JP2003266394A - シリコンデバイスの製造方法及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法並びにシリコンウェハ - Google Patents

シリコンデバイスの製造方法及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法並びにシリコンウェハ

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JP2003266394A
JP2003266394A JP2002070765A JP2002070765A JP2003266394A JP 2003266394 A JP2003266394 A JP 2003266394A JP 2002070765 A JP2002070765 A JP 2002070765A JP 2002070765 A JP2002070765 A JP 2002070765A JP 2003266394 A JP2003266394 A JP 2003266394A
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silicon wafer
film
mask
forming
silicon
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Tetsuji Takahashi
哲司 高橋
Masami Murai
正己 村井
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エッチングの際に外周面を確実に保護してエ
ッチングの信頼性を向上することができるシリコンデバ
イスの製造方法及びインクジェット式記録ヘッドの製造
方法並びにシリコンウェハを提供する。 【解決手段】 シリコンウェハ100の少なくとも一方
面に当該シリコンウェハ100をエッチングする際のマ
スクパターンとなるマスク膜55を形成すると共に当該
シリコンウェハ100の少なくとも外周面に前記マスク
膜55とのエッチングの選択性を有する保護膜110を
スパッタリング法又は蒸着法により形成する工程と、前
記シリコンウェハ100の他方面に前記薄膜パターンを
形成する工程と、前記薄膜パターンの面を保護するエッ
チング保護層を形成する工程と、前記マスク膜55をパ
ターニングして前記シリコンウェハ100のマスクパタ
ーンを形成する工程と、前記シリコンウェハ100を前
記マスクパターン側からエッチングする工程とを具備す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン基板上に
薄膜パターンを有するシリコンデバイスの製造方法に関
し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧
力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面の
圧電体層を形成して、圧電体層の変位によりインク滴を
吐出させるインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関
すると共にシリコンデバイスに用いられるシリコンウェ
ハに関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
【0003】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0006】これによれば圧電素子を振動板に貼付ける
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を高密度に作り付けることがで
きるばかりでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆
動が可能になるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなインクジェ
ット式記録ヘッドは、シリコンウェハに圧力発生室など
や圧電素子を形成後、複数に分割することで形成されて
いる。
【0008】この圧力発生室等をシリコンウェハに形成
するには、シリコンウェハにマスクパターンとなるマス
ク膜を形成し、マスク膜をレジスト等で所定形状にエッ
チングすることによりマスクパターンを形成し、シリコ
ンウェハをマスクパターン側からエッチングすることで
形成することができる。
【0009】しかしながら、マスク膜をエッチングする
ことによってマスクパターンを形成する際に、マスク膜
を保護するレジストをシリコンウェハの外周面を完全に
覆うように形成するのが困難である。また、外周面に形
成されたレジストは、ハンドリング時などに剥がれ易く
マスク膜の外周面が露出されてしまう虞がある。このよ
うに外周面が露出されたマスク膜は、マスクパターンを
形成する際に外周面のマスク膜も同時にエッチングされ
てしまいシリコンウェハの外周面を露出させてしまう。
また、このシリコンウェハをエッチングして圧力発生室
を形成する際に、シリコンウェハの露出された外周面も
同時にエッチングされてしまい、その後の取り扱い等に
よる異物の原因となってしまうという問題がある。
【0010】本発明は、このような事情に鑑み、エッチ
ングの際に外周面を確実に保護してエッチングの信頼性
を向上することができるシリコンデバイスの製造方法及
びインクジェット式記録ヘッドの製造方法並びにシリコ
ンウェハを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、シリコン基板上に薄膜パターンを有
するシリコンデバイスの製造方法において、シリコンウ
ェハの少なくとも一方面に当該シリコンウェハをエッチ
ングする際のマスクパターンとなるマスク膜を形成する
と共に当該シリコンウェハの少なくとも外周面に前記マ
スク膜とのエッチングの選択性を有する保護膜をスパッ
