JP2003094641A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法

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JP2003094641A
JP2003094641A JP2001287940A JP2001287940A JP2003094641A JP 2003094641 A JP2003094641 A JP 2003094641A JP 2001287940 A JP2001287940 A JP 2001287940A JP 2001287940 A JP2001287940 A JP 2001287940A JP 2003094641 A JP2003094641 A JP 2003094641A
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droplet discharge
discharge head
ink
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JP2001287940A
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Shigeru Kanehara
滋 金原
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体の淀みや気泡滞留が生じ易い。 【解決手段】 加圧液室6とインク供給路7の繋ぎ部1
5の両壁面には、流路基板1の主平面(加圧液室表裏
面)に対して垂直でない面16を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いる
インクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズル
と、このノズルが連通する液室(インク流路、吐出室、
圧力室、加圧液室、流路等とも称される。)と、この液
室内のインクを加圧するための駆動手段(圧力発生手
段)とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェット
ヘッドを搭載したものである。なお、液滴吐出ヘッドと
しては例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐
出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出
ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを
中心に説明する。
【0003】インクジェットヘッドとしては、駆動手段
が圧電素子であるもの(特公平2−51734号公
報)、インクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でイ
ンクを吐出させる方法(特公昭61−59911号公
報)、駆動手段に静電気力を利用したもの(特開平5−
50601号公報)などがある。
【0004】インクジェットヘッドは、記録媒体上のド
ットをインク滴により構成する関係上、インク滴のサイ
ズを小さくすることにより、極めて高い解像度での記
録、印刷が可能である。しかしながら、効率よく記録す
るためには、ノズル開口の数を多くする必要があり、特
に、圧電振動子を駆動手段とするものにあっては、圧電
振動子のエネルギーを効率よく使用するために圧力室
(加圧液室)を大きくする必要があり、小型化の要請と
相反することになる。このような相反する問題を解消す
るため、通常、隣り合う圧力室を区画している壁(隔
壁)を薄くすると共に圧力室の形状を長手方向に大きく
して容積を稼ぐことが行われている。
【0005】このような圧力室やリザーバは振動板とノ
ズルプレートの間隔を所定の値に保持する部材である液
室形成部材に形成されているが、上述したように、極め
て小さく、しかも複雑な形状を備えた圧力室を形成する
必要上、通常、エッチング技術が使用されている。この
ような液室形成部材を構成する材料としては感光性樹脂
膜が使用されることが多いが、これは機械的強度が低い
ため、クロストークや撓み等が生じ、高い解像度を実現
しようとすると印字品質が低下するという問題がある。
【0006】そこで、結晶方位(110)の単結晶シリ
コン基板を液室形成部材に用いて、異方性エッチングを
行って圧力室やリザーバを形成することが提案されてい
る(例えば米国特許第4312008)。このような単
結晶シリコンを使用して液室形成部材を形成する方法に
関しては、例えば、次のようなものが知られている。
【0007】 特開平7−166374号公報には、
結晶方位(110)のシリコン結晶基板に、通孔を形成
すべきパターンに一致して表面、および裏面に鏡像関係
を持つ二酸化珪素からなる異方性エッチング保護膜のパ
ターンを形成し、表裏両面から異方性エッチングを行な
って通孔を形成する方法であって、比較的大きな第一の
通孔に接続する幅の狭い第二の通孔の一方の壁面を同一
平面上として形成するとともに他方に壁面に一致して剣
状のエッチング保護パターンを形成して異方性エッチン
グを行なうシリコン単結晶基板のエッチング加工方法が
開示されている。
【0008】 特開平7−125198号公報には、
結晶方位(110)のシリコン単結晶基板を異方性エッ
チングする際に、圧力発生室とリザーバとを形成する通
