JP2006233097A - パウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料 - Google Patents

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好修 福田
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Abstract

【課題】 成形物の偏肉を抑制することができるとともに、ピンホールを抑制することができるパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料を提供する。
【解決手段】 パウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料は、熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子よりなり、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が15〜65質量%であるとともに、JIS K7210に準じて測定されたメルトボリュームフローレイト(MVR)が20〜80(cm/min)である。前記熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子は、熱可塑性ポリウレタンを冷凍粉砕して得られるものであることが好ましい。また、前記200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子以外の粉体粒子は、200μm未満の粒子径を有している。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば自動車のドアの内張り材等を構成する表皮を得るための材料として用いられるパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料に関するものである。
従来、この種の自動車内装用表皮を形成する場合には、その材料として軟質塩化ビニル樹脂のパウダーを用い、パウダースラッシュ成形法により行われている。軟質塩化ビニル樹脂にはジオクチルフタレート(DOP)等の可塑剤が配合されていることから、柔軟性に富み、触感が良く、成形時における脱型性が良好で、低コストであるという利点がある。しかし、最近では自動車の廃棄時に塩化ビニル樹脂を燃焼させたとき環境を汚染する物質が発生することから、塩化ビニル樹脂の代替が進んでいる。また、軟質塩化ビニル樹脂を自動車内装用表皮として用いた場合には、ガラスに対するフォギング(曇値)が大きく、耐薬品性等の性能が劣り、さらに低温で脆性破壊の起こりにくい物性が求められていることから、代替が検討されている。
そのような問題を解決するため、軟質塩化ビニル樹脂に代えて熱可塑性ポリウレタン(TPU)が用いられるようになってきている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、熱可塑性ポリウレタンパウダーは、数平均分子量10000〜70000でかつ一次平均粒径1mm以下のものである。さらに、成形時の熱によって架橋した後のテトラヒドロフラン不溶分が10質量%以上であり、かつテトラヒドロフラン可溶分の数平均分子量が30000以上であるスラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタンエラストマーも知られている(例えば、特許文献2を参照)。そして、そのスラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタンエラストマーは粉砕され、80%以上の粒子が42メッシュ(400μm)の篩を通過する粉末として使用される。
特開2004−67954号公報(第2頁及び第9頁) 特開2001−40056号公報(第2頁及び第5頁)
ところが、特許文献1に記載されているような熱可塑性ポリウレタンパウダーは、平均粒径が1mm以下であって粒径が1mmを越えるものも存在し、粒径が大きく、しかも粒度分布の範囲が広い。そのため、係る熱可塑性ポリウレタンパウダーは、流動性が不均一となり、溶融温度にばらつきが生じ、成形物の厚さが場所によって偏る偏肉が発生したり、微小な孔(ピンホール)が生じたりするという問題があった。
一方、特許文献2に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、その粉末粒子が粒子径400μm以下という微細なものであるが、その粒度分布が調整されていない。そのため、熱可塑性ポリウレタンエラストマーによる流動特性が一定せず、成形物について偏肉が発生したり、ピンホールが生じたりする場合があるという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、成形物の偏肉を抑制することができるとともに、ピンホールを抑制することができるパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料は、熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子よりなり、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が15〜65質量%であるとともに、JIS