タリング法又は蒸着法により形成する工程と、前記シリ
コンウェハの他方面に前記薄膜パターンを形成する工程
と、前記薄膜パターンの面を保護するエッチング保護層
を形成する工程と、前記マスク膜をパターニングして前
記シリコンウェハのマスクパターンを形成する工程と、
前記シリコンウェハを前記マスクパターン側からエッチ
ングする工程とを具備することを特徴とするシリコンデ
バイスの製造方法にある。
【0012】かかる第1の態様では、保護膜をシリコン
ウェハの外周面にスパッタリング法又は蒸着法により形
成することで、シリコンウェハの外周面を確実に保護し
て、マスクパターンをエッチングにより形成する際に、
マスクパターンの外周面がエッチングされることがな
く、シリコンウェハの外周面のエッチングを確実に防止
することができる。
【0013】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記シリコンウェハに前記保護膜を形成する工程で
は、当該保護膜を前記シリコンウェハの前記マスク膜が
形成される面の表面縁部から外周面まで連続して形成す
ることを特徴とするシリコンデバイスの製造方法にあ
る。
【0014】かかる第2の態様では、保護膜を一方の表
面縁部から外周面まで連続して形成することで、さらに
保護膜を剥離し難くすることができる。
【0015】本発明の第3の態様は、第2の態様におい
て、前記シリコンウェハの前記マスク膜が形成される面
の表面縁部は、面取りされていることを特徴とするシリ
コンデバイスの製造方法にある。
【0016】かかる第3の態様では、面取りされた表面
縁部に保護膜を形成することで、さらに保護膜を剥離し
難くすることができる。
【0017】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記シリコンウェハに前記マスク膜及
び前記保護膜を形成する工程では、前記マスク膜を形成
後、当該マスク膜上に前記保護膜を形成することを特徴
とするシリコンデバイスの製造方法にある。
【0018】かかる第4の態様では、保護膜をマスク膜
上に形成でき、シリコンウェハを確実に保護することが
できる。
【0019】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記保護膜が、ニッケル、金、白金及
び窒化珪素からなる群から選択された材料からなること
を特徴とするシリコンデバイスの製造方法にある。
【0020】かかる第5の態様では、所定の保護膜を用
いることで、剥離し難い保護膜を容易且つ確実に形成す
ることができる。
【0021】本発明の第6の態様は、第1〜5の何れか
の態様において、前記マスク膜が二酸化シリコンからな
ることを特徴とするシリコンデバイスの製造方法にあ
る。
【0022】かかる第6の態様では、二酸化シリコンか
らなるマスク膜を容易且つ高精度に形成することができ
る。
【0023】本発明の第7の態様は、第1〜6の何れか
の態様において、前記薄膜パターンの形成された前記シ
リコンウェハの前記保護膜が設けられていない領域を分
割する工程をさらに有することを特徴とするシリコンデ
バイスの製造方法にある。
【0024】かかる第7の態様では、保護膜の設けられ
ていない複数のシリコンデバイスを同時に且つ高精度に
形成することができる。
【0025】本発明の第8の態様は、第1〜7の何れか
の態様において、前記マスクパターンを形成する工程で
は、前記マスク膜をウェットエッチングすることにより
形成することを特徴とするシリコンデバイスの製造方法
にある。
【0026】かかる第8の態様では、ウェットエッチン
グによりマスクパターンを形成しても、保護膜によって
シリコンウェハの外周面を確実に保護することができ
る。
【0027】本発明の第9の態様は、第1〜8の何れか
の態様において、前記薄膜パターンを形成する工程で
は、当該薄膜パターンを成膜及びリソグラフィ法により
形成することを特徴とするシリコンデバイスの製造方法
にある。
【0028】かかる第9の態様では、高精度な薄膜パタ
ーンを大量に且つ比較的容易に形成することができる。
【0029】本発明の第10の態様は、ノズル開口に連
通する圧力発生室が画成される流路形成基板と、該流路
形成基板上に振動板を介して設けられて前記圧力発生室
に圧力を付与する圧電素子とを具備するインクジェット
式記録ヘッドの製造方法において、シリコンウェハの少
なくとも一方面に、当該シリコンウェハをエッチングす
る際のマスクパターンとなるマスク膜を形成すると共に
当該シリコンウェハの少なくとも外周面に前記マスク膜
とのエッチングの選択性を有する保護膜をスパッタリン
グ法又は蒸着法により形成する工程と、前記シリコンウ
ェハの他方面に前記振動板及び前記圧電素子を形成する
工程と、前記振動板及び前記圧電素子の面を保護するエ
ッチング保護層を形成する工程と、前記マスク膜をパタ
ーニングして前記シリコンウェハのマスクパターンを形
成する工程と、前記シリコンウェハを前記マスクパター
ン側からエッチングして前記圧力発生室を形成する工程
と、前記シリコンウェハを分割して複数の前記流路形成
基板とする工程とを具備することを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0030】かかる第10の態様では、保護膜をシリコ
ンウェハの外周面にスパッタリング法又は蒸着法により
形成することで、シリコンウェハの外周面を確実に保護
して、マスクパターンをエッチングにより形成する際
に、マスクパターンの外周面がエッチングされることが
なく、シリコンウェハの外周面のエッチングを確実に防
止することができる。
【0031】本発明の第11の態様は、第10の態様に
おいて、前記シリコンウェハに前記保護膜を形成する工
程では、当該保護膜を前記シリコンウェハの前記マスク
膜が形成される面の表面縁部から外周面まで連続して形
成することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
製造方法にある。
