JP2006228871A - 配線基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂中に無機フィラーを高充填化した絶縁層を用いた絶縁層にて、絶縁層の上下の配線層との電気的な導通がビアホールにより行われ、フィラーを含む残渣の介在による接続不良や信頼性低下を引き起こさずに電気的に接続できる配線基板絶縁膜を提供する。
【解決手段】上部配線層、無機フィラーと樹脂を有する絶縁層、下部配線層の順に形成され、上部と下部の配線層を電気的に接続するように絶縁層を貫通して形成されたビアホールを含む配線基板で、絶縁層に含まれる無機フィラーの総体積と樹脂固形分の総体積に対する無機フィラーの総体積の割合Vfが50%以上95%以下を満たし、かつビアホール底部の上部配線層と下部配線層の界面の粗さRzが1.5μm以上10μm以下であり、絶縁層上面からビアホールにおける上下の配線層の界面までの深さをa、絶縁層の厚さをbとし、{Rz+(1/Rz)}≦(a−b)≦3Rzを満たす配線基板。
【選択図】 図1
【解決手段】上部配線層、無機フィラーと樹脂を有する絶縁層、下部配線層の順に形成され、上部と下部の配線層を電気的に接続するように絶縁層を貫通して形成されたビアホールを含む配線基板で、絶縁層に含まれる無機フィラーの総体積と樹脂固形分の総体積に対する無機フィラーの総体積の割合Vfが50%以上95%以下を満たし、かつビアホール底部の上部配線層と下部配線層の界面の粗さRzが1.5μm以上10μm以下であり、絶縁層上面からビアホールにおける上下の配線層の界面までの深さをa、絶縁層の厚さをbとし、{Rz+(1/Rz)}≦(a−b)≦3Rzを満たす配線基板。
【選択図】 図1
Description
本発明は、樹脂中に無機フィラーを高充填した絶縁層を有する配線基板において、接続不良や信頼性が低下することなく、絶縁層の上部と下部に設けられた配線層との電気的な接続を行うことができる配線基板に関する。
半導体素子を搭載するための多層プリント配線板ないし多層配線基板の積層構造は、主として、パターン化された複数の配線層と、各配線層を電気的に隔絶するための複数の絶縁層と、所定の絶縁層を電気的に接続するための絶縁層を貫通する複数のビアとによって構成される。
ビアやパターンの形成方法としては、フォトリソグラフィー技術などによる化学的エッチング方法とレーザーやサンドブラストなどによる物理的なエッチング方法がある。フォトリソグラフィー技術による化学的エッチング方法には、感光性樹脂に無機微粒子を充填した感光性ペーストを用いて、所望のパターンを形成する方法がある(特許文献1、2参照)。しかし、感光性樹脂を含むため、極性基が多く、誘電損失が高くなるという難点があった。レーザーによる物理的なエッチング方法は、感光性樹脂を用いる必要がないため、任意の樹脂を選択することが可能であるが、レーザー照射により絶縁層に対してビアホールを形成する際、蒸発・飛散するに至らなかった炭化あるいは溶解した樹脂が残渣として当該ビアホールの底部に残留する(この残渣をスミアと呼ぶ)。この状態でビアホールに真空蒸着法、スパッタ法、無電解めっき法などにより当該ビアホールに金属を成長させ、上下の配線層とビアホールを介して電気的接続を形成すると、ビアホールと配線層との間に残渣が介在することになり、当該残渣が接続不良や信頼性低下の原因となるという難点があった(特許文献3参照)。この樹脂の残渣を除去する方法として湿式のデスミアがよく用いられ、デスミア溶液として過マンガン酸カリウムまたは過マンガン酸ナトリウムなどの過マンガン酸塩が使用される。また、ビア孔下の配線層である銅箔の一部を炭酸ガスレーザーで除去することで、デスミア処理施す必要のないビア加工技術(特許文献4参照)が知られている。
また、配線層表面を疎化処理し、粗化面上に絶縁層を形成する手法もよく使用される。粗化処理によって、表面に形成された凹凸部は、積層工程における絶縁体層との接着力を強化し、さらにめっき液への耐性を有し、ハローイングを防止することができる。
一方で、絶縁層を配線層と積層した際に、両材料の熱膨張率の差により、絶縁層と配線層間に応力が発生し、その結果、絶縁層内部にクラックが発生したり、絶縁層と配線層間の層間剥離が発生したりするという難点があった。このような不具合を解消ないし、軽減するための手法の一つとして、低熱膨張率の無機フィラーを樹脂中に混合した複合体を用いる方法(特許文献5参照)が知られている。上記方法による無機フィラー含有の複合体は、無機フィラーの添加率を増やすことにより熱膨張率を下げることができる。また、高誘電率化用途では、ペロブスカイト構造を有する無機フィラーの充填率を増やすことによって、比誘電率を上げることもできる(特許文献6参照)。近年、電子機器の小型化、信号の高速化や大容量化の要求に伴って、実装回路部品の高密度化の傾向にあり、使用する無機フィラーの粒子径もミクロンからナノオーダーといった微小な無機フィラーを高充填化するに至っている。
上記のような微小な無機フィラーを高充填化した複合体を絶縁層などに用いた場合、粗化した配線層の凹凸に無機フィラーが入り込んだ状態になっており、デスミア溶液では、樹脂由来の分解物や残渣などは取り除くことができるが、無機フィラーに化学的変化を与え取り除くことはできなかった。
特開2000−30534号公報(特許請求の範囲)
特開2002−148787号公報(特許請求の範囲)
特開2004−235202号公報(段落0001)
特開平11−346059号公報(特許請求の範囲)
特開2004−172597号公報(特許請求の範囲)
国際公開WO04/090912パンフレット(特許請求の範囲)
上記のような微小な無機フィラーを高充填化した複合体を絶縁層などに用いた場合、粗化した配線層の凹凸に無機フィラーが入り込んだ状態になっており、デスミア溶液では、樹脂由来の分解物や残渣などは取り除くことができるが、無機フィラーに化学的変化を与え取り除くことはできなかった。
かかる状況に鑑み、本発明は、樹脂中に無機フィラーを高充填した絶縁層を用いた場合に、絶縁層の上部と下部の配線層との電気的な導通がビアホールによって行われ、フィラーを含む残渣の介在による接続不良や信頼性低下を引き起こさずに電気的に接続することができる配線基板を提供する。
すなわち本発明は、上部配線層、無機フィラーと樹脂を有する絶縁層、下部配線層の順に形成され、上部と下部の配線層を電気的に接続するように絶縁層を貫通して形成されたビアホールを含む配線基板であって、絶縁層に含まれる無機フィラーの総体積と樹脂固形分の総体積に対する無機フィラーの総体積の割合Vfが50%以上95%以下を満たし、かつビアホール底部の上部配線層と下部配線層の界面の粗さRzが1.5μm以上10μm以下であり、絶縁層上面からビアホールにおける上下の配線層の界面までの深さをa、絶縁層の厚さをbとしたとき、{Rz+(1/Rz)}≦(a−b)≦3Rzを満たすことを特徴とする配線基板である。
本発明によれば、樹脂中に無機フィラーを高充填した絶縁層を用いた場合、絶縁層の上下にある配線層を、フィラーを含む残渣の介在による接続不良や信頼性低下を引き起こすことなく接続することができる。
本発明の配線基板にある絶縁層に含まれる無機フィラーと樹脂は、無機フィラーの総体積と樹脂固形分の総体積の合計体積に対する無機フィラーの割合Vfが、50%以上95%以下を満たすことが好ましい。さらに好ましくは70%以上90%以下である。無機フィラー含有率Vfが50%以上では小さい熱膨張率が得られる。また、無機フィラー含有率Vfが70%以上では、さらに小さい熱膨張率が得られ、銅などの配線層に近い熱膨張率が得られやすい。高い比誘電率を有する絶縁層を得る場合には、無機フィラー含有率Vfが70%以上では、十分に大きな比誘電率が得られる。一方、無機フィラー含有率Vfが95%以下では、組成物内部での空隙発生を抑制でき、空隙に起因する吸湿率が小さく、物性が水分や湿度の影響を受けにくい。また、無機フィラー含有率Vfが90%以下の場合、耐久性促進テストであるPCT(プレッシャークッカーテスト)後の接着性が、低下しにくい。