K7210に準じて測定されたメルトボリュームフローレイト(MVR)が20〜80(cm/min)であることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料は、請求項1に係る発明において、前記熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子は、熱可塑性ポリウレタンを冷凍粉砕して得られるものであることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子以外の粉体粒子は、200μm未満の粒子径を有していることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料は、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が15〜65質量%に設定されている。そのため、パウダースラッシュ成形に適合する粒子径を有する粉体粒子の割合が多いことから、パウダースラッシュ成形時に加熱された金型の表面で熱可塑性ポリウレタン材料が適度な粘性をもって液状化され、厚さの均一な被膜が形成される。さらに、熱可塑性ポリウレタン材料は、JIS K7210に規定されたメルトボリュームフローレイト(MVR)が20〜80(cm/min)に設定されている。そのため、パウダースラッシュ成形時に加熱された金型の表面で熱可塑性ポリウレタン材料が緻密な被膜を得るのに適度な流動性を発現することができる。従って、これらの作用が相俟ってパウダースラッシュ成形により得られる成形物の偏肉を抑制することができるとともに、ピンホールを抑制することができる。
請求項2に記載の発明のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料では、熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子は、熱可塑性ポリウレタンを冷凍粉砕して得られるものである。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、熱可塑性ポリウレタンの微小な粉体粒子を容易に製造することができる。
請求項3に記載の発明のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料では、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子以外の粉体粒子は、200μm未満の粒子径を有している。従って、パウダースラッシュ成形時に粉体粒子が速やかに溶融され、請求項1又は請求項2に係る発明の効果を一層向上させることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料(以下、単に熱可塑性ポリウレタン材料ともいう。)は、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が15〜65質量%に設定される。かつ、JIS K7210に準じて測定されたメルトボリュームフローレイト(MVR)が20〜80(cm/min)に設定される。この種の熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子は、粒子径が通常500μm以下の範囲で分布しているが、その分布状態によってパウダースラッシュ成形用の材料として使用できるか否かが決定される。ここで、MVRは、190℃で2.16kg/cm(MPa)の条件下に測定された値である。上記の2つの要件を組合せることにより、パウダースラッシュ成形時に熱可塑性ポリウレタン発泡体が適度な粘性を示し、延いては良好な流動性を発現することができる。そのため、パウダースラッシュ成形によって得られる成形物は、肉厚が均一でピンホールの形成が抑制されたものとなる。
前記200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が15質量%未満の場合には、熱可塑性ポリウレタン材料を溶融したときに十分な粘性が得られず、パウダースラッシュ成形により得られる成形物(被膜)が均一になりにくく、偏肉が生ずる。一方、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が65質量%を越える場合には、熱可塑性ポリウレタン材料を溶融したときに粘性が高くなり過ぎ、流動性が悪化して成形物にピンホールが生じる結果を招く。上記200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子以外の粉体粒子は、200μm未満の粒子径を有していることが好ましい。このような200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子以外の粉体粒子の割合は、35〜85質量%であることが好ましい。その場合、粉体粒子の溶融時に粉体粒子が速やかに溶融され、良好な流動性が発現される。
また、前記MVRが20(cm/min)未満の場合には、粉体粒子の溶融時に流動性が低くなり過ぎて成形物にピンホールが生ずる結果となる。一方、MVRが80(cm/min)を越える場合には、粉体粒子の溶融時に粘度が低くなって流動性が高くなり、成形物に偏肉が発生する。
