JP3909746B2 - 液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(インク流路、吐出室、圧力室、加圧液室、流路等とも称される。)と、この液室内のインクを加圧するための駆動手段(圧力発生手段)とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。なお、液滴吐出ヘッドとしては例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。
【0003】
インクジェットヘッドとしては、液室内のインクを加圧する圧力を発生するための駆動手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用いて、駆動手段の変位で液室の壁面を形成する弾性変形可能な振動板を変形させて液室内容積/圧力を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のものが知られている(特開平2−51734号公報参照)。
【0004】
このようなピエゾ型インクジェットヘッドの場合、各圧電素子に駆動波形(電気信号)を与えるために各圧電素子の電極はFPCを用いてPCB基板と電気的に接続するのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、圧電素子を用いたピエゾ型インクジェットヘッドにおいて、多ノズル化、高集積化が進み、ヘッドの長さが長くなってきている。従来は、全長20mm程度であったが、300dpiで約400ノズル程度を考えた場合、30〜40mm程度の長さとなる。
【0006】
ここで、そのため、従来のように圧電素子から電極を取り出すためにFPCを用いた場合、30mmを超える幅のFPCを使用することになるが、このようなFPCを用いると、FPC自体の吸水による寸法変化及び加熱接合時の伸びにより、FPCの電極パターンと圧電素子の電極の位置ズレが発生し、ショートやオープンが多発するという新たな課題が生じる。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、特に長尺ヘッドにおける圧電素子からの電極取り出しの品質及び信頼性を向上することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、圧電素子はベースに接合され、このベースには圧電素子との接合面に対して垂直方向にPCB基板が接合されて、圧電素子の外部電極の面とPCB基板の面とが平行な位置関係で配置され、圧電素子の外部電極の面とPCB基板の面とが直接ワイヤーボンディングによって接続されている構成としたものである。
【0009】
ここで、ベースは凹部を有し、凹部内にPCB基板が接合される構成とできる。また、ベースは金属材料であることが好ましい。さらに、金属材料は線膨張係数が10E−6/℃インクカートリッジであることが好ましい。
【0010】
また、PCB基板には圧電素子を駆動するためのドライバICを複数搭載して、圧電素子に与える電気信号をドライバIC単位で設定可能にされていることが好ましい。
【0011】
さらに、PCB基板には圧電素子を駆動するためのドライバICを搭載し、各加圧液室に液体を供給する共通液室に液体を供給する液体供給路をドライバICと少なくともベースを挟んで反対側に配置したことが好ましい。
【0012】
本発明に係るインクジェット記録装置は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載し、圧電素子を接合したベースが記録装置本体との位置決めに使用されているものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドについて図1を参照して説明する。なお、同図は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図である。
【0014】
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板で形成した流路基板(液室基板)1と、この流路基板1の下面に接合した振動板2と、流路基板1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによってインク滴を吐出するノズル5がインク練通路5aを介して連通する流路(インク液室)である加圧液室6、加圧液室6に流体抵抗部となるインク供給路7を介してインクを供給する共通液室8を形成している。
【0015】
ここで、流路基板1は、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、各加圧液室6となる貫通穴、インク供給路7となる溝部、共通液室8となる貫通穴をそれぞれ形成している。
【0016】
振動板2は例えばニッケルの金属プレートから形成したものであるが、この他、樹脂部材或いは樹脂部材と金属部材の積層部材などで形成することができる。この振動板2は加圧液室6に対応する部分に変形を容易にするための薄肉部21及び後述する圧電素子12と接合するための中央厚肉部22を形成するとともに周囲厚肉部23を形成して、平坦面側を流路基板1に接着剤接合している。
【0017】
ノズル板3は各加圧液室6に対応して直径10〜30μmのノズル5を形成し、流路基板1に接着剤接合している。このノズル板3としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。また、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、インクとの撥水性を確保するため、メッキ被膜、あるいは撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。
