JP2006240493A - タイヤとリムとの組立体およびこれに用いるサポートリング - Google Patents

タイヤとリムとの組立体およびこれに用いるサポートリング Download PDF

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Abstract

【課題】 空洞共鳴の抑制によりローノイズを低減でき、しかも軽量化、ランフラット走行耐久性に優れる。
【解決手段】タイヤとリムとが囲むタイヤ内腔内に制音・荷重受け用のサポートリングを配する。サポートリングは、前記リムを周回し、かつタイヤ内腔に開口する複数の凹部をタイヤ周方向に隔設した弾性材からなる環状基体を具える。又少なくとも2つの前記凹部は、その開口部が、タイヤ内腔に臨む外向き面がなす音反射面を有する非多孔質材からなる音反射体により閉止された。
【選択図】 図2

Description

本発明は、タイヤ内圧が低下した場合でも、一定の速度でかつ所定の距離を安全に走行しうるタイヤとリムとの組立体、およびこれに用いるサポートリングに関する。
近年、パンク等によりタイヤの内圧が低下した場合でも、例えば約80km/H程度の速度で数百キロメートルを安全に走行しうる性能(以下ランフラット性能という)を有するタイヤとリムとの組立体が提案されている。
図10は、このような組立体を例示し、タイヤaと、該タイヤaをリム組みするホイールリムbと、タイヤaとホイールリムbとが囲むタイヤ内腔i内でホイールリムbに装着され、かつタイヤの内圧が低下したときにトレッド部dの内面と当接して荷重を支持する環状のサポートリングeとを含む。前記ホイールリムbは、タイヤaの第1、第2のビード部f1、f2が装着される第1、第2のリムシートb1、b2を有し、それらの間にはサポートリング取付面gが設けられる。
このような組立体は、ランフラット走行時には、内圧低下によりタイヤの縦撓み量が増大し、トレッド部dの内面d1がサポートリングeに当接する。タイヤaに作用する荷重は、サポートリングeとホイールリムbとによって支持され、第1、第2のビード部f1、f2は、リムフランジとハンプhとの間でロックされるため、車両は通常支障のない走行速度でランフラット走行を可能とし、路上でタイヤ交換することなく、スタンド、修理工場等まで継続走行できる。従って利便性、快適性に加え、特に高速道路走行時の安全性の上から、ランフラットタイヤの普及が望まれている。
ところで、タイヤにより生じる騒音には様々なものがあり、その中でも荒れた路面を走行する際、タイヤとリムとが囲むタイヤ内腔が気柱管を構成し、空気が共鳴振動(空洞共鳴)することにより50〜400Hzの周波数範囲で「ゴー」という音が生じるいわゆるロードノイズは、車室内に伝達されてこもり音となり乗員に不快感を与えるという問題がある。一般タイヤと同様、ランフラットタイヤにおいても、居住性改善の上でロードノイズの低減は大きな課題である。
これに対して、図11(A)、(B)に示すように、リムに装着されランフラット走行時にトレッド部を内側から支持する環状基体rにおいて、半径方向内外のリング部w2,w1との間を仕切壁部w3により区画して多数のキャビティuによる共振器を形成し、前記キャビティuに連通するチューブvを有する側壁w4でキャビティuを閉蓋することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案では、ヘルムホルツ共振器の原理を用いて前記チューブvで共振器の振動特性を最適化することにより、共振振動を減衰している。
特表2003−510209号公報
しかしながら、前記提案では、側壁w4へのチューブvの取付、側壁w4自体の装着、共振器としての振動特性のチューニングなど、精密な作業を伴い、組立に手間がかかるという問題がある。又側壁wの重量が加わるため、サポートリングeの重量増加を招くなど転がり抵抗や燃費性に不利となる。
そこで本発明は、前記キャビティである凹部のうちの少なくとも2つの凹部の開口部を、外向き面がなす音反射面を有する音反射体により閉止することを基本として、この音反射面からの反射音波を、空洞共鳴によるタイヤ内腔内の定在波に干渉させることにより、音圧を低減させることが可能となり、ランフラット走行耐久性を維持しかつ軽量化を図りつつローノイズを低減しうるタイヤとリムとの組立体およびこれに使用するサポートリングの提供を目的としている。