絶縁層の空隙率は、30体積%以下であることが好ましく、より好ましくは20体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下である。空隙率が30体積%より大きい場合、絶縁抵抗の低下やリーク電流の増大、曲げ強さの低下などが起こるため好ましくない。また、膜体積中に占める無機フィラーの割合が低くなり、高い比誘電率を有する絶縁層を得る場合には、比誘電率が50以上の絶縁層が得られにくい。
絶縁層の空隙率の測定方法は、ガス吸着法、水銀圧入法、陽電子消滅法、小角X線散乱法など、用途に合わせて適宜選択することができるが、本発明では、絶縁層の密度から、下記(1)〜(3)の手順で空隙率を求める。
(1)重さを量った定形基板上にペースト組成物を塗布、脱溶剤、固化して得られた絶縁層の重さを量る。
(2)基板の重さをW1、基板と絶縁層の重さをW2、絶縁層の密度をD、体積をVとすると、絶縁層の密度D=(W2−W1)/Vとなる。
(3)熱重量測定装置(TGA)を用いて、該絶縁層を大気雰囲気中、昇温速度10℃/分にて、900℃まで昇温、900℃で30分間保持して脱バインダーを行い、絶縁層中に含まれる無機フィラーと樹脂の割合を測定する。無機フィラーの体積をWc、比重をρc、樹脂の体積をWp、比重をρp、空隙率をPとすると、空隙率Pは、以下の式で求められる。空隙率P(体積%)={(V−Wc/ρc−Wp/ρp)/V}×100。
(2)基板の重さをW1、基板と絶縁層の重さをW2、絶縁層の密度をD、体積をVとすると、絶縁層の密度D=(W2−W1)/Vとなる。
(3)熱重量測定装置(TGA)を用いて、該絶縁層を大気雰囲気中、昇温速度10℃/分にて、900℃まで昇温、900℃で30分間保持して脱バインダーを行い、絶縁層中に含まれる無機フィラーと樹脂の割合を測定する。無機フィラーの体積をWc、比重をρc、樹脂の体積をWp、比重をρp、空隙率をPとすると、空隙率Pは、以下の式で求められる。空隙率P(体積%)={(V−Wc/ρc−Wp/ρp)/V}×100。
本発明の配線基板は、無機フィラーと樹脂を有する絶縁層の上部と下部にパターンを形成した配線層と、上下の配線層を電気的に接続するように前記絶縁層を貫通して形成されたビアホールを有している。断面モデル図を図1に示す。図1のaは絶縁層上面からビアホールにおける上下の配線層の界面までの深さを表し、bは絶縁層の厚さ、rはビアホール径を表す。また、Aはビアホール底部にある上部配線層と下部配線層の界面、1は下部配線層、2は絶縁層、3は上部配線層を表す。なお、界面は各配線層が電気的に接続可能である面を指す。
本発明では、ビアホール底部にある上部配線層と下部配線層の界面Aの粗さRzが1.5μm以上10μm以下であり、絶縁層上面からビアホールにおける上下の配線層の界面までの深さaと絶縁層の厚さbが{Rz+(1/Rz)}≦(a−b)≦3Rzを満たすことが好ましい。Rzが1.5μm未満の場合は、下部配線層の掘り下げが浅く、本発明の効果が十分に得られない可能性があり、好ましくない。Rzが10μmより大きい場合は、下部配線層を貫通してしまう可能性があり、下部配線層、さらには、その直下の材料や実装部品にダメージを与える可能性があるため、好ましくない。(a−b)が{Rz+(1/Rz)}未満の場合は、下部配線層の凹凸に入り込んだ無機フィラーを十分に取り除けておらず、無機フィラーや樹脂の残渣を起点として、接続不良や信頼性低下を引き起こす可能性があるため、好ましくない。(a−b)が3Rzより大きい場合は、下部配線層を貫通してしまう可能性があり、下部配線層、さらには、その直下の材料や実装部品にダメージを与える可能性があるため、好ましくない。
表面粗さRzは、十点平均値であり、抽出曲線から基準長さだけ抜き取った部分の平均戦から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(yv)の絶対値の平均値との和であり、下記式(1)に従う。
ビアホール底部の上部配線層と下部配線層の界面Aの断面モデル図を図2に示す。図2におけるyp1、yp2、yp3、yp4、yp5とは最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値、yv1、yv2、yv3、yv4、yv5とは最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値を表す。また、rは図1のビアのビア径を表す。
本発明における表面粗さRzは、界面Aの直径を基準長さとした時の十点平均値とし、JISB0601−1982に準じて測定した。また、絶縁層上面から、ビアホールにおける上下の配線層の界面までの深さaにおいて、上下配線層の界面の位置は、断面を最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(yv)の絶対値の平均値の和の位置とする。
山頂の標高(yp)と谷底の標高(yv)の測定方法は、触針式の段差計、レーザー顕微鏡、電子顕微鏡、原始間力顕微鏡など、用途に合わせて適宜選択することができる。ビア底部Aの断面サンプルを作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察を行うと、上部配線層と下部配線層の界面を酸化銅など配線層表面の酸化で生じたコントラストの異なる酸化層の薄膜の存在を検出することができ、山頂の標高(yp)と谷底の標高(yv)を特定することができる。また、コントラスト差が小さく、界面が特定できない場合は、断面をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて組成分析することによって界面位置を特定することも可能である。
絶縁層の厚さbの測定方法は、触針式の段差計、レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡、原始間力顕微鏡など、用途に合わせて適宜選択することができるが、本発明では、断面サンプルを作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
絶縁層の下部配線層は、特に粗化処理を行わずに平坦な状態で使用しても良いが、配線表面に微小な凹凸を形成して絶縁層との密着性を向上させた方が好ましく、下部配線層の表面粗さRaは、0.05μm以上0.2μm以下であることが好ましい。0.05μmより小さい場合は、絶縁層と十分な密着性が得られず好ましくない。0.2μmより大きい場合は、表皮効果によって、配線層の表面付近を流れて信号の伝送距離が長くなり易く、伝送損失が増大してしまう傾向にあり好ましくない。高周波信号ほどその傾向は強くなる。微小な凹凸の形成方法は、酸化被膜を形成するオキサイド処理や銅マイクロエッチングを基本とした薬液による粗化処理など任意の方法を用いることができる。表面粗さRaは、算術平均値であり、例えば、JIS B0601−1982に準じて測定することができる。
本発明の絶縁層は、無機フィラーを樹脂へ分散することによってペースト組成物を作製し、このペースト組成物を、配線層上に塗布し、脱溶剤、固化して絶縁層を形成することができる。但し、本発明の絶縁層は焼結体ではないので、樹脂を完全に分解、除去する必要はなく、電子部品の耐熱温度範囲内、例えば、500℃以下の温度で加熱することが好ましい。
絶縁層へのビアホールの形成方法としては、絶縁層除去と、絶縁層の残渣及び下部配線層の一部除去の2段階にわけて加工する方法が好ましい。2段階の加工方法は、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、サンドブラストから選ばれる少なくとも1種類を用いて所望の範囲の絶縁層を除去し、次に、YAGレーザー、エキシマレーザー又はサンドブラストから選ばれる少なくとも1種類を用いて加工を行い、絶縁層の残渣及び下部配線層の一部除去し、下部配線層に非貫通凹部を有するビアホールを形成することが好ましい。すなわち、絶縁層除去と、絶縁層の残渣及び下部配線層の一部除去の2段階にわけて加工することが良い。なお、本発明では、絶縁層除去をビアホール加工1、絶縁層の残渣及び下部配線層の一部除去をビアホール加工2とする。
