JP2009220507A - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エッチング液からの保護をより完全に行うことができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 シリコンウェハからなりノズル開口に連通する圧力発生室12を含む第1の液体流路が設けられた流路形成基板が一体的に形成される流路形成基板用ウェハ100上に圧力発生素子300を形成する成膜工程と、シリコンウェハからなり圧力発生室12に液体を供給する第2の液体流路が設けられた接合基板が一体的に形成された接合基板用ウェハ130を流路形成基板用ウェハ100上に接合すると共に有機フィルム140を接合基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ100の接合側とは反対側の表面全体に接合する工程と、流路形成基板用ウェハ100をウェットエッチングすることにより圧力発生室12を形成するエッチング工程と、有機フィルム140を除去する除去工程と、流路形成基板用ウェハ100及び接合基板用ウェハ130を所定の大きさに分割する分割工程とを有する。
【選択図】 図7
【解決手段】 シリコンウェハからなりノズル開口に連通する圧力発生室12を含む第1の液体流路が設けられた流路形成基板が一体的に形成される流路形成基板用ウェハ100上に圧力発生素子300を形成する成膜工程と、シリコンウェハからなり圧力発生室12に液体を供給する第2の液体流路が設けられた接合基板が一体的に形成された接合基板用ウェハ130を流路形成基板用ウェハ100上に接合すると共に有機フィルム140を接合基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ100の接合側とは反対側の表面全体に接合する工程と、流路形成基板用ウェハ100をウェットエッチングすることにより圧力発生室12を形成するエッチング工程と、有機フィルム140を除去する除去工程と、流路形成基板用ウェハ100及び接合基板用ウェハ130を所定の大きさに分割する分割工程とを有する。
【選択図】 図7
Description
液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものがある。このような圧電素子は、例えば、湿気等の外部環境に起因して破壊され易いという問題がある。この問題を解決するために、圧力発生室が形成される流路形成基板に、圧電素子保持部を有する封止基板を接合し、この圧電素子保持部内に圧電素子を保護するようにしたものがある。
そして、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法としては、シリコンウェハの表面に振動板及び圧電素子を形成し、このシリコンウェハ上に封止基板形成材を接合した後、シリコンウェハの封止基板形成材とは反対側の面を異方性エッチングすることによって圧力発生室等を形成する。また、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法では、シリコンウェハに封止基板形成材を接合後、異方性エッチングによって圧力発生室を形成しているため、圧力発生室を形成する際、封止基板形成材の表面にポリパラフィレンテレスタルアミド(PPTA)からなる封止シートを接着することにより保護していた(例えば、特許文献1参照)。
また、この場合、圧力発生室等を形成する際にエッチング液が封止基板形成材の貫通部に入り込まないように、貫通部に対応する領域に金配線用膜などを残しておき、圧力発生室形成後に膜を除去する工程が行われている(特許文献2など参照)。
しかしながら、上述した封止シートはウェハ周縁部のみに接着剤により接着する必要があり、作業性の点で問題があった。また、封止シートがウェハ周縁部のみが接着されたものであるため、エッチング液が内部に入ってしまうと、ウェハ全体が不良となってしまうという問題があった。
なお、このような問題は、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外の液滴を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。また、圧電素子を圧力発生素子として用いる形態のみの課題ではなく、発熱素子を流路形成基板に設ける場合であっても同様の課題を有するものである。
本発明は、エッチング液からの保護をより完全に行うことができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室を含む第1の液体流路が設けられた流路形成基板と、前記圧力発生室に圧力を付与する圧力発生素子と、前記圧力発生室に液体を供給する第2の液体流路が設けられた接合基板とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、シリコンウェハからなり前記流路形成基板が一体的に形成される流路形成基板用ウェハ上に前記圧力発生素子を形成する成膜工程と、シリコンウェハからなり前記接合基板が一体的に形成された接合基板用ウェハを前記流路形成基板用ウェハ上に接合すると共に有機フィルムを前記接合基板用ウェハの前記流路形成基板用ウェハの接合側とは反対側の表面に接合する工程と、前記流路形成基板用ウェハをウェットエッチングすることにより前記圧力発生室を形成するエッチング工程と、前記有機フィルムを除去する除去工程と、前記流路形成基板用ウェハ及び前記接合基板用ウェハを所定の大きさに分割する分割工程と、を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、接合基板用ウェハの表面全体に有機フィルムを直接接合するので、接合基板用ウェハの表面全体を確実に保護することができ、また、接合基板用ウェハに形成されている貫通部を確実に封止することができ、ウェットエッチング工程でのアルカリ水溶液からの保護を確実に行うことができる。
かかる態様では、接合基板用ウェハの表面全体に有機フィルムを直接接合するので、接合基板用ウェハの表面全体を確実に保護することができ、また、接合基板用ウェハに形成されている貫通部を確実に封止することができ、ウェットエッチング工程でのアルカリ水溶液からの保護を確実に行うことができる。
ここで、前記有機フィルムが、ポリオレフィン系フィルムであるのが好ましい。これによれば、ポリオレフィン系フィルムを接合基板用ウェハの表面により確実に直接接合することができる。
また、前記接合工程では、前記有機フィルムを熱溶着により直接接合するのが好ましい。これによれば、有機フィルムが接合基板用ウェハに熱溶着により確実に接合でき、エッチング液からの保護がより確実になる。
また、前記成膜工程では、前記第1の液体流路と前記第2の流路とが連通する領域の膜を除去して開口部を形成するのが好ましい。これによれば、開口部があっても有機フィルムにより封止されるので、連通部が形成された際にリザーバ内部にエッチング液が流入しても接合基板用ウェハの表面に入り込むことがない。