【0018】
そして、振動板2の面外側(液室6と反対面側)に各加圧液室6に対応して駆動手段としての積層型圧電素子12を接合している。この圧電素子12は圧電材料層12aと内部電極12bとを交互に積層したものであり、内部電極12bを交互に引き出してそれぞれ個別電極としての外部電極25及び共通電極としての外部電極26に接続している。ここでは、1つの長尺の圧電素子にスリットを形成することで各加圧液室6に対応する複数の圧電素子2を形成している。なお、本明細書において「圧電素子の全体の長さ」は各圧電素子2を形成する元になった長尺の圧電素子の長さを意味するものとする。
【0019】
ここでは、圧電素子12の圧電方向としてd33方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることも、圧電素子12の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることもできる。
【0020】
この圧電素子12は振動板2との接合面との反対側の面はベース13に接着剤27で接合して固定している。このベース13には圧電素子12との接合面に対して垂直方向の面にPCB基板14を接着剤を接合し、更に圧電素子12の個別外部電極25とPCB基板14とをワイヤー15で直接ワイヤーボンディングによって接続している。
【0021】
このように、圧電素子12の接合面とPCB基板14の接合面を垂直方向にすることにより、圧電素子の外部電極の面とPCB基板の面とが平行な位置関係で配置される、つまり、それぞれのボンディング面が平行となるので、圧電素子12の外部電極25の面とPCB基板14の面とを直接ワイヤーボンディングによって接続することが可能となる。このとき、圧電素子12とベース13を接合する面は、圧電素子12と振動板2を接合する面に平行になる。ベース13と接合する面と振動板2と接合する面が平行に対向することにより、ベース13が圧電素子12が発生する力を受け止めるのに効果的である。
【0022】
また、ベース13の材質(材料)は金属材料を用いることが好ましい。ベース13の材質が金属であれば、圧電素子12の自己発熱による蓄熱を防止することができる。圧電素子12とベース13は接着剤27により接着接合しているが、チャンネル数が増えると、圧電素子12の自己発熱により100℃近くまで温度が上昇し、接合強度が著しく低下することになる。また、自己発熱によりヘッド内部の温度上昇が発生し、インク温度が上昇するが、インクの温度が上昇すると、インク粘度が低下し、噴射特性に大きな影響を与える。したがって、ベース13を金属材料で形成して圧電素子12の自己発熱による蓄熱を防止することで、これらの接合強度の低下、インク粘度の低下による噴射特性の劣化を防止することができる
【0023】
さらに、ベース13の線膨張係数が大きいと、高温または低温でベース13と圧電素子12の接合界面で接着剤27の剥離が発生することがある。すなわち、従前は圧電素子の全長が長くなかったため、環境変動による温度差で圧電素子とベース13が剥離するという問題はほとんどなかったが、300dpiで約400ノズル程度を有する全体で30〜40mm程度の長さの圧電素子を用いることでこの問題が顕在化された。
【0024】
したがって、ベース13の材料としては線膨張係数が10E−6/℃以下の材質を用いることが好ましく、この線膨張係数の範囲にすることにより、環境変動による温度差で、圧電素子との接合界面が剥離することを防止できる。特に、圧電素子に接着接合される部品の線膨張係数を全て10E−6/℃以下にすると、接合界面の剥離に対し、非常に効果的であることを確認した。
【0025】
また、PCB基板14には各チャンネルの(各加圧液室6に対応する)圧電素子12を駆動する駆動波形(電気信号)を印加するためのドライバIC16を複数搭載している。このように、PCB基板14に複数のドライバIC16を搭載することにより、各ドライバIC16毎に電気信号を設定することができ、圧電素子12の変位特性のばらつきを容易に補正することができるようになる。
【0026】
すなわち、圧電素子の長尺化に伴い、チャンネル間の変位量ばらつきが大きくなることが顕在化してきているので、複数のドライバIC16を搭載することにより、長尺化した圧電素子12のチャンネル方向の変位量ばらつきを電圧により補正して、噴射特性の均一化を図ることができるようになる。
【0027】
さらに、振動板2の周囲厚肉部23にはフレーム17を接着剤で接合している。そして、このフレーム17には、ドライバIC16と少なくともベース13を挟んで反対側に配置されるように、共通液室8に外部からインクを供給するためのインク供給路18を形成している。このインク供給路18は振動板2の貫通穴2aを介して共通液室8に連通している。
【0028】
このように圧電素子12の共通電極となる外部電極26側からインクを供給することにより、ドライバIC16とインク供給路18、共通液室8、流体抵抗部7とを反対側に配置することが可能になり、ドライバIC16の発熱によるインクの温度上昇を防止することができる。
【0029】
すなわち、前述したように、ドライバIC16の発熱は、チャンネル数や駆動波形によっても違いがあるが、圧電素子12の長尺化にともなって100℃前後に達し、この発熱によってインクの温度が上昇すると、インクの粘度が低下し、噴射特性に大きな影響を及ぼすことになるので、ドライバIC16の温度上昇によるインク粘度の低下は絶対に避けなければならない。従来は、チャンネル数が少ないため、ドライバICの発熱はさほど大きな問題ではなかったが、ヘッドの長尺化に伴って温度上昇によるインクの低粘度化が大きな問題となってきているので、上記構成を採用することによってこの問題を解決することができる。
