JP3771548B2 - サポートリング及びこれを用いたタイヤ組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤの内圧が低下した場合でも、一定の速度でかつ所定の距離を安全に走行しうるタイヤ組立体及びそれに好適に用いうるサポートリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、タイヤの内圧が低下したときでも、例えば約80km/H程度の速度で数百キロメートルを安全に走行しうるタイヤ組立体が提案されている。代表的な技術は、例えば下記の特許文献により示される。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−6721号公報
【特許文献2】
特表平8−504389号公報
【特許文献3】
特開2001−354002号公報
【0004】
図9には、上記公報に示されるタイヤ組立体の一例を示す。
該組立体は、タイヤaと、該タイヤaをリム組みするホイールリムbと、タイヤaとホイールリムbとが囲むタイヤ内腔i内でホイールリムbに装着されかつタイヤの内圧が低下したときにトレッド部dの内面と当接して荷重を支持する環状のサポートリングeとを含む。
【0005】
前記ホイールリムbは、タイヤaの第1、第2のビード部f1、f2が装着される第1、第2のシートb1、b2とを有し、それらの間にはサポートリング取付面gと、ビード部fを落とし込み可能なウエル部jとが設けられる。サポートリング取付面gの外径Dgは、第1のシートb1のフランジ径Db1より大きい。また、サポートリング取付面gの軸方向の一方には突起物hが、他方には凹溝kが夫々設けられ、サポートリングeの軸方向の移動が阻止される。
【0006】
前記サポートリングeは、例えば各種のゴム、エラストマーなどの弾性体で構成される。サポートリングeの内周面e1は、ホイールリムbのサポートリング取付面gに締りばめにて装着される。
【0007】
図10(A)〜(C)には、ホイールリムbに、タイヤa、サポートリングeを組み付ける方法の一例を示す。(A)に示すように、サポートリングeは、タイヤaの内側に収められ該タイヤaとともに第1のシートb1側から軸方向に挿入される。サポートリングeは、外径の小さい第1のシートb1を容易に乗り越えることができる。またサポートリングeは、軸方向にスライドさせながらサポートリング取付面gに取り付けられる。第2のビード部f2は、ウエル部jに一部を落とし込まれながら第2のシートb2に組み付けできる。
【0008】
このようなタイヤ組立体は、図11に示すように、パンク等によるタイヤaの内圧低下時には、タイヤの縦撓み量が増大してトレッド部dの内面d1がサポートリングeに当接する。タイヤaに作用する荷重は、サポートリングeとホイールリムbとによって支持される。第1のビード部f1、第2のビード部f2は、リムフランジとハンプmとの間でロックされる。これにより、車両は通常支障のない走行速度で継続走行が可能となる。このようなタイヤ組立体は、スタンド、修理工場等までの継続した走行を可能とし、路肩でのタイヤ修理を不要とする。またスペアタイヤを排除でき、車両のスペースを有効に活用するのに役立つ。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のタイヤ組立体にあっては、タイヤの内圧低下時の走行(以下、このような走行を「フラット走行」と呼ぶことがある。)に際して、操縦安定性がやや不足しており、また耐久性においてもさらなる向上が望まれていた。
【0010】
発明者らの実験によると、フラット走行時の操縦安定性は、サポートリングとトレッド部の内面との接触面積が大きいほど良好であることが判明している。このため、前記問題点を解決するためには、サポートリングeのタイヤ軸方向の巾を増大することや、上下のリング体を継ぐ支持壁部の厚さを増すなどの方法が好ましいことが分かった。しかしながら、これらの方法は、サポートリングの重量を著しく増加させる傾向があり、ひいてはタイヤ組立体の重量増加を招き、転がり抵抗などを悪化させるという欠点がある。