孔をそれぞれ一方の壁面を同一面として形成し、また、
圧力発生室を形成する通孔を区画するノズル開口近傍の
壁面を相互に鈍角で接する壁面で形成することで、イン
ク供給口と圧力発生室が平滑な流路として構成され、ま
たインクが停留しやすいノズル開口近傍の壁面がノズル
開口に対して可及的に等距離となるようにしたヘッドが
開示されている。
【0009】 特開平11−227197号公報に
は、(110)面方位のシリコン基板からなり、当該シ
リコン基板を貫通する微小の貫通孔を有する貫通孔形成
基板において、貫通孔は実質的に(110)面に直交す
る二つの(111)面で構成され、当該貫通孔の開口は
実質的に略平行四辺形であり、かつ略平行四辺形の相対
的に小さい内角を有する挟角を形成する隅部の少なくと
も一方の外側に平行四辺形より細長の細長部を有し、最
長部の長さにより隅部に存在するテーパ状の残留部分の
位置を制御することにより、微小の貫通孔を形成する方
法が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したシリコン基板
を用いた液室形成部材は、機械的剛性が高いため、圧電
振動子の変形の伴う記録ヘッドの全体を撓みを小さくで
きるとともに、エッチングを受けた壁面が表面に対して
ほぼ垂直であるため、圧力室をほぼ均一に構成すること
が可能であるという大きな利点を備えている。
【0011】しかしながら、エッチングが結晶方位に依
存するため、ヘッドの液室として理想的な形状に加工す
ることが困難で、液室内に液体の淀みや気泡の停滞を招
きやすいという課題がある。
【0012】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、液の流れがスムーズで液の淀みや気泡の停滞を
防止した液滴吐出ヘッド及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、加圧液室及び液供
給路を形成する液室形成部材はシリコンで形成され、液
供給路から加圧液室への繋ぎ部の壁面には液室形成部材
の主平面に対して垂直でない面を有する構成としたもの
である。
【0014】ここで、液供給路から加圧液室への繋ぎ部
の両壁面に液室形成部材の主平面に対して垂直でない面
を有することが好ましい。また、共通液室から液供給路
への繋ぎ部の両壁面に液室形成部材の主平面に対して垂
直でない面を有することも好ましい。さらに、液室形成
部材の壁面には酸化膜又は窒化チタン膜若しくはポリイ
ミド膜が成膜されていることが好ましい。
【0015】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する方法であっ
て、液室形成部材の主平面に対して垂直でない面を異方
性エッチングによって形成するものである。ここで、液
室形成部材はエッチング前に繋ぎ部に帯状のエッチング
保護パターンを有することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。本発明の液滴吐出ヘッドの第
1実施形態に係るインクジェットヘッドについて図1乃
至図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分
解斜視説明図、図2は同ヘッドの液室長手方向に沿う要
部断面説明図、図3は同ヘッドの液室短手方向に沿う要
部断面説明図、図4は同ヘッドの液室部の要部平面説明
図である。
【0017】このインクジェットヘッドは、単結晶シリ
コン基板で形成した液室形成部材である流路基板(液室
基板)1と、この流路基板1の下面に接合した振動板2
と、流路基板1の上面に接合したノズル板3とを有し、
これらによってインク滴を吐出するノズル4がノズル連
通路5を介して連通する流路(インク液室)である加圧
液室6、加圧液室6に流体抵抗部となるインク供給路7
を介してインクを供給する共通液室8を形成している。
【0018】そして、振動板2の面外側(液室6と反対
面側)に各加圧液室6に対応して駆動手段としての圧電
素子12を、各加圧液室6間の隔壁に対応して支柱部材
13をそれぞれ接合し、これら圧電素子12及び支柱部
材13の他端部はベース基板14に接合して固定してい
る。ベース基板14としては、セラミックス基板、例え
ばチタン酸バリウム、アルミナ、フォルステライトなど
の絶縁性の基板を用いている。
【0019】ここで、流路基板1は、例えば面方位(1
10)に単結晶シリコン基板からなる。(110)シリ
コン基板を使用することにより、ノズルのピッチ方向に
対して垂直な壁面を有する加圧液室6を形成することが
でき、微細化、狭ピッチ化に有利となる。この流路基板
1のノズル連通孔5は、例えばドライエッチング法によ
り形成しているが、レーザー加工法、サンドブラスト
法、放電加工法による加工で形成することもできる。ま
た、加圧液室6となる凹部、共通液室8となる凹部、共
通液室から加圧液室6に連通する流体抵抗部としてイン
ク供給路7となる溝部はアルカリ水溶液を用いた異方性
エッチングで形成している。
【0020】この流路基板1の加圧液室6、共通液室
8、インク供給路7を形成する壁面には耐インク性膜9
としての酸化膜を例えば1μm厚で形成している。これ
により、シリコンのインクに対する溶出を防止し、ま
た、濡れ性が向上して気泡の滞留が生じにくくなる。な
お、耐インク性膜9としては、酸化膜に限らず、窒化チ
タン(TiN)膜、または有機樹脂膜、例えばポリイミ
ド膜などを用いることもできる。
【0021】ここで、流路基板1の流路壁面形状につい