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、タイヤと該タイヤをリム組みするホイールリムとが囲むタイヤ内腔内に、制音・荷重受け用のサポートリングを配するタイヤとリムとの組立体であって、
前記サポートリングは、前記リムを周回し、かつタイヤ内腔に開口する複数の凹部をタイヤ周方向に隔設した弾性材からなる環状基体を具え、
かつ少なくとも2つの前記凹部は、その開口部が、タイヤ内腔に臨む外向き面がなす音反射面を有する非多孔質材からなる音反射体により閉止されたことを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記音反射体は、タイヤ周方向に均等に配されたことを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記音反射体により開口部が閉止される閉の凹部の数は、凹部の総数の40%以下であることを特徴としている。
又請求項4の発明では、前記音反射体は、前記凹部の開口部のみを閉じる蓋状体であることにより、音反射体の奥方に凹部空間を形成することを特徴としている。
又請求項5の発明では、前記音反射体は、前記凹部の20〜100%の容積を占める塊状の充填体からなることを特徴としている。
又請求項6の発明では、前記環状基体は、タイヤ軸方向に出入りを繰り返す仕切壁部を具えることにより、タイヤ軸方向両側で交互に開口する凹部を具えることを特徴としている。
又請求項7の発明は、タイヤと該タイヤをリム組みするホイールリムとからなるタイヤとリムとの組立体のタイヤ内腔内に、配置される制音・荷重受け用のサポートリングであって、
前記リムを周回し、かつタイヤ内腔に開口する複数の凹部をタイヤ周方向に隔設した弾性材からなる環状基体を具えるとともに、
少なくとも2つの前記凹部は、その開口部が、タイヤ内腔に臨む外向き面がなす音反射面を有する非多孔質材からなる音反射体により閉止されたことを特徴としている。
本発明は叙上の如く構成しているため、例えば共振器としての振動特性のチューニングなどの精密な作業が不要であり、しかも凹部の全数にでなく、そのいくらかに音反射体を設けるため、重量増加を低く抑えながら容易に製造することができる。又空洞共鳴の定在波が、音反射体による反射音波と干渉するため、特にピーク時の音圧を減じるという効果が生まれ、ローノイズ性能を向上できる。又環状基体の機能を損ねることがなく、ランフラット走行耐久性を高く確保することもできる。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1に示すように、タイヤとリムとの組立体1は、タイヤ2と、該タイヤ2をリム組みするホイールリム3と、前記タイヤ2と前記ホイールリム3とが囲むタイヤ内腔4内で前記ホイールリム3に装着された制音・荷重受け用のサポートリング5とを具える。
前記タイヤ2は、本実施形態では、路面と接地して走行するトレッド部2aと、その両端部からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部2b、2bと、該サイドウォール部2bの半径方向の内方端に形成されたビード部2d、2dとを有するトロイド状に形成される。なお本形態のタイヤ2は、その内腔面に空気を透過し難いインナーライナーゴムが配されたチューブレスの空気入りタイヤとして形成される。又タイヤ2は、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2dのビードコア2eに係止されラジアル方向にのびるコードを配したカーカス2fと、該カーカス2fのタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配置された例えばスチールコードよりなるベルト層2gとを具えたラジアルタイヤとして形成されている。
