本発明は帆立貝、真珠貝、牡蠣、その他の貝の養殖に使用されるピン状の貝係止具と、数十本の貝係止を一定間隔で成型した集合貝係止具と、数千〜数万本のロール状に巻回可能に連続成型した連続貝係止具と、連続貝係止具をロール状に巻いたロール状連続貝係止具に関するものである。
帆立貝の養殖方法の一つとして図21に示す耳吊養殖がある。これは海面近くに横向きに張った横ロープ(図示せず)に、帆立貝を取付けた縦ロープCを縦向きに取り付けて海中に吊るす方法である。縦ロープCへの帆立貝の取付けにはピン状の貝係止具Dが使用されている。図21に示す貝係止具は樹脂成型されており、細長な基材Aの両端に貝止め突起Gがあり、その内側にロープ止め突起Eがある。貝係止具は縦ロープCに差し込み、貝Bにあけた孔に差し込んで貝Bを貝止め突起Gに係止する(特許文献1)。
海中に吊られた貝が波を受けて貝係止具Dを軸として回転したり、揺れたりすると、貝係止具Dの貝止め突起Gが捩れて基材Aの窪み(寝床)Iの上に倒伏し、貝Bが貝係止具Dの貝止め突起Gを乗り越えて矢印a方向に抜け落ちることがあり、養殖の歩留りが低下し、養殖業者の収益が減収する。
本発明は、貝止め突起が切断したり、倒伏したりしにくく、貝が抜け落ちないようにした貝係止具を提供するものである。
本発明の請求項1記載の貝係止具は、ロープと貝にあけた孔に差し込み可能な細長の基材1と、貝止め突起2と、第一ロープ止め突起3を備え、貝止め突起2は基材1の軸方向端部5側から第一ロープ止め突起3側に突設され、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んでその幅を狭くした窪み部30を形成して窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部30aを形成し、窪み部30は貝止め突起2の長手方向に一又は二以上設けられ、窪み部30は直線状に又は曲線状に窪ませ、これら基材1、貝止め突起2、第一ロープ止め突起3が樹脂で一体成型されたものである。
本発明の請求項2記載の貝係止具は、請求項1記載の貝係止具において、貝止め突起2における窪み部30の内側の幅狭部30aの内面又は外面を肉薄にして、幅狭部30aを肉薄に形成された内面側又は外面側に曲がり易くしたものである。
本発明の請求項3記載の貝係止具は、ロープと、ロープと貝にあけた孔とに差し込み可能な細長の基材1が貝止め突起2と第一ロープ止め突起3とを備え、貝止め突起2は基材1の軸方向端部5側から第一ロープ止め突起3側に突設され、貝止め突起2の外面2aと内面2bの双方又はいずれか一方に肉薄の折れ曲がり部12が一又は二以上形成され、その折れ曲がり部12は貝止め突起2の幅方向に沿って形成されたものである。
本発明の請求項4記載の貝係止具は、ロープと、貝にあけた孔とに差し込み可能な細長の基材1が貝止め突起2と第一ロープ止め突起3とを備え、基材1のうち貝止め突起2の内面に、貝6の孔への基材1及び貝止め突起2の差し込み時に貝止め突起2が倒伏する寝床10が設けられ、貝止め突起2は基材1の軸方向端部5側から第一ロープ止め突起3側に突設され、貝止め突起2の内面2bに落下防止突起9が一又は二以上突設され、これら基材1、貝止め突起2、第一ロープ止め突起3、落下防止突起9が樹脂で一体成型されたものである。
本発明の請求項5記載の貝係止具は、ロープと、貝にあけた孔とに差し込み可能な細長の基材1が貝止め突起2と第一ロープ止め突起3とを備え、基材1のうち貝止め突起2の内面に、貝6の孔への基材1及び貝止め突起2の差し込み時に貝止め突起2が倒伏する寝床10が設けられ、貝止め突起2は基材1の軸方向端部5側から第一ロープ止め突起3側に突設され、貝止め突起2の内面2bに落下防止突起9が一又は二以上突設され、寝床10に貝止め突起2の倒伏時に落下防止突起9が嵌合可能な受け凹部11が一又は二以上突設され、これら基材1、貝止め突起2、第一ロープ止め突起3、落下防止突起9、受け凹部11が樹脂で一体成型されたものである。
本発明の請求項6記載の貝係止具は、請求項5記載の貝係止具において、受け凹部11は落下防止突起9よりも僅かに基材1の軸方向中央部寄りの位置に成型されて、貝6の孔への基材1及び貝止め突起2の差し込み時に貝止め突起2が貝6の孔の内周面により押し倒されて基材1の軸方向中央側に押されると、落下防止突起9が受け凹部11に嵌合可能であるものである。
本発明の請求項7記載の貝係止具は、ロープと貝にあけた孔に差し込み可能な細長の基材1が貝止め突起2と第一ロープ止め突起3を備え、貝止め突起2は基材1の軸方向端部5側から第一ロープ止め突起3側に突設され、貝止め突起2の一又は二以上の箇所に基材1側又はそれと反対側に曲がった抜け止片40を備え、これら基材1、貝止め突起2、第一ロープ止め突起3が樹脂で一体成型されたものである。
本発明の請求項8記載の貝係止具は、請求項7記載の貝係止具において、貝止め突起2における抜け止片40の曲がり部41の幅方向両側又は一側に内側に窪んだ幅狭部分40aが形成されたものである。
本発明の請求項9記載の貝係止具は、請求項7又は請求項8記載の貝係止具において、抜け止片40の曲がり部41の内面又は外面が肉薄に形成されたものである。
本発明の請求項10記載の貝係止具は、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の貝係止具において、貝止め突起2の先端より先方に一又は二以上の細い又は薄い抜け止部4が突設されたものである。
本発明の請求項11記載の貝係止具は、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の貝係止具に、第二ロープ止め突起13が第一ロープ止め突起3と反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたものである。
本発明の請求項12記載の集合貝係止具は、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の軸方向両端部が剛性連結材21で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項13記載の連続貝係止具は、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の基材1間がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項14記載の連続貝係止具は、請求項11記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ隣接する貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項15記載のロール状連続貝係止具は、請求項13又は請求項14記載の連続貝係止具がロール状に巻かれたものである。
本発明の請求項16記載のロール状連続貝係止具は、請求項13又は請求項14記載の連続貝係止具がシート18を宛がってロール状に巻かれて、巻層間にシート18が介在されたものである。
本発明の請求項1記載の貝係止具は、前記貝止め突起の幅方向一側方又は両側方にその幅を狭くする窪み部を貝止め突起の長手方向に一又は二以上設け、窪み部を直線状に又は曲線状に窪ませたので、海中に吊るしてある間に、貝止め突起が幅の狭い窪み部から内側又は外側に首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。
本発明の請求項2記載の貝係止具は、貝止め突起における窪み部の内側の幅狭部の内面又は外面を肉薄にして、幅狭部を肉薄に形成された内面側又は外面側に曲がり易くしたので、貝止め突起が幅の狭い窪み部から内側又は外側により一層首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。
本発明の請求項3記載の貝係止具は、前記貝止め突起の外面と内面の双方又はいずれか一方に肉薄の折れ曲がり部を一又は二以上形成したので、海中に吊るしてある間に、貝止め突起が折れ曲がり部から内側又は外側に首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。
本発明の請求項4記載の貝係止具は、貝6の孔への基材1及び貝止め突起2の差し込み時に貝止め突起2が倒伏する寝床10を設け、貝止め突起の内面に落下防止突起を一又は二以上突設したので、貝の孔に基材と貝止め突起を差し込むときは、貝止め突起が貝の孔の内周面で押されて基材の寝床10の上に倒伏するため、落下防止突起があっても基材と貝止め突起を貝の孔に差し込む際に障害にならず、スムースに差し込み可能であり、しかも、貝止め突起は貝の孔を貫通すると自動的に復元して外側に起立するため、貝が倒伏した貝止め突起を乗り越えて抜け落ちることは無い。落下防止突起が二以上形成された場合は、貝が倒伏した貝止め突起を乗り越えて抜け落ちることは一層難しくなる。
本発明の請求項5記載の貝係止具は、前記貝止め突起の内面に落下防止突起を一又は二以上突設し、基材に形成された寝床に貝止め突起の倒伏時に落下防止突起を嵌合可能な受け凹部を一又は二以上突設したので、貝の孔に基材と貝止め突起を差し込むときは、貝止め突起が貝の孔の内周面で押されて基材の上に倒伏し強制的に落下防止突起が受け凹部内に嵌合させられるため、基材と貝止め突起を貝の孔に差し込む際に障害にならず、スムースに差し込み可能である。しかも、貝止め突起は貝の孔を貫通すると自動的に復元して外側に起立するため、貝止め突起の落下防止突起が受け凹部内に嵌合しにくくなり、貝が、倒伏した貝止め突起を乗り越えて抜け落ちることは無い。落下防止突起及び受け凹部が二以上形成された場合は、特に、二以上の落下防止突起が二以上の受け凹部内に同時に嵌合することは難しく、貝が倒伏した貝止め突起を乗り越えて抜け落ちることは一層難しくなる。
本発明の請求項6記載の貝係止具は、受け凹部を落下防止突起よりも僅かに基材の軸方向中央部寄りの位置に成型してあるので、貝の孔への基材及び貝止め突起の差し込み時には貝止め突起が貝の内周面で倒されると共に基材の軸方向中央側に押されるため、落下防止突起が受け凹部に強制的に嵌合させられて貝止め突起が基材の上に確実に倒伏し、貝の孔への基材と貝止め突起の差し込む際に障害にならず、スムースに差し込み可能である。しかも、貝止め突起が貝の孔を貫通してから貝止め突起が基材に倒伏しただけでは落下防止突起が受け凹部内に嵌合しにくいため、貝が貝止め突起を乗り越えて抜け落ちることが無い。
本発明の請求項7記載の貝係止具は、抜け止部が貝止め突起の一又は二以上の箇所に基材側又はそれと反対側に曲がった抜け止片を備えているので、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通した後は、抜け止部が邪魔になり貝が脱落しない。
本発明の請求項8記載の貝係止具は、抜け止片の曲がり部の幅方向両側又は一側に内側に窪んだ幅狭部分が形成されたので、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通するときに抜け止部が幅狭部分から曲がり易くなり、抜け止部が邪魔になることなく貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起がスムースに貫通し、貫通してからは抜け止部が邪魔になり貝が脱落しない。
本発明の請求項9記載の貝係止具は、抜け止片の曲がり部の内面又は外面を肉薄に形成したので、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通するときに抜け止片が肉薄部分からより一層曲がり易くなり、抜け止片が邪魔になることなく貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起がより一層スムースに貫通し、貫通してからは抜け止部が邪魔になり貝が脱落しない。
本発明の請求項10記載の貝係止具は、前記貝係止具の貝止め突起に、その先端より先方に突設する細い又は薄い抜け止部を一又は二以上設けたので、前記した貝脱落防止効果に加えて、抜け止部による貝脱落防止効果もあるため、貝の脱落を確実に防止できる。
本発明の請求項11記載の貝係止具は、貝係止具の基材に第二ロープ止め突起を第一ロープ止め突起と反対方向に突設して成型し、第二ロープ止め突起を第一ロープ止め突起の根元又は先端よりも内側に突設したので、第一ロープ止め突起の傾斜角度θを図22(b)のように小さくして、ロープ止め突起Eの根元間の間隔Mを図22(a)の間隔mより広くしても、ロープに差し込まれた貝係止具のスライド幅(左右へのずれ幅)が第二ロープ止め突起により規制されて小さくなり、貝係止具が位置ずれしにくくなる。このため、第一ロープ止め突起がロープへ衝突しにくくなり、第一ロープ止め突起の折損が無く、貝係止具がロープから抜けて脱落することがなく、養殖貝の歩留まりが向上する。
本発明の請求項12記載の集合貝係止具は、前記貝係止具を多数本平行に間隔をあけて配置し、且つ多数本の貝係止具の軸方向端部を剛性連結材で連結して成型したので、多数枚を横向きにして上下に重ねたり、縦向きにして前後或は左右に並べたりして、切断差し込み機(通称:ピンセッター)にセットして、貝係止具を1本ずつ切断しながらロープに差し込むことができ、ロープへの差し込みが自動化され、作業性が向上する。この場合、多数本の貝係止具を同じ向きにして連結すれば、一本ずつ分離してロープに差し込む場合に貝係止具の方向が揃い、ロープへの差し込み、貝への差し込みなどの作業がし易くなる。剛性連結材での連結であるため、集合貝係止具をピン自動切断差し込み機にセットして一本ずつ切断して差し込むときに、集合貝係止具を自動送りしても隣接する貝係止具の間隔や集合貝係止具全体の形状が変化することが無く、切断、差し込み作業が安定する。
本発明の請求項13、14記載の連続貝係止具は、前記貝係止具を多数本平行に間隔をあけて配置し、且つ多数本の貝係止具の基材間をロール状に巻回可能な可撓性連結材で連結したので次のような効果がある。
(1)貝係止具が数千、数万本と多くなっても、ロール状に巻回して保管、搬送、ピンセッターへのセットができ、コンパクトにまとまるため保管に場所をとらず取り扱いに便利である。
(2)可撓性連結材を薄肉片にすれば貝係止具の分離が容易になり、ロール状に巻き易くもなる。数十m以上長く連続成型された連結貝係止具は、保管や運搬の仕方によっては貝係止具のロープ止め突起同士が絡まったり、貝止め突起同士が絡まったり、基材の端部が曲がったりして、引き出しにくいとか、一本ずつ分離しにくくなることがあるが、保護シートがあるためそのようなことはない。
本発明の請求項15記載のロール状連続貝係止具は、前記連続貝係止具に巻いたので次のような効果がある。
連続貝係止具をボビンにロール状に巻いたロール状連続貝係止具の場合は、ボビンを回転軸にセットして連結貝係止具をボビンから引き出すことができるため、ボビンの回転が円滑になり、貝係止具の1本ずつの切断、切断した貝係止具のロープへの差し込みがスムースに行われる。ボビンに鍔があるため貝係止具をロール状に巻いた鍔を重ねて保管したり、収納したりすることができ、取り扱いに便利である。
本発明の請求項16記載のロール状連続貝係止具は、保護シートを介在させてロール状に巻いたため、連結されている多数の貝係止具同士が絡まり合うことがなく、連結貝係止具の巻き戻し(引き出し)がスムースになり、自動ピンセッターなどへのセットが容易になり、使い易くなる。