て図4を参照して説明すると、加圧液室6とインク供給
路7の繋ぎ部15の両壁面には、流路基板1の主平面
(加圧液室表裏面)に対して垂直でない面16を形成し
ている。これにより、インクの流れに淀みが生じにく
く、また気泡滞留も生じにくくなる。
【0022】この場合、繋ぎ部15では、加圧液室表裏
面に対して垂直でない面16は加圧液室6の両壁面に形
成している。片面のみに加圧液室表裏面に対して垂直で
ない面16があっても良いが、両面に形成することで、
片面のみに形成する場合に比べてインク淀み、気泡の滞
留がより生じにくくなる。
【0023】また、振動板2は、加圧液室6の壁面を形
成し変形を容易にするための厚み3〜10μm程度のダ
イヤフラム部21と、このダイヤフラム部21の面外側
に形成した圧電素子12と接合して連結するための島状
凸部22と、液室間の隔壁部20の一部に対応する厚肉
部23とを有している。この振動板2は、平坦面側を流
路基板1に接着剤接合している。なお、振動板2は、例
えばニッケルの金属プレートから形成したものである
が、この他、樹脂部材或いは樹脂部材と金属部材の積層
部材などで形成することができる。
【0024】圧電素子12及び支柱部材13は、積層型
圧電素子をベース基板14に接合してダイシングにより
切断することで形成している。したがって、支柱部材1
3も積層型圧電素子から構成されているが、駆動電圧を
印加しないため、単なる梁部材となる。
【0025】圧電素子12は、例えば厚さ10〜50μ
m/層のチタン酸ジルコン酸(PZT)31と厚さ数μ
m/層の銀パラジューム(AgPd)からなる内部電極
32とを交互に積層したものである。圧電素子12を厚
さ10〜50μm/層の積層型とすることによって低電
圧駆動を可能としている。なお、駆動手段としての電気
機械変換素子はPZTに限られるものではない。
【0026】そして、この圧電素子12の内部電極32
を交互に外端面に取り出して端面電極に接続し、一方、
ベース基板14上に共通電極パターンおよび個別電極パ
ターンを駆動部となる圧電素子の端面電極に導電性接着
剤等を介して電気的に接続し、共通電極パターンおよび
共通電極パターンに接続したFPCケーブルを介してP
CB基板と接続して、圧電素子12に駆動波形を印加す
ることによって積層方向の伸びの変位を発生させて振動
板2を変形させる。
【0027】なお、ここでは上述のように圧電素子12
の圧電方向としてd33方向の変位(ここでは積層方向
と直交する方向の変位)を用いて加圧液室6内インクを
加圧する構成としているが、圧電素子12の圧電方向と
してd31方向の変位(ここでは積層方向と直交する方
向の変位)を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成
とすることもできる。
【0028】ノズル板3にはインク滴を飛翔させるため
の微細孔である多数のノズル4を各加圧液室6の先端部
分に対応して形成されており、このノズル4の径は20
〜35μmとしている。このノズル板3は、例えば電鋳
工法によって製造したNiの金属プレートを用いている
が、シリコンやその他金属材料、金属材料と樹脂材料と
の積層部材などを用いることができる。また、ノズル板
3の表面(吐出面)には撥水性の表面処理膜を成膜して
いる。
【0029】このように構成したインクジェットヘッド
においては、圧電素子12に対して選択的に20〜50
Vの駆動パルス電圧を印加することによって、パルス電
圧が印加された圧電素子12が積層方向(d33方向を
用いる場合)に変位して振動板2をノズル4方向に変形
させ、加圧液室6の容積/体積変化によって加圧液室6
内のインクが加圧され、ノズル4からインク滴が吐出
(噴射)される。
【0030】そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室
6内の液圧力が低下し、このときのインク流れの慣性に
よって加圧液室6内には若干の負圧が発生する。この状
態の下において、圧電素子12への電圧の印加をオフ状
態にすることによって、振動板2が元の位置に戻って加
圧液室6が元の形状になるため、さらに負圧が発生す
る。このとき、インク供給口ら共通液室8、流体抵抗部
であるインク供給路7を経て加圧液室6内にインクが充
填される。そこで、ノズル5のインクメニスカス面の振
動が減衰して安定した後、次のインク滴吐出のために圧
電素子12にパルス電圧を印加しインク滴を吐出させ
る。
【0031】そして、このヘッドにおいては、加圧液室
6とインク供給路7の繋ぎ部15の両壁面には、流路基
板1の主平面(加圧液室表裏面)に対して垂直でない面
16を形成し、インクの流れに淀みが生じにくく、また
気泡滞留も生じにくくなるようにしているので、高周波
パルスでの駆動、小滴噴射の場合にも噴射ダウンが生じ
ることが抑制され、高い信頼性が得られる。
【0032】そこで、このインクジェットヘッドにおけ
る流路基板1の製造方法の一例について図5を参照して
説明する。同図(a)に示すように、流路基板1となる
厚さ500μmの(110)シリコン基板41を用意
し、両面に厚さ0.2μmのLP−CVD窒化膜42を
形成する。次いで、窒化膜41上にAl膜43を厚さ1
μmで形成した。窒化膜42はシリコン基板41の異方
性エッチング時のマスク、Al膜43は連通孔(ノズル
連通路5)形成時のドライエッチング用のマスクであ
る。
【0033】次に、同図(b)に示すように、片面に連