【0032】かかる第11の態様では、保護膜を表面縁
部から外周面まで連続して形成することで、さらに保護
膜を剥離し難くすることができる。
【0033】本発明の第12の態様は、第11の態様に
おいて、前記シリコンウェハの前記マスク膜が形成され
る面の表面縁部は、面取りされていることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0034】かかる第12の態様では、面取りされた縁
部に保護膜を形成することで、さらに保護膜を剥離し難
くすることができる。
【0035】本発明の第13の態様は、第10〜12の
何れかの態様において、前記シリコンウェハに前記マス
ク膜及び前記保護膜を形成する工程では、前記マスク膜
を形成後、当該マスク膜上に前記保護膜を形成すること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法に
ある。
【0036】かかる第13の態様では、保護膜をマスク
膜上に形成でき、シリコンウェハを確実に保護すること
ができる。
【0037】本発明の第14の態様は、第10〜13の
何れかの態様において、前記保護膜が、ニッケル、金、
白金及び窒化珪素からなる群から選択された材料からな
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造
方法にある。
【0038】かかる第14の態様では、所定の保護膜を
用いることで、剥離し難い保護膜を容易且つ確実に形成
することができる。
【0039】本発明の第15の態様は、第10〜14の
何れかの態様において、前記マスク膜が二酸化シリコン
からなることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
の製造方法にある。
【0040】かかる第15の態様では、二酸化シリコン
からなるマスク膜を容易且つ高精度に形成することがで
きる。
【0041】本発明の第16の態様は、第10〜15の
何れかの態様において、前記マスクパターンを形成する
工程では、前記マスク膜をウェットエッチングすること
により形成することを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドの製造方法にある。
【0042】かかる第16の態様では、ウェットエッチ
ングによりマスクパターンを形成しても、保護膜によっ
てシリコンウェハの外周面を確実に保護することができ
る。
【0043】本発明の第17の態様は、第10〜16の
何れかの態様において、前記圧電素子を形成する工程で
は、当該圧電素子の各層を成膜及びリソグラフィ法によ
り形成することを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ドの製造方法にある。
【0044】かかる第17の態様では、高密度なノズル
開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ
比較的容易に形成することができる。
【0045】本発明の第18の態様は、シリコンデバイ
スに用いられるシリコンウェハであって、少なくとも外
周面にスパッタリング法又は蒸着法により形成され、且
つウェットエッチングする際のマスクとなるマスク膜と
のエッチングの選択性を有する保護膜を有することを特
徴とするシリコンウェハにある。
【0046】かかる第18の態様では、保護膜をシリコ
ンウェハの外周面にスパッタリング法又は蒸着法により
形成することで、シリコンウェハの外周面を確実に保護
して、マスクパターンをエッチングにより形成する際
に、シリコンウェハの外周がエッチングされることがな
い。
【0047】本発明の第19の態様は、第18の態様に
おいて、少なくとも一方面にエッチングする際のマスク
パターンとなるマスク膜が形成されていることを特徴と
するシリコンウェハにある。
【0048】かかる第19の態様では、保護膜をマスク
膜上に形成でき、シリコンウェハを確実に保護すること
ができる。
【0049】本発明の第20の態様は、第18又は19
の態様において、前記保護膜が一方面の表面縁部から外
周面まで連続して形成されていることを特徴とするシリ
コンウェハにある。
【0050】かかる第20の態様では、保護膜を一方の
表面縁部から外周面まで連続して形成することで、さら
に保護膜を剥離し難くすることができる。
【0051】本発明の第21の態様は、第20の態様に
おいて、前記保護膜の延設された縁部が面取りされてい
ることを特徴とするシリコンウェハにある。
【0052】かかる第21の態様では、面取りされた縁
部に保護膜を形成することで、さらに保護膜を剥離し難
くすることができる。
【0053】本発明の第22の態様は、第18〜21の
何れかの態様において、前記保護膜が、ニッケル、金、
白金及び窒化珪素からなる群から選択された材料からな
ることを特徴とするシリコンウェハにある。
【0054】かかる第22の態様では、所定の保護膜を
用いることで、剥離し難い保護膜を容易且つ確実に形成
することができる。
【0055】本発明の第23の態様は、第18〜22の
何れかの態様において、前記マスク膜が二酸化シリコン
からなることを特徴とするシリコンウェハにある。
【0056】かかる第23の態様では、二酸化シリコン
からなるマスク膜を容易且つ高精度に形成することがで
きる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0058】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A’断面図
であり、図3は、シリコンウェハの斜視図及び断面図で
ある。
【0059】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなり、その両面には予め熱酸化により形成した二酸化
シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50及びマ
スク膜55が形成されている。