(貝係止具の基本形態の一例の説明)
本発明の貝係止具の基本形態を図1(a)〜(d)を参照して説明する。これら図の貝係止具は海中に吊るす図6(b)の縦ロープ及び図6(a)のように貝6の耳にあけた孔6bに差し込み可能なピン形状の基材1のほぼ中央部に第一ロープ止め突起3が2本突設され、第一ロープ止め突起3よりも外側の両端部(差し込み端部)5寄りには貝の抜けを規制する貝止め突起2が突設され、これら基材1、貝止め突起2、第一ロープ止め突起3が一体に樹脂成型されている。
基材1の形状は丸ピン、角ピン、他の形状のピンとすることができる。図1の基材1は両端部(差し込み端部)5を先細りに成型して貝6の孔6bに差し込み易くしてある。基材1のうち貝止め突起2と対向する内面には、基材1の中央部の外周面よりも一段低い凹部(寝床)10を設けて、貝止め突起2をその根元部分から基材1側に押し倒すと、貝止め突起2が寝床10内に伏して倒れ(倒伏し)て、貝止め突起2と寝床10が重なって輪郭が円形になるようにしてある。これにより貝止め突起2は貝係止具を基材1の軸方向一端から縦ロープに差し込むときも、貝の耳にあけた孔に差し込むときも、押し倒されて寝床10内に倒れて貝止め突起2が縦ロープ内を貫通し易くなる。また、差し込み時に倒れた貝止め突起2は縦ロープを貫通し終えたときも、貝の孔を貫通し終えたときも、自己の弾性と復元力で自動的に起立して倒れる前の元の状態に復元できるようにしてある。
第一ロープ止め突起3は縦ロープに差し込んだ貝係止具が縦ロープから抜けるのを阻止するためのものであり、基材1の外周の同方向に二本突設され、互いに内向き斜めに突設されてハ字状になっている。第一ロープ止め突起3は基材1の長手方向中央部の外径よりもやや細い丸棒状であるが、それ以外の形状、例えば、三角や四角の棒状とか、楕円形の棒状等であってもよく、太さもそれ以外であってもよい。二本の貝止め突起2は図10(a)のように互いに反対方向に斜めに突設することも、図10(b)のように互いに同じ方向であるが貝止め突起2とは反対方向に突設することもできる。
貝止め突起2は図1(a)に明示するように、その立ち上がり部分(根元部分)側から先端部まで斜め外側に向けて突設され、更に、外面2a側に反り返るよう湾曲させて、貝止め突起2に係止された貝が抜けにくくなるようにしてある。また、図1(c)のように貝止め突起2の根元内側部分2dは円弧状に湾曲させて、貝止め突起2に貝の荷重が加わってもその荷重が貝止め突起2の根元内側部分2dに伝わりにくくなって、根元内側部分2dが切れにくくなるようにしてある。図1(a)〜(d)の貝止め突起2は薄板状に成型されているが、貝止め突起2は倒伏・復元可能な弾性のある丸棒状とか外面が円弧状の半円形とか、その他の形状とすることもできる。貝止め突起2は図1(d)のように基材1の軸方向一端部に反対方向に2枚ずつ突設することもできる。
(本発明の貝係止具の実施の形態1)
本発明の貝係止具の実施形態1を図3(a)を参照して説明する。この貝係止具は、貝止め突起2の両側方に、その幅方向内側に窪んで幅を狭くする窪み部30を形成したものである。窪み部30は幅方向一側方のみに形成することもできる。また、両側方に形成する場合は、両側の窪み部30の位置を貝止め突起2の軸方向に少しずらすこともできる。窪み部30を設けることにより、海中に吊るしてある間に、貝止め突起2が幅の狭い部分から内側又は外側に首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。窪み部30の位置を貝止め突起2の軸方向に少しずらして設けた場合は、貝止め突起2が幅の狭い部分から曲がり易くなり、しかも、両側方の同じ位置に設けた場合よりも貝止め突起2における窪み部間の幅が狭くなるため、その部分の強度も低下しない。図示した窪み部30は貝止め突起2の両側面にその長手方向に沿って三個ずつ設けてあるが、両側面又は片側面に一以上設ければよい。窪み部30は直線状(V字状)に凹陥させてあるが、曲線状(例えばU字状)に湾曲させて窪ませることもできる。この場合、貝止め突起2における窪み部30の内側の幅狭部30aの内面又は外面を肉薄にして、幅狭部30aを肉薄部分から内面側又は外面側に曲がり易くすることもできる。
(貝係止具の実施の形態2)
本発明の貝係止具の実施形態2を、図3(b)を参照して説明する。この貝係止具は、前記貝止め突起2の内面2bに肉薄の折れ曲がり部12を、幅方向に細長に形成したものである。折れ曲がり部12は貝止め突起2の外面2aと内面2bの双方又は外面2aだけに形成することもでき、いずれに形成した場合も二本以上形成することもできる。この場合も、海中に吊るしてある間に、貝止め突起が折れ曲がり部12から内側又は外側に折れ易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。図3(b)の場合、基材1の寝床10に突起13が突設されている。これは寝床10の補強用であり、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏したときに、折れ曲がり部12が被さる位置に形成してあるが、突起13は必ずしも必要ではない。
(貝係止具の実施の形態3)
本発明の貝係止具の第3の実施の形態を図4(a)(b)を参照して説明する。これらの図の貝係止具も基材1、貝止め突起2、第一ロープ止め突起3、落下防止突起9が一体に樹脂成型されている。これら図では貝止め突起2の内面先端部の幅方向中央部に半球状の落下防止突起9が基材1の寝床10側に向けて突設され、寝床10に受け凹部11が形成されている。受け凹部11は寝床10をその幅方向に横切って幅方向両側に開口している。落下防止突起9と受け凹部11の位置は貝止め突起2及び基材1を貝6の孔に差し込むことにより貝止め突起2が寝床10の上に倒伏し、その孔の内周面で貝止め突起2がその先方に押された(しごかれた)ときは落下防止突起9が嵌合するが、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏しただけでは嵌合しない位置にして、貝止め突起2及び基材1が貝の孔を貫通した後に、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏しても落下防止突起9が受け凹部11に嵌合できず、貝が貝止め突起2及び基材1を逆方向に乗り越えて脱落することがないようにするのが望ましい。
(貝係止具の実施の形態4)
本発明の貝係止具の第4の実施の形態を図4(c)を参照して説明する。この貝係止具は基本的には図4(a)(b)の貝係止具と同じ形状、構造であり、異なるのは、落下防止突起9を貝止め突起2の長手方向に複数個(3個)設け、受け凹部11を基材1の長手方向に落下防止突起9と同じ数、同じ間隔で設けたことである。この場合も、落下防止突起9と受け凹部11の位置は貝止め突起2及び基材1を貝の孔に差し込むことにより貝止め突起2が寝床10の上に倒伏し、貝止め突起2が貝の孔の内周面で先方に押された(しごかれた)ときは落下防止突起9が嵌合するが、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏しただけでは嵌合しない位置にして、貝止め突起2及び基材1が貝の孔を貫通した後に、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏しても落下防止突起9が受け凹部11に嵌合できず、貝が貝止め突起2及び基材1を逆方向に乗り越えて脱落することがないようにするのが望ましい。
(貝係止具の実施の形態5)
本発明の貝係止具の第5の実施の形態を図5(a)を参照して説明する。この貝係止具1は基本的には図4(b)の貝係止具と同じであり、異なるのは、落下防止突起9を貝止め突起2の長手方向に細長の半割棒状にしたことである。この場合も、落下防止突起9と受け凹部11の位置は、貝止め突起2及び基材1を貝の孔に差し込むことにより貝止め突起2が寝床10の上に倒伏し、貝止め突起2が貝の孔の内周面でその先方に押された(しごかれた)ときは落下防止突起9が嵌合するが、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏しただけでは嵌合しない位置にして、貝止め突起2及び基材1が貝の孔を貫通した後に貝止め突起2が寝床10の上に倒伏しても落下防止突起9が受け凹部11に嵌合できず、貝が貝止め突起2及び基材1を逆方向に乗り越えて脱落することがないようにするのが望ましい。
(貝係止具の実施の形態6)
本発明の貝係止具の第6の実施の形態を図5(b)を参照して説明する。この貝係止具は基本的には図5(a)の貝係止具と同じ形状、構造であり、異なるのは、落下防止突起9を貝止め突起2の長手方向に複数個(3個)設け、受け凹部11を基材1の長手方向に落下防止突起9と同じ数、同じ間隔で設けたことである。この場合も、落下防止突起9と受け凹部11の位置は貝止め突起2及び基材1を貝の孔に差し込むことにより貝止め突起2が寝床10の上に倒伏し、貝止め突起2が貝の孔の内周面で先方に押された(しごかれた)ときは落下防止突起9が嵌合するが、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏しただけでは嵌合しない位置にして、貝止め突起2及び基材1が貝の孔を貫通した後に、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏しても落下防止突起9が受け凹部11に嵌合できず、貝が貝止め突起2及び基材1を逆方向に乗り越えて脱落することがないようにするのが望ましい。
(貝係止具の実施の形態7)
本発明の貝係止具の第7の実施の形態を図5(c)を参照して説明する。この貝係止具は基本的には図5(a)の貝係止具と同じであり、異なるのは、細長の半割棒状の落下防止突起9を貝止め突起2の長手方向に細長に突設し、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏したときに落下防止突起9が嵌合する受け凹部11を基材1の横方向に開口させて成型したことである。
(本発明の貝係止具の実施の形態8)
本発明の貝係止具の実施形態8を、図6(a)を参照して説明する。この貝係止具は貝止め突起2の先端部の全幅又は幅の一部分を基材1側に向けて(内向きにして)斜めに、へ字状に曲げて抜け止片40を形成したものである。抜け止片40は図6(b)のように貝止め突起2の先端部の全幅又は幅の一部分を基材1と反対側に向けて(外向きにして)斜めに、へ字状に曲げることもできる。いずれの場合も曲げ角度を急(鋭角)にすると、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通するときに抜け止部4が邪魔になって差し込みにくくなるため、図6(a)(b)に示したような緩やかな角度(ほぼへ字状)に屈曲させると、基材1の先端部及び貝止め突起2を差し込み易く、しかも、貫通してから貝が脱落しにくくなる。また、図6(a)のように内側に曲げた抜け止片40の曲がり部(屈曲部)41、図6(a)のように外側に曲げた抜け止片40の曲がり部41を、図6(c)(d)のように幅方向両側に内側に窪む窪み部30を形成して幅狭部分40aを形成すれば、基材1の先端部の抜け止片40から貝止め突起2を差し込むときに、曲がっている抜け止部4が幅狭部分40aから逆方向に戻って貝止め突起2が根元から先端部まで真っ直ぐになり易くなり、基材1の先端部及び貝止め突起2を差し込み易くなる。しかも貫通後は真っ直ぐになる前の屈曲状態に自動的に戻って復元して屈曲するため貝が脱落しにくくなる。幅狭部分40aは貝止め突起2の幅方向片側だけに形成することもできる。この場合、図6(a)の屈曲部分41の内側に図7(a)のように肉薄部2cを形成したり、図6(b)の屈曲部分41の外側に図7(b)のように肉薄部2cを形成したり、図6(c)の屈曲部分41の内側に図7(c)のように肉薄部2cを形成したりすることもできる。図7(a)のように肉薄にすれば、貝6の孔6aへの基材1の先端部及び貝止め突起2の差し込み時に、抜け止部4が肉薄部2cから外側に曲がって真っ直ぐに伸び易くなるため差し込みが容易になり、差し込み後は抜け止片40が肉薄部2cから自動的に内側に戻って(曲がって)下向きになるため貝6が抜けにくくなる。図7(b)のように肉薄にすれば、貝の孔への基材1の先端部及び貝止め突起2の差し込み時に、抜け止片40が肉薄部2cから内側に曲がって真っ直ぐに伸び易くなるため差し込みが容易になり、差し込み後は抜け止め片40が肉薄部2cから自動的に外側に戻って(曲がって)上向きになるため、貝が抜けにくくなる。図6(c)の場合は、屈曲部41の外側を肉薄にすることもできる。図示したいずれの場合も抜け止め部4は貝止め突起2の幅方向全体に形成してあるが、幅方向左右のいずれか側のみ、或いは幅方向中央のみ、或いは幅方向両側のみに形成することもできる。
抜け止め片40は図8(a)〜(d)のように、貝止め突起2の長手方向(軸方向)中央部から屈曲させて形成することもできる。この場合も、図9(a)〜(c)のように抜け止片40の屈曲部分41の内側又は外側に肉薄部2cを形成することができる。抜け止片40の形成位置は貝止め突起2であれば他の箇所に形成することもできる。抜け止片40の形状、大きさ、曲げ角度等は所望のものとすることができる。
(貝係止具の実施の形態9)
本発明の実施の形態9の貝係止具は図18(a)のように、基材1の第一ロープ止め突起3の反対側に第二ロープ止め突起13を突設したものでもよい。第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3よりも短くしてあり、第一ロープ止め突起3の根元の内側で、第一ロープ止め突起3の先端とほぼ同じ位置に同じ間隔で突設されている。
(貝係止具の実施の形態10)
本発明の実施の形態10の貝係止具は図19(a)のように、基材1の第一ロープ止め突起3の内側を台形状に第一ロープ止め突起3側に突出させ、その凹陥部15の内側に第二ロープ止め突起13を突設したものでもよい。この場合も、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3よりも短くして凹陥部15の内側に突出するか、凹陥部15よりもわずかに外側まで突出する程度の長さにしてある。また、突設位置は第一ロープ止め突起3の根元の内側で、第一ロープ止め突起3の先端とほぼ同じ位置に突設されている。第二ロープ止め突起13は前記実施形態のいずれかに記載の貝係止具に突設することもできる。
前記した各実施形態の貝係止具の貝止め突起2の先端又は抜け止片40の先端には、図3(c)、(d)のような抜け止部4を形成することもできる。抜け止部4は貝止め突起2に係止された貝6の脱落を防止するためのものである。抜け止部4は基材1及び貝止め突起2とともに貝6の孔6bに差し込んで貫通させるものであるため、その差し込み時に障害とならないように薄片、細片、細紐、細糸といった細い形状、薄い形状にしてある。図3(c)(d)では丸紐にして、貝止め突起2の延長線上に直線状に突設してあるが、図13(a)のように貝止め突起2の湾曲に沿って外側に湾曲させてもよく、図13(b)のように貝止め突起2の延長線上で内側に湾曲させることもできる。湾曲ではなく屈曲させることもできる。抜け止部4は図13(b)では貝止め突起2の幅方向中央部から突出させてあるが、貝止め突起2の幅方向両端側に突出させるとか、貝止め突起2と同じ幅で突出させることもできる。抜け止部4は図2(a)〜(c)のように、貝6の蝶つがい6a側の段差部7の外側まで突出する長さにしてある。抜け止部4は貝止め突起2に二本以上設けることもできる。この場合は、図3(a)のように貝止め突起2の幅方向に間隔をあけて設けてもよく、図3(c)のように貝止め突起2の肉厚方向に間隔をあけて設けてもよい。
