JP2010231016A - 偏光子保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光子保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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【課題】接着剤を用いて偏光子と積層しても、接着層から剥がれ難い偏光子保護フィルムを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂及び弾性体粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物の層を有する単層又は多層のフィルムであって、前記熱可塑性樹脂組成物を、線圧150N/cm以上の押し付け圧力にて2本の金属製ロールで挟み込んだ状態で製膜してなるものを、偏光子保護フィルムとして使用する。熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂であるのがよく、弾性体粒子は、アクリル系弾性重合体を含有する粒子であるのがよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光子保護フィルム、この偏光子保護フィルムと偏光子とが積層されてなる偏光板、及びこの偏光板と液晶セルとを備える液晶表示装置に関する。
液晶表示装置の部材等に用いられる偏光板としては、通常、偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムが積層されてなるものが用いられている。この保護フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂製のものが用いられるが、靭性が不十分で、割れ易いことがある。このため、弾性体を配合して、靭性を向上させることが検討されている。
弾性体を含有する熱可塑性樹脂製の偏光子保護フィルムとして、例えば、特開平5−119217号公報(特許文献1)には、メチルメタクリレート50〜70重量部、無水マレイン酸10〜20重量部及びスチレン20〜35重量部からなるアクリル系樹脂と、耐衝撃性アクリルゴム−メチルメタクリレートグラフト共重合体やブチル変性アセチルセルロースなどの強靱性改良剤とからなり、アクリル系樹脂/強靭性改良剤の重量比が60〜90/40〜10である組成物からなる偏光膜保護用フィルムが提案されており、このフィルムが、前記組成物を押出成形や溶液流延法によりフィルム化することにより得られることが開示されている。また、特開2005−314534号公報(特許文献2)には、グルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂を60〜90重量%、アクリル弾性体粒子を7〜40重量%含有し、アクリル弾性体粒子の平均粒子径が70〜300nmであり、フィルムの破断伸度が15%以上、高張力下1%変形温度が100℃以上であるアクリル樹脂フィルムが提案されており、その用途として偏光板保護フィルムが例示され、また、このフィルムが、前記アクリル樹脂及びアクリル弾性体粒子を含有する組成物を、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法などの溶融製膜や、ポリマーフィルム上キャスト法、キャスティングドラム法、金属ベルトキャスト法などの溶液製膜にて製膜することにより得られることが開示されている。
特開平5−119217号公報 特開2005−314534号公報
従来の弾性体を含有する熱可塑性樹脂製の偏光子保護フィルムは、接着剤、特に活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて偏光子と積層すると、接着層から剥がれ易いことがある。そこで、本発明の目的は、弾性体を含有する熱可塑性樹脂製の偏光子保護フィルムであって、接着剤を用いて偏光子と積層しても、接着層から剥がれ難い偏光子保護フィルムを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、熱可塑性樹脂及び弾性体粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物の層を有する単層又は多層の偏光子保護フィルムであって、前記熱可塑性樹脂組成物を、線圧150N/cm以上の押し付け圧力にて2本の金属製ロールで挟み込んだ状態で製膜してなることを特徴とする偏光子保護フィルムを提供する。
また、本発明によれば、前記偏光子保護フィルムと偏光子とが接着剤により積層されてなる偏光板も提供される。
さらに、本発明によれば、前記偏光板と液晶セルとを備える液晶表示装置も提供される。
本発明の偏光子保護フィルムは、接着剤を用いて偏光子と積層しても、接着層から剥がれ難いので、これを用いることにより、偏光子保護フィルムが剥がれ難い偏光板、さらには液晶表示装置を得ることができる。
(偏光子保護フィルム)
本発明の偏光子保護フィルムは、熱可塑性樹脂及び弾性体粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物の層を有する単層又は多層のフィルムである。そして、前記熱可塑性樹脂組成を、線圧150N/cm以上の押し付け圧力にて2本の金属製ロールで挟み込んだ状態で製膜してなるものである。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂のようなポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂のようなポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、偏光子保護フィルムの表面硬度や耐光性、透明性の点からアクリル系樹脂が好ましく用いられる。
アクリル系樹脂は、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体であるのがよく、メタクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸アルキル50重量%以上とメタクリル酸アルキル以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。メタクリル酸アルキルとしては、通常、そのアルキル基の炭素数が1〜4のものが用いられ、中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。また、メタクリル酸アルキル以外の単量体は、分子内に1個の重合性炭素−炭素二重結合を有する単官能単量体であってもよいし、分子内に2個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能単量体であってもよいが、ここでは単官能単量体が好ましく用いられ、その例としては、アクリル酸メチルやアクリル酸エチルのようなアクリル酸アルキル、スチレンやアルキルスチレンのようなスチレン系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのような不飽和ニトリルが挙げらる。共重合成分としてアクリル酸アルキルを用いる場合、その炭素数は通常1〜8である。アクリル系樹脂の単量体組成は、全単量体の合計100重量%を基準として、メタクリル酸アルキルが、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であり、また、好ましくは99重量%以下である。
