JP2018034509A - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、薄膜でありながらも高いレベルの帯電防止性能を発現し、透明性、易滑性を並立する積層フィルムを提供することを提供すること。
【解決手段】
基材フィルムの少なくとも片面に、帯電防止層が積層されてなる積層フィルムであって、前記帯電防止層の厚みが1〜100nm、前記帯電防止層の表面粗さSRaが1nm〜100nmであり、前記帯電防止層の湿度65%RHの環境下で測定される表面抵抗率が1×10未満であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄膜でありながらも高いレベルの帯電防止性能を発現し、透明性、易滑性を並立する積層フィルムおよびその製造方法に関する。
積層フィルムに用いられるフィルムは、軽くて、機械的性質にも優れることなどから、工業材料用途、磁気材料用途、包装用途など各種用途の基材フィルムとして広く使用されている。また、工業製品の軽・薄・短・小化の傾向の中で、各分野における、さらなる需要の伸びが期待されている。
中でも、二軸配向したポリエステルフィルムは、寸法安定性、機械的性質、耐熱性、絶縁性などに優れることから、ビデオテープ、オーディオテープ、コンピューターデータのバックアップテープなどの磁気テープ、プリペイドカード、ICカード、光記録カードなどのカード類などの磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ材料、ラベル材料などの多くの用途の基材フィルムとして広く使用されている。
しかし、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂は一般に絶縁性であるため、それをそのまま用いたフィルムとしては帯電防止性が全くないという欠点を有している。帯電防止性がないと、フィルムにほこりが付着しやすく、またフィルム同士の密着によりハンドリング性が悪く、また静電気放電あるいは電子回路の破壊といった静電気障害が発生することもある。そのため、ポリエステルフィルムの帯電を防止する方法が求められている。
従来の帯電防止方法として、以下の帯電防止材をポリエステルフィルムの少なくとも片面にポリエステルフィルムの帯電を防止する層(帯電防止層)を設ける方法が開示されている。
例えば、特許文献1では、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸からなる組成物と架橋剤からなる組成物を帯電防止層に用いることが開示されている。ポリチオフェンは、高い誘電率を示すため一般的に用いられる化合物であるが、帯電防止性能を上げるために帯電防止層の厚みを厚くするとポリチオフェンの分子構造が剛直であるために帯電防止層が割れ、帯電防止性が低下するという問題があった。また、帯電防止層の厚みを厚くすると、基材の表面粗さが帯電防止層に埋まり、易滑性が低下してしまう。一方で、易滑性を付与するために、帯電防止層に滑材を添加すると、帯電防止層から滑材が脱落し加工工程等を汚染する問題があった。帯電防止層を薄くすると帯電防止性能が十分に上がらず、また、帯電防止層を薄く設ける手段として、フィルムの製造工程中に帯電防止材を塗布した後に高倍率で延伸すると、ポリチオフェンがフィルムに十分に追従しきれず、帯電防止材に亀裂が入り、帯電防止性能をさらに悪化させるという問題があり、この手法では、帯電防止性能に限界があった。
これに対して、特許文献2では、糖アルコールを用いた延伸助剤を添加した組成物を帯電防止層に用いることが開示されている。
国際公開第03/047853号パンフレット 特開2008−17809号
特許文献2に記載の方法は、帯電防止材とフィルムが追従するため、帯電防止性能の低下を抑制させることができる。しかしながら、糖アルコールの添加量によりチオフェンの濃度が薄まり帯電防止性能には限界があり、易滑性と帯電防止性能を両立させることが難しかった。そこで、本発明は、薄膜でありながらも高いレベルの帯電防止性能を発現し、透明性、易滑性を並立する積層フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。
(1)基材フィルムの少なくとも片面に、帯電防止層が積層されてなる積層フィルムであって、前記帯電防止層の厚みが1〜100nm、前記帯電防止層の表面粗さSRaが1nm〜100nmであり、前記帯電防止層の湿度65%RHの環境下で測定される表面抵抗率が1×10未満であることを特徴とする積層フィルム。
(2)前記帯電防止層が実質的に粒子を含有せず、かつ、前記基材フィルムが粒子を含有することを特徴とする(1)に記載の積層フィルム。
(3)前記帯電防止層が、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、およびエポキシ化合物(C)を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4)前記帯電防止層中の、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、およびエポキシ化合物(C)の含有比率(ポリチオフェン構造を有する化合物(A):ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B):エポキシ化合物(C))(重量比)が、70〜20:25〜60:5〜20であることを特徴とする(3)に記載の積層フィルム。
(5)基材フィルムの少なくとも片面に、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、およびエポキシ化合物(C)の含有比率(ポリチオフェン構造を有する化合物(A):ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B):エポキシ化合物(C))(重量比)が、70〜20:25〜60:5〜20の割合で含んでなる水分散塗布液を塗布し、水分散塗布液を乾燥した後、少なくともフィルムの走行方向もしくは走行方向に対して垂直な方向のいずれか一方に延伸した後、熱処理して帯電防止層を形成する積層フィルムの製造方法であって、前記延伸の面積倍率が3倍以上であることを特徴とする積層フィルムの製造方法。

