JP4517360B2 - 液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
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一般に、液滴吐出ヘッドは、ノズル開口に連通するキャビティと該キャビティ間を連続させる連通部とを備えた流路形成基板と、該流路形成基板の一方の面側に設けられた圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側に接合されて、前記圧電素子を駆動するための駆動回路部を備えたリザーバ形成基板と、を備えたものである。
このような液滴吐出ヘッドの製造方法の一例として、接合基板(リザーバ形成基板)に貫通孔を形成し、該貫通孔を介して導電性ワイヤにより、駆動回路部と圧電素子とを接続し、キャビティを高密度に配列した液滴吐出ヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。上記特許文献1では、ウエットエッチングを用いることで、基板(流路側基板)に前記キャビティや連通部を形成することで流路形成基板を製造しているが、流路側基板と前記流路側基板とを接着した状態で、ウエットエッチングを行うことで、前記流路側基板にキャビティ及び連通部を形成する液滴吐出ヘッドの製造方法も考えられる。
このとき、マスクならびにストッパ膜に欠陥があると、該欠陥部分からエッチャント液が入り込み不良が生じ、液滴吐出ヘッドの歩留まりを低下させるおそれがある。そして、エッチングによる不良の発生を軽減するためには、ウエットエッチングの前にマスク及びストッパ膜の欠陥を補修する工程が必要となり、製造工程が煩雑となってしまう。
また、上述したように液滴吐出ヘッドは、微細パターンの形成に対応すべく、ウエットエッチングに代わって、より高い加工精度でキャビティや連通部が形成された流路形成基板を備えたものが望まれている。
また、ドライエッチングを用いることで連通部の微細加工が可能となり、したがって該連通部により連通されたキャビティは高密度に配置された状態で加工されることとなる。さらにウエットエッチングのようにエッチング液がリザーバ形成基板の裏面側に回り込むことによる不良の発生を防止し、液滴吐出ヘッドにおける歩留まりを向上できる。
このようにすれば、流路側基板に対してドライエッチングを行った際に、連通部とキャビティとを同時に形成することが可能となる。よって、液滴吐出ヘッドを製造する工程を簡略化することができる。
薄い流路側基板は、割れ等が生じやすいことから、その取り扱いが難しくなってしまう。一方、例えばリザーバ形成基板に厚みのある流路側基板を貼り合わせると、流路側基板は割れにくくなり、その取り扱いが容易となるが、該流路側基板をエッチングする量が増加してドライエッチング工程に時間がかかる。
そこで、本発明を採用すれば、ドライエッチング前の流路側基板に対し、例えば研磨等の薄型加工を行うので、厚みのある流路側基板であってもドライエッチング工程に時間がかかることがない。このように、液滴吐出ヘッドを製造する際に、厚みのある流路側基板を扱うことが可能となり、搬送時における流路側基板の割れを防止し、その取り扱いが容易なものとなる。
このようにすれば、リザーバ形成基板と支持基板とを貼り付けた際に、リザーバ形成基板と支持基板との間における凹凸部分を樹脂層が埋め込んで吸収し、前記リザーバ形成基板と前記支持基板とを前記樹脂層を介して密着させることで強固な接合が可能となる。また、前記接着層は剥離層を含んでいるので、剥離層を除去することで前記リザーバ形成基板から前記基板を剥離することができる。
このとき、前記支持基板を構成する前記基板をガラスからなるものとすることが好ましい。
このようにすれば、ガラスを用いることで支持基板のコストを抑えることができ、流路形成基板の加工コストを低減することができる。また、光を透過するガラスを用いることで、例えば光エネルギにより剥離が生じる材料を用いることで、支持基板に光を照射することで、基板をリザーバ形成基板から容易に剥離することができる。
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
図1は、本実施形態における液滴吐出ヘッドの製造方法を用いることで形成された液滴吐出ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、液滴吐出ヘッドを下側から見た斜視構成図の一部破断図、図3は、図1の平面図及び断面図である。なお、図中符号1は、液滴吐出ヘッドである。
なお、図2では各ノズル開口群15A〜15Dのそれぞれは6個のノズル開口15によって構成されているように示されているが、実際には各ノズル開口群は、例えば720個程度のノズル開口15によって構成されるものである。
