JP4841830B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、近年、更なる高密度化の要求から、この充填材により埋められたスルーホール上にも導体層を形成し、更にはその導体層上にビアを形成する構造等が、下記特許文献1等において提案されている。
また、樹脂を用いた充填材としては、下記特許文献2が知られており、更に、封止材に適した炭酸カルシウムとしては、下記特許文献3が知られている。
更に、上記特許文献2には、所定の平均粒子径の無機フィラーを含有する充填材が開示されている。しかし、スルーホール内の充填物とこの充填物上に形成された他層(特に導体層)との関係については検討されていない。
また、上記特許文献3には、部品や素子を機器に実装する際に用いる封止材に適した炭酸カルシウムが開示されている。しかし、スルーホールへの充填については検討されておらず、更には、スルーホール内の充填物とこの充填物上に形成された他層(特に導体層)との関係についても検討されていない。
(1)充填口径が260μm以下であるスルーホールを備える基体の該スルーホール内に、充填材を充填する充填工程と、充填された該充填材を硬化させて充填物とする硬化工程と、基体表面に表出した該充填物の表面を覆うように該基体上に導体層を形成する導体層形成工程と、を備える配線基板の製造方法であって、
上記充填材は、無機フィラーと熱硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、溶剤が含有されず、水分量が上記充填材全体を100%とした場合に0.5%未満であり、
上記無機フィラーは2種以上含有され、そのうち1種は炭酸カルシウム粉末であり、且つ、該炭酸カルシウム粉末は、破砕物状粒子、球状粒子、立方体状粒子及び紡錘状粒子のうちの少なくとも1種からなり、
上記炭酸カルシウム粉末は、カルサイト結晶からなる粉末を主成分とし、
上記無機フィラーとして、更に、酸化ケイ素粉末を含有し、且つ、該酸化ケイ素粉末は球状粒子からなり、
上記充填材の、剪断速度0.84s −1 における粘度が35〜95Pa・sであり、且つ、剪断速度21s −1 における粘度が25〜45Pa・sであることを特徴とする配線基板の製造方法。
(2)上記炭酸カルシウム粉末は、表面処理されており、
上記表面処理は、有機系表面処理剤によるコーティング又はカップリング剤によるコーティングである上記(1)に記載の配線基板の製造方法。
無機フィラーとして更に酸化ケイ素粉末を含有し且つ酸化ケイ素粉末が球状粒子からなる場合は、熱膨張係数が小さく充填物の熱膨張率の制御が容易となる。また、流動性がよい充填材を容易に得ることができる。更に、特に高い充填率を得ることができる。また、無溶剤の充填材を調製する場合にも高充填が容易であり、更には、硬化後の充填物上に他層を形成する場合にも接合性を十分に確保できる。
炭酸カルシウム粉末が100gあたり100〜500mlの体積である場合は、特に充填性に優れた充填材を得ることができる。
[1]充填材
本発明に用いる充填材は、無機フィラーと熱硬化性樹脂と硬化剤とを含有する充填材において、無機フィラーは2種以上含有され、そのうち1種は炭酸カルシウム粉末であり、且つ、炭酸カルシウム粉末は、破砕物状粒子、球状粒子、立方体状粒子及び紡錘状粒子のうちの少なくとも1種からなり、上記炭酸カルシウム粉末は、カルサイト結晶からなる粉末を主成分とし、上記無機フィラーとして、更に、酸化ケイ素粉末を含有し、且つ、該酸化ケイ素粉末は球状粒子からなることを特徴とする。
上記「炭酸カルシウム粉末」は、CaCO3を主成分とする粉末である。炭酸カルシウムは、酸化剤等により分解又は溶解させて微細な凹凸を形成できる。このため、硬化後の充填物上に形成された層(例えば、導体層、絶縁層及びソルダーレジスト層等)との接合性に優れる。尚、上記CaCO3を主成分とする炭酸カルシウム粉末は、この粉末を1050±50℃で恒量になるまで加熱した場合に、加熱前の粉末全体(100質量%)に対して54〜55.5質量%がCaOとなり、43〜45質量%がIg.Loss(焼失分)となり、且つ、Ig.Loss全体(100質量%)の99質量%以上がCO2であるものが好ましい。