本発明は、薄膜でありながらも高いレベルの帯電防止性能を発現し、透明性、易滑性を並立する積層フィルムを提供することを提供することが出来る。

本発明の積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に、帯電防止層が積層されてなる積層フィルムである。
本発明の積層フィルムの基材として用いられるフィルムは、特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられ、特に、積層フィルムに用いられるフィルムの代表的なものとして、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムなどのアクリル系フィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム、フッ素系フィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどを用いることができる。これらのうち、機械的特性、寸法安定性、透明性などの点で、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルムなどが好ましく、更に、機械的強度、汎用性などの点で、ポリエステルフィルムが特に好ましい。なお、積層フィルムに用いられるフィルムは、ホモポリマーでも共重合ポリマーであってもよい。本発明の積層フィルムに用いられるポリエステルは、ジカルボン酸類とグリコール類を重合して得られる熱可塑性の樹脂があげられる。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子である。ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどが例示され、前述のポリマーから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものが好ましく用いることができる。
これら構成成分は、1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断すると、ポリエチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。また、導電性フィルムの使用にあたり強い熱処理や収縮応力が発生しやすい工程がある場合には、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートも好適に使用される。ここで例示した2種のポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分および/またはジオール成分が一部共重合され、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。またヒドロキシカルボン酸成分が共重合されていてもよい。
更に、このポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが、その特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
また、本発明における基材フィルムは、内層と表層の2層以上の複合体フィルムであってもよく、例えば、内層部に実質的に粒子を含有せず、表層部に粒子を含有させた層を設けた複合体フィルム、あるいは、内層部に粗大粒子を有し、表層部に微細粒子を含有させた複合体フィルムなどでもよい。また、上記した複合体フィルムは、内層部と表層部が異種のポリマーであっても同種のポリマーであってもよい。
上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものを用いることにより引き裂き強度などの機械的特性が優れ、好適である。
熱可塑性樹脂を基材とするフィルムに用いる場合には、帯電防止層が設けられた状態においては二軸配向されたものが好ましい。二軸配向フィルムとは、一般に、未延伸状態のシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱処理が施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
本発明の積層フィルムを構成する帯電防止層は、フィルムの少なくとも片面に積層されてなるものである。帯電防止層の湿度65%RHの環境下で測定される表面抵抗率は、1×10Ω/□未満であることが必要である。表面比抵抗率が、1×10Ω/□以上であると、積層フィルムに加工工程を設ける場合に、帯電による集塵が発生しやすくなり、製品の品質を悪化させる。好ましくは、1×10Ω/□未満、さらに好ましくは、1×10Ω/□未満である。さらには、湿度25%RHの環境下で測定される表面抵抗率は、1×10Ω/□未満であることが好ましく、より好ましくは、1×10Ω/□未満、さらに好ましくは、1×10Ω/□未満である。湿度25%RHの環境下であると、湿度65%RHの環境下より空気中の水分が少ないが、乾燥環境における帯電防止機能が低下しないため、帯電防止性能を十分発揮することが出来る。
