好ましくは、600以下とすることで、組成物(A)や長鎖アルキル基含有アクリル系樹脂とエポキシ架橋剤(B)が、より相溶しやすくなり、透明性が向上する。
本発明においてエポキシ系架橋剤(B)は、透明性、導電性などが向上するので、水溶性の架橋剤であることが好ましい。
なお、本発明において、水溶性の架橋剤とは、水溶率が80%以上の架橋剤をいい、「水溶率」とは、23℃で、架橋剤の固形分10部を90部の水に溶解した時、架橋剤が溶解している割合をいう。すなわち、水溶率が80%とは、23℃で、10部の架橋剤のうち80重量%が90部の水に溶解し、残りの20重量%の架橋剤が未溶解物として残っている状態を示す。また、水溶率100%とは用いた10部の架橋剤が90部の水に全て溶解している状態を表す。なお、本発明において、エポキシ系架橋剤(B)は、水溶率が90%以上のものが好ましく、より好ましくは水溶率が100%である。水溶率が高いと塗液自体を水性化できるだけでなく、透明性や導電性の点でも優れたものとできる。
上記したエポキシ系架橋剤は、例えば、グリセリンなどの高沸点溶媒などの添加に比べ、ブロッキングをおこさず、熱処理工程を行うテンター内部の汚染や、大気汚染がないので、好適である。
本発明の積層フィルムにおいて、エポキシ系架橋剤(B)の種類は特に限定されないが、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル系、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系、ジグリセロールポリグリシジルエーテル系、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル系などを用いることができる。例えば、ナガセケムテック株式会社製エポキシ化合物“デナコール”(EX−611、EX−614、EX−614B、EX−512、EX−521、EX−421、EX−313、EX−810、EX−830、EX−850など)、坂本薬品工業株式会社製のジエポキシ・ポリエポキシ系化合物(SR−EG、SR−8EG、SR−GLGなど)、大日本インキ工業株式会社製エポキシ架橋剤“EPICLON”EM−85−75W、あるいはCR−5Lなどを好適に用いることができ、中でも、水溶性を有するものが好ましい。
エポキシ系架橋剤(B)は、エポキシ当量(weight per epoxy equivalent)が100〜300WPEであるものが反応性の点で好ましく、エポキシ当量は、より好ましくは110〜200WPEである。
本発明の偏光板保護用積層フィルムの製造に用いられる塗液は、好ましくは、実質的に水を主たる媒体とする水性の塗液である。本発明の偏光板保護用積層フィルムの製造に用いられる塗液は、塗布性の向上する、透明性の向上などの目的で、本発明の効果を阻害しない程度に適量の有機溶媒を含有してもよく、例えば、イソプロピルアルコール、t−ブチルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、エタノール、メタノールなどを好適に用いることができる。中でも、イソプロピルアルコールを用いることが塗布性を向上させる点で特に好ましく、その含有量は、塗液中に20重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下である。なお、塗液中に多量の有機溶媒を含有させると、いわゆるインラインコーティング法に適用した場合、予熱、乾燥、延伸および熱処理工程などを行うテンターにおいて、爆発の危険があり好ましくない。
本発明の偏光板保護用積層フィルムのエポキシ系架橋剤(B)は、積層膜の状態においては、積層膜を構成する成分に含まれる官能基と結合した状態であってもよいし、未反応の状態であってもよいし、部分的に架橋構造を形成したものであってもよい。エポキシ系架橋剤(B)は、積層膜の状態では、塗膜の強度や耐ブロッキング性やべたつき感、更には耐水性などの点で、架橋している状態が好ましい。なお、架橋は、他の成分に含まれる官能基と結合した状態でもよく、架橋剤自体の自己架橋構造であってもよい。
また、本発明においては、複数の架橋剤の併用も好適に用いられ、例えば、エポキシ系架橋剤(B)とメラミン系架橋剤、あるいはエポキシ系架橋剤(B)として異なる種類のエポキシ系架橋剤の併用は、両者の特性が発現するので好ましい。このとき用いられる架橋剤としては、例えば、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミドエポキシ化合物、チタンキレートなどのチタネート系カップリング剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系などを用いることができる。
本発明の偏光板保護用積層フィルムの積層膜は、積層膜中に、固形分重量比で、『「組成物(A)」と「エポキシ架橋剤(B)および/またはその反応生成物」』に対して「エポキシ系架橋剤(B)および/またはその反応生成物」が50〜95重量%であることが好ましい。例えば、エポキシ系架橋剤(B)が50重量%未満では導電性が発現しにくい場合がある。更に、エポキシ系架橋剤(B)が極端に少ない場合、例えば10重量%未満などの場合、未処理のポリエステルフィルムなどと同様の絶縁体レベルとなり、かつ、塗膜の白化が大きく、透明性も悪い。一方、エポキシ系架橋剤(B)が95重量%を越えると透明性は良化するものの、導電性に寄与する組成物(A)の量が少なすぎ、導電性が発現しにくくなる。なお、本発明者らの検討によれば、エポキシ系架橋剤(B)が、50〜80重量%であることが透明性や導電性の点でより好ましく、さらに好ましくは60〜80重量%である。積層膜中のエポキシ系架橋剤(B)の含有量を、50〜90重量%とすることで、透明性と導電性が極めて高いレベルで両立させることが可能となる。