次に、熱可塑性ポリウレタン(又は熱可塑性ポリウレタンエラストマー)は、ポリマーポリオールより形成されるソフトセグメントと、ウレタン基(ウレタン結合)より形成されるハードセグメントとから構成されている。例えば、1,4−ブタンジオールとアジピン酸との縮合により両末端にヒドロキシル基を有するアジペート型ポリエステルポリオールと、短鎖ジイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との重付加反応(ウレタン化反応)により生成される熱可塑性ポリウレタン等が挙げられる。
ポリオールとしては、縮重合型ポリエステルポリオールのほか、ε−カプロラクトン等の環状エステルの開環重合により得られるポリエステルポリオール、環状エーテルの開環重合により得られるポリエーテルポリオール、及びこれらの共重合により得られるポリエーテルエステルポリオール等が用いられる。こられのポリオールに1,4−ブタンジオール等の鎖延長剤を併用することもできる。ポリオールの数平均分子量は、通常500〜10000であり、500〜4000であることが好ましい。この数平均分子量が500未満の場合には、ソフトセグメントが少なくなり、相対的にハードセグメントが多くなって熱可塑性ポリウレタンが硬くなり、感触が悪くなる傾向を示す。一方、数平均分子量が10000を越える場合には、ソフトセグメントが多くなり、相対的にハードセグメントが少なくなって結晶性が低下し、溶融時の粘度変化が小さくなり、成形性が悪化する傾向を示す。
ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添MDI、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が用いられる。これらのポリイソシアネートのうち、分子構造が対称性を有するHDI、MDI及び水添MDI等が好ましい。また、両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート末端プレポリマーを用いることにより、ハードセグメントの水素結合力を高めたり、結晶相を成長させたりすることができる。
ポリオール中のヒドロキシル基(OH基)の当量に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO基)の当量の比(NCO基/OH基)は、0.95〜1.05であることが好ましい。この比が0.95未満のときには、スラッシュ成形時における成形性は向上するが、得られる表皮材の耐薬品性等の物性が低下する。一方、1.05を越えるときには、アロファネート結合、ビューレット結合等によって架橋度が高くなり過ぎ、成形性が低下する。
熱可塑性ポリウレタンの原料としては、上記のポリオール及びポリイソシアネートのほかに、ウレタン化反応を促進するために、ジブチルスズジラウレート等の触媒を配合することができる。さらに、その他の添加剤を配合することができる。そのようなその他の添加剤としては、例えばタルク、シリカ、炭酸カルシウム等の無機充填剤、可塑剤等が挙げられる。無機充填剤を配合することにより、熱可塑性ポリウレタンの剛性を高めたり、粉末化する場合の粉砕性を向上させることができる。可塑剤としては、フタル酸エステル類、トリメリット酸エステル類、リン酸エステル類等が用いられる。また、その他の添加剤として、樹脂又はゴムを配合することもできる。樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等が挙げられる。ゴムとしては、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合ゴム(SEBS)等が用いられる。
上記のようにして得られる熱可塑性ポリウレタンは例えば塊状又はペレット状に形成され、それを粉砕して前述のような粉体粒子とすることにより、パウダースラッシュ成形用として用いることができる。粉砕方法としては冷凍粉砕が好ましく、低温で粉砕することにより、粒子径500μm以下の微小な粉体粒子を容易に得ることができる。この粉体粒子に粒子径5μm以下のシリカ粒子等の無機粒子を配合することにより、粉体粒子の流動性を向上させることもできる。さらに、熱可塑性ポリウレタン材料には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を配合し、耐熱性、耐光性、耐久性等を向上させることができる。
上記の熱可塑性ポリウレタン材料は、例えば自動車内装用表皮材料として用いられる。この自動車内装用表皮材料は粉体状に賦形され、パウダースラッシュ成形法により、熱可塑性ポリウレタン材料の融点以上の温度に加熱され、溶融されて自動車内装用表皮が製造される。自動車内装用表皮としては、ドアの内張り材(ドアトリム)等の表皮が挙げられる。
パウダースラッシュ成形法は、熱可塑性ポリウレタン材料の粉体(パウダー)を、加熱された金型内に投入し、金型を回転させることにより、金型の内表面に付着したパウダーを溶融させ、その後冷却して表皮を成形する方法である。すなわち、まず金型を熱風、オイル加熱、他の熱媒体による加熱等の手段により200〜260℃に加熱する。その状態で、金型内に熱可塑性ポリウレタン材料の粉体を金型内の成形凹部に投入する。次いで、金型を所定の速度で正回転及び逆回転させ、金型の成形凹部の表面に粉体を付着、溶融させて被膜を形成するとともに、余分な粉体を金型の成形凹部から回収する。その後、金型を水又はその他の冷却媒体により50〜80℃になるまで冷却する。最後に、金型の成形凹部の表面に形成された被膜を金型から離間させることにより、表皮が得られる。