この炭酸カルシウムの含有量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂全体を100質量部とした場合に10〜40質量部(より好ましくは15〜30質量部)であることが好ましい。この範囲であれば、硬化後の充填物上に形成された層との接合性が十分に得られ、また、充填材中に含有される水分量を調整し易く、更には、配線基板を構成する他材との熱膨張率の調整も容易だからである。
また、上記「球状粒子」は、球状及び略球状(例えば、ラグビーボール状等を含む)等の形状の粒子である。この球状粒子は、どのような手段により得られたものであってもよいが、例えば、溶媒中に溶解されたカルシウム化合物と二酸化炭素とを、又は、溶媒中に溶解されたカルシウム化合物と炭酸化合物とを反応させる等して得ることができる。この球状粒子としては、いわゆるコロイド炭酸カルシウム等が挙げられる。
また、上記「紡錘状粒子」は、紡錘形状及び略紡錘形状からなる粒子である。また、通常、そのアスペクト比は3以下(好ましくは2以下)である。アスペクト比が3以下であれば充填時の配向が特に生じ難いからである。即ち、配向が生じたとしてもその量が少ないためほとんど配向の影響を受けないものである。
尚、これら以外の形状である、針状粒子及び柱状粒子とは、通常、アスペクト比が3を超える形状であるものを意味するものとする。
これら破砕物状粒子、球状粒子、立方体状粒子及び紡錘状粒子のなかでも、特に破砕物状粒子、球状粒子及び立方体状粒子が好ましい。これらは特にアスペクト比が小さい(例えば、3以下)。このため、更に効果的に、充填不良の防止、熱膨張の異方性防止、ずり応力が負荷される場合の配向防止、及び、充填物上に他層と接合不良防止ができる。
各々上記範囲であれば、充填材を過度に増粘させることなく前記好ましい炭酸カルシウム粉末の含有量を確保でき、また、炭酸カルシウム粉末の平均一次粒子径が上記好ましい範囲を超えて過度に大きくなることがなく、小径のスルーホールへの充填性を阻害することもない。
尚、この100gあたりの体積(ml)は、JIS K5101における見掛け比容に準じ、見掛け比容を100で除した値である。また、吸油量とは、JIS K5101における吸油量である。
これらの無機フィラーは目的用途に応じて適宜のフィラーが含有されることが好ましく、上記のうちセラミックフィラーを用いることが好ましい。セラミックフィラーは熱膨張係数が小さいものを得易く、また、形状がより安定した球形のものを得易いからである。更に、セラミックフィラーのなかでも、酸化ケイ素粉末及びアルミナ粉末が好ましく、酸化ケイ素粉末がより好ましい。酸化ケイ素は、熱膨張係数が比較的小さく、これを用いることで得られる充填物の熱膨張率の制御が容易となるからである。
熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、充填材全体を100質量%とした場合に、15〜60質量%(より好ましくは20〜50質量%)であることが好ましい。この範囲であれば、適度な流動性を発現させることができ、且つ、高信頼性が得られるからである。
更に、硬化剤の種類により必要に応じて、1種又は2種以上の硬化触媒を用いることができる。
更に、本発明に用いる充填材には、無機フィラー、熱硬化性樹脂及び硬化剤以外にも、各種光硬化性樹脂、各種光硬化剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤及び分散剤等を含有できる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、上記無機フィラーが充填材内で沈降することを防止するために、平均一次粒子径が80nm以下の極微粒の酸化ケイ素粉末、酸化チタン粉末及び酸化アルミニウム粉末等を含有できる。
剪断速度が小さい時(即ち、例えば、0.84s−1)の粘度は、静置状態の粘度を表し、印刷時に加える力の伝わりや印刷後の形状保持性に影響を与える。一方、剪断速度が大きい時(即ち、例えば、21s−1)の粘度は、スルーホールに充填材を充填する際に影響を与える。