弾性体粒子は、弾性体を含有する粒子であり、弾性体のみからなる粒子であってもよいし、弾性体の層を有する多層構造の粒子であってもよい。弾性体としては、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン−ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体が挙げられる。中でも、偏光子保護フィルムの表面硬度や耐光性、透明性の点からアクリル系弾性重合体が好ましく用いられる。
アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルを主体とする重合体であるのがよく、アクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸アルキル50重量%以上とアクリル酸アルキル以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。アクリル酸アルキルとしては、通常、そのアルキル基の炭素数が4〜8のものが用いられる。また、アクリル酸アルキル以外の単量体の例としては、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルのようなメタクリル酸アルキル、スチレンやアルキルスチレンのようなスチレン系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのような不飽和ニトリル等の単官能単量体や、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル等の多官能単量体が挙げられる。
アクリル系弾性重合体を含有する弾性体粒子は、アクリル系弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であるのが好ましく、アクリル系弾性体の外側にメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する2層構造のものであってもよいし、さらにアクリル系弾性体の内側にメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する3層構造のものであってもよい。なお、アクリル系弾性体の外側又は内側に形成される層を構成するメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の単量体組成の例は、先にアクリル系樹脂の例として挙げたメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の単量体組成の例と同様である。このような多層構造のアクリル系弾性体粒子は、例えば特公昭55−27576号公報に記載の方法により、製造することができる。
弾性体粒子としては、その中に含まれる弾性体の数平均粒径が10〜300nmであるものが好ましく用いられる。この弾性体の数平均粒径をあまり小さくすることは、製造上困難であり、また、この弾性体の数平均粒径があまり大きいと、偏光子保護フィルムの製造時や加工時に白化が生じ易くなる。この弾性体の数平均粒径は、好ましくは50nm以上であり、また好ましくは250nm以下である。
最外層がメタクリル酸メチルを主体とする重合体であり、その中にアクリル系弾性重合体が包み込まれている弾性体粒子においては、それを母体のアクリル系樹脂に混合すると、弾性体粒子の最外層が母体のアクリル系樹脂と混和するため、その断面において、酸化ルテニウムによるアクリル系弾性重合体への染色を施し、電子顕微鏡で観察した場合、その弾性体粒子が、最外層を除いた状態の粒子として観察される。具体的には、内層がアクリル系弾性重合体であり、外層がメタクリル酸メチルを主体とする重合体である2層構造の弾性体粒子を用いた場合には、内層のアクリル系弾性重合体部分が染色されて単層構造の粒子として観察され、また、最内層がメタクリル酸メチルを主体とする重合体であり、中間層がアクリル系弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする重合体である3層構造の弾性体粒子を用いた場合には、最内層の粒子中心部分が染色されず、中間層のアクリル系弾性重合体部分のみが染色された2層構造の粒子として観察されることになる。本明細書において、弾性体粒子中の弾性体の数平均粒径とは、このように、弾性体粒子を母体樹脂に混合して断面を酸化ルテニウムで染色したときに、染色されてほぼ円形状に観察される部分の径の数平均値である。
前記熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性樹脂と弾性体粒子との含有割合は、両者の合計100重量部を基準として、熱可塑性樹脂が55〜85重量部、弾性体粒子が15〜45重量部であるのが好ましい。より好ましくは熱可塑性樹脂が55〜78重量部、弾性体粒子が22〜45重量部であり、さらに好ましくは熱可塑性樹脂が55〜75重量部、弾性体粒子が25〜45重量部である。弾性体粒子の量があまり少ないと、偏光子保護フィルムが柔軟性に欠け、ハンドリング性が低下する。また、弾性体粒子の量があまり多いと、偏光子保護フィルムの表面硬度が低下する。
前記熱可塑性樹脂組成物は、例えば、弾性体粒子を得た後、その存在下に熱可塑性樹脂の原料となる単量体を重合させて、母体の熱可塑性樹脂を生成させることにより製造してもよいし、弾性体粒子と熱可塑性樹脂とを得た後、両者を溶融混練等により混合することにより製造してもよい。
前記熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤を含有させてもよい。
紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させるために添加される。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤等の公知のものが使用可能である。中でも、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が好適に用いられる。これらの中でも、特に2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)が好ましい。紫外線吸収剤の濃度は、偏光子保護フィルムの波長370nm以下の透過率が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下となる範囲で選択することができる。紫外線吸収剤を含有させる方法としては、紫外線吸収剤を予め熱可塑性樹脂中に配合する方法;溶融押出成形時に直接供給する方法などが挙げられ、いずれの方法が採用されてもよい。