【0030】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、圧電素子12に対して選択的に20〜50Vの駆動パルス電圧を印加することによって、パルス電圧が印加された圧電素子12が積層方向(d33方向を用いる場合)に変位して振動板2をノズル5方向に変形させ、加圧液室6の容積/体積変化によって加圧液室6内のインクが加圧され、ノズル5からインク滴が吐出(噴射)される。
【0031】
そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室6内の液圧力が低下し、このときのインク流れの慣性によって加圧液室6内には若干の負圧が発生する。この状態の下において、圧電素子12への電圧の印加をオフ状態にすることによって、振動板2が元の位置に戻って加圧液室6が元の形状になるため、さらに負圧が発生する。このとき、インク供給路18から共通液室8、流体抵抗部であるインク供給路7を経て加圧液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル5のインクメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次のインク滴吐出のために圧電素子12にパルス電圧を印加しインク滴を吐出させる。
【0032】
このインクジェットヘッドにおいては、上述したように圧電素子12の接合面とPCB基板14の接合面を垂直方向にして圧電素子12の外部電極25からPCB基板14に直接ワイヤーボンディングしている。これにより、長尺化した圧電素子に対する電極取り出しが容易になり、品質が向上する。
【0033】
すなわち、300dpiで約400ノズル程度を有する全体で30〜40mm程度の長さの圧電素子から電極を取り出す場合、圧電素子の外部電極から直接PCB基板にワイヤーボンディングで電極接続を行なうことにより、ショートやオープンの発生が防止され、接続品質を向上し、電極取り出しが容易になるとともに品質も向上する。
【0034】
次に、本発明の液滴吐出ヘッドの第2実施形態に係るインクジェットヘッドについて図2を参照して説明する。なお、同図は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図である。
このヘッドにおいては、ベース13に凹部28を形成し、この凹部28内にPCB基板14を接着剤で接合している。この凹部28の深さはPCB基板14の厚さとほぼ同一にしている。これにより、圧電素子12の外部電極25とPCB基板14のワイヤーボンディング面を略同一面上に配置することができ、CCDカメラでのフォーカスが容易となり位置決め精度の高精度化を図ることができる。
【0035】
つまり、ワイヤーボンディングで圧電素子の外部電極とPCB基板を接続する場合に、接続部が大きくずれていると、カメラによる画像処理で位置決めする場合にフォーカスが合いずらくなり、位置決め精度が低下し、接合品質が低下することになるが、上述した構成とすることにより、ワイヤーボンディング面を略同一面上に配置することができて位置決め精度の高嬢による接合品質の向上を図れる。
【0036】
この場合、PCB基板14の端部と圧電素子14接合面までの距離を近づけるほど、つまり、ベース13の隔壁部13aを薄くするほどワイヤー15の長さが短くなるが、近づけ過ぎるとベース13の圧電素子12を接合する隔壁部13aが薄くなり、剛性が低下し、振動特性が劣化する。
【0037】
この場合、PCB基板14に直接圧電素子12を接着接合することも考えられるが、このようにすると、PCB基板14の剛性不足で、振動特性が劣化することを実験で確認した。これは、PCB基板14の材質によるところが大きいが、通常のガラエポでは振動特性が悪く、セラミックを使用すれば比較的振動特性が良いことも確認されている。また、PCB基板14に圧電素子12を直接接合した場合、PCB基板14の厚さばらつきが大きいため、圧電素子12のスリット加工の深さばらつきが大きくなるという問題も発生している。したがって、圧電素子12を接合する部材とドライバIC16を実装する部材とは一体構造でない方が良い。
【0038】
次に、本発明に係るインクジェットヘッドの組み立て及び記録装置への組み付けについて図3ないし図5を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの平面説明図、図4は図3の左側面一部破断説明図、図5は図3の正面説明図である。
まず、ヘッドにおいては、圧電素子12を接着接合するベース13を基準にヘッドの組立を行い、次に、このベース13を記録装置本体との位置決めに使用する。ベース13には、X方向基準(図3)、Y方向基準(図3)及びZ方向基準(図4)があり、これら基準を使用して各部の組立を行う。
【0039】
このように、ヘッドのベース13を基準として組み立てを行い、ベース13を基準として記録装置本体への組み付けを行うことで、複数のヘッドを記録装置に塔載する場合の各ヘッド間の位置決め精度を高くすることができ、色ズレの発生を防止して高品質な画像を記録することができる。
【0040】
すなわち、ブラックとカラーにヘッドが分かれていれば、位置決め精度はあまり大きな問題にならないが、そうでない場合で複数ヘッドを記録装置に搭載する場合、ヘッドの記録装置への位置決め精度が悪いと、色ズレが発生し、高品質な画像を得ることができなくなるので、上述したようにベースを基準として組み付けを行うことで、高品質画像が得られるようにする。
【0041】