本発明の積層フィルムを構成する帯電防止層の厚みは、1〜100nmである。1nm未満であると、帯電防止層の厚みが薄すぎるため帯電防止性能が十分に発揮できなくなる。また、100nmを越えると、帯電防止層の厚みが厚すぎるため、塗料が乾燥不足となり、帯電防止性不良となる場合があり、後述するフィルムの製膜工程でインラインコートした際の薄膜帯電防止層の割れも発生しやすくなる。さらに、基材とするフィルムの易滑性のために添加した粒子等の表面が帯電防止層に埋もれてしまうため、本発明が課題とする帯電防止性能と易滑性を両立することができなくなる。好ましい帯電防止層の厚みは、3nm〜50nmであり、さらに好ましくは、5〜50nmである。本発明の積層フィルムを構成する帯電防止層は、帯電防止層の厚みを薄膜としても、帯電防止性能を付与することが可能である。
本発明の積層フィルムの表面粗さSRaは、1〜100nmであることが必要である。1nm未満であると、帯電防止層に埋まってしまうため易滑性を付与することが難しくなり、表面の易滑性が低くフィルムの搬送工程にシワがより品質が低下する場合がある。また、100nmを越えると積層フィルムの透明性が悪化するため、好ましくない。透明性を必要としない用途であれば、問題がないが、光学用などの用途では透明性が要求されるため、100nm以下であることが必要である。本発明の積層フィルムの表面粗さSRaは、好ましくは、2〜100nmであり、さらに好ましくは、5〜100nmである。表面粗さSRaが高くなればなるほど、静摩擦係数が低くなるため、易滑性が良好になるからである。
本発明の積層フィルムに用いられる帯電防止層は、粒子の含有量が5重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましく、実質的に粒子を含有しないことがさらに好ましい。また、本発明の積層フィルムの基材となるフィルムは粒子を含有することが好ましい。帯電防止層に粒子を含有すると、粒子が脱落する場合があり、フィルムの製造、加工において工程内を汚染する可能性があるためである。そのため、本発明では、易滑性を付与するために、基材となるフィルムに粒子を含有することが好ましい。含有する粒子は特に限定されるものではないが、無機粒子が好ましく用いられる。本発明の基材となるフィルムに含有する粒子は、無機粒子であれば、平均粒子径は、0.005〜3μmが好ましく、より好ましくは0.05〜1μmである。また、無機粒子の含有量は、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%である。
本発明の積層フィルムの基材フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、本発明の積層フィルムが使用される用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常は好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜300μm、最も好ましくは9〜210μmである。本発明に用いられる帯電防止層は、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)を含有することが好ましい。ここでポリチオフェン構造を有する化合物(A)とは、ポリチオフェンまたはその誘導体を言う。
ポリチオフェン構造とは、下記の化学式1で表されるものである。
Figure 2018034509
化学式1において、nは20〜3000の整数を表し、*はどのような元素、官能基であってもよい。
さらに本発明を構成する帯電防止層は、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)およびポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)およびエポキシ化合物(C)を含有することが好ましい。ここで、本発明の帯電防止層は、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、エポキシ化合物(C)をそれぞれ単体で含有していても良いが、(A)と(B)が反応した生成物として含有していても良い。すなわち、本発明において、ポリチオフェン構造を有するポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(AおよびB)とエポキシ化合物(C)を含む帯電防止層は、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)およびポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)およびエポキシ化合物(C)を含有する帯電防止層の一態様に含まれる。
本発明を構成する帯電防止層は、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)は、下記の化学式2または化学式3で示した化合物を、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)の存在下で重合することで得られる反応生成物(ポリチオフェン構造を有するポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(AおよびB))として含有せしめることが好ましい。
なお、本発明における、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)は、下記化学式(4)で表されるイソプレンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩の重合体あるいは共重合体を例示することができる。これらの化合物は、イソプレンスルホン酸(共)重合体中として存在することができる。
Figure 2018034509
化学式2において、R、Rは、それぞれ独立に、水素元素、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、もしくは芳香族炭化水素基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロへキシレン基、ベンゼン基などである。
Figure 2018034509