炭酸ガスレーザーのみで加工すると、下地配線層下部まで深く掘り下げても、蒸発・飛散するに至らなかった炭化あるいは溶解した樹脂及び無機フィラーが残渣として残留し易い。YAGレーザーのみで加工すると、ビアホール加工の外形の形状が保持できず、歪な形状をとる場合がある。エキシマレーザー、サンドブラスト加工は、ビアホール加工1、ビアホール加工2共に同じ手法を用いて加工しても良い。
また、ビアホール加工1として、レジストなどの感光性樹脂を絶縁層上に形成し、ビアホールを作製しても良い。絶縁層上にラミネーターを用いて、ドライフィルムレジストを張り合わせ、所望のマスクパターンを介して、紫外線を発光する光源、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、アーク等、キセノンランプ等を用いて露光するか、電子線を走査しながら照射する。次にこれを現像液に浸漬すると、露光部が選択的に溶解除去されてマスクパターンに忠実な画像を得ることが出来る。レジストに保護されていない部分を湿式エッチング、サンドブラスト、プラズマ処理などの方法を用いて金属配線部分まで所望の厚さにエッチングを行った後、レジストを剥離し、下部配線層に凹部を作製することができる。
炭酸ガスレーザーでは、赤外線波長域にある9.3〜10.6μmの波長を使用することができる。エネルギーは4〜60mJ、好適には6〜45mJにてパルス発振で銅箔を加工し、孔をあけることができる。エネルギーは絶縁層の厚さ、種類によって適宜選択することができる。又、加工方法もトレパン、スパイラル、パンチングなど適宜選択し、組み合わせて加工しても良く、加工途中でエネルギーを変えても良く、下地の配線層にダメージを与えない程度に加工することが好ましい。YAGレーザーは、炭酸ガスレーザー加工と比べて残存樹脂などの不導体が付着しにくく、下部配線層を削ると共にビア底の残渣を蒸発・飛散させる加工条件で適宜使用することができる。YAGレーザーの波長は190〜1100nmが好適に使用することができる。サンドブラスト加工は、好適には、噴射材料の研磨材の粒子径2〜25μm、加工圧力0.1〜0.5MPaにて加工するのが好ましいが、絶縁層の種類などによって適宜選択することができる。但し、上記方法に限定されるものではなく、本発明の絶縁層へのビアホール加工方法は、レーザー加工、ドリル加工、エッチング加工、サンドブラスト加工など公知の任意の方法を適用することができ、適宜選択し、組み合わせて加工しても良い。レーザー加工方法も、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなど、適宜選択し、組み合わせて加工しても良い。
本発明は、無機フィラーを含む絶縁層のビアホール形成時に下部配線層の一部を除去することによって、下部配線層表層部の凹凸に入り込んだ無機フィラーを下部配線層の表層部と一緒に取り除き、ビアホールを通じた絶縁層上部の配線と下部の配線間の電気的接続にとって、高い信頼性を実現できる。
ビアホール形成時に発生するスミアは形成されたビアの孔壁、孔底に付着することがあるが、本発明はさらに以下の方法を用いてスミアの除去を行っても良い。例えば、膨潤、酸化、中和の3つの工程からなるアルカリ過マンガン酸塩除去プロセスが有効である。塩化第2鉄溶液などのエッチング液を用いて配線金属層と共にスミアを除去する方法やサンドブラスト、プラズマ処理によってスミアを除去する方法を使用してもよく、デスミアプロセスは上記手法に限定されず、公知の任意の方法を適用できる。ただし、ビアホール形成時に、無機フィラーが焼き飛び、ビアホールの内壁、底部などへスミアの付着が確認されない場合は、デスミアプロプロセスを行わなくてもよい。
本発明で用いられるビアホールの孔径は、10μm以上300μm以下であることが好ましい。ビアホール径が10μm未満では、上部と下部の配線層との導通をとることが難しい。ビアホール径が300μmより大きいと実装回路部品を高密度化することができず、パッケージを小型化することが難しい。
本発明の絶縁層(図1の符号2)の上部と下部の配線層(図1の符号1、3)がビアホールを通して電気的に接続されるが、ビアホール開口内の上下の配線層がビアホール底部(ここではビアホール底部にある上部配線層と下部配線層の界面Aが該当する)とビアホール内壁で接触し、ビアホール底部を除くビアホールの内壁での導通部分の接地面積が300μm2以上であることが好ましい。さらに好ましくは600μm2以上の面積で接することが好ましい。ビアホール内壁との接地面積が300μm2以下では、ビア内壁において電気的な接続を保持することが困難となり、接続不良を引き起こすため好ましくない。600μm2以上では、ビアホール開口内の内壁を通して、上部配線層3と下部配線層1の接地面積が増加するため、接続不良や信頼性低下を引き起こさずに接続することができる。
下部配線層の厚さは5μm以上35μm以下であることが好ましい。5μm未満では、十分な電気的接続が保てず、35μmを越えると軽量・薄型化に支障をきたすことになり好ましくない。
本発明における絶縁層に含まれる無機フィラーは、チタン酸バリウム系、チタン酸ジルコン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウムネオジム系、チタン酸バリウム錫系、マグネシウムニオブ酸バリウム系、マグネシウムタンタル酸バリウム系、チタン酸鉛系、ジルコン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、マグネシウムニオブ酸鉛系、ニッケルニオブ酸鉛系、タングステン酸鉛系、タングステン酸カルシウム系、マグネシウムタングステン酸鉛系、二酸化チタン系、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コーディライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、シリカおよび窒化アルミなどを挙げることができる。チタン酸バリウム系とは、チタン酸バリウム結晶内の一部の元素を他の元素で置換したり、結晶構造内に他の元素を侵入させたりした、チタン酸バリウムを母材とする固溶体を含めた総称である。その他のチタン酸ジルコン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウムネオジム系、チタン酸バリウム錫系、マグネシウムニオブ酸バリウム系、マグネシウムタンタル酸バリウム系、チタン酸鉛系、ジルコン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、マグネシウムニオブ酸鉛系、ニッケルニオブ酸鉛系、タングステン酸鉛系、タングステン酸カルシウム系、マグネシウムタングステン酸鉛系、二酸化チタン系のいずれも同様で、それぞれを母材とする固溶体を含めた総称である。特に、高い比誘電率を有する絶縁層を得る場合には、ペロブスカイト型結晶構造、あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有するフィラーを用いることが好ましく、商業的利便性との両立の点から、主としてチタン酸バリウムからなる化合物を用いることが好ましい。但し、誘電特性や温度安定性を向上させる目的で、シフター、デプレッサー剤などを少量添加して用いてよい。
無機フィラーの形状は、球状、略球状、楕円球状、針状、板状、鱗片状、棒状、サイコロ状などが挙げられるが、特に、球形、略球形あるいは六面体のサイコロ状であることが好ましい。六面体のサイコロ状とは、必ずしも正六面体でなくてもよく、角部や辺部を丸く面取りした六面体球状体を含む六面体である。球状、略球状あるいは六面体のサイコロ状の無機フィラーは、最も比表面積が少ないために充填時にフィラー凝集や樹脂流動性低下などを生じにくいからである。これらのうち1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができる。低線膨張係数、および高比誘電率を得るためには、これらの無機フィラーを高充填率で樹脂に含有させることが望ましい。