【0060】この流路形成基板10には、その他方面側
からマスク膜55によって形成されたマスクパターンを
介して異方性エッチングすることにより、複数の隔壁に
よって区画された圧力発生室12が形成されている。ま
た、各列の圧力発生室12の長手方向外側には、後述す
る封止基板30に設けられるリザーバ部31と連通孔5
1を介して連通し、各圧力発生室12の共通のインク室
となるリザーバ90を構成する連通部13が形成されて
いる。また、この連通部13は、インク供給路14を介
して各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれ連通
されている。
【0061】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われ
る。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をK
OH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて
(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1
の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(11
0)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが
出現し、(110)面のエッチングレートと比較して
(111)面のエッチングレートが約1/180である
という性質を利用して行われる。かかる異方性エッチン
グにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第
2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加
工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室
12を高密度に配列することができる。
【0062】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、
シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵
される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一
端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12よ
り浅く形成されており、圧力発生室12に流入するイン
クの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、インク
供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中ま
でエッチング(ハーフエッチング)することにより形成
されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時
間の調整により行われる。
【0063】このような流路形成基板10の厚さは、圧
力発生室12を配列密度に合わせて最適な厚さを選択す
ればよく、圧力発生室12の配列密度が、例えば、1イ
ンチ当たり180個(180dpi)程度であれば、流
路形成基板10の厚さは、220μm程度であればよい
が、例えば、200dpi以上と比較的高密度に配列す
る場合には、流路形成基板10の厚さは100μm以下
と比較的薄くするのが好ましい。これは、隣接する圧力
発生室12間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高く
できるからである。
【0064】なお、このような流路形成基板10は、図
3に示すように、シリコン単結晶基板からなるシリコン
ウェハ100に複数個が一体的に形成され、詳しくは後
述するが、このシリコンウェハ100に圧力発生室12
等を形成した後、分割することによって複数の流路形成
基板10となる。
【0065】また、シリコンウェハ100の表面には、
本実施形態では、例えば、熱酸化することにより形成さ
れた二酸化シリコンからなる膜が形成されており、この
二酸化シリコンからなる膜は、一方面に形成されたもの
が弾性膜50となり、その他、他方面及び外周面により
形成されたものがシリコンウェハ100に圧力発生室1
2等をエッチングに形成する際のマスク膜55となる。
【0066】このようなシリコンウェハ100の少なく
とも外周面には、マスク膜55とのエッチングの選択性
を有する保護膜110がスパッタリング法又は蒸着法に
より形成されている。
【0067】また、シリコンウェハ100の両側の面の
表面縁部には面取り面101が形成されており、本実施
形態では、保護膜110をマスク膜55の表面縁部から
面取り面101上を介して外周面上まで連続して形成し
た。
【0068】また、マスク膜55は、本実施形態では、
二酸化シリコンからなるため、保護膜110としては、
ニッケル、金、白金及び窒化珪素などの材料を挙げるこ
とができる。
【0069】なお、本実施形態では、このように保護膜
110が形成されたシリコンウェハ100は、詳しくは
後述するが、圧電素子等の薄膜パターン及び圧力発生室
12等を形成した後、保護膜110以外の領域を分割す
ることで複数の流路形成基板10となる。
【0070】さらに、流路形成基板10の開口面側に
は、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で
連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート2
0が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されてい
る。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.