【0011】
発明者らは、従来のサポートリングeの断面における輪郭形状に着目した。従来のサポートリングは、その軸中心線を含む子午線断面の輪郭、即ち、内周面、外周面、前記外周面と内周面の端部を結ぶ左右の直線とがなす輪郭がほぼ横長長方形状をなしている。発明者らはこの形状をタイヤ半径方向外側に向かって軸方向の巾を大とした略台形状とすることを試みた。その結果、タイヤ組立体において、内圧低下時の操縦安定性や耐久性を向上しうることを知見した。
【0012】
以上のように、本発明は、サポートリングの断面形状を改善することによって、操縦安定性と耐久性とをさらに向上しうるサポートリング及びこれを用いたタイヤ組立体を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、タイヤと該タイヤをリム組みするホイールリムとが囲むタイヤ内腔内で前記ホイールリムに装着される内周面と、タイヤの内圧低下時にトレッド部の内面と当接して荷重を支承する外周面とを有する弾性体からなる環状のサポートリングであって、
前記外周面の軸方向の巾Woが前記内周面の軸方向の巾Wiよりも大で形成され、
かつ軸中心線を含む子午線断面において、
前記外周面の軸方向の一方の端部と前記内周面の同じ側の軸方向の端部とを通る第1の直線が前記外周面と交わりしかもこの第1の直線と外周面とにより挟まれる角度αと、
前記外周面の軸方向の他方の端部と前記内周面の同じ側の軸方向の端部とを通る第2の直線が前記外周面と交わりしかも第2の直線と前記外周面とにより挟まれる角度βとが、いずれも鋭角であることにより、
断面輪郭がタイヤ半径方向外側に向かって軸方向の巾を大とした略台形状をなすとともに、
前記サポートリングは、トレッド部の内面と当接しうる前記外周面を有する外のリング体と、ホイールリムに装着される内周面4bを有する内のリング体と、前記外のリング体と内のリング体との間を半径方向で継ぎかつ周方向にのびる支持壁部とを一体に具え、
しかもこの支持壁部は、サポートリングの軸方向の一端部で周方向に沿って小長さでのびかつ該周方向に隔設された第1の側壁部と、軸方向の他端部で周方向に沿って小長さでのびかつ周方向に隔設されしかも第1の側壁部とは配設ピッチが実質的に等しいが半ピッチずらせて配された第2の側壁部とを含むとともに、
前記第1の側壁部の周方向一方の側縁と、この側縁に周方向に近い第2の側壁部の側縁を軸方向に継ぐ第1の継ぎ壁部、及び第1の側壁部の周方向他方の側縁と、この側縁に周方向に近い他の第2の側壁部の側縁を軸方向に継ぐ第2の継ぎ壁部を設けることにより、前記第1の側壁部と、第2の側壁部と、第1の継ぎ壁部、及び第2の継ぎ壁部7dは連続し、
かつサポートリングは、外のリング体と内のリング体との間、しかも周方向に隣合う第1の継ぎ壁部と第2の継ぎ壁部との間に、第1の側壁部側、第2の側壁部側で交互に軸方向の空所を形成したことを特徴としている。
【0014】
また請求項2記載の発明は、前記外周面が、タイヤ半径方向外側に位置する外のリング体の外面により形成され、
かつ前記内周面は、タイヤ半径方向内側に位置する内のリング体の内面により形成されるとともに、
前記第1、第2の継ぎ壁部は、軸方向にのびる複数の基部と、軸方向に対して傾斜した複数の斜辺部とを夫々交互に連ねた折曲がり状をなすことを特徴とする。
【0015】
また請求項3記載の発明は、タイヤと、該タイヤをリム組みするホイールリムと、前記タイヤと前記ホイールリムとが囲むタイヤ内腔内のホイールリムに請求項1又は2に記載のサポートリングを装着したことを特徴とするタイヤ組立体である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本実施形態のタイヤ組立体1の断面図を例示している。該タイヤ組立体1は、タイヤ2と、該タイヤ2をリム組みするホイールリム3と、前記タイヤ2と前記ホイールリム3とが囲むタイヤ内腔i内で前記ホイールリム3に装着された環状のサポートリング4とから構成されている。