そこで、このようなインクジェットヘッドを塔載するためのインクジェット記録装置の一例について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は同記録装置の斜視説明図、図7は同記録装置の機構部の側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体51の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部52等を収納し、装置本体51の下方部には前方側から多数枚の用紙53を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)54を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙53を手差しで給紙するための手差しトレイ55を開倒することができ、給紙カセット54或いは手差しトレイ55から給送される用紙53を取り込み、印字機構部52によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ56に排紙する。
【0042】
印字機構部52は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド61と従ガイドロッド62とでキャリッジ63を主走査方向(図12で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ63にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドである複数のインクジェットヘッドからなるヘッド64を複数のインク吐出口を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ63にはヘッド64に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ65を交換可能に装着している。
【0043】
インクカートリッジ65は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド64を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0044】
ここで、キャリッジ63は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド61に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド62に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ63を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ67で回転駆動される駆動プーリ68と従動プーリ69との間にタイミングベルト70を張装し、このタイミングベルト70をキャリッジ63に固定しており、主走査モーター67の正逆回転によりキャリッジ63が往復駆動される。
【0045】
一方、給紙カセット54にセットした用紙53をヘッド64の下方側に搬送するために、給紙カセット54から用紙53を分離給装する給紙ローラ71及びフリクションパッド72と、用紙53を案内するガイド部材73と、給紙された用紙53を反転させて搬送する搬送ローラ74と、この搬送ローラ74の周面に押し付けられる搬送コロ75及び搬送ローラ74からの用紙53の送り出し角度を規定する先端コロ76とを設けている。搬送ローラ74は副走査モータ77によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0046】
そして、キャリッジ63の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ74から送り出された用紙53を記録ヘッド64の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材79を設けている。この印写受け部材79の用紙搬送方向下流側には、用紙53を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ81、拍車82を設け、さらに用紙53を排紙トレイ56に送り出す排紙ローラ83及び拍車84と、排紙経路を形成するガイド部材85,86とを配設している。
【0047】
記録時には、キャリッジ63を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド64を駆動することにより、停止している用紙53にインクを吐出して1行分を記録し、用紙53を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙53の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙53を排紙する。
【0048】
また、キャリッジ63の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド64の吐出不良を回復するための回復装置87を配置している。回復装置87はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ63は印字待機中にはこの回復装置87側に移動されてキャッピング手段でヘッド64をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0049】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド64の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0050】
