JP2006231645A - 液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電素子を形成したアクチュエータ部材(第1基板)40と、圧電素子からのエネルギーを液体に伝える振動板30と、振動板30と接合され前記圧電素子の配置部位に対応した液体流路を形成する液室形成部材(第2基板)20と、前記液体流路に連通して液滴を吐出するノズル11が形成されたノズル板10とを備えたインクジェットヘッドにおいて、液室形成部材20は<110>シリコンをエッチングして形成され、同一パターンの流路ユニット20a,20bを複数結合して構成されている。
【選択図】図2
Description
特許文献1には、インクを吐出するために利用するインク吐出エネルギー発生素子を形成した第1基板と、第1基板と接合することにより吐出エネルギー発生素子の配置部位に対応したインク流路を形成するための凹部を有する第2基板と、インク流路と連通してインクを吐出するための吐出口が形成された吐出口形成部材とを備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、第1基板は、インクを吐出するために利用する吐出エネルギー発生素子を形成した短尺基板であるサブユニットをベースプレート上に複数個配列し、かつサブユニット間のすき間は流動性硬化部材で埋められて形成されていること、第1基板を保持するベースプレート上にサブユニット間のすき間に対応する溝が形成されていること、第2基板の凹部の凸部位と流動性硬化部材で埋められたサブユニットのすき間が対応するように第1基板と第2基板とが接合されていること、及び流動性硬化部材が常温硬化性樹脂であることが開示されている。
一方、ユニットの端面を突き当てて一列に配列する場合に、ユニット間にすき間を開けることにより問題を解消することが提案された(特開平4−229278号公報)。
加えて、各々のユニットの突き当て部でノズルを定められた間隔で配置するのが困難であることに鑑み、ノズルに対応する流路を形成している流路形成部材をシリコンで形成し、さらにはシリコンの異方性エッチングを用いて加工し、突き当て部での寸法精度の向上を図り、流路形成部材を組み立て精度の向上を図ることを目的とする。
以下、本発明の液滴吐出ヘッドを実施例に基づいて説明する。
図1に示すインクジェットヘッドは、ノズル板10、液室形成部材20、振動板30、アクチュエータ部材40の各部材から構成されている。
ノズル板10は、インク滴を飛翔させるための微細孔である多数のノズル11が各液室の先端部分に対応して形成されており、ノズル11の径は20−35μmである。このノズル板10は、例えば電鋳工法によって製造したNiの金属プレートを用いているが、シリコンやその他の金属、あるいはポリイミド等の樹脂フィルムを用いることができる。なお、ノズル板10には撥水性の表面処理膜を成膜している。
各ノズル11へ連通する連通管21は、例えばドライエッチングによる深堀と異方性エッチングにより形成されている。異方性エッチングを行うエッチング液としては、KOH水溶液、TMAH液等が使用できる。液室22は、Siの異方性エッチング法により形成されている。また液室形成部材20の表面には酸化膜が形成されている。酸化膜が形成されていることで、インクに対して溶出しにくく、また濡れ性も向上するため気泡の滞留が生じにくい構造となるが、酸化膜に限らず窒化チタン(TiN)膜、またはポリイミド膜でもかまわない。
実施例1のインクジェットヘッドは、図1に示すインクジェットヘッドにおいて、液室形成部材20が2列の連通管列を横断するように分割された例であって、液室形成部材20a,20bは各々シリコンからなる流路ユニットであって、各々側面を突き当てて接合される。なお、図2では2分割の例を示すが、分割数は2に限るものではない。
第1の分割例は、液室形成部材20が両端部20c,20f、及び内部を20d,20eという4種の流路ユニットからなる例である。この場合、端部1部材に対し、内部は分割数により必要数を考慮して母材に配置し製作する必要がある。さらに、内部の分割数自体も考慮の必要がある。不良発生数を考慮すると、さらに1母材での必要数、配置の考慮は複雑となる。
第2の分割例は、液室形成部材20が両端部20g,20i、及び内部を20h,20hという3種(内部は1種)の流路ユニットからなる例である。このように内部を1種にすることにより、分割数の自由度が増し、端部に対し内部の必要数の考慮も簡便となり、不良発生時の余剰流路ユニット製作数も少なくなる。
第3の分割例では、液室形成部材が両端部20j,20j(図5中の点線部の液室は不使用)、及び内部を20j,20jという1種の流路ユニットとした例である。このように1種の流路ユニットにすることにより、分割数は自由に選択可能となり、不良発生時の余剰流路ユニットはなくなる。さらには、接合数を変更することにより設計変更することなく、同一母材から、ヘッド長さの異なるヘッド組み立てが可能となる。
第1〜3の分割例に対して第4の分割例では、液室部で分割することを避け、非液室部のみの分割を液室(ノズル)千鳥配置のパターンで行う。これにより、図5に示す第3の分割例と同様に、1種類の流路ユニットとした例である。高次面相当部23の掘り込み部が現れるが、このエリアは補正パターンを適用することにより、液室に干渉しない設計が可能となる。
図7(A),図7(B)の場合の取れ数比較は、図7(A)のように100mm長の流路形成部材に分割がない場合の取れ数9個に対し、図7(B)のように16分割の場合は、取れ数10.2個(163/16)となる。ウェハ内のビットが良品の場合は、分割することにより取れ数の増率は1.13倍であるが、ウェハ内に1ビット不良が存在する場合、取れ数の増率は1.27倍となる。欠陥数が増加するとさらに増率は増加する。
図7(B)の太線部が分割(接合)面のスリットエリアを示し、細線部をダイシング等により切断して各部材を分割する。このように、スリット断面が突き当て部となるように加工する。