【0017】
タイヤ2は、路面と接地して走行するトレッド部2aと、その両端部からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部2b、2bと、該サイドウォール部2bの半径方向の内方端に形成されたビード部2d、2dとを有するトロイド状で形成される。なお本実施形態のタイヤ2は、その内腔面に空気を透過し難いインナーライナーゴムが配されたチューブレスの空気入りタイヤとして形成される。またタイヤ2は、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2dのビードコア2eに係止されラジアル方向にのびるコードを配したカーカス2fと、該カーカス2fのタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配置された例えばスチールコードよりなるベルト層2gとを具えたラジアルタイヤとして形成されている。
【0018】
前記カーカス2fは、非伸長性のワイヤ等からなる一対のビードコア2e、2e間をトロイド状に跨る本体部2f1の両側に、ビードコア2eのタイヤ半径方向の内方を通ってタイヤ半径方向に外側に折り返された後にループ状に折り曲げられ再びビードコアの内方を通って本体部に沿って終端する折返し部2f2を設けたものが例示される。これにより、本体部2f1に張力が作用すると、ループ状の折返し部2f2で包囲されたゴムがビードコア2eとホイールリム3のシート3a又は3bとの間に引き込まれて楔の如く作用してビード部2dをホイールリムにロックし、ホイールリム3からビード部2dが外れるのを効果的に防止しうる。かかる構成についての詳細については例えば特表平9−509122号公報に詳細に記載される。
【0019】
ホイールリム3は、タイヤ2の各ビード部2dが装着される第1、第2のシート3a、3bを有し、それらの間にはサポートリング4を装着するためのサポートリング取付面3gと、タイヤの装着時にビード部2dが落とし込まれる小径のウエル部3dとが設けられる。
【0020】
第1のシート3a、第2のシート3bは、タイヤ軸を含む子午線断面において、従来のホイールリムのシートの方向とは反対方向に傾斜したものが示される。即ち、軸方向外側に向かって外径が漸減している。また、第1のシート3aは、第2のシート3bよりも小径で形成される。なおタイヤ2の各ビード部2d、2dも、この第1のシート3a、第2のシート3bに合致するようにビード内径を違えて設計されているのは言うまでもない。またサポートリング4は、第1のシート3aから容易にリム組でき、サポートリング取付面3gに締まりばめされる。またサポートリング取付面3gの一端部には、該サポートリング4の軸方向の移動を阻止するための円周方向にのびる突起物3fが、他端部には凹溝3hが夫々設けられている。
【0021】
図2はサポートリング4の全体斜視図、図3はその部分側面図、図4はそのA視展開図をそれぞれ示す。本実施形態のサポートリング4は、全体として環状をなし、トレッド部2aの内面と当接しうる外周面4aを有しかつ半径方向外側に位置する外のリング体5と、ホイールリム3のサポートリング取付面3gに装着される内周面4bを有しかつ半径方向内側に位置する内のリング体6と、外のリング体5と内のリング体6との間を半径方向で継ぎかつ周方向にのびる支持壁部7とを一体に有するものが例示される。
【0022】
外のリング体5及び内のリング体6は、それぞれ断面が軸方向に長い扁平形状をなすものが示されている。各リング体5、6のタイヤ半径方向の厚さta、tbは、特に制限はないが、所定の剛性を確保するために、好ましくは2〜10mm、特に好ましくは4〜6mmとするのが望ましい。
【0023】