第1圧力発生室群12Aと第2圧力発生室群12BとはX軸方向に関して互いに対向するように配置されており、それらの間には隔壁10Kが形成されている。同様に、第3圧力発生室群12Cと第4圧力発生室群12Dとの間にも隔壁10Kが形成されており、それらはX軸方向に関して互いに対向するように配置されている。
そして、圧電素子300は、複数のノズル開口15及び圧力発生室12のそれぞれに対応するように複数設けられている。
また、液滴吐出ヘッド1は、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口44からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口15に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路110からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口15からインク滴が吐出できる。
ここで、上述した液滴吐出ヘッド1を製造する方法の、一実施形態について図4〜図6を参照にして説明する。なお、図4〜図6に示される製造工程は、図3(b)に示した液滴吐出ヘッド1の断面に対応するものである。
まず、流路形成基板10の前駆体となる流路側基板には、予め圧電素子300が形成されている。ここで、本発明の製造工程を説明するに際して、前記流路側基板に圧電素子300を形成する工程について説明する。
そこで、本実施形態では、後述するように、ドライエッチング前に流路側基板に対して、例えば研磨等の薄型加工を行っているので、厚い流路側基板を用いることが可能となって、液滴吐出ヘッドを製造する際の流路側基板の取り扱いが容易になり、さらには厚みのある流路側基板に対しドライエッチングを良好に行うことができるようにしている。
そして、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成することにより、結晶が配向している圧電体層70とした。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛系の材料が液滴吐出ヘッドに使用する場合には好適である。なお、このように薄膜工程で製造された圧電体層の厚さは、一般的に0.2〜5μmである。
次に、白金をスパッタリングすることで、上電極膜80を成膜した後、圧電体層70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子300のパターニングを行う。ここで、本実施形態では、例えば金(Au)等からなるリード電極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共に、各圧電素子300毎にパターニングする。このようにして、流路側基板10a上に圧電素子300が形成される。
以下、上述した方法によって形成された圧電素子300が形成された流路側基板10aを用いてヘッドを製造する工程について説明する。
ここで、リザーバ形成基板30には、前述した貫通孔33及び圧電素子保持部32とが、予めドライエッチングやウエットエッチングによってパターニングされることで形成されている。また、リザーバ形成基板30としては、流路側基板10aの熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路側基板10aと同一材料のシリコン単結晶基板が用いられている。
また、ガラスを用いることで支持基板400のコストを抑えることができ、流路側基板10aの加工コストを低減することができる。さらに、光を透過するガラスを用いることで、基板400aに光を照射するだけで、基板400aをリザーバ形成基板30から容易に剥離することが可能となっている。
このような樹脂層400c、及び剥離層400bを有した支持基板400を用いている。
接合体200を上下反転させた上で、リザーバ形成基板30側に前述した支持基板400を保持する。すなわち、支持基板400に、予め前述した剥離層400bを形成しておき、前述した樹脂層400cを介して接合体200に接合する。ここで、リザーバ形成基板30には、上述したように貫通孔33及び圧電素子保持部32とが予め形成されていることから、リザーバ形成基板30と支持基板400との間に凹凸部分が生じている。このとき、リザーバ形成基板30と支持基板400との間における凹凸部分を樹脂層400cが埋め込むことで吸収し、前記リザーバ形成基板30と前記支持基板400とが前記樹脂層400cを介して密着し強固に接合することができる。
具体的には、支持基板400に保持された接合体200の流路側基板10aに対して、バックグラインドを行い薄型加工する。このバックグラインドとしては、例えば研削処理、あるいは研磨処理等の薄型加工が施される。