前記カーカス2fは、非伸長性のワイヤ等からなる一対のビードコア2e、2e間をトロイド状に跨る本体部2f1の両側に、ビードコア2eのタイヤ半径方向内方を通ってタイヤ半径方向外側に折り返された後にループ状に折り曲げられ再びビードコアの内方を通って本体部2f1に沿って終端する折返し部2f2を設けたものが例示される。これにより、本体部2f1に張力が作用すると、ループ状の折返し部2f2で包囲されたゴムがビードコア2eとホイールリム3のリムシート3a、3bとの間に引き込まれて楔の如く作用してビード部2dをホイールリム3にロックし、ホイールリム3からビード部2dが外れるのを効果的に防止しうる。かかる構成についての詳細については例えば特表平9−509122号公報に詳細に記載される。
前記ホイールリム3は、前記タイヤ2の各ビード部2dが装着される第1、2のリムシート3a、3bを有し、それらの間にはサポートリング取付面3gと、タイヤの装着時に前記ビード部2dが落とし込まれる小径のウエル部3dとが設けられる。
前記第1、2のリムシート3a、3bは、タイヤ軸を含む子午線断面において、従来のホイールリムのリムシートの方向とは反対方向に傾斜し、軸方向外側に向かって外径が漸減するものが例示されている。又、第1のリムシート3aの最小外径は、第2のリムシート3bの最小外径よりも小で形成される。
又前記サポートリング取付面3gの外径Dgは、第1のリムシート3aの軸方向端を区画するフランジの外端径Daより大で形成され、又サポートリング取付面3gの一端部には、円周方向にのびる突起物3eが他端部には凹溝3fが夫々設けられている。
次に、前記サポートリング5は、環状基体7と、該環状基体7の凹部6に取り付く音反射体9とからなり、内圧低下時にトレッド部2aを内側から支持してランフラット走行を可能とするとともに、ロードノイズを低減する。図2はサポートリング5の全体斜視図、図3はその部分側面図、図4はそのA視展開図である。
前記環状基体7は、前記ホイールリム3を周回してサポートリング取付面3gに装着されるリング状をなし、本例では、その内径は前記ホイールリム3のサポートリング取付面3gの外径Dgよりも僅かに小に設定される。これにより、環状基体7は、サポートリング取付面3gに締まりばめされる。なお本実施形態の環状基体7は、その内周面のタイヤ軸方向一端部に形成された環状の突条7dがサポートリング取付面3gの前記凹溝3fに嵌入するとともに、他端部がサポートリング取付面3gの前記突起物3eに当接して、軸方向の位置ズレが防止される。
前記環状基体7の半径方向の高さH(図1に示す)は、大きすぎると、通常走行時において容易にトレッド部2aの内面に当接して底付きが生じてしまい、逆に小さすぎても、縦たわみ量が大きくなり、フラット走行時の操縦安定性が低下したり、継続走行距離の減少などを招くおそれがある。このような観点より、環状基体7をホイールリム3に取り付けかつタイヤに適正な内圧(正規内圧)を保っている無負荷の状態において、前記高さHを、タイヤ内腔高さHtの35〜65%、より好ましくは40〜58%、さらに好ましくは40〜50%とするのが望ましい。
前記「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" であるが、タイヤが乗用車用の場合には180KPaとする。又前記「タイヤ内腔高さHt」とは、前記正規内圧を充填した無負荷の状態において、サポートリング取付面3gからタイヤ内腔面のタイヤ半径方向の最外側位置までの高さである。
又前記環状基体7は弾性材からなり、該弾性材は本形態ではゴム弾性材からなる。このゴム弾性材は、例えばポリウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、EPDM、その他各種のゴム弾性を有するものが用いられ、本実施形態ではポリウレタンゴムを使用したものが例示される。またポリウレタンゴムの場合、JISD硬度45〜60度、100℃における損失正接tan δが0.02〜0.08のものが特に好適である。なお損失正接tan δは、岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて70℃、周波数10Hz、動歪率1%において測定した値である。
前記環状基体7は、本例では、図2に示すように、前記サポートリング取付面3gに装着されてタイヤ周方向にのびる内のリング部7bと、ランフラット走行時にトレッド部2aの内面と当接しうる外のリング部7aと、前記内,外のリング部7b、7a間を半径方向に連結する仕切壁部14とからなる。
