JP2010201840A - 液体噴射ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体噴射ヘッドの振動板に延性層を形成する。
【解決手段】第1の工程として、第1の基板(10または50)の一方の面に、第1の基板の表面層である第1の接合層(32または31)よりも延性の高い延性層33を形成し、延性層33の第1の基板と反対側に、延性層33よりも延性の低い表面層である第2の接合層(31または32)を備えた第2の基板(50または10)を接合する。第2の工程として、第1の工程の後、第1の基板および第2の基板の少なくとも一方(11)に流体流路(13、14、15)を形成すると共に、第1の接合層(32または31)、延性層33、および第2の接合層(31または32)を備えた層構造を振動板30とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体噴射ヘッドおよびその製造方法に関する。
被噴射液を吐出する液体噴射装置のヘッドとして、被噴射液滴を吐出するノズル開口と、このノズル開口に流路を介して接続された圧力発生室とを有し、圧力発生室に供給された被噴射液を加圧することにより、ノズル開口から被噴射液滴を吐出させる構成のものが知られている。このような液体噴射ヘッドは、特に、インクジェット式記録ヘッドとして利用される。圧力発生室内の被噴射液を加圧する方法としては、大別すると、圧電素子を用いて圧力発生室の外部から圧力を加える方法と、発熱素子により圧力発生室内にバブルを発生させることで圧力発生室内の圧力を高める方法とがある。以下では、圧電素子を用いる方法について説明する。
圧電素子を用いる液体噴射ヘッドとして、半導体微細加工技術を利用して製造されるものが知られている。たとえば特許文献1には、シリコン単結晶基板の表面にシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜の表面に圧電素子を形成し、シリコン単結晶基板をエッチングすることで圧力発生室を形成した構造の液体噴射ヘッドが記載されている。なお、特許文献1に記載の技術では、圧力発生室の内壁表面に保護膜を設けており、シリコン酸化膜と保護膜との二層構造が振動板となる。
特許文献1に限らず、公知の液体噴射ヘッドで用いられる振動板には、圧電素子間を絶縁し、かつ圧電素子の振動を有効に圧力発生室に伝えることが要求される。このような要求に見合う材料としては、二酸化シリコンや金属酸化物が一般的である。しかし、このような材料は一般に脆性であり、製造工程でクラックが生じることがある。振動板にクラックが生じると、圧力発生室内の被噴射液に有効に加圧できなくなるだけでなく、圧力発生室内の液体が圧電素子側に浸入してしまい、異常電流が流れるなど、ヘッドに対して致命的ダメージを与えてしまうことがある。
このような振動板のクラックを防止するための技術として、本出願人は、振動板を構成する複数層の絶縁層の間に延性層を設ける技術を開発している(特許文献2参照)。特許文献2には、延性層の材料として、合金を含む金属を例示している。
特開2004−262225号公報 特開2008−200908号公報
特許文献2には、振動板に設ける延性層の形成方法として、基板との関係でどのような方法が良いかについての開示はない。
本発明は、振動板に延性層を形成することのできる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
液体流路と、この液体流路内の液体に圧力を加えるための振動板とを有する液体噴射ヘッドの製造方法において、第1の基板の一方の面に、その一方の面の表面層である第1の接合層よりも延性の高い延性層を形成し、この延性層の第1の基板と反対側に、延性層よりも延性の低い表面層である第2の接合層を備えた第2の基板を接合する第1の工程と、この第1の工程の後、第1の基板および第2の基板の少なくとも一方の基板に流体流路を形成すると共に、第1の接合層、延性層、および第2の接合層を備えた層構造を振動板とする第2の工程とを有することを特徴とする。
延性層は、接着性のある材料、特に高分子の接着剤を主成分とする材料により形成することが望ましい。
第2の工程では、少なくとも一方の基板をその基板の接合層に達するまで取り除くことで流体流路を形成することができるようにするのが好ましい。
また、第3の基板に所定の構造を形成した後に、第3の基板の所定の構造と反対側から薄くする工程を含むことで第1の基板および第2の基板の一方を製造する第3の工程を含むことができる。この場合、第1の工程では、第3の基板の構造と反対側に延性層を形成、あるいは構造と反対側を延性層に接合することができる。
また、第3の基板の表面に絶縁層を形成し、この絶縁層上に圧電素子を形成し、少なくとも絶縁層および圧電素子を残して、第3の基板を取り除いたものを第1の基板および第2の基板の一方とし、表面に絶縁層が形成された別の基板を第1の基板および第2の基板の他方とし、第1の工程では、一方の基板の絶縁層と他方の基板の絶縁層とを延性層により接合し、第2の工程では、流体流路の一部を形成するため、圧電素子と対向する他方の基板の所定領域を、絶縁層を残して取り除くようにしてもよい。
