JP4259192B2 - 回路材料用スペーサーおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路材料用スペーサーに関するものであり、更に詳しくは、基板フィルムと金属膜が設けられた回路材料を巻物にする際のスペーサーとして用いたときに、高いレベルの帯電防止性が湿度依存性によらず発現し、かつ、耐溶剤性や耐削れ性にも優れるものである。特に本発明のフィルムは、テープオートメイティッドボンディング(以下「TAB」と称することがある)用などのスペーサーとして用いたとき、剥離帯電の発生がなく、TABからのIC(集積回路)チップやLSI(大規模集積回路)チップなどの微小な電子部品の剥がれなどがなく、帯電電荷の蓄電による放電が無いなどの優れた特性が発現し、かつ、導電剤の脱落による電子部品の短絡による破損なども起こりにくいものである。
【0002】
【従来の技術】
回路基板周辺材料において、電子部品の小型化、製造工程の簡略化や高速化に伴い、その製造工程において、例えば、テープオートメイティッドボンディング(TAB)テープなどが用いられている。該TABテープは、例えば、基板フィルム、接着剤、銅箔の積層構成からなるものが代表的であるが、その製造工程において、配線パターンを形成するために、銅箔表面にレジストを塗布したり、絶縁層が設けられたりするが、これらの塗布は長尺のTABテープに対して連続的に行われ、そして、塗布されたTABテープはリール状に巻き取られていく。その際、既にリール状に巻き取られているTABテープに塗布あるいは設けられた材料が、後から巻き取られてくるTABテープに接触して欠損したりするのを防ぐため、TABテープがリール状に巻き取られるときは、テープ状のスペーサーと重ねて巻き取られる。
【0003】
そして、このスペーサーは、次に巻き出して用いる際に、配線パターンや電子部品となった材料が、剥離帯電などによって該TABテープから剥がれたりするのを抑制したり、帯電電荷の蓄電による放電を抑制したりするため、該スペーサーには導電性を付与することが検討されている。
【0004】
従来の帯電防止方法としては、ポリエステル樹脂に帯電防止剤を添加し塗布する方法(例えば特許文献1参照)、および、スチレンスルホン酸共重合体を塗布する方法(例えば特許文献2参照)は、イオン導電タイプの帯電防止剤を使った帯電防止方法である。これらの方法は、イオンによる空気中の水分の吸着に依存する導電メカニズムを利用しているので、湿度依存性がある。特に低分子量タイプの帯電防止剤を用いた場合は、湿度依存性が大きいので、冬場など湿度の低い環境下では全く帯電防止性が得られないなど、製品の品質上大きな問題となる。
【0005】
また、塗布などにより、ポリエステルフィルムの表面にポリアニリン系導電剤の層を設ける方法(例えば、特許文献3参照)は、電子伝導タイプの帯電防止剤であるポリアニリン系導電剤を使ったものであり、その導電メカニズムが共役電子によるため、湿度依存性はないが、帯電防止レベルが十分ではなく、また、ポリアニリン系帯電防止剤はドーピングされた状態が緑色であるなど、顕著に着色するという問題がある。
【0006】
また、塗布などにより、ポリエステルフィルムの表面にアンチモンドーピングした酸化スズ系導電剤の層を設ける方法(例えば、特許文献4参照)は、電子伝導タイプの帯電防止剤を使った帯電防止方法であり、その導電メカニズムが共役電子によるため、湿度依存性はないが、導電性を発現するためには、酸化スズ系帯電防止剤は、アンチモンなどの有害な重金属によるドーピング剤が必要である。更に、酸化スズ系帯電防止剤に代表される粒子系帯電防止剤は、フィルム製膜工程中で塗布、延伸、熱処理するインラインコート法に適用した場合、延伸追従性が無いため、延伸により塗膜に亀裂が生じ、塗膜が白化、あるいは、塗膜が脆くなり、耐削れ性が無いなどの問題がある。
【0007】
また、他の電子伝導タイプの化合物を用いた帯電防止方法として、ポリチオフェン系導電剤による帯電防止性付与が提案されている。例えば、ポリチオフェン系導電剤とラテックス重合体を含む塗液を塗布した帯電防止方法(例えば、特許文献5参照)は、帯電防止性が十分とはいえない。また、高いレベルの帯電防止性を発現するためには、ポリチオフェン系導電剤を多量に添加する必要があり、インラインコート法に適用した場合は、他の電子伝導タイプと同様、塗膜の白化や耐削れ性などの問題があるので、全く実用に値しないものであった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭60−141525号公報(特許請求の範囲)
【0009】
【特許文献2】
特開昭61−204240号公報(特許請求の範囲)
【0010】
【特許文献3】
特開平7−101016号公報(特許請求の範囲)
【0011】
【特許文献4】
特開平11−278582号公報(特許請求の範囲)
【0012】
【特許文献5】
特開平6−295016号公報(特許請求の範囲)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に着目し、湿度変化によらず高いレベルの帯電防止性を発現し、かつ、耐溶剤性や耐削れ性にも優れる回路材料用スペーサーを提供することにある。
【0014】
特に本発明のフィルムは、TAB用などのスペーサーとして用いたとき、剥離帯電の発生がなく、TABからのIC(集積回路)チップやLSI(大規模集積回路)チップなどの微小な電子部品の剥がれなどがなく、帯電電荷の蓄電による放電が生じにくいなどの優れた特性が発現し、かつ、導電剤の脱落による電子部品の短絡による破損なども起こりにくい回路材料用スペーサーを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の回路材料用スペーサーは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、組成物(A)と架橋剤(B)を主成分とする積層膜が設けられ、組成物(A)が、ポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物、および/または、ポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物であり、かつ、該積層膜は組成物(A)と架橋剤(B)からなる海島構造を有し、組成物(A)が海成分、架橋剤(B)が島成分である回路材料用スペーサーである。
【0016】
また、本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、組成物(A)および架橋剤(B)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸した後、熱処理する回路材料用スペーサーの製造方法であって、組成物(A)が、ポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物、および/または、ポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物であり、塗液中に架橋剤(B)を10〜85重量%含有することを特徴とする回路材料用スペーサーの製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の回路材料用スペーサーは、組成物(A)と架橋剤(B)を主成分とする積層膜が設けられ、組成物(A)が、ポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物、および/または、ポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物であり、かつ、該積層膜は組成物(A)と架橋剤(B)からなる海島構造を有する。ここで、組成物(A)が海成分、架橋剤(B)が島成分である。