ここで、バックグラインド処理された流路側基板10aの表面は、破砕層が形成される。この破砕層は、流路側基板10aに割れ等を生じさせるおそれがあることから、図4(c)に示すように、例えばフッ酸等を用いたウエットエッチングを行うことにより除去しておくことが望ましい。
このようにして、薄型加工が施された流路側基板10aが得られる。
そして、マスクMを介してドライエッチングを行うことにより、流路側基板10aに連通部13及び圧力発生室12を形成する。このようなエッチング法としては、Si高速エッチング法(例えば、特開2002−93776号公報に記載されている。)やボッシュプロセス法(例えば、米国特許5501893号明細書に記載されている。)を用いることができる。
ドライエッチングを行っている間、上述したように流路側基板10aは、支持基板400に支持されることで高い剛性を有しているので、ドライエッチングによる衝撃や振動による流路側基板10aの割れやエッチング加工が不良になることがなくなって、連通部13及び圧力発生室12が良好に形成された流路形成基板10aを得ることができる。
なお、前記連通部13の一部であるインク供給路14は、圧力発生室12に比べて、エッチング量が少ないが、例えば該インク供給路14に対応する位置に別途マスクを設けたり、エッチング時間を調節することにより形成できる。
また、ドライエッチングを用いたことにより、ウエットエッチングのようにエッチング液がリザーバ形成基板30の裏面側に回り込んで、不良を発生することを防止し、液滴吐出ヘッド1における歩留まりが向上する。
このようにして、流路側基板10aに圧力発生室(キャビティ)12及び連通部13を形成することにより、流路形成基板10が形成されることとなる。
流路形成基板10を形成した後、上記のドライエッチング工程に用いられたマスクMを、例えばO2プラズマを用いることで除去する。
その後、リザーバ形成基板30に密着している樹脂層400bを溶剤などを用いて溶解することで、図6(b)に示すように、支持基板400は前記リザーバ形成基板30から完全に剥離された状態となる。
さらに、貫通孔33の両側のリザーバ形成基板30上に圧電素子300を駆動させる駆動回路110をそれぞれ実装する。そして、例えば、ワイヤボンディング等によって接続配線120を形成して、各駆動回路110と各リード電極90とを電気的に接続する。
これにより、液滴吐出ヘッド1が製造される。
また、ドライエッチングを用いることで連通部13の微細加工が可能となり、したがって該連通部13により連通される圧力発生室12は高密度に配置されることとなる。さらに、流路形成基板10を形成するに際し、ウエットエッチングを用いないので、エッチング液の回り込みによる不良の発生を防止して液滴吐出ヘッド1の歩留まりを向上できる。
Claims (5)
- 複数のキャビティと該キャビティ間をそれぞれ連通させる連通部とが形成された流路形成基板と、前記連通部に連通するリザーバ部が形成されたリザーバ形成基板と、を備えた液滴吐出ヘッドの製造方法において、
前記流路形成基板の前駆体となる流路側基板と、前記リザーバ形成基板とを貼り合わせた後、該リザーバ形成基板側を支持基板に保持する工程と、
前記流路側基板及び前記リザーバ形成基板を前記支持基板に保持したまま、前記流路側基板に対してドライエッチングによるパターニングを行うことで、連通部を形成する工程と、
前記流路側基板にキャビティを形成する工程と、
前記リザーバ形成基板から前記支持基板を剥離する工程と、
を備えることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。 - 前記流路側基板に対してドライエッチングによるパターニング工程で、前記連通部と前記キャビティとを同時に形成することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記リザーバ形成基板側を前記支持基板に貼り付けた後、前記流路側基板にドライエッチングを行う工程の前に、前記流路側基板を薄型加工する工程を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記支持基板は、基板と剥離層と樹脂層とが順に積層された構成からなるものとすることを特徴とする請求項1〜3に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記支持基板を構成する前記基板をガラスからなるものとすることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
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