層間絶縁材料として一般に使用される樹脂は、例えば、ポリイミドで30〜50ppm/℃、エポキシ樹脂で50ppm/℃以上の線膨張係数を有する。これは、配線金属、例えば、銅の線膨張係数17ppm/℃に比較して非常に大きいが、無機フィラーを混合させることにより、線膨張係数を下げることが可能となる。
また、無機フィラーと樹脂からなる絶縁層において、その絶縁層の比誘電率は、複合体における比誘電率の導出式、いわゆる下記に記載した対数混合則(2)に従う(セラミックス材料科学入門(応用編)、内田老鶴圃新社、W.D.Kingery著、小松和蔵ら訳、p912)。高誘電率を有する無機フィラーの含有量が高いほど、得られる絶縁層の比誘電率は高くなる。
ε:複合体の比誘電率
εi:複合体の各成分の比誘電率
Vi:複合体の各成分の体積分率。
εi:複合体の各成分の比誘電率
Vi:複合体の各成分の体積分率。
本発明では、無機フィラーの平均粒子径は5μm以下であることが好ましい。無機フィラーの平均粒径が5μmより大きいものを用いて、膜厚10μm以下の絶縁層を作製しようとすると、フィラーが膜表面に突出しやすくなるために、安定した誘電特性が得ることが難しい。また、絶縁層表面が粗化されることに起因して、当該絶縁層表面に形成される配線層の表面に凹凸が生じ、高周波信号の伝送損失が増大してしまう傾向にあり、好ましくない。単一粒径の無機フィラーを用いてもよいが、無機フィラーを高充填率で樹脂に含有させるためには、2種類以上の異なる平均粒径を持つものを混合して用いてもよい。単一粒径のフィラーを充填した場合、高密度に充填するとフィラーとフィラーの間に菱形状の空隙が生じ、この空隙には、他のフィラーが侵入することができない。しかし、この空隙以下の大きさの無機フィラーであればさらにこの隙間に侵入することができ、容易に充填率を向上させやすい。
2種類以上の異なる平均粒径を有する無機フィラーを含む場合、そのうち最大の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径は5μm以下であることが好ましい。より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。また0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。ここで、最大の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径が5μmより大きいものを用いて、膜厚10μm以下のコンデンサを作製しようとすると、フィラーが膜表面に突出しやすくなるために、安定した誘電特性が得ることが難しい。また、最大の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径が2μm以下のものを用いた場合には、フィラー分散液のフィラーが沈降しにくい。さらに、最大の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径が1μm以下のものを用いた場合には、長期間保管においてフィラーが沈降しにくく、保管条件が制限されないことがある。一方、比誘電率が大きい材料を得ようとした場合に、最大の平均粒径が0.1μmより小さい場合には、それらのフィラーの比表面積が大きいために結晶構造の対称性が高くなりやすく、高誘電率相が得られにくく、絶縁層の比誘電率が低下してしまう原因となる。また、最大の平均粒径が0.2μm以上だと、フィラー表面積が小さくなり、フィラー分散ペーストが凝集しにくく、粘度変化が小さく、混練、分散や塗布加工が影響を受けにくい。さらに、最大の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径が0.3μm以上だと、最大の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径と最小の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径の差比を十分大きくとれるので、充填率が左右されない。
また本発明では、最小の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径は0.01〜0.1μmであることが好ましい。さらには0.04〜0.06μmのものを用いることがより好ましい。なお最大の平均粒径と最小の平均粒径の差比をとる必要があるため、最小の平均粒径を有する無機フィラーは、最大の平均粒径によって、上記の範囲から適宜選択される。最小の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径は、最大の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径との差比を大きくとった方が、充填率を高めることができる。この理由により、最小の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径は、最大の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径の好ましい範囲から考えて、0.1μm以下が好ましく、より好ましくは、0.06μm以下である。最小の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径が0.04μm以上では、分散後の再凝集が起こりにくく、ペーストの分散安定性が良い。また、最小の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径がさらに0.01μm以上では、それらのフィラーどうしが二次凝集しにくくなるために、凝集体を解し、分散させやすい。
本発明で用いる無機フィラーにおいて、最大の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径と最小の平均粒径を有する無機フィラーの平均粒径の差比は、大きいほど好ましく、最大の平均粒径は最小の平均粒径に対し、3倍以上、さらには5倍以上であることが好ましい。差比が小さいと、小さいフィラーが効率よく大きいフィラー間の空隙に侵入しにくい。一方、差比が大きと、小さいフィラーが凝集しやすくなり、分散安定性が低下する。好ましくは30倍以下、さらには10倍以下であることが好ましい。
少なくとも2種類の平均粒径を有した無機フィラーを用いる場合、その最大の平均粒径を持つ無機フィラーの総体積Vaと最小の平均粒径を持つ無機フィラーの総体積Vbが、0.05≦Vb/(Va+Vb)<0.5を満たすことが好ましい。つまり小さいフィラーの量は、体積比にしてフィラー全量の5%以上50%未満であることが好ましい。5%未満の場合には、空隙に侵入して充填量を上げる効果がほとんど得られず、また50%以上では、大きいフィラーが作る空隙よりも小さいフィラーの占める体積が大きくなり、相互侵入して充填量を増やす効果は小さくなる。
これらの大きいフィラー、小さいフィラーの他に、更に他の粒径のフィラーを混合しても良く、3種類以上でも適宜粒径と配合比を選ぶことでフィラーを混合することによる充填率向上の効果が得られる。
次に、本発明で用いられる樹脂は、熱可塑性、熱硬化性樹脂のいずれも選択することができる。
熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレン、フッ素樹脂などを用いることができる。
また、熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド、アクリル樹脂、シアネート樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などのほか、一般的にプリント配線板の絶縁層に使用される樹脂を用いることができる。はんだ耐熱性などの点から、熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、特に、熱硬化収縮性、粘性などの点からエポキシ樹脂が好ましく使用される。