本発明の偏光板保護用積層フィルムの積層膜は、上記した組成物(A)以外に、炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂が含まれてなることが必要であり、『「組成物(A)」と「エポキシ系架橋剤(B)および/またはその反応生成物」』の合計100重量部に対して、5重量部以上添加することで防汚性が発現するが、更に10〜40重量部含有せしめることで、極めて高度な防汚性を付与することができる。さらに好ましくは15〜30重量%とすることで、高度な防汚性を付与することができるだけでなく、加熱時のオリゴマー析出抑制性についても極めて高いレベルのものとする事ができることを見出した。これは、ポリチオフェン系組成物(A)やエポキシ系架橋剤(B)などの親水性を有する化合物、すなわち物質の表面エネルギーが高いものと、炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂などのような疎水性の化合物、すなわち物質の表面エネルギーが低いものとの両者の相分離現象によるものと推定している。特にインラインコート法のような高温での熱処理が可能なプロセスに適用することで、本現象がより顕著に発現するものと推定している。
なお、本発明の偏光板保護用積層フィルムの積層膜は、組成物(A)と炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂を必須成分とし、更にエポキシ系架橋剤(B)および/またはその反応生成物が含まれてなることが好ましいが、更に他の樹脂、特にポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などが少なくとも1種含まれていてもよい。但し、例えば、ポリエステル樹脂など他の樹脂成分が20重量%を越える場合などは本発明の特性、特に防汚性が発現しにくくなる傾向があり、添加する場合は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下とすることが好ましい。
また、本発明おいては、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に設けられる積層膜とは反対側に、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種からなる層を設けてもよい。この場合、積層膜が設けられた側は、湿度依存性のない高いレベルの導電性、防汚性、平滑性、耐水性、オリゴマー析出抑制性を有し、かつ、反対側は接着性などを有する別の機能層とする事ができ、例えば、該層上に粘着剤層を設ける場合など接着性が向上するなど、有用である。
更に、積層膜中には本発明の効果が損なわれない範囲内で各種の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されてもよい。
特に、本発明を実施するにあたり、塗液中に無機粒子を添加配合し二軸延伸したものは、易滑性が向上するので更に好ましい。
添加する無機粒子としては、代表的には、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。用いられる無機粒子は、本発明の効果が損なわれない範囲のものであればよい。
本発明では偏光板保護用積層フィルムの表面粗さについて、少なくとも片面の3次元中心線平均粗さ(SRa)が3〜50nmであることが必要である。これにより、例えば、本発明で得たフィルムの一つの用途である偏光板保護用途などに用いる場合は、表面の平滑性が重要視されるため特に好ましく使用される。
また、3次元十点平均粗さ(SRz)は、大きな突起や凹みなどを特徴づけるものである。これらの値が大きいと、例えば偏光板の欠点検査時など、該突起が異物として認識される可能性があり、本発明では、SRaは、より好ましくは10〜35nm、最も好ましくは10〜30nmであり、SRzは1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは800nm以下である。SRa、SRzは光触針式3次元粗さ計ET−30HK(小坂研究所株式会社製)を用いて測定することができる。なお、測定方法の項目に記載の通り、JIS−B−0601に従って測定を行う。
上記を達成するため、本発明においては積層膜に添加する粒子としては、平均粒径0.01〜0.3μmであるものが好ましく、より好ましくは0.02〜0.15μm、最も好ましくは0.05〜0.1μmであり、固形分に対する配合比も、特に限定されないが、重量比で0.05〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部である。
本発明においては、積層フィルムのヘイズが5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは4%以下であり、最も好ましくは0.9〜3.5%である。5%よりも大きいと、透過光の散乱が大きく透明性が劣るため、欠点などの検査性に劣る傾向がある。一方、極端に透明性に優れる場合は、フィルム中の異物など偏光板保護用途では問題にならないレベルの欠点まで見えてしまい、逆効果となる傾向がある。
また、本発明を実施するにあたり、水系樹脂の塗布の方法は、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法などを用いることができる。
積層膜の厚みは、特に限定されないが、通常は0.005〜0.2μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1μm、最も好ましくは0.01μm〜0.05μmである。積層膜の厚みが薄すぎると導電性不良となる場合がある。