従って、充填材をスルーホールへ充填する際の剪断速度が大きい時の粘度は低いことが好ましい。即ち、剪断速度0.84s−1における粘度は35〜95Pa・sである。充填の際には十分な流動性を有することで良好な充填性が得られるからである。一方、剪断速度が小さい時の粘度は高い方が好ましい。即ち、剪断速度21s−1における粘度が25〜45Pa・sである。剪断速度が小さい時の粘度は過度に低いと、例えば、印刷時に力を加える前に充填材が流れてしまうために十分に充填ができないことがある。また、充填ができた場合であっても、スルーホール内で充填材が垂れてしまい上部が凹む場合がある。この凹みは、その後に研磨を行っても取り除くことができず、後工程で導体層、ビルドアップ層及びビア等を形成することが困難となる等の問題がある。
この様に、剪断速度によって異なる粘度特性が両立されることが好ましい。
本発明により得られる配線基板は、充填口径が260μm以下であるスルーホールを備える基層と、上記充填材の硬化物からなり且つ上記スルーホール内を充填する充填物と、上記スルーホールの開口面に表出した充填物の表面を覆い且つ基層上に形成された導体層と、を備える。
尚、内壁導体層が形成されている場合、基層に形成されたスルーホールのうち、内壁導体層により占有された領域を除く部分もスルーホールというものとする。
この基層を構成する材料は特に限定されず、有機材料及び有機材料を用いた複合材料が挙げられる。有機材料は、特に限定されず、配線基板の絶縁部に用いられるあらゆる有機材料を用いることができる。例えば、エポキシ系樹脂、BT(ビスマレイミド・トリアジン)系樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、熱硬化性PPE(ポリフェニレンエーテル)系樹脂、LCP(液層ポリマー)、BCB(ベンゾシクロブテン)及びポリノルボルネン等を挙げることができる。これらの有機材料は1種のみからなってもよく、2種以上からなってもよい。また、これらの樹脂に改質のための各種ゴム等を含有することもできる。更に、基体は芯材としてガラスクロス、ガラス不織布、樹脂(ポリアミド等)クロス、樹脂(ポリアミド等)不織布、樹脂(ポリアミド等)フィルム、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等で形成された3次元網目構造を有するフッ素樹脂系芯材、金属箔及び金属板等を有していてもよい。更に、熱膨張率の調整及び絶縁性向上等の目的で充填材におけると同様に上記セラミックフィラーを含有してもよい。
上記「導体層」は、スルーホール開口面に表出した充填物の表面を覆う基層上に形成された層である。即ち、基層表面に形成された導体層のうち、スルーホール開口面に表出する充填物を覆っている層であり、前述の上部導体層である。例えば、図1では、スルーホール開口面に表出した充填物(2)の表面を覆う基層(1)上に形成された層(3)である。
上部導体層を構成する導体材料の種類は特に限定されないが、例えば、銅、銀、金、白金、ニッケル等、及び、これらのうちの2種以上の合金等が挙げられる。また、この上部導体層の厚さも特に限定されないが、通常、50μm以下(好ましくは5〜45μm、より好ましくは7〜40μm、特に好ましくは10〜35μm)である。更に、上部導電層の導電性も特に限定されないが、通常、常温において3μΩ・cm以下である。
更には、このビア導体は、少なくともスルーホールの開口面上に形成されているものとすることができる。
絶縁層の厚さは特に限定されないが、通常、50μm以下(好ましくは10〜50μm、より好ましくは12〜40μm、特に好ましくは15〜40μm)である。更に、絶縁層の絶縁性も特に限定されないが、通常、常温において1010Ω・m以上である。
更に、ビア導体は、上部導体層と他の導体層とを絶縁層を貫通して電気的に接続する導体である。即ち、例えば、図1では、上部導体層(3)と他の導体層(51)とを絶縁層(4)を貫通して電気的に接続する導体(52)である。このビア導体を構成する導体材料は、上部導体層における導体材料をそのまま適用できる。また、導電性についても同様である。更に、このビア導体の大きさも特に限定されないが、通常、最大長(最大径)が150μm以下(好ましくは30〜100μm)であり、更に、スルーホールの開口径の1分の1以下(好ましくは10分の1〜1分の1)の大きさである。