本発明によれば、金属以外の材料でも、液体噴射ヘッドの振動板に延性層を形成することができる。
本発明の実施の形態に係る液体噴射ヘッドの分解斜視図である。 図1に示す液体噴射ヘッドの平面図である。 図1および図2に示す液体噴射ヘッドの断面図であり、図2に示すA−A′に沿った断面図である。 図1から図3に示す液体噴射ヘッドの製造方法を説明する断面図であり、絶縁層上に圧電素子を形成するまでの工程を示す。 図1から図3に示す液体噴射ヘッドの製造方法を説明する断面図であり、図4に示す工程に続いて、振動板となる層構造を形成するまでの工程を示す。 図1から図3に示す液体噴射ヘッドの製造方法を説明する断面図であり、圧力発生室を含む流体流路を形成する工程を示す。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
[液体噴射ヘッドの構造]
図1は本発明の実施の形態に係る液体噴射ヘッドの分解斜視図であり、図2はこの液体噴射ヘッドの平面図、図3は図2に示すA−A′に沿った断面図である。ここでは、被噴射液としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドを例に説明する。
図1から図3に示す液体噴射ヘッドは、流路形成基板10、ノズルプレート20、振動板30、圧電素子40、封止基板50、駆動集積回路60およびコンプライアンス基板70を有する。
[流路形成基板]
流路形成基板10は、この実施の形態では、面方位(110)のシリコン単結晶基板からなるものとする。このシリコン単結晶基板の各表面には、あらかじめ熱酸化により形成した二酸化シリコンにより、絶縁層11、32がそれぞれ形成されている。絶縁層32は振動板30を構成するひとつの層として利用され、図1では、絶縁層32を流路形成基板10から分離して示す。この流路形成基板10には、その一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁12によって区画された圧力発生室13が幅方向に並設されている。また、圧力発生室13の長手方向外側には、後述する封止基板50のリザーバ部52と連通される連通部14が形成されている。また、この連通部14は、各圧力発生室13の長手方向一端部で、それぞれインク供給路15を介して連通されている。
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板の結晶面によるエッチングレートの違いを利用して行われる。たとえば、この実施の形態では、シリコン単結晶基板を水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて、(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度かつ(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現する。このとき、(110)面のエッチングレートと比較して、(111)面のエッチングレートは約1/180となる。このような性質を利用することで、特定の方向への選択的なエッチングが可能となる。このような異方性エッチングにより、ふたつの第1の(111)面と斜めのふたつの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室13を高密度に配列することができる。この実施の形態では、各圧力発生室13の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室13は、流路形成基板10をほぼ貫通して絶縁層32に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、絶縁層32は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液には侵食されにくく、エッチングをそこで止めることができる。また、各圧力発生室13の一端に連通する各インク供給路15は、圧力発生室13より幅方向に狭く形成されており、圧力発生室13に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
圧力発生室13、連通部14およびインク供給路15の内壁表面には、耐インク性の保護膜16が設けられている。保護膜16を形成する材料としては、たとえば五酸化タンタルが用いられる。保護膜16を設けることにより、流路形成基板10および振動板30を構成する絶縁層32がインクに溶解されることを防止し、圧力発生室13の形状を実質的に安定、すなわち製造時とほぼ同一形状に維持することができる。
圧力発生室13、連通部14およびインク供給路15が形成される流路形成基板10の厚さは、圧力発生室13を配設する密度に合わせて最適な厚さを選択することが好ましい。たとえば、1インチ当たり180個(180dpi)程度に圧力発生室13を配置する場合には、流路形成基板10の厚さは、180〜280μm程度、より望ましくは、220μm程度とするのが好適である。また、たとえば、360dpi程度と比較的高密度に圧力発生室13を配置する場合には、流路形成基板10の厚さは、100μm以下とするのが好ましい。これは、隣接する圧力発生室13間の隔壁12の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