ここで、エポキシ樹脂とは、分子構造中にエポキシ基(オキシラン環)を2個以上含むプレポリマーを有する樹脂である。プレポリマーは、誘電特性の点から、ビフェニル骨格あるいはジシクロペンタジエン骨格を有することが好ましい。また、硬化剤を有していてもよく、硬化剤には、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、アミノトリアジン化合物、ナフトール化合物などの硬化剤を用いることができる。さらに、トリフェニルホスフィン、ベンゾイミダゾール系化合物、トリス(2、4−ペンタンジオナト)コバルトなどの金属キレート化合物などの硬化促進剤を添加することも可能である。
ペースト組成物は、無機フィラーを樹脂へ分散することによって得られる。例えば、無機フィラーを樹脂溶液に加えて、混合分散する方法や、予め無機フィラーを適当な溶剤中に分散した分散液を作製し、その分散液と樹脂溶液を混合するレットダウン法などによって作製される。また、樹脂または溶剤中へ無機フィラーを分散させる方法は特に限定されず、例えば、超音波分散、ボールミル、ロールミル、クレアミックス、ホモジナイザー、メディア分散機などの方法を用いることができるが、特に、分散性の点でボールミル、ホモジナイザーを用いることが好ましい。
無機フィラー分散の際、分散性を向上させるために、例えば、無機フィラーの表面処理、分散剤の添加、界面活性剤の添加、溶剤の添加などを行っても良い。無機フィラーの表面処理としては、シラン系、チタン系、アルミニウム系などの各種カップリング剤、脂肪酸、リン酸エステルなどによる処理のほか、ロジン処理、酸性処理、塩基性処理などが挙げられる。また、分散剤の添加の例としては、リン酸、カルボン酸、脂肪酸、およびそれらのエステル類などの酸基を有する分散剤などが挙げられ、特に、リン酸エステル骨格を有する化合物が好ましく用いられる。そのほか、ノニオン性、カチオン性、アニオン性の界面活性剤、多価カルボン酸などの湿潤剤、両親和性物質、高立体障害の置換基を有する樹脂などの添加が挙げられる。また、分散時または分散後の系の極性は、溶剤の添加で制御することができる。また、ペースト組成物は必要に応じて、安定化剤、分散剤、沈降防止剤、可塑剤、酸化防止剤などを含有してもよい。
ペースト組成物を被着体上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンナー、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーターなどが挙げられる。このようにして、塗布した膜をホットプレート、オーブンなどの加熱装置を用いて、溶剤の除去や熱硬化を行うことで、絶縁層を容易に得ることができる。ペースト組成物を塗布する被着体は、例えば、有機系基板、無機系基板上に回路の構成材料が配置されたものから選択できる。
有機系基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。また、無機系基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や無機フィラーなどを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
本発明の絶縁層の形態は特に限定されず、膜状、棒状、球状など、用途に合わせて選択することができるが、特に膜状であることが好ましい。ここでいう膜とは、フィルム、シート、板、ペレットなども含まれる。もちろん、導通のためのビアホール形成、インピーダンスや静電容量あるいは内部応力の調整、または、放熱機能付与など、用途にあわせたパターン形成を行うこともできる。
絶縁層の膜厚は、静電容量など所望の値を満たす範囲内で任意に設定することができるが、2μm以上500μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、4μm以上100μm以下のものである。コンデンサとして大きな静電容量を確保するには膜厚が薄い方が好ましいが、2μmより薄い場合にはピンホールなどが発生しやすく、電気的絶縁が得られにくくなる。また、4μm以上では、耐久性促進テストであるPCT(プレッシャークッカーテスト)後に誘電正接が増大しにくい。また、膜厚が500μmを越えると、軽量、小型化に不向きであり、高誘電率用途では、十分なコンデンサ性能を得るために大きな比誘電率が必要となる上、実装密度向上が難しくなることがある。
本発明の絶縁層の上部とビアホール内部に配線層を形成するのに有効な方法として、電解めっき法がある。電解めっき法により配線パターンを形成するためには、前工程として絶縁層表面を導通化する必要があり、スパッタリング法、真空蒸着法、無電解めっき法などにより50〜350nm程度の厚みを持った導通膜を形成する。導通膜は、例えば、銅、銀等の薄膜であってよい。また、密着性向上のため、上記のような薄膜と、クロム、チタン、窒化チタン等の密着膜との積層構造としてもよい。このような導通膜の上に、電解めっき法により、所望の厚みの配線層を形成する。配線層の厚さは、5μm以上35μm以下が好ましい。また、配線層は、銅、銀等の薄膜が好ましいが、電気的に導通をとることができる材料であれば適宜使用することが可能である。配線層のパターン形成方法は、セミアディティブ法、サブトラクティブ法など公知の任意の方法を適用することができる。
本発明の配線基板の優位性は、樹脂中に無機フィラーを高充填した絶縁層を用いた絶縁層において上下に形成された配線層がビアホールを介して電気的接続を行う際に、残渣の介在による接続不良や信頼性低下を引き起こさずに接続することができることである。
このような、樹脂中に無機フィラーを高充填した絶縁層の上下に位置する配線層がビアを介して電気的導通を行う配線基板を形成することは、実装基板の軽薄短小化を実現することができる。また、高誘電率材料用途では、小さな占有面積で高い信頼性を有するコンデンサを得ることができる。さらに大静電容量に適しているため、高密度SiPに内蔵されるコンデンサやコンデンサとしての機能を有する回路基板材料用層間絶縁材料に有用である。
本発明の絶縁層を用いて作製したコンデンサ用層間絶縁材料の面積あたりの静電容量としては、5nF/cm2以上の範囲にあることが好ましい。さらに好ましくは、10nF/cm2以上の範囲にあることが好ましい。5nF/cm2より小さい静電容量では、デカップリングキャパシタとして用いた場合に、システム全体の電源系との分離を十分に行うことができず、デカップリングキャパシタとして十分な機能を果たすことができない。
静電容量の温度変化、面内ばらつきは、小さい方が回路設計上好ましい。温度変化についても、できるだけ小さい方が好ましく、例えば、X7R特性(−55〜125℃において静電容量の温度変化率が±15%以内)を満たすことが好ましい。静電容量の面内ばらつきは、平均値に対して5%以下(静電容量の平均値−5%≦静電容量≦静電容量の平均値+5%)であることが好ましい。ここで、静電容量などの電気特性は、周波数20k〜1GHzでの測定値とする。絶縁層の比誘電率、誘電正接はJIS K6911に準じて測定した。絶縁層はスピンコートしたペースト組成物を適宜加熱し、溶剤蒸発、樹脂硬化させることにより形成した。また、温度、吸湿状態も誘電特性に影響するので、絶縁層を測定条件である一定の温度、湿度雰囲気下に24時間放置した後に測定を行うことで再現性良く誘電特性の評価ができる。
このような絶縁層を用いた配線基板を形成することは、実装基板の軽薄短小化を実現し、接続不良や信頼性低下を引き起こさずに電気的に接続することができる。また、高密度SiPに内蔵されるコンデンサやコンデンサとしての機能を有する配線基板として有用である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。接続信頼性試験及び誘電特性は下記の方法に従って測定した。