ビア導体は、スルーホール開口面上に形成されていなくてもよいが、スルーホール開口面上に形成されているものとすることができる。即ち、スルーホール開口面上の上部導体層と、スルーホール開口面上の他の導体層とを、スルーホール開口面上で電気的に接続する導体である。このビア導体は、スルーホール開口面上に形成され且つスルーホールの開口面上でない部分にも形成されていてもよい。
更に、多層化とは、上部導体層以外に、絶縁層を介して少なくとも1層以上の他の導体層を形成することを意味する。この多層化は繰り返して行うことにより、複数の導体層がビアで接続された多層配線基板が得られる。
本発明の配線基板の製造方法は、充填口径が260μm以下であるスルーホールを備える基体の該スルーホール内に、充填材を充填する充填工程と、充填された該充填材を硬化させて充填物とする硬化工程と、基体表面に表出した該充填物の表面を覆うように該基体上に導体層を形成する導体層形成工程と、を備える配線基板の製造方法であって、
上記充填材は、無機フィラーと熱硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、溶剤が含有されず、水分量が上記充填材全体を100%とした場合に0.5%未満であり、
上記無機フィラーは2種以上含有され、そのうち1種は炭酸カルシウム粉末であり、且つ、該炭酸カルシウム粉末は、破砕物状粒子、球状粒子、立方体状粒子及び紡錘状粒子のうちの少なくとも1種からなり、
上記炭酸カルシウム粉末は、カルサイト結晶からなる粉末を主成分とし、
上記無機フィラーとして、更に、酸化ケイ素粉末を含有し、且つ、該酸化ケイ素粉末は球状粒子からなり、
上記充填材の、剪断速度0.84s −1 における粘度が35〜95Pa・sであり、且つ、剪断速度21s −1 における粘度が25〜45Pa・sであることを特徴とする。
上部導体層の形成方法は特に限定されないが、無電解めっきを用いることができ、更には、無電解めっきと電解めっきとを併用することができる。また、この工程では、充填材表面と上部導体層との密着性を向上させるために粗化処理を施すことができる。粗化方法は特に限定されず、ウェットエッチング及びドライエッチング等で施すことができる。ウェットエッチングでは、エッチング液として、酸化剤を用いることができ、更には、過マンガン酸溶液を用いることができる。更に、ドライエッチングでは、プラズマ処理を用いることができる。更に、形成された上部導体層は、必要に応じてパターンニングを施すことができる。パターンニングの方法は特に限定されないが、フォトリソ工程(レジスト形成工程、露光工程、現像工程、エッチング工程、剥離工程等を含む)を経て行うことができる。
また、液状未硬化樹脂を用いる方法とは、上部導体層を覆うように絶縁層となる液状未硬化樹脂を用いて未硬化樹脂層を形成し、必要に応じてこの未硬化樹脂層をパターンニングしたのち硬化させて絶縁層を得る方法である。更に、液状未硬化樹脂を用いる方法では、未硬化樹脂層を形成する際の塗布方法は特に限定されず、スクリーン印刷法、ロールコーター印刷法及びカーテンコーター印刷法等を用いることができる。
絶縁層の形成方法のうち、半硬化樹脂フィルムを用いる方法と、液状未硬化樹脂を用いる方法とでは、半硬化樹脂フィルムを用いる方法が工程数削減の観点からは好ましい。
また、導体層接続工程は、絶縁層の上部導体層と対向する面に他の導体層を形成し且つビアホール内にビア導体を形成して上部導体層と他の導体層とを電気的に接続する工程である。この導体層接続工程では、ビア導体と他の導体層とを同工程で形成してもよく、別工程で形成してもよい。
ビア導体及び他の導体層の各々の形成方法は特に限定されず、無電解めっきを用いることができ、更には、無電解めっきと電解めっきとを併用することができる。更に、形成されためっき層には必要に応じてフォトリソ法等によりパターンニングを施し、ビア導体及び他の導体層を得ることができる。
[1]充填材の調製