[ノズルプレート]
流路形成基板10の開口面側(エッチングされた側)には、ノズルプレート20が、接着剤あるいは熱溶着フィルム等を介して固着されている。ノズルプレート20には、各圧力発生室13のインク供給路15とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されている。ノズルプレート20は、圧力発生室13、連通部14およびインク供給路15を封止するとともに、圧力発生室13から押し出されたインクをノズル開口21から吐出することができる。ノズルプレート20は、たとえばステンレス鋼(SUS)により形成される。
[振動板および圧電素子]
流体流路形成基板10の開口面とは反対側には、振動板30と、この振動板30を介して圧力発生室13内のインクに圧力を加えるための圧電素子40とが設けられている。
振動板30は、2層の絶縁層31、32と、これらの絶縁層31、32の間に設けられた圧延材料からなる延性層33とを有する。絶縁層31は圧電素子40が形成された層であり、絶縁層32は、上述したように、流路形成基板10を熱酸化することで形成された層である。延性層33は、高分子の接着剤を主成分とする材料により形成される。振動板30の厚さは全体で1〜2μm程度であり、絶縁層31、32および延性層33のそれぞれの厚さはほぼ均等とする。延性層33に高分子を用いることで、金属の場合よりもさらにクラックの発生を防止できる。また、クラックが発生しても圧力発生室13内の液体が圧電素子40側に浸入することを防止でき、ヘッドに対する致命的ダメージを防止することができる。
圧電素子40は、積層形成された下電極41、圧電体層42および上電極43により構成される。下電極41、圧電体層42および上電極43のそれぞれの厚さは、たとえば約0.2μm、約1μmおよび約0.1μmとする。
圧電素子40は、一般的に、複数の圧電素子40で一方の電極を共通電極とし、他方の電極および圧電体層42を各圧力発生室13毎にパターニングして構成される。そして、ここでは、パターニングされた一方の電極および圧電体層42から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を、圧電体能動部という。この実施の形態では、下電極41を圧電素子40の共通電極とし、上電極43を圧電素子40の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。いずれの場合においても、各圧力発生室13毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子40と当該圧電素子40の駆動により変位が生じる振動板30の部分とを合わせて圧電アクチュエータと称する。また、このような各圧電素子40の上電極43には、たとえば、金(Au)等からなるリード電極44がそれぞれ接続されている。このリード電極44は、各圧電素子40の長手方向端部近傍から引き出され、絶縁層31上を、インク供給路15に対応する領域までそれぞれ延設されている。
[封止基板]
絶縁層31の圧電素子40側には、圧電素子40の動作を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可能な圧電素子保持部51を有する封止基板50が接合されている。本実施の形態では、圧電素子40は、この圧電素子保持部51内に密封されている。ただし、必ずしも密封されていなくても良い。さらに、封止基板50には、連通部14に対向する領域に、封止基板50を貫通するリザーバ部52が設けられている。このリザーバ部52は、上述のように流路形成基板10の連通部14と連通されて、各圧力発生室13の共通のインク室となるリザーバ80(図3参照)を構成している。このような封止基板50は、流路形成基板10の熱膨張率とほぼ同一の材料により形成されていることが好ましい。ここでは、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成されているものとするが、ガラス、セラミック材料等で形成することもできる。なお、封止基板50の圧電素子保持部51とリザーバ部52との間、すなわちインク供給路15に対応する領域には、この封止基板50を厚さ方向に貫通する貫通孔53が設けられている。そして、各圧電素子40から引き出されたリード電極44は、その端部近傍がこの貫通孔53内で露出されている。
[駆動集積回路]
封止基板50の表面、すなわち、流路形成基板10とは反対側の面には、二酸化シリコンからなる絶縁膜54が設けられている。この絶縁膜54上には、圧電素子40を駆動するための駆動集積回路60が実装されている。具体的には、封止基板50上には、各圧電素子40と駆動集積回路60とを接続するための接続配線55、および駆動集積回路60を外部に接続するための接続配線56(図2参照)が、所定パターンで形成され、これらの接続配線55、56上に駆動集積回路60が実装されている。実装方法としては、たとえば、フリップチップ実装が用いられる。なお、各圧電素子40から引き出されたリード電極44は、封止基板50の貫通孔53内に延設される連結配線(図示せず)によって、対応する接続配線55に接続される。接続配線56には、図示しない外部配線が接続される。