【0018】
まず、本発明の回路材料用スペーサーの海島構造について説明する。
本発明においては、海島構造は、積層膜の断面の透過型電子顕微鏡(Transmission Electoron Microscope)(以後、「TEM」と略称する)観察像で特定する。海島構造とは、2つ以上の成分からなる混合相において、連続相を形成する成分からなる「海」部分と、該連続相中に島状に存在する他の成分からなる「島」部分からなるものである。図1に、本発明の回路材料用スペーサーの「海島構造」の代表的な模式図を示す。図中、黒い部分が「島」部分であり、それ以外の連続した白い部分が「海」部分に該当する。特に「島」部分は、図に示すように、色々な大きさの断面積を採りうる。また、「島」部分の形状は、円形、楕円状、異形状など色々な形状の断面形状が可能であり、特定されるものではない。2つ以上の島部分が繋がった形状のものも「島」部分である。
【0019】
本発明の回路材料用スペーサーの代表的な積層膜の断面のTEM観察像の例を図2に示すが、本発明の回路材料用スペーサーは、こらに限定されない。図2は、倍率が50万倍のTEM観察像である。なお、図中の右下の直線がスケールであり、図の右下に記載された長さ、例えば図2ならば直線の長さが10nmに相当する。また、図2において、符号3で示した「包埋樹脂層」は、TEM観察時、超薄切片に切り出す際に必要な層であり、本発明にかかる積層フィルムを構成するものではない。
【0020】
本発明の回路材料用スペーサーの「島」部分の形態は、円形、ほぼ円形、楕円状、2つ以上の円形状の突起が繋がった形態のものなど、その形態は限定されない。
【0021】
本発明の回路材料用スペーサーの積層膜は、組成物(A)と架橋剤(B)を主成分とする積層膜であり、組成物(A)が、ポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物、および/または、ポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物である。すなわち、本発明においては、主成分とは、積層膜中の組成物(A)と架橋剤(B)を合計した含有量が、積層膜全体の好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは、70重量%以上、最も好ましくは、80重量%以上である。
【0022】
本発明の回路材料用スペーサーの積層膜の組成物(A)は、好ましくは、ポリチオフェン、および/または、ポリチオフェン誘導体を含んでなる。
【0023】
本発明の回路材料用スペーサーの積層膜に用いることのできる組成物(A)は、下記の
【0024】
【化1】
【0025】
および/または、下記の
【0026】
【化2】
【0027】
で示した化合物を、ポリ陰イオンの存在下で重合することによって得ることができる。
【0028】
化1において、R1、R2は、それぞれ独立に、水素元素、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、もしくは芳香族炭化水素基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロへキシレン基、ベンゼン基などである。化2では、nは1〜4の整数である。
【0029】
本発明の回路材料用スペーサーでは、化2で表される構造式からなるポリチオフェン、および/または、ポリチオフェン誘導体を用いることが好ましく、例えば、化2で、n=1(メチレン基)、n=2(エチレン基)、n=3(プロピレン基)の化合物が好ましい。中でも特に好ましいのは、n=2のエチレン基の化合物、すなわち、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンである。
【0030】
本発明の回路材料用スペーサーでは、ポリチオフェンおよび/またはポリチオフェン誘導体として、例えば、チオフェン環の3位と4位の位置が置換された構造を有する化合物が例示され、かつ、上記したとおり該3位と4位の炭素原子に酸素原子が結合した化合物が例示される。該炭素原子に直接、水素原子あるいは炭素原子が結合したものは、塗液の水性化が容易でない場合がある。
【0031】
本発明の回路材料用スペーサーの積層膜に用いる組成物(A)のうち、ポリ陰イオンについて説明する。
【0032】
本発明の回路材料用スペーサーのポリ陰イオンは、遊離酸状態の酸性ポリマーであり、高分子カルボン酸、あるいは、高分子スルホン酸、ポリビニルスルホン酸などである。高分子カルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸が例示され、高分子スルホン酸としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸が例示され、特に、ポリスチレンスルホン酸が導電性の点で最も好ましい。なお、本発明において、遊離酸は、一部が中和された塩の形をとってもよい。
【0033】
これらポリ陰イオンを重合時に用いることにより、本来、水に不溶なポリチオフェン系化合物を水分散あるいは水性化しやすく、かつ、酸としての機能がポリチオフェン系化合物のドーピング剤としての機能も果たすものと考られる。
【0034】
なお、本発明においては、高分子カルボン酸や高分子スルホン酸は、共重合可能な他のモノマー、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなどと共重合した形で用いることもできる。
【0035】
ポリ陰イオンとして用いられる高分子カルボン酸や高分子スルホン酸の分子量は特に限定されないが、塗剤の安定性や導電性の点で、その重量平均分子量は1000〜1000000が好ましく、より好ましくは5000〜150000である。本発明の特性を阻害しない範囲で、一部、リチウム塩やナトリウム塩などのアルカリ塩やアンモニウム塩などを含んでもよい。中和された塩の場合も、非常に強い酸として機能するポリスチレンスルホン酸とアンモニウム塩は、中和後の平衡反応の進行により、酸性サイドに平衡がずれることが分かっており、これにより、ドーパントとして作用するものと考える。
【0036】
本発明においては、ポリチオフェン、および/または、ポリチオフェン誘導体に対して、ポリ陰イオンは、固形分重量比で過剰に存在させた方が導電性の点で好ましく、ポリチオフェンおよび/またはポリチオフェン誘導体が1重量部に対し、ポリ陰イオンは、1重量部より多く、5重量部以下が好ましく、より好ましくは1重量部より多く、3重量部以下である。
【0037】
また、上記した組成物(A)は、例えば、特開平6−295016号公報、特開平7−292081号公報、特開平1−313521号公報、特開2000−6324号公報、ヨーロッパ特許EP602713号、米国特許US5391472号などに記載の方法により製造することができるが、これら以外の方法であってもよい。
【0038】