内のリング体6の内周面4bの内径は、ホイールリム3のサポートリング取付面3gの外径Dgよりも僅かに小さい。これにより、サポートリング4は、サポートリング取付面3gに締まりばめされ、周方向及び軸方向への変位が防止される。また内のリング体6は、例えばタイヤ周方向に沿ってのびるコードプライ(図示省略)などを複合させることによって補強しうる。これは、内のリング体6の周方向剛性を高め、サポートリング取付面3gからの容易な外れ落ちを防止しうる点で好ましい。また本実施形態では、サポートリング4の内周面4bに、ホイールリム3の前記凹溝3hに嵌入して軸方向の位置ズレを防ぐ環状の突条4cが形成されたものを例示している。また支持壁部7は、本実施形態では、外のリング体5と内のリング体6との間を継ぎかつ周方向に略ジグザグ状で連続してのびるものが示される。
【0024】
サポートリング4は、タイヤ2の内圧低下時にトレッド部2aの内面と当接して荷重を支持しうる弾性体であればよく、周方向に連なるジグザグ状に形成している。本例のようなジグザグ状の他、滑らかな波状や角のあるクランク状などとすることもできる。
【0025】
サポートリング4は、外のリング体5と内のリング体6との間に、前記ジグザグ状の支持壁部7が介在することなく内、外のリング体5、6が半径方向で向き合う空所9が隔設されたものが例示される。該空所9は、軸方向の一方から他方に向かって平面視で先細状にのびる第1の空所9aと、前記他方から一方に向かって平面視で先細状にのびる第2の空所9bとを含む。該空所9は、低内圧走行状態において、外のリング体5を均一に支持しうるのに充分な個数と大きさを持っている。また空所9は、サポートリング4の重量を大幅に軽減しうるとともに、フラット走行時の熱を外部へと散逸させて放熱効果を高め、サポートリング4の耐久性を向上するのに役立つ。好ましい実施形態では、支持壁部7(図1に示す)の厚さtcは、例えば5〜15mm程度とし、周方向の繰り返しピッチは15〜55mm程度とするのが望ましい。
【0026】
またサポートリング4の半径方向の高さH(図1に示す)は、大きすぎると、内圧が充填された通常走行時において、トレッド部2aの内面に頻繁に当接して乗り心地を損ねる傾向があり、逆に小さすぎてもフラット走行時にサイドウォール部2bが地面に接触し摩耗が激しくなるため、操縦安定性の低下や走行距離の減少などを招くおそれがある。このような観点より、サポートリング4をホイールリム3に取り付けかつタイヤに適正な内圧(正規内圧)を保っている無負荷の状態において、前記高さHを、タイヤ内腔高さHtの30〜70%、より好ましくは40〜60%とするのが望ましい。なおサポートリング4の耐久性を向上するため、タイヤ2の内腔面には、潤滑剤を予め塗布しておき、フラット走行時にサポートリング4との摩擦熱を軽減することが望ましい。
【0027】
ここで、前記「正規内圧」は、当該タイヤ組立体の適用規格によって定める推奨空気圧とする。またサポートリングのタイヤ半径方向の高さHは、ホイールリム3に装着した状態で、サポートリング取付面3gからサポートリング4のタイヤ半径方向の最外側位置までの高さとする。さらに、タイヤ内腔高さHtは、前記正規内圧を充填した無負荷の状態において、サポートリング取付面3g(高さが変化するとき最大外径位置)からタイヤ内腔面のタイヤ半径方向の最外側位置までの高さである。
【0028】
またこのようなサポートリング4は、例えばゴム、ポリウレタン、EPDMなどの各種の弾性体で構成される。より具体的には、耐久性を確保するために、JISD硬さで30〜70度、10%モジュラス30〜150MPa、損失正接tan δが0.01〜0.10の物性を有するものが好ましい。前期JISD硬さは常温(23±2℃)とし、また10%モジュラスもJISK6251に準じて常温(23±2℃)での値とする。さらに前期損失正接は、粘弾性スペクトロメータにて初期ひずみ10%、偏位振幅±0.25%、周波数10Hz、温度100℃で測定した値である。なお本実施形態ではポリウレタンを使用したものが例示される。
【0029】