通孔のパターンにレジストのパターニングを行ったレジ
ストパターン44を形成する。このパターニングは、後
工程で異方性エッチングを行うため、(111)面が出
現するよう略平行四辺形の形状で行った。
【0034】その後、同図(c)に示すように、Al膜
43、窒化膜42の順にエッチングを行い、レジスト除
去を行うことによりシリコンドライエッチング用のマス
ク45を作成した。そして、同図(d)に示すように、
シリコン基板41のドライエッチングを行ってノズル連
通路5の形成を行った。
【0035】次いで、同図(e)に示すように、Al膜
43の除去を行い、スプレー塗布装置でレジスト塗布し
た後、該レジストを加圧液室6、共通液室8、インク供
給路7の形状にパターニングしたレジストパターン47
を形成した。
【0036】その後、同図(f)に示すように、窒化膜
42をドライエッチングによりパターニングを行い、レ
ジストの除去を行った。次いで、同図(g)に示すよう
に、シリコン基板41を異方性エッチング法により水酸
化カリウム水溶液によりエッチングを行い、加圧液室
6、共通液室8、インク供給路7を形成した。その後、
同図(h)に示すように窒化膜42を除去して流路基板
1を得た。
【0037】ここで、流路基板1を形成する際、図6
(a)に示すように、加圧液室6の側面に接したエッチ
ング保護パターン47を使用した。このエッチング保護
パターン47は、加圧液室6とインク供給路7の繋ぎ部
分及び共通液室8とインク供給路7の繋ぎ部分に形成し
帯状の形状としている。
【0038】なお、エッチング保護パターンとしては、
同図(b)に示すような剣状のパターン48もあるが、
この剣状のパターン48ではエッチング時に破損しやす
いという欠点がある。また、剣状パターン48では、保
護パターンがなくなると同時にエッチングが進行してし
まうため、バラツキが大きくなるという欠点がある。
【0039】これに対して、上述したように、加圧液室
6の側面に接したエッチング保護パターン47を形成す
ることで、エッチング保護パターンの破損を防ぐことが
可能になるとともに、エッチングのバラツキによる形状
バラツキを低減することが可能になって歩留まりが向上
する。特に、加圧液室6の側面に接したエッチング保護
パターンとして帯状の保護パターン47を用いること
で、より微細な流路基板の形成が可能となる。
【0040】また、加圧液室6と共通液室8を連通する
インク供給路の長さが、異方性エッチング工程の前後で
異なることで、パターンの繋ぎ部分がシリコンの高次面
が出現しやすいため、積極的に上記性質を活用してイン
クの流れが滑らかになる形状を形成することができるよ
うになる。
【0041】次に、本発明の第2実施形態について図7
を参照して説明する。なお、同図は流路基板の要部平面
説明図である。ここでは、流路基板1の加圧液室6とイ
ンク供給路7の繋ぎ部の両壁面には、流路基板1の主平
面(加圧液室表裏面)に対して垂直でない面19を形成
するとともに、共通液室8とインク供給路7の繋ぎ部の
壁面にも、流路基板1の主平面(加圧液室表裏面)に対
して垂直でない面19を形成している。これにより、イ
ンクの流れに淀みが生じにくく、また気泡滞留も生じに
くくなる。
【0042】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装
置の一例について図8及び図9を参照して説明する。な
お、図8は同記録装置の斜視説明図、図9は同記録装置
の機構部の側面説明図である。このインクジェット記録
装置は、記録装置本体51の内部に主走査方向に移動可
能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明に係るイ
ンクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへ
インクを供給するインクカートリッジ等で構成される印
字機構部52等を収納し、装置本体51の下方部には前
方側から多数枚の用紙53を積載可能な給紙カセット
(或いは給紙トレイでもよい。)54を抜き差し自在に
装着することができ、また、用紙53を手差しで給紙す
るための手差しトレイ55を開倒することができ、給紙
カセット54或いは手差しトレイ55から給送される用
紙53を取り込み、印字機構部52によって所要の画像
を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ56に排
紙する。
【0043】印字機構部52は、図示しない左右の側板
に横架したガイド部材である主ガイドロッド61と従ガ
イドロッド62とでキャリッジ63を主走査方向(図9
で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ
63にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ
(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する
本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッ
ドからなるヘッド64を複数のインク吐出口を主走査方
向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に
向けて装着している。またキャリッジ63にはヘッド6
4に各色のインクを供給するための各インクカートリッ
ジ65を交換可能に装着している。