化学式3において、nは1〜4の整数である。
Figure 2018034509
化学式(4)中、A2は、水素原子、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムのいずれかを示す。〕
本発明で用いるイソプレンスルホン酸(共)重合体の例としては、例えば、イソプレンスルホン酸−スチレン−イソプレンスルホン酸の三元ブロック共重合体、イソプレンスルホン酸−スチレンのランダムブロック共重合体等が挙げられ、中でもスルホン酸含有量が5%以上80%以下の共重合体が、帯電防止性層の耐久性を良好なものとすることが可能となり、特に好ましくは、スルホン酸含有量が5%以上20%以下の共重合体であると、スルホン酸が有する水溶性を抑制し耐久性を維持することができる。本発明で用いるイソプレンスルホン酸(共)重合体の市販品の例としては、例えば、JSR株式会社製、CS1106、CS1201、CS1202A、CS1301A等が挙げられる。
本発明を構成する帯電防止層は、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)を含有することで、帯電防止層を薄膜とした場合でも、帯電防止性能を付与することが可能である。ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)は、ポリ陰イオンに分類される化合物である。ポリ陰イオンは、後述する化合物が挙げられる。ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)は、他のポリ陰イオンに比べて、イソプレン骨格由来の分子構造により帯電防止層の柔軟性を付与することができることによるものと考えられる。例えば、フィルムの製膜工程において、フィルムに帯電防止層を塗布し、少なくとも一軸方向に延伸すると、チオフェンの剛直構造により帯電防止層に亀裂が発生し帯電防止性能の低下に影響を及ぼすが、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)を添加した帯電防止層は亀裂の発生を抑制することが出来る。
本発明を構成する帯電防止層において、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)は、下記、化学式2および3に示したポリチオフェンおよび/またはポリチオフェン誘導体を得るための重合工程のときにポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)を添加することにより得られるポリチオフェン構造を有するポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(AおよびB)とすることで、本来、水に不溶なポリチオフェン系化合物に水分散性または水溶性を付与することが可能となるので、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)をそれぞれ単体で含有するよりも取り扱いが容易となるため好ましい。また、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)の酸としての機能がポリチオフェン系化合物へのドーピング剤として機能し、導電性向上の効果も果たすものと考えられる。
本発明を構成する帯電防止層において、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)は、化学式3で表される構造式からなるポリチオフェン、および/または、ポリチオフェン誘導体を用いて得られることが好ましく、例えば、化学式3で、n=1(メチレン基)、n=2(エチレン基)、n=3(プロピレン基)の化合物が好ましい。中でも特に好ましいのは、n=2のエチレン基の化合物、すなわち、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンである。
本発明を構成する帯電防止層は、ポリチオフェンおよび/またはポリチオフェン誘導体として、例えば、チオフェン環の3位と4位の位置が置換された構造を有する化合物が例示され、かつ、上記したとおり該3位と4位の炭素原子に酸素原子が結合した化合物が例示される。該炭素原子に直接、水素原子あるいは炭素原子が結合したものは、塗液の水性化が容易でない場合がある。
ポリチオフェン構造を有する化合物(A)は、他のポリ陰イオンを用いた水分散体として塗液に用いることが可能である。
他のポリ陰イオンは、遊離酸状態の酸性ポリマーであり、高分子カルボン酸、あるいは、高分子スルホン酸、ポリビニルスルホン酸などである。高分子カルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸が例示され、高分子スルホン酸としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸が例示され、特に、ポリスチレンスルホン酸が導電性の点で最も好ましく、本発明のポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)と併用することができる。なお、本発明において、遊離酸は、一部が中和された塩の形をとってもよい。これらの他のポリ陰イオンは、上述した化学式2および3に示したポリチオフェンおよび/またはポリチオフェン誘導体を得るための重合工程のときに添加することが可能である。
他のポリ陰イオンとして用いられる高分子カルボン酸や高分子スルホン酸の分子量は特に限定されないが、塗剤の安定性や導電性の点で、その重量平均分子量は1000〜1000000が好ましく、より好ましくは5000〜150000である。本発明の特性を阻害しない範囲で、一部、リチウム塩やナトリウム塩などのアルカリ塩やアンモニウム塩などを含んでもよい。中和された塩の場合も、非常に強い酸として機能するポリスチレンスルホン酸とアンモニウム塩は、中和後の平衡反応の進行により、酸性サイドに平衡がずれることが分かっており、これにより、ドーパントとして作用するものと考える。