本実施形態のサポートリング4は、図5に示すようにホイールリム3にリム組みする前の自然状態において、前記外周面4aの軸方向の巾Woが前記内周面4bの軸方向の巾Wiよりも大で形成される。またサポートリング4は、その軸中心線を含む子午線断面において、外周面4aの軸方向の一方の端部EU1と内周面4bの同じ側の軸方向の端部ED1とを通る第1の直線K1が前記外周面4aと交わりしかもこの第1の直線と外周面とにより挟まれる角度αと、前記外周面4aの軸方向の他方の端部EU2と内周面4bの同じ側の軸方向の端部ED2とを通る第2の直線K2が前記外周面4aと交わりしかも第2の直線と前記外周面とにより挟まれる角度βとが、いずれも鋭角、即ち90゜よりも小であることにより、断面輪郭がタイヤ半径方向外側に向かって軸方向の巾を大とした略台形状をなす。
【0030】
このような、サポートリング4は、フラット走行時、トレッド部2aと接触して荷重を支持する外のリング体5のタイヤ軸方向の巾Woが大きいため、トレッド部2aとの大きな接触面積を確保してフラット走行時の操縦安定性をも向上しうると同時に、サポートリング4への応力の分散を図って該サポートリング4の耐久性を向上しうる。また、サポートリング4は、ホイールリム3に装着される内のリング体6の軸方向の巾Wiが、外のリング体5に比して相対的に小さいため、サポートリング4の大幅な重量増加を防止できる。
【0031】
またサポートリング4は、前記角度α及びβがいずれも鋭角であることが必要である。例えば、図6に示すように、一方の角度αのみが鋭角であり、他方の角度βが実質的に90゜のような場合、フラット走行時の操縦安定性の向上と重量増加の抑制との両立が困難となる。即ち、フラット走行時にトレッド部2aとの接触面積を大きく確保するために巾Woを大きくすると、半径方向の荷重が負荷されたときに、サポートリング4を回転させるモーメントMが生じやすく、これに伴いサポートリング4の軸方向の一方側に応力集中が生じやすくなる。このため、巾Woを大きくすることは実用上難しい。
【0032】
特に好ましくは、前記角度α、βは、50〜89゜、より好ましくは65〜85゜とすることが望ましい。しかも、上述のようなモーメントをより小さく抑えるためにも、角度αと角度βとの差(α−β)の絶対値は、0〜20゜、より好ましくは0〜5゜、特に好ましくは実質的に0゜とするのが望ましい。
【0033】
また、特に限定されるわけではないが、サポートリング4の外のリング体5のタイヤ軸方向の巾Woは、ベルト層2gのタイヤ軸方向の巾BW(図1に示す)の20〜80%、より好ましくは30〜60%に設定することが望ましい。前記巾Woが、ベルト層2gの巾BWの20%未満であると、フラット走行時においてトレッド部2aとの接触面積を十分に確保することができない傾向があり、逆に80%を超えると、サポートリング4の重量を過度に増加させる傾向があり好ましくない。
【0034】
また本実施形態のサポートリング4は、前述の効果をさらに高めるために、支持壁部7の剛性を高め、フラット走行時の耐座屈性などを向上させたものが例示される。図4に示すように、支持壁部7は、サポートリング4の軸方向の一端部で周方向に沿って小長さでのびかつ該周方向に隔設された第1の側壁部7aと、軸方向の他端部で周方向に沿って小長さでのびかつ該周方向に隔設されしかも第1の側壁部7aとは配設ピッチが実質的に等しいが半ピッチずらせて配された第2の側壁部7bとを含む。さらに、支持壁部7は、前記第1の側壁部7aの周方向一方の側縁と、この側縁に周方向に近い第2の側壁部7bの側縁を軸方向に継ぐ第1の継ぎ壁部7c、及び第1の側壁部7aの周方向他方の側縁と、この側縁に周方向に近い他の第2の側壁部7bの側縁を軸方向に継ぐ第2の継ぎ壁部7dを設けることにより、前記第1の側壁部7aと、第2の側壁部7bと、第1の継ぎ壁部7c、及び第2の継ぎ壁部7dは連続している。これら第1、第2の側壁部7a、7b間を継ぐ第1の継ぎ壁部7cと、第1、第2の側壁部7a、7b間を継ぎしかも第1の継ぎ壁部7cとはタイヤ周方向に対して逆向き傾いてのびる第2の継ぎ壁部7dとで構成されたものが例示されている。これにより前記空所9は、外のリング体5と内のリング体6との間、しかも周方向に隣合う第1の継ぎ壁部7cと第2の継ぎ壁部7dとの間に、第1の側壁部7c側、第2の側壁部7d側で交互に開口する第1,第2の空所9a,9bにより構成される。