本発明にかかる積層ポリエステルフィルムを製造するに際して、積層膜を設けるのに好ましい方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程中に塗布し、基材フィルムと共に延伸する方法が最も好適である。例えば、溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステルフィルムを長手方向に2.5〜5倍程度延伸し、一軸延伸されたフィルムに連続的に塗液を塗布する。塗布されたフィルムは段階的に加熱されたゾーンを通過しつつ乾燥され、幅方向に2.5〜5倍程度延伸される。更に、連続的に150〜250℃の加熱ゾーンに導かれ結晶配向を完了させる方法(インラインコート法)によって得ることができる。この場合に用いる塗布液は環境汚染や防爆性の点で水系のものが好ましい。
本発明においては、塗液を塗布する前に、基材フィルムの表面(上記例の場合、一軸延伸フィルム)にコロナ放電処理などを施し、該表面の濡れ張力を、好ましくは47mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上とするのが、積層膜の基材フィルムとの接着性を向上させることができるので好ましく用いることができる。また、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒を塗液中に若干量含有させて、濡れ性や基材フィルムとの接着性を向上させることも好適である。
次に、本発明の偏光板保護用積層フィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称する)を基材フィルムとした例について更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
本発明の偏光板保護用積層フィルムの製造方法をより具体的に例示して説明する。極限粘度0.5〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し、260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化させて未延伸PETフィルムを作製する。この未延伸フィルムを70〜120℃に加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向)に2.5〜5倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面にコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に本発明にかかる水性塗液を塗布する。この塗布されたフィルムをクリップで把持して70〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥した後、幅方向に2.5〜5倍延伸し、引き続き160〜250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中において、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に1〜10%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は、縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。また、ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。
なお、積層膜が設けられる基材フィルム中に、積層膜形成組成物、あるいは積層膜形成組成物の反応生成物から選ばれる少なくとも1種の物質を含有させることにより、積層膜と基材フィルムとの接着性を向上させたり、易滑性を向上させることができる。積層膜形成組成物、あるいはこれらの反応生成物の添加量は、その添加量の合計が5ppm以上20重量%未満であるのが、接着性、易滑性の点で好ましい。特に、環境保護、生産性を考慮すると、該積層膜形成組成物を含む再生ペレットを用いる方法が好適である。
このようにして得られた本発明の偏光板保護用積層フィルムは、高いレベルの導電性が湿度変化によらず発現し、防汚性、平滑性、透明性に優れ、更に驚くべき事にオリゴマー析出抑制性も兼ね備えるため、特に偏光板保護用途の基材フィルムとして好適に用いることができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法及び効果の評価方法は次のとおりである。
(1)積層膜の厚み
サンプル、例えば積層ポリエステルフィルムの断面を超薄切片に切り出し、RuO染色、OsO染色、あるいは両者の二重染色による染色超薄切片法により、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察、写真撮影を行った。その断面写真から積層膜の厚み測定を行った。なお、測定視野中の10カ所の平均値を用いた。
観察方法
・装置:透過型電子顕微鏡(日立(株)製H−7100FA型)
・測定条件:加速電圧 100kV
・試料調整:超薄切片法
(2)表面粗さ
JIS−B−0601に従って、3次元中心線平均粗さ(SRa)および3次元十点平均粗さ(SRz)は、光触針式3次元粗さ計ET−30HK(小坂研究所株式会社製)を用いて、測定長0.5mm、測定本数80本、カットオフ0.25mm、送りピッチ5μm、触針荷重10mg、スピード100μm/秒で測定した。なお、3回測定を行い、その平均値を用いた。
(3)導電性
導電性は、表面比抵抗により測定した。表面比抵抗の測定は、常態(23℃、相対湿度65%)において24時間放置後、その雰囲気下で、JIS−K−7194に準拠した形で、ロレスタ−EP(三菱化学株式会社製、型番:MCP−T360)を用いて実施した。単位は、Ω/□である。なお、本測定器は1×10Ω/□以下が測定可能である。
一方、1×10Ω/□以上の領域については、デジタル超高抵抗/微小電流計R8340A(アドバンテスト(株)製)を用い、印加電圧100V、10秒間印加後、測定を行った。単位は、Ω/□である。