[接続信頼性試験]
接続信頼性試験は、熱衝撃試験と耐湿性試験を行った。熱衝撃試験は、回路基板を−55℃の雰囲気に15分間放置し、続いて125℃の雰囲気に15分間放置するというサイクルの操作を1000回行い、接続抵抗が100mΩ以下であれば、良好な接続がなされているとして、良好とした。上記したサイクルを1000回行う前に接続抵抗が100mΩより大きくなる場合を不良とした。
接続信頼性試験は、熱衝撃試験と耐湿性試験を行った。熱衝撃試験は、回路基板を−55℃の雰囲気に15分間放置し、続いて125℃の雰囲気に15分間放置するというサイクルの操作を1000回行い、接続抵抗が100mΩ以下であれば、良好な接続がなされているとして、良好とした。上記したサイクルを1000回行う前に接続抵抗が100mΩより大きくなる場合を不良とした。
耐湿性試験は、温度85℃、湿度85%で168時間吸湿後にパッケージ剥離が発生しないかどうかを目視で評価した。この耐湿性試験は、JEDECレベル1に相当する。JEDECレベル1とは、米国のJEDEC(共同電子機器技術委員会)におけるパッケージ標準委員会が定める半導体パッケージを基板実装する際の条件水準である。
[誘電特性]
絶縁層の比誘電率、誘電正接はJIS K6911に準じて測定した。面積6cm×6cm、厚さ0.3mmのアルミニウム基板上の全面に絶縁層の塗膜を形成する。塗膜上に蒸着法により測定用電極を形成する。測定用電極は直径10mmの円形パターン、絶縁層の膜厚は10μm〜20μmの範囲とする。測定用電極とアルミニウム基板に挟まれた部分が測定対象領域となる。測定対象領域の1MHzにおける静電容量と誘電正接をインピーダンスアナライザHP4284AおよびサンプルホルダーHP16451B(共にヒューレットパッカード社製)を用いて、JIS K 6911に準じて測定した。
絶縁層の比誘電率、誘電正接はJIS K6911に準じて測定した。面積6cm×6cm、厚さ0.3mmのアルミニウム基板上の全面に絶縁層の塗膜を形成する。塗膜上に蒸着法により測定用電極を形成する。測定用電極は直径10mmの円形パターン、絶縁層の膜厚は10μm〜20μmの範囲とする。測定用電極とアルミニウム基板に挟まれた部分が測定対象領域となる。測定対象領域の1MHzにおける静電容量と誘電正接をインピーダンスアナライザHP4284AおよびサンプルホルダーHP16451B(共にヒューレットパッカード社製)を用いて、JIS K 6911に準じて測定した。
実施例1
チタン酸バリウム(堺化学(株)製、BT−05、平均粒径:0.5μm)323重量部、γ−ブチロラクトン36重量部、分散剤(ビックケミー(株)製、BYK−W9010)3.2重量部をホモジナイザーを用いて氷冷下で1時間混合分散し、分散液A−1を得た。エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート(商品名)1750)11.5重量部、フェノールノボラック樹脂(大日本インキ工業(株)製、フェノライト(商品名)VH−4150)8.5重量部、硬化促進剤(北興化学(株)製、トリフェニルホスフィン)0.2重量部、γ−ブチロラクトン21重量部を混合し、エポキシ樹脂溶液B−1を得た。分散液A−1とエポキシ樹脂溶液B−1をボールミルを用いて混合し、ペースト組成物C−1を作製した。
チタン酸バリウム(堺化学(株)製、BT−05、平均粒径:0.5μm)323重量部、γ−ブチロラクトン36重量部、分散剤(ビックケミー(株)製、BYK−W9010)3.2重量部をホモジナイザーを用いて氷冷下で1時間混合分散し、分散液A−1を得た。エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート(商品名)1750)11.5重量部、フェノールノボラック樹脂(大日本インキ工業(株)製、フェノライト(商品名)VH−4150)8.5重量部、硬化促進剤(北興化学(株)製、トリフェニルホスフィン)0.2重量部、γ−ブチロラクトン21重量部を混合し、エポキシ樹脂溶液B−1を得た。分散液A−1とエポキシ樹脂溶液B−1をボールミルを用いて混合し、ペースト組成物C−1を作製した。
コア基板として18μm銅箔を積層したガラスエポキシ基板を使用し、この基板の銅箔にサブトラクティブ法によって銅配線層(図1における符号1で示したもの)を形成した。銅配線層は、黒化還元処理剤を用いて、銅表面に金属銅の微細な粗化形状を形成した。表面粗さRa=0.09μmであった。この銅配線層上にペースト組成物C−1をダイコーターを用いて塗布し、オーブンを用いて、80℃×15分間で乾燥させた後、175℃×4時間で硬化させ、膜厚bが10μmの絶縁層(図1における符号2で示したもの)を形成した。無機フィラーの総体積と樹脂固形分の総体積に対する無機フィラーの総体積の割合Vfは75体積%である。
次に、絶縁層にレーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成した。ビアホール加工1は、炭酸ガスレーザーを用いて100μmφ径のビアホールを開孔し、ビアホール加工2は、YAGレーザーを用いて、銅配線層1を掘り下げた。さらに、マイクロビアホール内部のスミア除去をマクダーミッド社製アルカリ過マンガン酸塩のデスミア液を用いて、膨潤(45℃×3分)、水洗、酸化(70℃×10分)、水洗、中和(45℃×5分)、水洗の工程を行い、マイクロビアホール内の内壁、ビアホール底部などの銅配線層1表面に付着した樹脂分解物を除去した。この時のビアホール底部の表面が、上部配線層形成後に形成される界面Aとなる。このビア底部の表面は、Rz=7.4μm、a−b=9.6μmであった。
続いて、Ni-Cr、銅の順にスパッタリングを行い、さらに電解銅めっきを行い層間の導通を接続する導通層を形成し、サブトラクティブ法によってパターン加工を行い、配線基板を作製した。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。耐湿性試験後も、剥離は見られなかった。
また、このペースト組成物C−1を厚さ300μmのアルミ基板上にダイコーターを用いて塗布し、オーブンを用いて、80℃×15分間で乾燥させた後、175℃×4時間で硬化させ、膜厚10μmの絶縁層を得た。この絶縁層上にアルミ電極を形成し、誘電特性評価サンプルとした。1MHzにおける比誘電率は95、空隙率は7体積%であった。
次に、このペースト組成物C−1をアルミニウム基板及び銅基板上にスピンコーターを用いて塗布し、オーブンを用いて、120℃、10分間で乾燥させた後、175℃、4時間で硬化させ、絶縁層を得た。これら2種の基板上に形成した絶縁層の温度によるストレス変化をテンコール社製ストレス測定装置Flexusを用いて測定し、その変化率から、絶縁層の線膨張係数を算出した結果、18ppm/℃であり、銅(17ppm/℃)にほぼ一致した値であった。
実施例2
絶縁層2にレーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成する際に、ビアホール加工1は炭酸ガスレーザーを用いて100μmφ径のビアを開孔し、ビアホール加工2はサンドブラスト加工を行い、下地の銅配線層1を掘り下げた以外は、実施例1と同様に配線基板を作製した。この時のRz=3.4μm、b=6.2μm、a−b=5.8μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。耐湿性試験後も、剥離は見られなかった。
絶縁層2にレーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成する際に、ビアホール加工1は炭酸ガスレーザーを用いて100μmφ径のビアを開孔し、ビアホール加工2はサンドブラスト加工を行い、下地の銅配線層1を掘り下げた以外は、実施例1と同様に配線基板を作製した。この時のRz=3.4μm、b=6.2μm、a−b=5.8μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。耐湿性試験後も、剥離は見られなかった。