1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば
2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミッ
クス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20
は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆
い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強
板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路
形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するよ
うにしてもよい。この場合には、流路形成基板10とノ
ズルプレート20との熱による変形が略同一となるた
め、熱硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することが
できる。
【0071】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要
がある。
【0072】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約0.5〜5μmの
圧電体層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極
膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電
素子300を構成している。ここで、圧電素子300
は、下電極膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を
含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか
一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層7
0を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。
そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極
及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加
により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本
実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電
極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極とし
ているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支
障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧
電体能動部が形成されていることになる。また、ここで
は、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により
変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと
称する。なお、上述した例では、弾性膜50及び下電極
膜60が振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を
兼ねるようにしてもよい。
【0073】さらに、このような各圧電素子300の上
電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード
電極85がそれぞれ接続されている。このリード電極8
5は、各圧電素子300の長手方向端部近傍から引き出
され、流路形成基板10の端部近傍の弾性膜50上まで
それぞれ延設されて外部配線等に接続されている。
【0074】このような圧電素子300が形成された流
路形成基板10上、すなわち、下電極膜60上、弾性膜
50上及びリード電極85上には、リザーバ90の少な
くとも一部を構成するリザーバ部31を有する封止基板
30が接合されている。このリザーバ部31は、本実施
形態では、封止基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生
室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように
流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生
室12の共通のインク室となるリザーバ90を構成して
いる。
【0075】また、封止基板30の圧電素子300に対
向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程
度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられてい
る。
【0076】このような封止基板30としては、流路形
成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラ
ス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施
形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結
晶基板を用いて形成した。
【0077】また、このような封止基板30上には、封
止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基
板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性
が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmポリ
フェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からな
り、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が
封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の
材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SU
S)等)で形成される。この固定板42のリザーバ90
に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部
43となっているため、リザーバ90の一方面は可撓性
を有する封止膜41のみで封止されている。
【0078】また、このリザーバ90の長手方向略中央
部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ9
0にインクを供給するためのインク導入口44が形成さ
れている。さらに、封止基板30には、インク導入口4
4とリザーバ90の側壁とを連通するインク導入路36
が設けられている。
【0079】このような本実施形態のインクジェット式
記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段と接続
したインク導入口44からインクを取り込み、リザーバ
90からノズル開口21に至るまで内部をインクで満た
した後、駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室1
2に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80と