[コンプライアンス基板]
封止基板50のリザーバ部52に対向する領域には、封止膜71および固定板72からなるコンプライアンス基板70が接合されている。封止膜71は、剛性が低く可撓性を有する材料、たとえば厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムからなり、この封止膜71によって、リザーバ部52の一方面が封止されている。また、固定板72は、金属等の硬質の材料、たとえば厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等、で形成される。この固定板72のリザーバ80に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部73となっているため、リザーバ80の一方面は、可撓性を有する封止膜71のみで封止されている。
[動作の簡単な説明]
以上説明した構造の液体噴出ヘッドの動作について簡単に説明する。まず、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ80からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たす。この後、外部からの記録信号に従い、駆動集積回路60から、下電極41と目的の圧力発生室13に対応する上電極42との間に電圧を印加し、圧電体層42をたわみ変形させる。このたわみ変形は、下電極41および振動板30を介して各圧力発生室13に伝えられる。これにより、その圧力発生室13内の圧力が高まり、ノズル開口21からインク滴が吐出される。
[製造方法]
このような流体噴射ヘッドを製造するには、絶縁層31、圧電素子40および封止基板50からなる基板と、絶縁層32が形成され圧力発生室13、連通部14およびインク供給路15からなる流体流路を形成する前の流路形成基板10との一方を第1の基板、他方を第2の基板とし、第1の工程において、第1の基板の一方の面の表面層である第1の接合層(絶縁層31または32)よりも延性の高い延性層33を形成し、この延性層33の第1の基板と反対側に、延性層33よりも延性の低い表面層である第2の接合層(絶縁層32または31)を備えた第2の基板を接合する。続いて、第2の工程として、第1の基板および第2の基板の少なくとも一方、この場合は流路形成基板10に、圧力発生室13、連通部14およびインク供給路15からなる流体流路を形成すると共に、第1の接合層(絶縁層31または32)、延性層33、および第2の接合層(絶縁層32または31)を備えた層構造を振動板30とする。
ここで、第3の基板の表面に絶縁層31を形成し、この絶縁層31上に圧電素子40を形成し、少なくとも絶縁層31および圧電素子40を残して、第3の基板を取り除いたものを第1の基板および第2の基板の一方とし、表面に絶縁層32が形成された流路形成基板10を第1の基板および第2の基板の他方とし、第1の工程では、一方の基板の絶縁層31または32と他方の基板の絶縁層32または31とを延性層33により接合し、第2の工程では、流体流路の一部として圧力発生室13を形成するため、圧電素子40と対向する流路形成基板10の所定領域を絶縁層32を残して取り除くことが望ましい。
この製造方法について、図4から図6を参照して詳しく説明する。図4は、絶縁層31上に圧電素子40を形成するまでの工程を示し、図5は、振動板30となる層構造を形成するまでの工程を示し、図6は、圧力発生室13を含む流体流路と振動板30とを形成する工程を示す。なお、これらの図は、圧力発生室13の圧力発生室12の長手方向の断面図である。
まず、図4(A)に示すように、第1の基板および第2の基板とは異なる第3の基板として、シリコン単結晶基板34を用いる。このシリコン単結晶基板34を約1100℃の拡散炉で熱酸化して表面に二酸化シリコン層を形成し、これを絶縁層31とする。次いで、図4(B)に示すように、絶縁層31上に、スパッタリングで下電極41を形成すると共に、所定形状にパターニングする。このような下電極41の材料としては、白金(Pt)等が好適である。これは、スパッタリング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層42は、成膜後に、大気雰囲気下または酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して、結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極41の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、また、圧電体層42としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないことが望ましい。これらの条件を満たすものとしては、白金が好適である。