実施例3
チタン酸バリウム(堺化学(株)製、BT−05:平均粒径0.5μm)62.3重量部、チタン酸バリウム(Cabot,Inc.社製、K−Plus16:平均粒径0.06μm)21.9重量部、γ−ブチロラクトン15重量部、分散剤(リン酸エステル骨格を有する酸基を持つコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)0.8重量部をホモジナイザーを用いて混練し、分散液A−2を得た。エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート(商品名)1750)2.1重量部、フェノールノボラック樹脂(大日本インキ工業(株)製、フェノライト(商品名)VH−4150)1.5重量部、硬化促進剤(北興化学(株)製、トリフェニルホスフィン)0.04重量部、γ−ブチロラクトン7.1重量部を混合し、エポキシ樹脂溶液B−2を得た。分散液A−1とエポキシ樹脂溶液B−2をボールミルを用いて混合し、ペースト組成物C−2を作製した。
チタン酸バリウム(堺化学(株)製、BT−05:平均粒径0.5μm)62.3重量部、チタン酸バリウム(Cabot,Inc.社製、K−Plus16:平均粒径0.06μm)21.9重量部、γ−ブチロラクトン15重量部、分散剤(リン酸エステル骨格を有する酸基を持つコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)0.8重量部をホモジナイザーを用いて混練し、分散液A−2を得た。エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート(商品名)1750)2.1重量部、フェノールノボラック樹脂(大日本インキ工業(株)製、フェノライト(商品名)VH−4150)1.5重量部、硬化促進剤(北興化学(株)製、トリフェニルホスフィン)0.04重量部、γ−ブチロラクトン7.1重量部を混合し、エポキシ樹脂溶液B−2を得た。分散液A−1とエポキシ樹脂溶液B−2をボールミルを用いて混合し、ペースト組成物C−2を作製した。
ぺースト組成物C−2を用いた以外、実施例1の方法に基づき、配線基板を作製し、接続信頼性評価を行った。比誘電率は123、空隙率は4体積%、線膨張係数は18ppm/℃、Rz=5.2μm、a−b=8.3μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。耐湿性試験後も、剥離は見られなかった。
実施例4
絶縁層2の膜厚bが600μm、ビアホール孔径が500μmφであること以外は、実施例1と同様に配線基板を作製した。この時のRz=6.3μm、a−b=9.2μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。しかし、耐湿性試験後に一部で剥離が確認された。
絶縁層2の膜厚bが600μm、ビアホール孔径が500μmφであること以外は、実施例1と同様に配線基板を作製した。この時のRz=6.3μm、a−b=9.2μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。しかし、耐湿性試験後に一部で剥離が確認された。
実施例5
絶縁層2の膜厚bが1μm、ビアホール孔径が8μmφであり、ビアホール加工1、ビアホール加工2共にYAGレーザーのみでビア加工を行った以外は、実施例3と同様に配線基板を作製した。この時のRz=2μm、a−b=2.8μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、サンプルの8割において導通がとれず、導通がとれたサンプルに関しては、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。しかし、耐湿性試験後に一部で剥離が確認された。
絶縁層2の膜厚bが1μm、ビアホール孔径が8μmφであり、ビアホール加工1、ビアホール加工2共にYAGレーザーのみでビア加工を行った以外は、実施例3と同様に配線基板を作製した。この時のRz=2μm、a−b=2.8μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、サンプルの8割において導通がとれず、導通がとれたサンプルに関しては、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。しかし、耐湿性試験後に一部で剥離が確認された。
実施例6
配線層1は、ギ酸と塩酸の混合液である銅マイクロエッチング液を用いて粗化処理を行い、配線層1表面に金属銅の粗化形状を形成した。表面粗さRa=0.3μmであった。配線層1表面の粗化状態が異なる以外は実施例3と同様に配線基板を作製した。a−b=10μm程度では、残渣を完全に除去することができなかった。そのため、ビア加工2においてYAGレーザーの出力をあげてショット数を増やし、さらに深い凹部を形成した。この時のRz=9.8μm、a−b=14μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。しかし、耐湿性試験後に一部で剥離が確認された。
配線層1は、ギ酸と塩酸の混合液である銅マイクロエッチング液を用いて粗化処理を行い、配線層1表面に金属銅の粗化形状を形成した。表面粗さRa=0.3μmであった。配線層1表面の粗化状態が異なる以外は実施例3と同様に配線基板を作製した。a−b=10μm程度では、残渣を完全に除去することができなかった。そのため、ビア加工2においてYAGレーザーの出力をあげてショット数を増やし、さらに深い凹部を形成した。この時のRz=9.8μm、a−b=14μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。しかし、耐湿性試験後に一部で剥離が確認された。
実施例7
配線層1は特に粗化処理を施さずに使用した。表面粗さRa=0.04であった。配線層1表面の粗化状態が異なる以外は実施例3と同様に配線基板を作製した。この時のRz=4.2μm、a−b=6μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。しかし、耐湿性試験後に剥離が確認された。
配線層1は特に粗化処理を施さずに使用した。表面粗さRa=0.04であった。配線層1表面の粗化状態が異なる以外は実施例3と同様に配線基板を作製した。この時のRz=4.2μm、a−b=6μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。しかし、耐湿性試験後に剥離が確認された。
実施例8
実施例1と同様に表面粗さRa=0.09μmである銅配線層(図1における符号1で示したもの)にペースト組成物C−1を塗布した膜厚10μmの絶縁層(図1における符号2で示したもの)を形成した。次に、レーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成した。ビア加工1は、炭酸ガスレーザーを用いて100μmφ径のビアホールを開孔し、ビアホール加工2は、YAGレーザーを用いて、銅配線層1掘り下げた。この時のRz=8.1μm、a−b=9.7μmであった。続いて、Ni-Cr、銅の順にスパッタリングを行い、さらに電解銅めっきを行い層間の導通を接続する導通層を形成し、サブトラクティブ法によってパターン加工を行い、配線基板を作製した。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。耐湿性試験後も、剥離は見られなかった。