組成物(A)は、例えば、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボキシエステルのアルカリ金属塩を出発物質として、3,4−エチレンジオキシチオフェンを得たのち、ポリスチレンスルホン酸水溶液にペルオキソ二硫酸カリウムと硫酸鉄と、先に得た3,4−エチレンジオキシチオフェンを導入し、反応させ、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などのポリチオフェンに、ポリスチレンスルホン酸などのポリ陰イオンが複合体化した組成物を得る。
【0039】
本発明の回路材料用スペーサーの積層膜に用いることができる架橋剤(B)としては、例えば、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミドエポキシ化合物、チタンキレートなどのチタネート系カップリング剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系などを用いることができる。
【0040】
本発明において架橋剤(B)は、分子量が1000以下の架橋剤であることが好適である。特に、架橋剤(B)を水溶性で分子量を1000以下とすることで、延伸工程での柔軟性や流動性が発現し、積層膜を形成する混合体の乾燥後の延伸追従性を高め、塗膜の亀裂による白化現象を抑制し、透明性が付与されると同時に、帯電防止性にも優れたものとなる。一方、例えば、分子量が大きくなり過ぎると、塗布、乾燥後の延伸時に塗膜に亀裂が入るなどの現象が発生し、透明性が低下したり、帯電防止性が悪化する傾向がある。また、分子量を800以下、より好ましくは、600以下とすることで、組成物(A)と架橋剤(B)が、より相溶しやすくなり、帯電防止性や透明性が向上する。
【0041】
本発明において架橋剤(B)は、帯電防止性や透明性などが向上するので、水溶性の架橋剤であることが好ましい。
【0042】
なお、本発明において、水溶性の架橋剤とは、水溶率が80%以上の架橋剤をいい、「水溶率」とは、23℃で、架橋剤の固形分10部を90部の水に溶解した時、架橋剤が溶解している割合をいう。すなわち、水溶率が80%とは、23℃で、10部の架橋剤のうち80重量%が90部の水に溶解し、残りの20重量%の架橋剤が未溶解物として残っている状態を示す。また、水溶率100%とは用いた10部の架橋剤が90部の水に全て溶解している状態を表す。なお、本発明において、架橋剤(B)は、水溶率が90%以上のものが好ましく、より好ましくは水溶率が100%である。水溶率が高いと塗液自体を水性化できるだけでなく、帯電防止性や透明性の点でも優れたものとできる。
【0043】
本発明において、メラミン系架橋剤は、特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。また、メラミン系架橋剤としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。エーテル化に使用する低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基などのアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール基型メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、完全アルキル型メチル化メラミンなどである。その中でも、イミノ基型メラミン、メチロール化メラミンが好ましく、より好ましくはメチロール基型メラミンである。最も好ましくは、水溶性を有するメラミン系架橋剤であり、例えば、メチロール基型メラミンが好適に用いることができる。更に、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えば、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。また、塗布する塗液自体が酸性を有するものであれば更に好ましい。本発明においては、架橋剤(B)は、ポリ陰イオン、好適にはポリスチレンスルホン酸が用いられるため、上記した架橋反応が促進される。
【0044】
本発明では、架橋剤(B)は、特にエポキシ系架橋剤が好ましい。エポキシ系架橋剤は、帯電防止性や透明性などの点で極めて優れ、塗膜の塗布外観にも優れたものとすることができる。エポキシ系架橋剤の中でも、水溶性エポキシ架橋剤が更に好適である。
【0045】
また、エポキシ系架橋剤は、例えば、グリセリンなどの高沸点溶媒などの添加に比べ、ブロッキングをおこさず、熱処理工程を行うテンター内部の汚染や、大気汚染がないので、好適である。
【0046】
本発明の回路材料用スペーサーにおいて、エポキシ系架橋剤の種類は特に限定されないが、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル系、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系、ジグリセロールポリグリシジルエーテル系、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル系などを用いることができる。例えば、ナガセケムテック株式会社製エポキシ化合物“デナコール”(EX−611、EX−614、EX−614B、EX−512、EX−521、EX−421、EX−313、EX−810、EX−830、EX−850など)、坂本薬品工業株式会社製のジエポキシ・ポリエポキシ系化合物(SR−EG、SR−8EG、SR−GLGなど)、大日本インキ工業株式会社製エポキシ架橋剤“EPICLON”EM−85−75W、あるいはCR−5Lなどを好適に用いることができ、中でも、水溶性を有するものが好ましい。
【0047】
エポキシ系架橋剤は、エポキシ当量が100〜300WPEであるものが反応性の点で好ましく、エポキシ当量は、より好ましくは110〜200WPEである。
【0048】
本発明の回路材料用スペーサーの製造に用いられる塗液は、好ましくは、実質的に水を主たる媒体とする水性の塗液である。本発明の回路材料用スペーサーの製造に用いられる塗液は、塗布性の向上などの目的で、本発明の効果を阻害しない程度に適量の有機溶媒を含有してもよく、例えば、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、エタノール、メタノール、エチフェングリコール、ジエチレングリコールなどを好適に用いることができる。中でも、イソプロピルアルコールを用いることが塗布性を向上させる点で特に好ましく、その含有量は、塗液中に20重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下である。なお、塗液中に多量の有機溶媒を含有させると、いわゆるインラインコーティング法に適用した場合、予熱、乾燥、延伸および熱処理工程などを行うテンターにおいて、爆発の危険があり好ましくない。
【0049】
本発明の回路材料用スペーサーの架橋剤(B)は、積層膜の状態においては、積層膜を構成する成分に含まれる官能基と結合した状態であってもよいし、未反応の状態であってもよいし、部分的に架橋構造を形成したものであってもよい。架橋剤(B)は、積層膜の状態では、塗膜の強度や耐ブロッキング性やべたつき感、更には耐溶剤性などの点で、架橋している状態が好ましい。なお、架橋は、他の成分に含まれる官能基と結合した状態でもよく、架橋剤自体の自己架橋構造であってもよい。
【0050】
また、本発明においては、複数の架橋剤の併用が好ましく、例えば、エポキシ系架橋剤とメラミン系架橋剤、あるいは異なる種類のエポキシ系架橋剤の併用は、両者の特性が発現するので好ましい。