本発明においては、1×10Ω/□以下のものが良好な導電性を有するものであり、更に1×10Ω/□以下は極めて優れた導電性があると判断した。
また、導電性の湿度依存性を測定するため、23℃、相対湿度20%の環境に1時間放置した後、上記と同様の測定を行った。なお、上記測定は、それぞれ2回の測定値の平均値を用いた。
(4)耐水性
積層フィルムを水道水を用い、流水下で1分間洗浄後、60℃で5分間風乾後、(3)項に記載の導電性の評価を行った。耐水性評価をする前の導電性と比較して、該耐水性評価を行った後の導電性の変化が小さいものが優れた耐水性を有するものである。
(5)防汚性(水滴接触角)
防汚性は表面エネルギーが低いものが優れ、疎水性表面が優れる。本発明においては、水滴接触角を防汚性のパラメーターとして用い、水滴接触角が大きいもの程、優れた防汚性を示すものと判断した。なお、本発明においては、80度以上あれば防汚性良好であり、更に90度以上が防汚性に優れ、95度以上は極めて優れた防汚性を示すものと判断した。
なお、測定は、23℃、相対湿度65%の条件下で、接触角計CA−D型(協和界面科学(株)製)にて行い、3回測定の平均値を用いた。
(6)ヘイズ
透明性の指標として、ヘイズを用いた。ヘイズの測定は、常態(23℃、相対湿度65%)において、積層フィルムを2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて行った。3回測定した平均値を該サンプルのヘイズ値とした。
(7)オリゴマーの析出抑制性
本発明で得た積層フィルムを180℃の熱風オーブン中に30分間放置し、基材フィルムからオリゴマーを析出させた。反対面を、(但し、反対面にも積層膜を設けたものは、その積層膜表面)を、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)を浸した“ベンコットン”(旭化成工業(株)製)を用いて該面を拭き取り、前述のヘイズ測定方法に従い、ヘイズを測定した。なお、ヘイズ上昇の小さいものがオリゴマーの析出抑制性に優れると判断した。
次に、実施例に基づいて本発明を説明する。
(実施例1)
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%と、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.006重量%を含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し280℃の温度で溶融し、T字型口金からシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化させた。このようにして得られた未延伸フィルムを、88℃の温度に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、その処理面に下記の積層膜形成塗液を塗布した。積層膜形成塗液が塗布された一軸延伸フィルムを、クリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、95℃の温度で乾燥後、引き続き連続的に110℃の温度の加熱ゾーンで幅方向に3.8倍延伸し、更に、230℃の温度の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。得られたPETフィルム厚みは38μmであり、積層膜の厚み0.025μmであった。結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
「積層膜形成塗液」
・液A1:
ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体の水性塗液(Bayer社/H.C.Starck社(ドイツ国)製“Baytron”P)。
・塗液B1:
エポキシ架橋剤として、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル系エポキシ架橋剤(大日本インキ化学工業(株)製CR−5L(エポキシ当量180、水溶率100%))を水に溶解させた水性塗液。
・塗液C1:
下記の共重合組成からなる長鎖アルキル基含有アクリル樹脂を、イソプロピルアルコール10重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させた水性塗液。
<共重合成分>
ベヘニルメタクリレート 65重量%
(長鎖アルキル鎖炭素数22)
メタクリル酸 25重量%
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10重量%
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=10/90で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液1と略称する)。その後、該熟成塗液1と塗液C1を固形分重量比で、熟成塗液1/塗液C1=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。なお、このとき、各塗液の固形分重量比は、塗液A1/塗液B1/塗液C1=10/90/20であった。
(実施例2)
実施例1で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1、塗液B1、および塗液C1は実施例1と同じものを用いた。
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液2と略称する)。その後、該熟成塗液2と塗液C1を固形分重量比で、熟成塗液2/塗液C1=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
(実施例3)