これにより、環状基体7には、前記内,外のリング部7b、7a間に、仕切壁部14によって囲まれて該環状基体7のタイヤ軸方向側面で開口するキャビティである複数の凹部6がタイヤ周方向に隔設される。このような骨組み状の構成とすることにより、環状基体7は軽量化を図りながらランフラット走行に必要な強度を確保することができる。なお凹部6は、ランフラット走行状態において、環状基体7が路面からの負荷を充分支持しうる個数と大きさを有し、本例では、凹部6の容積合計を環状基体7の見掛け体積の20〜50%の範囲に設定している。
前記仕切壁部14として、本例では、図4に示すように、タイヤ軸方向に出入りを繰り返しながら周方向にジグザグ状にのびるものを例示している。即ち、仕切壁部14は、タイヤ軸方向にのびかつタイヤ周方向に隔置される横の壁部14aと、この横の壁部14aのタイヤ軸方向端部間をタイヤ軸方向の一方側/他方側で交互につなぐ折返部14bとを有するジグザグ状に形成され、これにより、凹部6をタイヤ軸方向両側で交互に開口させている。その結果、環状基体7の強度、剛性、重量などをタイヤ軸方向両側でバランス化させることができ、ランフラット時、及び非ランフラット時における走行性能高く維持することができる。
特に本例では、図4に示すように、前記横の壁部14aが、1個又は複数個(本例では2個)の段差部14cを有してタイヤ軸方向に階段状に斜行してのび、しかもこの横の壁部14aがその斜行の向きを交互に違えてハ字状に配列するものを例示している。従って、前記凹部6では、該凹部6の巾中心線CLと直角な向きの凹部断面積が、その入口面6sから奥方に向って減少している。このように構成することにより、環状基体7の剛性・強度をさらに高めうる。
次に、サポートリング5では、図2に示すように、周方向に配列する凹部6のうちの少なくとも2つの凹部6に対し、その開口部(前記入口面6sに相当)を、音反射体9により閉止している。即ち、環状基体7に形成した前記複数の凹部6を、その開口部が解放した開の凹部6Aと、開口部が閉じた閉の凹部6Bとで構成している。なお本例の如く、環状基体7の両側面にそれぞれ凹部6が形成されている場合には、各両側面ごとに、各側面で周方向に配列する凹部6を、開の凹部6Aと閉の凹部6Bとで構成する。
又前記音反射体9は、非多孔質材からなり、タイヤ内腔4に臨む外向き面を音反射面9sとしている。ここで、例えば連続気泡、独立気泡を有するスポンジ状および海綿状の多孔質材では、吸音性、防振性が高いため、入射音のエネルギーIiと反射音のエネルギーIrとの比である音の反射係数Ir/Iiが低くなる。これに対して、気泡等を含まない非多孔質材では、音の反射係数Ir/Iiが大きく、非多孔質材を用いることにより、前記外向き面を、音の反射係数が大きく音が反射しやすい平滑な音反射面9sとすることができる。前記音反射体9としては、その音反射面9sにおける125〜500Hzの範囲の吸音率αが1%以下であるのが好ましい。なおこの吸音率αは、JIS A1405の『音響−インピーダンス管による吸音率及びインピーダンスの測定−定在波比法』に準拠して測定した垂直入射吸音率の値である。
このようなサポートリング5では、前記凹部6を有する環状基体7とタイヤ2とリム3とで囲む気柱管内で空洞共鳴が発生する時、気柱管内の定存波が、前記音反射面9sによる反射音波と干渉を起こすことができ、その音圧、特にピーク時の音圧を低下しうる。その結果、ロードノイズを低減することが可能となる。
ここで、前記音反射体9に用いる非多孔質材としては、環状基体7によるランフラット性能を損ねないものであれば、特に規定されることがなく、例えばゴム弾性材、プラスチック材、金属材、フィルム材(プラスチックフィルムや紙を含む)などの各種の弾性材、可塑性材が使用できる。例えばゴム弾性などの弾性材であれば、ランフラット走行における接地の際、音反射体9が環状基体7と同様に弾性変形することでランフラット性能を維持させることができる。又可塑性材の場合には、初期の接地で音反射体9が予め可塑変形してしまうことで、ランフラット性能を維持させることができる。しかし耐久性、乗り心地性、操縦安定性等を含めたランフラット性能の維持の観点から、ゴム弾性材を使用するのが好ましく、特に環状基体7と同一のゴム弾性材を使用することがより好ましい。なお、破壊されて破片が生じるものは、タイヤの破損を招きランフラット走行の耐久性を損ねるために使用できない。