本発明においては、ポリチオフェン、または、ポリチオフェン誘導体に対して、他のポリ陰イオンは、ポリチオフェンおよび/またはポリチオフェン誘導体が1重量部に対し、その他のポリ陰イオンは、1重量部より多く、5重量部以下が好ましく、より好ましくは1重量部より多く、3重量部以下である。
なお、本発明においては、高分子カルボン酸や高分子スルホン酸は、共重合可能な他のモノマー、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなどと共重合した形で用いることもできる。
本発明を構成する帯電防止層は、エポキシ化合物(C)を含むことが好ましい。エポキシ化合物(C)を含むことで、透明性、帯電防止性などの点で極めて優れ、フィルムに塗布した際の塗布概観にも優れた帯電防止層とすることができる。エポキシ化合物の中でも、水溶性エポキシ化合物が更に好適である。エポキシ化合物の種類は特に限定されないが、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル系、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系、ジグリセロールポリグリシジルエーテル系、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル系などを用いることができる。例えば、ナガセケムテック株式会社製エポキシ化合物“デナコール”(EX−611、EX−614、EX−614B、EX−512、EX−521、EX−421、EX−313、EX−810、EX−830、EX−850など)、坂本薬品工業株式会社製のジエポキシ・ポリエポキシ系化合物(SR−EG、SR−8EG、SR−GLGなど)、DIC株式会社製エポキシ化合物“EPICLON”EM−85−75W、あるいはCR−5Lなどを好適に用いることができ、中でも、水溶性を有するものが好ましい。
エポキシ化合物は、エポキシ当量(weight per epoxy equivalent)が100〜300WPEであるものが反応性の点で好ましく、エポキシ当量は、より好ましくは110〜200WPEである。
本発明を構成する帯電防止層は、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、およびエポキシ化合物(C)の含有比率(ポリチオフェン構造を有する化合物(A):ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B):エポキシ化合物(C))(重量比)が、70〜20:25〜60:5〜20であることが好ましく、更に好ましくは、60〜35:30〜50:10〜15の範囲である。この質量比により帯電防止層を基材フィルムに設けられた場合には、高いレベルの帯電防止性が発現し、かつ透明性に優れた積層フィルムが得られる。本発明の積層フィルムの透明性の指標として、ヘイズであらわすことができ、3.0%以下であることが透明性として優れている。好ましくは、2.0%以下である。特に、視認性や光学特性の観点から、より好ましくは1.5%以下である。なお、ヘイズは基材となるフィルムの物性に影響をうけるため、帯電防止層の積層膜を設けたフィルムと設けないフィルムでのヘイズの変化量は−0.5〜1.0%以下であることが好ましい態様である。
また、本発明の帯電防止層に用いられるポリチオフェン構造を有する化合物(A)は、色味を有する化合物であり、帯電防止層の厚みが厚くなると、フィルム全体として青みを帯びてくるため、視認性のために帯電防止層の厚みは薄膜であることが好ましい。
本発明を構成する帯電防止層には、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、エポキシ化合物(C)の他に任意の成分を加えることができる。例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などを配合してもよい。積層フィルムに用いられるフィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合などは、ポリエステル樹脂が含まれると、基材フィルムと帯電防止層との接着性が向上し、好適である。また、積層フィルムとした際の機能から、帯電防止層には、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、架橋剤、核剤、離型材などを含有させてもよい。
本発明の積層フィルムは、基材となるフィルムの少なくとも片面に設けてなることにより、本発明の積層フィルムが得られる。膜の形成手段としては、少なくとも帯電防止層を形成する帯電防止材および液体を含む帯電防止塗料を塗布する手段が挙げられる。塗液は、好ましくは、実質的に水を主たる媒体とする水性の塗液である。塗布性の向上する、透明性の向上などの目的で、本発明の効果を阻害しない程度に適量の有機溶媒を含有してもよく、例えば、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、エタノール、メタノールなどを好適に用いることができる。中でも、イソプロピルアルコールを用いることが塗布性を向上させる点で特に好ましく、その含有量は、塗液中に20重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下である。
帯電防止塗料における固形分濃度は、低くても大きくても膜の形成が難しくなる傾向があり、好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは、0.25〜10質量%である。
積層フィルムに用いられるフィルム上に積層膜を設ける方法は種々存在するが、本発明の積層フィルムを製造する場合、フィルム製膜工程中で塗液を塗布し、乾燥、延伸した後、熱処理する、いわゆるインラインコーティング法を好適に用いることができる。