赤外線吸収剤としては、ニトロソ化合物、その金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、カーボンブラック、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、周期表4A、5Aもしくは6A族に属する金属の酸化物、炭化物、ホウ化物等の赤外線吸収剤などを挙げることができる。これらの赤外線吸収剤は、赤外線(波長約800nm〜1100nmの範囲の光)全体を吸収できるように、選択することが好ましく、2種類以上を併用してもよい。赤外線吸収剤の量は、例えば、偏光子保護フィルムの800nm以上の波長の光線透過率が10%以下となるように適宜調整することができる。
前記熱可塑性樹脂組成物は、そのガラス転移温度Tgが80〜120℃の範囲内のものが好ましい。さらに、前記熱可塑性樹脂組成物は、フィルムに成形したときの表面の硬度が高いもの、具体的には、鉛筆硬度(荷重500gで、JIS K5600−5−4に準拠)で2Hを超えるものが好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂組成物は、偏光子保護フィルムの柔軟性の観点から、曲げ弾性率(JIS K7171)が1500MPa以下であるのが好ましい。この曲げ弾性率は、より好ましくは1300MPa以下であり、さらに好ましくは1200MPa以下である。この曲げ弾性率は、前記熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂や弾性体粒子の種類や量などによって変動し、例えば、弾性体粒子の含有量が多いほど、一般に曲げ弾性率は小さくなる。また、熱可塑性樹脂として、メタクリル酸アルキルの単独重合体を用いるよりも、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキル等との共重合体を用いる方が、一般に曲げ弾性率は小さくなる。また、弾性体粒子として、前記3層構造のアクリル系弾性重合体粒子を用いるよりも、前記2層構造のアクリル系弾性重合体粒子を用いる方が、一般に曲げ弾性率は小さくなり、さらに単層構造のアクリル系弾性重合体粒子を用いる方が、一般に曲げ弾性率は小さくなる。また、弾性体粒子中、弾性体の平均粒径が小さいほど、又は弾性体の量が多いほど、一般に曲げ弾性率は小さくなる。そこで、熱可塑性樹脂や弾性体粒子の種類や量を調整して、曲げ弾性率が1500MPa以下になるようにすればよい。
偏光子保護フィルムを多層構成とする場合、前記熱可塑性樹脂組成物の層以外に存在しうる層は、その組成に特に限定はなく、例えば、弾性体粒子を含有しない熱可塑性樹脂又はその組成物の層であってもよい。典型的には2層又は3層構成であって、例えば、前記熱可塑性樹脂組成物の層/弾性体粒子を含有しない熱可塑性樹脂又はその組成物の層からなる2層構成であってもよいし、前記熱可塑性樹脂組成物の層/弾性体粒子を含有しない熱可塑性樹脂又はその組成物の層/前記熱可塑性樹脂組成物の層からなる3層構成であってもよい。多層構成の偏光子保護フィルムは、前記熱可塑性樹脂組成物の層の面を、偏光子との貼合面とすればよい。
また、偏光子保護フィルムを多層構成とする場合、弾性体粒子や前記配合剤の各層の含有量を互いに異ならせてもよい。例えば、紫外線吸収剤及び/又は赤外線吸収剤を含有する層と、この層を挟んで紫外線吸収剤及び/又は赤外線吸収剤紫外線吸収剤を含有しない層とが積層されていてもよい。また、前記熱可塑性樹脂組成物の層の紫外線吸収剤の含有量が、弾性体粒子を含有しない熱可塑性樹脂又はその組成物の層の紫外線吸収剤の含有量よりも、高くなるようにしてもよく、具体的には、前者を好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%とし、後者を好ましくは0〜1重量%、より好ましくは0〜0.5重量%としてもよく、これにより、偏光板の色調を悪化させることなく、紫外線を効率的に遮断することができ、長期使用時の偏光度の低下を防ぐことができる。
偏光子保護フィルムの厚さは、通常100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは40μm以上80μm以下である。偏光子保護フィルムが多層構成である場合、前記熱可塑性樹脂組成物の層は、その厚さが、複数存在する場合はその合計厚さで表して、偏光子保護フィルム全体の厚さの20〜80%であるのがよい。
偏光子保護フィルムは、その残留溶剤含有量が0.01重量%以下であることが好ましい。残留溶剤量が上記範囲であることにより、例えば、高温・高湿度環境下において偏光子保護フィルムが変形するのを防止できるとともに、光学性能が劣化するのを防止できる。残留溶剤含有量は、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブの試料容器に保護層50mgを入れ、その容器を温度200℃で30分間加熱し、容器から出てきた気体を連続的に捕集し、捕集した気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計(TDS−GC−MS)で分析することができる。
偏光子保護フィルムは、その透湿度が10g・m-2day-1以上、200g・m-2day-1以下であることが好ましい。偏光子保護フィルムの透湿度を上記好適な範囲とすることにより、偏光子保護フィルムを構成する各層間の密着性を向上できる。透湿度は、40℃、92%RHの環境下で、24時間放置する試験条件で、JIS Z0208に記載のカップ法により測定できる。
以上のような偏光子保護フィルムを、本発明では、前記熱可塑性樹脂組成物を、線圧150N/cm以上の押し付け圧力にて2本の金属製ロールで挟み込んだ状態で製膜することにより製造する。これにより、接着剤を用いて偏光子に積層したとき、接着層から剥がれ難い偏光子保護フィルムを得ることができる。押し付け圧力は、線圧で300N/cm以上であるのが好ましく、上限については特に限定されないが、通常、線圧で1000N/cm以下である。また、金属製ロールは、鏡面ロールであるのが好ましく、これにより、表面平滑性に優れる偏光子保護フィルムを得ることができる。なお、偏光子保護フィルムとして多層構成のものを得る場合、前記熱可塑性樹脂組成物を、他の熱可塑性樹脂又はその組成物と共に、多層押出後、前記所定の条件で製膜すればよい。