次に、図4(C)に示すように、圧電体層42を成膜する。この圧電体層42は、結晶が配向していることが好ましい。ここでは、ゾル−ゲル法を用いて形成するものとする。すわなち、金属有機物を触媒に溶解・分散したゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで、金属酸化物からなり結晶が配向している圧電体層42が得られる。圧電体層42の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛系の材料が、インクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。なお、この圧電体層42の成膜方法は特に限定されるものではなく、たとえば、スパッタリング法で形成してもよい。さらに、ゾル−ゲル法またはスパッタリング法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法を用いてもよい。いずれにしても、このように成膜された圧電体層42は、バルクの圧電体とは異なり、結晶が優先配向し、結晶が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜とは、ほぼ円柱体の結晶が、中心軸を厚さ方向にほぼ一致させた状態で、面方向にわたって集合して薄膜を形成している状態をいう。もちろん、優先配向した粒状の結晶で形成された薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造された圧電体層42の厚さは、一般的に0.2〜5μmである。
次に、図4(D)に示すように、上電極43を成膜する。上電極43は、導電性の高い材料であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。ここでは、白金をスパッタリングにより成膜するものとする。そして、図4(E)に示すように、圧電体層42および上電極43をエッチングして、圧電素子40のパターニングを行う。
次いで、図5(A)に示すように、圧電素子40に接続されるリード電極44を形成する。具体的には、たとえば、金(Au)等からなるリード電極44を絶縁層31の表面全体にわたって形成すると共に、各圧電素子40毎にパターニングする。続いて、図5(B)に示すように、絶縁層31に、圧電素子保持部51、リザーバ部52および貫通孔53等があらかじめ形成された封止基板50を接合する。
次に、図5(C)に示すように、シリコン単結晶基板34を除去して、絶縁層31を露出させる。また、一方の面に絶縁層11が、他方の面に絶縁層32が形成された流体形成基板10を用意しておく。そして、図5(D)に示すように、封止基板50側の絶縁層31または流体形成基板10の絶縁層32の表面に延性層33を形成し、絶縁層31と絶縁層32とを延性層33により接合する。延性層33の材料としては、エポキシ系あるいはポリイミド系などの高分子の接着剤を主成分とする材料を用いる。延性層33の形成には、スピンコーティングや、蒸着による形成など、公知の技術を利用することができる。
続いて、図6(A)に示すように、流路形成基板10の表面上に形成されている絶縁層11を所定形状にパターニングし、図6(B)に示すように、この絶縁層11を介して、前述したアルカリ溶液による異方性エッチングを行う。これにより、流路形成基板10に、圧力発生室13、連通部14およびインク供給路15からなる流体流路が形成される。この異方性エッチングでは絶縁層32はエッチングされず、絶縁層31、32および延性層33からなる振動板30が、圧電素子40の振動によって、圧力発生室13内の流体に圧力を加えることのできる構造となる。なお、このように絶縁層11をパターニングする際、および流路形成基板10の異方性エッチングを行う際には、封止基板50の表面を封止した状態で行う。
この後、図6(C)に示すように、流路形成基板10の圧力発生室13、連通部14およびインク供給路15の内壁表面上に、150℃以下の温度条件下で保護膜16を形成する。たとえば、イオンアシスト蒸着によって、100℃以下の温度条件下で、五酸化タンタル(Ta25)からなる保護膜16を形成する。なお、このとき、流路形成基板10の各圧力発生室13等が開口する側の面、すなわち、絶縁膜11の表面にも保護膜16が形成される。保護膜16の形成温度条件を150℃以下とするのは、熱によって圧電素子40等に悪影響を及ぼすことがないようにするためである。
保護膜16を形成した後は、連通部14に対向する領域の絶縁層31、32および延性層33を除去して、連通部14とリザーバ部52とを連通させる。そして、流路形成基板10の封止基板50とは反対側の面に、ノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合する。また、封止基板50に、コンプライアンス基板70を接合する。これにより、図1から図3に示す液体噴射ヘッドが得られる。