このように本発明に係るインクジェットヘッドをベースを基準として組みつけて搭載しているので、安定して高画質記録を行うことができる。
【0051】
なお、上記実施形態においては、液滴吐出ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドとして、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。
【0052】
また、上記実施形態においては、本発明を振動板変位方向と液滴吐出方向が同じになるサイドシュータ方式のヘッドに適用したが、振動板変位方向とインク滴吐出方向とが直交するエッジシュータ方式のヘッドにも同様に適用することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、圧電素子はベースに接合され、このベースには圧電素子との接合面に対して垂直方向にPCB基板が接合されて、圧電素子の外部電極の面とPCB基板の面とが平行な位置関係で配置され、圧電素子の外部電極の面とPCB基板の面とが直接ワイヤーボンディングによって接続されている構成としたので、圧電素子からの電極取り出しの品質と信頼性が向上する。
【0054】
ここで、ベースは凹部を有し、凹部内にPCB基板が接合される構成とすることで、ワイヤーボンディングを略同一面とすることができ、位置決め精度の向上を図ることができる。また、ベースは金属材料とすることで、圧電素子の自己発熱による蓄熱を抑制することができる。さらに、金属材料は線膨張係数が10E−6/℃以下とすることで、圧電素子とベースの線膨張係数差による剥離を防止することができる。
【0055】
また、PCB基板には圧電素子を駆動するためのドライバICを複数搭載して、圧電素子に与える電気信号をドライバIC単位で設定可能にされていることで、長尺ヘッドのおける吐出特性のばらつきを容易に補正することができる。
【0056】
さらに、PCB基板には圧電素子を駆動するためのドライバICを搭載し、各加圧液室に液体を供給する共通液室に液体を供給する液体供給路をドライバICと少なくともベースを挟んで反対側に配置することで、ドライバICの放熱による液粘度の上昇を防止することができる。
【0057】
本発明に係るインクジェット記録装置によれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載し、圧電素子を接合したベースが記録装置本体との位置決めに使用されているので、高画質記録が行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図2】本発明の液滴吐出ヘッドの第2実施形態に係るインクジェットヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図3】本発明に係るヘッドの組み立て及び記録装置への組み付けの説明に供するヘッドの平面説明図
【図4】図3の左側面一部破断説明図
【図5】図3の正面説明図
【図6】本発明に係るインクジェット記録装置の一例を示す斜視説明図
【図7】同記録装置の機構部の側面説明図
【符号の説明】
1…流路基板、2…振動板、3…ノズル板、5…ノズル、6…加圧液室、7…流体抵抗部、8…共通液室、12…圧電素子、13…ベース、14…PCB基板、15…ワイヤー、16…ドライバIC、17…フレーム、18…インク供給路。
Claims (7)
- ノズルが連通する加圧液室に対応させて配置した積層型圧電素子を駆動して前記加圧液室内の液体を加圧することで前記ノズルから液滴を噴射させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子はベースに接合され、このベースには前記圧電素子との接合面に対して垂直方向にPCB基板が接合されて、前記圧電素子の外部電極の面と前記PCB基板の面とが平行な位置関係で配置され、前記圧電素子の外部電極の面と前記PCB基板の面とが直接ワイヤーボンディングによって接続されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記ベースは凹部を有し、前記凹部内に前記PCB基板が接合されることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記ベースは金属材料であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項3に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記金属材料は線膨張係数が10E−6/℃以下であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記PCB基板には前記圧電素子を駆動するためのドライバICを複数搭載して、前記圧電素子に与える電気信号をドライバIC単位で設定可能にされていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記PCB基板には前記圧電素子を駆動するためのドライバICを搭載し、前記各加圧液室に液体を供給する共通液室に液体を供給する液体供給路を前記ドライバICと少なくとも前記ベースを挟んで反対側に配置したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記液滴吐出ヘッドの圧電素子を接合したベースが記録装置本体との位置決めに使用されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
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