前記所定の条件で製膜することにより得られる偏光子保護フィルムは、少なくとも一方の面の中心線平均粗さRaが、弾性体粒子中の弾性体の数平均粒径の3分の1以下であることが好ましく、また0.01〜0.05μmであることが好ましい。そして、この面を偏光子と積層される面(偏光子との貼合面)とするのがよい。好ましくは、偏光子保護フィルムの両面の中心線平均粗さRaが共に、前記範囲に入るようにする。中心線平均粗さRaは、JIS B0601に規定されている。偏光子保護フィルムの表面の中心線平均粗さRaがあまり小さいと、フィルム自身を巻き形状としたときにブロッキングを起こし易く、取り扱いが難しくなる。一方、偏光子保護フィルムの表面の中心線平均粗さRaがあまり大きいと、接着剤を用いて偏光子に積層したとき、接着層から剥がれ易くなり、また、フィルム表面の粗度による反射光の散乱が大きくなり、意匠性を損ない易くなる。
以上説明した本発明の偏光子保護フィルムと、偏光子とを、接着剤を用いて積層することにより、本発明の偏光板が得られる。本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に本発明の偏光子保護フィルムが積層されてなるものであり、偏光子の両面に本発明の偏光子保護フィルムが積層されてなるものであってもよいし、偏光子の一方の面に本発明の偏光子保護フィルムが積層され、もう一方の面に他の偏光子保護フィルムが積層されてなるものであってもよいし、偏光子の一方の面に本発明の偏光子保護フィルムが積層され、もう一方の面には保護フィルムが積層されていないものであってもよい。
(偏光子)
偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、たとえばアルデヒド類で変性されたポリビニルポリマール、ポリビニルアセタールなども使用し得る。また、偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、通常1000〜10000、好ましくは1500〜5000である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂をフィルム状に製膜したもの(ポリビニルアルコール系樹脂フィルム)が、偏光子の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの膜厚は特に限定されないが、たとえば10〜150μmである。
偏光子は通常、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびこのホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て、製造される。
一軸延伸は、染色の前に行ってもよいし、染色と同時に行ってもよいし、染色の後に行ってもよい。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。勿論、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行うなどの乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。
延伸倍率は、通常3〜8倍である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、たとえば二色性色素を含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬すればよい。二色性色素として具体的には、ヨウ素、二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。
この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10-4〜10重量部、好ましくは1×10-3〜1重量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1200秒、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、たとえば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒である。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。
乾燥処理は通常、熱風乾燥機、遠赤外線ヒータを用いて行われる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒であり、好ましくは120〜600秒である。
こうして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色およびホウ酸処理が施されて、偏光子が得られる。この偏光子の厚みは、通常5〜40μmの範囲内、好ましくは10〜35μmの範囲内である。
(接着剤)
偏光子保護フィルムと偏光子との積層の際に用いる接着剤は、適宜選択されるが、活性エネルギー線硬化型接着剤であるのが好ましく、溶剤含有量が0〜2重量%と低いものがより好ましい。接着剤中の溶剤含有量はガスクロマトグラフィー等によって測定できる。
溶剤としては、n−ヘキサンやシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールのようなアルコール類;アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのようなセロソルブ類;塩化メチレンやクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化型接着剤は、23℃におけるB型粘度計により測定される粘度が50〜2000mPa・sであると、接着剤の塗布性に優れ好適である。活性エネルギー線硬化型接着剤は、無色透明であれば、特に制限なく公知のものを使用することができる。活性エネルギー線硬化型接着剤の主成分となる活性エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などを官能基に有する化合物などの活性エネルギー線によりラジカル重合を起こして硬化するもの(光ラジカル重合性化合物);エポキシ基、オキセタン基、水酸基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基等の官能基を有する化合物などの活性エネルギー線により光カチオン反応を起こして硬化するもの(光カチオン重合性化合物);が挙げられる。
光ラジカル重合性化合物として、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアリールアクリレート;2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸などのアクリル変性カルボン酸;トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートのようなポリエチレングリコールジアクリレート;ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートのようなポリプロピレングリコールジアクリレート;その他、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのような多官能アクリレート;エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ネオペンチルグリコールのアクリル酸安息香酸混合エステルなどその他のアクリレート;これらのメタクリレート体;などが挙げられる。