(集合貝係止具の実施の形態1)
本発明の集合貝係止具は、図15に示すように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて多数本平行に配置し、それら貝係止具の両端をレール状の剛性連結材21で連結して樹脂成型して、一枚の集合貝係止具としたものである。剛性連結材21は角棒状であり、太くして剛性を持たせて、隣接する貝係止具の間隔を変形しにくくすると共に、全体も変形しにくくしてある。剛性連結材21は角棒以外の形状とすることができる。
(集合貝係止具の実施の形態2)
本発明の集合貝係止具の第2の実施形態を図16に基づいて説明する。この集合貝係止具の基本的形状は図15の集合貝係止具と同じであり、異なるのは、各貝止め突起2の端部5を剛性連結材21で連結すると共に、各貝止め突起2の先端部5と剛性連結材21の間に、端部5よりも大径の円盤状の突起23を設けたことである。この突起23は集合貝係止具をピンセッターにセットして貝係止具を1本分ずつ移動させて、貝係止具を1本ずつ切断分離するときに、ギヤ送りするための係止部である。集合する貝係止具の本数は任意とすることができるが、作業性、形状保持性等の面から20〜30本程度が望ましい。
本発明の集合貝係止具は前記貝係止具の実施形態のいずれかに記載の貝係止具を図12、図13のように間隔をあけて多数本平行に配置し、それら貝係止具の両端をレール状の剛性連結材21で連結して樹脂成型することもできる。
(連続貝係止具の実施の形態1)
本発明の連続貝係止具は、図17(a)のように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具のロープ止め突起3と貝止め突起2の間を丸紐状の可撓性連結材25で連結して樹脂成型して、ロール状に巻くことができるようにしたものである。
(連続貝係止具の実施の形態2)
本発明の連続貝係止具は、図17(b)のように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の2本のロープ止め突起3の間を薄い平紐の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしてある。可撓性連結材25は、ロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
(連続貝係止具の実施の形態3)
本発明の連続貝係止具の第3の実施形態を図18(b)に基づいて説明する。この連続貝係止具は、貝止め突起2が図6(a)の構造である貝係止具に図18(a)のように第二ロープ止め突起13を設けた貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13の間を薄い片の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしたものである。可撓性連結材25はロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
(連続貝係止具の実施の形態4)
本発明の連続貝係止具の第4の実施形態を図19(b)に基づいて説明する。この連続貝係止具は、貝止め突起2が図6(a)の構造である貝係止具の基材1を図19(a)のように第一ロープ止め突起3側に台形状に曲げ、台形状の凹陥部15に第二のロープ止め突起13を設けた貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13の間を薄い片の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしたものである。可撓性連結材25はロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
(ロール状連続貝係止具の実施の形態)
本発明のロール状連続貝係止具は、前記した連続貝係止具を図20(a)のようにロール状に巻いたものである。この場合、連結貝係止具27に帯状のシート(シートより薄いフィルムを含む)18を添わせてロール状に巻いて、連結貝係止具27の間にシート18を介在させてある。シート18には障子紙のような帯状の紙とか、コピー用紙のような質、厚さの紙を帯状に長くしたものとか、帯状に長くした樹脂製のシート等を使用することができるが、使用後の廃棄処分の容易さから紙を使用するのが好ましい。シート18は幅、長さ共に連結貝係止具27のそれらと同程度のものが好ましいが、それより短いものを足しながら使用することもできる。本発明のロール状連続貝係止具はシート18を介在させずに巻くこともできる。
本発明の連結貝係止具27は図20(b)のように巻胴31の両端に鍔32を設けたボビン33の巻胴31にロール状に巻くこともできる。ボビン33は肉厚の紙製、樹脂製、木製等とすることができる。紙製の場合は使い捨てに適し、樹脂製、木製等の場合は再使用するのに適する。ボビン33に巻く連結貝係止具27の間にはシート18を介在させても、介在させなくともよい。
本発明の連結貝係止具の使用方法は種々あるが、一例としてはロール状に巻いた連結貝係止具27をほどいてその一端を自動切断差し込み機にセットし、自動切断差し込み機により自動的に貝係止具1を一本ずつ切り離して縦ロープに差し込み、ロープ止め突起3で縦ロープから抜けないようにする。縦ロープに差し込んだ貝係止具の端部5を貝6の耳に開口してある孔6bに差し込んで、貝止め突起2をその孔6bを貫通させ、貝6の耳を貝止め突起2によって係止する。貝係止具の長手方向他端を同様に貝6の孔6bに差し込んで貝止め突起2に貝6の耳を係止する。
(a)〜(d)は本発明の貝係止具の基本形状の説明図。
(a)は貝と抜け止部の位置関係を示す斜視説明図、(b)は貝を本発明の貝係止具で縦ロープに吊り下げた状態の側面説明図、(c)は(b)の右側面図。
(a)〜(d)は本発明の貝係止具の異なる例の斜視図。
(a)は本発明の貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の斜視図、(c)は本発明の貝係止具の異なる実施例の斜視図。
(a)〜(c)は本発明の貝係止具の異なる実施例の斜視図。
(a)〜(c)は本発明の貝係止具の異なる例の斜視図、(d)は(c)の貝係止具の平面図。
(a)〜(c)は図6(a)〜(c)の貝止め突起の屈曲部を肉薄にした状態の斜視図。
(a)〜(c)は本発明の貝係止具の異なる例の斜視図、(d)は(c)の貝係止具の平面図。
(a)〜(c)は本発明の貝係止具の異なる例の斜視図。
(a)、(b)は本発明の貝係止具の異なる例の側面図。
本発明の貝係止具の異なる例の側面図。
本発明の抜け止部を設けた貝係止具の異なる例の側面図。
(a)は図12A部の詳細図、(b)は(a)の左側面図。
(a)、(b)は抜け止部の異なる例の側面説明図。
本発明の集合貝係止具の一例の側面図。
本発明の集合貝係止具の他の例の側面図。
(a)、(b)は本発明の連続貝係止具の異なる例の側面図。
(a)は本発明の貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の貝係止具を連続成型した連続貝係止具の側面図。
(a)は本発明の貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の貝係止具を連続成型した連続貝係止具の側面図。
(a)は本発明のロール状連続貝係止具の一例の斜視図、(b)はボビンに巻いたロール状連続貝係止具の一例の側面図。
従来の貝係止具の使用の一例の斜視図。
(a)は従来の貝係止具の説明図、(b)は本発明の貝係止具の説明図。
符号の説明
1 貝係止具
2 貝止め突起
2a 貝止め突起の外面
2b 貝止め突起の内面
2c 抜け止め片の屈曲部に形成された肉薄部
3 第一ロープ止め突起
4 抜け止部
5 基材の端部
6 貝
7 連結片
9 落下防止突起
10 寝床
11 受け凹部
12 折れ曲がり部
13 第二ロープ止め突起
15 凹陥部
18 シート
21 剛性連結材
23 突起
25 可撓性連結材
27 連続貝係止具
30 窪み部
30a 幅狭部
31 巻胴
32 鍔
33 ボビン
40 抜け止片
40a 幅狭部分
41 屈曲部
本発明は帆立貝、真珠貝、牡蠣、その他の貝の養殖に使用されるピン状の貝係止具と、数十本の貝係止を一定間隔で成型した集合貝係止具と、数千〜数万本のロール状に巻回可能に連続成型した連続貝係止具と、連続貝係止具をロール状に巻いたロール状連続貝係止具に関するものである。
帆立貝の養殖方法の一つとして図21に示す耳吊養殖がある。これは海面近くに横向きに張った横ロープ(図示せず)に、帆立貝を取付けた縦ロープCを縦向きに取り付けて海中に吊るす方法である。縦ロープCへの帆立貝の取付けにはピン状の貝係止具Dが使用されている。図21に示す貝係止具は樹脂成型されており、細長な基材Aの両端に貝止め突起Gがあり、その内側にロープ止め突起Eがある。貝係止具は縦ロープCに差し込み、貝Bにあけた孔に差し込んで貝Bを貝止め突起Gに係止する(特許文献1)。
海中に吊られた貝が波を受けて貝係止具Dを軸として回転したり、揺れたりすると、貝係止具Dの貝止め突起Gが捩れて基材Aの窪み(寝床)Iの上に倒伏し、貝Bが貝係止具Dの貝止め突起Gを乗り越えて矢印a方向に抜け落ちることがあり、養殖の歩留りが低下し、養殖業者の収益が減収する。
本発明は、貝止め突起が切断したり、倒伏したりしにくく、貝が抜け落ちないようにした貝係止具を提供するものである。
本発明の請求項1記載の貝係止具は、ロープと貝にあけた孔に差し込み可能な細長の基材1と、貝止め突起2と、第一ロープ止め突起3が樹脂で一体成型され、貝止め突起2は基材1の軸方向端部5側から第一ロープ止め突起3側に突設して成型され、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、窪み部30と幅狭部40aは貝止め突起2の長手方向に二以上成型され、幅狭部40aは基材1側又はそれと反対側に曲がり易い幅に成型されたものである。
本発明の請求項2記載の貝係止具は、ロープと貝にあけた孔に差し込み可能な細長の基材1と、貝止め突起2と、第一ロープ止め突起3が樹脂で一体成型され、貝止め突起2は基材1の軸方向端部5側から第一ロープ止め突起3側に突設して成型され、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、幅狭部40aは基材1側又はそれと反対側に曲がり易い幅に成型され、幅狭部40aの内面又は外面に肉薄部2cが貝止め突起2の幅方向に沿って成型され、肉薄部2cは幅狭部40aが基材1側又はそれと反対側に折れ曲がり易い厚さに成型されたものである。
本発明の請求項3記載の貝係止具は、ロープと貝にあけた孔に差し込み可能な細長の基材1と、貝止め突起2と、第一ロープ止め突起3が樹脂で一体成型され、貝止め突起2は基材1の軸方向端部5側から第一ロープ止め突起3側に突設して成型され、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、貝止め突起2に前記幅狭部40aから基材1側又はそれと反対側に曲がった抜け止片40が成型されたものである。
本発明の請求項4記載の貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具において、貝止め突起2の先端より先方に一又は二以上の細い又は薄い抜け止部4が突設して成型されたものである。
本発明の請求項5記載の貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具に、第二ロープ止め突起13が第一ロープ止め突起3と反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたものである。
本発明の請求項6記載の貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具において、基材1が第一ロープ止め突起3側に凹陥する凹陥部15が成型され、凹陥部15から第二ロープ止め突起13が第一ロープ止め突起3と反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたものである。
本発明の請求項7記載の集合貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の軸方向両端部が剛性連結材21で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項8記載の連続貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の基材1間がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項9記載の連続貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、隣接する貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項10記載のロール状連続貝係止具は、前記連続貝係止具がシート18を宛がって又は宛がわずに、ボビンを使用して又は使用せずにロール状に巻かれたものである。
本発明の請求項1記載の貝係止具は、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、窪み部30と幅狭部40aは貝止め突起2の長手方向に二以上成型され、幅狭部40aは基材1側又はそれと反対側に曲がり易い幅に成型されたので、使用中(海中に吊るす前、吊るしてある間)に、貝止め突起が幅狭部40aから内側又は外側に首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。
本発明の請求項2記載の貝係止具は、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、幅狭部40aは基材1側又はそれと反対側に曲がり易い幅に成型され、幅狭部40aの内面又は外面に肉薄部2cが貝止め突起2の幅方向に沿って成型され、肉薄部2cは幅狭部40aが基材1側又はそれと反対側に折れ曲がり易い厚さに成型されたので、貝止め突起が幅の狭い窪み部から内側又は外側により一層、首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。
本発明の請求項3記載の貝係止具は、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、窪み部30は直線状に又は曲線状に窪んで成型され、貝止め突起2に前記幅狭部40aから基材1側又はそれと反対側に曲がった抜け止片40が成型されたので、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通した後は、貝は抜け止部が邪魔になって脱落しない。
本発明の請求項4記載の貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具において、貝止め突起2の先端より先方に一又は二以上の細い又は薄い抜け止部4が突設して成型されたので、前記した貝脱落防止効果に加えて、抜け止部4による貝脱落防止効果もあり、貝の脱落を確実に防止できる。