該インラインコーティング法を用いることで、オフライン加工に比べ、例えば、積層膜を薄くできる、基材フィルムとの接着性が向上するなどのメリットがある。本発明の積層フィルムにおいて、帯電防止層にエポキシ系架橋剤(C)を含む場合、エポキシ系架橋剤(C)が反応するための熱処理が必要であり、例えば、高温熱処理ができるインラインコーティング法は非常に有利である。すなわち、高温熱処理ができるインラインコーティング法では、熱処理時にクリップでフィルムの両端を把持しているため、積層フィルムにシワが入らず、平面性が保持できるメリットがある。一方、オフライン加工では、熱収縮によりフィルムにシワが入り、加工後のフィルムの平面性が極端に悪くなる場合がある。インラインコーティング法での熱処理は、200℃以上で行うことが好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法では、塗布方法として、インラインコーティング法が好ましい。
インラインコーティング法は、例えば、溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステルフィルムを長手方向に2.5〜5倍延伸し、一軸延伸されたフィルムに連続的に塗液を塗布する。塗布されたフィルムは段階的に加熱されたゾーンを通過しつつ乾燥され、幅方向に2.5〜5倍延伸される。更に、連続的に150〜250℃の加熱ゾーンに導かれ結晶配向を完了させる方法などである。なお、長手方向に延伸後、塗布して後、幅方向に延伸する方法が一般的であるが、幅方向に延伸後、塗布して後、長手方向に延伸する方法、塗布して後、長手方向と幅方向に同時に延伸する方法など各種の方法を用いることができる。

また、本発明においては、塗液を塗布する前に、基材フィルムの表面(上記例の場合では、一軸延伸フィルム)にコロナ放電処理などを施し、該基材フィルム表面の濡れ張力を、好ましくは47mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上とするのが、積層膜の基材フィルムとの接着性や塗布性を向上させることができるので好ましい。更に、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒を塗液中に若干量含有させて、濡れ性や基材フィルムとの接着性を向上させることも好適である。
基材となるフィルム上への塗布の方法は各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称する)を基材フィルムとした例について更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
本発明の積層フィルムの製造方法をより具体的に例示して説明する。
極限粘度0.5〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し、260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化させて未延伸PETフィルムを作成する。
この未延伸フィルムを70〜120℃に加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向)に2.5〜5倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面にコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に本発明にかかる水分散塗布液を塗布する。このとき、水分散塗布液中のポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、およびエポキシ化合物(C)の含有比率(ポリチオフェン構造を有する化合物(A):ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B):エポキシ化合物(C))(重量比)が、70〜20:25〜60:5〜20の割合で含んでなることが好ましい。この塗布されたフィルムをクリップで把持して70〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥した後、幅方向に2.5〜5倍延伸し、引き続き160〜250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させるとともに帯電防止層を形成させる。
少なくともフィルムの走行方向もしくは走行方向に対して垂直な方向のいずれか一方に延伸し、延伸する面積倍率は3倍以上であることが好ましい。
この熱処理工程中において、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に1〜10%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は、縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。
本発明の積層フィルムは、プロテクトフィルム用積層フィルムとして、特に好適に用いることができる。また、本発明の積層フィルムの少なくとも一方の面に、粘着層を設けてプロテクトフィルムとすることができる。
さらに、本発明の積層フィルムは、カバーテープ用積層フィルムとして、特に好適に用いることができる。また、本発明の積層フィルムの少なくとも一方の面に、厚みが0.5〜20μmのポリオレフィン系樹脂からなる層および/または粘着層を設けて優れた特性を有するカバーテープとすることができる。
さらに、本発明の積層フィルムは、キャリア包装体用積層フィルムとして、特に好適に用いることができる。また、本発明の積層フィルムの少なくとも一方の面に、キャリアテープが積層してキャリア包装体とすることができる。