さて、熱可塑性ポリウレタン材料を調製する場合には、まず例えばアジペート型ポリエステルポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートとのウレタン化反応により塊状の熱可塑性ポリウレタンを得、それを粗粉砕機で粉砕し、直径が数mm程度の粗粒を製造する。次いで、液体窒素を用い、前記粗粒を衝撃式粉砕機で冷凍粉砕することにより、粒子径500μm以下の微小な粉体粒子を得ることができる。得られた熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子を篩分けし、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が15〜65質量%であり、かつ前記MVRが20〜80(cm/min)の範囲となるように調整することにより、パウダースラッシュ成形用の熱可塑性ポリウレタン材料が製造される。
そして、例えば自動車内装用表皮を製造する際には、前記粉体粒子よりなる熱可塑性ポリウレタン材料を用い、パウダースラッシュ成形法により所定形状の表皮に成形される。すなわち、熱可塑性ポリウレタンの融点以上に加熱された金型内に前記粉体粒子を投入して付着させる。一定時間経過後、金型を正回転及び逆回転させ、余分な粉体粒子を落とすとともに、金型の内表面に粉体粒子の層を形成させる。その層は時間が経過するに伴って溶融し、被膜となり表皮が形成される。その後、金型を冷却し、表皮を金型から離間することにより、目的とする自動車内装用表皮が製造される。
このとき、熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子は粒子径が200〜500μmのものの割合が15〜65質量%であることから、パウダースラッシュ成形時に加熱された金型の表面で溶融して適度な粘性を示し、その溶融液から厚さの均一な被膜が形成される。しかも、粉体粒子の前記MVRが20〜80(cm/min)であるため、パウダースラッシュ成形時に加熱された金型の表面で適度な流動性が発現され、その溶融流動液から緻密な被膜が形成される。従って、成形された表皮は、厚さが一様で、欠損の見られないものとなる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 実施形態におけるパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料は、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が15〜65質量%に設定されている。そのため、パウダースラッシュ成形に適合する粒子径を有する粉体粒子の割合が多いことから、パウダースラッシュ成形時に加熱された金型の表面で熱可塑性ポリウレタン材料が適度な粘性をもって液状化され、厚さの均一な被膜が形成される。さらに、熱可塑性ポリウレタン材料は、JIS K7210に規定されたメルトボリュームフローレイト(MVR)が20〜80(cm/min)に設定されている。そのため、パウダースラッシュ成形時に加熱された金型の表面で熱可塑性ポリウレタン材料が緻密な被膜を得るのに適度な流動性を発現することができる。これら2つの要件が相乗的に作用し、パウダースラッシュ成形により得られる成形物の偏肉を抑制することができるとともに、ピンホールを抑制することができる。
・ また、熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子は、熱可塑性ポリウレタンを冷凍粉砕して得られるものであるため、熱可塑性ポリウレタンの微小な粉体粒子を容易に製造することができる。
・ さらに、前記200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子以外の粉体粒子は、200μm未満の粒子径を有していることから、パウダースラッシュ成形時に粉体粒子を速やかに溶融させることができる。
・ 加えて、前記のようなパウダースラッシュ成形で得られた成形不良品やバリ等の部分を粉体にし、粒度分布の調整をすることにより、パウダースラッシュ成形で再利用(リサイクル)することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
自動車内装用表皮材料として、熱可塑性ポリウレタン〔ディーアイシーバイエルポリマー(株)製、デスモパン〕を用いた。この熱可塑性ポリウレタンは、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が16質量%であるとともに、JIS K7210に規定された溶融粘度が26(cm/min、190℃/2.16kg)、48(cm/min、190℃/2.16kg)及び65(cm/min、190℃/2.16kg)のものを用いた。この熱可塑性ポリウレタンを用いてパウダースラッシュ成形を行ない、厚さ1mmの成形物である表皮を得た。パウダースラッシュ成形は前述した方法に従って行ない、加熱温度は220℃がピーク温度となるように設定した。
得られた成形物(表皮)について、偏肉及びピンホールを以下に示す条件にて測定した。そして、総合評価として、偏肉とピンホールの両方の特性を満たす場合に良品(○)とし、少なくとも一方の特性を満たしていない場合に不良品(×)として評価した。それらの結果を表1に示した。
(偏肉)
◎:成形物に肉厚が設定肉厚の90%以下の部分がない場合、○:成形物に肉厚が設定肉厚の60%以下の部分がない場合、×:成形物に肉厚が設定肉厚の60%以下の部分がある場合。
(ピンホール)