本発明の請求項5、6記載の貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具に、第二ロープ止め突起13が第一ロープ止め突起3と反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたので、第一ロープ止め突起の傾斜角度θを図22(b)のように小さくして、ロープ止め突起Eの根元間の間隔Mを図22(a)の間隔mより広くしても、ロープに差し込まれた貝係止具のスライド幅(左右へのずれ幅)が第二ロープ止め突起により規制されて小さくなり、貝係止具が位置ずれしにくくなる。このため、第一ロープ止め突起がロープへ衝突しにくくなり、第一ロープ止め突起の折損が無く、貝係止具がロープから抜けて脱落することがなく、養殖貝の歩留まりが向上する。
本発明の請求項7記載の集合貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の軸方向両端部が剛性連結材21で連結されて成型されたので、多数枚を横向きにして上下に重ねたり、縦向きにして前後或は左右に並べたりして、切断差し込み機(通称:ピンセッター)にセットして、貝係止具を1本ずつ切断しながらロープに差し込むことができ、ロープへの差し込みが自動化され、作業性が向上する。この場合、多数本の貝係止具を同じ向きにして連結すれば、一本ずつ分離してロープに差し込む場合に貝係止具の方向が揃い、ロープへの差し込み、貝への差し込みなどの作業がし易くなる。剛性連結材での連結であるため、集合貝係止具をピン自動切断差し込み機にセットして一本ずつ切断して差し込むときに、集合貝係止具を自動送りしても隣接する貝係止具の間隔や集合貝係止具全体の形状が変化することが無く、切断、差し込み作業が安定する。
本発明の請求項8、9記載の連続貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたので、次のような効果がある。
(1)貝係止具が数千、数万本と多くなっても、ロール状に巻回して保管、搬送、ピンセッターへのセットができ、コンパクトにまとまるため保管に場所をとらず取り扱いに便利である。
(2)可撓性連結材を薄肉片にすれば貝係止具の分離が容易になり、ロール状に巻き易くもなる。数十m以上長く連続成型された連続貝係止具は、保管や運搬の仕方によっては貝係止具のロープ止め突起同士が絡まったり、貝止め突起同士が絡まったり、基材の端部が曲がったりして、引き出しにくいとか、一本ずつ分離しにくくなることがあるが、保護シートがあるためそのようなことはない。
本発明の請求項10記載のロール状連続貝係止具は、前記連続貝係止具がシート18を宛がって又は宛がわずに、ボビンを使用して又は使用せずにロール状に巻かれたので、次のような効果がある。
(1)連続貝係止具をボビンにロール状に巻いたロール状連続貝係止具の場合は、ボビンを回転軸にセットして連続貝係止具をボビンから引き出すことができるため、ボビンの回転が円滑になり、貝係止具の1本ずつの切断、切断した貝係止具のロープへの差し込みがスムースに行われる。ボビンには鍔があるため貝係止具をロール状に巻いた鍔を重ねて保管したり、収納したりすることができ、取り扱いに便利である。
(2)保護シートを介在させてロール状に巻いた場合は、連結されている多数の貝係止具同士が絡まり合うことがなく、連続貝係止具の巻き戻し(引き出し)がスムースになり、自動ピンセッターなどへのセットが容易になり、使い易くなる。
本発明の貝係止具の基本形態を図1(a)〜(d)を参照して説明する。これら図の貝係止具は海中に吊るす縦ロープ(図2b)及び貝6の耳にあけた孔6b(図2a)に差し込み可能なピン形状の基材1のほぼ中央部に第一ロープ止め突起3が2本突設され、第一ロープ止め突起3よりも外側の両端部(差し込み端部)5寄りには貝の抜けを規制する貝止め突起2が突設され、これら基材1、貝止め突起2、第一ロープ止め突起3が一体に樹脂成型されている。
基材1の形状は丸ピン、角ピン、他の形状のピンとすることができる。図1の基材1は両端部(差し込み端部)5を先細りに成型して貝6の孔6bに差し込み易くしてある。基材1のうち貝止め突起2と対向する内面には、基材1の中央部の外周面よりも一段低い凹部(寝床)10を設けて、貝止め突起2をその根元部分から基材1側に押し倒すと、貝止め突起2が寝床10内に伏して倒れ(倒伏し)て、貝止め突起2と寝床10が重なって輪郭が円形になるようにしてある。これにより貝止め突起2は貝係止具を基材1の軸方向一端から縦ロープに差し込むときも、貝の耳にあけた孔に差し込むときも、押し倒されて寝床10内に倒れて貝止め突起2が縦ロープ内を貫通し易くなる。また、差し込み時に倒れた貝止め突起2は縦ロープを貫通し終えたときも、貝6の孔6aを貫通し終えたときも、自己の弾性と復元力で自動的に起立して倒れる前の元の状態に復元できるようにしてある。
第一ロープ止め突起3は縦ロープに差し込んだ貝係止具が縦ロープから抜けるのを阻止するためのものであり、基材1の外周の同方向に二本突設され、互いに内向き斜めに突設されてハ字状になっている。第一ロープ止め突起3は基材1の長手方向中央部の外径よりもやや細い丸棒状であるが、それ以外の形状、例えば、三角や四角の棒状とか、楕円形の棒状等であってもよく、太さもそれ以外であってもよい。二本の貝止め突起2は図10(a)のように互いに反対方向に斜めに突設することも、図10(b)のように互いに同じ方向であるが貝止め突起2とは反対方向に突設することもできる。
貝止め突起2は図1(a)に明示するように、その立ち上がり部分(根元部分)側から先端部まで斜め外側に向けて突設され、更に、外面2a側に反り返るよう湾曲させて、貝止め突起2に係止された貝が抜けにくくなるようにしてある。また、図1(c)のように貝止め突起2の根元内側部分2dは円弧状に湾曲させて、貝止め突起2に貝の荷重が加わってもその荷重が貝止め突起2の根元内側部分2dに伝わりにくくなって、根元内側部分2dが切れにくくなるようにしてある。図1(a)〜(d)の貝止め突起2は薄板状に成型されているが、貝止め突起2は倒伏・復元可能な弾性のある丸棒状とか外面が円弧状の半円形とか、その他の形状とすることもできる。貝止め突起2は図1(d)のように基材1の軸方向一端部に反対方向に2枚ずつ突設することもできる。
図3(a)の貝係止具は、貝止め突起2の両側方に、その幅方向内側に窪んで幅を狭くする窪み部30を形成したものである。窪み部30は幅方向一側方のみに形成することもできる。また、両側方に形成する場合は、両側の窪み部30の位置を貝止め突起2の軸方向に少しずらすこともできる。窪み部30を設けることにより、海中に吊るしてある間に、貝止め突起2が幅の狭い部分から内側又は外側に首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。窪み部30の位置を貝止め突起2の軸方向に少しずらして設けた場合は、貝止め突起2が幅の狭い部分から曲がり易くなり、しかも、両側方の同じ位置に設けた場合よりも貝止め突起2における窪み部間の幅が狭くなるため、その部分の強度も低下しない。図示した窪み部30は貝止め突起2の両側面にその長手方向に沿って三個ずつ設けてあるが、両側面又は片側面に一以上設ければよい。窪み部30は直線状(V字状)に凹陥させてあるが、曲線状(例えばU字状)に湾曲させて窪ませることもできる。この場合、貝止め突起2における窪み部30の内側の幅狭部40aの内面又は外面を肉薄にして、幅狭部40aを肉薄部分から内面側又は外面側に曲がり易くすることもできる。
図3(b)の貝係止具は、前記貝止め突起2の内面2bに肉薄部2cを、幅方向に細長に形成したものである。肉薄部2cは貝止め突起2の外面2aと内面2bの双方又は外面2aだけに形成することもでき、いずれに形成した場合も二本以上形成することもできる。この場合も、海中に吊るしてある間に、貝止め突起2が肉薄部2cから内側又は外側に折れ易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。図3(b)の場合、基材1の寝床10に突起13が突設されている。これは寝床10の補強用であり、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏したときに、肉薄部2cが被さる位置に形成してあるが、突起13は必ずしも必要ではない。
図6(a)の貝係止具は貝止め突起2の先端部の全幅又は幅の一部分を基材1側に向けて(内向きにして)斜めに、へ字状に曲げて抜け止片40を形成したものである。抜け止片40は図6(b)のように貝止め突起2の先端部の全幅又は幅の一部分を基材1と反対側に向けて(外向きにして)斜めに、へ字状に曲げることもできる。いずれの場合も曲げ角度を急(鋭角)にすると、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通するときに抜け止部4が邪魔になって差し込みにくくなるため、図6(a)(b)に示したような緩やかな角度(ほぼへ字状)に屈曲させると、基材1の先端部及び貝止め突起2を差し込み易く、しかも、貫通してから貝が脱落しにくくなる。また、図6(a)のように内側に曲げた抜け止片40の曲がり部(屈曲部)41、図6(b)のように外側に曲げた抜け止片40の曲がり部41を、図6(c)(d)のように幅方向両側に内側に窪む窪み部30を形成して幅狭部40aを形成すれば、基材1の先端部の抜け止片40から貝止め突起2を差し込むときに、曲がっている抜け止部4が幅狭部40aから逆方向に戻って貝止め突起2が根元から先端部まで真っ直ぐになり易くなり、基材1の先端部及び貝止め突起2を差し込み易くなる。しかも貫通後は真っ直ぐになる前の屈曲状態に自動的に戻って復元して屈曲するため貝が脱落しにくくなる。幅狭部40aは貝止め突起2の幅方向片側だけに形成することもできる。この場合、図6(a)の曲がり部41の内側に図7(a)のように肉薄部2cを形成したり、図6(b)の曲がり部41の外側に図7(b)のように肉薄部2cを形成したり、図6(c)の曲がり部41の内側に図7(c)のように肉薄部2cを形成したりすることもできる。図7(a)のように肉薄にすれば、貝6の孔6aへの基材1の先端部及び貝止め突起2の差し込み時に、抜け止部4が肉薄部2cから外側に曲がって真っ直ぐに伸び易くなるため差し込みが容易になり、差し込み後は抜け止片40が肉薄部2cから自動的に内側に戻って(曲がって)下向きになるため貝6が抜けにくくなる。図7(b)のように肉薄にすれば、貝の孔への基材1の先端部及び貝止め突起2の差し込み時に、抜け止片40が肉薄部2cから内側に曲がって真っ直ぐに伸び易くなるため差し込みが容易になり、差し込み後は抜け止め片40が肉薄部2cから自動的に外側に戻って(曲がって)上向きになるため、貝が抜けにくくなる。図6(c)の場合は、曲がり部41の外側を肉薄にすることもできる。図示したいずれの場合も抜け止め片40は貝止め突起2の幅方向全体に形成してあるが、幅方向左右のいずれか側のみ、或いは幅方向中央のみ、或いは幅方向両側のみに形成することもできる。
抜け止め片40は図8(a)〜(d)のように、貝止め突起2の長手方向(軸方向)中央部から屈曲させて形成することもできる。この場合も、図9(a)〜(c)のように抜け止片40の曲がり部41の内側又は外側に肉薄部2cを形成することができる。抜け止片40の形成位置は貝止め突起2であれば他の箇所に形成することもできる。抜け止片40の形状、大きさ、曲げ角度等は所望のものとすることができる。
貝係止具は図18(a)のように基材1の第一ロープ止め突起3の反対側に第二ロープ止め突起13を突設したものでもよい。第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3よりも短くしてあり、第一ロープ止め突起3の根元の内側で、第一ロープ止め突起3の先端とほぼ同じ位置に同じ間隔で突設されている。
貝係止具は図19(a)のように、基材1の第一ロープ止め突起3の内側を台形状に第一ロープ止め突起3側に突出させ、その凹陥部15の内側に第二ロープ止め突起13を突設したものでもよい。この場合も、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3よりも短くして凹陥部15の内側に突出するか、凹陥部15よりもわずかに外側まで突出する程度の長さにしてある。また、突設位置は第一ロープ止め突起3の根元の内側で、第一ロープ止め突起3の先端とほぼ同じ位置に突設されている。第二ロープ止め突起13は前記実施形態のいずれかに記載の貝係止具に突設することもできる。
前記した各実施形態の貝係止具の貝止め突起2の先端又は抜け止片40の先端には、図3(c)、(d)のような抜け止部4を形成することもできる。抜け止部4は貝止め突起2に係止された貝6の脱落を防止するためのものである。抜け止部4は基材1及び貝止め突起2とともに貝6の孔6bに差し込んで貫通させるものであるため、その差し込み時に障害とならないように薄片、細片、細紐、細糸といった細い形状、薄い形状にしてある。図3(c)(d)では丸紐にして、貝止め突起2の延長線上に直線状に突設してあるが、図13(a)のように貝止め突起2の湾曲に沿って外側に湾曲させてもよく、図14(b)のように貝止め突起2の延長線上で内側に湾曲させることもできる。湾曲ではなく屈曲させることもできる。抜け止部4は図13(b)では貝止め突起2の幅方向中央部から突出させてあるが、貝止め突起2の幅方向両端側に突出させるとか、貝止め突起2と同じ幅で突出させることもできる。抜け止部4は図2(a)〜(c)のように、貝6の蝶つがい6a側の段差部7の外側まで突出する長さにしてある。抜け止部4は貝止め突起2に二本以上設けることもできる。この場合は、図3(d)のように貝止め突起2の幅方向に間隔をあけて設けてもよく、図3(c)のように貝止め突起2の肉厚方向に間隔をあけて設けてもよい。
本発明の集合貝係止具は、図15に示すように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて多数本平行に配置し、それら貝係止具の両端をレール状の剛性連結材21で連結して樹脂成型して、一枚の集合貝係止具としたものである。剛性連結材21は角棒状であり、太くして剛性を持たせて、隣接する貝係止具の間隔を変形しにくくすると共に、全体も変形しにくくしてある。剛性連結材21は角棒以外の形状とすることができる。
図16の集合貝係止具の基本的形状は図15の集合貝係止具と同じであり、異なるのは、各貝止め突起2の端部5を剛性連結材21で連結すると共に、各貝止め突起2の先端部5と剛性連結材21の間に、端部5よりも大径の円盤状の突起23を設けたことである。この突起23は集合貝係止具をピンセッターにセットして貝係止具を1本分ずつ移動させて、貝係止具を1本ずつ切断分離するときに、ギヤ送りするための係止部である。集合する貝係止具の本数は任意とすることができるが、作業性、形状保持性等の面から20〜30本程度が望ましい。
本発明の集合貝係止具は前記貝係止具の実施形態のいずれかに記載の貝係止具を図15、図16のように間隔をあけて多数本平行に配置し、それら貝係止具の両端をレール状の剛性連結材21で連結して樹脂成型することもできる。