また、前記除去工程では、前記有機フィルムを炭化水素系有機溶剤により除去するのが好ましい。これによれば、炭化水素系有機溶剤により、有機フィルムをより完全に且つ容易に除去することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの製造方法により製造されたインクジェット式記録ヘッドの一例を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。これら圧力発生室12、インク供給路14、連通路15、連通部13が流路形成基板10に形成される第1の液体流路を構成するが、流路形成基板10には少なくとも圧力発生室12があればよくインク供給路14及び連通路15や連通部13は設けなくてもよい。つまり、流路形成基板10にある液体が流れる流路が第1の液体流路となり、その態様は下記実施形態に限定されるものではない。なお、連通部13は、後述する接合基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの製造方法により製造されたインクジェット式記録ヘッドの一例を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。これら圧力発生室12、インク供給路14、連通路15、連通部13が流路形成基板10に形成される第1の液体流路を構成するが、流路形成基板10には少なくとも圧力発生室12があればよくインク供給路14及び連通路15や連通部13は設けなくてもよい。つまり、流路形成基板10にある液体が流れる流路が第1の液体流路となり、その態様は下記実施形態に限定されるものではない。なお、連通部13は、後述する接合基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
このような流路形成基板10は、図3に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ100に複数個が一体的に形成され、詳しくは後述するが、この流路形成基板用ウェハ100に圧力発生室12等を形成した後、この流路形成基板用ウェハ100を分割することによって形成される。
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスクとして用いられたマスク膜51を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、例えば、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、下電極膜60と圧電体層70と上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、このような各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加される。
また、流路形成基板10上の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する接合基板30が接合されている。また、接合基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。そして、このリザーバ部32は、本実施形態では、接合基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ110を構成している。このリザーバ部32は接合基板30に形成された第2の液体流路を構成し、このリザーバ部32の加えて別の流路があってもよく、またはリザーバ部32が存在せずに別の流路があってもよい。すなわち、接合基板30に形成されたインクが流れる何らかの流路が第2の液体流路となる。さらに、接合基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、この接合基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90は、この貫通孔33まで延設されており、図示しないがワイヤボンディング等により圧電素子300を駆動するための駆動IC等と接続される。なお、接合基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
接合基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定板42のリザーバ110に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ110の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
なお、このようなインクジェット式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ110からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動回路からの記録信号に従い、外部配線を介して圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
以下、このような本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの製造方法について説明する。なお、図4〜図7は、インクジェット式記録ヘッドの製造工程を説明する図であり、圧力発生室の長手方向の断面図である。
まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ100を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜52を形成する。
次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、ジルコニウム(Zr)層を形成後、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化して酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜55を形成する。次いで、図4(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。
次に、図4(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウム(Ir)からなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ100の全面に形成する。次いで、図5(a)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80をパターニングして、各圧力発生室12となる領域に圧電素子300を形成する。次いで、図5(b)に示すように、リード電極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共に圧電素子300毎にパターニングする。このとき、上述した連通部13とリザーバ部32とが連通する領域の膜を除去して開口部85を形成する。
次に、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ100の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の接合基板30となる接合基板用ウェハ130を接合する。なお、この接合基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ100の剛性は著しく向上することになる。
次に、図6(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ100を所定の厚さにする。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ100を約70μm厚になるようにエッチング加工した。