【0051】
本発明の回路材料用スペーサーの積層膜は、組成物(A)と架橋剤(B)を主成分とする積層膜であり、組成物(A)が、ポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物、および/または、ポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物であって、かつ、該積層膜は組成物(A)と架橋剤(B)からなる海島構造を有するものであれば、組成物(A)と架橋剤(B)の混合比などは特に限定されないが、本発明の効果を顕著に発現させるためには、積層膜中に、架橋剤(B)が10〜85重量%含有されることが好ましい。例えば、架橋剤(B)が10重量%未満では帯電防止性が発現しにくい場合がある。架橋剤(B)が極端に少ない場合、未処理のポリエステルフィルムなどと同様の絶縁体レベルであり、かつ、塗膜の白化が大きく、透明性も悪い。一方、架橋剤(B)が85重量%を越えると透明性は良化するものの、帯電防止性が発現しにくくなる。なお、本発明者らの検討によれば、架橋剤(B)が、25〜85重量%含有されてなることが帯電防止性の点でより好ましく、さらにより好ましくは25〜75重量%であり、最も好ましくは50〜75重量%である。積層膜中の架橋剤(B)の含有量を、25〜75重量%とすることで、帯電防止性を極めて高いレベルで達成することが可能となる。
【0052】
本発明の回路材料用スペーサーの積層膜は、組成物(A)、架橋剤(B)以外に、ポリエステル樹脂が含まれてなることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合などは、ポリエステル樹脂が含まれると、基材フィルムと積層膜の接着性が向上し、好適である。また、本発明においては、他の樹脂、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂なども用いることができる。
【0053】
本発明の回路材料用スペーサーにかかる積層膜の構成成分として好適に用いることができるポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するもので、ジカルボン酸とジオールを重縮合して得られるものである。
【0054】
該ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸を使用することができる。
【0055】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを用いることができる。積層膜の強度や耐熱性の点から、これらの芳香族ジカルボン酸が、好ましくは全ジカルボン酸成分の30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、最も好ましくは40モル%以上を占めるポリエステルを用いることが好ましい。
【0056】
また、脂肪族および脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、およびそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
【0057】
ポリエステル樹脂のグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどを用いることができる。
【0058】
また、ポリエステル樹脂を水性塗液として用いる場合には、ポリエステル樹脂の水溶性化あるいは水分散化を容易にするため、スルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合することが好ましい。
【0059】
カルボン酸塩基を含む化合物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸など、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0060】
スルホン酸塩基を含む化合物としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどあるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これに限定されない。
【0061】
また、本発明においては、ポリエステル樹脂として、変性ポリエステル共重合体、例えば、アクリル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体なども使用可能である。
【0062】
好ましいポリエステル樹脂としては、酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれる共重合体などが挙げられる。耐水性が必要とされる場合は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の代わりに、トリメリット酸をその共重合成分とした共重合体なども好適に用いることができる。
【0063】
本発明の回路材料用スペーサーにおいて、積層膜に用いられるポリエステル樹脂は、以下の製造法によって製造することができる。
【0064】
例えば、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分として、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールからなるポリエステル樹脂について説明すると、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸とエチレングリコール、ネオペンチルグリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸及びエチレングリコール、ネオペンチルグリコールとをエステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造する方法などにより製造することができる。
【0065】
この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることができる。
【0066】
また、カルボン酸を末端および/または側鎖に多く有するポリエステル樹脂は、特開昭54−46294号公報、特開昭60−209073号公報、特開昭62−240318号公報、特開昭53−26828号公報、特開昭53−26829号公報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−116718号公報、特開昭61−124684号公報、特開昭62−240318号公報などに記載の3価以上の多価カルボン酸を共重合した樹脂により製造することができるが、これら以外の方法であってもよい。
【0067】
また、本発明の回路材料用スペーサーの積層膜に用いられるポリエステル樹脂の固有粘度は、特に限定されないが、接着性の点で0.3dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.35dl/g以上、最も好ましくは0.4dl/g以上であることである。
【0068】
ポリエステル樹脂のガラス転移点(以後、「Tg」と略称する)は、0〜130℃であることが好ましく、より好ましくは10〜85℃である。Tgが0℃未満では、例えば、積層膜同士が固着するブロッキング現象が発生する場合があり、130℃を超える場合は、樹脂の安定性や水分散性が劣る場合があるので好ましくない。