本発明の連続貝係止具は、図17(a)のように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具のロープ止め突起3と貝止め突起2の間を丸紐状の可撓性連結材25で連結して樹脂成型して、ロール状に巻くことができるようにしたものである。
本発明の連続貝係止具は、図17(b)のように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の2本のロープ止め突起3の間を薄い平紐の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしてある。可撓性連結材25は、ロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
本発明の連続貝係止具の一例として図18(b)に示すものは、貝止め突起2が図6(a)の構造である貝係止具に図18(a)のように第二ロープ止め突起13を設けた貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13の間を薄い片の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしたものである。可撓性連結材25はロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
本発明の連続貝係止具の一例として図19(b)に示すものは、貝止め突起2が図6(a)の構造である貝係止具の基材1を図19(a)のように第一ロープ止め突起3側に台形状に曲げ、台形状の凹陥部15に第二のロープ止め突起13を設けた貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13の間を薄い片の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしたものである。可撓性連結材25はロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
本発明のロール状連続貝係止具は、前記した連続貝係止具を図20(a)のようにロール状に巻いたものである。この場合、連続貝係止具27に帯状のシート(シートより薄いフィルムを含む)18を添わせてロール状に巻いて、連続貝係止具27の間にシート18を介在させてある。シート18には障子紙のような帯状の紙とか、コピー用紙のような質、厚さの紙を帯状に長くしたものとか、帯状に長くした樹脂製のシート等を使用することができるが、使用後の廃棄処分の容易さから紙を使用するのが好ましい。シート18は幅、長さ共に連続貝係止具27のそれらと同程度のものが好ましいが、それより短いものを足しながら使用することもできる。本発明のロール状連続貝係止具はシート18を介在させずに巻くこともできる。
本発明の連続貝係止具27は図20(b)のように巻胴31の両端に鍔32を設けたボビン33の巻胴31にロール状に巻くこともできる。ボビン33は肉厚の紙製、樹脂製、木製等とすることができる。紙製の場合は使い捨てに適し、樹脂製、木製等の場合は再使用するのに適する。ボビン33に巻く連続貝係止具27の間にはシート18を介在させても、介在させなくともよい。
本発明の連続貝係止具の使用方法は種々あるが、一例としてはロール状に巻いた連続貝係止具27をほどいてその一端を自動切断差し込み機にセットし、自動切断差し込み機により自動的に貝係止具1を一本ずつ切り離して縦ロープに差し込み、ロープ止め突起3で縦ロープから抜けないようにする。縦ロープに差し込んだ貝係止具の端部5を貝6の耳に開口してある孔6bに差し込んで、貝止め突起2をその孔6bを貫通させ、貝6の耳を貝止め突起2によって係止する。貝係止具の長手方向他端を同様に貝6の孔6bに差し込んで貝止め突起2に貝6の耳を係止する。
(a)〜(d)は本発明の貝係止具の基本形状の説明図。
(a)は貝と抜け止部の位置関係を示す斜視説明図、(b)は貝を貝係止具で縦ロープに吊り下げた状態の側面説明図、(c)は(b)の右側面図。
(a)〜(d)は貝係止具の異なる例の斜視図。
(a)は貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の斜視図、(c)は貝係止具の異なる実施例の斜視図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる実施例の斜視図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる例の斜視図、(d)は(c)の貝係止具の平面図。
(a)〜(c)は図6(a)〜(c)の貝止め突起の屈曲部を肉薄にした状態の斜視図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる例の斜視図、(d)は(c)の貝係止具の平面図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる例の斜視図。
(a)、(b)は貝係止具の異なる例の側面図。
貝係止具の異なる例の側面図。
抜け止部を設けた貝係止具の異なる例の側面図。
(a)は図12A部の詳細図、(b)は(a)の左側面図。
(a)、(b)は抜け止部の異なる例の側面説明図。
集合貝係止具の一例の側面図。
集合貝係止具の他の例の側面図。
(a)、(b)は連続貝係止具の異なる例の側面図。
(a)は貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の貝係止具を連続成型した連続貝係止具の側面図。
(a)は貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の貝係止具を連続成型した連続貝係止具の側面図。
(a)はロール状連続貝係止具の一例の斜視図、(b)はボビンに巻いたロール状連続貝係止具の一例の側面図。
従来の貝係止具の使用の一例の斜視図。
(a)は従来の貝係止具の説明図、(b)は本発明の貝係止具の説明図。
符号の説明
1 基材
2 貝止め突起
2a 貝止め突起の外面
2b 貝止め突起の内面
2c 肉薄部
3 第一ロープ止め突起
4 抜け止部
5 基材の端部
6 貝
7 段差部
9 落下防止突起
10 寝床
11 受け凹部
12 折れ曲がり部
13 第二ロープ止め突起
15 凹陥部
18 シート
21 剛性連結材
23 突起
25 可撓性連結材
27 連続貝係止具
30 窪み部
31 巻胴
32 鍔
33 ボビン
40 抜け止片
40a 幅狭部
41 屈曲部
本発明は帆立貝、真珠貝、牡蠣、その他の貝の養殖に使用されるピン状の貝係止具と、数十本の貝係止を一定間隔で成型した集合貝係止具と、数千〜数万本のロール状に巻回可能に連続成型した連続貝係止具と、連続貝係止具をロール状に巻いたロール状連続貝係止具に関するものである。
帆立貝の養殖方法の一つとして図21に示す耳吊養殖がある。これは海面近くに横向きに張った横ロープ(図示せず)に、帆立貝を取付けた縦ロープCを縦向きに取り付けて海中に吊るす方法である。縦ロープCへの帆立貝の取付けにはピン状の貝係止具Dが使用されている。図21に示す貝係止具は樹脂成型されており、細長な基材Aの両端に貝止め突起Gがあり、その内側にロープ止め突起Eがある。貝係止具は縦ロープCに差し込み、貝Bにあけた孔に差し込んで貝Bを貝止め突起Gに係止する(特許文献1)。
海中に吊られた貝が波を受けて貝係止具Dを軸として回転したり、揺れたりすると、貝係止具Dの貝止め突起Gが捩れて基材Aの窪み(寝床)Iの上に倒伏し、貝Bが貝係止具Dの貝止め突起Gを乗り越えて矢印a方向に抜け落ちることがあり、養殖の歩留りが低下し、養殖業者の収益が減収する。
本発明は、貝止め突起が切断したり、倒伏したりしにくく、貝が抜け落ちないようにした貝係止具を提供するものである。
本発明の請求項1記載の貝係止具は、ロープと貝にあけた孔に差し込み可能な細長の基材1と、貝止め突起2とが、又は貝止め突起2と第一ロープ止め突起3とが樹脂で一体成型され、貝止め突起2は基材1の軸方向一方の端部5側から軸方向他方の端部5側に突設して成型され、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、窪み部30と幅狭部40aは貝止め突起2の長手方向に二以上成型され、幅狭部40aは基材1側又はそれと反対側に曲がり易い幅に成型されたものである。
本発明の請求項2記載の貝係止具は、ロープと貝にあけた孔に差し込み可能な細長の基材1と、貝止め突起2とが樹脂で一体成型され、貝止め突起2は基材1の軸方向一方の端部5側から軸方向他方の端部5側に突設して成型され、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、貝止め突起2に前記幅狭部40aから基材1側又はそれと反対側に曲がった抜け止片40が成型されたものである。
本発明の請求項3記載の貝係止具は、請求項1又は請求項2記載の貝係止具において、貝止め突起2の先端より先方に一又は二以上の細い又は薄い抜け止部4が突設して成型されたものである。
本発明の請求項4記載の貝係止具は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の貝係止具に、第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13が基材1の反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたものである。
本発明の請求項5記載の貝係止具は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の貝係止具において、基材1が第一ロープ止め突起3側に凹陥する凹陥部15が成型され、凹陥部15から第二ロープ止め突起13が第一ロープ止め突起3と反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたものである。
本発明の請求項6記載の集合貝係止具は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の軸方向両端部が剛性連結材21で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項7記載の連続貝係止具は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の基材1間がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項8記載の連続貝係止具は、請求項4又は請求項5記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、隣接する貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項9記載のロール状連続貝係止具は、請求項7又は請求項8記載の連続貝係止具がシート18を宛がって又は宛がわずに、ボビンを使用して又は使用せずにロール状に巻かれたものである。
本発明の請求項1記載の貝係止具は、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、窪み部30と幅狭部40aは貝止め突起2の長手方向に二以上成型され、幅狭部40aは基材1側又はそれと反対側に曲がり易い幅に成型されたので、使用中(海中に吊るす前、吊るしてある間)に、貝止め突起が幅狭部40aから内側又は外側に首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。
本発明の請求項2記載の貝係止具は、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、窪み部30は直線状に又は曲線状に窪んで成型され、貝止め突起2に前記幅狭部40aから基材1側又はそれと反対側に曲がった抜け止片40が成型されたので、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通した後は、貝は抜け止部が邪魔になって脱落しない。
本発明の請求項3記載の貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具において、貝止め突起2の先端より先方に一又は二以上の細い又は薄い抜け止部4が突設して成型されたので、前記した貝脱落防止効果に加えて、抜け止部4による貝脱落防止効果もあり、貝の脱落を確実に防止できる。
本発明の請求項4、5記載の貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具に、第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13が基材1の反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたので、第一ロープ止め突起の傾斜角度θを図22(b)のように小さくして、ロープ止め突起Eの根元間の間隔Mを図22(a)の間隔mより広くしても、ロープに差し込まれた貝係止具のスライド幅(左右へのずれ幅)が第二ロープ止め突起により規制されて小さくなり、貝係止具が位置ずれしにくくなる。このため、第一ロープ止め突起がロープへ衝突しにくくなり、第一ロープ止め突起の折損が無く、貝係止具がロープから抜けて脱落することがなく、養殖貝の歩留まりが向上する。
本発明の請求項6記載の集合貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の軸方向両端部が剛性連結材21で連結されて成型されたので、多数枚を横向きにして上下に重ねたり、縦向きにして前後或は左右に並べたりして、切断差し込み機(通称:ピンセッター)にセットして、貝係止具を1本ずつ切断しながらロープに差し込むことができ、ロープへの差し込みが自動化され、作業性が向上する。この場合、多数本の貝係止具を同じ向きにして連結すれば、一本ずつ分離してロープに差し込む場合に貝係止具の方向が揃い、ロープへの差し込み、貝への差し込みなどの作業がし易くなる。剛性連結材での連結であるため、集合貝係止具をピン自動切断差し込み機にセットして一本ずつ切断して差し込むときに、集合貝係止具を自動送りしても隣接する貝係止具の間隔や集合貝係止具全体の形状が変化することが無く、切断、差し込み作業が安定する。
本発明の請求項7、8記載の連続貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたので、次のような効果がある。
(1)貝係止具が数千、数万本と多くなっても、ロール状に巻回して保管、搬送、ピンセッターへのセットができ、コンパクトにまとまるため保管に場所をとらず取り扱いに便利である。
(2)可撓性連結材を薄肉片にすれば貝係止具の分離が容易になり、ロール状に巻き易くもなる。数十m以上長く連続成型された連続貝係止具は、保管や運搬の仕方によっては貝係止具のロープ止め突起同士が絡まったり、貝止め突起同士が絡まったり、基材の端部が曲がったりして、引き出しにくいとか、一本ずつ分離しにくくなることがあるが、保護シートがあるためそのようなことはない。
本発明の請求項9記載のロール状連続貝係止具は、前記連続貝係止具がシート18を宛がって又は宛がわずに、ボビンを使用して又は使用せずにロール状に巻かれたので、次のような効果がある。