次いで、図6(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ100上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜51を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図6(c)に示すように、接合基板用ウェハ130に、有機フィルム140を熱溶着することにより、接合基板用ウェハ130の表面全体に有機フィルム140を接合する。すなわち、接合基板用ウェハ130を厚さ方向に貫通して形成されているリザーバ部32等が有機フィルム140によって完全に封止され、有機フィルム140の表面側からのリザーバ部32への液体の侵入が防止されるのは勿論、リザーバ部32に液体が入ったとしても、接合基板用ウェハ130と有機フィルム140との界面に侵入することがない。すなわち、連通部13が形成されて、エッチング液が開口部85を通過してリザーバ部32に侵入しても、有機フィルム140に遮断されて接合基板用ウェハ130と有機フィルム140との接合界面に侵入することはない。
このような有機フィルム140の材料としては、接合基板用ウェハ130の表面に接着剤を用いることなく熱溶着などにより直接接合することができ、耐アルカリ性を有する高分子材料を用いるのが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの共重合体などのポリオレフィン系フィルムなどを挙げることができ、本実施形態では、ポリエチレンフィルムを用いている。
そして、このように有機フィルム140を直接接合した後は、マスク膜51を介して流路形成基板用ウェハ100をアルカリ性のエッチング溶液により異方性エッチングすることにより、図7(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ100に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。このとき、接合基板用ウェハ130の表面は有機フィルム140によって覆われて流路形成基板用ウェハ100の圧電素子300側の面が完全に封止されているため、流路形成基板用ウェハ100又は圧電素子300がエッチング液によって破壊されるのを確実に防止することができる。
次に、図7(b)に示すように、有機フィルム140を、有機溶剤により除去する。有機溶剤は、有機フィルム140を軟化、溶解することにより剥離又は溶解させて除去できるもので、配線等に悪影響を与えないものであればよく、炭化水素系の有機溶剤が好ましい。炭化水素系の有機溶剤としては、アルカン、アルケン、シクロアルカン、芳香族炭化水素などを挙げることができるが、本実施形態では、シクロアルカンのデカリンを使用した。有機溶剤としてデカリンを用いることにより、有機フィルム140は、溶解除去することができた。
なお、その後は、流路形成基板用ウェハ100の接合基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、接合基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ100等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。また、上述した実施形態においては、連通部13とリザーバ部32との連通領域に開口部85を予め設けたが、開口部85を予め設けず、少なくとも一部の膜を残しておき、エッチング工程後に連通部13とリザーバ部32との間の膜を除去するようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。また、上述した実施形態においては、連通部13とリザーバ部32との連通領域に開口部85を予め設けたが、開口部85を予め設けず、少なくとも一部の膜を残しておき、エッチング工程後に連通部13とリザーバ部32との間の膜を除去するようにしてもよい。
また、本発明の実施形態の圧力発生素子として流路形成基板10に振動板を介して圧電素子300を設けて説明したが、この態様に限定されず、例えば、流路形成基板10の圧力発生室12などの液体流路内に発熱素子を配置し、当該発熱素子の駆動によって発生する気泡によりノズル開口からインク滴を吐出させる圧力発生素子の場合であっても本発明を適用可能である。
また、液体噴射ヘッドとしてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。適用可能な液体噴射ヘッドとしては、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 接合基板、 50 弾性膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 100 流路形成基板用ウェハ、 110 リザーバ、 130 接合基板用ウェハ、 140 有機フィルム、 300 圧電素子
Claims (5)
- ノズル開口に連通する圧力発生室を含む第1の液体流路が設けられた流路形成基板と、前記圧力発生室に圧力を付与する圧力発生素子と、前記圧力発生室に液体を供給する第2の液体流路が設けられた接合基板とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
シリコンウェハからなり前記流路形成基板が一体的に形成される流路形成基板用ウェハ上に前記圧力発生素子を形成する成膜工程と、
シリコンウェハからなり前記接合基板が一体的に形成された接合基板用ウェハを前記流路形成基板用ウェハ上に接合すると共に有機フィルムを前記接合基板用ウェハの前記流路形成基板用ウェハの接合側とは反対側の表面に接合する工程と、前記流路形成基板用ウェハをウェットエッチングすることにより前記圧力発生室を形成するエッチング工程と、
前記有機フィルムを除去する除去工程と、
前記流路形成基板用ウェハ及び前記接合基板用ウェハを所定の大きさに分割する分割工程と、
を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。 - 前記有機フィルムが、ポリオレフィン系フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
- 前記接合工程では、前記有機フィルムを熱溶着により直接接合することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
- 前記成膜工程では、前記第1の液体流路と前記第2の液体流路とが連通する領域の膜を除去して開口部を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
- 前記除去工程では、前記有機フィルムを炭化水素系有機溶剤により除去することを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
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JP2015066522A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 武蔵エンジニアリング株式会社 | 液体材料吐出装置および塗布方法 |
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