【0035】
前記第1、第2の側壁部7a、7bは、図1、図5に示すように、内のリング体6から外のリング体5に向かって末広がり状にのびており、該第1、第2の側壁部7a、7bは、前記第1、第2の直線K1、K2を含む側壁面Pを持っている。このような側壁面Pは、図7に示すような側壁面Pに比して、重量増加を最小限に抑えつつも、半径方向の荷重に対する圧縮剛性を高めて、フラット走行時において耐座屈性能を大幅に向上しうる。
【0036】
また、第1、第2の継ぎ壁部7c、7dは、図4に示したように、それぞれ軸方向に沿ってのびる複数の基部10a、10b、10cと、軸方向に対して傾斜した複数の斜辺部11a、11bとを夫々交互に連ね折曲がり状としたものが例示されている。このような、第1、第2の継ぎ壁部7c、7dは、半径方向荷重に対する圧縮剛性と、周方向の荷重に対する曲げ剛性とを効果的に高め、フラット走行に際して、継続走行距離の増大や操縦安定性の向上などをより確実に図ることができる。
【0037】
図7(A)には、本発明の他の実施形態を示している。この実施形態では、サポートリング4の子午線断面において、支持壁部7が、前記第1、第2の直線K1、K2を含む側壁面Pを有していないものを例示している。本実施形態の側壁面Pは、前記断面において、第1、第2の直線K1、K2よりも軸方向内側に凹む凹円弧状のものが示される。これは、より一層、サポートリング4の重量を軽減させるのに役立つ。これとは逆に、側壁面Pが第1、第2の直線K1、K2よりも軸方向外側にはみ出す態様(図7(B))としても良い。このように、本発明は、種々の態様で実施することが可能である。
【0038】
【実施例】
表1の仕様に基づきサポートリングを複数種類試作するとともに、ホイールリムに装着してタイヤ組立体とし、各種のテストを行って性能を測定した。タイヤサイズは、225−680R460A99Wであり、ホイールサイズは225×460A、サポートリングサイズは80−460(45)である。なお「80」はサポートリングの呼称巾(mm)、「460」は呼称径(mm)、「45」はタイヤ半径方向の高さ(mm)である。またサポートリングの支持壁部は、図4の形態を有し、本例ではポリウレタン製のものを用いた。またテストは、次の要領で行った。
【0039】
<サポートリングの耐久性能>
サポートリングとタイヤとをホイールリムに装着するとともに、ホイールリムのバルブを取り除き内圧を0kPaとして、直径1700mmのドラム上を走行させ、サポートリングが破壊するまでの走行距離を測定した。テスト時の荷重は4.9kN、速度100km/Hとした。走行距離が長いほど良好である。
【0040】
<フラット走行時の操縦安定性>
排気量4000cm3 、車重2tの国産乗用車の右後輪に装着し、ドライバーの1名乗車にて速度80km/Hでテストコースを走行した。そして、そのときの操縦安定性をドライバーの官能により10点法で評価した。数値が大きいほど良好である。
【0041】
<サポートリングの重量>
サポートリング1本当たりの重量を測定し、比較例1を100とする指数で表示した。数値が小さいほど軽量であることを示す。
テストの結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
テストの結果、実施例のものは、比較例と比べると、重量増加を極力抑えつつも耐久性とフラット走行時の操縦安定性とを向上していることが確認できる。
【0044】
【発明の効果】
上述したように、請求項1記載のサポートリング又は請求項3記載のタイヤ組立体では、重量増加を極力抑えつつも耐久性とフラット走行時の操縦安定性とを向上しうる。
【0045】
また、請求項2記載の発明のように、サポートリングの支持壁部が、第1、第2の直線を含む側壁面を有する両側の側壁部を含むときには、重量増加を抑制しつつ半径方向の荷重に対する耐圧縮剛性をより効率的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のタイヤ組立体を例示する内圧を有する状態での断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示すサポートリングの全体斜視図である。