(1)連続貝係止具をボビンにロール状に巻いたロール状連続貝係止具の場合は、ボビンを回転軸にセットして連続貝係止具をボビンから引き出すことができるため、ボビンの回転が円滑になり、貝係止具の1本ずつの切断、切断した貝係止具のロープへの差し込みがスムースに行われる。ボビンには鍔があるため貝係止具をロール状に巻いた鍔を重ねて保管したり、収納したりすることができ、取り扱いに便利である。
(2)保護シートを介在させてロール状に巻いた場合は、連結されている多数の貝係止具同士が絡まり合うことがなく、連続貝係止具の巻き戻し(引き出し)がスムースになり、自動ピンセッターなどへのセットが容易になり、使い易くなる。
本発明の貝係止具の基本形態を図1(a)〜(d)を参照して説明する。これら図の貝係止具は海中に吊るす縦ロープ(図2b)及び貝6の耳にあけた孔6b(図2a)に差し込み可能なピン形状の基材1のほぼ中央部に第一ロープ止め突起3が2本突設され、第一ロープ止め突起3よりも外側の両端部(差し込み端部)5寄りには貝の抜けを規制する貝止め突起2が突設され、これら基材1、貝止め突起2、第一ロープ止め突起3が一体に樹脂成型されている。
基材1の形状は丸ピン、角ピン、他の形状のピンとすることができる。図1の基材1は両端部(差し込み端部)5を先細りに成型して貝6の孔6bに差し込み易くしてある。基材1のうち貝止め突起2と対向する内面には、基材1の中央部の外周面よりも一段低い凹部(寝床)10を設けて、貝止め突起2をその根元部分から基材1側に押し倒すと、貝止め突起2が寝床10内に伏して倒れ(倒伏し)て、貝止め突起2と寝床10が重なって輪郭が円形になるようにしてある。これにより貝止め突起2は貝係止具を基材1の軸方向一端から縦ロープに差し込むときも、貝の耳にあけた孔に差し込むときも、押し倒されて寝床10内に倒れて貝止め突起2が縦ロープ内を貫通し易くなる。また、差し込み時に倒れた貝止め突起2は縦ロープを貫通し終えたときも、貝6の孔6aを貫通し終えたときも、自己の弾性と復元力で自動的に起立して倒れる前の元の状態に復元できるようにしてある。
第一ロープ止め突起3は縦ロープに差し込んだ貝係止具が縦ロープから抜けるのを阻止するためのものであり、基材1の外周の同方向に二本突設され、互いに内向き斜めに突設されてハ字状になっている。第一ロープ止め突起3は基材1の長手方向中央部の外径よりもやや細い丸棒状であるが、それ以外の形状、例えば、三角や四角の棒状とか、楕円形の棒状等であってもよく、太さもそれ以外であってもよい。二本の貝止め突起2は図10(a)のように互いに反対方向に斜めに突設することも、図10(b)のように互いに同じ方向であるが貝止め突起2とは反対方向に突設することもできる。
貝止め突起2は図1(a)に明示するように、その立ち上がり部分(根元部分:基材1の軸方向一方の端部5)側から他方の端部5に向けて斜め外側広がりに突設され、更に、外面2a側に反り返るよう湾曲させて、貝止め突起2に係止された貝が抜けにくくなるようにしてある。また、図1(c)のように貝止め突起2の根元内側部分2dは円弧状に湾曲させて、貝止め突起2に貝の荷重が加わってもその荷重が貝止め突起2の根元内側部分2dに伝わりにくくなって、根元内側部分2dが切れにくくなるようにしてある。図1(a)〜(d)の貝止め突起2は薄板状に成型されているが、貝止め突起2は倒伏・復元可能な弾性のある丸棒状とか外面が円弧状の半円形とか、その他の形状とすることもできる。貝止め突起2は図1(d)のように基材1の軸方向一端部に反対方向に2枚ずつ突設することもできる。
図3(a)の貝係止具は、貝止め突起2の両側方に、その幅方向内側に窪んで幅を狭くする窪み部30を形成したものである。窪み部30は幅方向一側方のみに形成することもできる。また、両側方に形成する場合は、両側の窪み部30の位置を貝止め突起2の軸方向に少しずらすこともできる。窪み部30を設けることにより、海中に吊るしてある間に、貝止め突起2が幅の狭い部分から内側又は外側に首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。窪み部30の位置を貝止め突起2の軸方向に少しずらして設けた場合は、貝止め突起2が幅の狭い部分から曲がり易くなり、しかも、両側方の同じ位置に設けた場合よりも貝止め突起2における窪み部間の幅が狭くなるため、その部分の強度も低下しない。図示した窪み部30は貝止め突起2の両側面にその長手方向に沿って三個ずつ設けてあるが、両側面又は片側面に一以上設ければよい。窪み部30は直線状(V字状)に凹陥させてあるが、曲線状(例えばU字状)に湾曲させて窪ませることもできる。この場合、貝止め突起2における窪み部30の内側の幅狭部40aの内面又は外面を肉薄にして、幅狭部40aを肉薄部分から内面側又は外面側に曲がり易くすることもできる。
図3(b)の貝係止具は、前記貝止め突起2の内面2bに肉薄部2cを、幅方向に細長に形成したものである。肉薄部2cは貝止め突起2の外面2aと内面2bの双方又は外面2aだけに形成することもでき、いずれに形成した場合も二本以上形成することもできる。この場合も、海中に吊るしてある間に、貝止め突起2が肉薄部2cから内側又は外側に折れ易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。図3(b)の場合、基材1の寝床10に突起13が突設されている。これは寝床10の補強用であり、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏したときに、肉薄部2cが被さる位置に形成してあるが、突起13は必ずしも必要ではない。
図6(a)の貝係止具は貝止め突起2の先端部の全幅又は幅の一部分を基材1側に向けて(内向きにして)斜めに、へ字状に曲げて抜け止片40を形成したものである。抜け止片40は図6(b)のように貝止め突起2の先端部の全幅又は幅の一部分を基材1と反対側に向けて(外向きにして)斜めに、へ字状に曲げることもできる。いずれの場合も曲げ角度を急(鋭角)にすると、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通するときに抜け止部4が邪魔になって差し込みにくくなるため、図6(a)(b)に示したような緩やかな角度(ほぼへ字状)に屈曲させると、基材1の先端部及び貝止め突起2を差し込み易く、しかも、貫通してから貝が脱落しにくくなる。また、図6(a)のように内側に曲げた抜け止片40の曲がり部(屈曲部)41、図6(b)のように外側に曲げた抜け止片40の曲がり部41を、図6(c)(d)のように幅方向両側に内側に窪む窪み部30を形成して幅狭部40aを形成すれば、基材1の先端部の抜け止片40から貝止め突起2を差し込むときに、曲がっている抜け止部4が幅狭部40aから逆方向に戻って貝止め突起2が根元から先端部まで真っ直ぐになり易くなり、基材1の先端部及び貝止め突起2を差し込み易くなる。しかも貫通後は真っ直ぐになる前の屈曲状態に自動的に戻って復元して屈曲するため貝が脱落しにくくなる。幅狭部40aは貝止め突起2の幅方向片側だけに形成することもできる。この場合、図6(a)の曲がり部41の内側に図7(a)のように肉薄部2cを形成したり、図6(b)の曲がり部41の外側に図7(b)のように肉薄部2cを形成したり、図6(c)の曲がり部41の内側に図7(c)のように肉薄部2cを形成したりすることもできる。図7(a)のように肉薄にすれば、貝6の孔6aへの基材1の先端部及び貝止め突起2の差し込み時に、抜け止部4が肉薄部2cから外側に曲がって真っ直ぐに伸び易くなるため差し込みが容易になり、差し込み後は抜け止片40が肉薄部2cから自動的に内側に戻って(曲がって)下向きになるため貝6が抜けにくくなる。図7(b)のように肉薄にすれば、貝の孔への基材1の先端部及び貝止め突起2の差し込み時に、抜け止片40が肉薄部2cから内側に曲がって真っ直ぐに伸び易くなるため差し込みが容易になり、差し込み後は抜け止め片40が肉薄部2cから自動的に外側に戻って(曲がって)上向きになるため、貝が抜けにくくなる。図6(c)の場合は、曲がり部41の外側を肉薄にすることもできる。図示したいずれの場合も抜け止め片40は貝止め突起2の幅方向全体に形成してあるが、幅方向左右のいずれか側のみ、或いは幅方向中央のみ、或いは幅方向両側のみに形成することもできる。
抜け止め片40は図8(a)〜(d)のように、貝止め突起2の長手方向(軸方向)中央部から屈曲させて形成することもできる。この場合も、図9(a)〜(c)のように抜け止片40の曲がり部41の内側又は外側に肉薄部2cを形成することができる。抜け止片40の形成位置は貝止め突起2であれば他の箇所に形成することもできる。抜け止片40の形状、大きさ、曲げ角度等は所望のものとすることができる。
貝係止具は図18(a)のように基材1の第一ロープ止め突起3の反対側に第二ロープ止め突起13を突設したものでもよい。第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3よりも短くしてあり、第一ロープ止め突起3の根元の内側で、第一ロープ止め突起3の先端とほぼ同じ位置に同じ間隔で突設されている。
貝係止具は図19(a)のように、基材1の第一ロープ止め突起3の内側を台形状に第一ロープ止め突起3側に突出させ、その凹陥部15の内側に第二ロープ止め突起13を突設したものでもよい。この場合も、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3よりも短くして凹陥部15の内側に突出するか、凹陥部15よりもわずかに外側まで突出する程度の長さにしてある。また、突設位置は第一ロープ止め突起3の根元の内側で、第一ロープ止め突起3の先端とほぼ同じ位置に突設されている。第二ロープ止め突起13は前記実施形態のいずれかに記載の貝係止具に突設することもできる。
前記した各実施形態の貝係止具の貝止め突起2の先端又は抜け止片40の先端には、図3(c)、(d)のような抜け止部4を形成することもできる。抜け止部4は貝止め突起2に係止された貝6の脱落を防止するためのものである。抜け止部4は基材1及び貝止め突起2とともに貝6の孔6bに差し込んで貫通させるものであるため、その差し込み時に障害とならないように薄片、細片、細紐、細糸といった細い形状、薄い形状にしてある。図3(c)(d)では丸紐にして、貝止め突起2の延長線上に直線状に突設してあるが、図13(a)のように貝止め突起2の湾曲に沿って外側に湾曲させてもよく、図14(b)のように貝止め突起2の延長線上で内側に湾曲させることもできる。湾曲ではなく屈曲させることもできる。抜け止部4は図13(b)では貝止め突起2の幅方向中央部から突出させてあるが、貝止め突起2の幅方向両端側に突出させるとか、貝止め突起2と同じ幅で突出させることもできる。抜け止部4は図2(a)〜(c)のように、貝6の蝶つがい6a側の段差部7の外側まで突出する長さにしてある。抜け止部4は貝止め突起2に二本以上設けることもできる。この場合は、図3(d)のように貝止め突起2の幅方向に間隔をあけて設けてもよく、図3(c)のように貝止め突起2の肉厚方向に間隔をあけて設けてもよい。
本発明の集合貝係止具は、図15に示すように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて多数本平行に配置し、それら貝係止具の両端をレール状の剛性連結材21で連結して樹脂成型して、一枚の集合貝係止具としたものである。剛性連結材21は角棒状であり、太くして剛性を持たせて、隣接する貝係止具の間隔を変形しにくくすると共に、全体も変形しにくくしてある。剛性連結材21は角棒以外の形状とすることができる。
図16の集合貝係止具の基本的形状は図15の集合貝係止具と同じであり、異なるのは、各貝止め突起2の端部5を剛性連結材21で連結すると共に、各貝止め突起2の先端部5と剛性連結材21の間に、端部5よりも大径の円盤状の突起23を設けたことである。この突起23は集合貝係止具をピンセッターにセットして貝係止具を1本分ずつ移動させて、貝係止具を1本ずつ切断分離するときに、ギヤ送りするための係止部である。集合する貝係止具の本数は任意とすることができるが、作業性、形状保持性等の面から20〜30本程度が望ましい。
本発明の集合貝係止具は前記貝係止具の実施形態のいずれかに記載の貝係止具を図15、図16のように間隔をあけて多数本平行に配置し、それら貝係止具の両端をレール状の剛性連結材21で連結して樹脂成型することもできる。
本発明の連続貝係止具は、図17(a)のように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具のロープ止め突起3と貝止め突起2の間を丸紐状の可撓性連結材25で連結して樹脂成型して、ロール状に巻くことができるようにしたものである。
本発明の連続貝係止具は、図17(b)のように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の2本のロープ止め突起3の間を薄い平紐の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしてある。可撓性連結材25は、ロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
本発明の連続貝係止具の一例として図18(b)に示すものは、貝止め突起2が図6(a)の構造である貝係止具に図18(a)のように第二ロープ止め突起13を設けた貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13の間を薄い片の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしたものである。可撓性連結材25はロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
本発明の連続貝係止具の一例として図19(b)に示すものは、貝止め突起2が図6(a)の構造である貝係止具の基材1を図19(a)のように第一ロープ止め突起3側に台形状に曲げ、台形状の凹陥部15に第二のロープ止め突起13を設けた貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13の間を薄い片の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしたものである。可撓性連結材25はロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
本発明のロール状連続貝係止具は、前記した連続貝係止具を図20(a)のようにロール状に巻いたものである。この場合、連続貝係止具27に帯状のシート(シートより薄いフィルムを含む)18を添わせてロール状に巻いて、連続貝係止具27の間にシート18を介在させてある。シート18には障子紙のような帯状の紙とか、コピー用紙のような質、厚さの紙を帯状に長くしたものとか、帯状に長くした樹脂製のシート等を使用することができるが、使用後の廃棄処分の容易さから紙を使用するのが好ましい。シート18は幅、長さ共に連続貝係止具27のそれらと同程度のものが好ましいが、それより短いものを足しながら使用することもできる。本発明のロール状連続貝係止具はシート18を介在させずに巻くこともできる。
本発明の連続貝係止具27は図20(b)のように巻胴31の両端に鍔32を設けたボビン33の巻胴31にロール状に巻くこともできる。ボビン33は肉厚の紙製、樹脂製、木製等とすることができる。紙製の場合は使い捨てに適し、樹脂製、木製等の場合は再使用するのに適する。ボビン33に巻く連続貝係止具27の間にはシート18を介在させても、介在させなくともよい。