又環状基体7の各側面における閉の凹部6Bの形成数n1は、各側面における凹部6の総数n0の40%以下であるのが好ましい。もし40%を超えると、定存波が反射音波と干渉せずに、異なる周波数で存在する傾向となり、音圧の低減効果が十分発揮されなくなる。なお40%以下の範囲であっても、形成数n1が多いと、生産性や軽量化にとって不利となる。従って前記閉の凹部6Bの形成数n1は、音圧の低減効果、生産性、軽量化等の観点から、2個〜8個、さらには2個〜6個の範囲が好ましい。
又前記閉の凹部6Bは、重量バランスなどのユニフォミティーの観点から周方向に均等に配置することが好ましく、図5(A)〜(D)に示すように、タイヤ軸心を中心とした、中心角度θが180°、120°、90°、45°等の等角度ピッチ位置Pに配置するのが好ましい。特に生産性や軽量化等の観点から、閉の凹部6Bの配置の位置Pは、8箇所以下(θ≧45°)、さらには4箇所(θ≧90°)以下であるのが好ましい。なお前記「均等に配する」とは、例えば図6(A)に示すように、前記等角度ピッチの正確な位置Pに、凹部6がない場合、正確な位置Pに最も近い凹部6の位置P1に配することを含む。又例えば図6(B)に示すように、等角度ピッチ位置Pを配置基準として、閉の凹部6Bを複数個(好ましくは2個)づつ配することも含む。このような均等配置により、音圧の低減効果を発揮しながら、ユニフォミティーを確保することができる。
又環状基体7の両側面に凹部6が形成されている場合、図2に示すように、一側面側と他側面側とで、前記配置位置Pの位相を、ほぼ一致させてもよい。しかし、音圧の低減効果の向上およびユニフォミティーの確保の観点から、例えば前記中心角度θのほぼ1/2の角度で位相をずらすことが好ましい。なお前記「ほぼ」とは、前記仕切壁部14がジグザグ状をなすことにより、ジグザグピッチpiの1/2だけ、一側面側の凹部6と他側面側の凹部6とが周方向に位置ずれしているからであり、この位置ずれ量pi/2に相当する誤差を許容するものである。
次に、前記音反射体9は、前記凹部6の開口部に取り付き該開口部のみを閉じる蓋状体11として構成するのが好ましい。これにより、音反射体9の奥方に、大きな凹部空間h(図4に示す)が形成されるなど、軽量化に貢献することができる。前記凹部空間hの容積は、凹部6の全容積の80%以上、さらには90%以上であるのが好ましい。又前記凹部空間hは密封されていてもよいが、内外の圧力差や温度差を減じるために、小さな通気口13(図3に示す)によって、タイヤ内腔4と導通させることが好ましい。なお蓋状体11の厚さtは、1〜10mm程度、好ましくは環状基体7の前記仕切壁部14の厚さより薄く設定し、環状基体7の弾性や剛性への影響を排除するのが好ましい。
又蓋状体11(音反射体9)は、接着剤(両面粘着テープを含む)、加硫接着などの固着手段を用いて、環状基体7に一体に固定される。このとき、音反射体9の音反射面9sを環状基体7の側面からタイヤ内腔4側にはみ出すことなく取付けるのが好ましい。これにより、音反射体9が環状基体7から突出しないため、ランフラット走行時の摩擦を低減すためタイヤ内腔面に塗布される潤滑剤を、音反射体9が拭き取ることがなく、ランフラット走行の耐久性を維持できる。なお安全性を考慮し、音反射面9sを環状基体7の側面から10mm以下の距離で内側に控えて位置させるのが良い。なお前記距離が10mmを超えると、音の反射効果を損ねる傾向となる。
又音反射体9としては、図7に示すように、前記凹部6の20〜100%の容積、本例では100%の容積を占める塊状の充填体12で構成することもできる。斯かる場合にも、音反射面9sによる反射音波により、定在波の音圧低減効果を発揮することがでる。又環状基体7への固定をより強固に行いうるという利点がある。しかし、軽量化、および重量バランスの点では不利となる。
次に、図8に、前記環状基体7の他の実施例を示す。図の如く、環状基体7は、半径方向外周面に凹部6を開口させる如く構成している。そして、少なくとも2個の凹部6、本例では90°の角度ピッチ位置Pの4個の凹部6に音反射体9を取り付けている。