の間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧
電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生
室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が
吐出する。
【0080】以下、このような本実施形態に係るインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法について説明する。な
お、図4〜図7は、シリコンウェハ100の圧力発生室
の幅方向を示す要部断面図である。
【0081】まず、図3に示すシリコンウェハ100を
製造する。
【0082】詳しくは、図4(a)に示すように、流路
形成基板10となるシリコン単結晶基板からなるシリコ
ンウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して、全面に
二酸化シリコンからなる膜を形成する。この二酸化シリ
コンからなる膜は、シリコンウェハ100の一方面の表
面に形成されたものが弾性膜50となり、その他、他方
面及び外周面に形成されたものが後の工程で所定の形状
にパターニングされてシリコンウェハ100に圧力発生
室12等を形成する際のマスクパターンとなるマスク膜
55となる。
【0083】次に、図4(b)に示すように、シリコン
ウェハ100の少なくとも外周面にマスク膜55をエッ
チングする際にマスク膜55とのエッチングの選択性を
有する保護膜110をスパッタリング法又は蒸着法によ
り形成する。
【0084】この保護膜110をスパッタリング法又は
蒸着法によって形成することで、保護膜110はマスク
膜55の外周面であっても剥離し難く、ハンドリング時
などにも容易に剥離せずに、マスク膜55が露出するの
を確実に防止している。
【0085】本実施形態では、保護膜110がシリコン
ウェハ100のハンドリング時などにさらに剥離し難く
するために、保護膜110をマスク膜55の表面縁部か
ら面取り面101上を介して外周面まで連続して形成す
るようにした。
【0086】このような工程で図3に示すように、シリ
コンウェハ100上に弾性膜50、マスク膜55及び保
護膜110を形成し、このシリコンウェハ100を用い
てインクジェット式記録ヘッドを製造する。
【0087】詳しくは、図4(c)に示すように、スパ
ッタリング法で下電極膜60を弾性膜50の全面に形成
後、下電極膜60をパターニングして全体パターンを形
成する。この下電極膜60の材料としては、白金(P
t)等が好適である。これは、スパッタリング法やゾル
−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜後に大
気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度
の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。
すなわち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸
化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、
圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を
用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少
ないことが望ましく、これらの理由から白金が好適であ
る。
【0088】次に、図5(a)に示すように、圧電体層
70及び上電極膜80を順次積層及びパターニングして
圧電素子300を形成する。
【0089】この圧電体層70は、結晶が配向している
ことが好ましい。例えば、本実施形態では、金属有機物
を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲ
ル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からな
る圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて
形成することにより、結晶が配向している圧電体層70
とした。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコ
ン酸鉛系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用す
る場合には好適である。なお、この圧電体層70の成膜
方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法で
形成してもよい。
【0090】さらに、ゾル−ゲル法又はスパッタリング
法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、
アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長さ
せる方法を用いてもよい。
【0091】何れにしても、このように成膜された圧電
体層70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向
しており、且つ本実施形態では、圧電体層70は、結晶
が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の
配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の
方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜
とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させ
た状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状
態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された
薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造
された圧電体層の厚さは、一般的に0.2〜5μmであ
る。
【0092】また、上電極膜80は、導電性の高い材料
であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の
多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形
態では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0093】次に、図5(b)に示すように、リード電
極85を形成する。具体的には、例えば、金(Au)等
からなるリード電極85を流路形成基板10の全面に亘
って形成すると共に、各圧電素子300毎にパターニン
グする。
【0094】次に、図6(a)に示すように、シリコン
ウェハ100の圧電素子300側に圧電素子300を封
止する圧電素子保持部32を有する封止基板30となる
封止基板形成材130を接合する。
【0095】次に、図6(b)に示すように、シリコン
ウェハ100を覆うレジスト120を形成すると共に所
定形状にパターニングする。
【0096】このレジスト120は、マスク膜55上で
所定形状にパターニングされることによってマスク膜5
5をエッチングする際のマスクパターンとなる。
【0097】このレジスト120をパターニングするに
は、レジスト120を塗布し、所定のマスクを用いて露
光し、現像することにより所定の形状に形成することが
できる。
【0098】また、レジスト120は、シリコンウェハ
100の外周面上、本実施形態では、保護膜110の外
周面上に形成するのが困難であると共にハンドリングな
どによって容易に剥離してしまい、図6(b)に示すよ