本発明の連続貝係止具の使用方法は種々あるが、一例としてはロール状に巻いた連続貝係止具27をほどいてその一端を自動切断差し込み機にセットし、自動切断差し込み機により自動的に貝係止具1を一本ずつ切り離して縦ロープに差し込み、ロープ止め突起3で縦ロープから抜けないようにする。縦ロープに差し込んだ貝係止具の端部5を貝6の耳に開口してある孔6bに差し込んで、貝止め突起2をその孔6bを貫通させ、貝6の耳を貝止め突起2によって係止する。貝係止具の長手方向他端を同様に貝6の孔6bに差し込んで貝止め突起2に貝6の耳を係止する。
(a)〜(d)は本発明の貝係止具の基本形状の説明図。
(a)は貝と抜け止部の位置関係を示す斜視説明図、(b)は貝を貝係止具で縦ロープに吊り下げた状態の側面説明図、(c)は(b)の右側面図。
(a)〜(d)は貝係止具の異なる例の斜視図。
(a)は貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の斜視図、(c)は貝係止具の異なる実施例の斜視図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる実施例の斜視図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる例の斜視図、(d)は(c)の貝係止具の平面図。
(a)〜(c)は図6(a)〜(c)の貝止め突起の屈曲部を肉薄にした状態の斜視図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる例の斜視図、(d)は(c)の貝係止具の平面図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる例の斜視図。
(a)、(b)は貝係止具の異なる例の側面図。
貝係止具の異なる例の側面図。
抜け止部を設けた貝係止具の異なる例の側面図。
(a)は図12A部の詳細図、(b)は(a)の左側面図。
(a)、(b)は抜け止部の異なる例の側面説明図。
集合貝係止具の一例の側面図。
集合貝係止具の他の例の側面図。
(a)、(b)は連続貝係止具の異なる例の側面図。
(a)は貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の貝係止具を連続成型した連続貝係止具の側面図。
(a)は貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の貝係止具を連続成型した連続貝係止具の側面図。
(a)はロール状連続貝係止具の一例の斜視図、(b)はボビンに巻いたロール状連続貝係止具の一例の側面図。
従来の貝係止具の使用の一例の斜視図。
(a)は従来の貝係止具の説明図、(b)は本発明の貝係止具の説明図。
符号の説明
1 基材
2 貝止め突起
2a 貝止め突起の外面
2b 貝止め突起の内面
2c 肉薄部
3 第一ロープ止め突起
4 抜け止部
5 基材の端部
6 貝
7 段差部
9 落下防止突起
10 寝床
11 受け凹部
12 折れ曲がり部
13 第二ロープ止め突起
15 凹陥部
18 シート
21 剛性連結材
23 突起
25 可撓性連結材
27 連続貝係止具
30 窪み部
31 巻胴
32 鍔
33 ボビン
40 抜け止片
40a 幅狭部
41 屈曲部
本発明は帆立貝、真珠貝、牡蠣、その他の貝の養殖に使用されるピン状の貝係止具と、数十本の貝係止を一定間隔で成型した集合貝係止具と、数千〜数万本のロール状に巻回可能に連続成型した連続貝係止具と、連続貝係止具をロール状に巻いたロール状連続貝係止具に関するものである。
帆立貝の養殖方法の一つとして図21に示す耳吊養殖がある。これは海面近くに横向きに張った横ロープ(図示せず)に、帆立貝を取付けた縦ロープCを縦向きに取り付けて海中に吊るす方法である。縦ロープCへの帆立貝の取付けにはピン状の貝係止具Dが使用されている。図21に示す貝係止具は樹脂成型されており、細長な基材Aの両端に貝止め突起Gがあり、その内側にロープ止め突起Eがある。貝係止具は縦ロープCに差し込み、貝Bにあけた孔に差し込んで貝Bを貝止め突起Gに係止する(特許文献1)。
海中に吊られた貝が波を受けて貝係止具Dを軸として回転したり、揺れたりすると、貝係止具Dの貝止め突起Gが捩れて基材Aの窪み(寝床)Iの上に倒伏し、貝Bが貝係止具Dの貝止め突起Gを乗り越えて矢印a方向に抜け落ちることがあり、養殖の歩留りが低下し、養殖業者の収益が減収する。
本発明は、貝止め突起が切断したり、倒伏したりしにくく、貝が抜け落ちないようにした貝係止具を提供するものである。
本発明の請求項1記載の貝係止具は、ロープと貝にあけた孔に差し込み可能な細長の基材1と貝止め突起2とが樹脂で一体成型され、又は基材1と貝止め突起2と第一ロープ止め突起3とが樹脂で一体成型され、貝止め突起2は基材1の軸方向一方の端部5側から軸方向他方の端部5側に突設して成型され、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、窪み部30と幅狭部40aは貝止め突起2の長手方向に二以上成型され、幅狭部40aは基材1側又はそれと反対側に曲がり易い幅に成型されたものである。
本発明の請求項2記載の貝係止具は、ロープと貝にあけた孔に差し込み可能な細長の基材1と、貝止め突起2とが樹脂で一体成型され、貝止め突起2は基材1の軸方向一方の端部5側から軸方向他方の端部5側に突設して成型され、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、貝止め突起2に前記幅狭部40aから基材1側又はそれと反対側に曲がった抜け止片40が成型されたものである。
本発明の請求項3記載の貝係止具は、請求項1又は請求項2記載の貝係止具において、貝止め突起2の先端より先方に一又は二以上の細い又は薄い抜け止部4が突設して成型されたものである。
本発明の請求項4記載の貝係止具は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の貝係止具おいて、基材1に第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13が突設され、両ロープ止め突起3、13は基材1の反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたものである。
本発明の請求項5記載の貝係止具は、請求項4記載の貝係止具において、基材1が第一ロープ止め突起3側に凹陥して成型され、その凹陥部15から第二ロープ止め突起13が第一ロープ止め突起3と反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたものである。
本発明の請求項6記載の集合貝係止具は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の軸方向両端部が剛性連結材21で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項7記載の連続貝係止具は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の基材1間がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項8記載の連続貝係止具は、請求項4又は請求項5記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、隣接する貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたものである。
本発明の請求項9記載のロール状連続貝係止具は、請求項7又は請求項8記載の連続貝係止具がシート18を宛がって又は宛がわずに、ボビンを使用して又は使用せずにロール状に巻かれたものである。
本発明の請求項1記載の貝係止具は、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、窪み部30と幅狭部40aは貝止め突起2の長手方向に二以上成型され、幅狭部40aは基材1側又はそれと反対側に曲がり易い幅に成型されたので、使用中(海中に吊るす前、吊るしてある間)に、貝止め突起が幅狭部40aから内側又は外側に首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。
本発明の請求項2記載の貝係止具は、貝止め突起2の幅方向一側方又は両側方に貝止め突起2の幅方向内側に窪んだ窪み部30が成型され、窪み部30の内側に幅の狭い幅狭部40aが成型され、窪み部30は直線状に又は曲線状に窪んで成型され、貝止め突起2に前記幅狭部40aから基材1側又はそれと反対側に曲がった抜け止片40が成型されたので、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通した後は、貝は抜け止部が邪魔になって脱落しない。
本発明の請求項3記載の貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具において、貝止め突起2の先端より先方に一又は二以上の細い又は薄い抜け止部4が突設して成型されたので、前記した貝脱落防止効果に加えて、抜け止部4による貝脱落防止効果もあり、貝の脱落を確実に防止できる。
本発明の請求項4、5記載の貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具に、第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13が基材1の反対方向に突出して成型され、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3の根元に又は先端よりも内側に突設されたので、第一ロープ止め突起の傾斜角度θを図22(b)のように小さくして、ロープ止め突起Eの根元間の間隔Mを図22(a)の間隔mより広くしても、ロープに差し込まれた貝係止具のスライド幅(左右へのずれ幅)が第二ロープ止め突起により規制されて小さくなり、貝係止具が位置ずれしにくくなる。このため、第一ロープ止め突起がロープへ衝突しにくくなり、第一ロープ止め突起の折損が無く、貝係止具がロープから抜けて脱落することがなく、養殖貝の歩留まりが向上する。
本発明の請求項6記載の集合貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具の軸方向両端部が剛性連結材21で連結されて成型されたので、多数枚を横向きにして上下に重ねたり、縦向きにして前後或は左右に並べたりして、切断差し込み機(通称:ピンセッター)にセットして、貝係止具を1本ずつ切断しながらロープに差し込むことができ、ロープへの差し込みが自動化され、作業性が向上する。この場合、多数本の貝係止具を同じ向きにして連結すれば、一本ずつ分離してロープに差し込む場合に貝係止具の方向が揃い、ロープへの差し込み、貝への差し込みなどの作業がし易くなる。剛性連結材での連結であるため、集合貝係止具をピン自動切断差し込み機にセットして一本ずつ切断して差し込むときに、集合貝係止具を自動送りしても隣接する貝係止具の間隔や集合貝係止具全体の形状が変化することが無く、切断、差し込み作業が安定する。
本発明の請求項7、8記載の連続貝係止具は、前記いずれかに記載の貝係止具が多数本平行に間隔をあけて配置され、且つ多数本の貝係止具がロール状に巻回可能な可撓性連結材25で連結されて成型されたので、次のような効果がある。
(1)貝係止具が数千、数万本と多くなっても、ロール状に巻回して保管、搬送、ピンセッターへのセットができ、コンパクトにまとまるため保管に場所をとらず取り扱いに便利である。
(2)可撓性連結材を薄肉片にすれば貝係止具の分離が容易になり、ロール状に巻き易くもなる。数十m以上長く連続成型された連続貝係止具は、保管や運搬の仕方によっては貝係止具のロープ止め突起同士が絡まったり、貝止め突起同士が絡まったり、基材の端部が曲がったりして、引き出しにくいとか、一本ずつ分離しにくくなることがあるが、保護シートがあるためそのようなことはない。
本発明の請求項9記載のロール状連続貝係止具は、前記連続貝係止具がシート18を宛がって又は宛がわずに、ボビンを使用して又は使用せずにロール状に巻かれたので、次のような効果がある。
(1)連続貝係止具をボビンにロール状に巻いたロール状連続貝係止具の場合は、ボビンを回転軸にセットして連続貝係止具をボビンから引き出すことができるため、ボビンの回転が円滑になり、貝係止具の1本ずつの切断、切断した貝係止具のロープへの差し込みがスムースに行われる。ボビンには鍔があるため貝係止具をロール状に巻いた鍔を重ねて保管したり、収納したりすることができ、取り扱いに便利である。
(2)保護シートを介在させてロール状に巻いた場合は、連結されている多数の貝係止具同士が絡まり合うことがなく、連続貝係止具の巻き戻し(引き出し)がスムースになり、自動ピンセッターなどへのセットが容易になり、使い易くなる。
本発明の貝係止具の基本形態を図1(a)〜(d)を参照して説明する。これら図の貝係止具は海中に吊るす縦ロープ(図2b)及び貝6の耳にあけた孔6b(図2a)に差し込み可能なピン形状の基材1のほぼ中央部に第一ロープ止め突起3が2本突設され、第一ロープ止め突起3よりも外側の両端部(差し込み端部)5寄りには貝の抜けを規制する貝止め突起2が突設され、これら基材1、貝止め突起2、第一ロープ止め突起3が一体に樹脂成型されている。
基材1の形状は丸ピン、角ピン、他の形状のピンとすることができる。図1の基材1は両端部(差し込み端部)5を先細りに成型して貝6の孔6bに差し込み易くしてある。基材1のうち貝止め突起2と対向する内面には、基材1の中央部の外周面よりも一段低い凹部(寝床)10を設けて、貝止め突起2をその根元部分から基材1側に押し倒すと、貝止め突起2が寝床10内に伏して倒れ(倒伏し)て、貝止め突起2と寝床10が重なって輪郭が円形になるようにしてある。これにより貝止め突起2は貝係止具を基材1の軸方向一端から縦ロープに差し込むときも、貝の耳にあけた孔に差し込むときも、押し倒されて寝床10内に倒れて貝止め突起2が縦ロープ内を貫通し易くなる。また、差し込み時に倒れた貝止め突起2は縦ロープを貫通し終えたときも、貝6の孔6aを貫通し終えたときも、自己の弾性と復元力で自動的に起立して倒れる前の元の状態に復元できるようにしてある。
第一ロープ止め突起3は縦ロープに差し込んだ貝係止具が縦ロープから抜けるのを阻止するためのものであり、基材1の外周の同方向に二本突設され、互いに内向き斜めに突設されてハ字状になっている。第一ロープ止め突起3は基材1の長手方向中央部の外径よりもやや細い丸棒状であるが、それ以外の形状、例えば、三角や四角の棒状とか、楕円形の棒状等であってもよく、太さもそれ以外であってもよい。二本の貝止め突起2は図10(a)のように互いに反対方向に斜めに突設することも、図10(b)のように互いに同じ方向であるが貝止め突起2とは反対方向に突設することもできる。