実施例1で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1、塗液B1、および塗液C1は実施例1と同じものを用いた。
・塗液D1:
平均粒子径が45nmであるコロイダルシリカの水性塗液。
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液2と略称する)。その後、該熟成塗液2と塗液C1と塗液D1を固形分重量比で、熟成塗液2/塗液C1=100/25/3で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
(実施例4)
実施例1で用いたPETペレットとして、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.06重量%を含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を用い、下記の積層膜形成塗液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1、塗液B1、および塗液C1は実施例1と同じものを用いた。
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液2と略称する)。その後、該熟成塗液2と塗液C1を固形分重量比で、熟成塗液2/塗液C1=100/25で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
(実施例5)
実施例4で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1、塗液B1、および塗液C1は実施例4と同じものを用いた。
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液2と略称する)。その後、該熟成塗液2と塗液C1を固形分重量比で、熟成塗液2/塗液C1=100/30で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
(実施例6)
実施例4で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1、塗液B1、および塗液C1は実施例4と同じものを用いた。
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=40/60で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液3と略称する)。その後、該熟成塗液3と塗液C1を固形分重量比で、熟成塗液3/塗液C1=100/10で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
(実施例7)
実施例4で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1および塗液B1は実施例4と同じものを用いた。
・塗液C2:
下記の共重合組成からなる長鎖アルキル基含有アクリル樹脂を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させた水性塗液。
<共重合成分>
ステアリルメタクリレート 65重量%
(長鎖アルキル基炭素数18)
メタクリル酸 25重量%
2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量%
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液2と略称する)。その後、該熟成塗液2と塗液C2を固形分重量比で、熟成塗液2/塗液C2=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
(実施例8)
実施例4で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1および塗液B1は実施例4と同じものを用いた。
・塗液C3:
下記の共重合組成からなる長鎖アルキル基含有アクリル樹脂を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させた水性塗液。
<共重合成分>
ラウリルメタクリレート 70重量%
(長鎖アルキル鎖炭素数12)
メタクリル酸 25重量%
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5重量%
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液2と略称する)。その後、該熟成塗液2と塗液C3を固形分重量比で、熟成塗液2/塗液C3=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
(実施例9)
実施例4で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1および塗液B1は実施例4と同じものを用いた。
・塗液C4:
下記の共重合組成からなる長鎖アルキル基含有アクリル樹脂を、イソプロピルアルコール10重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させた水性塗液。
<共重合成分>
ベヘニルメタクリレート 62重量%
(長鎖アルキル鎖炭素数22)
ラウリルメタクリレート 3重量%
(長鎖アルキル鎖炭素数12)
メタクリル酸 25重量%
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10重量%
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液2と略称する)。その後、該熟成塗液2と塗液C4を固形分重量比で、熟成塗液2/塗液C4=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