また、本発明の積層フィルムは、転写箔用積層フィルムとして、特に好適に用いることができる。更に、該積層膜中に、ワックス系化合物、長鎖アルキルアクリレート、フッ素アクリレート、シリコーン化合物、ポリオレフィン系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が含まれることにより、優れた転写箔用積層フィルムとすることができる。
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次の通りである。
(1)帯電防止層の厚み
(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積層膜を設けた積層フィルムの断面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の30個の平均値とした。
(2)帯電防止層の表面粗さSRa
3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET4000AK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。なお、表面粗さ(SRa)は、粗さ曲面と粗さ曲面の中心面との高さ方向の差をとり、その絶対値の平均値を表したものである。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5 (μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±6.25(nm)
基準面積 0.1(mm
(3)湿度65%RHでの帯電防止性
帯電防止性は、表面比抵抗により測定した。表面比抵抗の測定は、23℃、相対湿度65%に調湿された部屋にて24時間放置後、その雰囲気下で、デジタル超高抵抗/微小電流系R8340A(アドバンテスト(株)製)を用い、測定プローブとしてレジスティビティ・チェンバ 12704Aを用いて、印加電圧100Vで測定を行った。単位は、Ω/□である。
(4)湿度25%RHでの帯電防止性
帯電防止性は、表面比抵抗により測定した。表面比抵抗の測定は、23℃、相対湿度25%に調湿された部屋にて24時間放置後、その雰囲気下、デジタル超高抵抗/微小電流系R8340A(アドバンテスト(株)製)を用い、測定プローブとしてレジスティビティ・チェンバ 12704Aを用いて、印加電圧100Vで測定を行った。単位は、Ω/□である。
(5)透明性
透明性は、ヘイズにより測定した。ヘイズの測定は、常態(23℃、相対湿度65%)において、積層フィルムを2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて行った。3回測定した平均値を該サンプルのヘイズ値とした。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。
<実施例1>
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%を含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化させた。この未延伸フィルムを92℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に下記の積層膜形成塗液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に90℃の加熱ゾーンで幅方向に3.8倍延伸し、更に、225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。このとき、基材PETフィルム厚みが125μm、積層膜の厚みが60nmであった。
「帯電防止材塗料」
・塗剤A1:ポリチオフェン構造を有する化合物(A)として、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体にフッ素系界面活性剤が添加された水分散塗布液(ナガセケムテックス(株)製“デナトロン”(登録商標)#5002SZ)を用いた。
・塗剤B1:イソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)として、JSR製のダイナフロー(登録商標)CS−1201を用いた。
・塗剤C1:エポキシ化合物(C)として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系エポキシ化合物(ナガセケムテック(株)製“デナコール”(登録商標)EX−512(分子量約630、エポキシ当量168、水溶率100%))を水に溶解させた水分散塗布液を用いた。
上記した塗剤A1、B1、C1を固形分質量比で塗剤A1/B1/C1=45:40:15で混合したものを帯電防止材塗料とした。このとき、帯電防止材塗料の濃度は1.0重量%であった。結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1で用いた平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%を含有するPETペレットに代えて、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.45重量%添加すること以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは、帯電防止性能、易滑性は優れるが、透明性が低下した。
<実施例3>
実施例1で用いた平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%を含有するPETペレットに代えて、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.3重量%添加すること以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは、帯電防止性能、易滑性は優れるが、透明性が低下した。