【0069】
また、上記したポリエステル樹脂や他の樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、また、異なる2種類の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂とウレタン樹脂、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂とアクリル樹脂を組み合わせて用いてもよく、もちろん3種類以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂を混合して用いる場合は、それぞれの樹脂の特性が発現することが多く好ましい。
【0070】
また、本発明の回路材料用スペーサーの積層膜は、例えば、本発明の回路材料用スペーサー上にレジストインキなどを設ける場合など、本発明の効果が損なわれない範囲内で、上記した樹脂以外の他の樹脂を添加することができる。
【0071】
また、本発明の効果が損なわれない範囲内で、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合してもよい。
【0072】
熱可塑性樹脂フィルム上に積層膜を設ける方法は種々存在するが、本発明の回路材料用スペーサーを製造する場合、フィルム製膜工程中で塗液を塗布し、乾燥、延伸した後、熱処理する、いわゆるインラインコーティング法を好適に用いることができる。
【0073】
該インラインコーティング法を用いることで、オフライン加工に比べ、例えば、積層膜を薄くできる、基材フィルムとの接着性が向上するなどのメリットがある。特に、本発明においては、架橋剤(B)を必須成分として用いるため、架橋剤(B)が反応するための熱処理が必要であり、例えば、高温熱処理ができるインラインコーティング法は非常に有利である。すなわち、高温熱処理ができるインラインコーティング法では、熱処理時にクリップでフィルムの両端を把持しているため、回路材料用スペーサーにシワが入らず、平面性が保持できるメリットがある。一方、オフライン加工では、熱収縮によりフィルムにシワが入り、加工後のフィルムの平面性が極端に悪くなる場合がある。インラインコーティング法での熱処理は、200℃以上で行うことが好ましい。
【0074】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、熱によって溶融もしくは軟化するフィルムの総称であって、特に限定されるものではない。本発明の熱可塑性樹脂フィルムの代表的なものとして、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムやポリスチレンフィルムなどのアクリル系フィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム、フッ素系フィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどを用いることができる。
【0075】
熱可塑性樹脂フィルムは、ホモポリマーでも共重合ポリマーであってもよい。これらのうち、機械的特性、寸法安定性、透明性などの点で、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルムなどが好ましく、更に、機械的強度、汎用性などの点で、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0076】
以下、本発明の回路材料用スペーサーをポリエステルフィルムを代表例として説明するが、これに限定されない。
【0077】
本発明の回路材料用スペーサーのポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称である。好ましいポリエステルとして、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを用いることができる。これら構成成分は、1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断すると、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステル、すなわち、ポリエチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。また、基材に熱や収縮応力などが作用する用途に用いられる場合においては、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが更に好ましい。
【0078】
また、これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。
【0079】
更に、このポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが、その特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
【0080】
また、ポリエステルフィルム中に、無機の粒子、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、金属微粉末などを添加した場合には、易滑性が向上するので好ましい。無機粒子の平均粒子径は、0.005〜3μmが好ましく、より好ましくは0.05〜1μmである。また、無機粒子の添加量は、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%である。
【0081】
また、本発明の回路材料用スペーサーは、内層と表層の2層以上の複合体フィルムであってもよい。本発明の回路材料用スペーサーは、例えば、内層部に実質的に粒子を含有せず、表層部に粒子を含有させた層を設けた複合体フィルム、あるいは、内層部に粗大粒子を有し、表層部に微細粒子を含有させた複合体フィルムなどでもよい。また、上記した複合体フィルムは、内層部と表層部が異種のポリマーであっても同種のポリマーであってもよい。
【0082】
上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適である。
【0083】
上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、積層膜が設けられた状態においては二軸配向されたものが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱処理が施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
【0084】
積層膜の厚みは、通常は、0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.01〜1μm、最も好ましくは0.03μm〜0.5μmである。積層膜の厚みが薄すぎると帯電防止性不良となる場合がある。
【0085】
ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、本発明の回路材料用スペーサーが使用される個別の用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常は好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜300μm、最も好ましくは9〜210μmである。また、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせて用いることもできる。