光カチオン重合性化合物として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのアルコール型エポキシ樹脂;臭素化エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂;ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂等のエポキシ基を有する化合物;フェノキシメチルオキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン等のオキセタニル基を有する化合物が挙げられる。
これらの活性エネルギー線硬化性化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
活性エネルギー線硬化型接着剤には、前述の活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化反応効率を上げる目的で、重合開始剤を配合することができる。重合開始剤は、使用する活性エネルギー線の種類に合わせて選択される。重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、ベンゾインアルキルエーテル系等の光ラジカル重合開始剤;芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等の光カチオン重合開始剤;等が挙げられる。これらは一種単独で若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−フェ
ニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
ベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
光カチオン重合開始剤は、イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤であってもよいし、非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤であってもよい。また、上記光カチオン重合開始剤は、上記光カチオン重合性化合物の光カチオン重合を効果的に開始および進行させることができることから、波長300nm以上の光で活性化する光カチオン重合開始剤であることが好ましい。
イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤は、特に限定されるものではない。例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩類;鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類;テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどの嵩高い対アニオンを有する光カチオン重合開始剤等が挙げられる。これらのイオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、旭電化工業社製の商品名「アデカオプトマーSP150」、「アデカオプトマーSP170」などの「アデカオプトマー」シリーズや、ゼネラルエレクトロニクス社の商品名「UVE−1014」、サートマー社製の商品名「CD−1012」、ローディア社製の商品名「Photoinitiator 2074」等が挙げられる。
非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤は、特に限定されるものではない。例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドホスホナート等が挙げられる。これらの非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤の配合量は、通常、活性エネルギー線硬化性化合物100重量部に対し、0.5〜20重量部である。好ましくは1重量部以上、また好ましくは10重量部以下である。その量がエポキシ樹脂100重量部に対して0.5重量部を下回ると硬化が不十分になり、機械強度や接着強度が低下する。また、その量が20重量部を越えると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、耐久性能が低下する可能性があるので、好ましくない。
更に活性エネルギー線硬化型接着剤には、光増感剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機系粒子、無機酸化物粒子、金属粉末、顔料、染料等が配合されていてもよい。
光増感剤を使用することで、反応性が向上し、接着剤硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤は特に限定されるものではないが、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられる。
光増感剤の具体例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体;その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。光増感剤は、活性エネルギー線硬化性化合物を100重量部とした場合に、0.1〜20重量部の範囲で含有するのが好ましい。さらに好ましくは、0.1部〜5.0部が好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子保護フィルムを上記活性エネルギー線硬化型接着剤を介して偏光子の少なくとも一方の面に貼合し、次いで活性エネルギー線を照射することによって接着剤を硬化させ、偏光子保護層を偏光子に固定することによって得られる。
偏光子への接着剤の塗工方法に特別な限定はなく、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。
偏光子保護フィルムの偏光子への貼合に先立って、貼合面に、ケン化処理、コロナ処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理などの易接着処理が施されていてもよい。
活性エネルギー線としては、通常、光が用いられる。この光は特に限定されるものではないが、例えば、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線等が挙げられる。特に取り扱いが簡便であり、比較的高エネルギーを得られることから紫外線が好適に用いられる。