スリット断面を異方性エッチングで実施する際には、図8(A),図8(B)に示す太線部の形が崩れるため、補正パターンによる改善は実施されるが、液室部で断面した際の形が非液室部で断面した際の形とは異なるため、液室を同一の形にしようとすると、図8(B)に示すように非液室部(液室以外部)に太線部20sを設ける。
図9〜図11は、実施例2の流路ユニットの製造方法における一連の工程を示す図で、図10は図9の工程から続く工程を示し、図11は図10の工程から続く工程を示す。なお、それぞれの図の左図は図8(B)に示すC1−C2断面の片側ビットを示し、右図は図8(B)に示すB1−B2断面の一部を示す。
まず、図9(A)に示すように、厚さ400μmのシリコン基板<110>101を用意し、厚さ1.0μmのシリコン酸化膜102、及び0.2μmのLP−CVD窒化膜103を形成した。
以上の実施例では連通管形成工程で、本発明の突き当て面を形成するため、連通管と同じ精度で接合時の突き当て面形成が可能となる。
図12〜図14は、実施例3の流路ユニットの製造方法における一連の工程を示す図で、図13は図12の工程から続く工程を示し、図14は図13の工程から続く工程を示す。なお、それぞれの図の左図は図8(B)に示すC1−C2断面の片側ビットを示し、右図は図8(B)に示すB1−B2断面の一部を示す。
まず、図12(A)に示すように、厚さ400μmのシリコン基板<110>201を用意し、150μmのLP−CVD窒化膜202を形成した。
以上の実施例3の製造方法では、本発明の突き当て面を連通管形成工程と同工程で作製することにより、連通管と同じ精度で接合時の突き当て面形成が可能となる。
図15、図16は、実施例4の流路ユニットの製造方法における一連の工程を示す図で、図16は図15の工程から続く工程を示す。なお、それぞれの図の左図は図8(B)に示すC1−C2断面の片側ビットを示し、右図は図8(B)に示すB1−B2断面の一部を示す。
まず、図15(A)に示すように、厚さ400μmのシリコン基板<110>301を用意し、150μmのLP−CVD窒化膜302を形成した。
また、窒化膜のみを液室形成時のマスクとしているため、より高精度の寸法制御が可能となった。さらには短工程のプロセスであり、低コストの液室形成部材を形成することが可能となった。
以上、製造方法に関し3通りの実施例2〜4について説明したが、いずれの場合にも連通管と同時形成することにより、同じ精度で接合時の突き当て面形成が可能となる。
図17は、実施例5のインクカートリッジを示す全体斜視図である。
実施例5のインクカートリッジ51は、インク吐出口53等を有する実施例1のインクジェットヘッド52と、このインクジェットヘッド52に対してインクを供給するインクタンク54とを一体化したものである。
図18は、実施例6のインクジェット記録装置の要部を示す斜視図、図19は、同インクジェット記録装置の機構部を示す側面図である。
実施例6のインクジェット記録装置は、記録装置本体61の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ73、キャリッジ73に搭載され本発明の液滴吐出ヘッドからなるインクジェットヘッド74、インクジェットヘッドへインクを供給するインクカートリッジ75等で構成される印字機構部62等を収納し、装置本体61の下方部には前方側から多数枚の用紙63を積載可能な給紙カセット(あるいは、給紙トレイ)64を抜き差し自在に装着することができ、また用紙63を手差しで給紙するための手差しトレイ65を開倒することができ、給紙カセット64あるいは手差しトレイ65から給送される用紙63を取り込み、印字機構部62によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ66に排紙する。
Claims (7)
- 吐出エネルギー発生素子を形成した第1基板と、前記吐出エネルギー発生素子からのエネルギーを液体に伝える振動部材と、該振動部材と接合され前記吐出エネルギー発生素子の配置部位に対応した液体流路を形成する第2基板と、前記液体流路に連通して液滴を吐出する吐出口が形成された吐出口形成部材とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、前記第2基板はシリコンで形成された複数の流路ユニットを結合して構成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記複数の流路ユニットは同一パターンの流路ユニットを含むことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1または2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記第2基板を形成するシリコンは<110>シリコンであることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドと該液滴吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化したことを特徴とする液体カートリッジ。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項4に記載の液体カートリッジを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項4に記載の液体カートリッジを長尺化して搭載したことを特徴とするライン型液滴吐出装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法において、前記各流路ユニットは、シリコンウェハを用いたリソグラフィーによるマスク形成あるいはマスク膜のエッチングによりマスクパターンを形成した後、異方性のウェットエッチングあるいはドライエッチングと異方性ウェットエッチングの両方により、前記シリコンウェハをエッチングして得た貫通溝により一方向端面の連結部を形成し、他方向端面はダイシングにより分離することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
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