貝止め突起2は図1(a)に明示するように、その立ち上がり部分(根元部分:基材1の軸方向一方の端部5)側から他方の端部5に向けて斜め外側広がりに突設され、更に、外面2a側に反り返るよう湾曲させて、貝止め突起2に係止された貝が抜けにくくなるようにしてある。また、図1(c)のように貝止め突起2の根元内側部分2dは円弧状に湾曲させて、貝止め突起2に貝の荷重が加わってもその荷重が貝止め突起2の根元内側部分2dに伝わりにくくなって、根元内側部分2dが切れにくくなるようにしてある。図1(a)〜(d)の貝止め突起2は薄板状に成型されているが、貝止め突起2は倒伏・復元可能な弾性のある丸棒状とか外面が円弧状の半円形とか、その他の形状とすることもできる。貝止め突起2は図1(d)のように基材1の軸方向一端部に反対方向に2枚ずつ突設することもできる。
図3(a)の貝係止具は、貝止め突起2の両側方に、その幅方向内側に窪んで幅を狭くする窪み部30を形成したものである。窪み部30は幅方向一側方のみに形成することもできる。また、両側方に形成する場合は、両側の窪み部30の位置を貝止め突起2の軸方向に少しずらすこともできる。窪み部30を設けることにより、海中に吊るしてある間に、貝止め突起2が幅の狭い部分から内側又は外側に首折れ状態に曲がり易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。窪み部30の位置を貝止め突起2の軸方向に少しずらして設けた場合は、貝止め突起2が幅の狭い部分から曲がり易くなり、しかも、両側方の同じ位置に設けた場合よりも貝止め突起2における窪み部間の幅が狭くなるため、その部分の強度も低下しない。図示した窪み部30は貝止め突起2の両側面にその長手方向に沿って三個ずつ設けてあるが、両側面又は片側面に一以上設ければよい。窪み部30は直線状(V字状)に凹陥させてあるが、曲線状(例えばU字状)に湾曲させて窪ませることもできる。この場合、貝止め突起2における窪み部30の内側の幅狭部40aの内面又は外面を肉薄にして、幅狭部40aを肉薄部分から内面側又は外面側に曲がり易くすることもできる。
図3(b)の貝係止具は、前記貝止め突起2の内面2bに肉薄部2cを、幅方向に細長に形成したものである。肉薄部2cは貝止め突起2の外面2aと内面2bの双方又は外面2aだけに形成することもでき、いずれに形成した場合も二本以上形成することもできる。この場合も、海中に吊るしてある間に、貝止め突起2が肉薄部2cから内側又は外側に折れ易くなり、曲がるとその部分よりも先端側が邪魔して貝が脱落しにくくなる。図3(b)の場合、基材1の寝床10に突起13が突設されている。これは寝床10の補強用であり、貝止め突起2が寝床10の上に倒伏したときに、肉薄部2cが被さる位置に形成してあるが、突起13は必ずしも必要ではない。
図6(a)の貝係止具は貝止め突起2の先端部の全幅又は幅の一部分を基材1側に向けて(内向きにして)斜めに、へ字状に曲げて抜け止片40を形成したものである。抜け止片40は図6(b)のように貝止め突起2の先端部の全幅又は幅の一部分を基材1と反対側に向けて(外向きにして)斜めに、へ字状に曲げることもできる。いずれの場合も曲げ角度を急(鋭角)にすると、貝の孔に基材の先端部及び貝止め突起を貫通するときに抜け止部4が邪魔になって差し込みにくくなるため、図6(a)(b)に示したような緩やかな角度(ほぼへ字状)に屈曲させると、基材1の先端部及び貝止め突起2を差し込み易く、しかも、貫通してから貝が脱落しにくくなる。また、図6(a)のように内側に曲げた抜け止片40の曲がり部(屈曲部)41、図6(b)のように外側に曲げた抜け止片40の曲がり部41を、図6(c)(d)のように幅方向両側に内側に窪む窪み部30を形成して幅狭部40aを形成すれば、基材1の先端部の抜け止片40から貝止め突起2を差し込むときに、曲がっている抜け止部4が幅狭部40aから逆方向に戻って貝止め突起2が根元から先端部まで真っ直ぐになり易くなり、基材1の先端部及び貝止め突起2を差し込み易くなる。しかも貫通後は真っ直ぐになる前の屈曲状態に自動的に戻って復元して屈曲するため貝が脱落しにくくなる。幅狭部40aは貝止め突起2の幅方向片側だけに形成することもできる。この場合、図6(a)の曲がり部41の内側に図7(a)のように肉薄部2cを形成したり、図6(b)の曲がり部41の外側に図7(b)のように肉薄部2cを形成したり、図6(c)の曲がり部41の内側に図7(c)のように肉薄部2cを形成したりすることもできる。図7(a)のように肉薄にすれば、貝6の孔6aへの基材1の先端部及び貝止め突起2の差し込み時に、抜け止部4が肉薄部2cから外側に曲がって真っ直ぐに伸び易くなるため差し込みが容易になり、差し込み後は抜け止片40が肉薄部2cから自動的に内側に戻って(曲がって)下向きになるため貝6が抜けにくくなる。図7(b)のように肉薄にすれば、貝の孔への基材1の先端部及び貝止め突起2の差し込み時に、抜け止片40が肉薄部2cから内側に曲がって真っ直ぐに伸び易くなるため差し込みが容易になり、差し込み後は抜け止め片40が肉薄部2cから自動的に外側に戻って(曲がって)上向きになるため、貝が抜けにくくなる。図6(c)の場合は、曲がり部41の外側を肉薄にすることもできる。図示したいずれの場合も抜け止め片40は貝止め突起2の幅方向全体に形成してあるが、幅方向左右のいずれか側のみ、或いは幅方向中央のみ、或いは幅方向両側のみに形成することもできる。
抜け止め片40は図8(a)〜(d)のように、貝止め突起2の長手方向(軸方向)中央部から屈曲させて形成することもできる。この場合も、図9(a)〜(c)のように抜け止片40の曲がり部41の内側又は外側に肉薄部2cを形成することができる。抜け止片40の形成位置は貝止め突起2であれば他の箇所に形成することもできる。抜け止片40の形状、大きさ、曲げ角度等は所望のものとすることができる。
貝係止具は図18(a)のように基材1の第一ロープ止め突起3の反対側に第二ロープ止め突起13を突設したものでもよい。第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3よりも短くしてあり、第一ロープ止め突起3の根元の内側で、第一ロープ止め突起3の先端とほぼ同じ位置に同じ間隔で突設されている。
貝係止具は図19(a)のように、基材1の第一ロープ止め突起3の内側を台形状に第一ロープ止め突起3側に突出させ、その凹陥部15の内側に第二ロープ止め突起13を突設したものでもよい。この場合も、第二ロープ止め突起13は第一ロープ止め突起3よりも短くして凹陥部15の内側に突出するか、凹陥部15よりもわずかに外側まで突出する程度の長さにしてある。また、突設位置は第一ロープ止め突起3の根元の内側で、第一ロープ止め突起3の先端とほぼ同じ位置に突設されている。第二ロープ止め突起13は前記実施形態のいずれかに記載の貝係止具に突設することもできる。
前記した各実施形態の貝係止具の貝止め突起2の先端又は抜け止片40の先端には、図3(c)、(d)のような抜け止部4を形成することもできる。抜け止部4は貝止め突起2に係止された貝6の脱落を防止するためのものである。抜け止部4は基材1及び貝止め突起2とともに貝6の孔6bに差し込んで貫通させるものであるため、その差し込み時に障害とならないように薄片、細片、細紐、細糸といった細い形状、薄い形状にしてある。図3(c)(d)では丸紐にして、貝止め突起2の延長線上に直線状に突設してあるが、図13(a)のように貝止め突起2の湾曲に沿って外側に湾曲させてもよく、図14(b)のように貝止め突起2の延長線上で内側に湾曲させることもできる。湾曲ではなく屈曲させることもできる。抜け止部4は図13(b)では貝止め突起2の幅方向中央部から突出させてあるが、貝止め突起2の幅方向両端側に突出させるとか、貝止め突起2と同じ幅で突出させることもできる。抜け止部4は図2(a)〜(c)のように、貝6の蝶つがい6a側の段差部7の外側まで突出する長さにしてある。抜け止部4は貝止め突起2に二本以上設けることもできる。この場合は、図3(d)のように貝止め突起2の幅方向に間隔をあけて設けてもよく、図3(c)のように貝止め突起2の肉厚方向に間隔をあけて設けてもよい。
本発明の集合貝係止具は、図15に示すように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて多数本平行に配置し、それら貝係止具の両端をレール状の剛性連結材21で連結して樹脂成型して、一枚の集合貝係止具としたものである。剛性連結材21は角棒状であり、太くして剛性を持たせて、隣接する貝係止具の間隔を変形しにくくすると共に、全体も変形しにくくしてある。剛性連結材21は角棒以外の形状とすることができる。
図16の集合貝係止具の基本的形状は図15の集合貝係止具と同じであり、異なるのは、各貝止め突起2の端部5を剛性連結材21で連結すると共に、各貝止め突起2の先端部5と剛性連結材21の間に、端部5よりも大径の円盤状の突起23を設けたことである。この突起23は集合貝係止具をピンセッターにセットして貝係止具を1本分ずつ移動させて、貝係止具を1本ずつ切断分離するときに、ギヤ送りするための係止部である。集合する貝係止具の本数は任意とすることができるが、作業性、形状保持性等の面から20〜30本程度が望ましい。
本発明の集合貝係止具は前記貝係止具の実施形態のいずれかに記載の貝係止具を図15、図16のように間隔をあけて多数本平行に配置し、それら貝係止具の両端をレール状の剛性連結材21で連結して樹脂成型することもできる。
本発明の連続貝係止具は、図17(a)のように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具のロープ止め突起3と貝止め突起2の間を丸紐状の可撓性連結材25で連結して樹脂成型して、ロール状に巻くことができるようにしたものである。
本発明の連続貝係止具は、図17(b)のように図6(a)の貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の2本のロープ止め突起3の間を薄い平紐の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしてある。可撓性連結材25は、ロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
本発明の連続貝係止具の一例として図18(b)に示すものは、貝止め突起2が図6(a)の構造である貝係止具に図18(a)のように第二ロープ止め突起13を設けた貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13の間を薄い片の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしたものである。可撓性連結材25はロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
本発明の連続貝係止具の一例として図19(b)に示すものは、貝止め突起2が図6(a)の構造である貝係止具の基材1を図19(a)のように第一ロープ止め突起3側に台形状に曲げ、台形状の凹陥部15に第二のロープ止め突起13を設けた貝係止具を、間隔をあけて数千〜数万本平行に配置し、それら貝係止具の第一ロープ止め突起3と第二ロープ止め突起13の間を薄い片の可撓性連結材25で連結成型してロール状に巻くことができるようにしたものである。可撓性連結材25はロール状に巻くことができるものであれば他の形状とすることができる。
本発明のロール状連続貝係止具は、前記した連続貝係止具を図20(a)のようにロール状に巻いたものである。この場合、連続貝係止具27に帯状のシート(シートより薄いフィルムを含む)18を添わせてロール状に巻いて、連続貝係止具27の間にシート18を介在させてある。シート18には障子紙のような帯状の紙とか、コピー用紙のような質、厚さの紙を帯状に長くしたものとか、帯状に長くした樹脂製のシート等を使用することができるが、使用後の廃棄処分の容易さから紙を使用するのが好ましい。シート18は幅、長さ共に連続貝係止具27のそれらと同程度のものが好ましいが、それより短いものを足しながら使用することもできる。本発明のロール状連続貝係止具はシート18を介在させずに巻くこともできる。
本発明の連続貝係止具27は図20(b)のように巻胴31の両端に鍔32を設けたボビン33の巻胴31にロール状に巻くこともできる。ボビン33は肉厚の紙製、樹脂製、木製等とすることができる。紙製の場合は使い捨てに適し、樹脂製、木製等の場合は再使用するのに適する。ボビン33に巻く連続貝係止具27の間にはシート18を介在させても、介在させなくともよい。
本発明の連続貝係止具の使用方法は種々あるが、一例としてはロール状に巻いた連続貝係止具27をほどいてその一端を自動切断差し込み機にセットし、自動切断差し込み機により自動的に貝係止具1を一本ずつ切り離して縦ロープに差し込み、ロープ止め突起3で縦ロープから抜けないようにする。縦ロープに差し込んだ貝係止具の端部5を貝6の耳に開口してある孔6bに差し込んで、貝止め突起2をその孔6bを貫通させ、貝6の耳を貝止め突起2によって係止する。貝係止具の長手方向他端を同様に貝6の孔6bに差し込んで貝止め突起2に貝6の耳を係止する。
(a)〜(d)は本発明の貝係止具の基本形状の説明図。
(a)は貝と抜け止部の位置関係を示す斜視説明図、(b)は貝を貝係止具で縦ロープに吊り下げた状態の側面説明図、(c)は(b)の右側面図。
(a)〜(d)は貝係止具の異なる例の斜視図。
(a)は貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の斜視図、(c)は貝係止具の異なる実施例の斜視図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる実施例の斜視図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる例の斜視図、(d)は(c)の貝係止具の平面図。
(a)〜(c)は図6(a)〜(c)の貝止め突起の屈曲部を肉薄にした状態の斜視図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる例の斜視図、(d)は(c)の貝係止具の平面図。
(a)〜(c)は貝係止具の異なる例の斜視図。
(a)、(b)は貝係止具の異なる例の側面図。
貝係止具の異なる例の側面図。
抜け止部を設けた貝係止具の異なる例の側面図。
(a)は図12A部の詳細図、(b)は(a)の左側面図。
(a)、(b)は抜け止部の異なる例の側面説明図。
集合貝係止具の一例の側面図。
集合貝係止具の他の例の側面図。
(a)、(b)は連続貝係止具の異なる例の側面図。
(a)は貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の貝係止具を連続成型した連続貝係止具の側面図。
(a)は貝係止具の異なる実施例の側面図、(b)は(a)の貝係止具を連続成型した連続貝係止具の側面図。
(a)はロール状連続貝係止具の一例の斜視図、(b)はボビンに巻いたロール状連続貝係止具の一例の側面図。
従来の貝係止具の使用の一例の斜視図。
(a)は従来の貝係止具の説明図、(b)は本発明の貝係止具の説明図。
符号の説明
1 基材
2 貝止め突起
2a 貝止め突起の外面
2b 貝止め突起の内面
2c 肉薄部
3 第一ロープ止め突起
4 抜け止部
5 基材の端部
6 貝
7 段差部
9 落下防止突起
10 寝床
11 受け凹部
12 折れ曲がり部
13 第二ロープ止め突起
15 凹陥部
18 シート
21 剛性連結材
23 突起
25 可撓性連結材
27 連続貝係止具
30 窪み部
31 巻胴
32 鍔
33 ボビン
40 抜け止片
40a 幅狭部
41 屈曲部