紫外線を照射するために用いる光源は特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが挙げられる。照射強度は、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、100mW/cm2を超えると、ランプからの輻射熱、重合反応熱等により、接着剤が黄変したり、偏光子自体が劣化するおそれがある。光照射時間は、硬化状況に応じて適宜選択されるものであって、特に限定されないが、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。
さらに本発明の偏光板は、偏光子保護フィルムにハードコート層、反射防止層、防汚層などの機能層が形成されていてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、偏光子保護フィルムの表面硬度を高める機能を有する層であり、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板を用いる)で「H」以上の硬度を示すことが好ましい。このようなハードコート層が設けられた偏光子保護フィルムは、その鉛筆硬度が4H以上になることが好ましい。ハードコート層を形成する材料(ハードコート材料)としては、熱や光で硬化する材料であることが好ましく、例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;二酸化ケイ素などの無機ハードコート材料;などを挙げることができる。これらの中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料が好ましい。
ハードコート層は、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、並びに耐熱性、帯電防止性、および防眩性などの向上を図る目的で、各種フィラーを含有できる。また、ハードコート層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、および消泡剤などの添加剤を含有できる。
(反射防止層)
反射防止層は、外光の移りこみを防止するための層であり、偏光子保護フィルムの表面(外部に露出する面)に直接またはハードコート層等の他の層を介して積層される。反射防止層が設けられた偏光子保護フィルムは、入射角5°、波長430nm〜700nmにおける反射率が2.0%以下であることが好ましく、波長550nmにおける反射率が1.0%以下であることが好ましい。
反射防止層の厚さは、0.01μm〜1μmが好ましく、0.02μm〜0.5μmがより好ましい。反射防止層としては、当該反射防止層が積層される層(保護フィルムやハードコート層など)の屈折率よりも小さい屈折率、具体的には1.30〜1.45の屈折率を有する低屈折率層からなるもの;無機化合物からなる薄膜の低屈折率層と無機化合物からなる薄膜の高屈折率層とを交互に複数積層したもの、などを挙げることができる。
前記低屈折率層を形成する材料は、屈折率の低いものであれば特に制限されない。例え
ば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド材料、テトラエトキシシラン等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル材料等を挙げることができる。これらの低屈折率層を形成する材料は、重合済みのポリマーであってもよいし、前駆体となるモノマーやオリゴマーであってもよい。また、それぞれの材料は、防汚染性を付与するために、フッ素基を含有する化合物を含むことが好ましい。
前記のゾル−ゲル材料としては、フッ素基を含有するゾル−ゲル材料が好適に用いられる。フッ素基を含有するゾル−ゲル材料としては、パーフルオロアルキルアルコキシシランを例示できる。パーフルオロアルキルアルコキシシランは、たとえば、CF3(CF2nCH2CH2Si(OR)3(式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数を示す)で表される化合物である。具体的には、パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、およびヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。この中でも、前記nが2〜6の化合物が好ましい。
低屈折率層は、熱硬化性含フッ素化合物または電離放射線硬化型含フッ素化合物の硬化物からなるものとすることができる。前記硬化物は、その動摩擦係数が0.03〜0.15であることが好ましく、水に対する接触角が90〜120度であることが好ましい。硬化性含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、架橋性官能基を有する含フッ素重合体を挙げることができる。
架橋性官能基を有する含フッ素重合体はフッ素含有モノマーと架橋性官能基を有するモノマーとを共重合することによって、又はフッ素含有モノマーと官能基を有するモノマーとを共重合し次いで重合体中の官能基に架橋性官能基を有する化合物を付加させることによって得ることができる。
含フッ素モノマーとしては、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等のフルオロオレフィン類;ビスコート6FM(大阪有機化学製)、M−2020(ダイキン製)等の(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。
架橋性官能基を有するモノマー又は架橋性官能基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有するモノマー;アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレートなどのヒドロキシル基を有するモノマー;メチロールアクリレート、メチロールメタクリレート;アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどのビニル基を有するモノマー;アミノ基を有するモノマー;スルホン酸基を有するモノマー;等を挙げることができる。
低屈折率層を形成するための材料としては、耐傷性を向上できる点で、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等の微粒子をアルコール溶媒に分散したゾルが含まれたものを用いることができる。前記微粒子は、反射防止性の観点から、屈折率が低いものほど好ましい。このような微粒子は、空隙を有するものであってもよく、特にシリカ中空微粒子が好ましい。中空微粒子の平均粒径は、5nm〜2000nmが好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求められる数平均粒径である。
(防汚層)