又凹部6の入口面6sの形状として、本例の如く矩形形状とすることが、剛性、強度の確保の観点から好ましいが、要求により円形、三角形とすることができ、又凹部6も有底の他、貫通孔状など各種の形状に構成することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1、2の構造をなし、表1の仕様のサポートリングを配したタイヤ(225−680R460A)とホイールリム(225×460A)の組立体を試作して、レプリカ反力テストを実施した。
各試供組立体を、内圧200kPa、荷重5.1kN、速度60km/hの条件でドラム上を走行させた時の上下方向軸力変動を計測して周波数分析を行った。図9は、実施例1および従来例の周波数分析結果を示すグラフである。そして前記周波数分析から軸力変動のピーク値を求め、これを走行ロードノイズの評価値として表1に記載した。なお、前記軸力変動のピーク値が実車のロードノイズ計測結果と相関することは、既に確認されている。
Figure 2006240493
本発明のタイヤとリムとの組立体の一実施例を例示する断面図である。 そのサポートリングを例示する斜視図である。 サポートリングの一部を拡大してその部分側面図である。 そのA−A断面の展開図である。 (A)〜(D)は、音反射体の配置位置を例示する略側面図である。 (A)、(B)は、均等配置を説明する略側面図である。 音反射体が充填体である場合を例示するサポートリングの部分断面図である。 環状基体の他の実施例を示す斜視図である。 組立体のドラム走行テストにおける上下方向軸力変動の周波数分析結果を示すグラフである。 従来の組立体の断面図である。 (A)、(B) 従来のさらに他の組立体の断面図、およびそれに用いるサポートリングの分解斜視図である。
符号の説明
2 タイヤ
3 ホイールリム
4 タイヤ内腔
5 サポートリング
6 凹部
7 環状基体
9 音反射体
9s 音反射面
11 蓋状体
12 充填体
14 仕切壁部
h 凹部空間

Claims (7)

  1. タイヤと該タイヤをリム組みするホイールリムとが囲むタイヤ内腔内に、制音・荷重受け用のサポートリングを配するタイヤとリムとの組立体であって、
    前記サポートリングは、前記リムを周回し、かつタイヤ内腔に開口する複数の凹部をタイヤ周方向に隔設した弾性材からなる環状基体を具え、
    かつ少なくとも2つの前記凹部は、その開口部が、タイヤ内腔に臨む外向き面がなす音反射面を有する非多孔質材からなる音反射体により閉止されたことを特徴とするタイヤとリムとの組立体。
  2. 前記音反射体は、タイヤ周方向に均等に配されたことを特徴とする請求項1記載のタイヤとリムとの組立体。
  3. 前記音反射体により開口部が閉止される閉の凹部の数は、凹部の総数の40%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤとリムとの組立体。
  4. 前記音反射体は、前記凹部の開口部のみを閉じる蓋状体であることにより、音反射体の奥方に凹部空間を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のタイヤとリムとの組立体。
  5. 前記音反射体は、前記凹部の20〜100%の容積を占める塊状の充填体からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のタイヤとリムとの組立体。
  6. 前記環状基体は、タイヤ軸方向に出入りを繰り返す仕切壁部を具えることにより、タイヤ軸方向両側で交互に開口する凹部を具えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のタイヤとリムとの組立体。
  7. タイヤと該タイヤをリム組みするホイールリムとからなるタイヤとリムとの組立体のタイヤ内腔内に、配置される制音・荷重受け用のサポートリングであって、
    前記リムを周回し、かつタイヤ内腔に開口する複数の凹部をタイヤ周方向に隔設した弾性材からなる環状基体を具えるとともに、
    少なくとも2つの前記凹部は、その開口部が、タイヤ内腔に臨む外向き面がなす音反射面を有する非多孔質材からなる音反射体により閉止されたことを特徴とするサポートリング。
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