下記の無機フィラー、熱硬化性樹脂及び硬化剤等の充填材原料を用意し、実施例1及び2として、下記表1に示す調合割合となるように各充填材原料を秤量して調合用容器に投入して撹拌した後、3本ロールで混練をして本発明に用いる充填材を得た。同様にして本実施例との比較のため比較例1〜3の充填材を調製した。尚、下記消泡剤については表1には示していないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して0.5質量部を添加した。
炭酸カルシウム粉末;
(a1)破砕物状粒子(丸尾カルシウム株式会社製、商品名「ナノコート」、平均粒子径2μm、カルサイト結晶、吸油量10ml/100g、100gあたりの体積150ml)
(a2)球状粒子粉末(丸尾カルシウム株式会社製、商品名「カルファイン」、平均粒子径0.05μm、カルサイト結晶、吸油量25ml/100g、100gあたりの体積350ml)
(a3)針状粒子粉末(丸尾カルシウム株式会社製、商品名「ウィスカル」、平均繊維長25μm且つ平均繊維径0.5μm、アラゴナイト結晶構造、吸油量は測定困難(針状粒子が破壊されるため)、100gあたりの体積1100ml)。
酸化ケイ素粉末;
(b1)球状粒子粉末(龍森株式会社製、商品名「TSS−6」、平均粒子径6um且つ最大粒子径24μm、溶融シリカ)
熱硬化性樹脂;
(c1)ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「エピコート807」)
(c2)アミノフェノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「エピコート630」)
硬化剤;トリアジン系化合物(四国化成工業株式会社製、商品名「2MZA−PW」、粉末状、2,4ジアミノ−6−[2‘−メチルイミダゾリル−(1)’]−エチル−s−トリアジン)
消泡剤;シリコン系化合物(共栄社化学株式会社製、商品名「グラノール450」)
(1)粘度測定
B型粘度計を用いて温度22±1℃において、剪断速度0.84s−1及び21s−1での各充填材の粘度を測定した。その結果を、表2に示した。
厚みが800μmのビスマレイミド−トリアジン樹脂材料からなる基体(1)に200μmのスルーホール(11)を形成した。その後、このスルーホール(11)の内壁に銅めっき層を形成し、直径が約160μmの内壁導体層(6)が形成された導体化スルーホールを形成した。次いで、この基体上に厚み150μmの印刷マスクを設置し、上記[1]で得られた各充填材(21)を印刷して導体化スルーホール内に充填した。その後、100℃〜150℃の温度に保持された乾燥機内に充填材(21)が充填された基体(1)を0.5〜2時間放置し、充填材(21)を半硬化させた。
乾燥機内から取り出して室温まで放冷した後、導体化スルーホールの表面を光学顕微鏡で50倍に拡大して観察し、導体化スルーホール内の半硬化された充填物(23)の上面が配線基板の表面から突出しているか否かを観察した。この結果、突出していた充填材には表2に「○」と示し、突出しなかった充填材には「×」と示した。
上記(2)までに得られた配線基板のうち、基体表面から半硬化された充填物(22)が突出しているもののみについて、以下の工程を更に施した。
充填物が突出していないものに次の工程を施さないのは、充填物が突出している配線基板は表面研磨を行うことで配線基板表面を平坦化できるが、充填物が突出していない配線基板では表面研磨を行うと凹部を生じる。従って、充填物が突出していない配線基板では充填物上の上層と十分な接合が得られ難い可能性が高いことが自明なためである。
上記(2)までに得られた配線基板の表面を研磨し、その後、150℃〜170℃の温度に保持された乾燥機内に配線基板を5時間放置し、半硬化された充填物(22)を完全に硬化させた。次いで、研磨を行った表面に、デスミア処理及び無電解めっき処理を施して、完全硬化された充填物(2)の表面を覆う銅からなる厚さ20μmの上部導体層(3)を形成した。その後、上部導体層(3)をフォトリソ法を用いてパターンニングし、上部導体パターン(3)を形成した。
上部導体パターン(3)上に、フィルム状の樹脂材料を加熱圧着して絶縁層(4)を形成し、次いで、CO2レーザーを用いてこの絶縁層(4)を貫通するビアホール(41)を形成した。このビアホール(41)は、後にこの上部導体パターン(3)と接続できる上部導体パターン(3)上に形成した。