【図3】その部分側面図である。
【図4】そのA−A断面の展開図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示すサポートリングの断面図である。
【図6】本発明外のサポートリングの断面図である。
【図7】(A)、(B)は本発明の他の実施形態を示すサポートリングの断面図である。
【図8】(A)は実施例、(B)、(C)は比較例のサポートリングを示す断面図である。
【図9】従来のタイヤ組立体の断面図である。
【図10】(A)〜(C)は、タイヤのリム組みを説明する断面略図である。
【図11】タイヤ組立体の低内圧状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ組立体
2 タイヤ
3 ホイールリム
4 サポートリング
4a サポートリングの外周面
4b サポートリングの内周面
5 外のリング体
6 内のリング体
7 支持壁部
K1 第1の直線
K2 第2の直線
P 支持壁部の側壁部
Claims (3)
- タイヤと該タイヤをリム組みするホイールリムとが囲むタイヤ内腔内で前記ホイールリムに装着される内周面と、タイヤの内圧低下時にトレッド部の内面と当接して荷重を支承する外周面とを有する弾性体からなる環状のサポートリングであって、
前記外周面の軸方向の巾Woが前記内周面の軸方向の巾Wiよりも大で形成され、
かつ軸中心線を含む子午線断面において、
前記外周面の軸方向の一方の端部と前記内周面の同じ側の軸方向の端部とを通る第1の直線が前記外周面と交わりしかもこの第1の直線と外周面とにより挟まれる角度αと、
前記外周面の軸方向の他方の端部と前記内周面の同じ側の軸方向の端部とを通る第2の直線が前記外周面と交わりしかも第2の直線と前記外周面とにより挟まれる角度βとが、いずれも鋭角であることにより、
断面輪郭がタイヤ半径方向外側に向かって軸方向の巾を大とした略台形状をなすとともに、
前記サポートリングは、トレッド部の内面と当接しうる前記外周面を有する外のリング体と、ホイールリムに装着される内周面4bを有する内のリング体と、前記外のリング体と内のリング体との間を半径方向で継ぎかつ周方向にのびる支持壁部とを一体に具え、
しかもこの支持壁部は、サポートリングの軸方向の一端部で周方向に沿って小長さでのびかつ該周方向に隔設された第1の側壁部と、軸方向の他端部で周方向に沿って小長さでのびかつ周方向に隔設されしかも第1の側壁部とは配設ピッチが実質的に等しいが半ピッチずらせて配された第2の側壁部とを含むとともに、
前記第1の側壁部の周方向一方の側縁と、この側縁に周方向に近い第2の側壁部の側縁を軸方向に継ぐ第1の継ぎ壁部、及び第1の側壁部の周方向他方の側縁と、この側縁に周方向に近い他の第2の側壁部の側縁を軸方向に継ぐ第2の継ぎ壁部を設けることにより、前記第1の側壁部と、第2の側壁部と、第1の継ぎ壁部、及び第2の継ぎ壁部7dは連続し、
かつサポートリングは、外のリング体と内のリング体との間、しかも周方向に隣合う第1の継ぎ壁部と第2の継ぎ壁部との間に、第1の側壁部側、第2の側壁部側で交互に軸方向の空所を形成したことを特徴とするサポートリング。 - 前記外周面は、タイヤ半径方向外側に位置する外のリング体の外面により形成され、
かつ前記内周面は、タイヤ半径方向内側に位置する内のリング体の内面により形成されるとともに、
前記第1、第2の継ぎ壁部は、軸方向にのびる複数の基部と、軸方向に対して傾斜した複数の斜辺部とを夫々交互に連ねたジグザグ状をなすことを特徴とする請求項1記載のサポートリング。 - タイヤと、該タイヤをリム組みするホイールリムと、前記タイヤと前記ホイールリムとが囲むタイヤ内腔内のホイールリムに請求項1又は2に記載のサポートリングを装着したことを特徴とするタイヤ組立体。
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