【0044】インクカートリッジ65は上方に大気と連
通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインク
を供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔
質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェ
ットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持し
ている。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド
64を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズル
を有する1個のヘッドでもよい。
【0045】ここで、キャリッジ63は後方側(用紙搬
送方向下流側)を主ガイドロッド61に摺動自在に嵌装
し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド6
2に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ
63を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ6
7で回転駆動される駆動プーリ68と従動プーリ69と
の間にタイミングベルト70を張装し、このタイミング
ベルト70をキャリッジ63に固定しており、主走査モ
ーター67の正逆回転によりキャリッジ63が往復駆動
される。
【0046】一方、給紙カセット54にセットした用紙
53をヘッド64の下方側に搬送するために、給紙カセ
ット54から用紙53を分離給装する給紙ローラ71及
びフリクションパッド72と、用紙53を案内するガイ
ド部材73と、給紙された用紙53を反転させて搬送す
る搬送ローラ74と、この搬送ローラ74の周面に押し
付けられる搬送コロ75及び搬送ローラ74からの用紙
53の送り出し角度を規定する先端コロ76とを設けて
いる。搬送ローラ74は副走査モータ77によってギヤ
列を介して回転駆動される。
【0047】そして、キャリッジ63の主走査方向の移
動範囲に対応して搬送ローラ74から送り出された用紙
53を記録ヘッド64の下方側で案内する用紙ガイド部
材である印写受け部材79を設けている。この印写受け
部材79の用紙搬送方向下流側には、用紙53を排紙方
向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ81、拍車
82を設け、さらに用紙53を排紙トレイ56に送り出
す排紙ローラ83及び拍車84と、排紙経路を形成する
ガイド部材85,86とを配設している。
【0048】記録時には、キャリッジ63を移動させな
がら画像信号に応じて記録ヘッド64を駆動することに
より、停止している用紙53にインクを吐出して1行分
を記録し、用紙53を所定量搬送後次の行の記録を行
う。記録終了信号または、用紙53の後端が記録領域に
到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ
用紙53を排紙する。
【0049】また、キャリッジ63の移動方向右端側の
記録領域を外れた位置には、ヘッド64の吐出不良を回
復するための回復装置87を配置している。回復装置8
7はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有し
ている。キャリッジ63は印字待機中にはこの回復装置
87側に移動されてキャッピング手段でヘッド64をキ
ャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことにより
インク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中
などに記録と関係しないインクを吐出することにより、
全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性
能を維持する。
【0050】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド64の吐出口を密封し、チューブを通
して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い
出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニン
グ手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸
引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜
(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体
に吸収保持される。
【0051】このように本発明に係る液滴吐出ヘッドで
あるインクジェットヘッドを搭載することにより、ヘッ
ド内でのインクの淀みや気泡滞留が少ないので、安定し
て高画質記録を行うことができる。
【0052】なお、上記実施形態においては、本発明を
振動板変位方向とインク滴吐出方向が同じになるサイド
シュータ方式のインクジェットヘッドに適用したが、振
動板変位方向とインク滴吐出方向とが直交するエッジシ
ュータ方式のインクジェットヘッドにも同様に適用する
ことができる。