防汚層は、撥水性、撥油性、耐汗性、および防汚性などを付与できる層である。防汚層を形成するために用いる材料としては、フッ素含有有機化合物が好適である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、又はこれらの高分子化合物などを挙げることができる。また、防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法、化学的気相成長法、湿式コーティング法等を用いることができる。防汚層の平均厚さは、好ましくは1nm〜50nm、より好ましくは3nm〜35nmである。
さらに、偏光子保護フィルムには、防眩層、ガスバリア層、透明帯電防止層、プライマー層、電磁遮蔽層、下塗り層等のその他の層を設けてもよい。
以上のような機能層を形成する場合には、形成させる面に化学的処理を施すことが好ましい。化学的処理の手段としては、例えば、コロナ放電処理、スパッタ処理、低圧UV照射処理、プラズマ処理などが挙げられる。また、本発明の偏光子保護フィルムは、前記化学的処理に加えて、機能層との密着性強化や防眩性付与を目的として、エッチング、サンドブラスト、エンボスロール等による機械的処理が施されていてもよい。これらの機能層の形成方法に格別な限定はなく、各機能層の形成に一般的な方法を採用すればよい。
本発明の偏光板が、偏光子の一方の面に本発明の偏光子保護フィルムが積層され、もう一方の面に他の偏光子保護フィルムが積層されてなるものである場合、通常、本発明の偏光子保護フィルムが外側(液晶セルと反対側)に配置され、他の偏光子保護フィルムが内側(液晶セル側)に配置されるように、液晶セルに装着される。
(液晶セル側偏光子保護フィルム)
液晶セル側偏光子保護フィルムを構成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロースエステル、脂環式オレフィンポリマーなどを挙げることができる。脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報又は米国特許第5179171号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報又は米国特許第5202388号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報(国際公開99/20676号公報)に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン開環重合体及びその水素添加物等を挙げることができる。
偏光子に液晶セル側偏光子保護フィルムを積層する方法に格別な制限はなく、例えば、液晶セル側偏光子保護フィルムを必要に応じて接着剤などを介して偏光子と積層する一般的方法を採用することができる。液晶セル側偏光子保護フィルムを偏光子に貼合する際の接着剤としては、前述の活性エネルギー線硬化型接着剤を用いてもよいし、従来公知の接着剤であってもよい。
液晶セル側偏光子保護フィルムは、1mm厚における、400〜700nmの可視領域の光線透過率が80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の材料で形成したものが好適である。
本発明の偏光板は、本発明の偏光子保護フィルム、偏光子、及び液晶セル側偏光子保護フィルム以外に、複屈折性を示すフィルムを液晶セル側偏光子保護フィルム側に積層されたものであってもよい。この場合には、液晶セル側は光学的に等方であることが好ましく、具体的にはReは20nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以下である。Rthはその絶対値が30nm以下であることが好ましく、より好ましくは20nm以下である。なお、面内方向のレターデーションRe、厚さ方向のレターデーションRthは、フィルムの厚さをd(nm)とした際に、Re=(nx−ny)×d、Rth=((nx+ny)/2−nz)×dで示される値である。nx、nyは面内主屈折率(nx≧ny);nzは厚み方向の屈折率;dは平均厚みである。
複屈折性を示すフィルムとしては、熱可塑性樹脂を含有するフィルムを延伸したもの、無延伸の熱可塑性樹脂フィルム上に光学異方性層を形成したもの、熱可塑性樹脂を含有するフィルム上に光学異方性層を形成した後、さらに延伸したもの等を挙げることができる。複屈折性を示すフィルムは、単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよい。
また液晶セル側偏光子保護フィルムとして前述のような複屈折性を示すフィルムを用いてもよい。複屈折性を示すフィルムを液晶セル側偏光子保護フィルムとして用いた場合、又は複屈折性を示すフィルムを液晶セル側偏光子保護フィルム側に積層した場合には、色補償、視野角補償等の光学補償の機能を備え、液晶表示装置の視認性が向上する。
また、本発明の偏光板はJIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「3H」以上の硬度を示すことが好ましく、「4H」以上の硬度を示すことがより好ましい。
<液晶表示装置>
本発明の偏光板と液晶セルとを組み合わせることで、本発明の液晶表示装置を製造することができる。この液晶表示装置は、典型的には、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とがこの順に、配置されてなるものである。本発明の偏光板は、少なくとも当該装置の出射側に備えられるのがよい。なお、本発明の液晶表示装置には、さらに、位相差板、輝度向上フィルム、導光板、光拡散板、光拡散シート、集光シート、反射板などを備えていてもよい。
以下、実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、部及び%は特に断りがない限り質量基準である。
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96%/4%の共重合体を用いた。
(アクリル系弾性重合体A)
アクリル系弾性重合体粒子Aとして、内層が、アクリル酸ブチルを主成分とし、さらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させ軟質の弾性体、外層が、メタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合させた硬質の重合体からなる2層構造の弾性体粒子であって、弾性体の数平均粒径が75nmのものを用いた。
(アクリル系弾性重合体B)
アクリル系弾性重合体粒子Bとして、最内層が、メタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた硬質の重合体、中間層が、アクリル酸ブチルを主成分とし、さらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた軟質の弾性体、最外層が、メタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合させた硬質の重合体からなる3層構造の弾性体粒子であって、弾性体の数平均粒径が240nmのものを用いた。