その後、先に形成した絶縁層(4)上に他の導体層(51)を形成し、この他の導体層(51)と先に形成した上部導体パターン(3)とが接続されるようにビアホール(41)内にビア導体(52)を形成し、他の導体パターン(5)を形成した。
上記ii)までに得られた配線基板の表面に、更に、上記ii)と同じ作業を2回繰り返し、複数の導体パターンと絶縁層とが交互に積層された配線基板を得た。
その後、配線基板の最表面にパターンニングしたソルダーレジスト層(7)を形成した後、このソルダーレジスト層(7)下の導体パターン表面にニッケルめっきを行った。更に、このニッケルめっきの表面に金めっきを施して多層配線基板(100)を得た。
この多層配線基板は、各充填材毎に20枚を作製した。
上記iii)までに得られた多層配線基板を、−55℃まで冷却して5分間保持した後、125℃まで加熱し5分間保持する工程を1サイクルとして、500サイクルを繰り返して熱衝撃を加えた。
その後、多層配線板を乾燥機内から取り出し、上記(2)で充填された充填物の断面を観察できる面で切断した。次いで、その断面を、光学顕微鏡で200倍に拡大して観察し、充填物と上部導体パターンとの剥離の有無、充填物とスルーホール内導体との剥離の有無、充填物及びその周囲のクラックの有無を確認した。また、同様に上部導体パターン上に積層された絶縁層、他の導体パターン及びソルダーレジスト層等の相互間の剥離及びクラックの有無を確認した。
これらのうちのいずれかの剥離又はクラックが1つでも認められた多層配線基板の枚数を計数し、表2に多層配線基板の総作製枚数20枚に対する数として示した。
上記[1]で調製した各充填材について、カールフィッシャー水分計(平沼産業社製、形式「AQ−7」)を用いて水分量を測定した。その結果を表2に記した。尚、カールフィッシャー試薬としては、平沼産業社製のHYDRANALアクアライトを用いた。
比較例2及び3は、充填材中の炭酸カルシウム粉末が針状結晶形状のアラゴナイト結晶からなるものである。これらはいずれも印刷性に劣り、充填後に配線基板表面から充填材を突出させることができず、配線基板表面からは充填材は凹んで充填された。このため、硬化後に配線基板表面を研磨してもスルーホール内に凹部が残存し、正常な上部導体層及び絶縁層の形成を行うことができないことが分かる。更に、比較例3は、硬化後の充填物は発泡体様となり、充填物中にポアが多数形成された。これは比較例3の充填材中に水分が多く含まれるためであると考えられる。
Claims (2)
- 充填口径が260μm以下であるスルーホールを備える基体の該スルーホール内に、充填材を充填する充填工程と、充填された該充填材を硬化させて充填物とする硬化工程と、基体表面に表出した該充填物の表面を覆うように該基体上に導体層を形成する導体層形成工程と、を備える配線基板の製造方法であって、
上記充填材は、無機フィラーと熱硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、溶剤が含有されず、水分量が上記充填材全体を100%とした場合に0.5%未満であり、
上記無機フィラーは2種以上含有され、そのうち1種は炭酸カルシウム粉末であり、且つ、該炭酸カルシウム粉末は、破砕物状粒子、球状粒子、立方体状粒子及び紡錘状粒子のうちの少なくとも1種からなり、
上記炭酸カルシウム粉末は、カルサイト結晶からなる粉末を主成分とし、
上記無機フィラーとして、更に、酸化ケイ素粉末を含有し、且つ、該酸化ケイ素粉末は球状粒子からなり、
上記充填材の、剪断速度0.84s −1 における粘度が35〜95Pa・sであり、且つ、剪断速度21s −1 における粘度が25〜45Pa・sであることを特徴とする配線基板の製造方法。 - 上記炭酸カルシウム粉末は表面処理されており、
上記表面処理は、有機系表面処理剤によるコーティング又はカップリング剤によるコーティングである請求項1に記載の配線基板の製造方法。
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