実施例1と同様に表面粗さRa=0.09μmである銅配線層(図1における符号1で示したもの)にペースト組成物C−1を塗布した膜厚10μmの絶縁層(図1における符号2で示したもの)を形成した。次に、レーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成した。ビア加工1は、炭酸ガスレーザーを用いて100μmφ径のビアホールを開孔し、ビアホール加工2は、YAGレーザーを用いて、銅配線層1掘り下げた。この時のRz=8.1μm、a−b=9.7μmであった。続いて、Ni-Cr、銅の順にスパッタリングを行い、さらに電解銅めっきを行い層間の導通を接続する導通層を形成し、サブトラクティブ法によってパターン加工を行い、配線基板を作製した。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり良好であった。耐湿性試験後も、剥離は見られなかった。
比較例1
絶縁層2にレーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成する際に、ビアホール加工1、ビアホール加工2共に炭酸ガスレーザーを用いて100μmφ径、a−b=2.1μmとなるように加工した以外は、実施例1と同様に配線基板を作製し、接続信頼性試験を行った。Rz=2.8μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、50サイクルで断線した。断面SEMで確認したところ、上部と下部の配線層の間に無機フィラーを含む残渣が確認された。
絶縁層2にレーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成する際に、ビアホール加工1、ビアホール加工2共に炭酸ガスレーザーを用いて100μmφ径、a−b=2.1μmとなるように加工した以外は、実施例1と同様に配線基板を作製し、接続信頼性試験を行った。Rz=2.8μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、50サイクルで断線した。断面SEMで確認したところ、上部と下部の配線層の間に無機フィラーを含む残渣が確認された。
比較例2
絶縁層2にレーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成する際に、ビアホール加工1は炭酸ガスレーザーを用いて100μmφ径のビアホールを開孔し、ビアホール加工2は炭酸ガスレーザーでそのまま加工し、さらにYAGレーザーでa−b=16μmとなるように加工した以外は、比較例1と同様に配線基板を作製し、接続信頼性試験を行った。Rz=4.2μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり不良であった。
絶縁層2にレーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成する際に、ビアホール加工1は炭酸ガスレーザーを用いて100μmφ径のビアホールを開孔し、ビアホール加工2は炭酸ガスレーザーでそのまま加工し、さらにYAGレーザーでa−b=16μmとなるように加工した以外は、比較例1と同様に配線基板を作製し、接続信頼性試験を行った。Rz=4.2μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、1000サイクル後の接続抵抗が100mΩ以下であり不良であった。
比較例3
絶縁層2にレーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成する際に、ビアホール加工1、ビアホール加工2共に炭酸ガスレーザーを用いてa−b=1.2μm、100μmφ径のビアホールを開孔した以外は、実施例1と同様に配線基板を作製し、接続信頼性試験を行った。Rz=1.4μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、50サイクルで断線した。断面SEMで確認したところ、上部と下部の配線層の間に無機フィラーを含む残渣が確認された。
絶縁層2にレーザー加工により層間接続用のマイクロビアホールを形成する際に、ビアホール加工1、ビアホール加工2共に炭酸ガスレーザーを用いてa−b=1.2μm、100μmφ径のビアホールを開孔した以外は、実施例1と同様に配線基板を作製し、接続信頼性試験を行った。Rz=1.4μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、50サイクルで断線した。断面SEMで確認したところ、上部と下部の配線層の間に無機フィラーを含む残渣が確認された。
比較例4
絶縁層2にドリル加工でa−b=17μmとなるように層間接続用のマイクロビアホールを形成した。それ以外は、実施例1と同様に配線基板を作製し、接続信頼性試験を行った。Rz=11μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、50サイクルで断線した。
絶縁層2にドリル加工でa−b=17μmとなるように層間接続用のマイクロビアホールを形成した。それ以外は、実施例1と同様に配線基板を作製し、接続信頼性試験を行った。Rz=11μmであった。熱衝撃試験機にて接続信頼性試験を行ったところ、50サイクルで断線した。
1 配線層(絶縁層に対し下部に位置する)
2 絶縁層
3 配線層(絶縁層に対し上部に位置する)
4 ビアホールの孔径
5 ビアホール底部の上部配線層と下部配線層の界面A
6 ビアホールの深さ
7 絶縁層の厚さ
2 絶縁層
3 配線層(絶縁層に対し上部に位置する)
4 ビアホールの孔径
5 ビアホール底部の上部配線層と下部配線層の界面A
6 ビアホールの深さ
7 絶縁層の厚さ
Claims (4)
- 上部配線層、無機フィラーと樹脂を有する絶縁層、下部配線層の順に形成され、上部と下部の配線層を電気的に接続するように絶縁層を貫通して形成されたビアホールを含む配線基板であって、絶縁層に含まれる無機フィラーの総体積と樹脂固形分の総体積に対する無機フィラーの総体積の割合Vfが50%以上95%以下を満たし、かつビアホール底部の上部配線層と下部配線層の界面の粗さRzが1.5μm以上10μm以下であり、絶縁層上面からビアホールにおける上下の配線層の界面までの深さをa、絶縁層の厚さをbとしたとき、{Rz+(1/Rz)}≦(a−b)≦3Rzを満たすことを特徴とする配線基板。
- 前記絶縁層の厚さbが2μm以上500μm以下であり、前記ビアホールの孔径が10μm以上300μm以下であり、前記ビアホール開口内の上部と下部の配線層がビアホールの底部とビアホール内壁で接触することを特徴とする請求項1記載の配線基板。
- 上部配線層、絶縁層、下部配線層の順に形成され、上部と下部の配線層を電気的に接続するように絶縁層を貫通して形成されたビアホールを含む配線基板を作製する方法であって、表面粗さRaが0.05μm以上0.2μm以下の下部配線層上に絶縁層を形成し、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、サンドブラストから選ばれる少なくとも1種類を用いて所望の範囲の絶縁層を除去し、次にYAGレーザー、エキシマレーザー、サンドブラストから選ばれる少なくとも1種類を用いて絶縁層の残渣及び下部配線層の一部を除去し、下部配線層に非貫通凹部を有するビアホールを形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
- 絶縁層が無機フィラーと樹脂を有することを特徴とする請求項3記載の配線基板の製造方法。
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JP2005038999A JP2006228871A (ja) | 2005-02-16 | 2005-02-16 | 配線基板 |
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2005
- 2005-02-16 JP JP2005038999A patent/JP2006228871A/ja active Pending
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