なお、以上の製造方法において、実際には、上述した一連の膜形成および異方性エッチングによって一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズに分割する。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法について説明したが、本発明は、要旨を変更しない限り種々変更実施できる。たとえば、圧力発生室13、連通部14、インク供給路15あるいはリザーバ部52などの液体流路の構造や、圧電素子40およびその保護構造は、種々の変更が可能である。封止基板50にはあらかじめリザーバ部52が形成されるものとしたが、絶縁層31、32を延性層33により接合した後に形成することもできる。絶縁層31、32としては、シリコン基板を熱酸化した二酸化シリコン層を用いるものとしたが、他の材料を用いることもできる。絶縁層31、32で別々の材料を用いることもできる。絶縁層31、32の少なくとも一方を複数層構成とすることもできる。延性層33としては、単独の高分子材料だけでなく、複数の高分子材料を混合して用いることもできる。また、延性層33を複数層構造とすることもできる。延性層33として、金属層と高分子材料層とを積層させることもできる。
10 流路形成基板(第1の基板または第2の基板の一部)、11 絶縁層、12 隔壁、13 圧力発生室、14 連通部、15 インク供給路、16 保護膜、20 ノズルプレート、21 ノズル開口、30 振動板、31 絶縁層(第2の基板または第1の基板の一部、第2の接合層または第1の接合層)、32 絶縁層(第1の基板または第2の基板の一部、第1の接合層または第2の接合層)、33 延性層、34 シリコン単結晶基板(第3の基板)、40 圧電素子、41 下電極、42 圧電体層、43 上電極、44 リード電極、50 封止基板(第2の基板または第1の基板の一部)、51 圧電素子保持部、52 リザーバ部、53 貫通孔、54 絶縁膜、55、56 接続配線、60 駆動集積回路、70 コンプライアンス基板、71 封止膜、72 固定板、80 リザーバ

Claims (6)

  1. 液体流路と、この液体流路内の液体に圧力を加えるための振動板とを有する液体噴射ヘッドの製造方法において、
    第1の基板の一方の面に、上記一方の面の表面層である第1の接合層よりも延性の高い延性層を形成し、上記延性層の上記第1の基板と反対側に、上記延性層よりも延性の低い表面層である第2の接合層を備えた第2の基板を接合する第1の工程と、
    この第1の工程の後、上記第1の基板および上記第2の基板の少なくとも一方の基板に上記流体流路を形成すると共に、上記第1の接合層、上記延性層、および上記第2の接合層を備えた層構造を上記振動板とする第2の工程と
    を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、前記延性層を、高分子の接着剤を主成分とする材料により形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 請求項1または2記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、前記第2の工程では、前記少なくとも一方の基板をその基板の接合層に達するまで取り除くことで前記流体流路を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、第3の基板に所定の構造を形成した後に、上記第3の基板の上記構造と反対側から薄くする工程を含むことで前記第1の基板および前記第2の基板の一方を製造する第3の工程を含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 請求項4記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、前記第1の工程では、前記構造と反対側に前記延性層を形成、あるいは前記構造と反対側を前記延性層に接合することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 請求項1または2記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、
    第3の基板の表面に絶縁層を形成し、この絶縁層上に圧電素子を形成し、少なくとも上記絶縁層および上記圧電素子を残して、上記第3の基板を取り除いたものを前記第1の基板および前記第2の基板の一方とし、
    表面に絶縁層が形成された別の基板を前記第1の基板および前記第2の基板の他方とし、
    前記第1の工程では、上記一方の基板の絶縁層と上記他方の基板の絶縁層とを前記延性層により接合し、
    前記第2の工程では、前記流体流路の一部を形成するため、上記圧電素子と対向する上記他方の基板の所定領域を上記他方の基板の上記絶縁層を残して取り除く
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017185826A (ja) * 2017-07-14 2017-10-12 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置

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