うに保護膜110の外周面には形成され難い。
【0099】なお、マスク膜55のエッチング工程で
は、封止基板形成材130に形成されたインク導入路3
6などの開口から内部がエッチング液に浸されてエッチ
ングされてしまうため、封止基板形成材130上に開口
を塞ぐ保護基板等を接合するのが好ましい。
【0100】次に、図7(a)に示すように、シリコン
ウェハ100のマスク膜55をエッチングすることによ
り圧力発生室12が形成される領域に開口55aを有す
るマスクパターンを形成する。
【0101】また、マスク膜55のエッチングでは、シ
リコンウェハ100の外周面にレジスト120が形成さ
れていないが、シリコンウェハ100の外周面には保護
膜110が形成されているため、レジスト120が無い
状態であっても外周面のマスク膜55が露出することな
く、マスク膜55の外周面はエッチングされない。
【0102】なお、マスク膜55のエッチングは、例え
ば、ウェットエッチングにより行うことができる。
【0103】次に、図7(b)に示すように、シリコン
ウェハ100を例えば、KOH等のアルカリ溶液でエッ
チングすることによって圧力発生室12及び図示しない
連通部13及びインク供給路14等を形成する。
【0104】その後は、シリコンウェハ100の封止基
板形成材130とは反対側の面にノズル開口21が穿設
されたノズルプレート20を接合すると共に他方面の封
止基板形成材130上にコンプライアンス基板40を接
合し、シリコンウェハ100等の各基板を図1に示すよ
うな一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割す
ることによって本実施形態のインクジェット式記録ヘッ
ドが形成される。
【0105】なお、上述した圧電素子300等の薄膜パ
ターン及び圧力発生室12などが形成されたシリコンウ
ェハ100は、保護膜110の形成された領域以外が分
割されるため、各インクジェット式記録ヘッドには保護
膜110が残らない。
【0106】以上説明したように、本実施形態では、シ
リコンウェハ100の少なくとも外周面に、シリコンウ
ェハ100をエッチングする際のマスクパターンとなる
マスク膜55とのエッチングの選択性を有する保護膜1
10をスパッタリング法又は蒸着法によって形成するこ
とで、シリコンウェハ100の外周面を保護膜110で
確実に保護して、マスク膜55をエッチングしてマスク
パターンを形成する際に外周面が同時にエッチングされ
るのを確実に防止することができる。
【0107】これにより、シリコンウェハ100の外周
面を露出することなく、圧力発生室12等をエッチング
することにより形成する際に、シリコンウェハ100の
外周面が同時にエッチングされるのを確実に防止して、
その後の取り扱い等により異物が生じるのを確実に防止
することができる。
【0108】(他の実施形態)以上、本発明の実施形態
1を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0109】例えば、上述した実施形態1のインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法では、シリコンウェハ10
0にマスク膜55を形成後、保護膜110をシリコンウ
ェハ100の少なくとも外周面に形成するようにした
が、これに限定されず、例えば、シリコンウェハの少な
くとも外周面に保護膜を形成後、シリコンウェハを熱酸
化することにより、保護膜以外の領域に、弾性膜及びマ
スク膜を形成するようにしてもよい。
【0110】また、上述した実施形態1では、マスク膜
55をエッチングすることによりマスクパターンを形成
する工程は、圧力発生室300を形成すると共に封止基
板形成材130を接合した後に行うようにしたが、これ
に限定されず、マスクパターンの形成は、マスク膜55
を形成した直後に行うようにしてもよい。このとき、シ
リコンウェハ100の二酸化シリコンからなる弾性膜5
0の形成された面をレジスト等で保護する必要がある。
【0111】また、上述した実施形態1では、インクジ
ェット式記録ヘッドを一例として説明したが、勿論、こ
れに限定されず、例えば、半導体等、シリコン基板上に
薄膜パターンを有するシリコンデバイスの製造方法にも
適用することができる。
【0112】さらに、上述した実施形態1では、弾性膜
50、マスク膜55及び保護膜110の形成されたシリ
コンウェハ100を用いてインクジェット式記録ヘッド
を形成する工程を説明したが、シリコンウェハ100
は、インクジェット式記録ヘッドに限らず、様々なシリ
コンデバイスに用いることができる。
【0113】なお、このように様々なシリコンデバイス
に用いられるシリコンウェハとしては、少なくとも外周
面にシリコンウェハをエッチングする際のマスクパター
ンとのエッチングの選択性を有する保護膜のみがスパッ
タリング法又は蒸着法により形成されていればよい。
【0114】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、シリ
コンウェハの少なくとも外周面に、シリコンウェハをエ
ッチングする際のマスクパターンとなるマスク膜とのエ
ッチングの選択性を有する保護膜をスパッタリング法又
は蒸着法によって形成することで、シリコンウェハの外
周面を保護膜で確実に保護して、マスクパターン形成時
などにマスク膜の外周面が同時にエッチングされるのを
確実に防止することができる。これによりシリコンウェ
ハをエッチングする際にシリコンウェハの外周面が同時
にエッチングされるのを防止して、その後の取り扱い等
により異物が生じるのを確実に防止することができると
共にエッチングの信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部を示す平面図及びそのA−A’断面図で
ある。
【図3】本発明の実施形態1に係るシリコンウェハの斜
視図及び要部断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示すシリコンウェハの要部断面図
である。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示すシリコンウェハの要部断面図
である。
【図6】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示すシリコンウェハの要部断面図
である。
【図7】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示すシリコンウェハの要部断面図
である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 12 圧力発生室 20 ノズルプレート 21 ノズル開口 30 封止基板 31 リザーバ部 32 圧電素子保持部 40 コンプライアンス基板 60 下電極膜 70 圧電体層 80 上電極膜 85 リード電極 90 リザーバ 100 シリコンウェハ 101 面取り面 110 保護膜 120 レジスト 130 封止基板形成材 300 圧電素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/306 B41J 3/04 103A 41/08 H01L 21/306 B 41/09 41/08 C 41/22 Fターム(参考) 2C057 AF93 AG12 AG44 AG47 AG82 AG88 AP02 AP13 AP25 AP34 AP52 AP54 AQ01 AQ02 AQ10 5F043 AA02 BB01 GG10

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板上に薄膜パターンを有する
    シリコンデバイスの製造方法において、 シリコンウェハの少なくとも一方面に当該シリコンウェ
    ハをエッチングする際のマスクパターンとなるマスク膜
    を形成すると共に当該シリコンウェハの少なくとも外周