(実施例10)
実施例4で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1は実施例4と同じものを用いた。
・塗液B2:
エポキシ架橋剤として、ソルビトールポリグリシジルエーテル系エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製“デナコール”EX−614B(分子量約550、エポキシ当量173、水溶率94%))を水に溶解させた水性塗液。
・塗液C4は実施例9と同じものを用いた。
上記した塗液A1と塗液B2を固形分重量比で、塗液A1/塗液B2=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液4と略称する)。その後、該熟成塗液4と塗液C4を固形分重量比で、熟成塗液4/塗液C4=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
(実施例11)
実施例1で用いたPETペレットとして、粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.65dl/g)を用い、下記の積層膜形成塗液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1、塗液B1、および塗液C1は実施例1と同じものを用いた。
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液2と略称する)。その後、該熟成塗液2と塗液C1を固形分重量比で、熟成塗液2/塗液C1=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表1に示す。導電性、防汚性、透明性、オリゴマーの析出抑制性に優れたものであった。
Figure 2006243216
(比較例1)
実施例1で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用い、かつ、塗布層の厚みを0.08μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液E1:
ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩(重量平均分子量:65000)を水に溶解した水性塗液。
・塗液F1:
下記の共重合組成からなるアクリル樹脂(ガラス転移温度:42℃)を粒子状に水に分散させた水性塗液(エマルション粒子径は50nm)。
<共重合成分>
メチルメタクリレート 62重量%
(アルキル鎖の炭素数1)
エチルアクリレート 35重量%
(アルキル鎖の炭素数2)
アクリル酸 2重量%
N−メチロールアクリルアミド 1重量%
上記した塗液E1と塗液F1を固形分重量比で、塗液E1/塗液F1=20/80で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表2に示す。導電性、防汚性に極めて劣るものであった。
(比較例2)
実施例1で用いた積層膜形成塗液に代え、下記の積層膜形成塗液を用いた以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1は実施例1と同じものを用いた。
・塗液B3:
エポキシ架橋剤として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製“デナコール”EX−512(分子量約630、エポキシ当量168、水溶率100%))を水に溶解させた水性塗液。
・塗液G1:
下記の共重合組成からなる長鎖アルキル基含有アクリル樹脂を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させた水性塗液。
<共重合成分>
2−エチルヘキシルメタクリレート 70重量%
(長鎖アルキル鎖炭素数8)
メタクリル酸 25重量%
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5重量%
上記した塗液A1と塗液B3を固形分重量比で、塗液A1/塗液B3=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液5と略称する)。その後、該熟成塗液5と塗液G1を固形分重量比で、熟成塗液5/塗液G1=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
結果を表2に示す。防汚性に劣るものであった。
(比較例3)
酸化チタンを14重量%微分散し、平均粒径4μmのコロイダルシリカを0.5重量%含有するPETペレット(極限粘度0.62dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し280℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。
この未延伸フィルムを95℃に加熱して長手方向に3.2倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を52mN/mとし、その処理面に下記の積層膜形成塗液をマイヤーバーコート法で塗布した。積層膜形成塗液が塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、95℃の温度で乾燥後、引き続き連続的に110℃の温度の加熱ゾーンで幅方向に3.3倍延伸し、更に、235℃の温度の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。得られたPETフィルム厚みは188μmであり、積層膜の厚み0.025μmであった。結果を表2に示すが、導電性や防汚性は良好であるものの、酸化チタンによる隠蔽性が発現してしまい、透明性が全く得られず、偏光板保護用フィルムとしては不適であった。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1は実施例1と同じものを用いた。