(偏光子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルム(平均重合度:1700、ケン化度:99.9モル%以上)に延伸倍率5倍で一軸延伸を施し、緊張状態に保ったまま、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含む水溶液(ヨウ素:ヨウ化カリウム:水=0.05:5:100(重量比))に60秒間浸漬した。次にヨウ化カリウムおよびホウ酸を含む65℃の水溶液(ヨウ化カリウム:ホウ酸:水=2.5:7.5:100(重量比))に150秒浸漬した。25℃の純水で20秒水洗した後、50℃で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光子を得た。
実施例1〜8
(偏光子保護フィルムの作製)
アクリル系樹脂のペレットとアクリル系弾性重合体粒子A又はBとを、表1に示す割合でスーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混練して、アクリル系樹脂組成物ペレットとした。このアクリル系樹脂組成物のペレットを、65mmφ一軸押出機に投入し、設定温度275℃のT型ダイを介して押し出し、45℃に温度設定した鏡面を有する二本のポリシングロール(金属ロール)で、表1に示す押し付け圧力にて、フィルムの両面を挟み込んで冷却し、厚さ80μmの偏光子保護フィルムを得た。なお、偏光子保護フィルムの厚さは、(株)ニコン製のデジタル測長器“MH−15M”を用いて測定した。この偏光子保護フィルムの中心線平均粗さRaを次の方法で測定し、結果を表1に示した。
<偏光子保護フィルムの中心線平均粗さRaの測定>
Sensofar社製の共焦点顕微鏡「PLμ2150」を用いて、偏光子保護フィルムの中心線平均粗さRaを測定した。サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合してから、露出面(ガラス基板と反対側の面)を測定に供した。測定の際、対物レンズの倍率は50倍とした。当該測定データをもとに、JIS B 0601に準拠した計算により、中心線平均粗さRaを求めた。
(偏光板の作製)
偏光子保護フィルムのRa測定面に積算照射量5.0kJ/m2でコロナ放電処理を表面に施した。コロナ放電処理後、偏光子の両面にエポキシ系接着剤を介して偏光子保護フィルムのコロナ放電処理面を貼り合わせ、積算光量1500mJ/cm2(実施例1、2)又は3000mJ/cm2(実施例3〜8)の紫外線を照射し偏光板を得た。この偏光板の接着性を次の方法で評価し、結果を表1に示した。
<接着性の評価>
得られた偏光板を1時間常温で放置した後、偏光子と保護フィルムとの間にカッターの刃を入れ、刃を押し進めようとしたときの刃の入り方を以下の基準で評価した。
A:カッターの刃が偏光子と保護フィルムとの間に1mm未満入る。
B:カッターの刃が偏光子と保護フィルムとの間に1〜3mm入る。
C:カッターの刃が偏光子と保護フィルムとの間に3mmを超えて入る。
比較例1〜3
(偏光子保護フィルムの作製)
アクリル系樹脂のペレットとアクリル系弾性重合体粒子A又はBとを、表1に示す割合でスーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混練して、アクリル系樹脂組成物ペレットとした。このアクリル系樹脂組成物のペレットを、65mmφ一軸押出機に投入し、設定温度255℃のフィードブロック方式多層ダイスを介して、275℃のT型ダイを介して押し出し、45℃に温度設定した鏡面を有する一本のポリシングロール(金属ロール)に添わせ、多面は空気層に開放する方法で冷却し、厚さ80μmの偏光子保護フィルムを得た。この偏光子保護フィルムの中心線平均粗さRaを先と同様の方法で測定し、結果を表1に示した。
(偏光板の作製)
偏光子保護フィルムのRa測定面に積算照射量5.0kJ/m2でコロナ放電処理を表面に施した。コロナ放電処理後、偏光子の両面にエポキシ系接着剤を介して偏光子保護フィルムのコロナ放電処理面を貼り合わせ、積算光量3000mJ/cm2の紫外線を照射し偏光板を得た。この偏光板の接着性を先と同様の方法で評価し、結果を表1に示した。
Figure 2010231016

Claims (12)

  1. 熱可塑性樹脂及び弾性体粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物の層を有する単層又は多層の偏光子保護フィルムであって、前記熱可塑性樹脂組成物を、線圧150N/cm以上の押し付け圧力にて2本の金属製ロールで挟み込んだ状態で製膜してなることを特徴とする偏光子保護フィルム。
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂55〜85重量部及び弾性体粒子15〜45重量部を含有する組成物である請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
  3. 弾性体粒子中の弾性体の数平均粒径が10〜300nmである請求項1又は2に記載の偏光子保護フィルム。
  4. 偏光子と積層される面の中心線平均粗さRaが、弾性体粒子中の弾性体の数平均粒径の3分の1以下である請求項1〜3のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  5. 偏光子と積層される面の中心線平均粗さRaが、0.01〜0.05μmである請求項1〜4のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  6. 熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  7. 弾性体粒子がアクリル系弾性重合体を含有する粒子である請求項1〜6のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  8. 弾性体粒子が、アクリル系弾性重合体の外側にメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する多層構造の粒子である請求項7に記載の偏光子保護フィルム。
  9. 全体の厚さが100μm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の偏光子保護フィルムと偏光子とが接着剤により積層されてなる偏光板。
  11. 接着剤が活性エネルギー線硬化型接着剤である請求項10に記載の偏光板。
  12. 請求項10又は11のいずれかに記載の偏光板と液晶セルとを備える液晶表示装置。
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