【0053】また、上記実施形態においては、液滴吐出
ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明
したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドと
して、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴
吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、加圧液室及び液供給路を形成する
液室形成部材はシリコンで形成され、液供給路から加圧
液室への繋ぎ部の壁面には液室形成部材の主平面に対し
て垂直でない面を有するので、液体の流れが滑らかとな
り、液体の淀みあるいは気泡の停留を低減することがで
き、高信頼性が向上する。
【0055】ここで、液供給路から加圧液室への繋ぎ部
の両壁面に液室形成部材の主平面に対して垂直でない面
を有することで、より液体の流れが滑らかとなり、一層
液体の淀みあるいは気泡の停留を低減することができ
る。また、共通液室から液供給路への繋ぎ部の両壁面に
液室形成部材の主平面に対して垂直でない面を有するこ
とで、より液体の流れが滑らかとなり、一層液体の淀み
あるいは気泡の停留を低減することができる。さらに、
液室形成部材の壁面には酸化膜又は窒化チタン膜若しく
はポリイミド膜が成膜されていることで、液体によるシ
リコンの溶出を防ぐことができ、濡れ性が向上する。
【0056】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する方法で
あって、液室形成部材の主平面に対して垂直でない面を
異方性エッチングによって形成するので、容易に液室形
成部材の主平面に対して垂直でない面を形成することが
できる。
【0057】ここで、液室形成部材はエッチング前に繋
ぎ部に帯状のエッチング保護パターンを有することで、
液体の流れが滑らかになる形状を形成することが可能で
あり、また剣状のエッチング保護パターンに比べてパタ
ーニング時のエッチング保護パターンの破損を防ぐこと
ができ、またエッチングのバラツキによる形状バラツキ
を低減することができて歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェットヘ
ッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図3】同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図
【図4】同ヘッドの平面説明図
【図5】同ヘッドの流路基板の製造方法を説明する説明
【図6】エッチング保護パターンの説明に供する平面説
明図
【図7】本発明の第2実施形態に係るインクジェットヘ
ッドの流路基板の平面説明図
【図8】本発明に係るインクジェットを搭載したインク
ジェット記録装置の一例を示す斜視説明図
【図9】同記録装置の機構部の側面説明図
【符号の説明】
1…流路形成基板、2…振動板、3…ノズル板、5…ノ
ズル、6…加圧液室、7…インク供給路、8…共通液
室、9…インク供給口、12…圧電素子、14…ベース
基板、16…垂直でない壁面。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通する加圧液室と、この加圧液室内の液体を加圧する
    圧力を発生するための駆動手段と、前記加圧液室に液供
    給路を介して液体を供給するための共通液室とを備えた
    液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室及び液供給路を
    形成する液室形成部材はシリコンで形成され、前記液供
    給路から加圧液室への繋ぎ部の壁面には前記液室形成部
    材の主平面に対して垂直でない面を有することを特徴と
    する液滴吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記液供給路から加圧液室への繋ぎ部の両壁面に前
    記液室形成部材の主平面に対して垂直でない面を有する
    ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド
    において、前記共通液室から液供給路への繋ぎ部の両壁
    面に前記液室形成部材の主平面に対して垂直でない面を
    有することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記液室形成部材の壁面には酸化
    膜又は窒化チタン膜若しくはポリイミド膜が成膜されて
    いることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドを製造する製造方法であって、前記液室形成
    部材の主平面に対して垂直でない面を異方性エッチング
    によって形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の液滴吐出ヘッドの製造
    方法において、前記液室形成部材はエッチング前に繋ぎ
    部に帯状のエッチング保護パターンを有することを特徴
    とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
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