【0086】
なお、本発明において、積層膜とは、基材となる熱可塑性樹脂フィルムの表面に積層構造的に形成されて存在する膜状の層をいう。該膜自体は、単一層であっても複数層からなるものであってもよい。
【0087】
さらに、本発明の回路材料用スペーサーの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、組成物(A)および架橋剤(B)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸した後、熱処理する回路材料用スペーサーの製造方法であって、組成物(A)が、ポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物、および/または、ポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物であり、塗液中に架橋剤(B)を10〜85重量%含有する回路材料用スペーサーの製造方法である。
【0088】
本発明の回路材料用スペーサーの製造方法では、塗布方法として、インラインコーティング法が好ましい。
【0089】
インラインコーティング法は、例えば、溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステルフィルムを長手方向に2.5〜5倍延伸し、一軸延伸されたフィルムに連続的に塗液を塗布する。塗布されたフィルムは段階的に加熱されたゾーンを通過しつつ乾燥され、幅方向に2.5〜5倍延伸される。更に、連続的に150〜250℃の加熱ゾーンに導かれ結晶配向を完了させる方法などである。なお、長手方向に延伸後、塗布して後、幅方向に延伸する方法が一般的であるが、幅方向に延伸後、塗布して後、長手方向に延伸する方法、塗布して後、長手方向と幅方向に同時に延伸する方法など各種の方法を用いることができる。
【0090】
また、本発明においては、塗液を塗布する前に、基材フィルムの表面(上記例の場合では、一軸延伸フィルム)にコロナ放電処理などを施し、該基材フィルム表面の濡れ張力を、好ましくは47mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上とするのが、積層膜の基材フィルムとの接着性や塗布性を向上させることができるので好ましい。更に、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒を塗液中に若干量含有させて、濡れ性や基材フィルムとの接着性を向上させることも好適である。
【0091】
基材フィルム上への塗布の方法は各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
【0092】
また、本発明の積層フィルムの製造方法において、架橋剤(B)は、好ましくは、水溶性架橋剤である。
【0093】
次に、本発明の回路材料用スペーサーの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称する)を基材フィルムとした例について更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0094】
本発明の回路材料用スペーサーの製造方法をより具体的に例示して説明する。極限粘度0.5〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し、260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化させて未延伸PETフィルムを作成する。この未延伸フィルムを70〜120℃に加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向)に2.5〜5倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面にコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に本発明にかかる水性塗液を塗布する。この塗布されたフィルムをクリップで把持して70〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥した後、幅方向に2.5〜5倍延伸し、引き続き160〜250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中において、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に1〜10%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は、縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。また、ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。
【0095】
なお、積層膜が設けられる基材フィルム中に、積層膜形成組成物、あるいは積層膜形成組成物の反応生成物から選ばれる少なくとも1種の物質を含有させることにより、積層膜と基材フィルムとの接着性を向上させ、また、回路材料用スペーサーの易滑性を向上させることができる。積層膜形成組成物、あるいはこれらの反応生成物の添加量は、その添加量の合計が5ppm以上20重量%未満であるのが、接着性、易滑性の点で好ましい。環境保護、生産性を考慮すると、該積層膜形成組成物を含む再生ペレットを用いる方法が好適である。
【0096】
このようにして得られた本発明の回路材料用スペーサーは、極めて高いレベルの帯電防止性が湿度変化によらず発現し、かつ、耐溶剤性や耐削れ性にも優れるため、テープオートメイティッドボンディング(TAB)用のスペーサー、フレキシブルプリントサーキット(FPC)用のスペーサー、チップオンフィルム(COF)用のスペーサー、2層あるいは3層CCL(Copper Clad Laminate)用のスペーサーなどとして、リール状に巻き取る際の回路材料用スペーサーとして好適に用いることができる。
【0097】
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次の通りである。
【0098】
(1)積層膜の厚み
(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積層膜を設けた積層ポリエステルフィルムの断面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の10個の平均値とした。
【0099】
(2)帯電防止性
帯電防止性は、表面比抵抗により測定した。表面比抵抗の測定は、常態(23℃、相対湿度65%)において24時間放置後、その雰囲気下でデジタル超高抵抗/微小電流計R8340A(アドバンテスト(株)製)を用い、印加電圧100V、10秒間印加後、測定を行った。単位は、Ω/□である。なお、該表面比抵抗が1×1010Ω/□以下のものであれば実用上問題のないレベルであり、1×109Ω/□以下、更には1×108Ω/□以下のものは優れた帯電防止性を示す
更に、相対湿度25%で、上記と同様の評価も行い、湿度依存性の有無についての確認評価も行った。
【0100】
(3)耐溶剤性