<実施例4〜実施例11、比較例1、比較例4>
表1に記載した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
比較例1、比較例4は、帯電防止層の表面に亀裂が確認され、表面粗さSRaは高くなったが、帯電防止性能に劣るものであった。
<比較例2>
実施例1で用いた平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%を含有するPETペレットに代えて、
フィルムの基材として、厚み125μmのポリエステルフィルム、東レ株式会社製ルミラーT60(透明性:ヘイズ値2.0%)を用い、その表面上に、下記の帯電防止材を塗布し120℃、5分間、乾燥させ帯電防止フィルムを得た。乾燥後の帯電防止層の厚みは150nmであった。得られた積層フィルムは、透明性、帯電防止性能には優れるが帯電防止層の表面が平滑のため、易滑性に劣るものであった。
<比較例3>
実施例1で用いた平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%を含有するPETペレットに代えて、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.5重量%添加すること以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは、帯電防止性能、易滑性は優れるが、透明性が悪いものであった。
<実施例12>
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%を含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機1に供給し、実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機2に供給し、それぞれ285℃で溶融し、押し出し機1と押し出し機2の吐出量の比が1:9となるように溶融押し出しを行い、二層に積層されるようマルチマニホールドにて各層を合流させ、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化させた。この未延伸フィルムを92℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムのコロイダルシリカを含有する層の表面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に下記の積層膜形成塗液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に90℃の加熱ゾーンで幅方向に3.8倍延伸し、更に、225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。このとき、基材PETフィルム厚みが125μm、積層膜の厚みが10nmであった。
<実施例13、比較例5>
表1に記載した以外は、実施例12と同様にして、積層フィルムを得た。
比較例5は、帯電防止層の表面に亀裂が確認され、表面粗さSRaは高くなったが、帯電防止性能に劣るものであった。
Figure 2018034509
本発明は、薄膜でありながらも高いレベルの帯電防止性能を発現し、透明性、易滑性を並立する積層フィルムを提供することを提供することが出来る。

Claims (5)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に、帯電防止層が積層されてなる積層フィルムであって、前記帯電防止層の厚みが1〜100nm、前記帯電防止層の表面粗さSRaが1nm〜100nmであり、前記帯電防止層の湿度65%RHの環境下で測定される表面抵抗率が1×10未満であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記帯電防止層が実質的に粒子を含有せず、かつ、前記基材フィルムが粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記帯電防止層が、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、およびエポキシ化合物(C)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記帯電防止層中の、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、およびエポキシ化合物(C)の含有比率(ポリチオフェン構造を有する化合物(A):ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B):エポキシ化合物(C))(重量比)が、70〜20:25〜60:5〜20であることを特徴とする請求項3に記載の積層フィルム。
  5. 基材フィルムの少なくとも片面に、ポリチオフェン構造を有する化合物(A)、ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B)、およびエポキシ化合物(C)の含有比率(ポリチオフェン構造を有する化合物(A):ポリイソプレンスルホン酸誘導体化合物(B):エポキシ化合物(C))(重量比)が、70〜20:25〜60:5〜20の割合で含んでなる水分散塗布液を塗布し、水分散塗布液を乾燥した後、少なくともフィルムの走行方向もしくは走行方向に対して垂直な方向のいずれか一方に延伸した後、熱処理して帯電防止層を形成する積層フィルムの製造方法であって、前記延伸の面積倍率が3倍以上であることを特徴とする積層フィルムの製造方法。
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