・塗液B3:
エポキシ架橋剤として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製“デナコール”EX−512(分子量約630、エポキシ当量168、水溶率100%))を水に溶解させた水性塗液。
・塗液C1は実施例1と同じものを用いた。
上記した塗液A1と塗液B3を固形分重量比で、塗液A1/塗液B3=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液5と略称する)。その後、該熟成塗液5と塗液C1を固形分重量比で、熟成塗液5/塗液C1=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
(比較例4)
平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.2重量%含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し280℃の温度で溶融し、T字型口金からシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化させた。このようにして得られた未延伸フィルムを、88℃の温度に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、その処理面に下記の積層膜形成塗液を塗布した。積層膜形成塗液が塗布された一軸延伸フィルムを、クリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、95℃の温度で乾燥後、引き続き連続的に110℃の温度の加熱ゾーンで幅方向に4.1倍延伸し、更に、230℃の温度の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。得られたPETフィルム厚みは7μmであり、積層膜の厚み0.025μmであった。結果を表2に示す。導電性や防汚性は良好であるものの、透明性に劣るものであった。
「積層膜形成塗液」
・塗液A1は実施例1と同じものを用いた。
・塗液B3:
エポキシ架橋剤として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製“デナコール”EX−512(分子量約630、エポキシ当量168、水溶率100%))を水に溶解させた水性塗液。
・塗液C1は実施例1と同じものを用いた。
上記した塗液A1と塗液B3を固形分重量比で、塗液A1/塗液B3=25/75で混合したものを、5日間、常温で熟成させた(熟成塗液5と略称する)。その後、該熟成塗液5と塗液C1を固形分重量比で、熟成塗液5/塗液C1=100/20で混合したものを、積層膜形成塗液とした。
Figure 2006243216

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、組成物(A)と炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂を含有する積層膜が設けられた積層フィルムであって、
    組成物(A)が、少なくともポリチオフェンとポリ陰イオンを含有する組成物
    および/またはポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンを含有する組成物を含有し、
    かつ、該積層フィルムの少なくとも片面の3次元中心線平均粗さ(SRa)が3〜50nmであることを特徴とする偏光板保護用積層フィルム。
  2. 積層フィルムのヘイズが5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板保護用積層フィルム。
  3. 積層フィルムの3次元十点平均粗さ(SRz)が1000nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板保護用積層フィルム。
  4. 積層膜中にエポキシ系架橋剤(B)および/またはその反応生成物が含まれてなり、かつ、固形分重量比で、組成物(A)に対してエポキシ系架橋剤(B)および/またはその反応生成物の総量が50〜95重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板保護用積層フィルム。
  5. 積層膜中に炭素数が12〜25のアルキル鎖を有するアクリル系樹脂を、組成物(A)とエポキシ架橋剤(B)および/またはその反応生成物の合計100重量部に対して、10〜40重量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板保護用積層フィルム。
  6. 少なくとも片面の3次元中心線平均粗さ(SRa)が10〜35nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板保護用積層フィルム。
  7. 熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板保護用積層フィルム。
  8. 積層フィルムの少なくとも片面に粘着剤層が設けられてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板保護用積層フィルム。
  9. 積層フィルムにおいて、積層膜が設けられた面の反対面に粘着剤層が設けられてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の偏光板保護用積層フィルム。
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