本発明のスペーサーをエタノールに24時間浸漬し、40℃で5分間風乾後、上記(2)項に記載の帯電防止性の評価を行った。耐溶剤性評価をする前の帯電防止性と比較して、該耐溶剤性評価を行った後の帯電防止性の変化が小さいものが優れた耐溶剤性を有するものである。
【0101】
(4)耐削れ性
本発明のスペーサーは、電子部品などと直接接する用途などに用いられるため、積層膜の削れ粉やカス、特に導電剤の脱落は電子部品の短絡などにより、極めて重大なトラブルの原因となる。そのため、積層膜の耐削れ性が重要な特性となる。
【0102】
加工工程での削れをモデル化し、25mm幅、長さ50cmのサンプルを作製し、積層フィルムの積層膜面を直径6mmの円柱状ステンレスバーに5Nの荷重を加え、20回往復させた後、バーに付着した積層膜の粉などの状態、および塗膜の状態を観察し、耐削れ性評価とした。なお、評価基準は下記の通りであり、評価4以上を良好とした
評価5:バーに粉の付着がなく、積層膜にキズもない
評価4:バーに粉の付着はないが、積層膜にわずかなキズが見られる
評価3:バーに粉の付着があり、積層膜にもキズが入っている
評価2:バーに粉の付着が多量にあり、積層膜もキズが入っている
評価1:バーに粉の付着が多量にあり、積層膜が殆ど脱落している。
【0103】
(5)積層膜の断面観察
積層フィルムのフィルム表面に対し垂直に超薄膜切片を切り出し、オスミック酸(OsO4)で積層フィルムを染色した。このオスミック酸染色した超薄膜切片の積層膜部分を透過型電子顕微鏡((株)日立製作所、H−7100FA型)を用い、加速電圧100kVで観察した。
【0104】
積層膜に用いた各成分が、オスミック酸に可染性を有するものか、オスミック酸に染色されないかを、下記の方法で確認した。
【0105】
・比較サンプル(1):
ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体をPETフィルム上に塗布、乾燥したもの
・比較サンプル(2):
エポキシ架橋剤をPETフィルム上に塗布、乾燥したもの
ここで、比較サンプル(1)について、更に2つのサンプルを準備した
・比較サンプル(1)−1:
オスミック酸で染色せずにTEM断面観察したもの
・比較サンプル(1)−2:
オスミック酸で染色したものをTEM断面観察したもの。
【0106】
比較サンプル(1)−1と(1)−2のTEM断面観察像は、両者の比較において、濃淡の差は認められなかった。すわなち、比較用サンプル(1)で用いた化合物であるポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体は、オスミック酸に染色されないことが確認された。
【0107】
次に、比較サンプル(2)のTEM断面観察像は、比較サンプル(1)との比較において、明らかに濃く染色されていた。すなわち、比較用サンプル(2)で用いた化合物であるエポキシ架橋剤は、オスミック酸に染色されることが確認された。
【0108】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
実施例1
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%を含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化させた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に下記の積層膜形成塗液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、92℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.8倍延伸し、更に、210℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。このとき、基材PETフィルム厚みが125μm、積層膜の厚みが0.05μmであった。結果を表1に示した。帯電防止性、耐溶剤性、耐削れ性に優れるものであった。本実施例の積層膜のTEM断面観察像を図2に示す。ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体と、エポキシ架橋剤からなる積層膜は海島構造を形成していた。
【0109】
「積層膜形成塗液」
・塗液A1:
ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体にフッ素系界面活性剤が添加された水性塗液(ナガセケムテックス(株)製“デナトロン”#5002SZ)
・塗液B1:
エポキシ架橋剤として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系エポキシ架橋剤(ナガセケムテック(株)製“デナコール”EX−512(分子量約630、エポキシ当量168、水溶率100%))を水に溶解させた水性塗液
上記した塗液A1と塗液B1を固形分重量比で、塗液A1/塗液B1=15/85で混合したものを積層膜形成塗液とした。
【0110】
実施例2
実施例1の積層膜形成塗液で、下記の積層膜形成塗液とし、かつ、積層膜の厚みを0.05μmとした以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表1に示した。帯電防止性、耐溶剤性、耐削れ性に優れるものであった。本実施例の積層膜は、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体と、エポキシ架橋剤からなる海島構造を形成していた。
「積層膜形成塗液」
・塗液A2:
ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体と、ポリエステル樹脂を水に分散させた水性塗液(ナガセケムテックス(株)製“デナトロン”#5002RZ)
・塗液B1:
エポキシ架橋剤として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系エポキシ架橋剤(ナガセケムテック(株)製“デナコール”EX−512(分子量約630、エポキシ当量168、水溶率100%))を水に溶解させた水性塗液
上記した塗液A2と塗液B1を固形分重量比で、塗液A2/塗液B1=25/75で混合したものを積層膜形成塗液とした。
【0111】
実施例3
実施例2の積層膜形成塗液で、塗液A2と塗液B1の固形分重量比を40/60とした以外は、実施例2と同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表1に示した。帯電防止性、耐溶剤性、耐削れ性に優れるものであった。本実施例の積層膜は、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体と、エポキシ架橋剤からなる海島構造を形成していた。
【0112】
実施例4
実施例2の積層膜形成塗液で、塗液A2と塗液B1の固形分重量比を90/10とした以外は、実施例2と同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表1に示した。帯電防止性、耐溶剤性、耐削れ性に優れるものであった。本実施例の積層膜は、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体と、エポキシ架橋剤からなる海島構造を形成していた。
【0113】
実施例5