◎:目視により成形物にピンホールが認められない場合、○:直径0.4mm以上のピンホールがない場合、×:直径0.4mm以上のピンホールがある場合。
(実施例2〜4)
熱可塑性ポリウレタンについて、200〜500μmの粒子径を有する粒子の割合と、JIS K7210に規定された溶融粘度の値を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様に実施した。得られた成形物について、偏肉及びピンホールを実施例1と同様に測定し、評価した。それらの結果を表1に示した。
Figure 2006233097
表1に示したように、実施例1〜4においては偏肉とピンホールの両方の特性を満たしており、いずれも良品であった。特に、実施例2及び3では偏肉とピンホールの両方の特性が優れていた。
(比較例1〜4)
熱可塑性ポリウレタンについて、200〜500μmの粒子径を有する粒子の割合が10質量%で、MVRが36(cm/min)及び62(cm/min)である場合(比較例1)に関し、実施例1と同様に実施した。また、200〜500μmの粒子径を有する粒子の割合が72質量%で、MVRが27(cm/min)、38(cm/min)及び56(cm/min)である場合(比較例2)に関し、実施例1と同様に実施した。さらに、200〜500μmの粒子径を有する粒子の割合が16質量%で、MVRが15(cm/min)である場合(比較例3)及び200〜500μmの粒子径を有する粒子の割合が62質量%で、MVRが85(cm/min)である場合(比較例4)に関し、実施例1と同様に実施した。得られた成形物について、偏肉及びピンホールを実施例1と同様に測定し、評価した。それらの結果を表2に示した。
Figure 2006233097
表2に示したように、比較例1においては200〜500μmの粒子径を有する粒子の割合が少なく、粘性が低くなって成形物に偏肉が発生した。また、比較例2においては200〜500μmの粒子径を有する粒子の割合が多くなり過ぎて、粘性が高く、流動性が低下して成形物にピンホールが発生した。さらに、比較例3においては、MVRが小さくなり過ぎて粘性が高く、成形物にピンホールが生じた。比較例4においては、MVRが大きくなり過ぎて流動性が高くなり、成形物に偏肉が生じた。
尚、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ パウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料に用いられる熱可塑性ポリウレタンとして、懸濁重合法等により得られる球状の粉体粒子を使用することもできる。
・ パウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料をグローブボックス、ピラーガーニッシュ、アシストグリップ、インストルメントパネル等の自動車内装材料の表皮のほか、バンパー、スポイラー等の自動車外装材料を形成するための材料として用いることができる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が16〜62質量%であるとともに、JIS K7210に準じて測定されたメルトボリュームフローレイト(MVR)が26〜69(cm/min)であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料。このように構成した場合、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果を向上させることができる。
(2) 前記200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が22〜60質量%であるとともに、JIS K7210に準じて測定されたメルトボリュームフローレイト(MVR)が26〜69(cm/min)であることを特徴とする上記技術的思想(1)に記載のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料。このように構成した場合、技術的思想(1)に係る発明の効果を一層向上させることができる。

Claims (3)

  1. 熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子よりなり、200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子の割合が15〜65質量%であるとともに、JIS K7210に準じて測定されたメルトボリュームフローレイト(MVR)が20〜80(cm/min)であることを特徴とするパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料。
  2. 前記熱可塑性ポリウレタンの粉体粒子は、熱可塑性ポリウレタンを冷凍粉砕して得られるものであることを特徴とする請求項1に記載のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料。
  3. 前記200〜500μmの粒子径を有する粉体粒子以外の粉体粒子は、200μm未満の粒子径を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパウダースラッシュ成形用熱可塑性ポリウレタン材料。
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