    面に前記マスク膜とのエッチングの選択性を有する保護
    膜をスパッタリング法又は蒸着法により形成する工程
    と、前記シリコンウェハの他方面に前記薄膜パターンを
    形成する工程と、前記薄膜パターンの面を保護するエッ
    チング保護層を形成する工程と、前記マスク膜をパター
    ニングして前記シリコンウェハのマスクパターンを形成
    する工程と、前記シリコンウェハを前記マスクパターン
    側からエッチングする工程とを具備することを特徴とす
    るシリコンデバイスの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記シリコンウェハ
    に前記保護膜を形成する工程では、当該保護膜を前記シ
    リコンウェハの前記マスク膜が形成される面の表面縁部
    から外周面まで連続して形成することを特徴とするシリ
    コンデバイスの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記シリコンウェハ
    の前記マスク膜が形成される面の表面縁部は、面取りさ
    れていることを特徴とするシリコンデバイスの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記シ
    リコンウェハに前記マスク膜及び前記保護膜を形成する
    工程では、前記マスク膜を形成後、当該マスク膜上に前
    記保護膜を形成することを特徴とするシリコンデバイス
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記保
    護膜が、ニッケル、金、白金及び窒化珪素からなる群か
    ら選択された材料からなることを特徴とするシリコンデ
    バイスの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記マ
    スク膜が二酸化シリコンからなることを特徴とする特徴
    とするシリコンデバイスの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかにおいて、前記薄
    膜パターンの形成された前記シリコンウェハの前記保護
    膜が設けられていない領域を分割する工程をさらに有す
    ることを特徴とするシリコンデバイスの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記マ
    スクパターンを形成する工程では、前記マスク膜をウェ
    ットエッチングすることにより形成することを特徴とす
    るシリコンデバイスの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れかにおいて、前記薄
    膜パターンを形成する工程では、当該薄膜パターンを成
    膜及びリソグラフィ法により形成することを特徴とする
    シリコンデバイスの製造方法。
  10. 【請求項10】 ノズル開口に連通する圧力発生室が画
    成される流路形成基板と、該流路形成基板上に振動板を
    介して設けられて前記圧力発生室に圧力を付与する圧電
    素子とを具備するインクジェット式記録ヘッドの製造方
    法において、シリコンウェハの少なくとも一方面に、当
    該シリコンウェハをエッチングする際のマスクパターン
    となるマスク膜を形成すると共に当該シリコンウェハの
    少なくとも外周面に前記マスク膜とのエッチングの選択
    性を有する保護膜をスパッタリング法又は蒸着法により
    形成する工程と、前記シリコンウェハの他方面に前記振
    動板及び前記圧電素子を形成する工程と、前記振動板及
    び前記圧電素子の面を保護するエッチング保護層を形成
    する工程と、前記マスク膜をパターニングして前記シリ
    コンウェハのマスクパターンを形成する工程と、前記シ
    リコンウェハを前記マスクパターン側からエッチングし
    て前記圧力発生室を形成する工程と、前記シリコンウェ
    ハを分割して複数の前記流路形成基板とする工程とを具
    備することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
    製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記シリコンウ
    ェハに前記保護膜を形成する工程では、当該保護膜を前
    記シリコンウェハの前記マスク膜が形成される面の表面
    縁部から外周面まで連続して形成することを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11において、前記シリコンウ
    ェハの前記マスク膜が形成される面の表面縁部は、面取
    りされていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項10〜12の何れかにおいて、
    前記シリコンウェハに前記マスク膜及び前記保護膜を形
    成する工程では、前記マスク膜を形成後、当該マスク膜
    上に前記保護膜を形成することを特徴とするインクジェ
    ット式記録ヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項10〜13の何れかにおいて、
    前記保護膜が、ニッケル、金、白金及び窒化珪素からな
    る群から選択された材料からなることを特徴とするイン
    クジェット式記録ヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項10〜14の何れかにおいて、
    前記マスク膜が二酸化シリコンからなることを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項10〜15の何れかにおいて、
    前記マスクパターンを形成する工程では、前記マスク膜
    をウェットエッチングすることにより形成することを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項10〜16の何れかにおいて、
    前記圧電素子を形成する工程では、当該圧電素子の各層
    を成膜及びリソグラフィ法により形成することを特徴と
    するインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  18. 【請求項18】 シリコンデバイスに用いられるシリコ
    ンウェハであって、少なくとも外周面にスパッタリング
    法又は蒸着法により形成され、且つウェットエッチング
    する際のマスクとなるマスク膜とのエッチングの選択性
    を有する保護膜を有することを特徴とするシリコンウェ
    ハ。
  19. 【請求項19】 請求項18において、少なくとも一方
    面にエッチングする際のマスクパターンとなるマスク膜
    が形成されていることを特徴とするシリコンウェハ。
  20. 【請求項20】 請求項18又は19において、前記保
    護膜が一方面の表面縁部から外周面まで連続して形成さ
    れていることを特徴とするシリコンウェハ。
  21. 【請求項21】 請求項20において、前記保護膜の延
    設された表面縁部が面取りされていることを特徴とする
    シリコンウェハ。
  22. 【請求項22】 請求項18〜21の何れかにおいて、
    前記保護膜が、ニッケル、金、白金及び窒化珪素からな
    る群から選択された材料からなることを特徴とするシリ
    コンウェハ。
  23. 【請求項23】 請求項18〜22の何れかにおいて、
    前記マスク膜が二酸化シリコンからなることを特徴とす
    るシリコンウェハ。
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