実施例2の積層膜形成塗液で、下記の積層膜形成塗液とした以外は、実施例2と同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表1に示した。帯電防止性、耐溶剤性、耐削れ性に優れるものであった。本実施例の積層膜は、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体と、エポキシ架橋剤からなる海島構造を形成していた。
「積層膜形成塗液」
・塗液A2:
ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体と、ポリエステル樹脂を水に分散させた水性塗液(ナガセケムテックス(株)製“デナトロン”#5002RZ)
・塗液B2:
エポキシ架橋剤として、ソルビトールポリグリシジルエーテル系エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製“デナコール”EX−614B(分子量約550、エポキシ当量173、水溶率94%))を水に溶解させた水性塗液。
上記した塗液A2と塗液B2を固形分重量比で、塗液A2/塗液B2=30/70で混合したものを積層膜形成塗液とした。
【0114】
比較例1
実施例1において、積層膜形成塗液を塗布せず、積層膜を設けていないPETフィルムを得た。結果を表1に示すが、帯電防止性に極めて劣るものであった。
【0115】
比較例2
基材フィルムとして、125μm厚みの“ルミラー”T60(東レ(株)製)の表面にコロナ放電処理を施し、下記の積層膜形成塗液を乾燥後の厚みが0.3μmになるようにバーコート法でオフライン塗工した(乾燥条件は120℃、2分間とした)。結果を表1に示すが、耐削れ性が極めて劣るものであった。
「積層膜形成塗液」
・塗液C1:
微粒子酸化スズからなる水性塗液(多木化学(株)製、“セラメース”S−8)。
【0116】
・塗液B1:
エポキシ架橋剤として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系エポキシ架橋剤(ナガセケムテック(株)製“デナコール”EX−512(分子量約630、エポキシ当量168、水溶率100%))を水に溶解させた水性塗液
上記した塗液C1と塗液B1を固形分重量比で、塗液C1/塗液B1=85/15で混合したものを積層膜形成塗液とした。
【0117】
比較例3
実施例2の積層膜形成塗液で、下記の積層膜形成塗液とした以外は、実施例2と同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表1に示した。塗膜が白化し、耐削れ性に劣り、また、帯電防止性にも劣るものであった。本実施例の積層膜は、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体のみからなるものであり、エポキシ架橋剤との海島構造を形成していなかった。
「積層膜形成塗液」
・塗液A2:
ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸からなる複合体と、ポリエステル樹脂を水に分散させた水性塗液(ナガセケムテック(株)製“デナトロン”#5002RZ)
上記した塗液A2のみを積層膜形成塗液として用いた。
【0118】
実施例6
基板フィルムとして幅を35mmにスリットした厚み75μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)
製“カプトン”)に、厚み25μm銅箔を接着剤を用いてラミネートする。これにLSIチップの電極位置に合わせてエッチングし、回路形成を行う。このTABテープと、本発明の回路材料用スペーサーを重ねながらリール状に巻き取り、製品とした。これを巻き出しながら使用する際、剥離帯電なども無く、また、積層膜の脱落なども無いものであった。
【0119】
【表1】
【0120】
【発明の効果】
本発明の回路材料用スペーサーは、湿度依存性によらず高いレベルの帯電防止性が発現し、耐溶剤性、耐削れ性にも優れるため、テープオートメイティッドボンディング(TAB)用のスペーサー、フレキシブルプリントサーキット(FPC)用のスペーサー、チップオンフィルム(COF)用のスペーサー、2層あるいは3層CCL(Copper Clad Laminate)用のスペーサーなどとして、リール状に巻き取る際の回路材料用スペーサーとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回路材料用スペーサーの「海島構造」の一例を表す模式図。
【図2】本発明の回路材料用スペーサーの代表的な積層膜の断面の透過型電子顕微鏡観察写真(倍率:50万倍)。
【符号の説明】
1 「島」部分
2 「海」部分
3 包埋樹脂層
4 積層膜
5 PETフィルム
Claims (12)
- 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、組成物(A)と架橋剤(B)を主成分とする積層膜が設けられ、組成物(A)が、ポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物、および/または、ポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物であり、かつ、該積層膜は組成物(A)と架橋剤(B)からなる海島構造を有し、組成物(A)が海成分、架橋剤(B)が島成分である回路材料用スペーサー。
- 架橋剤(B)が水溶性架橋剤である請求項1に記載の回路材料用スペーサー。
- 架橋剤(B)が、エポキシ系架橋剤である請求項1に記載の回路材料用スペーサー。
- 架橋剤(B)の分子量が1000以下である請求項1に記載の回路材料用スペーサー。
- 積層膜中にポリエステル樹脂が含まれる請求項1に記載の回路材料用スペーサー。
- 積層膜中に、架橋剤(B)が60〜85重量%含まれる請求項1に記載の回路材料用スペーサー。
- 組成物(A)が、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸からなる組成物である請求項1に記載の回路材料用スペーサー。
- 熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムである請求項1に記載の回路材料用スペーサー。
- 基板フィルムと金属膜が設けられた回路材料からなる請求項1に記載の回路材料用スペーサー。
- テープオートメイティッドボンディング用である請求項1に記載の回路材料用スペーサー。
- 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、組成物(A)および架橋剤(B)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸した後、熱処理する回路材料用スペーサーの製造方法であって、組成物(A)が、ポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物、および/または、ポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンからなる組成物であり、塗液中に架橋剤(B)を10〜85重量%含有することを特徴とする回路材料用スペーサーの製造方法。
- 架橋剤(B)が水溶性架橋剤である請求項11に記載の回路材料用スペーサーの製造方法。
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